日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月...

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日本貿易保険 年次報告書 ANNUAL REPORT 2019

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日本貿易保険 年次報告書ANNUAL REPORT

2019

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企業理念

● 事業環境の変化を機敏に捉え、お客様の多様なニーズに高い  専門性をもって応えます。

● 的確な引受判断と適切なリスク管理により、質量ともに引受  の拡大に努めます。

● 多様性を尊重し、お互い協力し合うことで組織の力を最大化  します。

行動指針

私たちは、貿易保険事業を担う公的機関として、お客様に安心を提供することにより、我が国企業の対外取引の健全な発展に貢献し続けます。

Annual Report FY2019 3

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2020年7月

 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI) に対する皆さまの多大なる御愛顧と御支援に、心より御礼を申し上げます。

 2019年の世界経済は、米中貿易摩擦や油価下落を背景に縮小傾向にあったところ、2020年に入ってから 新型コロナウイルスが蔓延し、今後の世界経済はより一層不確実性が高まっております。こうした中、昨年度の NEXIの引受実績は、我が国の輸出や直接投資の減少もあり、設立以来、初めて6兆円を切る結果となりました。

 NEXIが株式会社として設立され3年目を迎えた2019年度、経済社会の不透明性が高まる現下の状況においてこそ、日本企業に対して貿易保険を通じより一層の安心を提供できるよう、「貿易保険利用者の拡大」「貿易保険制度の改革」「国際連携の強化」の3つを目標に掲げて、事業展開を図ってまいりました。

 「貿易保険利用者の拡大」に関しては、貿易保険の認知度を上げるべく、トップセールスの実施や各種関係 機関との連携を強化しています。また新たに、海外投資保険の国内における再保険引受が可能となり、より多くのお客様に海外投資保険を利用いただけるような環境づくりに努めました。

 「貿易保険制度の改革」に関しては、環境保全・気候変動分野にかかるプロジェクト支援のため通常の融資 保険に比べ高い付保率を適用する「環境イノベーション保険」の創設や、世界のインフラ投資需要に対し、 新たな資金の出し手を呼び込むため、ファンド・ボンドスキームを構築すべく国内、外資系を含む13の金融 機関と業務協力の覚書を締結しました。

 「国際連携の強化」に関しては、アフリカ地域での支援やネットワークを強化するため、第7回アフリカ開発 会議(TICAD7)において、3つの国際機関と協力覚書を締結したほか、初めてサイドイベントを開催しました。また日本企業の第三国における事業展開を支援するため、米国、タイを始め各国の政府機関や輸出信用機関との協力覚書を締結し、具体的案件を形成しました。

 さらに年度末には、世界的な新型コロナウイルスの蔓延に対して、投資保険においてサプライチェーン リスクをカバーすることや、海外日系子会社への運転資金の調達支援、医療関連物資に対する前払輸入保険の 引受基準緩和などを新たに打ち出し、この未曾有の経済危機時において、お客様が少しでも安心して海外 取引ができるよう支援を強化しています。

 「アフターコロナ」の世界では、グローバルサプライチェーンも変容するとも言われていますが、国内市場 が限られた我が国にとって、グローバル化は引き続き不可避であると考えております。NEXIはこれからも、多様化するグローバルなビジネスニーズに即した、質の高い貿易保険を提供してまいります。

 今年、貿易保険制度は創設70周年を迎えます。我が国企業の海外展開の歴史とともに歩んできた先人の歩みに思いを致しつつ、NEXIの役職員一同は、引き続き「お客様ファースト」を掲げ、これからも貿易保険 事業を担う公的機関として、より多くのお客様に安心を提供することにより、我が国企業の対外取引の健全 な発展に貢献し続けます。今後とも、皆様の益々の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。

株式会社 日本貿易保険

代表取締役社長 黒田 篤郎

巻頭のご挨拶Message

Annual Report FY20194

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Contents

本報告書の計数について

計数は、単位未満を原則として四捨五入しています。

したがって、各計数の和は内数の合計に一致しないことがあります。

また、単位に満たない場合は「0」で、該当数字のない場合は「-」で示しています。

貿易保険事業にかかる計数は、別途記載のない限りは、原則として決算ベースとなっています。

企業理念及び行動指針 ──────────────────── 2

代表取締役挨拶 ──────────────────────── 4

巻頭企画 ──────────────────────────── 6

貿易保険70周年NEXI発足以降の主な危機対応

NEXIの業務実績業務概況 ─────────────────────────── 10

業務実績 ─────────────────────────── 16

TOPICS ─────────────────────────── 20

NEXIの活動主な活動 ─────────────────────────── 22

海外の関連組織との協力 ─────────────────── 30

主な引受プロジェクト ──────────────────── 32

主な引受プロジェクト(中堅・中小企業の海外展開支援) ───── 38

保険商品貿易保険制度の仕組み ──────────────────── 46

保険商品 ─────────────────────────── 47

貿易保険手続の流れ ───────────────────── 54

TOPICS ─────────────────────────── 58

NEXI概要・組織運営法人概要 ─────────────────────────── 60

経営計画 ─────────────────────────── 62

業務運営・管理体制 ───────────────────── 64

組織図 ──────────────────────────── 66

所在地 ──────────────────────────── 67

TOPICS ─────────────────────────── 68

2019年度決算報告2019年度決算について ─────────────────── 70

財務諸表等 ────────────────────────── 71

Annual Report FY2019 5

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今日の貿易保険事業は1950年に輸出信用保険法が制定されたことに始まり、2020年には事業開始から70周年を迎えます。戦後復興期から今日までの貿易保険の歴史を簡単にご紹介します。

国際社会における主なイベント

輸出信用保険法制定通商産業省に輸出保険課設置

1950年

朝鮮戦争1950年

スエズ危機1956年

ベトナム戦争1965年

日中国交正常化1972年

中南米累積債務危機1982年

プラザ合意1985年

第一次石油危機1973年

ASEAN設立1967年

イラン・イラク戦争1980年

冷戦終結1989年

湾岸戦争1991年

1997年アジア通貨危機

戦後復興期における輸出振興政策としての輸出保険制度の創設戦後復興期において、外貨獲得手段として輸出振興を図るため、1950年に輸出信用保険法が制定され、非常危険による船積不能や代金回収不能をてん補する貿易保険制度が開始されました。当初、保険商品やてん補範囲は限定的でしたが、輸出量の増加や取引形態の多様化にあわせ、信用危険や増加費用のてん補など制度も拡充されていきました。包括保険制度の導入などにより、保険利用者数も順調に増え、輸出振興に大いに寄与しました。

一方で、60年代にはインドネシアをはじめ発展途上国での外貨送金規制を理由とした非常事故が頻発し、大型の保険事故が発生しました。

なお輸出保険制度は、通商産業省の内部部局である輸出保険課において業務を開始しましたが、当初より収支相償・独立採算を原則に、特別会計として運営されていました。

1950~1960年代

海外投資の自由化が段階的に進む中、1970年に海外投資保険が創設されました。また大型プラント輸出に対する信用供与の形態が、長期延払いから輸入者への貸付へと変化していったのに伴い、バイヤーズクレジット保険も導入されました。

このほかにも我が国貿易構造の高度化に伴い、1990年代には輸入促進の要請に応じて前払輸入保険の創設、また、日本の国益に沿う案件支援のための海外事業資金貸付保険の開始など、現在の輸出(入)、投資、融資の3本柱からなる保険制度が整備されました。

また我が国は、国際貿易における地位向上に伴い、国際的な貿易保険機関の集まりであるベルン・ユニオンや、過度な輸出競争を回避するための国際協調枠組みであるOECD輸出信用アレンジメントに、要請を受けて参加しました。海外保険機関との再保険制度も徐々に整備し、国際協調の枠組みを強化していきました。

一方、イラン・イラク戦争による中東情勢の悪化などに伴い、1980年代から1990年代にかけて、大口の保険金支払が相次ぎました。1990年代後半にはアジア通貨危機が発生し、民間保険会社が引受を制限する中、公的機関として引受を継続するなど、ラストリゾートとしての役割を果たしました。

貿易構造の高度化と国際協調枠組みへの対応、大口保険金の支払

1970~1990年代

輸出保険法は貿易保険法に改称

1987年

Annual Report FY20196

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株式会社日本貿易保険(NEXI)

へ移行

2017年NEXI企業理念・行動指針の制定

2019年

中国における反日暴動の多発2005年

金融危機・リーマンショック2008年

欧州債務危機2009年

東日本大震災2011年

新型コロナウイルス蔓延2020年

イラク戦争、SARS蔓延2003年

世界同時多発テロ2001年

これまで国が直接実施していた貿易保険事業について、政策企画部門と事業実施部門を分離して、国の事業の効率化、サービスの質の向上、透明性の向上を図るとともに、職員の専門性を涵養する観点から、国の事業実施部門を分離する形で、2001年4月に独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が設立され、同時に政府においては、貿易再保険特別会計による政府再保険制度が創設されました。事業運営の機動性が高まった結果、グローバリゼーションが進む中で加速する日本企業の海外展開や、三国間の取引の増加など、対外取引における貿易保険のニーズの変化に迅速に対応できる体制となりました。

貿易保険の引受案件としては、インフラシステムの海外展開や資源開発案件など、長期かつ巨額の案件が増加し、複雑で高度なリスク審査を要する案件が増え、NEXIはより一層の機動性、高度な専門性及び経営判断が求められる一方、保険引受に関する国の政策判断の一層の反映と国によるNEXIのガバナンス強化も課題となっていきました。

そこで2017年4月、国との一体性を高めつつ、経営の自由度、効率性、機動性を向上させるため、NEXIは独立行政法人から全額政府出資の特殊会社へ移行し、あわせて貿易再保険特別会計による政府再保険制度が廃止されました。NEXIは株式会社として新たなスタートを切り、取締役会、監査役会、評価委員会を設置するなどガバナンスの強化が図られました。

NEXIはこれからも、適切なリスク管理を行い、お客様の多様なニーズに沿いながら、インフラシステムの海外展開、我が国の資源エネルギーの安定供給の確保、中堅・中小企業の海外展開支援といった日本政府の政策に則り、貿易保険事業を担う我が国唯一の公的機関として、お客様に安心を提供することにより、我が国企業の対外取引の健全な発展に貢献し続けます。

日本貿易保険(NEXI)の創設と日本企業の海外展開支援

2000年以降

独立行政法人として日本貿易保険(NEXI)

の設立

2001年

Annual Report FY2019 7

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2008

2011

2020

NEXI発足以降の主な危機対応

金融危機(リーマンショック)●海外で事業を行う日系子会社の資金調達ニーズをサポートするため、海外事業資金貸付保険の付保対象を、海外子会社に対する「1年以上の運転資金」へ拡大。危機対応として約1兆円規模の引受を行いました。

●危機発生下にあって、各国輸出信用機関との協力ができるよう、貿易保険ネットワークを拡充し、再保険・協調保険ネットワークを強化しました。

東日本大震災●放射能に汚染されているとの風評被害を受けて、貨物の仕向国や事業国において輸入の制限、禁止等が行われたことにより、輸出者に損失が生じた場合を保険のてん補対象としました。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大への対応●2020年の初めから新型コロナウイルスの世界的蔓延が始まり、多くの犠牲者を出すのみならず、世界の経済・貿易・投資にも甚大な被害を与えています。

●今回の危機にあたり、NEXIは以下の6つの基本方針のもと、我が国企業のコロナ危機による損失のカバー、貿易投資への支援を全力で行っています。▶輸出保険、投資保険、融資保険ともに、新型コロナウイルス感染症拡大による損失についても、保険金のお支払い対象であることを明確にしました。

▶投資保険において、新たに国境を越えたサプライチェーンリスクもカバーすることを決定しました。すなわち、投資先とは別の国にある部品調達先や販売先が新型コロナウイルスの影響を受け、投資先が1か月以上の事業休止した場合もその損失をカバーします。

▶新規の輸出・投資案件、既投資案件についても引受可能です。すなわち、輸出や投資先で既に新型コロナウイルスが感染拡大していても、保険加入は可能です。

▶海外子会社から第三国への輸出・投資リスクも、各国輸出信用機関(ECA)との再保険によりカバーします。

▶海外で事業を行う日系子会社の資金ニーズに応えるため、融資保険を活用した運転資金調達を支援しています。引受総枠は1.5兆円です。

▶日本政府の要請に基づく医療関連物資の輸入について、前払輸入保険の引受基準を緩和しました。

2020年6月現在

NEXIは、貿易保険事業を担う公的機関として、お客様に安心を提供することにより、我が国企業の対外取引の健全な発展に貢献し続けることを目的としています。

NEXI発足以来、これまでも世界中で様々な危機が発生してきました。NEXIでは、経済・社会状況を踏まえ、危機発生時でも我が国企業の円滑な対外取引が継続されるよう、様々な取組みを行ってきました。

Annual Report FY20198

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NEXIの業務実績業務概況 10

業務実績 16

TOPICS 20

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3,000

2,000

1,000

0

-1,000

-2,000

-3,000

-4,000

-5,000

-6,000

-7,000(億円)

年 度

回収金等収入

支払保険金

期末借入残高

支払保険金ピーク3,419億円

借入金ピーク6,886億円

借入金残高0円

’85

468

389

1,643

740

’86

334

536

1,690

1,641

’87

304

349

1,095

2,195

’88

213

400

1,648

2,848

’89

342

693

1,427

2,941

’90

448

387

1,986

3,698

’91

357

407

3,419

6,378

’92

447

1,112

1,482

6,886

’93

462

773

1,280

6,744

’94

441

852

806

6,224

’95

435

983

571

5,360

’96

410

1,212

444

4,041

’97

460

1,230

302

2,518

’98

454

913

167

1,278

’99

332

846

216

0

’00

329

853

324

0

’01

373

745

499

0

’02

313

702

651

0

’03

432

977

230

0

’04

380

1,014

129

0

’05

438

2,287

37

0

’06

349

2,473

24

0

’07

368

575

38

0

’08

393

419

172

0

’09

382

205

104

0

’10

344

156

86

0

’11

377

177

84

0

’12

362

240

44

0

’13

406

314

122

0

’14

746

357

31

0

’15

512

409

224

0

’16

245

445

78

0

’17

728

313

192

0

’18

319

311

335

0

’19

462

312

571

0

’84

413

256

1,415

’83

341

152

805

’82

373

123

627

’81

328

55

376

保険料収入

保険料収入 回収金等収入

支払保険金 借入金

2019年度の輸出動向

貿易保険事業収支の推移

 2019年度の日本の輸出金額は、一般機械、輸送用機器などの輸出が減少し、約75.9兆円と前年度から減少(前年度比6.0%減)となりました。 地域・国別の輸出金額は、アジア向けが約40.9兆円(前年度比7.0%減)、うち中国向けが約14.5兆円(前年度比7.2%減)、米国向けが約14.9兆円(前年度比4.7%減)、EU向けが約8.5兆円(前年度比5.1%減)、中東向けが約2.3兆円(前年度比1.4%増)となりました。

(単位:百万円)

(出所:財務省貿易統計)

2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度

輸出金額 74,115,132 71,522,248 79,221,249 80,709,887 75,880,217

対前年度比増減率(%) △ 0.7 △ 3.5 10.8 1.9 △ 6.0

日本の輸出金額参考

(注)現金ベース。保険料収入は返還保険料を控除した後の金額。 (単位:億円)

NEXIの業務実績

業務概況

Annual Report FY201910

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6.3

6.3

7.8

7.3

5.9

※その他=限度額設定型貿易保険、中小企業・農林水産業輸出代金保険、簡易通知型包括保険、輸出手形保険、前払輸入保険、再保険

0 1 2 3 4 85 6 7 (兆円)

2015

2016

2017

2018

2019

その他海外事業資金貸付保険海外投資保険貿易代金貸付保険貿易一般保険

(年度) 6.4 0.3 0.5 0.5

5.3

5.0

0.4 0.2

0.2

0.70.0 0.2

5.9 0.6 0.40.1

0.1 0.4

0.3

4.5 0.60.2 0.20.4

0.2

引受実績

● 引受実績及び保険種別構成比の推移 2019年度の引受実績は、日本の輸出総額の落ち込み等を背景に、貿易一般保険を中心に引受が落ち込み、約5.9兆円 (前年度比6.3%減)となりました。一方、海外事業資金貸付保険は約0.4兆円(前年度比23.2%増)、貿易代金貸付保険は約0.2兆円(前年度比433.5%増)と増加しました。

(%)0 20 40 60 80 100

2019

(年度)

アジア 中東 北米アフリカヨーロッパ 国際機関南米中米 オセアニア

54.5 12.4 5.78.0

1.2

5.5 0.38.6 3.9

52.5 9.5 4.59.91.2

6.6 2.09.7 4.12018

● 引受実績の地域別構成比 アジア向けが約3.4兆円と全体の54.5%を占め引き続き最大となり、次いでヨーロッパ向けが約0.8兆円で12.4%を占めました。

● 2019年度引受実績 上位10ヶ国・地域(単位:百万円)

順 位 国名・地域名 引受実績 構成比

1 ベトナム 508,266 14.2%

2 インドネシア 458,938 12.8%

3 台湾 439,264 12.2%

4 中華人民共和国 428,187 11.9%

5 タイ 344,955 9.6%

順 位 国名・地域名 引受実績 構成比

6 ベルギー 324,939 9.1%

7 大韓民国 321,932 9.0%

8 パナマ(船舶) 304,813 8.5%

9 アラブ首長国連邦 244,227 6.8%

10 アメリカ合衆国 213,373 5.9%

Annual Report FY2019 11

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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(%)0 20 40 60 80 100

2019

(年度)

アジア 中東 北米アフリカ ヨーロッパ 国際機関 南米 中米オセアニア

49.2 12.7 6.76.7 4.06.0 3.46.9 4.3

47.5 13.4 6.46.8 4.36.0 4.56.5 4.72018

※その他=限度額設定型貿易保険、中小企業・農林水産業輸出代金保険、簡易通知型包括保険、輸出手形保険、前払輸入保険、再保険

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 (兆円)

2015

2016

2017

2018

2019

その他海外事業資金貸付保険海外投資保険貿易代金貸付保険貿易一般保険

(年度) 8.0 0.9 1.5 3.3

14.1

14.0

7.4

7.0

1.5 0.8

0.8

1.60.9 0.9

7.5 1.5 3.50.9

14.5

14.3

0.9 3.4

3.6

12.66.0 1.60.8 0.83.4

0.9

責任残高

● 責任残高及び保険種別構成比の推移

● 責任残高の地域別構成比

 2019年度の責任残高は、約12.6兆円(前年度比10.0%減)となりました。

 アジア向けが全体の49.2%(約6.5兆円)と最も多く、次いで中東向けが12.7%(約1.7兆円)となりました。

NEXIの業務実績

業務概況

Annual Report FY201912

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非常危険事故 信用危険事故

(億円)

2015

2016

2017

2018

2019

(年度)

2000 250 300 350 400 450

311301 11

313247 66

409441

3445

2

407

312277 35

海外事業資金貸付保険36.1%

貿易一般保険23.6%

貿易代金貸付保険21.4%

海外投資保険15.3%

再保険 1.7%

前払輸入保険 0.0%

中小企業・農林水産業輸出代金保険 0.3%

輸出手形保険 0.3%限度額設定型貿易保険1.0%

簡易通知型包括保険 0.2%

(億円)

2015

2016

2017

2018

2019

(年度)

0200100 300 400 500 600

465

561

421

515

294

保険料収入

回収金

● 保険料収入の推移

● 回収金の推移

● 2019年度保険種別保険料収入

 2019年度の保険料収入は、約421億円(前年度比43.5%増)となりました。

 2019年度の回収金は、約312億円(前年度比0.2%増)となりました。 リスケジュール等による非常危険事故に関わる回収金約277億円が全体の89%を占め、信用危険事故の回収金約35億円が全体の11%となりました。

 保険種別の保険料収入では、海外事業資金貸付保険の保険料収入が約152億円と全体の36.1%を占め最大となり、次いで貿易一般保険が全体の23.6%の約99億円、貿易代金貸付保険 が全体の21.4%の約90億円となりました。

(注)詳細についてはP.18を参照のこと。

Annual Report FY2019 13

NEXIの業務実績

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保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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全 体 非常危険事故 信用危険事故

中東60.2%

南米20.8%

アジア10.8%

中米 7.2%中東

10.2%

中米11.1%

アジア 0.1%

北米 0.1%

オセアニア 0.6%

オセアニア0.8%

アフリカ0.5%

南米57.8%

アジア29.9%

北米 0.2%

ヨーロッパ0.2%

中米 0.3%オセアニア 0.6%

中東88.2%

アフリカ 0.2%北米 0.1%ヨーロッパ0.1%

335

192

224

78

571

非常危険事故 信用危険事故

(億円)

2015

2016

2017

2018

2019

(年度)

