教科指導におけるICT活用 MIYAGI Style · •...
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教科指導におけるICT活用
「MIYAGI Style」 Miyagi ICT Youth Approach Growing with Innovation Style
児童生徒のためのICTによる授業改善
平成29年6月6日 R3.2
宮城県教育委員会
本資料について
• 本資料は,各学校の教科指導や各教育委員会によるICT機器整備の参考に資するため,本県からの「教科指導におけるICT活用」推進の提案である「MIYAGI Style」について説明したものです。
• 各学校,教育委員会の実状やICT機器整備状況を踏まえながら,総合的に「教育の情報化」を推進する一助にしていただければ幸いです。
※本資料の初出は,平成27年11月30日のホーム-ページ公開。
<課題1> 「教科指導におけるICT活用」の充実
情報教育
校務の 情報化
教科指導 における ICT活用
教科の学習目標を達成するため,学習課題への興味や関心を高めたり,学習内容をわかりやすく説明したりするために,「教科指導におけるICT活用」の充実を図る必要がある。
「教育の情報化」の3つの分野
<課題2> 宮城県の現状
教員のICT活用能力 の向上
ICT機器整備 インフラ整備
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」より,本県には次の3つの課題がある。
これらの課題を解決しながら, 「教育の情報化」を総合的に推進する必要がある。
教員の ICT活用能力 の向上
ICT機器整備
段階的な展開で着実な定着を行う
インフラ整備
一斉学習 個別・協働学習
教員が活用する「一斉学習」より,児童生徒も活用する「個別学習」・「協働学習」 の方が,本県が課題とする「教員のICT活用能力」「ICT機器整備」 「インフラ整備」においてより多くの知識,経験,ノウハウ,財源等 を必要とする。すなわち,急激な展開には,課題が多い。
まずは取り入れやすい「一斉学習」から 取り組むことで,「教科指導に おけるICT活用」を 着実に定着させていく。
学習形態に応じたICT活用事例
文部科学省「ICTを活用した指導方法~学びのイノベーション事業実証研究報告書より~」 http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/ict_teaching_report.pdf
MIYAGI Style 「教科指導におけるICT活用」
Miyagi ICT Youth Approach Growing with Innovation Style
児童生徒のためのICTによる授業改善
宮城県では「教科指導におけるICT活用」を進めるため, 「MIYAGI Style」を推進します。 「MIYAGI Style」は,指導法だけでなく,ICT機器整備,インフラ整備を含めて,段階的・発展的に行うための総合的な提案です。
「MIYAGI Style」の提案
MIYAGI Styleの基本的な考え方
• 「教員のICT活用能力」「ICT機器整備」「インフラ整備」のそれぞれにおいて取り組みやすい一斉学習からはじめる。
• 段階的に協働学習,個別学習へと進める。
• MIYAGI Styleでは,一斉学習をVer.1と位置づけ,協働学習,個別学習をそれぞれVer.2,Ver.3とし,段階的・発展的に取り組む。
MIYAGI Style Ver.1 Ver.2 Ver.3
学習形態 一斉学習 協働学習 個別学習
タブレットPC 教員一人一台 グループに一台 児童生徒一人一台
学習形態 \
必要な機器
一斉学習 協働学習 個別学習
MIYAGI Style Ver.1.0
MIYAGI Style Ver.1.1
MIYAGI Style Ver.1.2
MIYAGI Style Ver.2
MIYAGI Style Ver.3
大型テレビ or プロジェクタ
◎ ○ ○ ○ ○
ワイヤレス画面転送装置
◎ ○ ○ ○ ○
教員用タブレットPC ◎ ○ ○ ○ ○
児童生徒用 タブレットPC
◎ グループに1台
◎ 1人1台
無線LAN ◎ ○ ○ ○
学習支援システム ◎ ○ ○
授業支援システム ◎ ○
• MIYAGI Style Ver.2及びVer.3については,今後,そのあり方について研究を進める。
• 学習支援システムは,児童生徒,教員の教材共有をするシステムを指し,授業支援システムは,大型テレビ等へ児童生徒のタブレット画面の転送等を行えるシステムを指す。
「MIYAGI Style」における段階的な機器整備の例
