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<要 旨> 一般に, 第二言語 ( ) 習得において, 学習者の学習開始年齢が高くなればなる ほど, 習得が十分に行われないと言われている。 本稿の目的は, 20歳を過ぎて来日し てから日本語の学習を開始し, 本調査時に滞在歴が10年を超えていた中国人日本語学 習者 ( ) が, どの程度日本語の助詞を習得できるようになっているのか調査する ことにより, の学習開始年齢と最終的到達度の問題, ならびに言語習得における 臨界期の問題について実証的に考察することである。 の口頭産出データを分析し た結果, 彼は 「は」 以外の助詞をほぼ完璧に習得していることが明らかとなった。 つ まり, 「は」 を除けば, 学習開始年齢要因に影響されることなく は日本語の助詞 を完璧に習得できていたことが判明したのである。 <キーワード> における最終的到達度, 助詞の習得, 中国人日本語学習者 1. は 本稿の目的は, 思春期を過ぎた後に第二言語として日本語を習得し始めた中国語を母語とする日 本語学習者の助詞の習得を調査し, 学習開始年齢と習熟度について考察することである。 そして, もし習得困難な助詞があれば, それはどの助詞であるのか特定することである。 本被験者である中 国人 は, 20歳を過ぎてから日本に留学目的で来日した。 そして, 大学卒業後も日本に留まり, 日本の会社に就職し, 現在でも日本で働いている。 筆者達が本調査を行ったのは が日本に住み 始めてから12年が経った時点である。 このような習得状況下, はたして は日本語の助詞が適切 に使用できるようになっているのかどうか, との一対一でのインタビューによって得た発話デー タの分析結果を報告する。 95 日本語学習者の助詞の習得調査 滞在が10年を超える中国語を母語とする日本語学習者の事例研究 外国語教育 ─理論と実践─ 第39号 平成25年 3 月15日発行

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<要 旨>

一般に, 第二言語 (��) 習得において, 学習者の学習開始年齢が高くなればなるほど, 習得が十分に行われないと言われている。 本稿の目的は, 20歳を過ぎて来日し

てから日本語の学習を開始し, 本調査時に滞在歴が10年を超えていた中国人日本語学

習者 (��) が, どの程度日本語の助詞を習得できるようになっているのか調査することにより, ��の学習開始年齢と最終的到達度の問題, ならびに言語習得における臨界期の問題について実証的に考察することである。 ��の口頭産出データを分析した結果, 彼は 「は」 以外の助詞をほぼ完璧に習得していることが明らかとなった。 つ

まり, 「は」 を除けば, 学習開始年齢要因に影響されることなく��は日本語の助詞を完璧に習得できていたことが判明したのである。

<キーワード>��における最終的到達度, 助詞の習得, 中国人日本語学習者1. は じ め に

本稿の目的は, 思春期を過ぎた後に第二言語として日本語を習得し始めた中国語を母語とする日

本語学習者の助詞の習得を調査し, 学習開始年齢と習熟度について考察することである。 そして,

もし習得困難な助詞があれば, それはどの助詞であるのか特定することである。 本被験者である中

国人��は, 20歳を過ぎてから日本に留学目的で来日した。 そして, 大学卒業後も日本に留まり,日本の会社に就職し, 現在でも日本で働いている。 筆者達が本調査を行ったのは��が日本に住み始めてから12年が経った時点である。 このような習得状況下, はたして��は日本語の助詞が適切に使用できるようになっているのかどうか, ��との一対一でのインタビューによって得た発話データの分析結果を報告する。

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吉 田 智 佳

白 畑 知 彦

日本語学習者の助詞の習得調査滞在が10年を超える中国語を母語とする日本語学習者の事例研究

外国語教育 ─理論と実践─ 第39号

平成25年 3 月15日発行

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ある言語をその言語の母語話者と同程度に習得するには, ある一定の期間内に習得を開始する必

要があるという主張があり, その期間は臨界期(��������������)と呼ばれている。 この期間を特定化し, 思春期までであると最初に提唱したのが ���������(����)である。 実際のところ, 思春期までが言語習得の臨界期であるのかどうかは議論の余地のあるところであるが, 学習開始年齢が高

