0coast manual 2 · 2017-01-28 ·...

42
5.19.16 REV 7 v. 3.4

Transcript of 0coast manual 2 · 2017-01-28 ·...

Page 1: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

5.19.16 REV 7

v. 3.4

Page 2: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

1

保証につきまして ----------------------------------------------------3 概要------------------------------------------------------------4 パッチの記法 ----------------------------------------------------5ユーザーインターフェース---------------------------------------------------------6パネルコントロール-------------------------------------------------7デフォルトサウンドパッチ------------------------------------------------8さあ始めよう:

電源やモニタリング、信号について------------------------------------------9 MIDIとCVゲートコントローラー--------------------------------10MIDIプログラムページ-----------------------------------------------11-13MIDI CCを介したプログラムページへのアクセス------------14音を作り、変形し、モジュレーションする回路-----------15MIDI B 、MIDIアルペジエイター --------------------------16信号(シグナル) -------------------------------------------------------------------------17 アッテネート----------------------------------------------------------18アッテヌバート-------------------------------------------------19コントロール電圧の範囲-----------------------------------------20

ボイス: オシレーター----------------------------------------------------------21音色:

OVERTONEとMULTIPLY------------------------------22 スロープによるモジュレーション-------------------------------------------23バランス回路--------------------------------------------------------24

マグニチュード:音量(アンプリチュード)と明るさ--------------------------------25-27レベル-----------------------------------------------------------28

デフォルトのサウンドを超えて:---------------------------------------------------------29空いているパッチポイント---------------------------------------------------------30-32 初期結線の上書き-------------------------------------------------------------33

Voltage Math:-------------------------------------------------------------34 0-COASTを他の機器と使う-------------------35パッチアイディア---------------------------------------------------------------36-39???---------------------40MIDIケーブルピン出力図---------------------41

Page 3: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

2

This device complies with Part 15 of the FCC Rules. Operation is subject to the following two conditions: (1) this device may not cause harmful interference, and (2) this device must accept

any interference received, including interference that may cause undesired operation.

Changes / modiÿcations not approved by the Make Noise Co. could void the user’s authority to operate the equipment.

This equipment has been tested and found to comply with the limits for a Class A digital device, pursuant to part 15 of the FCC Rules. These limits are designed to provide reasonable

protection against harmful interference when the equipment is operated in a commercial environment. This equipment generates, uses, and can radiate radio frequency energy and, if

not installed and used in accordance with the instruction manual, may cause harmful interference to radio communications.

makenoisemusic.comMake Noise Co., 414 Haywood Road, Asheville, NC 28806

Page 4: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

3保証につきまして:

メイクノイズ製品に関する欠陥は製造後の1年間は当社が保証致します。規定外のパワーサプライからの電源供給及び背面電源ケーブルの誤接続による故障、誤用、またはメイクノイズがユーザーの過失であると判断する故障は期間内であっても保証の対象外となりますので、通常の有償サービスで対応致します。

保証期間内のあらゆる欠陥品は、当社の判断によって修理または交換のどちらかで当社にて対応しますが、その際に発生する輸送費に関しましてはユーザー様のご負担になります。また、保証をご希望のユーザー様は必ず事前に販売店へのお問い合わせをお願い致します。

お問い合わせ先: [email protected] その他のお問い合わせや感想につきましては当社ウェブサイトをご覧下さい。http://www.makenoisemusic.com

このマニュアルについて著:トニー・ローランド、ウォーカー・ファレルイラスト: W.リー・コールマン

Page 5: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

0-COASTはパッチング可能なシングルボイスのシンセサイザーです。Moog方式とBuchla方式(拠点とした場所に因んでそれぞれ"東海岸方式"、"西海岸方式"といいます)の両方の技術を応用していますがそれらのどちらにも忠実ではない"ノーコーストシンセシス"を実現しました。

0-COASTはクラシックなモジュラーシンセサイザーの技術を利用していますが、パッチケーブルを使用してもしなくても操作できるようにデザインされています。最低限必要な回路同士の接続は既にされており(Figure 1)、表現力豊かで音楽的なモノシンセとして動作します。お好きなMIDIコントローラーを使うだけであなたの音楽スタイルに新しい音色を取り入れることができます!同梱されたパッチケーブルを使用すれば、回路同士を繋げ直すことでより科学的、実験的なアプローチが使えます。MIDIの使用すらせず、鳴り続ける基音と不協和音によってできた、雲のようなアナログFM音を作ることもできます。

このマニュアルの後半ではより深い0-COASTの操作に立ち入ります。既存の初期結線を書き換えて新しいバリエーションを作り出したり、ドローンサウンドで実験を行ったり、0-COASTと他のアナログシンセやモジュラーシンセを繋ぎあったりする方法などを説明します。

4

Figure 1: 内部結線

概要

Page 6: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

このマニュアルでは、パッチングは次のように記述されます( は2つのジャックを繋げるパッチケーブルを示します):

例:

お察しかもしれませんが、これは矩形波(Square Wave)出力をバランス回路の外部入力に接続することを示します。この表現が難しいと感じても大丈夫です、すぐに分かるようになります。上のパッチングの記述に加えてビジュアルでも接続法をお見せします。上の例でいくと次の通りです。

回路出力

回路入力

オシレーターSquare Wave 出力

バランスExternal 入力

サイクルの数1 秒

= 周波数(Hz単位)

+5V

Figure 2: 信号図の詳細

-5V

時間、ミリ秒や秒

1 サイクル、または周期

0V

アン

プリ

チュ

ード

、電

このマニュアルのパッチング例には、オシロスコープで見られるような信号に似たイラストが一緒に描かれていることがあります。これらのイラストは模式的だったり直感でわかりやすいように描かれています。個々の値を測定するような研究室での使用目的ではありません。

55

サンプル図:

パッチの記法

オシロスコープの記法

Page 7: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

パネルコントロール:ノブはそれぞれのパラメータの値を設定する為に使われます。その値はしばしば、ジャックに入力されたコントロール電圧(CV)によって変更可能です。CVはノブを回す仮想的な手のように捉えることができます。CVはモジュラーシンセを決定的に特徴付けるものなので、後ほどさらに掘り下げていきます。

中くらいの大きさの白いノブと、大きい灰色のノブは大体が、CVを入力する前の出発点となるパラメータ値を設定する為に使われます。小さい白いノブはCVをアッテネート(強さを弱めること)し、時にはそれに加えてCVを反転する為に使われます。

=

=

=

光るボタンとアクティビティウィンドウ:0-COASTは幾つかの機能や動作の為にボタンを使っており、ボタンの点灯や点滅で振る舞いや状態を伝えます。恐らく一番目にするのは赤く点滅するアクティビティウィンドウで、クロックの速さを示します。それ以外にも信号の大きさや極性、MIDIの状態、サイクルのような別モード状態にあることなどを示します。Figure 4: 光るボタンとアクティビティウィンドウ

シグナル入力 CV入力 トリガー/ゲート入力 シグナル出力

ノーマリゼーション(初期結線):0-COASTは、パッチングされていなくても動作するように回路同士を繋げるような内部での結線がしばしば施されています。例えば、スロープ(SLOPE)CV出力はMULTIPLY CV入力に内部結線されており、スロープで音色がモジュレーションできます。

Figure 3: パッチの記法で見られるノブの図

ジャック:

0-COAST内の全てのジャックは入力または出力のどちらかになります。ジャック同士はケーブルで繋ぎます。入力と出力をケーブルで繋いでください。入力同士をつないでも何も起こりません。出力同士を繋ぐと予測できない動作をすることがあり、お勧めできません。ですが間違ってパッチしても壊れたりすることはないので、アクシデントを恐れないでください。

Figure 5: ジャックのラベル:

6

Figure 6: 初期結線のラベル

外部CV (Control Voltage):0-COASTは、ユーロラック(Eurorack)モジュールと同じ電圧要件で動作するので、Make Noise Shared Systemのようなアナログシンセサイザーと組み合わせると効果的です。もちろんその場合の実験性は傑出しています。

ユーザーインターフェース

Page 8: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

31.32.33.34.35.36.37.38.39.40.41.42.43.44.45.46.47.48.

49.50.51.52.53.54.55.56.57.58.59.60.

Multiply: CV入力スロープ: サイクルボタン<白>スロープ: Riseコントロールスロープ: Fall コントロールスロープ: アクティビティウィンドウ <緑>スロープ: バリレスポンス(Vari-Response)スロープ: End of Cycle (EOC)アクティビティウィンドウ<黄>スロープ: Rise/Fall CV入力スロープ: End of Cycle (EOC) ゲート出力スロープ: トリガー入力スロープ: 出力コントゥア オンセット(Onset)コントロールコントゥア: サステインコントロールコントゥア: ディケイコントロールコントゥア: アクティビティウィンドウ <緑>コントゥア: バリレスポンス(Vari-Response)コントゥア: ディケイ CV入力コントゥア: End of ONset (EON)アクティビティウィンドウ<黄>コントゥア: ゲート入力コントゥア: End of ONset (EON) 出力コントゥア: 出力Balance: 外部入力Balance: CV入力Balance: アッテネータDynamics: アッテネータDynamics: アクティビティウィンドウ <橙>ヘッドホン/ライン出力: レベルコントロールヘッドホン/ライン出力: TRS ステレオ, 3VppDynamics CV入力Dynamics 出力モジュレラーレベル信号, 10vppオシレーター: カリブレーション(調整)用トリマー**

7

Panel Controls:

27

2814

154

5 6 16

21

20 10

11

18 197

3

12 13

25

34

36

38 3946

44

43

4847

42

5635 45

33

37

32

261

29

8

51 59 60

5857

55

54

52 53

17 23 24 30

22

31 40 41 49 50

Figure 7: パネルコントロール

1. PGM A 点灯ボタン <白>2. MIDI A アクティビティウィンドウ <赤>3. MIDI 入力4. MIDI B アクティビティウィンドウ <赤>5. 外部 CV 出力6. 外部 ゲート出力7. PGM B 点灯ボタン <白>8. TEMPO 入力9. TEMPO アクティビティウィンドウ <赤>10. CLocK 出力11. Stepped Random 出力12. Voltage MATH: チャンネル 1 入力13. Voltage MATH: チャンネル2 入力14. Voltage MATH: アッテヌバータ15. Voltage MATH: アクティビティウィンドウ<赤> /

<緑>16. Voltage MATH: チャンネル1出力17. Voltage MATH: チャンネル2出力18. オシレーター: 三角波出力19. オシレーター: 矩形波出力20. オシレーター: ピッチコントロール21. オシレーター: ピッチファインチューン22. オシレーター: リニアFMアッテネータ23. オシレーター: 1V/OCT入力*24. オシレーター: リニアFM入力25. Overtone: コントロールノブ26. Overtone: アッテネータ27. Multiply: コントロールノブ28. Multiply: アッテネータ29. Multiply: アクティビティウィンドウ<橙>30. Overtone: CV入力

この入力はアナログシーケンサーを想定してデザインされており、4オクターブ以上のト ラッキングが可能です。より高精度のトラッキングにはMIDIを使用してください**チューニングやMIDIに影響する為アナログシンセを理解している方のみ使用してください

パネルコントロール

61.