一斉学習における MIYAGI Style Ver.1 の展開
(必須) 教員用タブレットPC
(オプション)無線LAN
(必須) プロジェクタ&スクリーン
or 大型テレビ
(オプション)学習支援システム
(必須) ワイヤレス画面転送装置
必要に応じて 段階的に行う インフラ整備
必要最低限の効果的な 機材の導入から行う ICT機器整備
MIYAGI Style Ver.1(一斉学習)におけるポイント (機器・インフラ整備編)
教材の共有や配信を行う 学習支援システムも
初期段階では,必須ではない。
タブレットPC プロジェクタ&スクリーン 又は大型テレビ ワイヤレス 画面転送装置
ただし,タブレットとワイヤレス画面転送装置の接続を安定させるため,簡易的に無線LANルータを設置することを推奨(校内LANやインター
ネットへの配線不要で,安価なもので対応可能) 。
初期段階では,インターネット接続を 伴う無線LAN整備は必須ではない。
なぜタブレットPCなのか? タブレットPC 実物投影機 ノートパソコン 電子黒板機能
教科書や資料集を大きく表示
◎ カメラ機能で可能
◎ 基本機能 × 資料をデータ化する必要性
× 資料をデータ化する必要性
デジタル教材・データの提示
◎ 基本機能 × 実物のみ対応。
◎ 基本機能 ◎ 基本機能
生徒ノート共有 ◎ カメラ機能 ○回収で対応 × 不可 × 不可
画面への書き込み
○ 書き込み可能なアプリの利用
× 表示しているものに直接書き込む
△ タッチパネル搭載機種ならアプリ利用で可能
◎ 基本機能
机間指導しながらの利用
◎ ワイヤレスで可能
× 不可 △ ワイヤレスで可能だが,操作性が落ちる
× 不可
起動時間 ◎ 即時 ◎ 即時 △ 機種による △ 機種による
整備費用 3~6万円程度 5~8万円程度 5~8万円程度 テレビ型:数十万~100万円。
タブレットPCは,他の機器の機能を全て兼ね備えている上に安価。
MIYAGI Style Ver.1(一斉学習)におけるポイント (指導編)
現在の授業に取り入れやすく,実践しやすい「一斉学習」を中心とした 授業スタイルから始められ,教員のICT活用指導力の向上も期待できる。
教材や作業を大きく表示 (わかりやすい提示や演示,活動や思考する時間の確保,
教材作成時間の短縮)
効果のある場面でのみ活用 (黒板の置き換えではなく,共存する)
考え方の共有 (言語活動や主体的,協働的に学ぶ学習の充実)
授業改善 によって 児童生徒の 学力向上 を目指す
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その1
全ての板書をデジタルで置き換えるのではなく, ICTの活用が効果的なところで,従来の指導法と併用しながら,活用できる。
(教材の準備時間や教員が板書にかけていた時間は削減される。)
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その2
長文などを板書する時間が削減されることで,教員の説明や 児童・生徒の活動,思考などの時間がより多く確保できる。
また,表示しながら説明することで,理解を深めることができる。
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その3
授業に関連する映像を提示することができる。 細かくて見えない物を拡大して表示することで,理解を深めることができる。
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その4
児童・生徒の書いたノートやプリントを撮影し,投影することで, 児童・生徒の意見や考えを短時間で簡単に共有することができる。
また,投影した黒板等に書き込みながら説明ができる。
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その5
タブレットは持ち歩けるので,机間指導をしながら その場で良い考えを撮影したり,ヒントを個別に提示したりすることができる。 ICTの活用で,机間指導や問題演習などの時間がより多く確保できる。
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style Ver.1による授業スタイルの例と効果 その6
ICTの活用により,授業に余裕が生まれる。 その結果,実験・実習や言語活動,主体的,協働的に学ぶ学習の時間も確保できる。
平成27~28年度 ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 蔵王高校 実践事例より