くなればなるほど母語話者並みの言語能力を身につけるのが困難になっていくという研究成果は多

い(�������������������������)。 はたして, 本被験者である��も助詞が十分には習得できないまま化石化しているのであろうか。

第二言語としての日本語の助詞の習得研究は長らく関心をもって研究されてきた領域である。 し

かし, それらの先行研究の大部分で, その論文内で一度に調査する助詞の数に限りがあった。 いく

つかの特定の助詞 (たとえば 「は」 と 「が」, 「で」 と 「に」 など) の習得調査に焦点を絞ったもの

が大部分で, わずかな例外 (たとえば, 横林, 1995;八木, 1996など) を除き, 一つの論文で同一

被験者を対象に, 日本語のすべての助詞の習得を調査した習得研究は少ない。 さらに, 従来の助詞

の習得研究は, 初級, あるいは中級レベルの学習者を対象にしたものが多く, 10年以上日本に滞在

し, 日常生活で頻繁に日本語を使用したため, 日本語能力が非常に高いレベルに達していると周り

から思われている学習者を対象にした研究はそれほど多くは存在しない。

したがって, 本稿では, 先行研究であまり対象にされてこなかった, 20歳を過ぎて日本語学習を

開始した日本語学習者を対象にし, インタビューによって収集した口頭産出データを分析し, 助詞

の習得について調査する。 被験者は1名とはいえ, ��は結果的に35種類の助詞を発話しており,これほど多くの助詞の習得状況を同一被験者から収集したデータは少なく, この点からも本研究成

果は第二言語としての日本語習得研究, 特に中国語母語話者の日本語習得過程の解明に少なからず

貢献できるものと思われる。

2. 言語習得における臨界期仮説

第二言語学習者がどんなに流暢に第二言語を扱っているように見えても, 母語話者と同レベルに

は到達できない部分が存在するという研究報告がある (���������������)。 また, ����������������(����) のように, 母語話者並みの言語能力を身につけるための唯一絶対的な条件は, 7歳までに目標言語が話されている国に移住し, そこで学校教育を受けて生活することであるとする説が

ある。 そして, 自国での第二言語の学習経験や動機づけ, 学習者の性格要因などは全く関係がない

と主張する。 もし, この ���������������(����) の説が妥当性のあるものならば, 20歳で来日した本被験者��は, 何年日本で生活しようとも, 助詞を日本語母語話者と同程度には習得できないことになる。

3. 日本語の助詞

日本語の助詞の分類方法には諸説あるが, 本稿では林他 (2007) に基づき, 格助詞, 接続助詞,

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終助詞, 副助詞の4種類の分類方法に従うことにする。 それぞれの助詞に該当するものを (1�)-(1�) に載せる。(1)a. 格助詞:が・の・を・に・で・へ・から・と・より・まで

b. 接続助詞(1):ば・と・か・で・ながら・ても (でも)・けれど (けど)・のに・ので・から・

し・たり・に

c. 終助詞:な (なあ)・だな・ (だなあ)・か・や・よ・ぞ・とも・ね (ねえ)・さ

d. 副助詞:は・まで・だけ・くらい・か・も・さえ・しか・すら・のみ・など・なんか・

なんぞ・ばかり・ほど・やら・でも・こそ

4. 第二言語としての日本語の助詞習得研究

第二言語習得研究においては, 学習者の作文や, インタビューによる口頭産出, クローズテスト

などさまざまな手段でデータが収集されてきた。 こうして収集された学習者データは各助詞別, ま

たは用法別に正用率が産出され, 報告されてきた。 また, 個別の格助詞と名詞句との結びつきなど

から習得のストラテジーを探ろうとした研究 (上村�2003) や, 認知言語学的観点から格助詞を分析し, 格助詞の習得のプロセスがプロトタイプから拡張へと進んでいることを示唆した研究もある