61

Page 9: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

8

Figure 8: デフォルトのサウンド

Figure 9: ドローン

デフォルトサウンドパッチ

Page 10: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

電源やモニタリング、信号について

0-COASTのACアダプターを、ON/OFFスイッチのある電源タップに挿すのがお勧めですが、壁のコンセントに挿しても構いません。付属のACアダプターのみ使用してください。ACアダプターをコンセントに挿したら、もう片方を0-COAST側面にあるジャックに差し込みます(Figure 10)。

0-COAST内部の信号は通常の楽器やラインレベルのオーディオ信号よりもかなり大きくなっており、これを"モジュラーレベル"と呼んでいます。例えばオシレーターの三角 波(Triangle Wave)出力は一番下から上までで10V(10Vpp)の範囲を動き、これは通常のラインレベル出力より4倍以上大きいものです。この大きな差の理由の一つは、シンセサイザー内部の信号の全てがオーディオ信号というわけではないからです。信号の多くはコントロール電圧で、直接音として聞くことができない代わりに、0-COAST内部の様々な要素をコントロールする為に使われます。コントロール信号は出力が大きいため、コンピューターや家電、ラジオの電波といった他の電気源と深刻に干渉することなく使用可能です。 ですが大きい信号出力の最大の利点は、パラメーターの全レンジをモジュレーションできるという点です。

大きい出力信号を弱めずに聞こうとするとスピーカーや耳にダメージを与える可能性があります。0-COASTの出力をミキサーやスピーカー、アンプ、ヘッドホンなどに繋ぐ時は、このようなダメージを避けるため音量をゼロから始めて徐々に上げていってください。

0-COASTは、音量コントロールがついたステレオミニジャックによる専用のライン出力があり、そこからの出力は標準的なラインレベルとなるので難しいことを考える必要がありません(Figure12)。ですのでモニタリングにはそのステレオライン出力のみを使用するのがお勧めです。

注:0-COASTをミキサーやオーディオインターフェースにあるようなバランス入力に接続する場合は、TS(モノ)ケーブルを使用してください(Figure13)。

9

ライン出力

Figure 12: 出力例ヘッドホンやスピーカーでのモニタリングには、唯一のTRSステレオ出力を持つLINE OUTを常に使用してください。DYNMC出力からヘッドホンやスピーカーにパッチすると大きいモノ信号をどちらかのスピーカーにのみ送り、ダメージを与える可能性があります。

Figure 11: 演奏中の接続例

Figure 10: 電源接続の様子

さあ始めよう

モニター例:

Page 11: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

CV/Gateコントローラーを使用したい場合は、まずそのコントローラーのピッチCVとゲート出力を探してください。ピッチCV出力を0-COASTの1V/Oct入力へ、ゲート出力をCONTOURゲート入力へ接続します(Figure 16)。CV/ゲートコントローラーの鍵盤を押したり、シーケンスを走らせてください。ゲートの出力を示すなんらかのビジュアル的なフィードバックがあるでしょう。またスムースでシンプルな音が聞こえるでしょう。CONTOURやDYNAMICSアクティビティウィンドウが光っているのに音が聞こえない場合は、モニタリングシステムからきちんと音が出るかチェックしてください。CONTOURアクティビティウィンドウが光っていない場合は、お使いのコントローラーからゲート出力が正しく行われているか、またCONTOURゲート入力に正しく接続されているかを確認してください(Figure 16)。CONTOURアクティビティウィンドウは光っているのにDYNAMICSアクティビティウィンドウが光っていない時は、DYNAMICコントロールノブが3時を超えているかどうかなど、"デフォルトのサウンド"の設定になっているかを確認してください。

もしMIDIや外部のCVゲートコントローラーを使用しない場合は"デフォルトのドローンサウンド"(Figure 9)の設定にしてください。

10

電源を入れたら、パネルの設定を、8ページのFigure8に示したような"デフォルトのサウンド"に合わせてみましょう。

MIDIコントロールを行うには、お持ちのMIDIコントローラー、MIDIシーケンサーから0-COASTのMIDI入力に付属のMIDIアダプターを接続してください(Figure 14)。0-COASTはデフォルトで全チャンネルのMIDIを受信するので、MIDIコントローラーの鍵盤を押したりシーケンサーを走らせればMIDIアクティビティウィンドウが赤く光り、スムースでシンプルな音が聞こえるでしょう。MIDIアクティビティウィンドウが光っているのに音が聞こえない場合は、モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と同じ設定になっているかをチェックしてください。もしMIDIアクティビティウィンドウが赤く光らない場合は、お手持ちのMIDIコントローラーの設定を確認してください。少なくとも1つのチャンネルのMIDI信号を出すようになっていなければなりません。またケーブルがMIDIコントローラーのMIDI OUTから、0-COASTのMIDI INへ接続されているかも改めて確認してください。

MIDIコントローラーはまた、内蔵されているアルペジエイターにも使えます。アルペジエイターを有効にするにはPGM_AとPGM_Bを押してください。PGM_Bが光ってアルペジエイターがONになったことを示してくれます。デフォルトのアルペジエイターでは、鍵盤をホールドすると押した順にノートが演奏され、鍵盤を離すと止まります。アルペジオの速さはPGM_Bをタップして設定できます。アルペジエイターをOFFにするにはPGM_AとPGM_Bを押してください。PGM_Bはもはや光らず、アルペジエイターがストップしているはずです。アルペジエイターの詳細についてはMIDIプログラムの節を参照するか、本体底面の説明をご覧ください。

To MIDI OUT onMIDI Controller

ステレオ(TRS)ミニジャック

モノ (TS)ミニジャック

リングスリーブ

Figure 13: ステレオ(TRS)ミニジャックとモノ (TS)ミニジャック

Figure 15: 0-COASTをMIDIを介してKorg SQ-1シーケンサーに接続しています。注意点: ミニジャックの形状のKORGのMIDI機器からMIDIを使用したい場合、MIDIアダプターケーブルは不要です。単純に2つの機器をステレオ(TRS)ミニケーブル(Figure 13)で接続してください。

MIDIとCV/ゲートコントローラーさあ始めよう

Figure 14: アダプターを介したMIDI接続ティップ

Page 12: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

プログラムボタンPGM_AとPGM_Bボタンによってたくさんの機能にアクセスすることができます:

基本アクション・PGM_Bの長押し: パニックMIDIやアルペジオのノートを止めます。もしMIDIのノートがフリーズしてしまった時などはこの操作で治ります。ラッチ&シフトタイプのアルペジエイターに設定している場合、この操作でノートがクリアされます。

・PGM_AとPGM_Bの同時押し: アルペジエイターの再生と停止この操作によって、通常の鍵盤演奏とアルペジエイターを切り替えます。アルペジエイターのタイプについては34ページをご覧ください (注)アルペジエイターはMIDI経由で操作している時のみ有効です

プログラムページプログラムページを使うと、0-COASTのパネルから直接アクセスできないたくさんのパラメータ設定が可能です。MIDIデータに対してどう反応するかを設定することができます。例えばCV出力をベロシティやノートナンバー、モジュレーションホイールなどにアサインすることができます。モードを選べる楽しいアルペジエイターもありますし、MIDI B出力から追加のLFOを出したり、レガートとリトリガーを切り替えることもできます。

ページのナビゲーションは次のようになります。・PGM_Aの長押し: プログラムページに入ります。MIDI_AとMIDI_Bが2回点滅します。PGM_Aが光っており、プログラムページにいることを示します。

・PGM_Aを押す: プログラムページの選択を行います。PGM_Aを押すごとに次のページにいきます。最後の7ページにいるときにPGM_Aを押すとプログラムページから抜け出します。

・PGM_Bを押す: 各ページのパラメータの値を設定します。PGM_Bの光り方が値に対応します。PGM_Bを押すたびにそのページのパラメータが次の値に移ります

・PGM_Bを長押し: プログラムページを抜け出します。

11MIDIプログラムページ

Page 13: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

プログラムボタンPGM_AとPGM_BボタンによってMIDI_A及びMIDI_Bのたくさんの設定にアクセスできますが、これらをデフォルトの設定に戻したい時は次のようにしてください:PGM_AとPGM_Bを押しながら0-COASTの電源を投入します。電源投入が終わるとデフォルトの設定に戻っており、すぐに使用できます。

各プログラムページの説明に移ります。

ページ1.アルペジエータ設定(PGM_A点灯):アルペジエーターのモードを次の2つから選択します。• PGM_B消灯(デフォルト): MIDIノートを着信した順番にクロックに合わせてプレイする伝統的なアルペジエイターです

• PGM_B点灯(ラッチ&シフトタイプ): MIDIノートをプレイした順番に重ねていきアルペジオを作ります。 MIDIノートがOFFになってもノートは再生され、次に同じMIDIノートがONになった時にアルペジオからそのノートが削除されます。20個のノートまで加えることができます。20以上のノートがプレイされた時は、新しくノートが加わる度に、最初の方にプレイしたノートから削除されていきます。

ラッチ&シフトはオフの時、より伝統的なアルペジエイターとなります。オンの時はタップテンポやTEMPO入力、MIDIクロックなどに合わせてプレイしたノートを再生し、よりシーケンサーのプログラミングのような感じで振舞います。

ページ2.レガート設定(PGM_Aゆっくり点滅):• PGM_B点灯(デフォルト、レガートオン): 最初にMIDIノートを着信するとMIDI Aのゲート出力がハイとなり、全

てのノートがオフになるまでゲート出力がローになりません• PGM_B消灯(レガートオフ): 新しいMIDIノートを着信するたびに、その前のノートがまだオンになっているかど

    うかに関わらず、ゲートが新しくハイとなります。ONSET時間が短いと、新しくノートが           押されるたびに、前のノートが終わっているかどうかに関わらず新しいコントゥア(CONTOUR)が        生成されます。デフォルトはレガートオンとなります。このモードでは全てのノートがオフになるまでゲートはハイを保ちます。これはクラシックなモノシンセのスタイルです。最後のノートがオフになるまでコントゥアはサステインされたままになります。もう一つのレガートオフのモードは、リトリガーモードと呼ばれることもあります。このモードでは、新しくノートが押されると、以前のノートが終わっていなくても新しいゲートがコントゥアに送られます。このモードは短いコントゥアの設定で一番よく機能し、短いパンチのあるアタック音を作るのに役立ちます。