100 2000 300 600400 500

69 266

2 190

6810

186 38

366 205

支払保険金

● 支払保険金の推移

● 2019年度地域別支払保険金

 2019年度の支払保険金は、非常事故・信用危険事故で大口の保険金支払があり約571億円(前年度比70.3%増)と なりました。

 中東向けの支払保険金額が約343億円と最も大きく、全体の60.2%を占めました。

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業務概況

Annual Report FY201914

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2019年度の保険事故状況(2020年5月15日時点データに基づいて作成)

 保険事故については、総額で約673億円の損失等発生通知書が提出されました。非常危険の事故通知は、昨年度 対比で減少となりました。信用危険の事故通知は、昨年度に引き続き主にアジア・中近東地域におけるバイヤー向けの 支払遅延等がありましたが、対前年度比で大幅な減少となりました。 保険金の支払いとしては、全体で約571億円となりました。非常危険では、経済制裁等による保険金支払があり、 対前年度比で大幅な増加となりました。信用危険については債務履行遅滞による保険金支払は対前年度比で減少 しました。

(単位:百万円)

区 分 危険区分 2017年度 2018年度 2019年度 対前期増減率(%)

事故発生

非常危険 5,663 36,597 30,371 △ 17.0%

信用危険 56,092 71,148 36,884 △ 48.2%

金額合計 61,755 107,745 67,255 △ 37.6%

保険金支払

非常危険 214 6,923 36,578 428.4%

信用危険 19,029 26,573 20,474 △ 23.0%

金額合計 19,243 33,497 57,052 70.3%

※ 損失等発生通知が提出された後に全額入金となり、保険金請求されないケースや保険金請求が翌年度以降となるケース等があるため、当該年度に おける事故発生と保険金支払金額は同一とはなりません。

2019年度の非常・信用危険別の保険事故状況 ─年度毎の推移─

 2019年度の非常危険事故は、約9割がアジア・中近東において、残りは北・中米、南米、アフリカにおいて発生しました。

事故発生・保険金支払金額の推移(2017年度~2019年度)

事故発生 保険金支払

(単位:百万円)

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000

2017

2018

2019 36,57836,57830,37130,371

214214

6,9236,923

5,6635,663

36,59736,597

事故発生 保険金支払

(単位:百万円)

0 80,00070,00060,00050,00040,00030,00020,00010,000

2017

2018

2019

19,02919,029

20,47420,474

56,09256,092

36,88436,884

26,57326,57371,14871,148

非常危険事故 信用危険事故

地域別 事故発生金額(2019年度)

(単位:百万円)

27,14027,140

002,5182,518

00394394 3193190

30,000

25,000

20,000

15,000

10,000

5,000

アジア・中近

東ヨーロ

ッパ 北・中米 南米 アフリ

カオセア

ニア

アジア・中近

東ヨーロ

ッパ 北・中米 南米 アフリ

カオセア

ニア

(単位:百万円)

20,68620,686

373373

3,9343,9345656

11,27511,275

5595590

25,000

20,000

15,000

10,000

5,000

非常危険事故 信用危険事故

地域別の保険事故発生状況

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引受実績

保険種別引受実績

地域別引受実績(単位:百万円)

地 域 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

アジア 4,103,595 3,711,316 3,878,278 3,517,050 3,422,851 54.5 △ 2.7

中 東 1,311,427 571,306 696,610 661,380 500,303 8.0 △ 24.4

ヨーロッパ 743,348 578,369 699,293 638,012 780,216 12.4 22.3

北 米 383,047 250,236 303,599 274,361 245,916 3.9 △ 10.4

中 米 789,353 723,744 703,342 647,942 538,946 8.6 △ 16.8

南 米 377,503 251,170 438,422 442,875 345,257 5.5 △ 22.0

アフリカ 317,625 373,657 590,893 304,254 355,564 5.7 16.9

オセアニア 137,866 119,886 100,603 81,527 72,864 1.2 △ 10.6

国際機関 293,575 177,508 445,278 134,460 16,221 0.3 △ 87.9

(注1)国別計上の方法:船前…仕向国。船後…支払国、但し保証が付されている場合は保証国・保証国際機関。(注2)仕向国と支払国の双方に引受実績が計上されているため、保険種別引受状況の合計額とは一致しません。(注3)国際機関の支払保証が付されている場合は、いずれの地域にも分類せず、国際機関に計上しています。(注4)アジアには、中央アジアを含みます(以後同じ)。(注5)ヨーロッパには中東欧及びロシアを含みます(以後同じ)。

(単位:百万円)

保険種 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

貿易一般保険 6,438,129 5,344,820 5,915,423 5,030,034 4,526,832 76.7 △ 10.0

責任期間1年以内 3,304,188 2,745,229 3,093,390 2,908,306 2,810,763 47.6 △ 3.4

責任期間1年超 3,133,941 2,599,591 2,822,033 2,121,728 1,716,069 29.1 △ 19.1

限度額設定型貿易保険 5,463 5,308 8,115 7,443 10,907 0.2 46.5

中小企業・農林水産業輸出代金保険 9,290 9,640 8,449 9,812 13,656 0.2 39.2

簡易通知型包括保険 40,956 47,106 51,963 58,024 51,207 0.9 △ 11.7

輸出手形保険 13,258 12,255 11,823 13,023 12,358 0.2 △ 5.1

前払輸入保険 454 98 981 214 2,844 0.0 1229.3

海外投資保険 503,508 401,538 641,568 712,045 601,782 10.2 △ 15.5

貿易代金貸付保険 256,135 61,898 138,372 37,083 197,823 3.4 433.5

海外事業資金貸付保険 454,643 366,722 422,123 342,565 422,132 7.2 23.2

再保険 93,426 85,297 115,971 86,219 62,313 1.1 △ 27.7

合 計 7,815,262 6,334,680 7,314,788 6,296,462 5,901,854 100.0 △ 6.3

(注1) 保険証券発行日をもとに作成しており、保険契約締結日の為替レートを適用し、外貨建対応の保険契約の保険金額ではなく、実勢の保険引受金額を用いて作成した合計額です(下表も同じ)。

(注2)貿易一般保険においてはBUルールの区分に従い、資本財については、すべて責任期間1年超に区分しています(以後同じ)。(注3)変動金利対応案件については、契約時金利を適用して作成しています(下表も同じ)。

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責任残高

保険種別責任残高

地域別責任残高

(単位:百万円)

保険種 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

貿易一般保険 7,988,439 7,446,773 7,538,669 6,994,430 5,968,467 47.4 △ 14.7

責任期間1年以内 3,056,828 2,649,163 2,497,946 2,417,727 2,291,738 18.2 △ 5.2

責任期間1年超 4,931,611 4,797,610 5,040,723 4,576,703 3,676,729 29.2 △ 19.7

限度額設定型貿易保険 9,375 7,313 9,868 11,383 13,211 0.1 16.1

中小企業・農林水産業輸出代金保険 3,161 3,028 2,817 3,817 4,491 0.0 17.6

簡易通知型包括保険 10,531 11,879 13,003 16,415 10,874 0.1 △ 33.8

輸出手形保険 2,851 3,283 3,556 3,224 3,831 0.0 18.8

前払輸入保険 301 0 979 208 2,298 0.0 1002.7

海外投資保険 1,457,399 1,460,533 1,528,398 1,596,806 1,602,810 12.7 0.4

貿易代金貸付保険 923,292 922,836 866,474 923,657 831,832 6.6 △ 9.9

海外事業資金貸付保険 3,348,179 3,439,069 3,549,807 3,608,086 3,365,701 26.7 △ 6.7

再保険 740,210 821,174 827,116 830,151 783,808 6.2 △ 5.6

合 計 14,483,737 14,115,888 14,340,688 13,988,179 12,587,322 100.0 △ 10.0

(注1) 外貨建対応の保険契約については、原則、各事業年度末為替レートを適用して作成しています。(下表も同じ)。(注2)変動金利対応案件については、各事業年度末の金利を適用して作成しています(下表も同じ)。

(単位:百万円)

地 域 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

アジア 6,768,579 6,941,039 6,896,936 6,926,035 6,463,037 49.2 △ 6.7

中 東 2,413,796 2,198,618 2,050,197 1,945,372 1,673,822 12.7 △ 14.0

ヨーロッパ 1,368,305 1,105,592 1,070,642 930,638 885,666 6.7 △ 4.8

北 米 981,989 912,846 977,828 984,054 886,348 6.7 △ 9.9

中 米 687,931 755,757 769,735 653,945 444,834 3.4 △ 32.0

南 米 925,309 767,445 695,229 685,649 565,177 4.3 △ 17.6

アフリカ 680,693 751,177 965,515 952,503 911,884 6.9 △ 4.3

オセアニア 747,300 725,637 654,853 624,052 520,348 4.0 △ 16.6

国際機関 243,752 282,677 1,084,413 868,089 787,432 6.0 △ 9.3

(注1)国別計上の方法:船前…仕向国。船後…支払国、但し保証が付されている場合は保証国・保証国際機関。(注2)仕向国と支払国の双方に責任残高が計上されているため、保険種別責任残高の合計額とは一致しません。(注3)国際機関の支払保証が付されている場合は、いずれの地域にも分類せず、国際機関に計上しています。

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保険種別保険料収入

保険料収入

支払保険金

(単位:百万円)

保険種 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)貿易一般保険 13,858 14,838 14,213 12,032 9,932 23.6 △ 17.5責任期間1年以内 5,081 5,240 6,600 5,441 5,022 11.9 △ 7.7責任期間1年超 8,777 9,598 7,613 6,591 4,909 11.7 △ 25.5

限度額設定型貿易保険 194 166 340 259 433 1.0 67.1中小企業・農林水産業輸出代金保険 83 85 72 84 125 0.3 49.4簡易通知型包括保険 99 105 116 127 102 0.2 △ 19.7輸出手形保険 131 109 120 130 130 0.3 0.0前払輸入保険 3 0 3 3 17 0.0 562.1海外投資保険 5,802 5,264 6,102 6,188 6,454 15.3 4.3貿易代金貸付保険 13,030 3,378 6,326 1,424 9,009 21.4 532.5海外事業資金貸付保険 15,231 22,044 26,220 7,018 15,227 36.1 117.0再保険 3,038 526 2,603 2,098 697 1.7 △ 66.8合 計 51,469 46,516 56,117 29,362 42,127 100.0 43.5

(注)保険責任発生時点で計上。保険証券発行日をもとにする引受実績とは年度が必ずしも一致しません。

保険種別、非常・信用別支払保険金(単位:百万円)

保険種2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

構成比(%)

対前期 増減率(%)

貿易一般保険 21,926 18,571 3,355 3,499 1,000 2,499 4,205 114 4,091 18,082 2,175 15,907 43,996 36,344 7,652 77.1 143.3限度額設定型貿易保険 221 0 221 0 0 0 13 0 13 0 0 0 0 0 0 0.0 -中小企業・農林水産業輸出代金保険 2 0 2 136 0 136 193 0 193 78 0 78 150 0 150 0.3 91.8簡易通知型包括保険 0 0 0 13 0 13 3 0 3 0 0 0 6 0 6 0.0 -輸出手形保険 0 0 0 31 0 31 0 0 0 10 0 10 35 0 35 0.1 240.6前払輸入保険 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.0 -海外投資保険 0 0 0 0 0 0 100 100 0 2,941 2,941 0 234 234 0 0.4 △ 92.0貿易代金貸付保険 0 0 0 114 0 114 0 0 0 1,807 1,807 0 117 0 117 0.2 △ 93.5海外事業資金貸付保険 0 0 0 1,047 0 1,047 13,839 0 13,839 9,253 0 9,253 11,760 0 11,760 20.6 27.1再保険 245 0 245 2,943 0 2,943 891 0 891 1,325 0 1,325 755 0 755 1.3 △ 43.0合 計 22,395 18,571 3,824 7,782 1,000 6,782 19,243 214 19,029 33,497 6,923 26,573 57,052 36,578 20,474 100.0 70.3

地域別支払保険金(単位:百万円)

保険種2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

非常危険事故

信用危険事故

構成比(%)

対前期 増減率(%)

アジア 1,059 0 1,059 3,662 0 3,662 4,385 112 4,273 12,477 0 12,477 6,154 32 6,121 10.8 △ 50.7中 東 1,472 0 1,472 872 29 843 287 2 286 5,646 2,103 3,543 34,348 32,259 2,090 60.2 508.3ヨーロッパ 24 20 4 245 0 245 542 0 542 1,115 1 1,114 43 0 43 0.1 △ 96.1北 米 0 0 0 503 0 503 25 0 25 187 71 116 75 32 43 0.1 △ 59.8中 米 980 0 980 0 0 0 0 0 0 40 0 40 4,114 4,053 61 7.2 10,137.8南 米 18,584 18,551 33 1,384 320 1,064 13,940 100 13,840 11,090 1,807 9,283 11,841 0 11,841 20.8 6.8アフリカ 276 0 276 884 652 233 65 0 65 2,941 2,941 0 106 0 106 0.2 △ 96.4オセアニア 0 0 0 232 0 232 0 0 0 0 0 0 371 202 169 0.6 -合 計 22,395 18,571 3,824 7,782 1,000 6,782 19,243 214 19,029 33,497 6,923 26,573 57,052 36,578 20,474 100.0 70.3

NEXIの業務実績

業務実績

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2019年度の回収状況

回収状況

非常・信用別回収状況(単位:百万円)

危険区分 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

非 常 40,667 44,141 24,696 30,068 27,730 88.9 △ 7.8

信 用 201 327 6,575 1,052 3,467 11.1 229.4

合 計 40,867 44,468 31,271 31,121 31,197 100.0 0.2

地域別回収状況(単位:百万円)

地 域 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 構成比(%) 対前期増減率(%)

アジア 9,039 5,895 1,995 2,368 3,628 11.6 53.2

中 東 11,528 11,953 17,374 11,461 11,930 38.2 4.1

ヨーロッパ 572 594 713 683 771 2.5 12.8

北 米 1 4 6 81 33 0.1 △ 59.4

中 米 1,519 1,534 1,472 1,701 38 0.1 △ 97.7

南 米 10,771 20,337 9,024 14,193 14,211 45.6 0.1

アフリカ 7,437 4,152 657 629 586 1.9 △ 6.8

オセアニア 0 0 29 4 0 0.0 △ 100.0

合 計 40,867 44,468 31,271 31,121 31,197 100.0 0.2

 2019年度の回収金全体としては、前年度の約311億円から微増し約312億円(前年度比0.2%増)となりました。 非常・信用別では、パリクラブ・リスケジュール等の非常危険事故に関する回収金は約277億円(前年度比7.8%減)、一方、信用危険事故に関する回収金は約35億円(前年度比229.4%増)となりました。

非常・信用別の回収状況

 地域別では、南米地域からの回収金が約142億円となり、全体の約5割(45.6%)を占めました。アルゼンチン共和国 から約138億円(主にパリクラブの回収金)、チリ共和国から約3億円(信用事故案件の回収金)他を回収しました。 次に、中東地域からの回収金が約119億円、これは全体の約4割(38.2%)を占めました。イラク共和国から約92億円、サウジアラビア王国から約16億円(信用事故案件の回収金)他を回収しました。 次に、アジア地域からの回収金が約36億円で全体の11.6%を占めました。インドネシア共和国から約21億円、中華 人民共和国から約12億円(信用事故案件の回収金)他を回収しました。 次に、ヨーロッパ地域から約8億円(セルビア共和国約6億円、ボスニア・ヘルツェゴビナ約1億円他)、アフリカ 地域から約6億円(エジプト・アラブ共和国約5億円他)を回収しました。 その他、北米地域及び中米地域から合計約1億円(キューバ共和国約0.2億円他)を回収しました。

地域別の回収状況

Annual Report FY2019 19

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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これまでと違った新たな取引状況に直面した際には、貿易保険が役立ちます。

新規バイヤーと取引を開始しようと考えている。

既存取引先との輸出取引額が増えてきた。

決済方法が前受金から船積後送金に変わった。

特定のリスク国向け取引のためリスクヘッジしたい。

船積前期間が長い・転売が難しい商品の輸出を考えている。

新規の投資・融資を考えている。

Case

1Case

2

Case

3Case

4

Case

5Case

6

TOPICS

貿易保険を検討するきっかけは?

Annual Report FY201920

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NEXIの活動主な活動 22

海外の関連組織との協力 30

主な引受プロジェクト 32

主な引受プロジェクト (中堅・中小企業の海外展開支援) 38

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重点的戦略分野の支援

● インフラ海外展開の支援

● 資源・エネルギー分野の取組

● 環境イノベーション保険の創設

 日本政府は「インフラシステム輸出戦略」(経協インフラ 戦略会議決定)や「質の高いインフラパートナーシップ」に基づき、日本企業の海外におけるインフラシステムの受注増加及び質の高いインフラ輸出による国際貢献を 目指しています。 NEXIは、2019年度、ミャンマー連邦共和国でのティラワ 地区の港湾ターミナル運営事業について、海外投資保険の引受を行いました。また、日本製の鉄道レールが納入 されるタンザニア連合共和国でのライトレール改修・建設 プロジェクトについて再保険の引受を決定しております。 2019年6月には13の民間金融機関との間でインフラ ファンドをはじめとしたファンド及びプロジェクトボンド の活用に向けた業務協力に関する覚書を締結しました。本覚書の目的は、新興国をはじめとした世界の膨大な

インフラ投資需要に対応するために資金を円滑に供給する ことが必要である一方、海外インフラプロジェクトの資金 調達事情が変化している状況下、商業銀行等の伝統的な資金の出し手のみならず、機関投資家を含めた新たな 資金の出し手を呼び込むことが重要であるとの認識に 基づき、インフラファンドをはじめとしたファンド及びプロジェクトボンドの活用に向けた環境整備のための 業務協力を行うものです。 また、2015年には国連にて持続可能な開発目標(SDGs)が設定されるなど、国際社会は地球環境課題への取組や多様な社会課題への対応が求められており、NEXIは日本企業のインフラ海外展開への支援を通じ、SDGs達成に 取り組んでまいります。

 我が国にとって、安定的な鉱物資源及びエネルギー資源 の確保は重要な政策課題となっています。NEXIではLNG案件への取組について経済産業省資源エネルギー庁の 政策とも連携して対応しています。資源エネルギー保険 の適用案件を拡大し、ガス、LNG案件への支援強化を進め ており、2019年9月に開催された「LNG産消会議2019」 の中でもNEXIのLNG案件の取組方針としてご紹介して います。2019年度はロシア連邦におけるArctic LNG2 プロジェクトへの投資保険の引受を行いました。生産される LNGは北極海航路を通じてアジア及び欧州を中心に供給 される予定であり、アジアにおけるLNGバリューチェーンの 構築に資するものです。 また、今後のアジアを中心としたエネルギー需要が増加

していく中で、安定的で安価な電力供給が重要であるとのことから、ミャンマーにおけるガス火力発電事業や アラブ首長国連邦におけるガス焚き複合火力発電所建設・ 運営プロジェクトについて保険を引き受けました。これら はSDGsの目標7で掲げる「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを 確保する」ことに合致した取組といえます。 同時に、再生可能エネルギーなど脱炭素化に寄与するプロジェクトも積極的に支援しており、台湾での洋上 風力発電プロジェクトについて保険の引受を行いました。 NEXIは引き続き、相手国ニーズに合わせ資源、エネルギー分野への支援を積極的に取り組んでまいります。

 2019年7月、環境保全・気候変動対策分野のプロジェクト向けファイナンス案件の組成を一層促進するため、通常の融資保険に比べて高い信用付保率(97.5%)を 適用する環境イノベーション保険を創設しました。 具体的には、再生可能エネルギー事業、省エネルギー 事業及び地球環境保全に資する新技術を活用する事業であって、当該プロジェクトを実施する本邦企業(輸出企業 及び出資企業)及びファイナンスを供与する本邦金融 機関が環境保全・気候変動分野に係る情報開示を積極的

に進めている場合に、環境イノベーション保険を適用します。 2019年5月、金融安定理事会(FSB)が設置した気候 関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言の趣旨に 賛同を表明するとともに、TCFD提言に基づく取組を議論する場として設定されたTCFDコンソーシアムに入会したところ、公的機関として、環境保全・気候変動対策への民間セクターの取組(関連情報の積極的な開示を含む)に対する支援を強化します。

NEXIの活動

主な活動

Annual Report FY201922

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(合意文書署名式の様子)