(森山, 2006, 2008)。 これらの研究は異なる格助詞 (たとえば, 「へ」 と 「で」) の習得難易度の違

い, 同一格助詞の中での用法の違いによる習得難易度の違いを説明するものとして興味深い研究で

ある。

習得の対象項目である助詞に関しては, 一部の研究 (八木, 1996;横林, 1995) を除き, すべて

の助詞を習得の対象にはしていない。 また, 学習者の習熟度についても, 先行研究の多くは日本語

の習熟度が初級, 中級, 中上級レベルの学習者を対象にしており, 超上級レベルの学習者を対象に

した助詞の習得研究は, 長友(1991), 坂本他(1996), 遠山(2005)など極めて少ない。

さらに, 学習者要因, たとえば, 学習開始年齢, 学習者の母語, 学習期間などを軽視し, これら

の情報が記述されていなかったり, 母語の異なる学習者のデータがまとめて処理されていたりする

研究も散見される。 しかし, 調査対象, 学習者の習熟度, 学習者の母語が異なるため, 先行研究結

果を単純に比較することは難しくても, 先行研究から見えてくるおおよその傾向を整理することは

意味があると思われる。 したがって, 以下では先行研究で扱われている助詞をその種類別に整理す

る。 ( ) 内は, 順に被験者の母語, 被験者の習熟度, データ収集方法を表している。

4.1 「は」 の習得を扱った研究

4.1.1 遠山 (2005) (タガログ語;超上級;インタビュー)

本論文では20歳で来日し, 滞日期間が16年になるタガログ語母語話者の 「は」 の習得を調査して

いる。 その結果, ①-③のことが分かった。

① 「は」 と 「無助詞」 が, 「が」 より先に習得されるとは言えない。 同じ助詞でもその用法の違い

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(たとえば, 「は」 の 「対照」 を表す用法と 「主題」 を表す用法) により, 習得が早く進む場合

とそうではない場合とがある。

② 当該学習者は, 基本的に 「が」 「は」 および 「無助詞」 を使い分けられたが, その機能を日本

語母語話者と同じように捉えているわけではなかった。 つまり, 学習者は 「は」 の機能は, 何

かを説明したり, 自分の意見や判断を述べたりするときに使用するものであり, 何かと何かを

対比させる場合にも用いられるということは認識していない。 さらに, 「無助詞」 の機能は眼

前のものを提示し, 判断や評価を述べるときに使用すると認識している。 話し手について述べ

る時にも 「私」 と無助詞で使用する。

③ 習得が進んでいた機能は主題の 「は」, 眼前のものを指す 「無助詞」 と 「決まり文句」 であっ

た。 主語を表す 「が」 は, 新しいインプットにより, 自然環境で習得が進んだが, 従属節内の

主語に 「は」 が使えないという規則や, 対照の文脈における 「は」 は自然には習得が難しい。

4.2 「は」 と 「が」 の習得を扱った研究

4.2.1 花田 (1993) (中国語・韓国語・欧米語;初・中級;クローズテスト)

在日期間 (1年未満, 1 3年, 3年以上) 別にデータを分析した結果, 分かったことは①-③で

ある。

① 韓国語母語話者は, 母語獲得の際に助詞の使い分けを意識していれば, 日本語でも, 「は」 と

「が」 を正確に区別できるようになる。 しかし, そうでない場合は, たとえ在日日期間が長く

ても 「は」 と 「が」 の区別はできない。

② 中国語母語話者と欧米語母語話者は在日期間が長くても 「は」 と 「が」 は習得できない。

③ 単に日本での日常会話の経験だけでは 「は」 と 「が」 を習得できない。

4.2.2 八木 (2000) (母語によるデータの区別なし;初級;作文)

「は」 と 「が」 がそれぞれに持つ機能の中で, 学習者がどのような機能から習得できるようにな

るかを調査した。 さらに, フォローアップインタビューで 「は」 の機能をどのようなものとして捉

えているかを尋ねている。 その結果分かったことは①-③である。

① 主格主語 (「が」 格) の主題の 「は」 のみ正しく使える。

② 「が」 は正用率の高い場合と低い場合とに分かれる。 正用率の高い場合はごく限られた表現と

共起する場合に限定されている。

③ 主格主語 (「が」 格) が主題化されると, その 「が」 は 「は」 に変わる。 学習者はその 「は」

が主格主語 (「が」 格) が主題化されたものであるということを認識している。

4.2.3 長友 (1991) (中国語・韓国語;超上級;クローズテスト(2))

川端康成の小説 『雪国』 の冒頭部分を用いて, 「が」 と 「は」 を入れるクローズテストを行った。

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談話における 「が」 と 「は」 の使用に関しては, 日本語母語話者がすべて同じ判断を下すわけでは

ない。 この事実を 「が」 と 「は」 の無標 (��������) な場合から有標 (������) な場合への移行と捉え, 日本語母語話者の判断に系統的な一定の傾向があることを見出した。 その結果①-④が分

かった。

① 日本語母語話者であっても, 『雪国』 の原文中の空所に入れた助詞について, (�) ほぼ全員が 「が」 を記入した箇所, (��) ほぼ全員が 「は」 を記入した箇所, (���) 「は」 と 「が」 で記