ページ3.MIDIラーン設定(MIDI_A点灯): MIDI AやMIDI Bの受信MIDIチャンネルをそれぞれ別のチャンネルにすることができます。AとBのどちらを設定するか選んでから、対応チャンネルのMIDIデータを送ってMIDIラーン(MIDI Learn)を行います。そしてPGM_Bを長押しすることでMIDIラーンが終わります。

・PGM_Bを押して設定するMIDI A/Bを選択します・MIDI_Aが点灯しているとMIDI AのMIDIラーンの準備ができています・MIDI_Bが点灯しているとMIDI BのMIDIラーンの準備ができています・MIDI_AとBの両方が点灯しているとMIDI A/B両方をMIDIラーンする準備ができています

・ラーンしたいチャンネルのMIDIデータを送信します・PGM_Bを長押しすると全LEDが2回点滅し、MIDIラーン完了して設定を抜け出したことを示します・PGM_Aを長押しすると全MIDIチャンネルの受信を可能にします(デフォルトの設定)

デフォルトではMIDI_AもBも全MIDIチャンネルを受信します。MIDIラーンはリアルタイムにアップデートしますので、ノートを送るとすぐにラーンを行います。他のページと違い、ラーンを確定させるにはPGM_Bを長押ししなければなりません。こうすることで設定を上書きすることなくどのチャンネルをアサインするかをオーディションすることができます。この設定ページ上ではMIDI_AアクティビティウィンドウはMIDI Aを、MIDI_BアクティビティウィンドウはMIDI Bを示します。PGM_Bを押してラーンするMIDIをA,Bまたは両方から選んでください。PGM_Aを長押しすることでMIDI_AとB両方を全MIDIチャンネルに設定(つまりデフォルト設定)することができます。MIDIAとBで別々のチャンネルを設定すると、0-COASTをMIDI-CVコンバーターとして使用する時に非常に便利で、0-COASTにベースラインをプレイさせ、他のモジュラーシンセにリードをプレイさせたりすることができます。

12MIDIプログラムページ

Page 14: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

プログラムボタン (つづき)ページ4.MIDI B CV設定(PGM_A点灯、MIDI_Bゆっくり点滅): ・PGM_B消灯: MIDIノートナンバー・PGM_B点灯: ベロシティ(デフォルト)・PGM_Bゆっくり点滅: モジュレーションホイール・PGM_B早く点滅: 三角波のLFO(MIDIとは独立、PGM_Aボタンのタップで周期を設定します)

MIDIノートに設定すると、電圧コントロールできる外部シンセのMIDI-CVコンバーターとして使うことができたり、またモノシンセでよくある"キートラック"のように使用することができます。例えばMIDI_BのCV出力をBALANCE CV入力にパッチすると、MIDIノートが高くなるほど音が明るくなるように設定できます。OVERTONEとMULTIPLYの設定が最大の音の明るさを決定します。35ページのシンプルなベースパッチが良い出発点となるでしょう。この設定をMIDI Aと一緒に使用すれば、もう一つのVCOやシンセボイス(モジュラーや他のCVでコントロールできるシンセやVCOとして使用した0-COASTのSLOPEセクション)を鳴らすことができます。

ベロシティに設定すると、どのくらい強くノートをプレイしたかで音色を変えたりすることができます。例えばMIDI_BのCV出力をMULTIPLYにパッチして、強くプレイしたノートの時に音色が明るくなるようにできます。モジュレーションホイールに設定すると、マニュアルのモジュレーションソースを追加することになります。もしAbleton LiveのようなDAWをお使いなら、モジュレーションホイールのオートメーションを使うことができます。LFOに設定すると、速さを(プログラムページにいない時に)PGM_Aのタップでセットする三角波のLFOを出力します。

ページ5.MIDI B Gate設定(PGM_A点灯、MIDI_B早く点滅): ・PGM_B消灯: MIDIノートオンの時にハイとなるゲート・PGM_B点灯: ベロシティが50%より大きいときにハイとなるゲート・PGM_Bゆっくり点滅: モジュレーションホイールが50%より大きいときにハイとなるゲート(デフォルト)・PGM_B早く点滅: スクエアLFO

MIDIノートオンに設定していると、新しいノートの度に新しくゲートが生まれます。これはスロープジェネレーターをノートで立ち上げたり、ステップランダムのクロックに使用して新しいノートの度に新しいランダム電圧を出すようにするのに使用できます。2つ以上のノートが重なっているときのゲートの振る舞いはプログラムページ2のレガート設定に影響されることに注意してください。MIDI B ピッチCVと合わせると、2つ目のシンセをコントロールするゲートとしても役に立ちます。ベロシティやモジュレーションホイールにセットすると、それらのパラメータが50%より大きいときにゲートがハイとなります。これはより強くプレイしたノートをより強調したり、パラメータ設定を50%より大きいか小さいかで切り替えたりするのに役に立ちます。LFOは矩形波で、MIDI B CV出力をLFOにしている時と速さが同じになり、PGM_Aのタップで設定してください。

ページ6.MIDIクロック設定(PGM_A早く点滅): ・PGM_B消灯(デフォルト): MIDIクロック反映オフ・PGM_B点灯: MIDIクロック反映オンTempoにMIDIクロックを反映させるかの設定です。Tempoはその他PGM_Bのタップテンポや、TEMPO入力ジャックなどへのクロック/トリガー信号なども同時に反映されます

ページ7.カリブレーション(MIDI_AとB交互に点滅、PGM_A点灯):カリブレーションを行うにはPGM_Bを押してください(3~6分程度かかります)。VCOに内部で固定結線されているMIDI_A CVシグナルコンバーターや、他のVCOに接続されている場合にはMIDI_B CVシグナルコンバーターのカリブレーション(調整)を行います。0-COASTは工場出荷時に調整済みです。0-COASTのSLOPEセクションのように1V/Octでスピードが変化しない回路のピッチコントロールをMIDI_B CVで行いたい時など以外にはカリブレーションを行う必要はありません。カリブレーションは、0-COASTの電源を投入して20分以上経過してから、MIDIや全てのパッチケーブルを0-COASTから外して行ってください。内部のVCOのみカリブレーションするには、灰色のピッチコントロールノブを左に回しきり、またFine周波数コントロールをMIDI_Aアクティビティウィンドウが点滅でなく点灯するように設定してください。PGM_Bボタンを押してカリブレーションを始めてください。完了まで3分程度かかります。カリブレーションが始まったら0-COASTの全てのパラメータを変更しないでください。(SLOPEセクションなども含めた)外部VCOに対するMIDI_B CVピッチのカリブレーションを行うには、サイン波、矩形波、ノコギリ波といった基本的な波形を0-COASTのTEMPO入力にパッチングしてください。MIDI_B CV出力をその外部VCOのピッチコントロール入力にパッチします。上と同様、MIDI_Bアクティビティウィンドウが点灯するようにFine周波数コントロールを設定してください。そして、外部VCOのピッチを調整してPGM_Aボタンも点灯するようにします。両方が点灯するようになったら、PGM_Bボタンを押してカリブレーションを始めてください。カリブレーションが始まったら0-COASTと外部VCOの全てのパラメータを変更しないでください。完了まで6分程度かかります。

13MIDIプログラムページ

Page 15: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

14

MIDIクロックに同期したグライド/ポルタメントをMIDIでコントロールするMIDI CC5と65を使用するとアナログでクロックに同期したポルタメントが可能です。

ポルタメントのON/OFF CC 65= 0 - OFF; 1-127 = ON

ポルタメントタイム CC 5 = 0-127; 0= OFF; 1-127= ポルタメントタイムMax 4 Live ページプログラマーPlease 私たちはMake Noise 0-Coast Page Programmer.amxdというMax4Liveデバイスを作りました。これによって0-COASTのプログラミングがとても簡単になります。Max 4 Liveをお使いの方は次のリンクを参照してくださいwww.makenoisemusic.com/synthesizers/ohcoast

注: ポルタメントタイムの単位はメインクロックの1/64です。50%(CC5=64)に設定すると0-COASTが次の音階に達する為にちょうどクロック一つ分かかります。クロックやCC5の値がポルタメント中に変更されるとこのルールに追従します

注: CC 5とCC 65のどちらかが0であればポルタメントOFFです

MIDIクロックと同期させるために、MIDIクロックを0-COASTで有効にする必要があります (MIDI クロック=CC114, 0-OFF, 1- ON).

MIDI CCを利用するプログラムページパラメータ:

0-COASTのプログラムページをMIDI CCメッセージを使ってプログラムすることができます。他のいくつかのパラメータもMIDI CCでプログラム可能です。ピッチベンド、アフタータッチ、ベロシティ、テンポの分割などですMIDI CCナンバーのリストは以下の通りです:

アルペジエータON/OFF=117 アルペジエータのON/OFF設定 0-OFF; 1~127-ON

アルペジエータタイプ=119 アルペジエータのタイプ設定 0-通常; 1~127-ラッチ&シフト.

レガート設定=118 レガートのON/OFF 0 -OFF; 1~127-ON

MIDI Aチャンネル =102 MIDI Aチャンネルの選択 0~15で個別のチャンネル; 16-127が全MIDIチャンネル

MIDI Bチャンネル=103 MIDI Bチャンネルの選択 0~15で個別のチャンネル; 16-127が全MIDIチャンネル

MIDI Aチャンネル CV=104 チャンネルのCV出力内容の設定 0-音階; 1-ベロシティ; 2-MODホイール; 3~127 LFO (クロック出力に同期)

MIDI Bチャンネル CV=105 チャンネルのCV出力内容の設定 0-音階; 1-ベロシティ; 2-MODホイール; 3~127 LFO (PGMAタップに同期)

MIDI Aチャンネル ゲート=106 チャンネルのゲート出力内容の設定 0-ノートON; 1-ベロシティ>50%でON; 2-Modホイール>50%でON; 3~127 LFO

MIDI Bチャンネル ゲート=107 チャンネルのゲート出力内容の設定 0-ノートON; 1-ベロシティ>50%でON; 2-Modホイール>50%でON; 3~127 LFO