第三国連携の推進

● タイ輸出入銀行との再保険協定・協力覚書締結

● デンマーク輸出信用基金との再保険協定締結

● ロシアSUEK社とのMOU締結

 2019年7月、NEXIは、タイ王国の輸出信用機関である タイ輸出入銀行(Export-Import Bank of Thailand)との 間で、再保険協定を締結しました。NEXIとタイ輸出入 銀行は2009年に短期(2年未満)の保険種を対象とした再保険協定を締結しましたが、今般締結した再保険協定は、中長期(2年以上)の保険種を対象とした新たな協定です。新たな再保険協定は、本邦企業とタイ企業が共同で 行う海外プロジェクトの支援を目的とし、同プロジェクト 向けの投融資についてタイ輸出入銀行が引き受けた保険 に対して、本邦企業の参加分についてNEXIが再保険の 引き受けを行うものです。 また2020年2月には、再保険スキームを一層活用いただくための協力枠組み構築を目的に協力覚書を締結し、両機関の再保険による支援スキームを紹介するセミナーを共催しました。 昨今、タイ国内の経済の成熟化に伴い、タイを拠点とした 日本企業の輸出や、タイ企業のアジアを中心とした各国

への投資プロジェクト等が拡大しており今回の協定を機に、タイに所在する日本企業の第三国への輸出や日本とタイ両国の海外共同プロジェクトにおける投融資が促進され、関係国の発展にも寄与することが期待されます。

 2019年8月、NEXIは、デンマークの輸出信用機関であるデンマーク輸出信用基金(EKF:EKF Denmark’s Export Credit Agency)とOne-Stop-Shop再保険協定を締結しました。 本再保険協定は、中長期案件の出再及び受再を念頭に置いた相互協定です。本協定の締結により、NEXIとEKFが再保険という形で協力し、日本、デンマークの両国企業の輸出をより包括的に支援することが可能となります。 EKFは風力発電プロジェクトに対するファイナンスを多数手掛けています。NEXIは再生可能エネルギープロジェクト及び地球環境保全に資する新技術を導入するプロジェ

クトに対する支援を強化しているところ、当該分野に 知見のあるEKFとの協調は、環境保全と経済成長の両立による持続可能な社会の実現を目指す世界的な時流に 沿うものです。またEKFはアフリカ向け中長期プロジェクトに対するファイナンスへの取組を強化しており、 本邦企業及び日系企業が参画する案件における両社の益々の協力が期待されます。 本協定に基づくOne-Stop-Shop再保険スキームを 積極的に活用することにより、日本、デンマーク間の産業協力を輸出信用の面から支援してまいります。

 2019年6月、NEXIはロシア連邦最大の石炭生産・輸出 企業であるJoint Stock Company Siberian Coal Energy Company(SUEK社)との間で協力覚書を締結しました。 本協力覚書は、今後の本邦企業によるSUEK社との取引 拡大を効果的に支援すべく、両社の経験及び専門性を

相互に活用できる情報交換の枠組みを構築することや 潜在的な本邦企業との協業プロジェクト特定を目的とした もので、日本とロシアの関係強化につながることも期待されています。

Annual Report FY2019 23

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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(合意文書署名式の様子)

(合意文書署名式の様子)

(合意文書署名式の様子)

● ベルギー輸出信用機関とのMOU締結、Credendo-Ingosstrakh Credit Insuranceとの 再保険契約締結

● 米国輸出入銀行との再保険における取組拡大

● ハンガリー輸出信用機関とのMOU締結

 2019年10月、NEXIは、ベルギーの輸出信用機関である Credendoと協力覚書を締結しました。今般の協力覚書は、 日本とベルギーの両国企業が両国又は第三国において 受注する案件等を貿易保険で効果的且つ有益に支援する ため、貿易及び投融資の分野において、新たな協力の枠組み を構築する必要があると判断し、締結することにした ものです。 また2019年11月には、Credendoが67%、ロシアの 大手損害保険会社Ingosstrakhが33%出資するロシアの 信用保険会社Credendo-Ingosstrakh Credit Insurance, LLCとの間で再保険契約を締結いたしました。これにより、日系企業によるロシア国内の取引について、Credendo-Ingosstrakh, LLCが取引信用保険を引き受けた案件に

対し、NEXIが再保険を提供することが可能となります。本協定により現地日系企業の国内取引に係るリスクの軽減 が図られることが期待されます。

 2019年11月、NEX Iは、米国の輸出信用機関である米国輸出入銀行(米輸銀:Export-Import Bank of the United States)と再保険分野における取組の拡大を目的に 再保険協定を締結しました。署名式はバンコクにて、ロス 米国商務長官、ヤング駐日米国臨時代理大使、クラック 米国国務省次官、寺澤経済産業省顧問ご臨席の下、執り 行われました。 NEXIと米輸銀は2004年に再保険協定を締結しており ますが、米輸銀からNEXIが再保険を引き受ける内容に 限定されたものでした。今般の協定見直しにより、NEXIから米輸銀が再保険を引き受けることが可能となり、 日米両国企業の輸出をより包括的に支援することが可能となります。本再保険協定により、日米の更なる関係緊 密化が期待されます。

 2019年12月、NEXIは、ハンガリーの輸出信用機関で あるMEHIB(Hungarian Export Credit Insurance Private Limited Company)との間で、協力覚書を締結しました。署名式は12月6日に首相官邸において安倍 総理大臣、オルバーン首相ご臨席の下、シーヤールトー ハンガリー外務貿易大臣と弊社社長の黒田との間で執り行われました。 今般の協力覚書は、日本とハンガリーの二国間の貿易と経済協力を促進するためにNEXIとMEHIBとの間で協力のフレームワークを構築し、両国や近隣国の政治・経済・金融市場に関する情報の交換等を通じ両機関の連携を図ることを目的として締結することになったものです。

NEXIの活動

主な活動

Annual Report FY201924

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(合意文書署名式の様子)

(サイドイベントの様子)

アフリカ支援の強化

● イスラム開発銀行(IsDB)、イスラム投資・輸出保険機関(ICIEC)及び アフリカ貿易保険機構(ATI)とのMOU締結

● TICAD7サイドイベントの開催

 2019年8月、NEXIは、第7回アフリカ開発会議(TICAD7) の開催にあわせ、地域国際金融機関であるイスラム開発 銀行(IsDB)、イスラム投資・輸出保険機関(ICIEC)及び アフリカ貿易保険機構(ATI)との間で、それぞれ協力覚書 を締結しました。署名式は経済産業省において8月27日、 世耕経済産業大臣ご臨席の下、執り行われました。 本協力覚書は、本邦企業によるアフリカ向け貿易・投資 を促進するため、アフリカ地域の案件支援実績が豊富で 各国政府・政府機関との強力なネットワークを有するIsDB、 ICIEC、ATIそれぞれの機関とNEXIとの連携を強化し、円滑な案件組成に向けた協力体制を構築することが狙いです。 アフリカ地域におけるインフラ整備需要は膨大であり、 本邦企業の潜在的な参画余地は大きいと思われる一方、 アジア地域と比べ相対的に参画のハードルが高い状況に あると言えます。かかる状況下、2019年3月に公表された TICAD7官民円卓会議で民間企業から国際金融機関との 連携による保険機能の強化の要望をいただいたことも 踏まえ、NEXIによる積極的な保険引受に加え、事業地国 政府が別途手配すべき頭金部分に対するファイナンス支援 が可能なIsDB、ICIEC及びATIと密に連携することで、 本邦企業がファイナンス提案を行い易い環境を整備いたします。

 NEXIは、TICAD7にて、『アフリカビジネス拡大に向けた 貿易保険の活用法~リスク低減のためのNEXI・国際金融機関の新たな取組~』というテーマでサイドイベントを開催しました。 アフリカ向け輸出取引やアフリカに於ける事業展開を企図されている方を対象に、IsDB、ICIEC、ATI及びNEXIが登壇し、ビジネスチャンスと留意点、国際金融機関の 活用方法やNEXIとの連携可能性について講演を行いま した。各機関の代表者からは機関概要や機能を紹介していただき、協力覚書締結による機能強化への期待を述べられました。終盤には来場者からの質疑が活発に飛び交い、 今般の取組に対する注目度の高さがうかがえました。当日 は様々な企業や機関、団体から、200名近くの方々にご参加いただき大盛況のうちに幕を閉じることができました。

 また、本邦企業がこうした国際金融機関に相談しやすい 環境作りが重要と判断し、NEXIがIsDB、ICIEC及びATIの 職員を対象とした貿易保険研修を実施するとともに、 当該研修を受講した各機関職員を配置したジャパンデスク (本邦企業向け相談窓口)を設置することで3機関と合意しております。 NEXIは今後とも国際金融機関や他国・地域の政府系 金融機関との連携を深めることにより、アフリカ地域への輸出・投融資をはじめ、日系企業の海外における事業 展開を積極的に支援してまいります。

Annual Report FY2019 25

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 26: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(RCG会合の様子)

(ワークショップの様子)

海外の関連組織との連携強化

● ベルン・ユニオン会合への参加

● 二国間協議の開催

● アジア輸出信用機関首脳会合の開催

 ベルン・ユニオン(国際輸出信用投資保険連合:The International Union of Credit and Investment Insurers)は、世界各国の輸出信用機関や国際機関、民間保険機関が参加し、専門的知見から輸出信用保険や投資 保険に関する共有課題について議論を行う場です。1934年 に第1回会合をスイス連邦のベルンにて開催して以降、

2019年4月時点で84機関が加盟しています。 2019月4月の春期会合はシンガポール共和国、10月の秋期総会はインドのハイデラバードで開催されました。NEXIは両会合に出席し、参加機関と輸出信用等について情報交換を行いました。

 中華人民共和国、ドイツ連邦共和国、フランス共和国、オーストリア共和国等の輸出信用機関や政府関係者と 二国間協議を開催しました。国際金融情勢や両国の持つ課題及び取組等、幅広い分野について率直な意見交換を

実施しています。年に一度開催されるこのような協議を通じて他国機関と一層の連携強化を図るとともに、各国の貿易保険の動向を確認しています。

 2020年1月、アジア・太平洋地域の輸出信用機関が 加盟するRCG(Regional Cooperation Group)の年次首脳会合を東京で開催しました。 本会合では、輸出信用機関(ECA)間での第三国協力のあり方を主要テーマに掲げ、アフリカ等の新市場開拓における役割と協力を確認しました。また、世界のエネルギー市場の重心がアジアにシフトする中、国連が持続可能な開発目標(SDGs)として掲げるGoal 7:「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」に協力して貢献していくことを確認しました。 会合の成果として、上記の項目について共同声明を 採択しています。

● アフリカワークショップの開催 2020年2月、協力覚書を締結した3機関に加え、アフリカ地域を中心とした開発機関及び輸出信用機関の職員を招へいし、NEXIにてワークショップを開催しました。本ワークショップは、お互いの商品や制度、プラクティスにかかる理解を深めることを目的とし、参加機関が各々紹介したケーススタディに基づき意見交換を行いました。 また来日した機関による本邦企業向けの説明会や個別商談会を実施し、各機関と本邦企業の関係構築を支援しました。

NEXIの活動

主な活動

Annual Report FY201926

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きらぼし銀行商工中金りそな銀行全国共済農業協同組合連合会全国共済水産業協同組合連合会農林中央金庫朝日信金城南信金城北信金巣鴨信金西武信金多摩信金東京東信金

北海道銀行北洋銀行帯広信金稚内信金旭川信金大地みらい信金

青森銀行

秋田銀行北都銀行

七十七銀行

荘内銀行山形銀行

第四銀行北越銀行

東邦銀行常陽銀行筑波銀行

千葉銀行京葉銀行千葉興業銀行

武蔵野銀行埼玉りそな銀行埼玉縣信金

横浜銀行山梨中央銀行甲府信金静岡銀行

遠州信金静清信金浜松磐田信金しずおか焼津信金※2

※2 2019年7月合併

八十二銀行飯田信金諏訪信金長野信金

北陸銀行富山銀行

富山第一銀行

名古屋銀行岡崎信金瀬戸信金豊橋信金西尾信金碧海信金

十六銀行岐阜信金東濃信金

滋賀銀行

三重銀行南都銀行

京都銀行京都中央信金

みなと銀行尼崎信金播州信金

中国銀行トマト銀行玉島信金広島銀行

もみじ銀行広島信金

鹿児島銀行鹿児島相互信金 伊予銀行

愛媛銀行 香川銀行百十四銀行

大分銀行

四国銀行

肥後銀行熊本銀行

親和銀行佐賀銀行

福岡銀行筑邦銀行

西日本シティ銀行北九州銀行

宮崎銀行

池田泉州銀行関西みらい銀行※1

大阪シティ信金北おおさか信金※1 2019年4月合併

鳥取銀行

北國銀行

足利銀行栃木銀行

岩手銀行東北銀行

福井銀行福井信金

山口銀行山陰合同銀行

東和銀行しののめ信金

徳島大正銀行

紀陽銀行

琉球銀行沖縄銀行

黒字:地方金融機関等青字:信用金庫

(中堅・中小企業海外展開支援ネットワーク) 2020年4月現在

(中小企業・農林水産業輸出代金保険年度別実績推移)

2011 2012 2013 2014 2015 2016 (年度)20170

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

0102030405060708090100110120130140150

2018 2019

285433

666

900

1,486

1,7581,933

2,400

3,364

0 17 96 188 243418

686

1,007

1,599

5.612.7 26.4

43.1

92.9 96.4

67.3

44.529.9

16.18.74.82.4

98.1

84.5

136.6

0.60.6

引受件数

引受保険金額(億円)

全体保険金額

紹介成約保険金額

全体件数

紹介成約件数

中堅・中小企業の海外事業展開の支援

● 中堅・中小企業に対する支援体制の強化 貿易保険の普及と利用促進のため2011年度に11行の地方銀行とスタートした「中堅・中小企業海外展開支援ネットワーク」は全国47都道府県に拡大し、地方銀行・信用金庫、農林水産業関係機関等の提携機関は2020年 4月現在で計111機関となっています。これら機関との連携を通じて、全国の中堅・中小企業、農林水産業の皆様の安全、安心な海外展開をサポートしています。 2020年1月には提携機関との業務委託契約書を大幅に 改定し、提携機関からの紹介の場合に適用する「中小企業・ 農林水産業輸出代金保険」の保険料割引の要件緩和や 紹介スキームのルール明確化等の改善を実現しました。また、本紹介制度に基づく具体的な利用相談に対しては、 提携機関との同行訪問等によるきめ細かい利用相談、制度 ご案内を行うことで、同ネットワークを通じた貿易保険利用社数は着実に増加しています。 こうした取組等を背景に、中堅・中小企業及び農林水産業従事者等向けの保険商品「中小企業・農林水産業輸出 代金保険」の利用は毎年増加傾向にあり、2019年度は 引受件数、引受金額ともに前年度より約4割増加し、引受

件数は3,000件を超え、引受金額も130億円を超えま した。 NEXIは、今後も同ネットワークにおける連携をフル 活用し、中堅・中小企業、農林水産業の皆様の海外展開 支援を積極的に進めるとともに、ご支援を強化するべく商品・サービスの向上に取り組んでまいります。

年度別新規提携数(現在111機関)地銀等 信 金 累 計

2011年度 11行 11機関2012年度 18行 29機関2013年度 20行 49機関2014年度 6行 22金庫 77機関2015年度 12行 16金庫 105機関2016年度 6機関 3金庫 114機関2017年度 3機関 117機関2018年度 114機関2019年度 111機関

(減少は合併による)

Annual Report FY2019 27

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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(貿易保険セミナーの様子)

● 海外投資保険国内受再にかかる再保険契約締結

● 貿易保険の周知活動

 NEXIは、東京海上日動火災保険株式会社(東京海上 日動)、三井住友海上火災保険株式会社(三井住友海上) 各社との間で海外投資保険国内受再に係る再保険契約を締結しました。 これまで貿易保険法における、民間損害保険会社との国内受再による協働は、民間の損害保険会社が提供する本邦企業の輸出等への取引信用保険(元受保険契約)に ついて、NEXIが再保険を引き受ける形に限られておりました。 2019年7月に、中堅・中小企業の海外展開支援を広く 後押しする観点から、貿易保険法施行令の一部を改正 する政令が施行され、NEXIの再保険によるバックアップの 下、民間損害保険会社が海外投資保険の販売をすることが

可能となりました。NEXIとの再保険契約に基づき、東京海上日動は2019年8月から、三井住友海上は2020年 2月から代理店等を通して海外投資保険の販売を開始して います。 全国津々浦々で事業活動をされている中堅・中小企業の 皆様にとり、カントリーリスクに関する相談や困りごとがあった際、より身近な存在である民間損害保険会社にご相談できるようになりました。 また、東京海上日動が開催した海外投資保険の販売 促進のためのセミナーに、NEXIは再保険を引受ける立場と して、また、これまでの唯一の元受機関として講師として参加いたしました。

 NEXIでは、中堅・中小企業の海外展開を支援する中央省庁、政府系機関との連携を中心に、貿易保険制度の周知、普及の活動を行っています。 日本貿易振興機構(JETRO)が主催する「新輸出大国 コンソーシアム」では、支援機関として、日本政府が掲げる 中堅・中小企業の海外展開支援の一環として輸出・投資のリスクヘッジ手段として貿易保険をお伝えするとともに、国際協力機構(JICA)、中小企業基盤整備機構(中小機構)、日本政策金融公庫等の支援機関が開催する企業向けセミナーやイベントで、講演やブース出展を行っています。 2019年度はさらに、支援機関からの紹介企業への個別 訪問やレター発出等を行い、より積極的に貿易保険の 普及を目指しました。 また、貿易保険周知のツールとして、中堅・中小企業向け の商品案内パンフレットの作成・更新を随時行うととも

に、ホームページのリニューアルにより、さらに分かり やすい情報提供を行うなど、貿易保険を知っていただき、使っていただくための取組みを続けています。

NEXIの活動

主な活動

Annual Report FY201928

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(現地調査の様子)

※ 環境への影響が大きい順にカテゴリA、B、C分類。

2019年度カテゴリ別スクリーニング状況

カテゴリC71.7%

カテゴリB13.1%

カテゴリA15.2%

※ 中東にはトルコ、欧州・NISにはロシア及び中東アジア、中南米にはメキシコを含む。

2019年度地域別スクリーニング状況

アジア52.2%

欧州・NIS23.9%

アフリカ8.7%

オセアニア 2.2%

中南米8.7%

中東 4.3%

持続可能な社会の実現に向けた取り組み

● 環境社会配慮ガイドライン

● SDGs債への投資取組について

 NEXIでは、環境社会問題に対する社会的責任を果たす べく、「貿易保険における環境社会配慮のためのガイド ライン」及びそのガイドラインを補完する「貿易保険に おける原子力プロジェクトにかかる情報公開配慮のための指針」に基づき、保険契約の対象となるプロジェクトについてプロジェクト実施者による環境社会配慮が適切になされているかの確認を行っています。 2019年度は、46件のスクリーニング対象案件に対して、現地調査等を含む審査を実施しました。確認に当たって は輸出者等から提供されるスクリーニングフォームに 基づき、環境への影響度に応じて3つのカテゴリに分類するスクリーニングを行い(環境への影響が大きい順にカテゴリA、B、C)、その結果に応じた確認を実施しています。例えば、2019年度は全体の約15%を占めた「カテゴリA」について、原則現地調査を実施しています。

 また、NEXIの環境ガイドラインの遵守を確保するため、異議申立手続を導入し、保険引受担当部署から独立した 「環境ガイドライン審査役」を設置しており、今後とも 適切な確認を行ってまいります。

 NEXIは、当年度において以下の5機関が発行する「グリーン ボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド(以下SDGs債という)」に投資しております。 「グリーンボンド」とは、地球温暖化をはじめとする環境 問題の解決に資するプロジェクト(グリーンプロジェクト)の資金調達のために発行される債券です。 「ソーシャルボンド」とは、社会的課題の解決に資するプロジェクト(ソーシャルプロジェクト)の資金調達のために発行される債券です。 「サステナビリティボンド」とは、調達資金の使途が①環境 改善効果があること(グリーン性)及び②社会的課題の 解決に資するものであること(ソーシャル性)の双方を有する 債券です。 これらの債券により調達された資金は事業への充当を通じて国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するものです。

 今後もSDGs債への投資を通じて、SDGsの達成に貢献し、持続可能な社会の形成に寄与すべく、社会的使命・役割を果たしてまいります。

2019年度投資SDGs債一覧銘 柄 備 考

鉄道建設・運輸施設整備支援機構債券 サステナビリティボンド国際協力機構債券 ソーシャルボンド住宅金融支援機構債券 グリーンボンド東日本高速道路株式会社 社債 ソーシャルボンド大学改革支援・学位授与機構債券 ソーシャルボンド

Annual Report FY2019 29

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 30: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

