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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2016 4 月号 ■NOTICIAS■ 国際協力機構アルゼンチン事務所 ■NOTICIAS■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 01 プロジェクト便り 「日亜友好の魚『ペヘレイ』日本移植 50 周年記念養殖・消費推進イベントの開催」 JICA アルゼンチン事務所 02 ボランティア便り 「アルゼンチンにおける『ベースボール』と『野球』の調和」 浅利章太 日系社会青年ボランティア 03 日系研修員便り 「第 4 回日系人のための日本式マネジメント・セミナー開催」 (プロジェクト「KAIZEN」) JICA アルゼンチン事務所 04 JICA 事務所の動き JICA アルゼンチン事務所 1.ぺへレイとは? ぺへレイは、当地域を原産とし、スペイン語で「魚の王様」という意味を持つ淡水魚です。日本での 養殖を試みるために 1966 年に初めて日本に持ち出され、今年は日本移 植 50 周年という記念すべき年にあたります。この間、両国の養殖技術 者、研究者のみならず、政治家の方々、日系社会のリーダー等、多く の人々が、ぺへレイの普及に関係してきており、「日亜友好の魚」とさ れてきました。 JICA では、過去 3 年間、3 回に亘り、ブエノス・アイレス州チャス コムス市(※)に位置する国家科学技術審議会(CONICET)チャスコムス 技術研究所及びブエノス・アイレス州立陸水生物研究所)を C/P とし て第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」を実施してき ました。これは、かつて JICA が実施した技術協力プロジェクト「ペヘレイ増養殖研究開発計画」(2002 年~2005 年)により当国で確立した養殖技術を他の中南米諸国にも普及させるために実施してきたもの です。 日亜友好の魚「ペヘレイ」の日本移植 50 周年記念 養殖・消費推進イベントの開催

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2016年 4月号 ■NOTICIAS■ 国際協力機構アルゼンチン事務所 ■NOTICIAS■

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01 プロジェクト便り

「日亜友好の魚『ペヘレイ』日本移植 50周年記念養殖・消費推進イベントの開催」

JICAアルゼンチン事務所

02 ボランティア便り

「アルゼンチンにおける『ベースボール』と『野球』の調和」

浅利章太 日系社会青年ボランティア

03 日系研修員便り

「第 4回日系人のための日本式マネジメント・セミナー開催」

(プロジェクト「KAIZEN」)

JICAアルゼンチン事務所

04 JICA 事務所の動き

JICA アルゼンチン事務所

1.ぺへレイとは?

ぺへレイは、当地域を原産とし、スペイン語で「魚の王様」という意味を持つ淡水魚です。日本での

養殖を試みるために 1966 年に初めて日本に持ち出され、今年は日本移

植 50 周年という記念すべき年にあたります。この間、両国の養殖技術

者、研究者のみならず、政治家の方々、日系社会のリーダー等、多く

の人々が、ぺへレイの普及に関係してきており、「日亜友好の魚」とさ

れてきました。

JICA では、過去 3年間、3 回に亘り、ブエノス・アイレス州チャス

コムス市(※)に位置する国家科学技術審議会(CONICET)チャスコムス

技術研究所及びブエノス・アイレス州立陸水生物研究所)を C/P とし

て第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」を実施してき

ました。これは、かつて JICA が実施した技術協力プロジェクト「ペヘレイ増養殖研究開発計画」(2002

年~2005 年)により当国で確立した養殖技術を他の中南米諸国にも普及させるために実施してきたもの

です。

日亜友好の魚「ペヘレイ」の日本移植 50 周年記念

養殖・消費推進イベントの開催

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(※)チャスコムス市は、ブエノス・アイレスから車で 1.5時間程の距離にあり、湖もあることから保養地や別荘地として有名。