MIYAGI Style プロモーションビデオ 「MIYAGI Style ノ ススメ」
• 「MIYAGI Style」をわかりやすく解説したプロモーションビデオ「MIYAGI Style ノ ススメ」を公開しています。
• 実際の授業での活用場面等も紹介していますので,ぜひ,御覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=_G5-caLc0Fw
• 「MIYAGI Style」ホームページでは,このビデオを使った校内研修ツールも公開していますので,活用下さい。
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kyou-kikaku/ict-ms.html
MIYAGI Style で使いやすい タブレット用アプリ 「miyagiTouch」
• 宮城生まれ
– 「miyagiTouch」(みやぎタッチ)は,宮城教育大学安藤研究室が岩沼小学校と共同で開発した宮城県の学校現場生まれの「電子黒板アプリ」(旧名:iTouch(イタッチ))。
• 無料で利用できる
– Android版及びiOS(iPad)版,Windows版がそれぞれのアプリケーションダウンロードサイトより無料ダウンロード可能。
• 操作がわかりやすい
– 教材や生徒のノートを撮影し映す,書き込む,保存するなど,授業で必要とする機能をわかりやすく搭載。
「miyagiTouch」を用いた「MIYAGI Style」の授業
必要な機能がわかりやすく,はじめての先生にも直感的に使うことが可能である。
撮影した資料や生徒のノートに書き込みながらの説明が可能になる。
画面の保存・呼び出しが簡単で,前の時間の学習内容などを簡単に振り返ることが可能になる。
miyagiTouch操作解説ビデオ 「miyagiTouchではじめるMIYAGI Style」
• miyagiTouchの操作をわかりやすく解説したビデオをYouTubeで公開しています。
• 1本当たり1,2分程度のビデオ8本で構成されていますので,手軽にmiyagiTouchの操作方法について学ぶことができます。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL4o33guu_N7nTTjfK4Cv48BnZZBzUNo3q
iTunes Uコース MIYAGI Style Ver.1ではじめるICT活用
• iPad用学習支援アプリiTunes UでMIYAGI Style Ver.1で教科指導におけるICT活用を始めるための先生向けのコースを公開しています。
• miyagiTouchをインストールし,これまで宮城県教育委員会が公開している資料を使って学べるコースです。
https://itunes.apple.com/jp/course/id1229347579
ICT利活用授業力向上プロジェクト事業 成果報告
• MIYAGI Style Ver.1の効果について検証するために,「ICT利活用授業力向上プロジェクト事業」(平成27~28年度)を実施しました。
• 今後,宮城県教育委員会及び県内各市町村教育委員会が「教科指導におけるICT活用」を推進する際の参考資料になることを目的として,この事業成果を公開しています。
http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kyou-kikaku/ms-report.html
今後の「MIYAGI Style」の進め方
• 一斉学習における「MIYAGI Style」を本県の「教科指導におけるICT活用」のベースラインとして普及・定着を進める。
• 国の施策である「1人1台の情報端末の整備」については,教員のICT活用指導力の向上を図りながら,将来的なゴール地点として,引き続き視野に入れ,今後とも研究を進める。
• 「MIYAGI Style」は,学習形態に合わせた指導方法や必要
なICT機器の整備のあり方などを含め,継続的に検討・提案をしていく。
• 併せて,市町村教育委員会に対しても,県教育委員会の取組や「MIYAGI Style」導入の提案を行っていくことで,県内にICTを活用した授業の定着を推進していく。
「MIYAGI Style」Q&A (1)
• ICTを導入したら,黒板やチョークは不要になりますか?
– ICTは,これまでの黒板,チョークを置き換える存在ではありません。
– 従来の黒板,チョーク,自作教材等とも共存しながら,効果的なところで,ICTを活用していきます。
– ICTの活用が効果的ではない場面ではICTを使わないのもICT活用の一つです。
• ICTを導入すると,その資料作りなどの教材研究の負担が増えませんか?