輸出

コンソーシアム契約

外国の企業

第三国バイヤー

日本の企業

日本企業輸出分についての再保険の引受

輸出契約全体についての貿易保険の引受

輸出契約

輸出

外国のECA

再保険契約に基づく引受

貿易保険

日系子会社

輸出等

海外のECA

バイヤー

協力協定締結先イスラエル イスラエル輸出信用保険会社(ASHRA) 1997年アブダビ首長国 ムバダラ開発(MDC) 2008年イラク イラク財務省/

イラク貿易銀行(TBI) 2011年イラン イラン経済財務省 2016年トルコ トルコ輸出入銀行(TURK EXIMBANK) 2017年

協力協定締結先南アフリカ 南アフリカ輸出信用保険公社(ECIC SA) 2005年

One-Stop-Shop再保険協定締結先イタリア イタリア外国貿易保険株式会社(SACE) 2002年オランダ アトラディウス信用保険会社(ATRADIUS) 2002年ベルギー ベルギー信用保険会社(Credendo) 2002年ドイツ ユーラーヘルメス信用保険会社(EULER HERMES) 2003年オーストリア オーストリア管理銀行株式会社(OeKB) 2003年フィンランド フィンランド輸出信用会社(FINNVERA) 2004年スペイン スペイン輸出信用保険会社(CESCE) 2005年スイス スイス連邦輸出信用機関(SERV) 2007年フランス フランス公的投資銀行(Bpifrance) 2016年チェコ チェコ輸出保証・保険公社(EGAP) 2017年イギリス 英国輸出信用保証局(UKEF) 2017年デンマーク デンマーク輸出信用基金(EKF) 2019年

短期型再保険協定締結先ロシア ロシア輸出信用・投資保険機関(EXIAR) 2016年

協力協定締結先フランス フランス対外経済省(DREE) 1995年

フランス公的投資銀行(Bpifrance) 2016年イギリス 英国輸出信用保証局(UKEF) 1995年

 日本企業が外国企業と共同で第三国におけるプロジェクトに 参加する場合に、NEXIが日本からの輸出部分等のリスクを引き 受けることを目的として、海外の主要な輸出信用機関(ECA)との間でOne-Stop-Shop再保険協定を締結しています。例えば、日本 企業が外国企業とコンソーシアム(企業連合)を組んで第三国へ 輸出を行う場合、外国企業が日本企業輸出部分を含めた輸出契約金額全体について自国のECAと保険契約を締結し、その上で日本 企業輸出部分については、その外国ECAからNEXIが再保険の 引受を行います。

 アジア地域等の日系企業による第三国向け輸出支援を目的として、NEXIはアジア等のECAと再保険協定を締結しています。この協定により、アジア等のECAの保険引受余力が引き上げられ、 アジア等の日系企業がアジア等のECAの貿易保険を活用した 対外取引リスクの軽減が容易になりました。

 欧州危機等を背景にNEXIが欧米民間保険会社と短期の再保険協定等を通じて引受キャパシティを供与する対応を開始しました。

 NEXIは、ベルン・ユニオンのメンバーである主要ECAや関係機関との間で協力協定を締結し、長期的な協力関係を構築しています。

 国際化・ボーダレス化する日本企業の様々なビジネスニーズに迅速かつ的確に対応するため、NEXIは海外の関係機関との間で以下のような協力関係を構築しています。

①One-Stop-Shop再保険

②短期型再保険

③欧米民間保険会社との再保険

④その他の協力関係

アフリカ

ヨーロッパ

中 東

NEXIの活動

海外の関連組織との協力

Annual Report FY201930

Page 31: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

ユーラーヘルメス保険会社(EULER-HERMES)(民間部門) 2013年フランス貿易保険会社(COFACE)(民間部門) 2014年アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) 2015年Tokio Marine HCC(HCC) 2016年Mitsui Sumitomo Insurance Company(Europe)/MS Amlin 2019年Credendo-Ingosstrakh Credit Insurance, LLC 2019年

協力協定締結先ブラジル ヴァーレ(VALE) 2008年

ペトロブラス(PETROBRAS) 2008年ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES) 2009年ブラジル保証基金管理機関(ABGF) 2017年

協力協定締結先アメリカ 米国輸出入銀行(US EXIMBANK) 1991年カナダ カナダ輸出開発公社(EDC) 1997年アメリカ 米国エネルギー省(DOE) 2009年

米国海外民間投資公社 (OPIC) 2017年

One-Stop-Shop再保険協定締結先アメリカ 米国輸出入銀行(US EXIMBANK) 2004年カナダ カナダ輸出開発公社(EDC) 2018年アメリカ 米国輸出入銀行(US EXIMBANK) 2019年

短期型再保険協定締結先カナダ カナダ輸出開発公社(EDC) 2012年

※ 地図上の各国色分けについて「One-Stop-Shop再保険 協定締結先」と「協力協定締結先」が同一国の場合は「One-Stop-Shop再保険協定締結先」の色に、「短期型 再保険協定締結先」と「協力協定締結先」が同一国の 場合は「短期型再保険協定締結先」の色となっています。

One-Stop-Shop再保険協定締結先短期型再保険協定締結先協力協定締結先

ドイツ ユーラーヘルメス信用保険会社(EULER HERMES)/ C&Lドイツ監査会社(C&L) 1996年ドイツ復興金融公庫(KfW) 2011年

オーストリア オーストリア管理銀行株式会社(OeKB) 1996年イタリア イタリア外国貿易保険株式会社(SACE) 1996年フィンランド フィンランド輸出信用会社(FINNVERA) 1996年オランダ アトラディウス信用保険会社(ATRADIUS) 1996年スペイン スペイン輸出信用保険会社(CESCE) 2000年ウズベキスタン ウズベキスタン輸出入保険会社(UZBEKINVEST) 2007年ウクライナ ウクライナ輸出入銀行(UKREXIMBANK) 2009年ロシア ロシア開発対外経済銀行(VEB) 2009年ベラルーシ ベラルーシ銀行(Belarusbank) 2009年ロシア ロシア輸出信用・投資保険機関(EXIAR) 2013年トルクメニスタントルクメニスタン国立対外経済関係銀行(TFEB) 2015年チェコ チェコ輸出保証・保険公社(EGAP) 2015年カザフスタン カザフスタン輸出信用・投資保険公社(KazakhExport) 2016年ジョージア ジョージア経済・持続的発展省 2019年ロシア Joint Stock Company Siberian Coal Energy Company 2019年ベルギー ベルギー信用保険会社(Credendo) 2019年ハンガリー ハンガリー輸出信用保険会社(MEHIB) 2019年

協力協定締結先欧州復興開発銀行(EBRD) 1997年APECメンバーの輸出保険機関・輸出金融機関(12カ国15機関) 1997年多数国間投資保証機関(MIGA) 2018年欧州投資銀行(EIB) 2018年イスラム投資・輸出保険機関(ICIEC) 2019年イスラム開発銀行(IsDB) 2019年アフリカ貿易保険機構(ATI) 2019年

協力協定締結先韓国 韓国貿易保険公社(KSURE) 1994年シンガポール シンガポール輸出信用保険会社(ECICS) 1997年台湾 台湾輸出入銀行(TEBC) 2005年インドネシア インドネシア輸出保険公社(ASEI) 2008年ベトナム ペトロベトナム(PETROVIETNAM) 2010年

ベトナム財政省 2014年インドネシア プルタミナ(Pertamina) 2015年中国 中国輸出信用保険公社(SINOSURE) 2018年インド インド輸出信用機関(ECGC) 2018年オーストラリア オーストラリア外務貿易省(DFAT)/

オーストラリア輸出信用機関(ECA) 2018年タイ タイ輸出入銀行(THAI EXIMBANK) 2020年

One-Stop-Shop再保険協定締結先オーストラリア オーストラリア輸出信用機関(ECA) 2005年韓国 韓国貿易保険公社(KSURE) 2011年タイ タイ輸出入銀行(THAI EXIMBANK) 2019年

短期型再保険協定締結先シンガポール シンガポール輸出信用保険会社(ECICS) 2004年マレーシア マレーシア輸出入銀行(MEXIM) 2006年インドネシア インドネシア輸出保険公社(ASEI) 2009年タイ タイ輸出入銀行(THAI EXIMBANK) 2009年台湾 台湾輸出入銀行(TEBC) 2010年香港 香港輸出信用保険会社(HKECIC) 2012年

欧米民間保険会社との再保険協定締結先

北アメリカ

アジア・オセアニア

国際機関

南アメリカ

Annual Report FY2019 31

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 32: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:中国電力株式会社)

(写真提供:MHI Vestas Offshore Wind A/S)

台湾/Changfang及びXidao洋上風力発電プロジェクト

ミャンマー連邦共和国/ガス火力発電プロジェクト

 三菱重工業株式会社が50%出資参画するデンマーク 王国(以下、デンマーク)の洋上風力発電設備製造会社MHI Vestas Offshore Wind A/S(MVOW)は、台湾彰化県沖に おける589MWの洋上風力発電プロジェクト向けに風力 タービン発電機及びタワー62基等の主要機器を納入、据付 及び保守を行うことになりました。本プロジェクトで発電 される電力は台湾電力に商業運転開始後20年間にわたり売電 されます。 NEXIは、プロジェクトファイナンスによる協調融資総額 約900億台湾ドル(約3,240億円)のうち、計10行の金融 機関による融資約102億台湾ドル(約370億円)について、 ローカル・バイヤーズ・クレジットに基づく融資保険の引受を 行いました。本件は、NEXIとして初のMVOW輸出支援案件です。 台湾では電力需要が拡大する中、必要なエネルギー資源を輸入に依存し、原子力の稼働が縮小傾向にあり、台湾政府は2025年までに5,700MW相当の洋上風力発電の導入を計画しています。本プロジェクトはこの政策目的に適い、台湾の 目指すエネルギーミックスや環境負荷の低減に貢献すること が期待されます。 また、NEXIによる本件支援は、今後も大きな成長が見込まれる洋上風力発電設備市場における本邦企業グループの事業機会拡大に貢献し、我が国産業の国際競争力の向上に繋がる

ものです。更に、本プロジェクト会社は、デンマークのインフラ ファンド運営会社Copenhagen Infrastructure Partnersが運営管理するファンドを通じて出資設立されたものであり、NEXIとして初となる、インフラファンドがメインスポンサー となるプロジェクトの保険引受となります。世界的に資金 提供者が多様化し、インフラファンド組成が拡大傾向にある中、こうした時代の変化にも出来る限り柔軟な対応をすべく取組を進めております。

●保険契約締結: 2020年2月

 中国電力株式会社(中国電力)及び四国電力株式会社(四国電力)は、タイ王国の大手エンジニアリング会社であるTTCL Public Company Limitedの子会社が保有する株式の一部 取得を通じて、ミャンマー連邦共和国(以下、ミャンマー)最大 の商業都市であるヤンゴンで運転中のアーロン・ガス火力 発電所の運営に参画することになりました。 NEXIは、中国電力及び四国電力による出資に対して海外 投資(株式等)保険の引受を行いました。また、アーロン・ガス 火力発電所の運営に当たっては中国電力及び四国電力が出資参画する以前からExport-Import Bank of Thailand(タイ輸出入銀行)がPolitical Risk Insuranceの引受を行っており、今般両社の出資参画に伴い、当該Political Risk Insuranceの両社一部出資相当分について、タイ輸出入銀行から再保険の引受も行いました。本件は、タイ輸出入銀行との再保険協定(中長期案件)締結後の引受第一号案件です。 ミャンマーでは経済成長に伴い、電力需給のひっ迫が社会的 課題となっている状況です。このような状況下、ミャンマー政府は新規発電所の新設を計画していると共に既存発電所の持続的・安定的な運営を目指しています。本件では、中国

電力・四国電力が長年培ってきた運転・保守技術を活かして、 ミャンマーにおける持続的・安定的な電力供給に貢献すること が期待されています。NEXIが本案件を支援することにより、本邦ユーティリティ企業の海外ビジネス展開が期待されます。

●保険契約締結: 2019年6月

電力関連

NEXIの活動

主な引受プロジェクト

Annual Report FY201932

Page 33: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:三井物産株式会社)

(写真提供:Petroliam Nasional Berhad(ペトロナス))

モロッコ王国/Taza陸上風力発電プロジェクト

マレーシア/RAPID製油所・化学コンプレックスプロジェクト

 三井物産株式会社及びフランスの再生可能エネルギー事業 会社であるEDF Renouvelables S.A.が設立したプロジェクト 会社を通じて、モロッコ王国(以下、モロッコ)北部のTaza市近郊地区において87.21MWの風力発電所を新たに建設し、 Office National de L’Électricité et de l’Eau Potable (モロッコ電力・水公社)に対して商業運転開始後20年間に わたり発電所の運転、保守及び売電を行うプロジェクトを行う ことになりました。 NEXIは、本プロジェクトにおいて、プロジェクト会社が プロジェクトファイナンスにより調達する協調融資(総額 約113百万ユーロ)のうち、株式会社三井住友銀行及び株式会社三菱UFJ銀行の計2行の本邦金融機関による融資(約44百万ユーロ)に対して保険の引受を行いました。なお、株式会社国際協力銀行(JBIC)も本プロジェクトへの融資を決定しています。 モロッコ政府は2030年までに電力消費に占める再生エネ ルギーの比率を52%まで増やすことを目指しています。 再生エネルギー導入拡大を進める背景には、国内に化石燃料資源が乏しく、海外からの輸入に大きく依存していることが あります。本プロジェクトはこの政策目的に適い、同国の

 NEXIは、マレーシア南部ジョホール州において、Pengerang Refining Company Sdn. Bhd.(Pengerang Refining Company)等が実施するRefinery and Petrochemical Integrated Development(RAPID)プロジェクト向けの 融資に対して保険の引受を行いました。 本プロジェクトは、マレーシアの国営石油会社Petroliam Nasional Berhad(ペトロナス)及びサウジアラビア王国の 国営石油会社Saudi Arabian Oil Company(サウジアラムコ) が、マレーシア南部ジョホール州Pengerang地区において 日量30万バーレルの精製能力を持つ製油所と、エチレン、 プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、グリコール等の 石油化学プラント群から成る同国最大の複合コンプレックス (RAPID)を建設・操業するもので、東洋エンジニアリング 株式会社が、スチーム・クラッカー・コンプレックスの建設を一括受注しております。 借入人であるPengerang Refining Companyが プ ロ ジェクトファイナンスにより調達する資金のうち、本邦からの 輸出品等の代金に充てられる資金について、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行、シティバンク、エヌ・エイ東京支店及び株式会社国際協力銀行(JBIC)が約1,500百万米ドルを協調融資し、NEXIはこのうち本邦金融機関による融資(約600百万米ドル)に対して、保険の

目指すエネルギーミックスや環境負荷の低減に貢献すること が期待されています。 なお、2019年8月に開催された第7回アフリカ開発会議 (TICAD7)において、日本政府の対アフリカ協力方針はモロッコ 政府にも支持されております。本プロジェクトはこうした 日本政府の対アフリカ施策にも合致するものと言えます。

●保険契約締結: 2020年2月

引受を行いました。 本案件はスペイン輸出信用保険会社(CESCE)、韓国輸出入 銀行(KEXIM)、韓国貿易保険公社(K-SURE)、イタリア外国貿易保険株式会社(SACE)、JBIC、NEXI等の複数の輸出信用機関が連携する国際協調融資案件です。 NEXIが本案件を支援することにより、本邦企業による 輸出を金融面から支援し、本邦企業の国際競争力の維持・向上 に寄与することが期待されます。

●保険契約締結: 2019年11月

資源関連

Annual Report FY2019 33

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 34: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(画像提供:三菱重工エンジニアリング株式会社(プラント完成予想図))

(画像提供:PAO Novatek(天然ガス液化設備の完成予想図))

バングラデシュ人民共和国/Ghorasal肥料製造プラント建設プロジェクト

ロシア連邦/Arctic LNG2プロジェクト

 三菱重工業株式会社(三菱重工業)は、中国化学工程第七建設有限公司(China National Chemical Engineering & Construction Corporation Seven, LTD)と組成する コンソーシアムを通じ、丸紅株式会社の協力を得て、バングラ デシュ人民共和国(以下、バングラデシュ)の国営肥料製造 会社であるバングラデシュ化学産業公社(Bangladesh Chemical Industries Corporation(BCIC))から、バングラ デシュの首都ダッカから北東50キロのGhorasalに新規肥料 プラントを整備するプロジェクトを受注しました。 これに関連し、NEXIは民間金融機関及び株式会社国際 協力銀行(JBIC)による本プロジェクトに係る協調融資(総額 約1,103億円)のうち、株式会社三菱UFJ銀行と香港上海 銀行東京支店が融資する約442億円に対して保険の引受を行いました。 バングラデシュは、農林業が同国GDPの10%超を占め、 労働人口の約40%が農業に従事する農業大国ですが、昨今の 経済成長・人口増加により肥料需要がますます旺盛になって います。こうした中、BCICが保有する既存肥料製造工場の 老朽化が進み、一部肥料は輸入に頼っていましたが、本プロ ジェクトにより肥料の国内生産が可能となり、同国経済の 発展に大きく寄与することが見込まれます。

 三井物産株式会社(三井物産)は、ロシア連邦(以下、ロシア) のギダン半島において、ロシアの天然ガス生産・販売大手PAO Novatekが推進するArctic LNG2プロジェクトに、 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共に参画することとなりました。三井物産及びJOGMECが共同出資で設立したオランダ王国法人Japan Arctic LNG B.V.を通じプロジェクト会社Arctic LNG2社の持分を10%取得しています。 本プロジェクトは、PAO Novatek、三井物産及びJOGMECの他、フランスのTotal、中国石油天然気集団(CNPC)及び中国海洋石油集団(CNOOC)が参画する国際 プロジェクトでもあり、今後、在来型陸上ガス田を開発、 年間1,980万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設、2023年頃から天然ガスの生産、販売及び輸送を予定して います。 NEXIは、本プロジェクトに対する三井物産の投資につき、海外投資保険の引受を行いました。また、本プロジェクトに対しては、株式会社国際協力銀行(JBIC)及び民間金融機関による協調融資も行われています。 三井物産は、本プロジェクトに対する権益持分(10%)に応じて天然ガスの引取を行う予定であり、日本にとって重要

 また、本プロジェクトでは三菱重工業グループのCO2回収技術の採用により、環境負荷の低減と尿素増産を両立させたオペレーションが可能となります。NEXIが本プロジェクトを支援することにより、本邦企業の海外インフラ輸出の拡大が期待されます。

●保険契約締結: 2020年1月

な資源である天然ガスの安定確保に貢献するものです。生産 された天然ガスは北極航海路を通じてアジア及び欧州を 中心に供給される予定であり、アジアにおける天然ガス バリューチェーン構築にも資するものです。また、日本・ロシア 両国の経済、外交関係の発展に寄与することも期待されます。

●保険契約締結: 2019年7月

NEXIの活動

主な引受プロジェクト

Annual Report FY201934

Page 35: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(画像提供:双日株式会社(空港完成予想図))

(写真提供:スタンダードチャータード銀行)

パラオ共和国/パラオ国際空港ターミナル運営プロジェクト

タンザニア連合共和国/ライトレール改修・建設プロジェクト

 双日株式会社(双日)、日本空港ビルデング株式会社(日本空港ビル)及び株式会社海外交通・都市開発事業支援機構 (JOIN)の本邦3社が、パラオ共和国(以下、パラオ)政府との 共同出資事業会社を通じ、同国の首都玄関空港であるパラオ 国際空港の旅客ターミナル・商業施設等改修・拡張を実施する とともに、同施設の20年間の運営を行うプロジェクトを行う ことになりました。 NEXIは、双日及び日本空港ビルによる投資につき、パラオの 非常リスクのほか、本プロジェクトに係るパラオ政府との Concession Agreementを対象とした契約違反リスクを てん補する海外投資保険の引受を行いました。本件は、NEXIにとりパラオ向け海外投資保険引受の第一号案件となります。 パラオ国際空港は、同国にとって唯一の国際空港であり、近年では観光客など交流人口の増加により、その重要性が ますます高まっている中、本プロジェクトは観光を基幹産業と するパラオの経済・社会の持続的な発展に貢献するものと なります。また、本プロジェクトは、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた我が国政府の取組に沿ったプロ

 三井物産株式会社は、タンザニア連合共和国(以下、タンザニア)政府主導のもと全長1,219kmを結ぶ最高時速160kmの準高速鉄道設備(線路、橋梁、信号システム、駅舎、管理室等)を5区間に分けて改修・建設する大型インフラプロジェクトについて、日本製鉄株式会社製の鉄道レールを輸出しました。この鉄道レールは、現在建設が進んでいるダルエスサラーム~モロゴロ間、モロゴロ~マクテュポラ間の2区間において使用されます。 NEXIは、2019年8月20日にデンマーク王国(以下、デンマーク)の輸出信用機関(ECA)であるデンマーク輸出信用基金(EKF Denmark’s Export Credit Agency(EKF))との間で締結した再保険協定に基づき、EKFが本プロジェクトへ提供する輸出信用につき再保険の引受を決定しました。本件 は、同協定下で再保険引受を行う第一号案件です。本プロ ジェクトのファイナンスには、NEXIと同様にスペイン王国、オーストリア共和国、イタリア共和国、スイス連邦の4つのECAがEKFとの再保険を通じて参画するほか、スウェーデン王国のECA、アフリカ輸出入銀行、南部アフリカ開発銀行、東部・南部アフリカ貿易開発銀行も参画します。 2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に代表されるように、日本は官民一体となりアフ リカ地域におけるビジネスを推進しています。NEXIは ファイナンス支援による円滑なプロジェクト組成に向け