湖には、ぺへレイも生息しており、スポーツ・フィッシングも盛んである他、ペレヘイを使用した料理は地域の名物となってい

る。

こうした経緯を踏まえ、ぺへレイの日本移植 50 周年記念と養殖、消費の推進、そして、さらなる日亜

の友好親善を目的とし、去る 3 月 14 日(月)、上記第三国研修(近隣諸国及びアルゼンチンから 12 ヶ国

の水産養殖技術者が参加)の開講式に併せ、チャスコムス市で記念イベントを開催しました。

2.ぺへレイを通じた日亜友好史

ぺへレイの元々の原産は、南米ラ・プラタ河といわれています。1966 年に「日亜友好の証」として日

系団体により神奈川県淡水魚増殖試験場に持ち込まれ、その後、丹沢湖や相模川などへの放流が行なわれ、

霞ヶ浦でも養殖実験が行なわれた他、近年では、埼玉県でも養殖が行なわれています。また、80年代後

半から 90年代の初めにかけて開催された亜日フェアでは、ペヘレイが展示され、当地でも日系社会にぺ

へレイ協会が結成される等、一時期は、日亜両国でぺへレイの養殖、消費についての広報活動が盛んに行

われていました。

その後、アルゼンチンでは、乱獲や異常気象等が影響し、資源量が減少傾向に転じたため、CONICET チ

ャスコムス技術研究所及びブエノス・アイレス州陸水生物研究所では、これを深刻に受け止め、日本の協

力を受けることでアルゼンチンにおいて養殖技術を確立

すべく本格的な取り組みを始めました。

まずは、JICAの支援により神奈川県水産総合研究所

(現・神奈川県水産技術センター)からペヘレイの発眼

卵約 3 万粒のアルゼンチンへの「里帰り」から始まりま

した。上記の 2研究所を C/P機関として JICA を通じ、技

術協力プロジェクト「ペヘレイ増養殖研究開発計画」

(2002 年~2005年)が実施され、既に日本で養殖された

親魚を使用し、今度は、アルゼンチンでの本格的な養殖

を試みることになりました。その結果、自然産卵により

200万粒以上の良質卵が得られ、さらに体重 1グラムの

種苗(稚魚)を約 10 万尾生産するまでに至りました。さら

には、ブエノス・アイレス州内の複数の自治体の要請を踏まえ州内の湖水に大量にペヘレイの稚魚を放流

することで資源量の回復にも貢献しました。

今日では、こうして日本の協力により確立した増養殖技術の成果を他の中南米諸国にも普及させるべ

く、上記のとおり 2013年から第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」を実施しており、毎

年、好評を博しています。

こうした一連の協力に際しては、東京海洋大学(旧東京水産大学)が、当初から今日に至るまで協力

を継続してきており、ア国でのぺへレイ養殖技術の確立には、同大学の功績が非常に大きいと言えます。

また、こうした経緯からもアルゼンチンでのぺへレイ養殖には、単なる「地場産業の活性化」に留まらず、

日亜友好親善を願うア国日系社会の強い願いも込められています。

3.ぺへレイの消費推進と日亜友好親善を願って

(有識者の基調講演、ぺへレイ料理ショー、音楽交流)

今回のイベントは、第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」の開講式と併せて実施され、

冒頭、中南米諸国からの同研修コースへの参加研修員 12 名が紹介されました。引き続き、CIUTI 外務省

国際協力局長、GASTONチャスコムス市長、武田 JICA アルゼンチン事務所長から挨拶があり、先方関係者

からは、ぺへレイの養殖技術が日本の協力により当地に定着したことについて、日本の技術協力への感謝

の辞がそれぞれ述べられました。

また、在アルゼンチン日本大使館佐野公使、小長谷書記官を始めとし、FRASH CONICET チャスコム

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ス技術研究所長、BARBEITO 国立ラ・プラタ大学獣医学部長、RUTA 国立サン・マルティン大学学長他、ブ

エノス・アイレス州政府、周辺自治体、養殖業界、マスコミ関係者の方々等、当日は、約 100名以上の方々

に出席頂きました。

開会式の後、CONICET チャスコムス技術研究所やブエノス・アイレス州立陸水生物研究所 BERASAIN

研究員や科学技術生産革新省職員、JICA の技術協力がベースとなって来年、養殖学科を創設する国立サ

ン・マルティン大学学長から基調講演があり、ぺへレイ養殖の

これまでの経緯や今後の展望等が関係者から説明されました。

これに引き続き、アルゼンチンでのぺへレイの消費をさらに

拡大させるべく、同日のメイン・イベントとして当国在住の有

名シェフ大野剛浩氏(※)にぺへレイを使って簡単にできるぺへ

レイ料理(和風、洋風)2 品を料理ショーの形で紹介戴きまし

た。出席者らは、大野シェフのプライベート・ヒストリーや流

暢なスペイン語でのユーモアたっぷりのトークにいつの間にか

引き込まれ、皆、同シェフが作る料理に目が釘付けになっていました。

(※)中南米地域で放映されているケーブル TVの料理チャンネルのタレント・シェフ。平成 28年度農林水産省より「日本食普

及の親善大使」に任命

さらには、音楽を通じた日亜交流として当国のフォルクローレ音楽ではカリスマ的存在の Jaime

Torres とそのグループによるフォルクローレ及びブエノス・アイレス日亜学院生徒たちによる和太鼓演

奏が披露され、出席者から大きな拍手を浴びていました。(双方ともボランティア出演)