入が分かれた箇所があった。

② 中国人学習者の場合, どの空所に関しても, 「が」 か 「は」 のいずれか一方に集中し, 「は」 と

「が」 で記入が分かれた箇所は見られなかった。

③ 韓国人学習者の場合, 日本語母語話者と同様に, (�) ほぼ全員が 「が」 を記入した箇所, (��)ほぼ全員が 「は」 を記入した箇所, (���) 「は」 と 「が」 で記入が分かれた箇所があった。

④ ②と③の結果より, 中国語母語話者よりも韓国母語話者の方が, 日本語母語話者に近い判断を

下していることが分かった。 その理由として, 韓国語には日本語の 「は」 と 「が」 に類似し

た言語形式があり, その知識が日本語の 「は」 と 「が」 を習得する上で, 正の転移 (����������������) を起こし, その結果, 習得が進むのではないかと示唆している。4.2.4 坂本他 (1996) (英語・ドイツ語;超上級;インタビュー)

被験者は, 以下の3名 (A, B, C) であり, いずれも20歳を過ぎて来日し, 調査時までずっと

日本に住んでいる。 ( ) 内に日本での滞在年数と来日してから日本語教育を受けた期間を記す。

彼らにそれぞれ異なる場所で同じ質問をしてデータを収集した。 その結果分かったことは①-③で

ある。

A:英語母語話者 (在日21年;1か月 (個人教授))

B:英語母語話者 (在日26年;1年半 (日本語学校で))

C:ドイツ語母語話者 (在日28年;2年 (日本語学校で))

① ドイツ語母語話者2名は主題の 「は」 を使うべき文脈で 「が」 を使用している (英語母語話者

にはこのような誤りはなかった)。

② ドイツ語母語話者2名は対照の 「は」 を使うべき文脈で 「は」 を使わなかったり, 「は」 の代

わりに 「が」 を使う誤りが見られた (英語母語話者にはこのような誤りは1か所 (「最近」 →

「最近は」) 以外見られなかった)。

③ 焦点を置かなければならない 「が」 の誤りがドイツ語母語話者2名のデータにそれぞれ1個ず

つ見られた。

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4.3 「を」 「に」 「で」 の習得を扱った研究

4.3.1 森山 (2006, 2008) (韓国語・中国語;初・中・上・超上級;��コーパス)本論文では認知言語学的観点から, 格助詞ごとの意味構造分析を行っている。 格助詞の用法には

プロトタイプがあるとし, それ以外の周辺的な用法はそのプロトタイプの意味拡張により導かれる

としている。 さらに, 学習者コーパス (��コーパス) を用い, 学習者の母語, およびレベル別に格助詞の意味とその用法の正用実態を整理し, 非多次元的尺度解析を用いて学習者の格助詞の習得

プロセスを解明しようとしている。 その結果, 格助詞のプロトタイプの習得が早く, 周辺的な用法

は習得が遅い (たとえば, 場所を表す句につく 「で」 の習得は早いが, 時を表す句につく 「で」 の

習得は遅い) ということを述べている。

4.4 助詞全般の習得を扱った研究

4.4.1 八木 (1996) (母語によるデータの区別なし;初級・中級;作文)

初級と中級レベルの学習者の作文中に使用された助詞を対象に助詞別, 助詞の用法別に正用率,

正用順序を算出して比較した結果, ①-③が分かった。

① 正用率の高い (つまり, 習得が容易な) 順に示すと, 「と」 「の」 > 「は」 「に」 > 「を」 「が」

である。

② 「は」 「が」 「を」 の3つを比較した場合は, 初級レベルの学習者では, 「は」 > 「が」 > 「を」

であるのに対し, 中級レベルの学習者は 「を」 > 「は」 > 「が」 という結果であった。

③ 助詞の用法に関しては正用順序の特定化はできなかった。

4.4.2 横林 (1995) (母語によるデータの区別なし;中級・上級;ディベート)

中級・上級レベルの学習者を対象にディベート時の口頭産出データを収集し, 助詞の用法ごとに

細かく分類している。 誤りを分析した結果, ①-③が分かった。

① 「は」 / 「が」 の選択の誤りがある

( �) 「は」 を使うべき文脈で, 「が」 を使った事例数 (中級:28例中24例, 上級:4例中3例)