ジェクトでもあるところ、NEXIによる海外投資保険、JOINによる出資参画に加え、独立行政法人国際協力機構(JICA)に よる融資も行われる案件であり、民間企業の有する知見やネット ワークといった強みを生かしたインフラ海外展開を政府系金融三機関が協調して支援するものでもあります。

●保険契約締結: 2019年4月

各関係機関との連携を強化しており、今後も再保険協定に 基づくOne-Stop-Shop再保険スキームを活用することで、 本邦企業によるアフリカ向け貿易・投資の促進が期待されます。 また、2019年9月には安倍総理大臣とユンカー欧州委員長(当時)が「持続可能な連結性及び質の高いインフラに関する日EUパートナーシップ」に署名するなど、日本と欧州の協力は益々重要性を増しています。本件は、日本と欧州のECAが 再保険という形で協調し、一つのインフラプロジェクトを 実現に導く象徴的な取組と言えます。

●再保険契約締結: 2020年5月

インフラ関連

Annual Report FY2019 35

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 36: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:伊藤忠商事株式会社)

(写真提供:Louis Dreyfus Company Brasil S.A. 撮影者:Marcio Bruno)

シエラレオネ共和国/パイナップル農園・加工工場投資プロジェクト

ブラジル連邦共和国/Louis Dreyfus Company Brasil S.A.向け長期運転資金融資プロジェクト

 伊藤忠商事株式会社(伊藤忠商事)が100%出資するDole International Holdings株 式 会 社(Dole International Holdings)は、シエラレオネ共和国(以下、シエラレオネ)の 首都フリータウンの南東200kmにあるルグブゥ地区にて パイナップルのプランテーション開発とそれを原料とした パイン加工品の食品製造プロジェクトを行うことになりました。 NEXIは、本プロジェクトに対するDole International Holdingsによる投資につき、シエラレオネの戦争・不可抗力リスクをてん補する海外投資保険の引受を行いました。また、 世界銀行グループの多数国間投資保証機関(MIGA)から、 シエラレオネ政府による収用リスク及び本プロジェクトに係る契約違反リスクについて一部再保険の引受も行っています。本件は、2018年5月に締結したMIGAとの再保険分野における協力協定を適用するアフリカ地域における第一号案件となります。 本プロジェクトを通して、かつて内乱等を経験した地域に多くの雇用が創出されることになります。伊藤忠商事、日・シエラレオネ政府、国際機関であるMIGA、そしてNEXIと、様々な関係者の協力と努力が結実したプロジェクトであり、日本企業だけではなく現地の社会発展にも大きく貢献して

 NEXIは、ブラジル連邦共和国(以下、ブラジル)の大手 穀物商社であるLouis Dreyfus Company Brasil S.A.(以下、LDC Brasil)に対する180百万米ドルの長期運転資金融資に対して保険の引受を行いました。本融資は、シティバンク、エヌ・エイ東京支店、BNPパリバ銀行東京支店、アイエヌジー バンク エヌ・ヴイ 東京支店、信金中央金庫、コメルツ銀行 東京支店、株式会社京都銀行、株式会社常陽銀行による協調融資です。 LDC Brasilは、1851年創業の穀物メジャーであるLouis Dreyfus Companyグループのブラジル子会社として 1942年に設立されました。LDC Brasilは我が国の食料安全保障上の重要物資である大豆やトウモロコシをはじめ、砂糖、米、綿花、コーヒー、ジュース等多岐にわたる農産物を集荷、加工、販売しています。ブラジルは大豆の輸出量で世界第1位、トウモロコシの輸出量で世界第2位を占める一大食料輸出国 であり、中でも同社は綿花及び米ではブラジル国内最大、 大豆等の油糧種子やトウモロコシ、コーヒーにおいても国内最大級の輸出規模を誇る大手食料企業です。 日本政府が掲げる「インフラシステム輸出戦略(経協インフラ戦略会議決定 令和元年度改訂版)」では、「国民への食料の安定供給のため、世界全体の農業生産の増大、農業投資の増大とともに、必要な輸入については、その安定化、多角化を

いる、いわば日本と現地がwin-winの関係にあるという海外投資のモデルケースになるプロジェクトです。NEXIが支援することにより、今後も高い成長が期待されるアフリカ地域での本邦企業のさらなる事業の発展が期待されます。 本件は2019年8月に開催された第7回アフリカ開発会議 (TICAD7)において掲げられた日本の取組のうち、投資の 促進、産業の多角化等にも貢献するプロジェクトです。

●元受保険契約締結: 2019年4月●再保険契約締結: 2019年6月

図る観点から、官民連携により、中南米等を対象に、大豆や トウモロコシ等の調達の取組の強化や我が国からの海外農業 投資を促進するための方策を検討」することが明記されてい ます。本件はこの戦略を具体化するもので、今回の融資を 契機に本邦企業との取引の促進が図られ、LDC Brasilが扱うブラジル産の油糧種子である大豆や飼料穀物であるトウモロコシ等を輸入する機会が増え、取引量も増加し本邦企業の調達先の多角化に資するものです。

●保険契約締結: 2019年12月

農業関連

NEXIの活動

主な引受プロジェクト

Annual Report FY201936

Page 37: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:Primetals Technologies)

(写真提供:株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

インド/線材製造設備新設プロジェクト

ロシア連邦/PJSC ACRON社尿素プラント向け遠心圧縮機輸出プロジェクト

 JFEスチール株式会社が15%出資するインドの大手製鉄企業 であるJSW Steelに対して、インド南西部カルナタカ州のヴィジャ ヤナガル製鉄所の拡張のため、Primetals Technologies Ltd.の海外子会社であるPrimetals Technologies USA LLC 及びPrimetals Technologies India Private Limitedが粗鋼の加工に用いる線材圧延設備一式を納入いたしました。 本件は株式会社国際協力銀行(JBIC)及びJSW Steelの 間で2018年3月26日に設定した輸出クレジットライン※の 下で引受を行うプロジェクトであり、株式会社みずほ銀行 (みずほ銀行)及びJBICの協調融資(総額約49百万米ドル) により行われます。NEXIはこのうちみずほ銀行の融資部分 (約20百万米ドル)について保険の引受を行いました。 インドでは、国内経済成長を背景として鉄鋼需要の拡大が見込まれている中、高品質の日本製製鉄設備に高い関心が 示されています。本件は、日本企業の海外法人製の機械・設備等 の輸出・販売拡大を支援し、本邦企業が出資するJSW Steelの設備投資ニーズに迅速かつ柔軟に対応するものです。※ 輸出クレジットラインは、輸出金融の一形態であり、日本からの設備等の輸出を促進するため、あらかじめ一定金額の融資枠を設けておくものです。

●保険契約締結: 2020年1月

 NEXIは、日立キャピタル株式会社(日立キャピタル)がロシア連邦(以下、ロシア)の肥料製造大手企業のPJSC ACRONから受注した尿素プラント向け遠心圧縮機輸出に ついて、貿易一般保険(2年以上案件)の引受を行いました。 PJSC ACRONはロシア有数の肥料製造販売企業であり、 国内販売だけではなく世界各地に肥料及び肥料原料となる 化学製品の輸出を行っています。現在、同社のVeliky Novgorod工場ではアンモニアを製造する際に自然発生した 大量の二酸化炭素が大気中に排出されていますが、今後は この二酸化炭素を回収して同じ工場内にある尿素プラントに 移送し、圧縮して再利用することで尿素の生産能力を増強 して肥料原料の自給率を上げることが計画されています。 本プロジェクトは尿素増産に必要な主要機器である遠心 圧縮機及びモーター等付帯設備を日立キャピタルが5年間の長期延払条件で輸出するものです。 本邦から輸出される圧縮機は、2016年にVeliky Novgorod 工場を立ち上げた際にも機械納入の実績がある株式会社 日立インダストリアルプロダクツの製品です。今回は同社製品の品質の高さや納期の確実性に対する信頼感に加えて、

長期延払条件であることが評価され、輸出が実現しました。NEXIは、2017年4月に2年以上の延払案件であっても貿易一般保険の引受を再開することを公表いたしました。本プロジェクトは、引受再開を公表して以降、初めてロシア向けに引受を行う長期延払案件になります。

●保険契約締結: 2019年9月

機械・設備関連

Annual Report FY2019 37

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 38: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:株式会社やまま満寿多園)

(写真提供:有限会社うしちゃんファーム)

和牛輸出

緑茶輸出

 宮城県石巻市所在の農業生産法人、有限会社うしちゃん ファーム(うしちゃんファーム)は、ロシア連邦の取引先への和牛の輸出について、代金の決済条件を前受金から貨物出荷後の後払送金決済へ変更することに伴い、代金回収リスクを軽減するために、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 同社は1970年の創業から今日まで、黒毛和牛の肥育・ 和牛肉販売、加工肉販売等を行ってきました。国内生産 された飼料にこだわる飼育のため、稲わら、乾牧草を国内生産者より調達するとともに、飼料となる穀物の一部も 自社農場にて栽培するなど、安心で安全な食肉供給に つとめています。 今後も、うしちゃんファームは、海外の和牛需要に応える ため、貿易保険を活用しながら、安心・安全な牛肉生産を通じて、日本の和牛の味わいを世界の食卓へ届けていきます。

●保険利用対象輸出金額:約280万円●保険契約締結:2019年7月

●保険利用対象輸出金額:81万円●保険契約締結:2020年1月

 株式会社やまま満寿多園(やまま満寿多園)は、ウクラ イナに所在する新規取引先への緑茶輸出に対して、代金 回収リスクに備えるため中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 静岡県御前崎市牧ノ原台地の恵まれた自然環境の中で、 やまま満寿多園は明治3年より、五世代、約150年にわたり、 生産、製造から販売まで、一貫したお茶づくりをしています。 平成3年から開始した輸出事業を通じ、現在同社の 提供する日本茶は、北米、欧州、アジアなど20カ国以上の国と地域で楽しまれており、その取組が評価されて、平成27年には農林水産省が主催する農林水産祭の蚕糸地域 特産部門で最高賞となる「天皇杯」を受賞しています。 やまま満寿多園は、今後も貿易保険を活用しつつ、海外市場への販売を拡大し、海外の多くの方に、日本茶のおいしさを届けていきます。

NEXIの活動

主な引受プロジェクト (中堅・中小企業の海外展開支援)

Annual Report FY201938

Page 39: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:株式会社MARUMAGO)

(写真提供:株式会社JAPAN NETWORK TRADING)

日本茶輸出

冷凍水産物輸出

 日本茶の生産量日本一を誇る茶処静岡県の中心地で ある島田市所在の株式会社MARUMAGOは、香港向けの日本茶輸出契約における後払代金回収リスクのヘッジ 手段として、NEXIの提携金融機関である株式会社静岡 銀行※の紹介を通じて、中小企業・農林水産業輸出代金 保険を利用しました。 MARUMAGOは明治38年の創業以来、自園自製に こだわった日本茶を100年以上にわたり生産してきました。 茶摘み、製茶まですべてが手作業だった時代から近代化を進め、いち早く製茶機械を導入して製品品質の均質化 を目指し、茶園の拡大、茶葉刈取り機械の大型化、工場 新設等、事業の発展を図るなかで海外展開を始めました。 同社は今後も、日本の伝統と文化を守りつつ、価値ある日本茶を価値あるスタイルで世界に発信することを通じて、日本茶が世界の人々へ広まる事を願っています。

※静岡銀行:2013年1月からNEXIと業務提携

●保険利用対象輸出金額:約1,100万円●保険契約締結:2020年3月

 神奈川県戸塚市所在の株式会社JAPAN NETWORK TRADING(JAPAN NETWORK TRADING)は、ベトナム 社会主義人民共和国(以下、ベトナム)向け冷凍水産物の輸出について、取引先の代金回収リスク管理のため、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 JAPAN NETWORK TRADINGは2017年5月に設立後、 日本の地域産業を支援する商社として、ベトナムを中心 としたアジアの消費者に対し、本邦事業者の生産する 日本産食品を提供しています。経済成長を続けるベトナム では近年、安全で健康的な日本の食品への関心が高まって おり、同社は、日本の良質な食品を求めるベトナムの 消費者と、販路を拡大したい日本各地の生産者・企業との 間に立ち、高品質の冷凍食品や調味料等の輸出に取り組ん でいます。 今後もJAPAN NETWORK TRADINGは貿易保険に よるリスクヘッジを活用しながら、日本と世界の架け橋と なって、安心・安全な日本の食品輸出を拡大していきます。

●保険利用対象輸出金額:1,198万円●保険契約締結:2019年8月

Annual Report FY2019 39

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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(写真提供:株式会社下園薩男商店)

(写真提供:アイセン・アジア株式会社)

養殖サーモン輸出

からすみ輸出

 東京都中央区築地のアイセン・アジア株式会社(アイセン・ アジア)は、台湾向け養殖サーモンの輸出に際して、後払代金の回収リスクに備えるために、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。中小企業・農林水産業輸出代金保険は、シンプルな保険設計が最大の特徴で、輸出契約毎に保険申込を選択することが可能です。また、保険料も比較的低廉な水準となっています。 同社は、チリ共和国のギンザケ養殖事業者である サルモネス・アイセン株式会社の日本法人として2017年 に設立され、アジア地域への展開におけるプラットフォーム として、高品質な養殖サーモンを本邦から台湾をはじめとするアジア諸国へ輸出しています。 貿易保険利用に当たり、バイヤーとの交渉段階からNEXIへ相談しつつビジネスを進めました。

 今後もアイセン・アジアは、貿易保険を積極活用しながら、日本からアジア市場に高品質な養殖サーモンの輸出を拡大していく予定です。

●保険利用対象輸出金額:1,077万円●保険契約締結:2020年1月

 鹿児島県阿久根市の株式会社下園薩男商店(下園薩男商店)は、輸出貨物代金後払い取引のリスク軽減のため、台湾向けのからすみの輸出について、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 下園薩男商店は昭和14年に創業した企業で、ウルメ イワシの丸干しを中心に塩干水産物の加工販売を行っています。「今あるコトに一手間加えそれを誇り楽しみ人生を豊かにする」を企業理念に、丸干しをオイル漬けにした「旅する丸干し」を製造するなど、新たな取組を行ってきました。 海外取引では、これまで商社経由で商品を販売してきましたが、台湾向けのからすみ輸出は同社にとって初めて 自らが輸出者となる取引です。商品出荷前の前払条件での取引を検討していましたが、バイヤーとの交渉により、商品出荷後の後払条件となったことから、代金回収リスク を懸念していたところ、取引銀行である株式会社宮崎 銀行※から貿易保険を紹介され、利用検討を進め、今回 初めての利用に至りました。

 同社はベトナム社会主義共和国向けの輸出を控える など、今後も海外市場への販売を拡大していく予定です。

※宮崎銀行:2014年2月からNEXIと業務提携

●保険利用対象輸出金額:約900万円●保険契約締結:2020年3月

NEXIの活動

主な引受プロジェクト (中堅・中小企業の海外展開支援)

Annual Report FY201940

Page 41: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:ナイス株式会社)

(写真提供:株式会社水戸部酒造)

日本酒輸出

スギ製材輸出

 山形県天童市に蔵を構える株式会社水戸部酒造(水戸部 酒造)は、大韓民国向け日本酒輸出について、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 輸出取引におけるポリティカルリスクを懸念していた ところに、取引先である株式会社荘内銀行※からNEXIの 貿易保険を紹介されました。取引先の不払いといった 信用危険だけでなく、輸入規制等の契約当事者の責めによらない事態といった非常危険による損失についても、てん補対象となることがわかり、貿易保険を利用し、万が一に備えながら取引を継続することとしました。 1898年(明治31年)創業の水戸部酒造の醸造する 純米酒「山形正宗」は、硬度の高い奥羽山系の伏流水で 仕込むため、「銘刀の切れ味」とも評され通の間でも人気 の高い銘柄です。酒処山形から輸出される伝統製法による 純米酒の輸出を通じ、今後も日本酒の魅力を存分に海外に伝えていきます。

※荘内銀行:2013年1月からNEXIと業務提携

●保険利用対象輸出金額:約23万円●保険契約締結:2019年12月

 神奈川県横浜市のナイス株式会社(ナイス)は、ニュージーランド向けのスギ製材品の輸出事業において、貨物 代金の後払取引金額が拡大した際の代金回収リスクの 軽減手段として、貿易一般保険(個別)を利用しました。 ナイスは、木材・建築資材の流通から住宅の供給、木造非住宅建築物の推進などを手掛けており、このうち木材 については、全国の優良製材メーカーと連携して日本各地 から良質な国産材を調達し、あらゆる部材を国内外に供給 しています。 また、全国47都道府県のすべてから森林認証済みの 建築用木材を調達する体制を構築しています。2019年12月に竣工した国立競技場の外周の軒庇(のきびさし) には、47都道府県の認証林から伐採された国産杉が使われ ていますが、同社はスタジアム外周部の軒庇木ルーバー工事の材料供給・工事を担いました。 同社グループでは今後も、国産材の利用拡大に向けて、貿易保険を活用した国産材の輸出を検討します。

●保険利用対象輸出金額:約400万円●保険契約締結:2020年1月

Annual Report FY2019 41

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 42: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:リバテープ製薬株式会社)

(写真提供:JForest全国森林組合連合会)

木材輸出

衛生材料輸出

 東京都のJForest全国森林組合連合会(JForest全森連)は、東南アジア向け東北地方産広葉樹の輸出について、 新規海外取引先からの貨物の代金回収リスクを軽減する ために、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用しました。 JForest全森連は、45道府県森林組合連合会・東京都森林組合・大阪府森林組合を会員として、世界最大規模の組合員で構成される日本の森林組合の全国組織であり、協同組合精神に基づいて、組合員の経済的社会的地位の向上、森林資源の保続培養・森林生産力の増進を図ることを目的としています。 JForest全森連は、全国各地の森林組合連合会から調達した建築材、梱包材、チップ材や原木等を全国の需要者へ 供給し、国産材の消費拡大および安定供給を推進しており ます。また、近年では海外需要に目を向け、国産材の輸出を 開始いたしました。 今後も新規取引先への輸出に貿易保険を利用することで、海外展開を積極的に行っていく予定です。

●保険利用対象輸出金額:約200万円●保険契約締結:2020年1月

 熊本県熊本市のリバテープ製薬株式会社(リバテープ 製薬)は、輸出貨物代金後払取引のリスク軽減のため、 アラブ首長国連邦の医療用機器卸業者向け衛生材料の 輸出に対し、中小企業・農林水産業輸出代金保険を利用 しました。 リバテープ製薬は、明治11年に創業し、昭和35年には、 国内メーカーとして初の救急絆創膏の開発に成功しました。 商品名となった「リバテープ」は、今でも九州地方を中心に 救急絆創膏に対する一般的な呼称として用いられるなど、 高い知名度を誇っています。現在は、医薬品や医薬衛生 用品のほか、化粧品の製造販売を幅広く行っています。 海外取引では、これまでサウジアラビア、中華人民共和国 及び大韓民国向けなどに原則前金決済により商品を販売 してきましたが、本件はアラブ首長国連邦のバイヤー から一部後払い取引を求められたため、代金回収リスクを 懸念していたところ、他の貿易保険利用者様から貿易 保険を紹介されて利用検討を行い、今回初めての利用に至りました。

 リバテープ製薬は、今後も海外市場への販売を拡大させ ていく予定です。

●保険利用対象輸出金額:約800万円●保険契約締結:2019年10月

NEXIの活動

主な引受プロジェクト (中堅・中小企業の海外展開支援)

Annual Report FY201942

Page 43: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

(写真提供:株式会社ダートフリーク)

(写真提供:株式会社ハイテム)

エッグファームオートメーション設備輸出

二輪車用品輸出

 岐阜県各務原市の株式会社ハイテム(ハイテム)は、 輸出貨物代金後払取引のリスク軽減のため、バングラデシュ 人民共和国(以下、バングラデシュ)のエッグファーム オートメーション設備(EFA:Egg Farm Automation)の 輸出に対し、貿易一般保険(個別)を利用しました。 ハイテムは昭和47年に創業した企業で、ニッチ市場、EFAに技術志向で取り組んでいるベンチャー型メーカー です。世界のトップ水準にある我が国のエッグファーム での高いシェア実績を背景に、世界人口6割のアジアでの 性能、品質面のリーダーを目指しています。 海外取引では、これまで中華人民共和国やベトナム 社会主義共和国の養鶏業者等向けにEFAを販売してきましたが、本件はハイテムにとって初めてバングラデシュ向けのEFA輸出となる取引です。新たな未知の市場への進出に伴い、非常危険及び信用危険ともに懸念していたところ、日本貿易振興機構(JETRO)から貿易保険を紹介されて利用検討を行い、今回初めての利用に至りました。

