ジャズ・メン 死 の 逸 話

ビル・エヴァンス が 死ぬ直前の演奏 を収めたレコードのタイトルは 「Consecration」＊1

編集・作成 ： 002 花房 勤2020.07.30

＊1 「Consecration（コンセクレーション）」は、神聖化、（神、目的に）自分を捧げるの意味。

ま えが き優れたジャズメンは、新しさを追い続けることの辛さや肌の

色からなる差別に苦しみ、酒やクスリに救いを求め、その魔力

と闘いながらモダンジャズの全盛時からモード、フュージョンと移行する過程で、（交通事故などの不運もあるが）多くの者が亡くなっている。

モダンジャズ界 の 主な ジャズ・メンの 死亡にまつわる

エピソードと併せて、彼らの代表曲を聴いてみます。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

http://si-jazzblog.seesaa.net/article/184887366.html より抜粋

ジャズの歴史と変遷1920年代 Original Dixieland Jazz Band

ルイ・アームストロング（サッチモ）ディキシーランド・ジャズ（ニューオーリンズ・ジャズ）

1930年代 ビッグバンド・ジャズスウィング・ジャズ 全盛期

デューク・エリントンベニー・グッドマン

1940年代 ビーバップ第２次世界大戦の影響で不景気な時代ビッグバンド・ジャズの衰退即興演奏（アドリブ）の出現

チャーリー・パーカーディジー・ガレスビー

ハードバップアート・ブレイキージョン・コルトレーンソニー・ロリンズオスカー・ピーターソン

マイルス・デービスビル・エヴァンス

モード・ジャズ（含む新主流派）

1950年代

マイルス・デービスハービー・ハンコック

1960年代

モダンジャズ

フュージョン（融合）1970年中頃

クールジャズ

ウェザー・リポートリターン・トゥ・フォーエヴァー

＊第63回第2部阪口氏の資料より

主なジャズメンの誕生と死亡した年生誕年 1950 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80

1920 ★チャーリー・パーカー（35）

1923 　★ファッツ・ナバロ（26）

1923 ★ウェス・モンゴメリー（43）

1926 ★ジョン・コルトレーン（40）

1928 ★キャノンボール・アダレイ（46）

1929 ★ビル・エヴァンス（51）

1930 ★クリフォード・ブラウン（25）

1931 ★ソニー・クラーク（31）

1935 ★ポール・チェンバース（33）

1935 ★ボビー・ティモンズ（38）

1936 ★スコット・ラファロ（25）

1938 ★リー・モーガン（33）

＊ （ ）内数字は死亡時の年齢を示す。

生年月日とか年齢には関係なく、

死亡年月日の古い順に

紹介していきます。

ファッツ・ナバロ “ FATS " NAVARRO

ジャズ即興のビーバップスタイルのパイオニアで、C・ブラウン他に影響を与えた

1923年9月24日 – 1950年7月7日 26歳

麻薬中毒と結核で死亡

2002年9月、友人や家族は、それまで番号414の無印のファッツ・ナバロの墓にヘッドストーンを捧げた。その日各種のイベントが行われた夜、マンハッタンのジャズスタンダードでナバロのソングブックを称えるために14人のトランペット奏者がピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションで演奏した。

Fats Navarro-Nostalgia 2：46

https://youtu.be/8fY5oRxwCoM?t=46

チャーリー・パーカー CHARLIE PARKER

モダンジャズ根幹を創成したアルト・サックス奏者

1920年8月29日 - 1955年3月12日 35歳

麻薬、アルコールの多量摂取精神病院への入退院を繰り返し、心不全で死亡

彼の生涯は、1988年製作のクリント・イーストウッド監督映画 『バード』 で描かれている。

Charlie Parker-The Bird 4：46

https://youtu.be/KYQCwoas3rk?t=119

クリフォード・ブラウン CLIFFORD BROWN

ハード・バップ期初期に短期間ながら優れた演奏を残し、ジャズの歴史にその名を刻んだ

1930年10月30日 - 1956年6月26日 25歳

自動車事故で死亡

彼は、ジャズ界に蔓延していた酒やドラッグには一切手を付けず、品行方正で誠実な人柄であったといわれている。自動車事故の巻き添えにより25歳で急逝。

Clifford Brown - I'll remember april 9：42

https://youtu.be/XSbaJxLGV7o?t=77

スコット・ラファロ SCOTT LAFARO

革新的なアプローチはジャズベースの演奏を再定義し、同世代・後進に影響を与えた

1936年4月3日 - 1961年7月6日 25歳

自動車事故で死亡

1961年6月25日、ビル・エヴァンス・トリオの一員として行ったライブは、後に『Sunday At The Village Vanguard』『ワルツ・フォー・デビイ』の2枚のアルバムとして発表。その後、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでスタン・ゲッツと共演、その2日後に交通事故に遭い、死去。彼の突然の死は、ビル・エヴァンスの麻薬依存度を高めることになった。