・中級レベルの学習者の場合, 主題の 「は」 の代わりに 「が」 を使用する誤りが全体の80%

を占めるが, 上級レベルの学習者の場合は, その誤りは60%である。

(��) 「が」 を使うべき文脈で, 「は」 を使った事例数 (中級:15例7例;上級:17例中12例)

・中級レベルの学習者の誤りは従属節内の主語に 「は」 を使用したものだけでなく, 以下の

ような総記, 対象の誤りも観察された。

それは (→が) 理由でしたね (総記) 今は私は (→が) いやになりました。 (対象)

・上級レベルの学習者の誤りのすべてが従属節内の主語に 「は」 を使用したものであった。

② 「を」 / 「が」 の選択の誤りがある (誤りの大部分が自動詞 /他動詞の選択誤りである)

( �) 「を」 を使うべき文脈で, 「が」 を使った事例数 (中級:9例中4例, 上級:6例中, 3例)

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(��) 「が」 を使うべき文脈で, 「を」 を使った事例数 (中級8例中4例, 上級:17例中3例)。

③ 「で」 / 「に」 の選択誤りがある

( �) 「で」 を使うべき文脈で, 「に」 を使った事例数 (中級:14例中14例, 上級:6例中, 6例)・「~に働く」 「~に勉強する」 といった誤りが多い。

(��) 「に」 を使うべき文脈で, 「で」 を使った事例数 (中級6例中4例, 上級5例中4例)。

・「~で住む」 という誤りが観察された。

④ 「に」 は中級, 上級ともに他の助詞と誤って使用されることが多い。

この研究から, 中級, 上級レベルのどちらの場合にも, 「に」 が過剰に使用されること, 「に」 と

「で」, 「は」 と 「が」 の区別が難しいことが分かった。 場所を表す語句に 「に」, あるいは 「で」 が

続く場合, 「に」 / 「で」 を適切に選択するのが難しいようである。 「は」 と 「が」 については, 中

級レベルでは主題を表す 「は」 の代わりに 「が」 を使用する誤りが多いのに対し, 上級レベルでは

その誤りが減少する。 しかし, 従属節内の主語に 「が」 を使うべき箇所で 「は」 を使用する誤りは

上級レベルでも残る。

4.5 先行研究のまとめ

以上の先行研究から一般化できそうな点を整理してみる。 第一に, 習得順序についてである。 遠

山 (2005) が指摘するように, 同じ助詞でもその用法により, 習得が早く進むものとそうではない

ものがありそうである。 八木 (1996) や横林 (1995) では, 主題を表す 「は」 は学習初期段階から

使用され, 自然に習得が進むことが報告されている。 また, 森山 (2006, 2008) では, 格助詞の中

でも, 特に 「に」 と 「で」 の場合にはプロトタイプの習得は早く, 周辺的な用法は習得が遅いこと

が示されている。

第二に, 習得の方法についてである。 遠山 (2005) は助詞の用法の中には 「インプットが与えら

れることにより習得が促進されるもの」 と 「インプットが与えられても習得が促進されないもの」

があると主張する。 たとえば, 主語を表す 「が」 はインプットが与えられることで自然に習得が進

むが, 従属節内の主語の 「が」 はインプットが与えられるだけでは習得は進まないことが指摘され

ている (花田, 1993;遠山, 2005)。

第三に, 母語の転移についてである。 長友 (1991) では日本語と同様に助詞を持つ韓国語と助詞

を持たない中国語をそれぞれ母語とする学習者のデータを比較している。 その結果, 韓国語母語話

者のデータが日本語母語話者のデータと類似していたことから母語の影響を示唆している。

第四に, 助詞の習得難易度から見れば, これらの先行研究からは, 「と」, 「の」, 主題を表す 「は」

は習得が容易であり, 対照の 「は」, 従属節内の主語の 「が」 や, 「に」, 「で」 が難しいことが共通

している。 また, 学習者の母語と学習言語との間に類似した助詞がある場合は習得が促進されるこ

とが分かった (花田;1993)。

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5. 調 査

以上の先行研究結果から, 日本語を��とする学習者は 「と」 「の」, 主題を表す 「は」 の習得が

容易で, 対照を表す 「は」, 従属節内の 「が」 や, 「に」, 「で」, の習得が困難であることが判明し

た。 特に, 中国語を母語とする日本語学習者には 「は」 と 「が」 の習得が困難であることが判明し

ている。 では, 日本に10年以上暮らしている本被験者��の場合はどうであろうか。 助詞の使用がやはり困難であろうか, それとも完全に使用できるようになっているのであろうか。 本調査では,