なお、この模様は地元のテレビでも放映された他、全国ネットのケーブル TVの農業チャンネルでも放

映されました。

ブエノス・アイレス市内には、今日、多数の日本食レストランがありますが、日本の協力で養殖技術

を確立したぺへレイ養殖事業が、今後、ますます推進され、ぺへレイの消費がさらに拡大するだけではな

く、いつの日か「にぎり寿司」のネタとして店頭に並び、アルゼンチンや中南米諸国において和食がさら

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に普及することを願って止みません。

日系社会青年ボランティア 浅利章太

配属先:ラ・プラタ日本人会野球部

職種:野球

アルゼンチンの首都ブエノス・アイレス市から南東へ約 50km、ブエノス・アイレス州の州都ラ・プラ

タ市の郊外にある日本人移住地「コロニア・ウルキッサ」が、私の任地です。移住地には、移住者・日系

人間の相互扶助及び親睦を目的に 1963年に設立されたラ・プラタ日本人会と他の小移住地を含む同地域

の日系子弟らが日本語を学ぶラ・プラタ日本語学校があります。毎年 1月には、日本語学校維持会主催で

約 1万 5千人もが集まる盆踊りが開催されており、ラ・プラタの盆踊りは、ラ・プラタ市の重要文化行事

にも指定されています。

1. アルゼンチンの野球に触れて

私のボランティアとしての活動は、その日本人会の野球部において 6歳から成人までの幅広い年代の選

手に対する野球指導です。平日の練習や週末の試合で指揮をとっており、配属先以外では、首都にあるブ

エノス・アイレス日亜学院にて週 1回、ブエノス・アイレス州郊外にあるエスコバール日本人会野球部に

て月 1 回の巡回指導も行っています。

アルゼンチンの野球は、豪快で派手なプレーに目を奪われるアメリカのメジャー・リーグから影響を大

きく受けているということが、プレーを見て感じることが出来ます。日系人の選手は、繊細で確実性の高

いプレーが求められる「日本の野球」への尊敬の念を抱く一方で、やはりメジャー・リーグの「ベースボ

ール」への憧れが大きいようです。実際には身体の作りが限りなく日本人に近いため、私は日本人選手の

身体の使い方を参考にする方が合理的であると考え、日本のスタイルで指導しています。もちろん全てを

押し付けるのではなく、現在ある良い部分を尊重しながら双方の「良いとこ取り」をしていくことを基本

にしています。

技術面以外では、礼儀やマナーについての指導も期待されています。ゴミのポイ捨て、グラウンド内に

落ちているゴミを見て見ぬ振り、グラウンド内での唾吐き、道具を投げたり蹴ったりする等の行為に対し

ては厳しく指導しています。しかし、悪いところばかりではありません。試合後には整列してグラウンド

アルゼンチンにおける「ベースボール」と「野球」の調和

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や観衆への一礼はしっかりと定着しています。他の非日系人チームからも一目置かれ、一礼する儀式はす