Scott LaFaro with the Bill Evans Trio at the Village Vanguard - My Man‘s Gone Now 6：25

https://youtu.be/HCNQRdh5ZNs?t=169

ソニー・クラーク SONNY CLARK

“哀感に満ちた陰翳の美” “後ろ髪をひかれる”ような演奏スタイル

1931年7月21日-1963年1月13日 31歳

ヘロインの過剰摂取による心臓発作で死亡

代表作『クール・ストラッティン』（1958年）は、とりわけ日本で人気が高く、ジャズ喫茶で頻繁に流された。本国アメリカではヒットに結びつかなかったので、ブルーノートの創設者アルフレッド・ライオンは、日本から本作の注文が殺到したことを不思議に思ったという。

Cool Struttin’ 9：23

https://youtu.be/Jmn7Ai-habM?t=72

ジョン・コルトレーン JOHN COLTRANE

ハードバップからフリージャズ時代にわたって大きな足跡を残した巨人の一人

1926年9月23日 - 1967年7月17日 40歳

麻薬、アルコールの多量摂取 肝臓癌 で死亡

コルトレーンはヘロイン依存歴のある黒人男性という、ウイルス性肝炎および肝臓癌のハイ・リスク・グループに属していた。

John Coltrane A Love Supreme 32：47

https://youtu.be/mm2gHIId_7Y?t=84

1967年5月7日、ボルチモアにて最後のコンサート

ウェス・モンゴメリー WES MONTGOMERY

オクターブ奏法で一世を風靡したジャズ・ギタリスト

1923年3月6日 - 1968年6月15日 43歳

心臓麻痺で死亡

チャーリー・クリスチャンによって初めてエレキ・ギターでの単音弾きのソロがジャズに持ち込まれたわけだが、ウェスはそのスタイルを大幅に進化・成熟させて、ジャズ・ギターの礎を築き上げた。

Airegin 4：28

https://youtu.be/q72GV9cwkr8?t=66

ポール・チェンバース PAUL CHAMBERS

ロン・カーターと並んでサイドマンとしての活躍。4ビートのベースラインの評価も高い

1935年4月22日 - 1969年1月4日 33歳

クスリとアルコール 肺結核で死亡

サイドマンとして数々の共演をこなしているが、マイルス・デイヴィスに始まるモード・ムーヴメントやオーネット・コールマンやジョン・コルトレーンのフリー・ジャズにはあまり興味を示さず、モダン・ジャズの本流とも言うべきオーソドックスなスタイルを生涯変えなかった。

I Got Rhythm - Paul Chambers Quintet 6：07

https://youtu.be/39RH96ddhJ4?t=88

リー・モーガン LEE MORGAN

艶やかで伸びのある輝かしい演奏スタイルから天才トランペッター；C・ブラウンの再来

1938年7月10日 - 1972年2月19日 33歳

愛人による射殺

ニューヨークにあったジャズクラブ「スラッグス」でライブ演奏をしていたが、その2ステージ目と3ステージ目の合間の休憩時間に、年上の愛人（内縁の妻）ヘレン・モア (Helen More) に拳銃で撃たれ、ただちに病院に移送されたが、ほぼ即死状態だった。

The Sidewinder 10：23

https://youtu.be/vUqqHAxRdjs?t=40I Remember Clifford 7：09

https://youtu.be/wB4xWjgbGwY?t=61

ボビー・ティモンズ BOBBY TIMMONS

メリハリの効いた強い打鍵とブロック・コード奏法が特色。 かのモーニンの作曲家。

1935年12月19日 - 1974年3月1日 38歳

肝硬変で死亡

作曲家としては、ブレイキーに提供したモーニン（Moanin’）が有名。彼の演奏は、メリハリの効いた強い打鍵とブロック・コード奏法が特色であり、特にファンキー色の強い曲において持ち味を発揮した。自身のトリオを率いてもいるが、多くのプレイヤーの録音において伴奏者として活躍している。