以下のリサーチ・クエスチョンを立てることにする。

(2) 20歳を過ぎてから来日し日本語の習得を開始した��は, 12年間日常的に日本語に接することにより, 日本語の助詞を適切に使用できるようになっているのだろうか。

前述したとおり, 本被験者は中国語を母語とする�� (調査時の年齢32歳;男性) である。 中国本土で生まれ育ち, 21歳で来日した。 来日後日本語の学習を始めた。 日本語学校で勉強した後, 日

本の大学に入学, 在学時には工学を専攻し, 4年で卒業した。 その後, 日本の企業に就職し, エン

ジニアとして働いている。 本インタビュー時には日本語学習を開始してから12年が経過していた。

インタビュー内容は, 来日してから現在に至るまでのことなど, 話題は多岐に及び, 約2時間のイ

ンタビューであった。 収集した発話データは文字化され, 分析された。

6. 調査結果と考察

6.1 全体的結果と考察

2時間のインタビュー時間内で, ��からは35種類の異なった助詞が発話された。 その内容は,格助詞が10種類, 接続助詞が13種類, 終助詞が4種類, 副助詞が8種類であった。 助詞全体の発話

数は1115回で, 適切に使用されていた回数は1068回 (正答率95�8%), 誤りだと思われる回数が47回 (誤答率4�2%) であった (表2参照)。 個別結果を表3に示す。 接続助詞と終助詞では誤りが全

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表3. 助詞別発話数と誤り数

格助詞 (418) 接続助詞 (157) 終助詞 (239) 副助詞 (301)

正答 (%) 誤り (%) 正答 (%) 誤り (%) 正答 (%) 誤り (%) 正答 (%) 誤り (%)

412(98.6)

6(1.4)

157(100.0)

0(0)

239(100.0)

0(0)

260(86.4)

41(13.7)

表2.��の助詞全発話数助詞の全発話数 正答数 (%) 誤り数 (%)

1115 1068 (95.8) 47 (4.2)

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く観察されず, 完璧に使用されていることがわかる。 一方で, 格助詞では6例, 副助詞では41例の

誤りが観察された。 これらの結果を総合すると, 助詞に関して, ��は 「日本語母語話者に限りな

く近いレベルにまで到達できている」 と結論づけてもよいのではないだろうか。 しかし, 一方で,

日本語母語話者ならばまずしないだろうと思われる誤りも観察された。 以下に, 個別結果を検討す

る中でこの点について考察していきたい。

6.2 個別結果と考察

6.2.1 格助詞

格助詞の結果から考察していきたい。 表4には��が発話した格助詞の種類と分析結果が載せられている。 「へ」 と 「より」 は発話されなかった。 この表からも明白なように, 概略, ��の発話からは格助詞の誤りがほとんど産出されなかった。 若干の誤りが観察された格助詞は, 「の」 (3回),

「を」 (1回), 「に」 (2回) の3つで, 合計6発話であった。 それらの誤りを(3)に載せる。

(3) ��が発話した格助詞の誤りa. �正社員は3人しかいないの (→φ) 所です。

b. �後はテレビに (→を) 見るときに���。c. �7時30分か35分くらいは (→に) うちの嫁と一緒にちょっと先に学校に送って, それで会社

に行きます。

d. �それからアルバイトと学校を (→に) 通い始めました。

e. �仕事の関係で, ちょっとなんか資格貰いたいときとか, 進学するときに, ま, そういう関係あるの (→φ) から, ちょっとあんたはだめだよというのはありましたよ。

f. �そんなんだったら, 大阪に, 大阪の (→φ) でも高い, 高そうですね。

6.2.2 接続助詞

接続助詞の分析結果を表5に載せる。 13種類の異なる接続助詞が発話され, 各助詞によってその

日本語学習者の助詞の習得調査

表4.��の格助詞の出現数・正用率・誤答率助詞 が の を に で へ から と より まで

正答数/総数(%)

73/��(�����) 129/���(����) 25/��

(����) 80/��(����) 60/��

(���) 0(0)

10/��(�����) 29/��

(�����) 0(0)

6/�(�����)

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表5. ��の接続助詞の出現数・正用率・誤答率ば と か て/で ながら ても/でも

