会会議報告議報告 - jasnaoe.or.jp · — 38 — 会会議報告議報告 World NAOE Forum...

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38 議報告 会議報告 World NAOE Forum 2012 開催報告 世界船舶海洋工学フォーラム実行委員会 この World NAOE Forum は,昨年の関西支部主 導で行われた First World NAOE Forum (開催テー マ「船舶の省エネルギー・環境負荷低減」)を継承 し,第 2 回目となる今年は西部支部により実施し, 2012 10 29 日にホテル・オークラ・福岡にお いて開催した。 4 月に実行委員会(西部支部 13 名,東部支部 4 名,関西支部 2 名,計 19 名)が組織され審議を重ね, 開催テーマは最近,注目され話題性の高いテーマで ある「LNG 燃料船(All Aspects of LNG Fuel for Ships)」とした。 開催テーマが新しい内容であることや主機に関わ ることでもあり,フォーラムの開催に際して造船所 や大学側メンバーも事前の勉強も必要と考え,各事 業所より若手技術者に呼びかけを行い,事前勉強会 19 事業所,2 大学)を発足し,田中圭氏(ダイハ ツディーゼル)を座長として LNG 燃料船に関わる 知識の吸収に務めた。事前勉強会は福岡において 2 回開催した。座長の熱心な講義と共に宿題も課され 勉強会参加者一同は知識の吸収に努力した。 開催日当日について記す。参加者総数は 208 名, そのうち外国人は,海外招聘講師 4 名,韓国,台湾, ノルウェーから一般参加 9 名,および国内留学生 を加えて計 16 名であった。フォーラム参加者が全 会場を埋め尽くし大盛況であった。 フォーラムの冒頭では,IMO の大気汚染・エネ ルギー効率化ワーキンググループの議長である吉田 公一氏により「IMO におけるエネルギー効率及び LNG 燃料船に関する動向」と題する基調講演が行 われた。炭酸ガス削減への取り組みの必要性,ガス 燃料船への期待が述べられ,船を取り巻く環境問題 解決が今後の海事産業の発展に重要であるとの指摘 がなされた。それに続く 3 つのセッションでは,3 件の講演に引き続いて,座長の進行の下,講演者と 聴講者による熱心な討議が行われた。 各セッション・テーマと座長及び講演者は,以下 の通りである。 テーマ 1Gas Fueled Machinery System 座長:田山経二郎氏(日本内燃機関連合会) 講演者:Lars Bryndum 氏(MAN Diesel & Turbo ), Geir Bjorkeli Rolls Royce Marine), 岡勝氏(三菱重工業) テーマ 2LNG Fueled Ship Design 座長:成沢平氏(日本海事協会) 講演者:Kwan-Won Sohn 氏(DSME),川合崇 氏(IHI-MU),志道敏雄氏(川崎重工業) テーマ 3LNG Fuel Supply 座長:高崎講二先生(九州大学) フォーラム参加者 講演会の様子

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    会議報告会議報告

    World NAOE Forum 2012 開催報告

    世界船舶海洋工学フォーラム実行委員会

    この World NAOE Forum は,昨年の関西支部主導で行われた First World NAOE Forum(開催テーマ「船舶の省エネルギー・環境負荷低減」)を継承し,第 2 回目となる今年は西部支部により実施し,2012 年 10 月 29 日にホテル・オークラ・福岡において開催した。

    4 月に実行委員会(西部支部 13 名,東部支部 4名,関西支部 2 名,計 19 名)が組織され審議を重ね,開催テーマは最近,注目され話題性の高いテーマである「LNG 燃料船(All Aspects of LNG Fuel for Ships)」とした。

    開催テーマが新しい内容であることや主機に関わることでもあり,フォーラムの開催に際して造船所や大学側メンバーも事前の勉強も必要と考え,各事業所より若手技術者に呼びかけを行い,事前勉強会

    (19 事業所,2 大学)を発足し,田中圭氏(ダイハツディーゼル)を座長として LNG 燃料船に関わる知識の吸収に務めた。事前勉強会は福岡において 2回開催した。座長の熱心な講義と共に宿題も課され勉強会参加者一同は知識の吸収に努力した。

    開催日当日について記す。参加者総数は 208 名,そのうち外国人は,海外招聘講師 4 名,韓国,台湾,ノルウェーから一般参加 9 名,および国内留学生を加えて計 16 名であった。フォーラム参加者が全会場を埋め尽くし大盛況であった。

    フォーラムの冒頭では,IMO の大気汚染・エネルギー効率化ワーキンググループの議長である吉田公一氏により「IMO におけるエネルギー効率及びLNG 燃料船に関する動向」と題する基調講演が行われた。炭酸ガス削減への取り組みの必要性,ガス