 ハイテムは、今後も海外市場への販売を拡大していく予定です。

●保険利用対象輸出金額:約1.5億円●保険契約締結:2019年12月

 愛知県瀬戸市の株式会社ダートフリーク(ダートフリーク) は、貨物出荷後の後払いで決済している取引について 代金回収リスク軽減のため、世界各国へのモーターサイクル 用部品の輸出に対し、簡易通知型包括保険の利用を開始しました。 ダートフリークは1990年に創業した企業で、モーターサイクル用品の販売のみならず、子供用自転車の「ヨツバ サイクル」等、自社製品の企画・製造も行っています。 二輪車の中でも非舗装道を走るオフロードバイクに関連した商品を多く扱っており、ヨーロッパや北米をはじめ、海外への輸出も積極的に展開している企業です。また、 2017年には同じく二輪車用品を扱う株式会社デイトナの 完全子会社となり、販売ネットワークをより強固にしています。 同社は、既にNEXIの貿易保険をご利用中のお客様からの ご紹介で保険利用に至り、これまで自らのリスクで行って いた取引についても、ヘッジ手段を確保することができ

ました。今後も継続して貿易保険を活用しつつ、海外展開を続けていく予定です。

●保険契約締結:2019年6月

Annual Report FY2019 43

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 44: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)
Page 45: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

保険商品貿易保険制度の仕組み 46

保険商品 47

貿易保険手続の流れ 54

TOPICS 58

Page 46: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

100%出資 保険契約 輸出・投融資など 外国企業

海外プロジェクト

外 国

日本政府 日本企業

● 為替取引制限・禁止、輸入制限・禁止● 戦争、内乱、革命● 支払国に起因する外貨送金遅延● 制裁的な高関税、テロ行為● 国連又は仕向国以外の国の経済制裁● 収用● 自然災害、その他、契約当事者の責によらない事態

これらの事態発生により…

貨物を船積できないことにより被る損失

貨物代金、役務対価、融資金が回収できないことにより被る損失

合弁事業者の継続不能や事業休止により

投資資産が被る損失

信用危険※

● 契約相手方の3ヵ月以上の不払い (商品クレーム等、輸出者に責のある場合を除く)● 契約相手方の破産● 破産に準ずる理由● 外国政府等を相手方とする輸出契約等の船積前の  一方的キャンセル

(                    )民間バイヤーの船積前の一方的キャンセルは一部特約を付帯した場合を除き対象外

非常危険※

以下の損失をカバーします

船積前のリスク 海外投資のリスク船積後のリスク

 貿易保険は、企業の貿易等の対外取引において生じる民間保険ではカバーできないリスクをカバーする保険です。

 貿易保険の目的は、貿易取引や海外投資を行う際に発生するリスクを軽減し、企業の海外展開を促進することです。

 貿易保険は、以下のようなリスクの発生により企業等が被る損失をカバーします。

※非常危険:契約当事者の責任ではない不可抗力的なリスク(Country Risk, Political Riskともいう)※信用危険:海外の契約相手方の責任に帰せられるリスク(Commercial Risk, Credit Riskともいう)

保険商品

貿易保険制度の仕組み

Annual Report FY201946

Page 47: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

仲介貿易

輸 出

貿易一般保険

輸出不能

代金回収不能

外国の輸入者×

××日本の輸出者

船積不能

代金回収不能××

××外国の輸入者B国

日本の仲介貿易者

外国の生産者A国

貿易一般保険

● ライセンス輸出のための保険(知的財産権等ライセンス保険)

● 輸出・仲介貿易・技術提供のための保険 日本の輸出者等が外国に貨物を輸出、仲介貿易、建設 工事等技術提供する場合に、①戦争や革命、テロ、輸入 制限・禁止、自然災害といった不可抗力や、②取引先の破産

等によって船積できないことによる損失、貨物を船積 又は技術を提供した後に代金回収不能となる損失をカバーします。

 日本の企業が外国の企業に特許・ノウハウ・著作権等 を提供する場合に、①戦争等の不可抗力や、②取引先の

破産や支払遅延により、ロイヤリティ等のライセンス料が 回収不能となった損失をカバーします。

※ 保険の引受形態は、輸出・仲介貿易・技術提供の契約ごとに引き受ける「貿易一般保険(個別保険)」のほか、企業単位で対象となるすべての契約を包括的に引き受ける「企業総合保険」等があります。

保険商品

保険商品

Annual Report FY2019 47

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 48: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

限度額設定型貿易保険 お客様の子会社等は信用免責

国、バイヤー格付によっては付保の

対象外

A国バイヤー②(格付が引受対象外)

C国バイヤー(引受対象外の国)

A国バイヤー①

B国バイヤー④

B国バイヤー①

B国バイヤー②

B国バイヤー③(子会社)

NEXIカバー範囲

お客様の限度額設定型貿易保険の

付保希望

日本の輸出者等

NEXIカバー範囲

簡易通知型包括保険

● お客様の子会社等は信用免責● 国、バイヤー格付によっては付保の対象外

A国バイヤー①

A国バイヤー②

B国バイヤー③

日本の輸出者等

限度額設定型貿易保険

簡易通知型包括保険

● 特定のバイヤーと継続的に取引を行う企業のための保険

● 複数のバイヤーと継続的かつ反復的な取引を行う企業のための保険

 日本の輸出者等が製品等を継続的に供給する輸出契約等を締結するバイヤーを選んで、そのバイヤーと1年間 に見込まれる取引額から、自ら事故の際の保険金支払 限度額を設定して保険契約を締結するものです。

 この保険は輸出契約ごとに保険を申込む必要はなく、 保険契約期間(1年間)中に締結した一定の条件を満たした 輸出契約等について自動的に保険関係が成立するため、手続が非常に簡素化されていることが特徴です。※なお、保険でカバーされる損失は、「貿易一般保険」と同様です。

 日本の輸出者等が締結する一定の条件を満たした輸出 契約等を包括的に引き受ける年間契約の保険で、輸出 契約等に基づき船積を行った代金額等を船積月の翌月末までにまとめて通知することで保険関係が成立します。

 輸出契約ごとに保険を申込む必要はなく、また船積 実施後の通知となることから保険契約の内容変更手続が生じることも少ないため、他の保険種に比べ事務手続が簡素化されていることが特徴です。※保険でカバーされる損失は、「貿易一般保険」と同様です。

保険商品

保険商品

Annual Report FY201948

Page 49: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

中小企業・農林水産業輸出代金保険

外国のバイヤー

日本の銀行

質権設定

融資

日本の中小企業等

貨物の輸出

代金回収不能××

手形の買取依頼

支払不能手形の呈示

輸出手形保険

輸出契約

手形の送付

送金不能

外国の取立依頼銀行

外国の輸入者

(手形支払人)

日本の輸出者

(手形振出人)

日本の銀行等

×× ××

輸出手形保険

中小企業・農林水産業輸出代金保険

● 中堅・中小企業及び農林水産業従事者の輸出のための保険

 この保険は、主として信用状を伴わない荷為替手形を 買取った銀行に対しバイヤーの満期不払等のリスクを カバーすることにより、銀行における荷為替手形の買取り が円滑に行われるようにするための保険です。日本の 銀行が、輸出代金の回収のために振り出された荷為替

手形を買取った場合に、①戦争や革命、外貨交換の禁止 又は外貨送金の停止、自然災害といった不可抗力や、 ②外国の輸入者の破産等によって、その手形が不払になり 資金の回収ができないことによる損失をカバーします。

 日本の中堅・中小企業及び農林水産業従事者の輸出を 支援するための保険です。輸出代金の回収不能による 損失をカバーし、簡素化された保険申込手続、迅速な保険金支払等、利用者の皆様のニーズに合わせた商品内容と

なっています。また、この保険は、銀行から融資を受ける 中堅・中小企業及び農林水産業従事者が保険契約の申込み と保険金請求権等への質権の設定の手続を同時に行うこと が可能な商品です。

前払輸入保険

 日本の輸入者が、前払いで外国から貨物を購入する 契約を締結したが、貨物を輸入することができなくなった 場合に、あらかじめ前払輸入契約で定めた返還条件に 基づいて前払金の返還請求をしたにもかかわらず、①戦争、

革命、外貨交換の禁止又は外貨送金の停止、自然災害と いった不可抗力や、②相手方の破産、債務の履行遅滞によって、当該前払金の返還を受けることができないことによる損失をカバーします。

Annual Report FY2019 49

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 50: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

貿易代金貸付保険

輸出契約等

償還不能

融資等外国の輸入者

日本の輸出者

日本の銀行等JBIC ××

海外事業資金貸付保険

××

外国の政府又は企業

日本企業・銀行等※

償還不能

融資・債権の購入

貿易代金貸付保険

海外事業資金貸付保険

● 輸出代金等の融資等のための保険(バイヤーズ・クレジット)

● 事業資金の融資又は債券の購入のための保険(貸付金債権等)

 日本の銀行等が、日本からの貨物の購入資金を外国の輸入者に融資等(債券の購入及び保証債務の負担も含み ます。)した場合に、①戦争や革命、外貨交換の禁止又は 外貨送金の停止、テロ、自然災害といった不可抗力や、

②融資先の破産や債務の履行遅滞によって、貸付金や 債券が償還不能となることによる損失をカバーします。 ただし、貸付契約等は、国際ルールに従ったものでなくては なりません(詳しくは58頁参照)。

 日本の企業・銀行等※が、本邦外で行われる経済開発に資するプロジェクト等のために外国の政府や企業に事業 資金を融資した場合、又は外国の政府や企業が事業に 必要な資金を調達するために発行した債券を購入した

場合に、①戦争、革命、外貨交換の禁止又は外貨送金の 停止、自然災害といった不可抗力や、②融資先等の破産や債務の履行遅滞によって、貸付金や債券の償還が受けられないことによる損失をカバーします。

※日本の銀行は、国際協力銀行(JBIC)と協調して融資等を行い、NEXIは民間銀行の融資等について貿易保険でカバーします。

保険商品

保険商品

Annual Report FY201950

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海外事業資金貸付保険

債務の保証

償還不能融資等

銀 行 ××

日本企業・銀行等※

外国の企業海外子会社や合弁会社等

シニアローン向け特約

海外資源プロジェクト会社等

海外事業資金貸付保険

日 本 日 本

先進国銀行内エスクロウ口座

引取等 貸 付

返済金資源販売等代金

日本の銀行等

オフテイカー等

エネルギー資源鉱物資源

生産設備鉱 区

借入金

劣後ローン

資本勘定

資源エネルギー総合保険

● 債務保証のための保険(保証債務)

 海外からの安定的な資源供給の確保に対する取組を 抜本的に強化するために、資源エネルギー案件のリスクの 特性を踏まえ、通常の海外事業資金貸付保険に比べて 大幅に低い料率、幅広いリスクの填補範囲等を実現する保険です。資源エネルギー総合保険は、海外事業資金貸付保険に特約を付すことで付保することができます。

 日本の企業、銀行等が、資源開発に資するプロジェクト 等のために外国の政府や企業に事業資金を融資した場合に、①戦争、革命、外貨交換の禁止又は外貨送金の停止、自然災害といった不可抗力や、②融資先等の破産や不払 によって、貸付金の返済や償還が受けられない損失を カバーします。

 日本の企業・銀行等※が、海外子会社や外国政府、企業の 事業資金の借入金等に対する保証債務を負担した場合に、借入人である当該海外子会社や外国政府、企業が、①戦争、革命、外貨交換の禁止又は外貨送金の停止、自然災害と

いった不可抗力や、②破産等によって債務不履行を発生 させたために、保証債務を履行したことによる損失を カバーします。

※ 我が国の対外取引の健全な発達を図るために特に必要な事業(重要な資源の取得促進や本邦企業の競争力を促進する事業等)については外国の企業・銀行 等も対象となる場合があります。

● 本邦事業者によるエネルギー資源・鉱物資源の引取、権益取得又は関連インフラ整備案件※

向けに、日本の銀行等が供与するシニアローンが対象となります。※ 本邦を最終需要地とする引取案件以外は、本邦から当該エネルギー資源等の引き合いを受けた場合に、本邦に振り向けられる蓋然性が高いと判断できる案件に適用されます。

● 通常の海外事業資金貸付保険に比べて低い料率が適用されるのは、先進国銀行内にエスクロウ口座が開設されることが条件となります。先進国銀行内にエスクロウ口座が開設されない場合、通常の海外事業資金貸付保険の料率となりますが、信用付保率は97.5%が適用されます。

Annual Report FY2019 51

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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海外投資保険(株式等)

事業継続不能等×送金不能

出資

日本の企業外国の企業海外子会社や合弁会社等(    )××

海外投資保険(株式等)

海外投資保険(株式等)Y国 A国

B国

事業継続不能等

日本の企業

孫会社A

孫会社B

出資 出資

子会社

×××出資

海外投資保険

● 出資に対する保険(株式等) 日本の企業が、海外で子会社や合弁会社を設立した 場合に、戦争、テロ行為や自然災害といった不可抗力事由 によって、その会社が事業を継続できなくなること等

による損失をカバーします。また、外貨交換の禁止又は 外貨送金の停止により配当金を日本に送金できないことによる損失も力バーします。

 また、日本の企業が出資した子会社が、複数の国でそれぞれ複数の事業会社を孫会社として設立して事業を展開 した場合において、そのいずれかの孫会社が戦争、テロ 行為や自然災害といった不可抗力事由によって事業を

継続することができなくなったときは、(他の孫会社が 事業を行っていても)その孫会社が事業を継続できなくなることによる損失をカバーします。

環境イノベーション保険

 再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業及び地球 環境保全に資する新技術を活用する事業を対象に、通常の 融資保険に比べて高い信用付保率(97.5%)を適用する保険です。環境イノベーション保険は、貿易代金貸付保険もしくは海外事業資金貸付保険に特約を付すことで付保

することができます。 なお、この保険は、当該プロジェクトを実施する本邦 企業やファイナンスを供与する金融機関が、環境保全・気候 変動対策分野に係る情報開示を積極的に進める場合に ご利用いただけます。

※資源権益の確保に伴い事業者が支払うこととなるプレミアム分(いわゆる「のれん代等」)についても海外投資保険の引受は可能です。

保険商品

保険商品

Annual Report FY201952

Page 53: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

海外投資保険(株式等)

海外投資保険(株式等)Y国

事業継続不能等

日本の企業

孫会社A

孫会社B

出資 出資

子会社××出資

日系損害保険会社

海外現地法人

保険契約

販売契約

輸出契約・仲介貿易

出資

再保険契約

本邦企業 バイヤー

バイヤー

シンガポール・香港・タイ・英国・ベトナム

B国

フロンティング

 シンガポール・香港・タイ・ベトナム・英国の海外日系 企業がバイヤーとの間で製品等を継続的に販売する輸出 契約等について、1年間の取引額に対して保険金支払限度額 を設定し、主にバイヤーの破産や支払遅延によって代金

回収不能となる損失をてん補します。 NEXIは再保険の形で関与し、現地の日系損害保険会社を 通じて保険商品を販売することから「フロンティング」と呼んでいます。

 さらに、日本の企業が出資した子会社が、子会社と同一の国内で複数の事業会社を孫会社として設立して事業を 展開した場合において、そのいずれかの孫会社が戦争、 テロ行為や自然災害といった不可抗力事由によって事業を

継続することができなくなったときは、(他の孫会社が 事業を行っていても)その孫会社が事業を継続できなくなることによる損失もカバーします。

 海外投資保険には上記の出資に対する保険(株式等)以外に権利等の取得に対する保険(不動産等)もあります。

Annual Report FY2019 53

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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事前相談審査などに時間のかかる場合も

ありますので、時間的に余裕を持ってご相談ください。特に、償還期間が2年以上となる融資契約や海外投資等については、契約内容を個別に審査して引受の可否を判断することになりますので、初期段階からご相談いただきますようお願いいたします。

貿易保険利用者(シッパー)の登録 貿易保険を新たにご利用いただく場合は、保険申込みの前に保険利用者コード(シッパーコード)の登録を行っていただく必要があります。

※以前にご登録いただいた方は再登録の必要はございません。

海外商社(バイヤー)の登録貿易保険のお申込みの前

にお取引の相手方(輸出契約等の相手方又は支払人を指し、保証銀行を含みます)を登録していただく必要があります。

事前相談

お見積り提示

貿易保険利用者(シッパー)の登録

海外商社(バイヤー)の登録

海外商社名簿

登録なし

海外商社名簿

登録あり

バイヤー与信

審査・格付登録

ご利用についての検討

保険の申込手続

 この図は、貿易一般保険(個別)を例にしたイメージ図です。

保険商品

貿易保険手続の流れ

Annual Report FY201954

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お申込み可能期間輸出契約等の締結日以降船積日

から起算して5営業日後の日までお申込み可能です。保険責任はお申込み以降に開始

します。

輸出契約等締結日

船積日

保険責任の終了日

代金決済期限

保険責任の開始日

代金の回収不能に係るリスクてん補

貨物の船積不能に係るリスクてん補

お申込日/保険契約の締結日

不不てん補不不てん補期間

(5日間)(5日間)船 後船積後期間

船船積前期間

保険期間

詳しくは、下記までお問い合わせください。

詳しい手続に関しては、ウェブサイトにてご案内しております。(https://www.nexi.go.jp)

本店 営業第一部●営業推進グループ

フリーダイヤル 0120-671-094●輸出保険第一グループ

フリーダイヤル 0120-675-094大阪支店

●営業グループ フリーダイヤル 0120プ -649-818

Annual Report FY2019 55

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 56: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

損失防止軽減義務

保険金請求日から原則2カ月以内に保険金をお支払いします。事情発生通知

決済期限又は償還期限前の段階で、損失を受けるおそれが高まる事情を知ったときは、その日から15日以内(1カ月以内としている保険種もあります)に事情発生の通知をNEXI宛に行ってください。

損失等発生通知 損失等の発生を知ったときは、当該損失等の発生を知った日から原則として、1カ月以内(当分の間、45日以内としている保険種もあります)に損失等発生の通知をNEXI宛に行ってください。

保険契約の締結日

保険金請求の期限

権利行使等委任

保険金請求

損失等発生通知の期限

保険事故発生日

損失を受けるおそれが

高まる事情の発生

保険金のお支払

権利行使等委任 保険金請求時に、輸出契約等において債権者の有する一切の権利行使等をする権限をNEXI に委任いただきます。

 パリクラブ(Paris Club)は債務国の債務救済を協議するために、主要債権国政府が集まって議論する会議で、通称「パリクラブ」と呼ばれています。1956年の発足以来、法的拘束力のない緩やかな集まりとして、「パリクラブの原則」に基づき活動しています。 パリクラブでは、債務支払が困難に陥った債務国政府と債務救済(リスケジュール等)について協議をしています。パリクラブにおける債権国のメリットは、対外債務の支払に十分な外貨を持ち合わせていない債務国から、長期になりますが債権国間の公平性を確保しながら確実に債権を回収することができる点にあります。

債権回収の一手段としての「パリクラブ」

保険金支払の手続

 この図は、貿易一般保険(個別)を例にしたイメージ図です。

保険商品

貿易保険手続の流れ

Annual Report FY201956

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回収方針の策定保険金請求後の回収方針の策定はNEXIが行います。

回収実施の主体● NEXIの提携するサービサー(債権回収業者)● 被保険者(お客様)による回収● NEXI及び日本政府(パリクラブ等での相手方政府との交渉)

回収協力義務● 回収に必要な措置の実施をNEXIより被保険者に指示した場合は被保険者にはその指示に従う(回収協力)義務があります。

●「NEXIの提携するサービサー」が回収の実施主体となるケースでも、被保険者に協力をお願いすることがあります。

効率化

回収ステージ 多様な回収手段に多様な回収手段にによるよる多様な回収手段による多様な回収手段による回収の実現回収の実現現現回収の実現回収の実現

迅速化

最大化

案件終了回収金配分

債権業務部フリーダイヤル 0120-673-094

  ●査定グループ TEL.03-3512-7663  ●回収グループ TEL.03-3512-7658

詳しくは、下記までお問い合わせください。

Annual Report FY2019 57

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 58: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

 OECDは国際経済全般について協議することを目的に1961年に設立され、日本は1964年4月に加盟しました。OECD貿易委員会の下部組織である輸出信用保証部会では、各国輸出信用機関(ECA)間の情報交換やNEXIの貿易保険を含む公的輸出信用に係る議論が行われています。NEXIは日本のECAとして、経済産業省等の関係省庁とともに、議論に積極的に参加しています。 また、近年は公的輸出信用分野における金融条件の議論に加え、環境問題、気候変動、贈賄問題や持続可能 な貸付といった、ECAの果たすべき社会的責任についても重点的に議論が行われています。

1輸出信用保証部会(ECG会合及び参加国会合)