– これまでICTを活用した授業といえば,プレゼンテーション用ソフトウェアで板書に代わるデータを準備して行うというイメージが強かったと思いますが,「MIYAGI Style」では,その様な使い方は想定していません。
– 「MIYAGI Style」では,教科書や資料集はもちろん,自作のプリント等,既存の資料をその場で撮影して,大きく表示することを主としていますので,改めてデジタルで特別な資料作りを行う必要はありません。
– むしろ,これまで時間がかかっていた模造紙等の大きな資料を作成する手間を減らし,A4用紙などで資料を作成できますので,時間の短縮になります。また,一度撮影したものを何度も繰り返し使えますので,教科担任制の中学校・高校では,これまでよりも教材作成の負担は減る可能性があります。
「MIYAGI Style」Q&A (2)
• これまでも授業は行えていましたので,ICTを導入する理由がありません。
– ICT機器を用いて,大きく表示することで,児童・生徒の視線を集中させたり,手元の資料やプリント等の該当箇所をわかりやすく指示したり,モノクロプリントの資料をカラーで表示したりすることなどで,よりわかりやすい授業を展開できるようになります。
– また,授業にICTを導入することで,これまで時間のかかっていた国語の文章や児童生徒の考え方などの板書時間を短縮することができます。短縮してできた時間で新たな問題演習や言語活動に加え,主体的,協働的に学ぶ学習などの時間を確保することで,児童生徒の一層の学力向上に寄与できると考えます。
• 私の学校(教育委員会)では,MIYAGI Style Ver.2.xやVer.3.xに該当する機材の整備や取組を行っていますが,Ver.1.0を推進すべきでしょうか?
– MIYAGI Style Ver.1.0は,「宮城の教員は,最低限ここまで使える」というICTを使った授業の一つのベースラインと考えています。
– 従って,すでに,様々な取組をしている学校や教育委員会に強いるものではありません。これまでどおりに先進的な取組を継続して下さい。
「MIYAGI Style」Q&A (3)
• MIYAGI Styleの導入で,良い授業や児童・生徒の学力向上が望めますか? – 「良い授業」の定義をどこに求めるかは,難しい問題ですが,MIYAGI Styleの実施によって,すぐに授業が良くなったり,児童・生徒の学力が向上するわけではありません。これまでどおり, 「良い授業」や「学力向上」は,児童・生徒理解や教材研究などの上に成り立つものであり,その上にMIYAGI Styleを取り入れることで,より良い授業に繋がるものと考えています。
– むしろ,MIYAGI Style(教科指導におけるICT活用)は「効果のある場面でのみ活用」することがポイントですので,効果的な場面がどこかを検討することそのものが,「良い授業」や「学力向上」に繋がる授業デザインの力を高めるものと考えられます。
– 県としても効果的な活用について,情報提供をしていきたいと考えています。
• ICTを導入することで,他にどんな効果がありますか?
– 県内外のICT導入先進校では,ICTを導入することで,教材研究に長けたベテラン教員とICTに詳しい若手教員が互いの能力を必要とすることで,よりよい教材作り,授業改善を目指して意見交換が行われ,キャリアを越えたOJTへと繋がっています。
– 今後,ベテラン教員の大量退職や大量採用により若手が多くなる中,若手教員の授業スキル向上は,大きな課題であり,ICTの導入がこれを解決するきっかけとなることが期待できます。
宮城県教育委員会「教科指導におけるICT活用」関連ページ
• 「MIYAGI Style」について – http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kyou-kikaku/ict-ms.html
• YouTube 宮城県教育委員会チャンネル – https://www.youtube.com/channel/UC85ZXenlfVOIYDE1gdo7z3Q
– MIYAGI StyleプロモーションビデオやmiyagiTouch解説ビデオを公開
• タブレット端末活用動画集「+タブレ」 – http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/jouhou/plustab/
• ICT授業活用実践事例集 – http://www.pref.miyagi.jp/site/ict-project/
• 今日の授業タブッciao! – http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/jouhou/tablet/
• ICT機器等の活用は,特別な教育的ニーズを有する児童生徒にとって,様々な困難を減らしたり,新たな方法に取り組みやすくしたり,これまで以上に学習や生活面における自立,そして社会参加を進めることができます。
• MIYAGI Styleでは,このような困難さを減らしたり取り除いたりするようなICT活用については,触れていません。そこで,宮城県教育委員会では,特別支援教育におけるICT活用を推進するため,@MIYAGI Styleを提案しています。
• @MIYAGI Styleは,「あっと みやぎ すたいる」と読みます。 「@(あっと)」は,Assistive Technology(支援技術)の省略形であるATを語源としています。
• 詳しくは,次のページをご覧下さい。
特別支援教育におけるICT活用
「 @MIYAGI Style 」 Assistive Technology MIYAGI Style
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kyou-kikaku/ict-atms.html
「教育の情報化」や「MIYAGI Style」
に関するお問い合わせ先
宮城県教育庁教育企画室
情報化推進班
TEL 022-211-3612
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