ピッチベンド範囲(MIDI A)=108 ベンドの範囲を半音単位で設定します

ピッチベンド範囲(MIDI B)=109 ベンドの範囲を半音単位で設定します

アフタータッチ範囲(MIDI A)=110 半音単位でアフタータッチを設定します

アフタータッチ範囲(MIDI B)=111 半音単位でアフタータッチを設定します

ベロシティ範囲(MIDI A)=112 ベロシティの最小値を設定します

ベロシティ範囲(MIDI B)=113 ベロシティの最小値を設定します

MIDIクロック=114 MIDIクロックのON/OFF設定 0- OFF; 1- ON

TEMPO IN Div.=116 クロック出力のTEMPO入力に対する分割を設定します

0または1= 1/1; 2 = 1/2; 3 = 1/3; 4 = 1/4;等 タップテンポやMIDIクロックに影響は与えません

MIDI規格についての詳細は www.midi.org

MIDI CCを介したプログラムページへのアクセス

Page 16: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

矢印に従いましょう!MIDIの部分以外、0-COASTは100%アナログの信号経路でできており、音を形作るための全てのパラメーターがパネルからコントロールできます。これらの回路それぞれが音を作るためにどのように役立つのかを知ることは有用です。信号は左から右へと流れ、CTRL回路に始まりDYNAMICS回路で終わります。0-COASTには金の線で信号の流れが描かれています(Figure 1)。これらの流れのいくつかは常に有効ですが、残りはノーマリゼーション(初期結線)、つまりパッチケーブルを使ってルーティングを変えることができます。金の線が入力ジャックに矢印として流れ込んでいるような箇所(Figure 17)はどれも初期結線されています。

外部からのコントロール: CTRLセクションここはMIDIやクロック、ランダム電圧、そしてCV加工用の回路があるセクションです。これらの回路は、MIDIや外部クロック、タップテンポを通して、0-COASTを外部機器からコントロール、モジュレート、そして同期させることができます。

MIDI入力は昔ながらの面倒なDINコネクターではなくミニジャックを使用します。ミニジャックによる接続は、Korg SQ-1やElectribe 2のような同じミニジャックのMIDIを使用する機器と接続する時にとてもシンプルで軽く済みます。Figure15のように、ステレオのTRSミニジャックケーブルを使って繋いでください。0-COASTを昔ながらのDINによるMIDI機器と繋ぐには、付属するMIDIアダプターケーブルを使用してください。MIDI接続をした後にMIDIの設定を変えたいことがあるかもしれません。MIDI設定を修正するには2通りの方法があります。一つはローカルに本体で行うプログラム、もう一つはSysexプログラミングです。詳細については後半の"他の機器と0-COASTを一緒に使う"セクションを参照してください。

MIDI A CVからの金の線を辿ると、オシレーターのPITCHコントロールに繋がっているのがわかるでしょう(Figure 18)。このMIDI Aとオシレーターの間の接続によって、0-COASTのピッチをMIDIコントローラーで演奏することができます。これを試すには、まず0-COASTを"デフォルトのサウンド"設定(Figure 8)に設定して、MIDIコントローラーをFigure 14のようにパッチしてください。そして幾つかの鍵盤を押したりシーケンサーを走らせてください。この接続は常に有効で変えることはできません。ですが、オシレーターの1V/Oct入力にCV信号をパッチすれば、別の機器からもピッチをコントロールすることができます。

15

Figure 17: 初期結線を示すラベル

Figure 18: MIDI A CVの内部結線

Figure 16: CV/Gateを介したKORG SQ-1と0-COASTの接続

さあ始めよう 音を作り、変形し、モジュレーションする回路

Page 17: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

Figure 19: MIDI AとBの初期結線上に書いたように、MIDI AのCVとゲートは、常にそれぞれオシレーターのピッチ、コントゥアのゲートとして接続されています(後者はパッチングによって変更可能)。ですが0-COASTにはMIDI Bというもう一つのMIDIオプションがあり、別にCVとゲートを出力することが可能です。これらのジャックは0-COASTの他の出力と同じ範囲の電圧を出力しますが、MIDIデータにどのように反応するかを設定可能なところが異なります。例えばCV出力はベロシティ、ノートナンバー、モジュレーションホイールなどにアサインできます。MIDI A以上にMIDIが必要ない場合には、MIDI B CVは追加の三角波LFOとして、MIDI B GATEは追加の矩形波LFOとなるよう設定できます。これらの設定の詳細についてはMIDIプログラムページについてのセクションを参照してください。さらに0-COASTの底面にはこれらの設定方法が全て記載されています。

MIDI Aゲートからの金の線をたどっていくと、それがコントゥアのGate入力に結線されていることがわかるでしょう(Figure 19)。更にコントゥアはDYNAMICSに結線されているので、コントゥアをトリガーすれば0-COASTの音量コントロールが行われることになります。コントゥアのGATE入力とDYNAMICSのCV入力にパッチングしなければ、コントゥアのシグナル出力はDYNAMICSをモジュレーションすることになります。これらの結線はコントゥアのゲート入力にパッチすることで変更することができます。

クロック、ランダム電圧、そしてCVプロセスの回路については、マニュアル後半で詳細に解説します。これらの回路からは金色の線がでていません。これらの回路は少し進んだものなので、パッチングしなければどこにも結線されません。

MIDIアルペジエイターPGM_Aがオンのときアルペジエイターが有効です。アルペジエイターはPGM_AとPGM_Bを同時に押すと有効になります。これらの設定の詳細についてはMIDIプログラムページについてのセクションを参照してください。さらに0-COASTの底面にはこれらの設定方法が全て記載されています。

16さあ始めよう MIDI B、MIDIアルペジエイター

Page 18: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

オーディオ:オーディオ信号は、音として認識されるほど早いスピードで変化/振動する電圧です。モニターすると実際に聞くことのできるタイプの信号です。コントロール信号もオーディオの速さで振動させることができます。

例:オシレーターのTRIANGLEやSQUARE出力信号

CV: LFO (Low Frequency Oscillator)

"コントロール電圧(CV)"は、パラメータをコントロールするために使う連続的に変化する信号のことです。多くの場合CVは音として聞こえるより遅く動きます。むしろ聞こえている音に関わるパラメータを変化させる為ものです。

例:スロープ(SLOPE)出力の信号

+8V

0V

1サイクル = 5秒

Figure 21: Low Frequency Oscillator

時間

17

0-COASTの全ての要素は、信号の生成送出やモディファイなどに関連しており、影響を与え合う信号はモジュラーシンセサイザーの中心的な存在です。信号は出力から入力へとパッチングすることができます。信号は電圧の形で、+/-10Vの範囲内の様々な値を取ります。

信号にはいくつかの基本的なタイプがあり、各入力は特定のタイプの信号を想定していますが、結局全ての信号は電圧なので、"間違った"タイプの信号でも"正しい"タイプと同じように音楽的に使用できることもあります。あまりこだわりすぎないでください。使い方によって信号が複数のタイプの役割を果たすようなグレーゾーンも存在するので、実験に勝るものはありません。いくつかの基本的な信号のタイプを示します。図はそれらの信号の時間的な変化を表しています。

+5V

Figure 20: オーディオレートの三角波

-5V6 KHZ = ~G8

1サイクル = 0.166 ミリ秒

CV: ランダム電圧ランダム電圧はご想像の通り予測ができません。繊細に使えばランダム電圧はパッチに生き生きとした動きをつけることができます。また予測できるメロディーの中に予測できない音色変化を持ち込んだり、ジェスチャーで音色やリズムを変化させつつ予測できないメロディーを生み出すことも可能です。おしゃべりになったシンセサイザーとジャムすることだってできます。突き詰めていけば、生成的な音楽システムとなるパッチで中心的な役割を果たすことができます。

例: Stepped Ramdom(ステップランダム)出力

+10V

0V

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9クロック

Figure 22: ステップランダム電圧

ゲートとクロック:トリガーやゲート、クロックは、何かのイベントの始まりの合図、状態を切り替えるスイッチなどとして使用できます。CVのように連続的に変化するのではなく、ハイとローの2つの状態しか持ちません。"ハイ"は通常+8Vの信号で時間的長さは問いません(Figure 23)。"ロー"は0Vです。

これらの信号の間には類似性があり、0-COASTではこれらのタイプの信号のどれに対しても同様の反応をします。ですがゲート信号の時間的長さは数ミリ秒から"ずっとオン"のように決まっていません。ゲートの時間的長さはゲートの幅などと言われたりします。同様にクロック信号は一定の間隔でハイになる信号です(Figure24)。ゲート信号は、ゲート信号を想定した入力の為に作られている出力ですが、そのような入力の大体は0Vから2Vを越えて動くような信号であれば反応します。例:ゲート例: EONゲート出力クロック例: CLOCK出力

+8V

0V

ゲートハイ

ゲートロー

+8V

0V

Figure 23: ゲート信号 Figure 24: クロック信号

時間時間

さあ始めよう 信号(シグナル)

Page 19: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

18

アッテネート(減衰)信号をアッテネートするというのは、単にその信号の強さを減衰させることです。オーディオ信号をアッテネートすると信号の音量を下げる効果があります。コントロール信号をアッテネートすると、コントロール信号が行っているモジュレーションの強さを弱めます。

例O-COASTはMultiplyコントロールにアッテヌバータがあり、パラメータへのモジュレーションの深さをコントロールできます。OvertoneのようなCV入力のアッテネータは左いっぱいに回すと強さがゼロになりモジュレーション信号の入力があったとしてもモジュレーションがかかりません。

+10V

0V

Figure 25: ランダムステップ電圧

Figure 26: ランダムステップ電圧

(アッテネート)+10V

0V時間

時間

Figure 27: ランダムステップ電圧

(完全にアッテネート = 0V)+10V

0V時間

+10V

0V

Figure 29: ランダムステップ電圧

(反転)

0V

さあ始めよう アッテネート

時間

+10V

0V

0V

時間

インバート(反転)信号を反転させるというのは、信号の上下をひっくり返すことです。例えば5Vのオフセット電圧を反転させると-5Vになります。 プラスの電圧のシーケンス(Figure 28)を反転させると、同じ間隔で変化するマイナス電圧のシーケンスになります(Figure 29)。このシーケンスをメロディーに置き換えれば対位法的な技術になります。

オーディオ信号を反転しても大体の場合は何の効果もありませんが、例外として、関係したオーディオ信号とミックスする場合や、波形が1周する間に何度も反転を行う場合(Make Noise ModDemixなどのリングモジュレーターなど)が挙げられます。

アッテヌバータは、強さを弱めると同時に信号を反転したり(しなかったり)します。つまみがちょうど12時の時に信号が0になります。MultiplyのようなCV入力にはアッテヌバータがついており、モジュレーションを好きな深さで、(プラスとマイナス)どちらの方向にもかけることができます。

Figure 28: ランダムステップ電圧

(アッテヌバート)

Page 20: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

19

アッテヌバータの使用例として、CTRLセクションの電圧プロセッサーのCH 2が挙げられます。サイクルしているスロープをオシレーターの1V/Octに入力するとビブラートになりますが、音程が何オクターブにも渡り変化してしまいます。代わりに、スロープ出力を電圧プロセッサーのCH 2に入力し、出力を1V/Octにパッチして、CH 2のアッテヌバータを調整してみましょう。この時もMIDIでもオシレーターのピッチをコントロールできます。電圧プロセッサーの2つの出力は同じですので、スロープ出力によって2つのモジュレーション先のモジュレーションの強さを一つのアッテヌバータでコントロール可能です。