 OECDでは、輸出信用の秩序ある利用と公平な競争環境条件の維持を目的として、参加国間で共通の 輸出信用に関するルールであるOECD公的輸出信用アレンジメントを定めています。本アレンジメントは、 各ECAが輸出信用を供与する際の共通の条件(最低保険料水準、頭金、最長償還期間、最低貸出金利及び償還 方法等)を規定しています。また船舶、原子力発電所、航空機、石炭火力、鉄道インフラ、再生可能エネルギー・ 気候変動緩和技術・水関連プロジェクト及びプロジェクト・ファイナンスについては、アレンジメント本則 とは別に各セクターの特徴を考慮した条件を適用することができます。NEXIによる輸出信用の供与も、 このアレンジメントに従って実施されています。

2OECD公的輸出信用アレンジメント

 OECDでは、2001年の環境コモンアプローチの策定以降、定期的な見直しによる取組の向上を図っており、 2012年6月に3度目の見直しが行われました。NEXIでは、環境コモンアプローチを踏まえた「貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン」を定め、これに基づき、保険契約の対象となるプロジェクトにおいて環境社会配慮が適切になされるよう取り組んでいます。

3環境への取組

 不当な利益の取得のために外国公務員に対して金銭等の不当な利益を供与することを禁じた1997年のOECD贈賄防止条約と、2006年の公的輸出信用と贈賄に関するOECD理事会勧告を受け、NEXIでは贈賄に対する取組を行ってきました。2019年3月に当該勧告が改訂されたことから、改訂内容を踏まえた贈賄への取組を強化しています。

4贈賄防止への取組

TOPICS

経済協力開発機構(OECD)

Annual Report FY201958

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NEXI概要・組織運営法人概要 60

経営計画 62

業務運営・管理体制 64

組織図 66

所在地 67

TOPICS 68

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名 称 株式会社日本貿易保険(Nippon Export and Investment Insurance)

設立年月日 2017年4月1日

設立根拠法 貿易保険法

目 的 対外取引において生ずる通常の保険によって救済することができない危険を保険する事業を行うこと。

主 務 大 臣 経済産業大臣

資 本 金 額 1,693億5,232万4,369円(政府全額出資)

役 員 代表取締役社長 黒田 篤郎代表取締役副社長 仲田 正史常務取締役 和田 圭司常務取締役 寺村 英信取締役(社外取締役) 寺本 秀雄監査役 中村 恵司監査役(社外監査役) 大塚 章男監査役(社外監査役) 松井 智予

役 職 員 数 210名(2020年4月1日時点)

業務の範囲 一. 貿易保険法第3章の規定による貿易保険の事業を行うこと。

二. 上記業務に附帯する業務を行うこと。

三. 貿易保険によりてん補される損失と同種の損失についての保険(再保険を含む。)の事業を行う国際機関、外国政府等又は外国法人を相手方として、これらの者が負う保険責任につき再保険を引き受けること。

四. 貿易保険以外の保険(通常の保険を除く。)であって対外取引の健全な発達を図るために必要なもの として政令で定めるものの引受けを行う本邦法人を相手方として、当該保険の引受けによって当該法人が 負う保険責任につき再保険を引き受けること。

五. 貿易保険によりてん補される損失と同種の損失についての保険(再保険を含む。)の事業を行う国際機関、外国政府等又は外国法人を相手方として、貿易保険法により日本貿易保険が負う保険責任につき再保険を行うこと。

沿 革 1999年 7 月 独立行政法人通則法成立1999年12月 貿易保険法等の一部を改正する法律成立2001年 4 月 独立行政法人日本貿易保険(NEXI)設立2015年 7 月 貿易保険法等の一部を改正する法律成立(2017年4月から政府全額出資の特殊会社へ移行)2017年 4 月 株式会社日本貿易保険(NEXI)設立[参考:1950年3月 貿易保険法成立。以降、貿易保険事業は2001年3月末まで経済産業省(旧通商産業省)にて運営。]

国 内 東京本店 大阪支店

海 外 シンガポール支店、パリ事務所、ニューヨーク事務所

NEXI 概要・組織運営

法人概要

Annual Report FY201960

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役員

(後列) 寺村常務取締役 寺本取締役(社外取締役)(前列) 仲田代表取締役副社長 黒田代表取締役社長 和田常務取締役

大塚監査役(社外監査役) 中村監査役 松井監査役(社外監査役)

Annual Report FY2019 61

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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中期経営計画(2019-2021年度)

(1) サービスの質を向上し、より多くのお客様に安心を提供する① 輸出保険(包括保険)について、お客様に継続して利用されるよう、ニーズの把握、商品・サービスの不断の見直しを行う。

② 輸出保険(S/C含む)について、これまで利用のないお客様を含め利用を促進する。

③ 海外投資保険について、民間損保会社との連携の 枠組みの構築や募集ツールの充実等を通じて利用 企業の裾野を広げる。

④ 融資保険について、インフラ輸出等を後押しするため、市場ニーズを踏まえた商品開発・制度改正等を行う。

⑤ 保険金の支払い段階におけるお客様の満足度を向上させる。

⑥ ホームページを通じてお客様にわかりやすく 効果的な情報提供を行う。

⑦ 顧客アンケート等を通じてPDCAを実施し、顧客向けサービスの質を向上させる。

(2) 国の政策実現に貢献する① インフラ輸出等を後押しするため市場ニーズを踏まえた商品開発・制度改正を行う。【再掲】

② インフラプロジェクトなど政策的に重要度の高い 案件の組成を支援し、積極的な引受を行う。注:重点分野に属する案件1)政策的重要度が高い案件● 質の高いインフラ輸出/海外事業参画● 資源・エネルギー・食糧の安定供給源確保● 先進的環境・安全技術の輸出/海外事業参画(省エネ・環境改善に資するプロジェクト)● その他、日本企業の有する高い技術力を 活かした製品・サービスの輸出/海外事業 参画

2) 日本企業の戦略的海外展開に大きく貢献 する案件

 企業理念の実現のため、中期経営計画期間(2019年度から2021年度)においては、以下の4つの柱の下、計画を策定しました。

(1) サービスの質を向上し、より多くのお客様に安心を提供する

(2) 国の政策実現に貢献する

(3) より魅力ある職場を創る

(4) 長期安定的な事業運営のための基盤を充実させる

4つの柱

● 中期経営計画(2019-2021年度)

NEXI 概要・組織運営

経営計画

Annual Report FY201962

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3) 他国/国際公的金融機関との協調案件で、 国際的な重要性が認められるもの、あるいは NEXIの国際的な認知度向上・協力関係の 構築に寄与するもの。

③ 中堅・中小企業の海外取引・農林水産業の輸出を一層支援する。

(3) より魅力ある職場を創る① 職員研修等を通じて企業理念や行動指針を浸透させる。

② 社外への出向、研修先を拡大し、活躍の場を広げる。③ 在宅勤務制度の活用を広げ、多様な働き方が可能な職場環境を実現する。

④ 職員アンケートを通じたPDCAを実施し、職場 環境を改善する。

(4) 長期安定的な事業運営のための基盤を充実 させる① 現行の保険システムに替わるシステムを構築し、 2021年度中を目途に稼働させる。並行して、 システム部門の体制の強化を図る。

② リスク量計測の高度化を進める。また、定量分析を ベースとしてリスク集中が予想される国・債務者・セクターへの対応方針を経営レベルで議論、引受方針等への反映を可能にする枠組みを構築する。

さらに、リスク分析に基づき個別案件の初期相談の段階から引受条件(引受可能額・シェア等)が判断できるようルール化の検討を進める。

③ 定性的なリスク管理に関してより体系的な運営の 枠組みを構築し、自律的なPDCAを持続的に推進する。

④ バイヤー格付けの精度を一層向上させ、より企業の 信用状況に即したきめ細かい与信枠設定を行う。

⑤ カントリーリスクに対する情報収集・分析力を向上させつつモニタリングを強化し、国際情勢の変化を引受方針や引受審査に適切に反映させる。

⑥ 人員について、将来的に200名(注)程度の規模とすることを念頭に、年齢構成にも配慮した中期的な人員計画を策定、計画的な採用を進める。また、特に、案件組成をリードできるようなPF人材、IT システム、リスク管理(出再含む)、資金管理、環境 審査の各分野における人材育成計画(処遇を含む)を確立し、確保・育成を開始する。

⑦ 市場リスクを勘案した資産サイドの評価を行うなどALM的な取組や資金計画に係る担当部署・システムの一元化などを検討し、出来うるものから段階的に実施し、資金管理に係る仕組みを強化する。

⑧ 主要な回収案件について2021年度までに18.9%の回収を実現する。

(注)出向者含む。正職員数。ITシステム部門の人員増分は含まない。

Annual Report FY2019 63

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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監査役会

内部監査グループ

アドバイザリーグループ(リスク管理/資金管理)

会計監査人

評価委員会

経営会議

コーポレートガバナンス委員会

取締役会

株主総会

代表取締役社長

コンプライアンス推進

コーポレートガバナンス

● 監督・評価及び業務執行について

● 国の関与について

● 内部統制基本方針について

 NEXIは貿易保険制度を担う政策金融機関として求め られる公共的使命及び社会的責任を自覚し、常に法令等を 遵守し公正な事業運営を行うべく、コンプライアンスを

経営における最重要課題のひとつとして位置付け、以下の取組を行っています。

 NEXIは、会社法所定の取締役会、監査役会等の機関に 加えて、評価委員会、経営会議、コーポレートガバナンス 委員会、アドバイザリーグループを設置することで、 取締役会等による監督・評価の強化と、業務執行の機動性の向上等に取り組むこととしています。

取締役会 取締役会は経営上の重要事項の決定とNEXIの業務執行の監督を行っています。取締役会は5名の取締役で構成され、 うち1名が会社法に規定される社外取締役です。社外取締役 は、NEXIの代表取締役・業務執行取締役とは異なる社外 出身者の視点からNEXIの業務執行の監視・監督を行います。

監査役会 会社法等諸法令、定款諸規則などに基づき、取締役の 意思決定の過程や職務執行状況の監督を実施しています。監査役会は3名の監査役で構成され、うち2名が会社法に

規定される社外監査役です。社外監査役は、常勤監査役と 連携の上、社外出身者の視点から取締役の業務執行を監査し、 NEXIのガバナンス態勢向上に貢献します。また、監査役の 職務を補助する組織として、監査役会事務局を設置して います。

評価委員会 評価委員会は、社外の有識者及び社外取締役で構成され、 NEXIの業務及び運営の状況や、NEXIの経営に関して 取締役会が諮問する事項等に関して評価・助言を行います。

経営会議 経営会議は役員等で構成される会議体であり、経営に 関する重要な事項(コーポレートガバナンス委員会の所掌を除く)について審議します。

コーポレートガバナンス委員会 コーポレートガバナンス委員会は役員等で構成される 会議体であり、会社の内部管理における重要な事項について 審議します。

アドバイザリーグループ(リスク管理/資金管理) 取締役会の諮問機関として、NEXIのリスク管理と資金 管理について、社外の有識者の専門的な知見に基づき 評価・助言を行います。

 NEXIは、国が100%出資する株式会社であり、主務大臣からの監督、会計検査院検査、主務省による検査等の統制の下で貿易保険事業を運営しています。

 NEXIは、会社法に則り、会社の業務の適正を確保するため の体制の整備などについて内部統制基本方針を取締役会 決議により定め、当該基本方針に基づき規則の制定その他体制の整備を行っています。

NEXI 概要・組織運営

業務運営・管理体制

Annual Report FY201964

Page 65: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

リスク管理

● コンプライアンスルールの周知・徹底 ● コンプライアンス遵守・推進体制

● 反社会的勢力に対する方針

● リスク管理推進体制

● 大規模災害リスク

● 統合的なリスク管理の取組

 NEXIは、国の制度である貿易保険業務を担う唯一無二の専門機関として、対外取引を行うより多くのお客様に対し安心を提供し、また我が国の成長戦略の実現に向けた取組 を推進し、お客様の多様なニーズに積極的に応えていく ことにより、対外取引の健全な発展に貢献することを事業 の目的としています。NEXIが担うこれらの社会的役割を 全うするため、適正なリスク管理を統合的に行うための 枠組みを構築しています。

● NEXIは、役職員(派遣労働者を含む。以下同じ)が、法令及び 定款に適合し、また適正かつ健全な事業活動を遂行する ため、コンプライアンス基本方針を定めています。

● NEXIは、機密情報管理規則、情報セキュリティポリシー、その 他の情報管理に関する内部規則類を定め、機密情報及び 情報資産を適切に保存し管理する体制を整備しています。

● NEXIは、役職員として知っておくべきコンプライアンスに 関する基本事項、遵守しなければならない重要な法令や ルール、コンプライアンスに関する内部規則類を解説した コンプライアンスマニュアルを作成し、役職員のコンプライ アンスに関する理解の促進に努めています。また毎年コンプ ライアンス推進の年度計画(コンプライアンスプログラム)を策定し、あわせてコンプライアンスに関する研修や啓発活動を行うなど、周知・徹底に努めています。

● NEXIは、コンプライアンスに関する重要事項を審議し、 法令等遵守状況のモニタリングを行うことを目的のひとつ とした会議体である、コーポレートガバナンス委員会を 置いています。

● NEXIは、コンプライアンスに関する責任者と担当部署を 置き、コンプライアンス態勢の整備・推進、役職員への周知・徹底活動に当たっています。

● NEXIは、コンプライアンスに関する重要な事実を早期に 発見し必要な是正措置を講ずることが可能となるよう報告ルートを定めるとともに、有効な内部通報制度を整備し、これを適切に運営しています。

● NEXIは、反社会的勢力と一切の関係を持たず、反社会的 勢力に対しては、組織全体として対応し、毅然とした態度で 臨むとともに、反社会的勢力からの不当な要求を断固として 拒絶します。

● NEXIは、リスク管理に関する重要な事項やモニタリング 状況について、内容に応じて経営会議またはコーポレートガバナンス委員会で審議や報告を行っています。

● NEXIは、リスク管理及び資金管理に関するアドバイザリー グループを設置しています。

 NEXIは、大規模災害リスクを経営上重大なリスクであると認識しており、大規模災害が業務に与える影響を可能な限り回避し、被災した場合にはそこからの早期回復を図るための事業継続計画を策定しています。

保険引受リスク管理 NEXIでは引受に際し、営業担当部門がお客様から頂いた情報に加え、審査部門や海外事務所、専門調査機関の収集した各種データをもとにリスク評価を行っています。また、 与信先国や与信先企業、プロジェクトの状況をモニタリング し、与信状況の変化を引受に反映させています。 さらに、個別の与信管理に加え、ポートフォリオ全体のリスク量把握や集中度分析、引受額目安の設定、シナリオ分析等を行っています。貿易保険事業の健全な発展のため、 集積リスクの一部出再の実施等を通じ、保険引受余力の 維持・拡大に努めています。

資金管理・運用リスク NEXIが保有する資金は、将来の保険金支払いのための準備資金です。 その資金特性に照らし、保険金支払に適時に対応する ため、高い安全性と確実性の確保を最重要視し、市場

環境等の動向も常に注視しながら、適切な資金管理を行っています。

オペレーショナルリスク NEXIは、通常の業務活動(オペレーション)の中で発生する事務リスク等のリスク事象の抑制に努めるとともに、発生した場合には適時適切な報告及び即時の対処がなされ、再発防止策を講じることとしています。 また発生した事象はコーポレートガバナンス委員会にも報告され、オペレーショナルリスク管理の実効性を高めるとともに、上述のコンプライアンス推進とあわせ行動規律を重視する組織文化を醸成しています。

Annual Report FY2019 65

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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総務・広報グループ

総務部

企画室

コーポレートガバナンス部

業務・IT統括室

営業第一部

代表取締役社長

内部監査グループ

環境ガイドライン審査役

経営会議

コーポレートガバナンス委員会

アドバイザリーグループ(リスク管理/資金管理)

人事委員会

取締役会

評価委員会

株主総会

会計監査人

営業第二部

債権業務部

審査部

大阪支店

シンガポール支店

人事グループ

研修・採用グループ

調達・管理グループ

出納グループ

契約業務グループ

経理グループ

企画グループ

制度・法務グループ

リスク管理グループ

財務グループ

業務プロセス管理グループ

情報システムグループ

プロジェクト管理グループ

輸出保険第一グループ

営業推進グループ

輸出保険第二グループ

投資保険第一グループ

投資保険第二グループ

管理グループ

電力グループ

資源第一グループ

資源第二グループ

インフラストラクチャーグループ

査定グループ

回収グループ

海外事務所パリ事務所

ニューヨーク事務所

審査グループ

環境グループ

カントリーリスクグループ

与信管理グループ

営業グループ

異議申立事務局監査役会事務局

監査役監査役会

NEXI 概要・組織運営

組織図(2020年4月現在)

Annual Report FY201966

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本店〒101-8359東京都千代田区西神田3-8-1千代田ファーストビル東館5階TEL.03-3512-7650FAX.03-3512-7660

パリ事務所c/o JETRO 27, rue de Berri, 75008 Paris FranceTEL.33(-0)1-4261-5879FAX.33(-0)1-4261-5049

ニューヨーク事務所c/o JETRO 565 Fifth Avenue, 4th Floor, New York,N.Y. 10017 USATEL.1-212-819-7769 FAX.1-212-997-0464

大阪支店〒541-0041大阪府大阪市中央区北浜3-1-22あいおいニッセイ同和損保淀屋橋ビル8階TEL.06-6233-4019FAX.06-6233-4001

シンガポール支店16 Raffles Quay#38-06, Hong Leong Bldg.Singapore 048581TEL.65-6429-9582 FAX.65-6222-0481

都営三田線

サンライトビル

サンライトビル

城南信用金庫

城南信用金庫

専大前交差点

北の丸スクエア

半蔵門線

都営新宿線

大原簿記学校本館

専修大学専修大学

目白通り

首都高速5号線

水道橋西通り

白山通り

西口 東口

靖国通り

東西線

の丸スククエエエア7番出口

5番出口

A2出口

線A4出口

JR中央線JR水道橋駅

神保町駅九段下駅

ヴィラフォンテーヌ九段下

都記大原簿

NEXI千代田ファーストビル東館

NEXI Paris

NEXI NY

B.D.F.M 47-50 street/6th AvenueRockefellerCenter 48th Street

47th Street

45th Street

44th Street

43th Street

42th Street

46th Street

Fift

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GrandCentralTerminal

B.D.F.M 42 street/6th Avenue 7 42street/5th Avenue

4.5.6 42street/Lexington

Penn StationPort AuthorityPenn StationPort Authority

地下鉄谷町線地下鉄谷町線 国道1号線国道1号線JR東西線JR東西線

御堂筋

御堂筋

日本銀行日本銀行

京阪本線京阪本線

ミズノミズノ

大阪市役所大阪市役所

みずほ銀行みずほ銀行

淀屋橋駅

梅田駅

肥後橋駅

西梅田駅

地下鉄四ッ橋線

地下鉄四ッ橋線

阪神高速環状線

堂島川

土佐堀川

土佐堀通

大江橋

大江橋

淀屋橋

淀屋橋

北新地駅

淀屋橋駅

NEXI 大阪支店あいおいニッセイ同和損保 淀屋橋ビル

JR大阪駅

東梅田駅

地下鉄御堂筋線

地下鉄御堂筋線

NEXI Singapore

NEXI 概要・組織運営

所在地

Annual Report FY2019 67

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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 NEXIのホームページでは、貿易保険に関する多くの情報を提供しています。

トピックス 貿易保険の制度や国毎の引受方針の変更、貿易保険手続に関する情報、大型プロジェクトの引受情報等を随時掲載しています。

Webサービス Webサービスでは、一部の保険商品の主な手続が行えます。この他、ユーザー固有のページでは、保険契約 の内容確認や海外商社の情報閲覧などが行えます。ご利用にあたっては、保険利用者(Web ID)登録が 必要となりますが、登録料や利用料はかかりません。また、保険料計算シミュレーションも提供しています。

ホームページ(https://www.nexi.go.jp)

 月刊ウェブマガジンe-NEXIでは、貿易保険に関する記事を月刊で配信し、ホームページ上に掲載して います。 各種方面の専門家や企業の方々によるテーマ別の特集記事、NEXIの取組内容やプロジェクトの紹介、 各国の経済や政治の動向など、貿易・投資・融資に関連する内容です。 ホームページよりウェブマガジンをご登録いただいた方には、毎月無料でメール配信しています。

月刊ウェブマガジン「e-NEXI」

パンフレット

こんな時に役に立つ! 貿易保険(商品概要)

こんな時に役に立つ! 貿易保険(利用事例集)

こんな時に役に立つ! 貿易保険(事故手続き)