っかり浸透しており、とても素晴らしいことだと感じます。

2. 兵庫県立大学との連携プログラム

今年で 2回目を迎えましたが、JICA の大学連携プログラムにより 2月 21 日から 3月 17日まで間、兵

庫県立大学の現役の学生 9名が、野球指導の短期の日系社会青年ボランティアとして派遣され、私の配属

先であるラ・プラタ日本人会野球部にて活動しました。この大学連携プログラムは、アルゼンチン日系社

会の野球技術のレベル・アップと野球競技の普及を通した青少年の育成促進を図ることを目的に、兵庫県

立大学と JICAの大学連携協定に基づき開始されたプログラムです。

今年は、9名のボランティア達と共通の意識を持って活動に取り組めるよう、『一生懸命』をスローガ

ンと決め、活動を開始しました。配属先であるラ・プラタ日本人会野球部に対する指導やラ・プラタ日本

語学校児童との交流会の他、日系青年グループや兵庫県人会との交流会、日系教育機関である日亜学院の

子供たちへの野球の普及活動、また、昨年度には無かったサルタ州への遠征も実現し、一行はサルタ市長

を表敬訪問し、サルタ市役所の方々から温かい歓迎を受けた他、サルタ・リーグ代表チームとの交流試合

を行い、サルタ日本人会日本語学校の生徒らとも親交を深めました。

サルタ日本人会日本語学校では、同日本人会で中心となって活動している翁長(おなが)モイセス氏を

はじめ、30名以上の学生が私たちを温かく迎えてくれました。同校の学生は、非日系の方がほとんどで

すが、日本のアニメや漫画を通して日本の文化や日本語に強い興味を抱き、日本語を熱心に学んでいる姿

が印象的でした。大学連携ボランティアが事前に準備していた日本の就職活動の様子や兵庫県の紹介をす

ると興味津々で質問が多く飛び交い、素晴らしい日亜交流の場となりました。

3月 11日(金)と 12日(土)には、エセイサ球場において、ブエノス・アイレス首都圏リーグの代表

チームとの試合も行われました。12日には、始球式に福嶌在アルゼンチン日本国大使と Mac Allister ス

ポーツ庁長官(元アルゼンチンの有名サッカー・クラブ「ボカ・ジュ二オール」の著名なサッカー選手)

にご出席頂き、VIPの観戦という今までに無い緊張感の中でプレーすることができ、大学連携ボランティ

アの皆さんにとっても貴重な経験になったことと思います。

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3.プログラムを終えて

普段の私 1人での活動では、全てのプレーを実際に披露しながら指導するということは、なかなか難し

いのが現状です。大学連携ボランティアが選手の中に入ってプレーすることにより、見本を示し、こちら

が伝えたいことの意図を理解・吸収しやすい環境作りが出来たと思います。プレー以外では、笑いが絶え

ない毎日で、日本語がまだ拙い選手も頑張って彼らに話しかけている様子は、非常に微笑ましく感じまし

た。

来年は本連携事業も 3年目を迎え、今年のボランティアの中には「来年も是非来たい。」と言っている

学生もいるようです。野球を通じて、アルゼンチンの野球関係者と大学連携ボランティア双方にとって有

効なプログラムとなることを願い、来年に向けて活動を盛り上げていきたいと思います。

アルゼンチン事務所

去る 3月 22 日(火)、ブエノス・アイレス市内の日本庭園内の特設会場において「第 4回 日系人のた

めの日本式マネジメント」と題し、当国各界で活躍しているプロフェッショナル日系青年を対象にしたセ

ミナーが開催されました。会場には、日系のプロフェッショナル、企業経営者、本邦進出企業の日系人現

地スタッフ、学生等の方々、約 120 人もの出席者があり、質疑応答も盛んに行われました。

本セミナーは、セントロ日系アルヘンティーノ(CNA)、日系ネットワーク(REN、旧「日系起業家ネット

ワーク」)、KENMEI(日系コンサルタント)、亜日ビジネス・クラブ(CNAJ)、日系帰国研修員同窓会(AACONI)

が主催者となり、当国の日系青年らに対し、日本の「モノづくり文化」の中から、「5S 、KAIZEN」等、一

般にも応用が可能なテーマを判り易く解説することで、日系社会に日本式ビジネスの考え方の基本を浸透

させることを目的として開催されたものです。2014 年 10月より「KAIZENプロジェクト」と銘打ち、内容

を毎回深化させてシリーズ化して実施しており、非常に好評を得ています。

JICA では、特に近年、日系社会と未来志向で新たな関係を構築すべく、日系人を我が国のビジネス分

「第 4 回 日系人のための日本式マネジメント・セミナー開催」

(プロジェクト「KAIZEN」)

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野でのパートナーとした連携強化を推進してきているところであり、本セミナーは、日本式ビジネスを学

ぶ「気づき」の機会として日系青年の関心も非常に高いため、当事務所では、第 1回目から推進役として、

これを支援してきています。

今回のセミナーは、JICA 横浜が実施している日系研修コース「5S 、KAIZEN」の応募勧奨を兼ねて開

催したもので、今年 1 月に同コースに参加した 3名の日系研修員(マルセル中村、ハビエル高坂、セバス

ティアン賀数(かかず)各氏)が、それぞれ①「5S 、KAIZEN」の概要、②本邦研修の概要、③本邦研修

と JICAが当該分野でのアルゼンチン側の技術協力 C/P 機関とし、実施している国立工業技術院(INTI)