電圧プロセッサーのCH 1の入力に何もパッチされていなければ入力は無視されます。CH 2では入力にパッチされていなければオフセット電圧が入力に初期結線されており、その電圧がアッテヌバータを通ります。このオフセット電圧の理想的な応用例はFigure 9のドローンパッチです。このパッチではオフセット電圧がDynamicsにパッチされ、音を出しっぱなしにすることができます。

上で述べたように、CH 1の入力は常に"ユニティ"(強さのコントロールがありません)で、CH 2の入力にはアッテヌバータがつきます。信号を反転させるのが役に立つのは、コントゥアが高くなるほどOvertoneの値が低くなるように、コントゥアを逆向きのモジュレーションに使う時です。Overtoneコントロールを右いっぱいに回し、Countour出力をCH 2入力にパッチし、CH 2のアッテヌバータを左いっぱいに回してください(Figure 31)。そしてCH 2の出力をOvertone CV入力に入れ、Overtone CVのアッテネータを右いっぱいに回します。

2つの出力はまったく同じなので、電圧プロセッサーはマルチプルになっており、一つの信号を2つのモジュレーション先に送ることが可能です。CH 2入力に信号をパッチし、アッテヌバータを右いっぱいに回し、同じ出力2つを取り出してください。パッチしている信号がどこかに初期結線されているものなら、3つのモジュレーション先に送れることになります。例えばスロープをMultiply(初期結線されています)、Balance、Overtoneの3つに同時に送ることができます。

+10V

0V

Figure 30: ランダムステップ電圧

Time

+10V

-10V

Figure 31: ランダムステップ電圧(アッテヌバート)

Time

0V

さあ始めよう アッテヌバート

Page 21: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

コントロール信号を使ってパラメータを操作するやり方を学んできましたが、パラメータが動く範囲をアッテネータで調整すると考えることが大事です。

スロープのようなユニポーラー(プラスのみ)なコントロール信号を使うと、ノブで設定したパラメータの値に対して追加されるモジュレーションの方向と範囲をアッテヌバータによってコントロールすることが可能です。例えばMultiplyに初期結線されたスロープの場合、Multiplyのコントロールノブを最初の位置からマニュアルで動かす効果を与えることになります。

20

Figure 36: SLOPEのプラス電圧をMULTIPLYパネルコントロールから引いています。その結果コントロールの動く範囲は上の図の影のついた範囲となります

Figure 34: SLOPEのプラス電圧をMULTIPLYパネルコントロールから引いています。その結果コントロールの動く範囲は上の図の影のついた範囲となります

Figure 35: MULTIPLYアッテヌバータを12時にすると、MULTIPLYコントロールに電圧が加えられません。その為変化が聞こえません

Figure 37: SLOPEのプラス電圧をMULTIPLYパネルコントロールに加えています。その結果コントロールの動く範囲は上の図の影のついた範囲となります

上のパッチでは、サイクルするスロープの動きとともに三角波のピッチが変わるのが聞こえるはずです(Figure 33)。

+5V

-5V

Figure 32: 三角波:基本周波数

(コントロール電圧なし)

0V

+5V

-5v時間

0V

時間

Figure 33: 三角波:

指数型周波数モジュレーション

さあ始めよう コントロール電圧の範囲

Page 22: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

0-COASTを"デフォルトのサウンド"(Figure 8)のように設定してください。オシレーターの音を聞くためには、コントローラーから鍵盤を押すか、Figure 9のように0-COASTのドローンパッチを設定してください。

0-COASTの音はこのトライアングルコアの電圧コントロール可能なオシレーター(VCO)回路から始まります。VCOは、Figure 39のように三角波(Triangle)と矩形波(Saure)を作り出します。オシレーターは0-COASTでの主要な音源となります。Balanceを左いっぱいに回すと、初期結線された三角波の音が出ます。

Balance回路ではこの三角波を基音と呼びます。三角波は少しだけ倍音を含みますが、PITCHパネルコントロールや1V/OctによるCV、MIDIなどによって決まる基音をよく表しています。三角波のサウンドはスムースかつピュアで、西海岸のシンセシステクニックでしばしば出発点として利用されます。

パッチケーブルを取って、Figure 38にあるようにオシレーターのSquare出力からBalance外部入力にパッチしてみましょう。

Balanceのノブはまだ左いっぱいにしておいてください。パッチすると奇数次倍音をたくさん含み、ラフで複雑な矩形波の音が聞こえるはずです。空洞を通っているようなアグレッシブなサウンドになります。矩形波は東海岸のシンセシステクニックでよく出発点となります。三角波も矩形波も素晴らしいサウンドです。オシレーターのピッチはCoarseやFineコントロールノブでリアルタイムにコントロールできます。またMIDI入力や1V/OctにCVシグナルを入れることでもコントロールできます。このようなピッチ変化によって矩形波や三角波が異なるピッチでどのように変化するか聞いてみましょう。

21

オシレーターとは何か?オシレーターは、-5V~5Vの範囲で動く、繰り返される電圧信号です。0-COASTのコアは直線で上がり、下がっていく三角形の電圧を生み出します。他の波形は三角波を変形することで作られます。振動の速さがピッチを決めます。振動が速いと音が高くなります。

オシレーターは常に振動を行っています。振動を止めるには電源を切るしかありません。

+5V

-5V

Figure 39: 0-COASTの波形出力

-5VTime TimeFigure 38:

SQUARE出力からBalanceのExt入力にパッチしてください

ボイス: オシレーター

Page 23: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

オシレーターから金の線をたどっていくと、三角波と矩形波がOVERTONE回路に入っていくのがわかるはずです(Figure 40)。そこでは矩形波は三角波に倍音を加えるために使われます。スロープ(SLOPE)はOVERTONEにも繋がれています。これについてはマニュアルの後半で説明します。このオシレーターとOVERTONEのつながりによって0-COASTの音色が作られます。

OVERTONEは基音と調和関係にある高い周波数を加えます。この効果を聞くために、0-COASTの設定を"デフォルトのサウンド"(Figure 8)設定にして、BALANCEノブを右いっぱいに回してください。こうすると倍音のみが聞こえます。

コントローラーの鍵盤を押すかドローンのパッチング(Figure 9)をして、OVERTONEコントロールを右に回し、倍音が   から  、そして    から  へと音色変化をしていくと、スロープも効きだします。スロープはサイクルさせ、RISEやFALLを9時あたりにするとオーディオレートでスロープが動作します。この状態でOVERTONEを右いっぱいに回すと、リングモジュレーターに似ていなくもない、不協和な音になります。

OVERTONEからMULTIPLYへと金色の線は続いていきます。これはOVERTONEからMULTIPLYへとシグナルがつながっていることを示し、MULTIPLYではOVERTONEにさらに倍音が付加され、リッチなサウンドを生み出します。OVERTONEをEVENに設定し、MULTIPLYノブをゆっくりと右いっぱいまで回してください。徐々に新しい倍音が増えていくのが聞こえるでしょう。これは東海岸のモノシンセでよく見られるローパスフィルターとは逆のことが起きています。矩形波のような既にたくさんの倍音を含んだ波形からスタートしてフィルターで削っていくのではなく、MULTIPLY回路ではあまり倍音が含まれない波形に倍音を足していきます(Figure 41)。この加算合成方式は西海岸シンセシスでは重要な役割を果たします。

22

Figure 40: 内部結線

!!

Figure 41: OVERTONE: MULTIPLYによる倍音コントロール

+-

+-

音色 OVERTONEとMULTIPLY

!!

Page 24: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

MULTIPLYはパネルでのコントロール以外にも、スロープ(SLOPE)コントロールを使ってあなたの手の代わりを行うことができます。スロープはMULTIPLY CV入力ジャックに初期結線されているため、MULTIPLY CV入力に何もパッチされていなければ、スロープがMULTIPLY CV入力に流れ、アッテヌバータを通ってMULTIPLY回路をモジュレーションします。この効果を聞くためには、例えばCYCLEボタンを押して白く点灯させ、スロープをサイクルさせてください。ライズ(RISE)やフォール(FALL)、バリレスポンス(Vari-Response)やMULTIPLY CVのアッテヌバータを調整するとモジュレーションの様子が変わります。CVアッテヌバータはモジュレーションの入力CVを、現在のノブで示された位置に対して、加えることも引くことも可能です。SLOPEとMULTIPLYのアクティビティウィンドウが電圧の様子を伝えてくれます(Figure 42)。これらのコントロールの機能について読み進める前に、少し時間をとって色々な音を探ってみてください。

スロープはトリガー信号を送るか、サイクルさせることで立ち上げることができます。1ショットのトリガーでスロープを1回サイクルさせることができます。スロープは0Vから始まって8Vまで上昇するとすぐに0Vに向かっていきます。スロープのトリガーについてはマニュアルの後半で更に触れます。スロープのサイクルをオンにすると0Vから始まって8Vまで上昇し、すぐに下降を開始し0Vに到達するというサイクルを繰り返し、CYCLEボタンを再度押すとストップします。このような動作はよくLFOと呼ばれ、東海岸・西海岸のシンセシスどちらにとっても重要です。

ライズ(RISE)は最大の8Vまで到達するのにかかる時間をセットします。右に回すとその時間が長くなり、LFOとしての周期も長くなります。

23

Figure 43 RISEとFall; 直線型レスポンスの場合

Figure 42: MULTIPLYとSLOPEのLEDアクティビティ

LINEAR FALL EXPONENTIAL FALL

フォール(FALL)は最大レベルから0ボルトに戻るまでの時間をセットします。右に回すとその時間が長くなり、LFOとしての周期も長くなります。

これらのコントロールはLFOの形を決めるのにも役に立ちます。例えばRISEを0にしてFALLを長くすれば鋸波の形になります。RISEとFALLを同じ時間にすれば三角波の形になります(Figure 43)。

バリレスポンス(Vari-Response)は電圧変化に対するレスポンスを設定し、対数(logarithmic)、直線(線形、linear)、指数(exponential)の間を移り変わります(Figure 44)。対数レスポンスの場合、電圧が上がっていくと上昇具合が減速します。直線レスポンスの場合は電圧が上がっていっても上昇具合は変わりません。指数レスポンスの場合は電圧が上がっていくと上昇具合が増加していきます。Vari-Responseノブを右に回して指数に近づけていくとLFOのスピードも上がります。左に回すと対数型に近づき、LFOスピードは下がります。

Figure 44: バリレスポンス設定(Riseは0、Fallは10時くらいの場合)