Bobby Timmons Trio - The Sit in 4：20

https://youtu.be/XN-7C0zfMwo?t=47

キャノンボール・アダレイ "CANNONBALL" ADDERLEY

あだ名の『キャノンボール』の由来は、キャンニバル（cannibal:大食漢）に由来する

1928年9月15日 - 1975年8月8日 46歳

大食癖に起因する糖尿病、脳梗塞で死亡

ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズの立役者の一人としても知られる。リズム感とフィンガリングテクニックを駆使した奇抜なフレージングが持ち味である。C・パーカーを別格とすると、キャノンボールがアルト奏者の最高峰であるといわれている。

Cannonball Adderley Quintet “Work Song” 8：12

https://youtu.be/MmwsQ_dHrFM?t=80

ビル・エヴァンス BILL EVANS

創意に富んだアレンジと優美なピアノ・タッチ、いち早く取り入れたインター・プレイ

1929年8月16日 - 1980年9月15日 51歳

肝硬変並びに出血性潰瘍による失血性ショック死

麻薬常習者。黒人ミュージシャンとの信頼関係を築こうとして、クスリに手を出し、「歴史上一番時間をかけた自殺」と言われた。薬やアルコールに手を出したのは、ベーシスト；ポール・モチアンの事故死にも一因があるのではといわれている。

You and the Night and the Music 6：02

https://youtu.be/nEvglGcTbqA?t=85

Consecration 1

補 足

アート・ペッパー（56）、チェット・ベイカー（58）、スタン・ゲッツ（63）らも麻薬常習が一次原因となり闘病生活の後に脳溢血や転落や肝臓がんで亡くなっている。「モダン・ジャズの帝王」と呼ばれるマイルス・デイヴィスは、一時期に麻薬をやったこともあった。しかし、常習犯にはならずフュージョン期までも精力的に活動していたが、晩年体調悪化し肺炎のため65歳で死亡。

一方で長寿組は、ベニー・カーター（９５）、ライオネル・ハンプトン（94）、ジミー・メリット（９３）、デイブ・ブルーベック（９１）、ハンク・ジョーンズ（91）、ジョージ・シェアリング（91）、マックス・ローチ（83）、オスカー・ピーターソン（82）、アート・ブレイキー（71）といったところである。また、今年世界的パンデミックとなった新型コロナウィルスの感染により肺炎を起こしたリー・コニッツが９４歳で亡くなった。

モダンジャズ全盛期の前後に

活躍していた不審死のプレイヤー

ワーデル・グレイ WARDELL GRAY

スイングからビバップへ進化していく時期に活躍

1921年2月13日～1955年5月25日 34歳

撲殺で死亡

最期のラスベガスの郊外の砂漠で変死体で発見された。もっと長生きしていたら、皆が知るところの有名ミュージシャンになっていた。素晴らしいミュージシャンが謎の死で後世まで暗いイメージがつきまとい、実に不幸なテナーサックス奏者。

Wardell Gray - PENNIES FROM HEAVEN 7：41

https://youtu.be/cEC_AIHmysY?t=67

アルバート・アイラー ALBERT AYLER

ジャズとフュージョンのエレクトリックベース・プレーヤー及び作編曲家

1936年7月13日 - 1970年11月25日 34歳

溺死体となってハドソン川で発見；自殺

1970年11月5日、姿を消した後、11月25日にニューヨーク市のイースト・リヴァーで死体が見つかった（自殺と推定）。その後しばらくしてから殺されたのだという噂が広まった。同棲中の彼女；バークスから、「自殺の兆候を見せる行動の後、自由の女神像のフェリーに乗って、船がリバティ・アイランドに近づいたところで川に飛び込んだのだ」とはっきりと証言された。

Music Is The Healing Force Of The Universe 8：37

https://youtu.be/hjJKqctYgmA?t=35

ジャコ・パストリア JACO PASTORIUS

ジャズとフュージョンのエレクトリックベース・プレーヤー及び作編曲家

1951年12月1日 - 1987年9月21日 35歳

暴行による頭部を強打、脳挫傷で死亡

1987年9月11日、サンタナのライブに無許可で飛び入りしようとしたところ、警備員に取り押さえられ、会場から追い出されてしまった。翌日未明、「ミッドナイト・ボトルクラブ」という店に泥酔状態で入ろうとしたところ、空手技能を持ち合わせたガードマンと乱闘になる。乱闘の際、コンクリートに頭部を強打、脳挫傷による意識不明の重体 に陥って植物人間状態になり延命治療中止で永眠。

Jaco Pastorius-“The Chicken” 6：16

https://youtu.be/TgntkGc5iBo?t=33

THE END