    燃料船への期待が述べられ,船を取り巻く環境問題解決が今後の海事産業の発展に重要であるとの指摘がなされた。それに続く 3 つのセッションでは,3件の講演に引き続いて,座長の進行の下,講演者と聴講者による熱心な討議が行われた。

    各セッション・テーマと座長及び講演者は,以下の通りである。テーマ 1)Gas Fueled Machinery System

    座長:田山経二郎氏(日本内燃機関連合会)講演者: Lars Bryndum 氏(MAN Diesel & Turbo),

    Geir Bjorkeli 氏 (Rolls Royce Marine),岡勝氏(三菱重工業)

    テーマ 2)LNG Fueled Ship Design 座長:成沢平氏(日本海事協会)講演者: Kwan-Won Sohn 氏(DSME),川合崇

    氏(IHI-MU),志道敏雄氏(川崎重工業)テーマ 3)LNG Fuel Supply

    座長:高崎講二先生(九州大学)

    フォーラム参加者

    講演会の様子

  • WorldNAOEForum2012開催報告

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    講演者: Lars Petter Blikom 氏(Det Norske Veritas),森肇氏(住友商事),池田真吾氏(川崎汽船)

    「Gas Fueled Machinery System」では,推進機関として 4 ストローク機関の就航実績,また,大出力機関に用いられる大型 2 ストローク機関の開発の現状が紹介された。また,2 ストローク機関向けの高圧ガス供給システムや,その他の構成機器の開発の現状が紹介された。これに対して,デュアルエンジンとガス専焼エンジンの得失,NOX 第三次規制への対応,機器の信頼性等の討議が行われた。「LNG Fueled Ship Design」では,ガス燃料船

    に対する造船所側の取り組みとして,大型タンカー,コンテナ船,内航 LNG バンカー船の試設計事例が紹介され,また,LNG タンクの配置検討事例,機器選定事例,IGF コード等についても紹介された。LNG タンクの最適配置,船の経済性等の討議が行われた。

    「LNG Fuel Supply」では,天然ガス・LNG 需給見通し,ガス燃料船実用化の課題,ガス燃料船の経済性等が紹介された。規則・標準の策定の進み方,シェールガスの影響,低硫黄燃料油規制対応技術等の討議が行われた。

    各セッション・テーマの座長による軽妙な進行から LNG 燃料船にまつわる最新の話題が理解し易いように紹介されテーマでの論点も明確化された。これに伴い,フロアからも数多くの質問やコメントが寄せられ会場での討議は大いに盛んであった。

    ポスターセッションも昨年と同様に実施し,国内の大学より 9 件のポスターの応募があった。フォーラムでの 3 分間の発表が行われたが,英語での発表と言うことも有り,発表者は皆,緊張した面持ちで臨んでいるようであったが,十分に良く錬られたパワーポイント資料も準備され,また流暢な英語でのプレゼンテーションがなされ実行委員一同感心するところであった。その後は会場外のロビーに展示されたポスターを前にして発表と質疑応答が行われ

    た。発表者は皆よく各種の質問に対応ができていたと思う。数葉のパワーポイント資料と 1 枚のポスターにテーマの要旨が良く凝縮され論点を明確にする練習は実社会でも必要な技能だと思った。フォーラム参加者からの投票により 3 件の秀逸なポスターが選出され,Banquet にて表彰盾と副賞が授与された。最優秀賞および優秀賞の受賞者とテーマ名は次の通りである。最優秀賞:東 翔太君(広島大学)Elastic Floating Unit with Flexible Piezoelectric Device for Wave Energy Harvesting優秀賞 2 位:井畑里和君(大阪府立大学)Added Resistance acting on a New Large Non-Ballast Ship Due to Waves優秀賞 3 位:郭 鵬飛君(九州大学)Development of Navigation Support System for Safe and Green Navigation of Merchant Ships

    今回の開催に際して感じたことを述べると,近年の新興国の発展と共にグローバル化は一段と進んでいると考える。これに対して日本の海外との交流やコミュニケーションは十分な状況ではなく,まだまだ不足していると考える。今後の日本の将来を鑑み,日本のプレゼンスを維持し発展させて行くには,海外との交流は益々重要性を増すものと考える。この交流の促進には国際フォーラムの主催は重要なものになると考える。

    なお,本フォーラムは日本海事協会(ClassNK)よりフォーラム開催および Banquet,予稿集の発行に至るまで,全面的なご支援をいただき実施致しました。また ABS, Bureau Veritas, Det Norske Veritas, Germanisher Lloyd, Lloyd Resiter Group Ltd. の各船級協会からもご支援をいただきました。国土交通省および Trade & Technology Office The Royal Norwegian Embassy にもご後援頂きました。ここに,関係各位に深く感謝の意を表します。

    実行委員長:篠田岳思(九州大学)

    モデレータ・講演者を交えた討議 ポスターコンテスト受賞式