 貿易保険の制度や各種手続をマンガ形式のパンフレットで ご説明しています。これらの パンフレットはホームページ上でもご覧いただけます。

TOPICS

NEXIの広報活動

Annual Report FY201968

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2019年度決算報告2019年度決算について 70

財務諸表等 71

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決算の概要

損益の状況等

 当期については、引受実績(当期中に引き受けた保険 契約の保険金額の合計。以下同じ。)は、融資保険について は堅調だったものの、日本の輸出総額の落ち込みを背景に、引受全体の約8割を占める貿易一般保険が、設備財を中心とする包括保険の落ち込み等により大きく減少し、前期比6.3%減の5.9兆円(前期実績 約6.3兆円)となり、設立以来最も低い水準となりました。 また、保険料収入(元受収入保険料と受再収入保険料の合計額。以下同じ。)は、前期比43.5%増の約421.3億円(前期実績 約293.6億円)となりました。回収金を中心

とする保険代位等収益は220.9億円(前期比 88.3%増、 前期実績 約117.3億円)、資産運用収益は91.8億円(前期 比33.0%増、前期実績 約69.0億円)となりました。一方、非常事故による保険金支払の増加により、正味支払保険金は570.6億円(前期比 70.2%増、前期実績 約335.2億円)、保険代位等費用は8.0億円(前期比 105.1%増、前期実績 約3.9億円)となりました。営業費及び一般管理費は59.9億円となりました。これらの結果等により、異常危険準備金を135.2億円繰り入れております。

(単位:百万円)

第3期(2019年度)

経常収益 67,958

保険引受収益 36,678

(正味収入保険料) 36,678

保険代位等収益 22,090

資産運用収益 9,178

その他経常収益 12

経常費用 69,558

保険引受費用 59,956

(正味支払保険金) 57,058

(保険代位債権等取得額) △6,255

(支払備金繰入額) △2,389

(未経過保険料繰入額) △1,256

(異常危険準備金繰入額) 13,522

保険代位等費用 801

資産運用費用 2,807

営業費及び一般管理費 5,993

経常損失 △1,600

特別利益 1,600

税引前当期純利益 -

法人税等合計 12

当期純損失 △12

総資産 1,739,569

純資産 794,875

2019年度決算報告

2019年度決算について

Annual Report FY201970

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貸借対照表 (2020年3月31日現在)

(単位:百万円)

科 目 金 額

(資産の部)

現金及び預貯金 1,054,592

預貯金 1,054,592

有価証券 610,488

国債 344,946

地方債 110,500

社債 119,900

外国証券 35,143

保険代位債権等 59,008

有形固定資産 607

建物 349

器具備品 256

その他の有形固定資産 2

無形固定資産 1,699

ソフトウェア 1,132

ソフトウェア仮勘定 567

その他資産 13,062

未収保険料 2,360

再保険貸 14

外国再保険貸 1,033

未収金 5,081

未収収益 3,772

預託金 513

その他の資産 289

繰延税金資産 113

資産の部合計 1,739,569

(単位:百万円)

科 目 金 額

(負債の部)

保険契約準備金 917,894

支払備金 84

責任準備金 917,810

未経過保険料 147,640

異常危険準備金 770,170

その他負債 26,163

未払法人税等 32

預り金 20,699

前受収益 2,372

未払金 2,442

その他の負債 619

賞与引当金 120

役員賞与引当金 9

退職給付引当金 495

役員退職慰労引当金 12

負債の部 合計 944,694

(純資産の部)

資本金 169,352

資本剰余金 625,553

資本準備金 625,553

利益剰余金 △31

その他利益剰余金 △31

繰越利益剰余金 △31

株主資本合計 794,875

純資産の部 合計 794,875

負債及び純資産の部合計 1,739,569

2019年度決算報告

財務諸表等

Annual Report FY2019 71

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 72: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

●(注)1 重要な会計方針に係る事項は以下のとおりであります。

⑴ 有価証券の評価基準及び評価方法は次のとおりであります。満期保有目的の債券の評価は、償却原価法(定額法)に より評価しております。

⑵ 有形固定資産の減価償却は、定額法によっております。

⑶ 無形固定資産の減価償却は、定額法によっております。なお、自社利用のソフトウェアについては、社内における利用可能期間(5年)に基づいております。

⑷ 外貨建金銭債権債務は、期末日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しております。

⑸ 賞与引当金は、従業員賞与に充てるため、期末における支給 見込額を基準に計上しております。

⑹ 役員賞与引当金は、役員賞与に充てるため、期末における支給見込額を基準に計上しております。

⑺ 退職給付引当金は、従業員の退職給付に備えるため、期末 における退職給付債務に基づき計上しております。退職 給付債務及び退職給付費用の算定にあたり、退職給付に係る 期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた 簡便法を適用しております。

⑻ 役員退職慰労引当金は、役員の退職慰労金の支払いに備えるため、内規に基づく期末時点の要支給額を計上しております。

⑼ 異常危険準備金は、非常事故等による大規模な保険金支払に備えるため、貿易保険法第二十二条の規定に基づき計上しております。

⑽ 消費税及び地方消費税の会計処理は税抜方式によっております。

2 繰延税金資産の発生の主な原因は、賞与引当金の否認、退職給付引当金の否認、未払事業税及び事業所税の 否認等であり、繰延税金負債の発生の原因は、退職給与 負債調整勘定であります。

3 金融商品の状況に関する事項及び金融商品の時価等に関する事項は次のとおりであります。

⑴金融商品の状況に関する事項

a. 金融商品に対する取組方針 当社は、貿易保険事業を実施しており、余裕金の一部を有価証券により運用し、財政基盤の強化を図っております。また、貿易保険事業の余裕金は、貿易保険法第二十九条の規定の範囲で有価証券及び預金等により運用を行っており ます。

b. 金融商品の内容及びそのリスク 保険金支払により取得した保険代位債権は、債務国又は債務者の債務返済に係るリスクに晒されております。また、有価証券は、金利の変動リスク及び市場価格の変動リスクに晒されております。

c. 金融商品に係るリスク管理体制

①カントリーリスクの管理 当社は、保険代位債権の取得の原因となる保険契約の 締結にあたり審査部のカントリーリスクグループに おいてベルンユニオン(国際輸出信用保険機構)、OECD 等のカントリーリスク情報の収集、調査及び評価を行い、審査を行っております。

②信用リスクの管理 輸出契約等の相手方のリスクについては、審査部の与信管理グループにおいて、海外バイヤーの信用調査と評価を行い、保険契約の審査を行っております。

③市場リスクの管理 有価証券及び定期預金の運用に伴う金利、価格及び為替の変動リスクに関しては、取締役会で審議された資金管理計画等に基づいて実施後に、実施状況を把握・管理して取締役会に報告しております。

d. 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明 金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、 市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれ ております。当該価額の算定においては一定の前提条件を 採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもあります。

⑵金融商品の時価等に関する事項 期末日における貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりであります。なお、時価を把握することが極めて困難と認められるものは含まれておりません ((注2)参照)。

(単位:百万円)

貸借対照表 計上額 時 価 差 額

⑴現金及び預貯金 1,033,905 1,033,905 -

⑵有価証券 610,488 656,279 45,791

満期保有目的の債券 610,488 656,279 45,791

⑶ 保険代位債権等 (信用事故代位分)

保険代位債権等 17,884 17,884 -

貸倒引当金※ - - -

(差引) 17,884 17,884 -

⑷未収保険料 2,360 2,360 -

資産計 1,664,638 1,710,429 45,791

⑸預り金 12 12 -

負債計 12 12 -

※保険代位債権等に対応する貸倒引当金を控除しております。

(注1) 金融商品の時価の算定方法並びに有価証券等に関する事項

⑴現金及び預貯金 これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額に ほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。

2019年度決算報告

財務諸表等

Annual Report FY201972

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⑵有価証券 取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格によっております。 なお、満期保有目的の債券において、種類ごとの貸借対照 表額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

種 類 貸借対照表計上額 時 価 差 額

時価が貸借対照表計上額を超えるもの

国債地方債等

396,956 443,752 46,796

時価が貸借対照表計上額を超えないもの

国債地方債等

213,532 212,527 △1,005

合 計 610,488 656,279 45,791

⑶保険代位債権等(信用事故代位分) 保険代位債権等(信用事故代位分)については、時価は 決算日における貸借対照表価額から貸倒引当金を控除した 金額に近似していると考えられるため、当該価額をもって時価としております。

⑷未収保険料及び⑸預り金 未収保険料等については、短期間で決済するため、時価は 帳簿価額にほぼ等しいことから当該帳簿価額によって おります。

(注2) 時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品

 時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

貸借対照表価額

現金及び預貯金 20,687

預り金 20,687

 現金及び預貯金は、日・キューバ両国で合意した債務救済措置に基づき、キューバ政府がキューバ国立銀行に「NEXI」名義で開設した口座(以下、「基金」)に積み立てた金額であります。 預り金は、当該基金の引き出しが、日・キューバ両国が 承認するキューバ国内の開発プロジェクト等にペソ建てで使用することに限られており、その使用者が使用相当額の 円を当社に支払うことによりキューバ向け非常事故代位債権 の回収とみなされることから、当該基金相当額を計上した ものであります。 これらについては、将来キャッシュ・フローを合理的に 予測することが不可能であり、そのため、時価を把握する ことが極めて困難と認められることから、「⑴現金及び預貯金」及び「⑸預り金」には含めておりません。

(単位:百万円)

貸借対照表価額

保険代位債権等(非常事故代位分) 41,123

 保険代位債権等には市場価格に基づく価額がなく、非常 事故代位債権及び非常事故代位見込債権については債務

繰延協定の締結時期、回数及び合意内容(返済猶予期間や 債務削減額等)の予測が極めて難しいため、時価の把握は困難 であります。

(注3) 金銭債権及び満期のある有価証券の決算日後の償還予定額(単位:百万円)

1年以内 1年超 3年以内

3年超 5年以内

5年超 10年以内

10年超 20年以内 20年超 その他

*1

現金及び預貯金 1,033,905 - - - - - 20,687

有価証券

満期保有 目的の債券 7,999 27,421 125,788 254,300 188,500 - -

未収保険料 2,360 - - - - - -

合 計 1,044,265 27,421 125,788 254,300 188,500 - 20,687

※ 保険代位債権等(信用事故代位分)は、償還期日が存在しないため記載しておりません。*1 現金及び預貯金のうち上記基金に積み立てた金額はその他欄に表示

しております。

4 有形固定資産の減価償却累計額は436百万円であります。

5 当期末における責任準備金の内訳は次のとおりであります。

(責任準備金)

未経過保険料(出再責任準備金控除前) 160,448百万円

同上にかかる出再責任準備金 12,808百万円

差引(イ) 147,640百万円

その他の責任準備金(ロ) 770,170百万円

計(イ+ロ) 917,810百万円

6 1株当たり純資産額は52,991円65銭であります。 算定上の基礎である純資産の部の合計額は794,875百万円であり、その全額が普通株式に係るものであります。また、普通株式の当期末株式数は15,000千株であります。

7 非常事故代位債権、信用事故代位債権、非常事故代位債権見込額、信用事故代位債権見込額及び譲受債権の額並びにその合計額は次のとおりであります。

非常事故代位債権 41,123百万円

信用事故代位債権 17,855百万円

非常事故代位債権見込額 -百万円

信用事故代位債権見込額 30百万円

譲受債権 -百万円

計 59,008百万円

8 金額は記載単位未満を四捨五入にて表示しております。

Annual Report FY2019 73

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

Page 74: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

損益計算書 (2019年4月1日から2020年3月31日まで)

(単位:百万円)

科 目 金 額

経常収益 67,958

保険引受収益 36,678

正味収入保険料 36,678

保険代位等収益 22,090

資産運用収益 9,178

利息及び配当金収入 9,178

その他経常収益 12

経常費用 69,558

保険引受費用 59,956

正味支払保険金 57,058

保険代位債権等取得額 △6,255

諸手数料 △890

支払備金繰入額 △2,389

責任準備金繰入額 12,266

未経過保険料繰入額 △1,256

異常危険準備金繰入額 13,522

為替差損 166

その他保険引受費用 0

保険代位等費用 801

資産運用費用 2,807

営業費及び一般管理費 5,993

経常損失 △1,600

特別利益 1,600

政府交付金収入 1,600

税引前当期純利益 -

法人税及び住民税 32

法人税等調整額 △19

法人税等合計 12

当期純損失 △12

2019年度決算報告

財務諸表等

Annual Report FY201974

Page 75: 日本貿易保険 年次報告書 2019...Annual Report FY2019 3 2020年7月 年次報告書の発行に当たり、株式会社日本貿易保険 (Nippon Export and Investment Insurance:NEXI)

1 ⑴正味収入保険料の内訳は次のとおりであります。

収入保険料 42,127百万円

支払再保険料 △5,449百万円

計 36,678百万円

⑵正味支払保険金の内訳は次のとおりであります。

支払保険金 57,058百万円

回収再保険金 -百万円

計 57,058百万円

⑶諸手数料の内訳は次のとおりであります。

支払諸手数料 1百万円

出再保険手数料 △891百万円

計 △890百万円

⑷ 責任準備金繰入額(△は責任準備金戻入額)の内訳は次のとおりであります。

未経過保険料繰入額(出再責任準備金控除前) 2,310百万円

同上にかかる出再責任準備金繰入額 3,565百万円

差引(イ) △1,256百万円

その他の責任準備金繰入額(ロ) 13,522百万円

計(イ+ロ) 12,266百万円

⑸利息及び配当収入の内訳は次のとおりであります。

預貯金利息 3,119百万円

有価証券利息・配当金 6,059百万円

その他利息・配当金 -百万円

計 9,178百万円

⑹ 保険代位等収益及び保険代位等費用の内訳は次の とおりであります。

(保険代位等収益)

非常事故代位債権回収益 10,784百万円

非常事故代位債権利息収入 3,588百万円

信用事故代位債権回収益 1,716百万円

信用事故代位債権利息収入 26百万円

譲受債権回収益 93百万円

受取回収金 5,777百万円

受取海外受再回収金 78百万円

その他保険代位債権等収益 28百万円

計 22,090百万円

(保険代位等費用)

貸倒損失(信用) 250百万円

債権回収費用(元受) 114百万円

回収費用(受再) 11百万円

為替差損(保険代位等費用) 426百万円

計 801百万円

2関連当事者との取引は次のとおりであります。(単位:百万円)

種類 会社等の 名称

議決権等の 所有割合

関連当事者 との関係

取引の 内容

取引金額(注2) 科目 期末

残高

主要 株主 財務省

被所有 直接 100%

貿易保険行政

政府交付 金収入(注1)

1,600 - -

 取引条件及び取引条件の決定方法等(注1) 重債務貧困国等に対する債務削減により生ずる、貿易保険事業に

対する影響額の一部として交付を受けているものであります。(注2) 取引金額には消費税等を含めておりません。

3 特別利益に計上している政府交付金収入は、重債務貧困国等に対する債務削減により生ずる、貿易保険事業に対する影響額の一部について政府より交付を受けているものであります。

4 1株当たり当期純損失金額は△0円83銭であります。 算定上の基礎である当期純損失金額は△12百万円であり、その全額が普通株式に係るものであります。 また、普通株式の期中平均株式数は15,000千株であります。 なお、潜在株式調整後1株当たり当期純損失金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

5 金額は記載単位未満を四捨五入にて表示しております。

●(注)

Annual Report FY2019 75

NEXIの業務実績

NEXIの活動

保険商品

NEXI概要・組織運営

2019年度決算報告

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株主資本等変動計算書 (2019年4月1日から2020年3月31日まで)

(単位:百万円)

株主資本

純資産合計資本金

資本剰余金 利益剰余金

株主資本合計資本準備金 資本剰余金

合計

その他利益剰余金 利益剰余金

合計繰越利益剰余金

当期首残高 169,352 625,553 625,553 △19 △19 794,887 794,887

当期変動額

当期純損失 - △12 △12 △12 △12

当期変動額合計 - - - △12 △12 △12 △12

当期末残高 169,352 625,553 625,553 △31 △31 794,875 794,875

1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項

(単位:千株)

当事業年度期首 株式数

当事業年度増加株式数

当事業年度減少株式数

当事業年度末 株式数

発行済株式

普通株式 15,000 - - 15,000

合 計 15,000 - - 15,000

(注)自己株式については、該当事項はありません。

2新株予約権及び自己株式予約権に関する事項該当事項はありません。

3配当に関する事項該当事項はありません。

●(注)

2019年度決算報告

財務諸表等

Annual Report FY201976

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キャッシュ・フロー計算書 (2019年4月1日から2020年3月31日まで)

1 本キャッシュ・フロー計算書は、貿易保険法第二〇条の 規定に基づき、経済産業大臣へ提出するために、我が 国において一般に公正妥当と認められる企業会計の 基準及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する 規則に基づいて作成されております。

2 キャッシュ・フロー計算書における資金(現金及び 現金同等物)は、手元現金、随時引き出し可能な預金 及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について 僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に 償還期限の到来する短期投資からなっております。

3 現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記 されている科目の金額との関係は次のとおりであります。

当事業年度末 (単位:百万円)

現金及び預貯金 1,054,592

定期預金 △128,819

その他の預金※ △20,687

資金期末残高 905,087

※ その他の預金は日・キューバ両国で合意した債務救済措置に基づき、キューバ 政府がキューバ国立銀行に「NEXI」名義で開設した口座であり、引出は、 日・キューバ両国が承認するキューバ国内の開発プロジェクト等にペソ 建てで使用することに限られており、その使用者が使用相当額の円を 当社に支払うことになるため、資金の範囲には含めておりません。

4 金額は記載単位未満を四捨五入にて表示しております。

(単位:百万円)

科 目 金 額営業活動によるキャッシュ・フロー

保険料の収入 40,836保険金の支出 △57,050諸手数料の支出 △1保険代位債権等の回収による収入 33,171保険代位債権等に係る回収金の配分による支出 △5,383営業費及び一般管理費の支出 △5,015その他 △105小 計 6,452利息及び配当金の受取額 12,698法人税等の還付又は支払額 48その他 △210営業活動によるキャッシュ・フロー 18,988

投資活動によるキャッシュ・フロー定期預金の預入による支出 △128,803定期預金の払戻による収入 78,098有価証券の取得による支出 △169,254有価証券の売却・償還による収入 3,647

資産運用活動計 △216,312(営業活動及び資産運用活動計) (△197,324)

有形固定資産の取得による支出 △43無形固定資産の取得による支出 △881その他 △0投資活動によるキャッシュ・フロー △217,237

財務活動によるキャッシュ・フロー政府交付金の受入による収入 1,600財務活動によるキャッシュ・フロー 1,600

現金及び現金同等物に係る換算差額 △1,160現金及び現金同等物の増減額(△は減少) △197,809現金及び現金同等物期首残高 1,102,896現金及び現金同等物期末残高 905,087

●(注)

Annual Report FY2019 77

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2019年度決算報告

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固有の表示科目の内容

●損益計算書

●貸借対照表

勘定科目 内 容

保険代位債権等 貿易保険法第42条の規定により取得した権利のうち、非常事故代位債権、信用事故代位債権、非常事故代位見込 債権、信用事故代位見込債権及び譲受債権を計上しております。

未収保険料 保険の申込みにより生じる保険料の未収分を計上しております。

再保険貸 国内の保険会社との受再取引により生じる未収分を計上しております。

外国再保険貸 国外にある保険会社との受再・出再取引により生じる未収分及び前払分を計上しております。

未収収益 有価証券及び保険代位債権等(非常事故代位債権)に係る当該事業年度末までの未収利息の合計額を計上して おります。

支払備金支払の請求を受けた保険金等であって、費用として計上していないもの又は支払事由の発生に係る通知(債務の 履行遅滞に係る通知を除く。)を受けた保険金等であって、その支払の請求を受けていないものに係る支払の ために必要な金額を計上しております。

未経過保険料 収入保険料のうち、保険契約等に定めた保険期間のうち事業年度末においてまだ経過していない期間に対応する 責任に相当する金額として算定した金額を計上しております。

異常危険準備金 保険契約等に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生する危険に備えて算定した金額を計上して おります。

勘定科目 内 容

正味収入保険料 元受保険料に再保険料を加減(受再保険料を加え出再保険料を控除する)した金額を計上しております。

保険代位等収益(費用) 保険代位債権の回収益、利息収入、為替差損益、貸倒損失等を計上しております。

資産運用収益(費用) 預金、有価証券等の金融資産による利息、配当金等の運用収益、為替差損益及び売却損益等を計上しております。

正味支払保険金 支払保険金から回収再保険金を控除した額を計上しております。

保険代位債権等取得額 保険代位債権等(譲受債権を除く)の取得の認識時における評価額を計上しております。

諸手数料 出再保険手数料、代理店手数料等を計上しております。

政府交付金収入 貿易保険法第36条の国際約束の履行上必要なものと認められる会社の債権の免除等に係る交付金の受取額を計上しております。

2019年度決算報告

財務諸表等

Annual Report FY201978

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