LOGARITHMIC FALL

音色 スロープによるモジュレーション

Page 25: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

バランス(Balance)回路は、オシレーターからの基音と、OVERTONEやMULTIPLY回路を通過した倍音の混ざり具合を変える回路です。MULTIPLY回路から出た金色の線がバランス回路の右側に回り込んでおり、OVRTNと記されています。また別の金色の線によって、オシレーターの三角波がバランス回路の左側に初期結線されているのが分かります。バランスの左側はFUNDと記されています。(Figure 45)

FUNDはFundamentalの略で、オシレーターコアのコアのピッチになります。三角波はあまり多くの倍音を含まない為、基音の周波数をよく表しています。OVRTNはOvertoneの略で、OVERTONEやMULTIPLY回路によってプロセスされ、倍音をよく含んだ音のことです。

バランスの働きを聞くには接続したキーボードを押すか、Figure 9に示したデフォルトのドローンパッチを組んでください。

バランスのコントロールを左から右に回してください。単純でスムースな音から始まり、より複雑で倍音をよく含んだ音に徐々に変化していきます。ローパスフィルターのカットオフを動かすのとは異なる変化です。

バランス回路は、複雑でしばしば動きの多い音色を落ち着かせるのに効果的です。基本周波数をたくさん入れたり、その程度をコントロールすることができます。低音を多くしたい場合には、バランス回路で調整することができます。倍音は基音より上の周波数となる為、バランス回路の左側にある基音のコントロールが、右側のサウンドのサブオクターブ量の調整のように機能します。西海岸の方式を使用した構造ではありますが、ノブであれ電圧であれ、バランスをコントロールすると東海岸のシンセシスと似た効果も得ることができます。東海岸・西海岸の区別があいまいなのが0-COASTです。

さあ、OVERTONE、MULTIPLY、そしてBALANCE回路について理解したら、ノブをコントロールして0-COASTの音色を変えることが可能です。SLOPEをサイクルさせてモジュレーションも使ってみましょう。

24

Figure 45: バランス回路の初期結線

音色 バランス回路

Page 26: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

DYNAMICSBALANCEからDYNAMICSへ金の線が向かっており、結線されていることを示します(Figure 46)。DYNAMICS回路では、バランス回路から出てくる信号の大きさ(アンプリチュード)と周波数成分の両方をコントロールできます。簡単に言えば電圧コントロールできるフィルター-アンプです。DYNAMICS回路の効果を聞くには、ドローンパッチ(Figure 9)をセットしてください。DYNAMICSコントロールノブを左いっぱいにし、BALANCEポットを3時の位置にします。OVERTONEをEVEN、MULTIPLYコントロールを12時の位置にしてください。音は聞こえないはずです。ゆっくりとDYNAMICSコントロールノブを右いっぱいまで上げていってください。上げていくに連れ、音は大きくなると同時に明るくなっていきます。

DYNAMICSのレベルを上げていくに連れ、音は大きく明るくなります。機能的には、西海岸シンセシスサウンドの基本要素であるBuchla 292ローパスゲートモジュールと同等です。しかし、Buchla 292のようにバクトロールというパーツを使ってゆっくりとした特徴的なレスポンスを作り出すのではなく、DYNAMCS回路では東海岸シンセに馴染み深いトランジスターを使用しています。西海岸と東海岸の両方式の良いところを組み合わせ、ローパスゲートが東海岸シンセシスで非常に重要となる4ステージエンベロープ、コントゥア(CONTOUR)と相性よく動作するようにしています。

CONTOURDYNAMICS回路の効果や使用法を本当に理解するには、コントゥア(CONTOUR)についても知らなければなりません。コントゥアは金の線でも示されるように、DYNAMICS CV入力に初期結線されています(Figure 47)。CONTOURはゲート入力にMIDI Aのゲート出力が結線されているので、接続したMIDIキーボードを叩いたりシーケンサーを走らせてノート出力をしたりすると、コントゥアを立ち上げるゲートが出力されます。MIDIを使用していない場合はパーカッションパッチ(Figure 52)に設定し、ゲート信号が生まれるたびにCONTOURウィンドウやDYNAMICSウィンドウがアクティブになるのが分かるでしょう。

25

Figure 47: CONTOUR の初期結線

Figure 46: DYNAMICS の初期結線

What is a VCA?VCAは入力が2つあり、一つの信号でもう一つの信号のアンプリチュードをコントロールします

Figure 48: プラスのCVに対するVCAの反応

コントロール信号は0-8Vのエンベロープで、 Aオーディオ信号 は三角波(+/-10Vpp)です。出力にはエンベロープでアンプリチュードをコントロールされた三角波が現れます

+5V

-5V

+5V

-5V

時間コントロール信号 はサイン波のLFO(+/-10Vpp)で、 オーディオ信号iは三角波(+/-10Vpp)です。アンプリチュードはマイナスにならないので、コントロール信号の負の部分は影響を与えません。

Figure 49: プラスマイナスのCVに対するVCAの反応

時間

マグニチュード 音量(アンプリチュード)と明るさ

Page 27: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

CONTOUR (続き)

コントゥア(CONTOUR)は4ステージのファンクションジェネレーターで、DYNAMICSを動かすコントロール電圧を生み出し、アンプリチュードのエンベロープとして機能します。このアプローチは、おそらく一番よく知られたMiniMoogの音量用コントゥアにインスパイアされています。

ONSETは、コントゥアが最大のレベルに達するのにかかる時間をセットします。ONSETを左いっぱいに回すと音はすぐ最大となるため、パーカッシブでインパクトのある音となります。ONSETコントロールノブを右に回していくと最大レベルに到達するのにより時間がかかるようになり、音がフェードインするようになります。コントゥアが最大レベルに達すると、SUSTAINで示されたレベルまでディケイを始めます。サステインレベルはゲートがハイの間キープされます(Figure 50)。

SUSTAINパラメータはサステインされるレベルを決め、DECAYはサステインレベルまで到達にかかる時間をセットします。SUSTAINを左いっぱいに回すともはや音は持続せず、コントゥアは0Vまでディケイするので、SLOPEと同様な2ステージファンクションとして使えます(Figure51)。

26

+8V

0V

ゲート ハイ

ゲート ロー

Figure 50: ゲート信号

Figure 51: CONTOURのADファンクション例

+10V

0V

ATTACK-DECAY(AD): MIDI INにゲートを受けるとONSETとVARI-RESPONSEで設定された速さとカーブでファンクションが始まり、最大値の8Vに達するまで上昇します。次にファンクションは"リリース"されて0Vに戻りますがその速さとカーブはDECAYとVARI-RESPONSEで決まります。

ATTACK DECAY

時間

時間

Figure 52: デフォルトのパーカッションパッチ:速さを変えるにはPGM_Bをタップしてください。

(ONSET) (DECAY)

マグニチュード 音量と明るさ

Page 28: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

27

SUSTAINを右いっぱいに回すとサステインレベルが最大となるためディケイが聞こえなくなります。Figure 53はASR、つまりAttack,Sustain,Releaseエンベロープとして動作する3ステージファンクションの図になります。多くの電子オルガンはこのタイプのアンプリチュードコントロールを使用していました。

SUSTAINを最大と最小の間のどこかにすると、コントゥアは東海岸のアンプリチュードモジュレーションで有名になったクラシックなADSR、つまりAttack,Decay,Sustain,Releaseエンベロープとして動作します(Figure 54)。

Vari-ResponseはONSETやDECAYといった変化の速さのカーブ形状を、直線型(Linear)、指数型(Exponential)やその中間にセットすることができます。指数型のとき、電圧が増えると変化の速さも増します。直線型のとき、電圧によって変化の速さは変わりません。Vari-Responseはコントゥアの全体の時間の増減のコントロールに使っても良いでしょう。Vari-Responseをより右に回すとより指数型に近づき、0-Coastの音がよりパーカッシブになります。より直線型に近づけると、音がよりフェードする感じになります。

SUSTAINを11時くらい、Vari-Responseを2時くらいにセットし、ONSETとDECAYの設定をいじってみてください。ONSETとDECAYの振舞いが理解できるかもしれません。今度はONSETを9時、DECAYを3時にし、異なるSUSTAIN設定を試してください。最後に様々なVari-Response設定を試してください。

(ONSET)ATTACK

(DECAY)RELEASE

SUSTAIN

ONSET (Attack) Sustain DECAY (Release) (ASR): ゲートをCONTOURゲート入力に受けると、ONSETとVARI-RESPONSEで設定された速さとカーブでファンクションが始まり、 最大値の8Vに達するまで上昇します。次にSUSTAIN回路によってSUSTAINコントロールに従いファンクションが変化します。最後にファンクションは"リリース"されて0Vに戻りますがその速さとカーブはDECAYとVARI-RESPONSEで決まります。

Time, in Seconds

+10V

0V

Figure 53:

ATTACK RELEASEDECAY

Attack Decay Sustain Release (ADSR): ゲートをCONTOURゲート入力に受けると、ONSETとVARI-RESPONSEで設定された速さとカーブでファンクションが始まり、 最大値の8Vに達するまで上昇します。次にDECAYとSUSTAIN回路及びそれらのコントロールに従いファンクションが変化します。最後にファンクションは"リリース"されて0Vに戻りますがその速さとカーブはDECAYとVARI-RESPONSEで決まります。

Time, in Seconds

+10V

0V

Figure 54:

SUSTAIN

EXPONENTIAL LINEAR

(ONSET) (DECAY)

マグニチュード 音量と明るさ

Page 29: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

LINE OUT

デフォルトのパッチでは0-COASTの音を聞くのにLINE OUTを使っています。Figure 55の金の線にあるように、DYNAMICS回路はLINE OUTにつながっています。

この接続を変えることはできませんが、DYNAMICS回路はLINE OUTの下にDYNMC OUTというもう一つの出力を持っています(Figure56)。

DYNMC出力はモジュラーレベルで、通常のラインレベルのオーディオの3倍程度大きい、10Vppのレンジの信号を出力します。DYNMC出力は、その大きいレベルを処理できるモジュラーシンセのような機材にのみ使用してください。

LINE OUTはLEVELパラメータで音量を設定できます。LEVELは大体80%くらいまではクリーンですが、それを超えるとオーバーロードしてクリップします。クリップが起きるとOVLインジケーターが教えてくれます。LINE OUTは1つのジャックで2チャンネルのステレオを供給できるTRS(ティップ/リング/スリーブ)型です。ここにTS(ティップ/スリーブ)ケーブルをさしてモノ出力として使っても大丈夫です。この出力は様々なタイプのヘッドホン、ミキサーに向かう長いケーブル、エフェクター、その他ラインレベル入力を持つ様々な機器をドライブできます。

28

Figure 55: Line OUT 内部結線

Figure 56: DYNMC OUT内部結線

マグニチュード レベル

Page 30: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

29

ここまでは、0-COASTのパラメータを探る為にはデフォルトサウンドのパッチを出発点にしていました。音作りの各要素(オシレーター、OVERTONE、MULTIPLY、スロープ、BALANCE、コントゥア、DYNAMICS回路等)が繋ぎ合わされ、ノブを回すことで様々な可能性を提供してくれます。