けれど/けど

正答数/総数(%)

4/4(100.0)

31/31(100.0)

1/1(100.0)

19/19(100.0)

1/1(100.0)

8/8(100.0)

25/25(100.0)

のに ので から し たり に

正答数/総数(%)

1/1(100.0)

47/47(100.0)

13/13(100.0)

4/4(100.0)

1/1(100.0)

2/2(100.0)

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発話頻度は異なっていたが, どの助詞も100%の正用率であった。 この結果から, ��は, 少なくとも発話した接続助詞はどれも完璧に習得できていると言ってよいだろう。

6.2.3 終助詞

終助詞の分析結果を表6に載せる。 4種類の終助詞が発話されたが, 接続助詞同様, どの終助詞

も100%の正用率であった。 「な (なあ)」 の出現数は4回であったため断定はできないが, 残りの

3つの終助詞は完璧に習得されていると言ってよいであろう。

6.2.4 副助詞

副助詞の結果を表7に載せる。 8種類の副助詞の発話が観察された。 「まで」 「さえ」 「し」 は頻

度が少なかったため, 断言は控えるべきであろうが, ��は 「だけ」 「くらい」 「か」 「も」 の4種

類の副助詞を完璧に習得していると言ってよいであろう。 「は」 は正答率が約80%で, 他の助詞と

比較して正答率が低く, 35種類の助詞の中で最も正答率の低い助詞であった。 一般的に言えば, 80

%の正答率は高い数字と言ってよいだろう。 しかし, 他の助詞の正答率がどれもほぼ100%である

ため, それらに比べれば低い数字であり, 習得が不十分であると言わざるを得ない。 203文脈の内,

41文脈で誤りが観察されたが, 以下にその41回の誤用をすべて載せる。

(4) ��がした 「は」 の全誤りa. 「が」 を使うべき場所で 「は」 を使用した例 (17例)

1) �同じ敷地内で, あのボーロク工場とか, ヨンデル工場とか, 生産研究所とか, そういうのは(→が) いっぱいあるんですよ。

2) �真意は (→が) 何なのですかが分からないという時がありました。

3) �でも中国ではそんなのは (→が) ないと思う。

4) (日本で結婚したのか, 中国で結婚したのかという問いに対して)�向こう (=中国) で。 お互いの親戚は (→が) 全部向こうにいますので。

5) �自分の親戚は (→が) もともとこちらにいて, その親戚がその人に頼んでて, で, やっても

らって来たんですよ。

6) �うちの親は (→が) ちょっと挨拶しに行ったと思うんですけど, ���。

外 国 語 教 育

表6.��の終助詞の出現数・正用率・誤答率な (なあ) か ね (ねえ) よ

正答数/総数(%)

4/4(100.0)

15/15(100.0)

179/179(100.0)

41/41(100.0)

表7. ��の副助詞の出現数・正用率・誤答率まで だけ くらい か も さえ し は

正答数/総数(%)

1/1(100.0)

7/7(100.0)

13/13(100.0)

18/18(100.0)

56/56(100.0)

1/1(100.0)

2/2(100.0)

162/203(79.8)

104

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7) �知っている人は (→が), えっとね, 三重県に一人いるのは分かりましたけど, ���。8) �三重県に一人いるのは (→が) 分かりましたけど, ���。9) �正社員は (→が) 3人しかいない, のところです。

10) A:おとうさん, そう (=中国残留孤児) だったの?

B:�そうですね。 うちのおばあさんは (→が) 日本人なんですよ。

11) �その辺が交通は (→が) いいんです。

12) (近くにできた店について, いろいろなものが安く手に入るという話で)�生活���んー, 製品とかは (→が) 何でも入るんですよ。

13) �特に方言のあるところの人がしゃべるとそれは (→が) 分からないときがあります。14) �すごくおいしいのは (→が) いっぱいありますね。

15) �出席率悪いとか, 成績悪いから, 卒業は (→が/φ) できないので。

16) �だから, いろいろ, 意思疎通ができないとか, ん, というのは (→が) いっぱいありました。17) �合格したのは (→が) 分かったので, もう, やめちゃったんだよ。

b. 「を」 を使うべき場所で 「は」 を使用した例 (5例)