の研修との内容比較について発表しました。

引き続き、毎回、本セミナーのプレゼンテーターを務めている国立工業技術院(INTI)のマルコス ロド

リゲス特別プロジェクト生産促進副部長(※)が、昨年、JICA の支援で INTI が開発した「生産管理手法

の基本を学ぶためのゲーム・キット」を使用し、JICA が INTI とともに実施している第三国研修「中小企

業における経営・生産管理技術の応用コース」に併せれ INTIで開催されたア国カイゼン促進協会(SAMECO)

全国大会での生産性向上に関する実験結果について報告を行いました。

(※) JICA 帰国研修員同窓会長、上記第三国研修の実施責任者

INTI では、日本式マネジメントについて関心が強い日系ビジネ

ス関係者との連携を強化する取り組みも行われており、2014 年度

から同機関で実施している第三国研修に日系人 2名の特別枠(自

費参加)を設け、これま

でも日系人 4 名が参加し

ています。

さらに今回は、本シリ

ーズ初めて当国に進出し

ている日系企業にご協力頂き、ヤマハ・モーター・アルヘンティ

ーナ社の柴田工場長と COPREZ 製造部長より、企業の紹介と同社

工場での「5S 運動への取り組み」としてプレゼンがなされ、参

加者らは熱心に耳を傾けていました。当地で活躍されている日本の企業の活動の方から、「5S 、KAIZEN」

に関し、単に知識だけではなく、「アルゼンチンでの導入に際してどのような点に心掛けているのか」、「ど

のような点で苦心しているのか」等について、現場の生の話を聞く機会に触れたことは、セミナー参加者

にとって非常に新鮮かつ有益であったと思われます。特に日本のモノづくり企業が、世界各地でのビジネ

ス展開に際して非常に大切にしている哲学は、当地で事業に携わる者の付加価値にもなり、日系青年らに

とって非常に貴重な機会であったと考えます。

アルゼンチンを始めとする中南米地域の日系社会では、近年、世代交代により日本語を話す世代が確

かに減少しつつあります。しかしながら、このことは、日本との関係が希薄になったことを意味するもの

ではありません。彼らは、プロフェッショナルとして居住国社会で活躍しながらも日系人としてのアイデ

ンティティをどこかに有しており、日本との繋がりを求め、また、特に自身のビジネスの付加価値に繋が

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るヒントを見つけるべく、日本のビジネス手法について非常に強い関心を有しています。これは、今後の

日本と新しい世代の日系社会との関係の在り方を示唆するものです。

JICA アルゼンチン事務所では、INTI との技術協力や日系社会のみならず、旧 AOTS(現 HIDA)帰国研修

員同窓会とも連携を強化し、セミナー等を通じ、アルゼンチン社会に対しても日本式マネジメントを啓蒙

普及に取り組んでいます。特に昨年からは、旧 AOTS 帰国研修員同窓会主導で「アルゼンチン 5S賞」委員

会が、活動の本格始動に向けた準備に取り組んでおり、JICAも当地日本大使館、本邦進出企業(トヨタ、

ホンダ、ヤマハ・モーター等)、INTI 等とともに、これに参加しています。

昨年 12月にマクリ新大統領率いる新政権が誕生し、これまでとは大きく異なる市場開放志向の経済政

策を打ち出し、今日、先進諸国からの投資の呼び込みに大きな期待が寄せられています。こうした中、JICA

アルゼンチン事務所としても、アルゼンチン企業に対し、「日本式マネジメント」を受け入れる環境をさ

らに加速的に整備し、将来の日本企業の投資や日亜両国間の経済関係強化のお役に立ちたいと考えていま

す。

3 月 1 日~10 日: 第三国研修「国際協力プロジェクト・マネージメント(PCM)」の実施

3 月 2 日: 日系社会シニアボランティア(短期)2名着任

3 月 13 日~19 日:第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」・佐藤在以外研修講師(東京海洋大

学大学院海洋科学技術研究科 教授)来ア

3 月 14 日~19 日: 第三国研修「ラテン・アメリカ地域淡水魚養殖促進」の実施

3 月 29日: シニア海外ボランティア 2名着任

5 月 9 日~20日:第三国研修「中南米における天然植物資源を用いた観賞植物の育種」実施予定

5 月 8 日~13日:第三国研修「中南米における天然植物資源を用いた観賞植物の育種」・金谷在外技術研

修講師(千葉大学環境健康フィールド科学センター)来ア予定

2016 年 4月-145号

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