このような回路を使って音を生み出し、音色を変えるアプローチは伝統的なモノシンセのアプローチとは異なりますが、固定された信号の通り道を使っているという構造は似ており、多くの長所と短所を共有しています。長所の例としては、キーボードで弾いた典型的なサウンドは再現しやすいという点です。短所の例としては、コントゥアのようなエンベロープがひとつのピッチに紐づいている点です。

次のセクションでは初期結線されていない入出力を調べ、パッチケーブルを使って接続を増やしていきます。これによって更に深く複雑な音を生み出すことができるでしょう。

これらの接続を調べたら、次に初期結線された接続部にパッチする(つまり、初期結線を壊す)効果を見ていきます。デフォルトサウンドパッチを上書きし、機材の持つ"フロー"や"らしさ"を完全に変えてしまう力を持った実例になります。

INPUTS: OUTPUTS:

Figure 57: 0-Coastの入出力

デフォルトのサウンドを超えて

Page 31: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

30

0-COASTのプレートを見渡すと、金の線で繋がっていない多くのパッチポイントを見つけることができます。最初にデフォルトのドローンパッチ(Figure 9)をセットしてください。この音を作るために使われたパッチケーブルは、初期結線ではない接続の例になります。オフセットジェネレーターからの出力によってDYNAMICS回路が開いたままになり、Balance回路から音が通ります。DYNAMICS回路は、このパッチがない場合、MIDIやゲート信号によって立ち上がったコントゥアエンベロープを受けた時だけ開きます。

BALANCEを12時かそれより大きくしOVERTONEコントロールの効果が聞こえやすいようにしてください。OVERTONEを左いっぱいに回してください(Figure 60)。Random出力をOVERTONE CV入力にパッチしてください。

ランダム信号はパッチケーブルを通り、OVERTONE CV入力ジャックへ到達、OVERTONE CVアッテネータを通った後、OVERTONEをモジュレーションします。アッテネータを徐々に上げるとモジュレーションの深さが増すのが聞こえるでしょう。もしOVERTONEノブが右いっぱいになっていると、モジュレーションの効果が聞こえないでしょう(Figure 59)。モジュレーションが加わる前のOVERTONEの値をOVERTONEノブが決めますが、最大になっていると、モジュレーションが加わってもモジュレーションできないからです。OVERTONEノブが12時の位置でアッテネータが左いっぱいになっていてもモジュレーションは聞こえません。なぜなら左いっぱいにセットしたアッテネータによってモジュレーションの強さが0%となってしまうからです。アッテネータを右いっぱいに回すと、50%の深さのモジュレーションが可能です。OVERTONEノブを左いっぱいにすればモジュレーションは100%になるでしょう。PGM_Bボタンをタップすれば、クロックの速さを変えることができます。ランダムによるモジュレーションは、OVERTONEのCV入力にできる多くのパッチングの一つに過ぎません。スロープ(サイクルさせてください)のような他のモジュレーションソースも試してみましょう。周期的なモジュレーションとランダムなモジュレーションの違いを聞いてください。MULTIPLYも調整し、MULTIPLYとOVERTONEを同時にモジュレーションしたらどうなるか聞いてみてください(スロープはMULTIPLYにも初期結線されています)。

どの出力をどの入力にパッチしても構わないことをお忘れなく。このマニュアルでは全ての出力と入力について簡単に説明していますが、どんなに完全に説明しても、全ての可能なパッチングをカバーすることはできません。

Figure 58: ランダム出力によってOVERTONEをモジュレーション:PGM_Bをタップして速さを変えてください。

Figure 59: モジュレーション深さ0%

Figure 61: モジュレーション深さ50% Figure 62: モジュレーション深さ100%

RANDOMOutput

OVERTONEInput

Figure 60: モジュレーション深さ0%

デフォルトのサウンドを超えて 空いているパッチポイント

Page 32: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

31

このセクションでは、金の線で示されていない全ての接続の例を示し、説明します。ケーブルをこれらのパッチポイントにつなぐことで、デフォルトの振る舞いを変えることなく0-COASTの能力を拡張することができます。次のセクションでは、初期結線を上書きして0-COASTの発音構造を完全に変えてしまうようなパッチポイントについて議論します。

CTRLTEMPO 入力: この入力はゲートやクロックといった、シャープな端をもった信号を受け付けます。有効になっている場合にはMIDIクロックやPGM_Bのタップによるクロックも合算されます。

CLocK 出力: CLOCK出力: このジャックからは一定間隔のゲートが出力され、そのテンポはTEMPOジャックにパルスを送ったり、PGM_Bボタンを希望のテンポでタップしたり、MIDIクロックを送ったりすることで決定されます。クロック出力は、例えばSLOPEのTRIG入力に送って同期したファンクションを作り出すことができます。

ステップランダム電圧出力: クロックの度に新しく変化するランダムな電圧が出力されます。DYNAMICSを開けたまま、この出力を1V/Octにパッチすればオシレーターピッチへのランダム電圧の影響を聞き取ることができます。

Voltage MATH: 33ページをご覧ください。

オシレーターTriangle 出力: ここがオシレーターのコアからの出力になり、あまり倍音を含まない西海岸シンセシスの古典的な出発点になります。出力はOVERTONEセクションに固定で結線されており、それと同時にBALANCEコントロールのFUNDAMENTAL側にも初期結線されています。この出力にパッチしてもBALANCEのミックスから除かれるわけではありません(そのようにするにはBALANCEの入力の方にパッチします)が、出力を他のどこかに同時にパッチできます。例えばMULTIPLYにパッチすると、MULTIPLYセクションがとても速く、オシレーターのスピードでモジュレーションされるのを聞くことができます。

Square 出力: この出力もオシレーターコアから導き出された信号です。三角波と同じ組合わせの倍音を持っていますが、三角波よりも多くの倍音を含むため、東海岸の減算合成方式の出発点になります。例えばBALANCEの入力にパッチし、BALANCEノブを左いっぱいに回すと音を聞くことができます。

Lin FM 入力: 周波数モジュレーション(FM)の典型的な使用法は、一つのオシレーターにもう一つのオシレーターの周波数を重ね合わせることです。その結果、FMされたオシレーターはモジュレーションオシレーターのピッチ情報を倍音の形で含みます。Linear(リニア、直線型、線形)FMはキャリアオシレーターの基本周波数を保ち、音楽的なスケールを壊さずにリッチな波形を生み出そうとします。Linear FM入力はACカップルでレベルコントロールがつきます。0-COASTには1つのオシレーターしかありませんが、スロープをサイクルさせればオーディオレートで振動することができ、FMソースとして有用です。SLOPEをLinFMにパッチして聞いてみてください。RiseとFallは大体9時、レスポンスはLinearにセットします。FMインデックスを上げていく(LinFMのアッテネータを上げていく)と、0-COASTのオシレーターをFMする強さが増していき、Triangle、Square、DYNAMIC、そしてLINE Outからの音はどんどん複雑になっていきます。80%より大きくなるとFMはオーバードライブされ正しくトラックできなくなります。より極端な(指数型の)FMを行うには、SLOPEを直接1V/Octにパッチしてみてください(Figure 33)。

Figure 64: オシレーター Lin FM

+5V

-5V 時間

Figure 63: ランダムステップ電圧

+10V

0V

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9クロック

周波数モジュレーション (FM): 周波数モジュレーションはその名の通り、オシレーターなどで、コントロール電圧を使って周波数をモジュレーションすることです。

技術的にはそのようなコントロール(シーケンスを1V/Oct入力に送ったり)は全てFMですが、FM合成と言うと通常はオーディオレートでのFMを指します。言い換えると少なくとも一つのオーディオレートのオシレーターを別のオシレーターをモジュレーションするために使用しています。 これを行うと音程のメロディックなシーケンスにはならず、むしろ音色の変化を生じさせます。

さらにFMについて:0-COASTはFMをとてもやりやすいようにデザインされています。"LIN"とラベルされたCV入力があります。ここへのパッチがアッテネータを反映した深さでVCOの周波数をモジュレーションします。例えば、SLOPEをサイクルさせ、SLOPE出力をLIN FM入力にパッチすればモジュレーションがピッチの変化ではなく音色として聞こえるでしょう(Figure 64)。アッテネータが上がるとモジュレーションが深くなり音色変化もより強調されます。最大時には少しオーバードライブします。

デフォルトのサウンドを超えて 空いているパッチポイント

Page 33: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

32

1V/Oct入力: 1V/Oct入力は、典型的には0-COASTのピッチをCVシーケンサーやCVキーボードからコントロールして使います。また0-COASTの周波数を動かしてパーカッションパッチを作る時にも役立ちます。ワイルドなテクスチャーが欲しい場合は、指数型FMを行う為にも使うことができます。モジュレーションの為に使う時は、1V/Oct入力にパッチする前にVoltage Mathセクションのアッテヌバータを通し、FMインデックスの強さを調整することを検討してください。注:1V/Octに入力された信号は、MIDI A CVから受けた信号と加算されます。なので、すでにMIDIで0-COASTのピッチをコントロールしている場合は、この1V/Oct入力を移調(トランスポーズ)やモジュレーションの為に使うことができます。

OVERTONE CV入力: この入力によってOVERTONE回路によって作り出される倍音をモジュレーションできます。例えばCONTOURをこの入力にパッチすると、コントゥアの変化とともにダイナミックに音色を変化させられます。

SLOPETIME: この入力はスロープの時間を設定します。RiseとFallの両方に等しく影響を与えます。スロープをサイクルさせている時が効果がわかりやすいでしょう。MULTIPLY CV入力のアッテヌバータとコントロールノブを調整し、SLOPEのMULTIPLYへの効果が聞き取りやすいようにしてください。RANDOMをTIMEにパッチすると、スロープの速さがランダムにモジュレーションするのが聞こえるでしょう。RiseやFallの初期設定を色々と試してみてください。更にバリエーションをつけるため、EOCをCLOCKに送り、ランダム電圧がスロープと同期するようにしてください。こうするとスロープが一周するごとに、スロープの時間がランダムに設定されます。

TRIG: ここにゲートやクロックを入力するとスロープ回路を立ち上げ、0Vから8Vまで動くスロープファンクション(エンベロープ) を形成します。エンベロープの特徴はRISEやFALL、VARI-RESPONSEパラメータで決まります。このファンクションは0Vから上昇を始め、8Vに達するとすぐに下降を開始します。サステインはありません。サステインするエンベロープにはコントゥア回路を使用してください。CLOCK出力をこの入力に入れてスロープを立ち上げることができます。