18) �磐田地区内で2回転勤は (→を/φ) しました。

19) �それは韓国 (→韓国人) は (→を) 見たことがないですね。

20) �そういうところで, その, あの, 復習は (→を) してきました。

21) �僕には外国人は (→を) もっと学校に入れようとしているんじゃないかなあという感じがし

ます。

22) �他の大学は (→を) 時期ずらして, で, 受けようとしたんですけど, ���。c. 「に (には)」 を使うべき場所で 「は」 を使用した例 (12例)

23) �磐田の方は (→に/には) 5人います。

24) �それで, 歯を磨いて, 顔洗って, 朝飯。 その間は (→に) テレビつけて, ���。25) �7時30分か35分くらいは (→に) うちの嫁と一緒にちょっと先に学校に送って, ���。26) �ちょっとテンジホウ (=天気予報) 見られる (=見る) くらいは (→に) 見て, ���。27) �今の生活は (→に/には) 自分は満足しています。

28) �5時半くらいは (→に/には) もう帰る, 帰った。

29) �うちはフレックス制度なんで, 残ってやってもいいんです。 あと, 次の日は (→に) 早く帰ればいいんです。

30) �それでだんだんしゃべれるようになって, ま, 一応生活程度は (→に/には) できるように

なって, ���。31) �大学を卒業するまでは (→に/には), あの, 生活程度の話できて, そんなに困らなかったん

日本語学習者の助詞の習得調査 105

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ですけど, ���。32) �高校生の時は (→に) 大学行こうとしたら, 英語ですよね。

33) �まあ, うまくないですけど, なんとなくは意味が伝える。 生活程度は (→には) できます。34) �ま, 日本語学校, そろそろ卒業するくらいのときは (→には), ま, 困らないだろうとも思っ

ていたんですけど, 実際にいろいろ困ってたんですよ。

d. 「で (では)」 を使うべき場所で 「は」 を使用した例 (4例)

35) �後は (→で) 保証人は, 特には, いるっていうのは���いるわけないんで。36) �同じ内容で, 同じ環境では (→で) やっています。

37) �やっぱりやっても向こうは (→では) 仕事, そんなに, あの, ちょっと厳しいという面が日

本ではあるんですよ。

38) �日本は (→では) ね, あの, 微分・積分が出てきているんですよ。

e. その他 (3例(3))

39) �言葉の問題は (→言葉では) 生活の問題はないです。

40) �うちの仕事は設備開発設計の (→うちの仕事は設備開発設計をする) 所なんですけど。

41) �爆笑の, なんか, いろいろあるじゃないですか。 そういうのは (→φ), 面白いの結構好き

なんですよ。

7. ま と め

中国から20歳の時に来日し, 大学に入学し, 卒業後も日本で働き続けている��の助詞の習得について, 来日から12年が経過した時期に, ��と2時間余りのインタビューをおこない, その発話データを分析した。 その結果, ��は 「は」 以外の助詞をほぼ完璧に習得していることが明らかと

なった。 なぜ 「は」 だけが習得困難な助詞なのか, この傾向は中国語母語話者得特有の現象なのか,

それとも普遍的な習得の現象なのか, 本稿に続く論文では, 中国語と日本語の話題卓越構文を比較

対照し, 中国語からの転移と言語習得過程の普遍性の問題を中心に考察したいと考えている。

本稿を査読いただいた二人の査読者に感謝申し上げたい。 いただいたコメントについては十分に反映し

きれなかったが今後の課題としたい。

(1) 「とも」 「つつ」 「ものの」 「ものを」 も接続助詞に含めることもあるが, 本稿では対象外とした。

(2) 長友 (1991) では20代~30代の日本語学習者83名を対象に調査をしている。 出身国別に示すと, 中

国・台湾 (32名), 韓国 (29名), アメリカ (5名), オーストラリア (5名), タイ (3名), イン

ドネシア (2名), イギリス (1名), オランダ (1名), シンガポール (1名), ソ連 (1名), ニュー

ジーランド (1名), フランス (1名), モンゴル (1名) である。 論文内にデータについて記載が

外 国 語 教 育106

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あるのは中国語母語話者と, 韓国語母語話者の場合である。

(3) (39)と(40)は野田 (1996) の破格構文の部類に入る構文である。

参 考 文 献�������������(����) ��������������������������������������������������������������������������������������������������������(����) �������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������(����) ��������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������(����) ���������������������������������������������������������������������(����) ��������������������������������������������������������������������������������

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日本語学習者の助詞の習得調査 107