EOC (End of Cycle): このゲート出力は、スロープがFallでない時には常にハイとなっています。EOCは、スロープがサイクルしている時に一定なクロックを生み出したり、CONTOURのGATE入力にパッチして立ち上げたり、または矩形波型のモジュレーションソースとしても使用できます。

CONTOURDeCaY: この入力によってDECAYパラメータを電圧でコントロールすることができます。例えば、幾つかの音階が連なったシーケンスをプレイしながら、ゆっくりサイクルするスロープをDECAY入力にパッチすることで、スロープが上下するに連れて音階が長く鳴ったり短く鳴ったりします。

EON (End of Onset): このゲート出力は、コントゥアのONSETが終わるとハイになり、ディケイが終わるとローになります。TRIG入力にパッチしてSLOPEをトリガーしたりするのに使用できます。

BALANCE と DYNAMICS: BALANCE CV: この入力に基音と倍音のバランスを電圧でモジュレーションすることができます。CONTOUR 出力をパッチし、Balanceノブを右いっぱいに回してください。この入力は一定電圧に内部結線されている為、CV入力がパッチされていない時には通常のコントロールノブとして使用できます。パッチングをしたと同時に、その入力CVに対するアッテネータになります。

DYNAMICS Out: この出力はLINE OUTと同じ信号を出力しますが、モジュラーシンセサイザーへ接続したり、0-COASTのどこかの入力にパッチしてフィードバックして使用できるようフルボリュームで出力されます。この出力をラインレベル機器やヘッドホンに接続することはお勧めしません。

Figure 65: ファンクションのトリガー例

Attack Decay (AD): ファンクションはSLOPEのトリガー入力にゲートを受けると始まります。ゲートは立ち上がりのみが関係し、長さは無視されます

+10V

0V

(RISE)ATTACK

(FALL)DECAY

時間

デフォルトのサウンドを超えて 空いているパッチポイント

Page 34: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

33

前セクションでは、通常の操作方法を変えずに0-COASTの使用を拡張できる、オープンな接続箇所を紹介しました。このセクションでは、通常の操作方法も上書きしてしまうようなパッチ接続をご紹介します。

0-COASTはいくつかの入出力で、スイッチを内蔵したジャックを採用しています。このようなジャックは、パッチケーブルが刺さっているかどうかで2つの異なる信号を受けることができます。ケーブルをそのようなジャックに挿すと、もともと繋がれていた信号はバイパスされパッチした信号で置き換えられます。以下が0-COASTにおいてそのような初期結線リストになります:

MULTIPLY CV入力:MULTIPLYは通常スロープによってコントロールされています。例えばMIDI B CVをここにパッチすれば、東海岸パラダイムの減算合成モノシンセでみかける"キーボードトラック"と似た機能を果たすことができます。

CONTOUR GATE入力:コントゥア回路は通常MIDI Aからのゲートによって立ち上がります。CLOCK出力などの異なるゲートやクロック信号をパッチしてコントロールしてみてください(ピッチはなおMIDIに影響されます)。

BALANCE入力: 通常BALANCEは基音となる三角波と倍音となるOVERTONE回路の間でミックスを行います。この入力を使用すると、三角波を矩形波で置き換えたり、更に0-COAST外のオーディオで置き換えることができます。

DYNAMICS CV入力: DYNAMICS回路は通常コントゥアでコントロールされます。マニュアル中絶えず触れてきたように、オフセットをパッチすればドローンになります。他のモジュレーション源としてはスロープ、クロック出力、EON、EOC、ステップランダム出力などです。

デフォルトのサウンドを超えて 初期結線の上書き

Page 35: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

34

ジャックにパッチングして初期結線をつなぎかえることで、0-COAST内の様々な信号の持つ可能性を試すことができます。既に示したコンセプトだけでもかなり奥深いですが、パッチングを続けるうちに次のような疑問が浮かんできます。パラメータを2つのモジュレーションで同時にコントロールしたらどうなるだろう?同じモジュレーションソースを2つ以上のモジュレーション先に送りたい場合はどうすれば良いのだろう?OVERTONEのようにプラスのみのモジュレーションを受け付けるパラメータを、コントゥアのようなプラス電圧のモジュレーションを反転したような信号でモジュレーションするにはどうすれば良いのだろう?

CLOCKやRANDOMの下に位置するVoltage MATHは、上のような疑問に答えてくれる小さくもパワフルな回路です。モジュラーシステムではMATHSのようなモジュールを使って行うようなコントロール信号のプロセッシングの簡易版のような感じです。電圧の足し算、引き算、オフセット、反転、アッテネート、アンプリファイ、マルチプルといった機能が行えます。

Voltage MATHを表す短くて技術的な表現は、・2つの信号が加算され、その結果が両方のアウトプットから出力されます。・右側の入力はオフセット電圧に初期結線されており、アッテヌバータも備えています。

となりますが、これが音楽よりも科学のように聞こえる人は、次の例を聞いてみてください。2つの入力はミックスされます。その結果は下の出力ジャック2つから全く同じ電圧として出力されます。左側の入力(チャンネル1)は常に"等倍"でミックスされ、右側のチャンネル2はアッテヌバータを通してからミックスされます。

2つの入力をミックス(足し算)する例として、スロープで行うMULTIPLYのモジュレーションのスタートポイントをランダムにしてみましょう。SLOPEからVoltage MATHの左の入力に入れ、RANDOMを右の入力にパッチし、出力のどちらかをMULTIPLY CV入力にパッチします。チャンネル2のアッテヌバータを12時にし、MULTIPLYノブを左いっぱい、MULTIPLY CVアッテヌバータを3時くらいにセットしてください。MULTIPLYがスロープによってモジュレーションされる馴染み深い音が聞こえるでしょう(OVERTONE部分が聞こえるよう、BALANCEを十分右に回すのを忘れずに)。徐々にチャンネル2のアッテヌバータを右に回していくと、ランダム電圧がスロープ電圧に加わっているのがわかるはずです。更にEOC出力をTEMPO入力にパッチするとランダム電圧がスロープに同期し、スロープの1サイクルごとにランダムが新しく設定されるようになります。

FIGURE 66: Voltage MATHs

FIGURE 67: CH. 1+2 +10V

-10V

CH2

CH1

SUM OUT: SUM OUT電圧ミキサーで、どんなタイプの2つの信号でも加えたり減算したりできます。CH2の入力にパッチしなければ、コントロールノブはオフセットとして機能します

Time

0V

FIGURE 68: SUM BUS+5V

-5V

SUMSUMOUTPUT:

Time

0V

CH1 CH2

VOLTAGE MATH

Page 36: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

35

0-Coastの信号入出力はDoepferによって作られたEurorack(ユーロラック)標準を満たします。詳細はこちらをご覧ください http://www.doepfer.de/home_e.htm

Figure: 69 信号レベルの合うどんなCVやゲート信号も0-COASTをコントロールでき、その逆も可能です

例: 0-COASTをReneやKorg/Arturia等のシーケンサーでコントロール。0-COASTのDYNAMIC出力をMakeNoiseのSYSTEM 0でプロセス

Figure 70: 0-COASTのCVやゲート出力は他の機器のコントロールに使用できます 例: 0-COASTのMIDI-CV変換機能を使い、他のモジュラーシンセをMIDIキーボードで演奏。SLOPEやCONTOURでMOOGやEARTHQUAKERのようなペダル機器のエクスプレッション入力をコントロール。

0-COASTを他の機器と使う

Page 37: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

36

明るさがコントロールできるシンプルなベース(Tony Rolando)

BALANCEを11時くらいに設定してください

DYNAMICを2時くらいから5時くらいに設定してください

動きのあるアルペジオ (Tony Rolando)スロープはサイクル

0-COASTの音色をお好みで調整してください。まずは上のシンプルなベースサウンドのままでも良いでしょう

PGM_AとPGM_Bを押してアルペジオを有効にします

ノイジーな低音つきの倍音の少ないシンセ (Tony Rolando)

BALANCEは好みに合わせて10時~12時あたりに調整してください

デフォルトのパッチと同じようにしてMIDIやCV/Gateでプレイしてください

パッチアイディア

Page 38: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

37

ピッチつきノイズオービット(Tony Rolando)Linear FMのアッテネータを左いっぱいから右いっぱいまで調整し、ノイズの深さを設定してください。左いっぱいの時、シンプルな倍音の少ない音が聞こえます。Linear FMを右に回していくとノイズによって音色がふらつき、右いっぱいに回すとノイズに近くなります。

DYNAMICSを12時にし、左や右に回して明るさ、激しさをコントロールしてください。

デフォルトパッチをMIDIやCV/Gateで鳴らしている際にも同じ方法を試してみましょう。

東海岸ベース (Tony Rolando) サイクルするスロープをユーザーがカリブレーションする必要があります。1 3ページのカリブレーションの設定をご覧ください。

デフォルトパッチをMIDIやCV/Gateで鳴らすのと同じ方法で演奏してみましょう。

アーケードトリル (Walker Farrell)アルペジエイターを有効にしてコードをプレイします。スロープはお好みに合わせてください。

パッチアイディア

Page 39: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

38

ウォブルベース (Walker Farrell)スロープをアンプリチュードコントロールに使い、コントゥアをよりゆっくりとしたOVERTONEによる音色コントロールに使用します。ウォブルの速さは音程に従います(MIDI B CVをノートにセットしてください)。Riseをお好みのピッチレンジに合うようにしてください。

鍵盤でコントロールするエコー(Walker Farrell)エコー時間は音程に従います(MIDI BCVをノートにセットしてください)。

シンクしたベース (Walker Farrell)スロープを鋸波のVCOとして使い、オシレーターにシンクさせます。MIDI BCVをLFOにセットし、PGM_Aをゆっくりタップしてテンポを設定してください。スロープのコントロールをお好みに合わせてセットしてください。低い周波数の時に一番良い音が出るでしょう。

LFO(SLOW)

パッチアイディア

Page 40: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

39

クレルパッチ(Walker Farrell)リバーブをかけるのをお勧めしますPGM_Bを長押ししてMIDIデータをクリアしてください。

Voltage MATHSのアッテヌバータは3時くらいの位置からスタートしてプラスの範囲で好みに合わせてください。このパッチは自動演奏されます。Todd Bartonに感謝を。

バリエーション:オシレーターピッチを右いっぱいにし、RiseとFallを10時にし、Voltage Mathのアッテヌバータを9時にしてください。

パッチアイディア

Page 41: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

40? ? ?

Page 42: 0coast manual 2 · 2017-01-28 · モニタリングシステムからきちんと音が出るか、また設定が"デフォルトのサウンド"と設定になっているかを

P1

1 2 3

ピン出力の対応:   P1 P2

1----------52----------43----------2

14

2

53

P2

41MIDIケーブルピン出力図