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DPRIETI Discussion Paper Series 18-J-021

企業の教育訓練投資と生産性

森川 正之経済産業研究所

独立行政法人経済産業研究所https://www.rieti.go.jp/jp/

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RIETI Discussion Paper Series 18-J-021

2018年 6月

企業の教育訓練投資と生産性

森川正之(RIETI)

(要旨)

本稿は、日本企業のデータを使用し、企業の教育訓練投資と生産性の関係を定量的に分析

する。本稿の特長は、教育訓練ストックのパネルデータを構築して、製造業とサービス産業

を区別して分析するとともに、教育訓練と生産性及び賃金との間の量的な関係を比較する

点にある。分析結果によれば、第一に、教育訓練は、企業の生産性に対して正の寄与をして

いる。第二に、生産性の教育訓練ストックに対する弾性値は、製造業に比べてサービス産業

の方が顕著に高い。第三に、教育訓練投資の収益は、企業と労働者に対して要素所得シェア

に見合った割合で帰属している。以上の結果は、企業の教育訓練投資を促進する政策が、特

にサービス分野の企業の生産性や賃金を高める上で潜在的に有効な可能性を示唆している。

Keywords:教育訓練、労働生産性、賃金、サービス産業、無形資産

JEL Classification:J31, L80, M53

本稿の原案に対して、橋本由紀、近藤恵介、宮川努、小田圭一郎、矢野誠の各氏から有益なコ

メントをいただいたことに感謝する。「経済産業省企業活動基本調査」のデータ利用に当たり、

経済産業省調査統計グループの関係者の協力を得たことに謝意を表したい。本研究は、科学研究

費補助金(26285063, 16H06322, 18H00858)の助成を受けている。

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企業の教育訓練投資と生産性

1.序論

生産性向上を通じた日本経済の潜在成長率の引き上げが大きな政策課題とされる中、人

的資本投資の充実が期待されている。長期的な潜在成長率を高める様々な政策の中で、人的

資本投資とイノベーションの寄与度が量的に大きいことに鑑みると(森川, 2015)、こうした

政策の方向には妥当性がある。日本産業生産性(JIP)データベースによれば、学校教育な

どを通じた労働力の質の向上は、過去数十年にわたり年率 0.5~0.6%ポイント程度の成長寄

与度となっている。全就業者の約 8 割を占めるサービス産業の生産性向上という観点から

も、人材の質の向上は重要な課題と言える。もちろん、就学前教育や初中等教育の場合には、

それらが潜在成長率にプラス効果を持つのは、投資を受けた個人が労働市場に参加するよ

うになってからなので、10年以上先になることには注意が必要である。

学校教育だけでなく企業内訓練(OJT及び Off-JT)も人的資本投資の重要な構成要素であ

る。そして企業内訓練は、学校教育に比べて効果が現れるタイミングが早い。標準的な賃金

関数において計測される勤続や経験年数の賃金への効果は、こうした企業内での教育訓練

の効果も含んでいると理解できる。また、近年の生産性研究で重視されている無形資産投資

の中で、企業特殊的人的資本は「経済的競争能力(economic competencies)」の構成要素の一

つとされている(e.g., Corrado et al., 2009; Fukao et al., 2009)。それらの研究において、企業

特殊的人的資本の数字は、企業負担による教育訓練投資のフロー額に基づき、恒久棚卸法で

ストック額として推計されるのが一般的である。

しかし、日本では企業による教育訓練投資の停滞への懸念が強い。「能力開発基本調査」

(厚生労働省)のデータで能力開発費の動向を見ると、1社当たり、従業者 1人当たりいず

れで見ても 2013年まで低下傾向にあり、その後若干持ち直しているという状況である(付

図 1参照)。1 こうした中、政府は「人づくり革命」を成長戦略の柱の一つとしている。

幼児教育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化、私立高等学校の授業料の実質無

償化といった就学前及び学校教育に係る費用負担の軽減が政策の中心になっているが、企

業の教育訓練投資を促進するための新しい政策も拡がってきている。2018 年度から始まっ

た所得拡大促進税制の拡充(教育訓練費が 10%以上増加した中小企業への税額控除の上乗

せ)、人材開発支援助成金(雇用保険特別会計)を活用した企業内訓練への助成などがその

例である。

こうした政策は、企業による教育訓練投資が社会的に望ましい水準に比べて過小である

という前提に立っている。しかし、理論的に言えば、企業の教育訓練投資が過小になるかど

うかは、教育訓練が汎用的なのか企業特殊的なのか、人的資本投資が生産性にどの程度貢献

1 同調査における企業の能力開発費は、「Off-JT 及び自己啓発支援に支出した費用」である。

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しているか、投資の果実が企業と労働者にどのように分配されているか、資本市場・労働市

場の不完全性など様々な要因に依存する。例えば、企業の教育訓練に関する理論のサーベイ

である Leuven (2005)は、訓練の費用負担及びその成果の企業・労働者への帰属は、訓練が

汎用的か企業特殊的かに依存すると整理している。また、訓練が社会的に過小投資になるか

どうかは、資本市場又は労働市場の不完全競争の程度によるとしている。

実際に企業で行われている教育訓練が、生産性を高める上でどの程度の効果を持ってい

るのかは、実証的な分析が必要である。しかし、過去の日本企業を対象とした教育訓練に関

する実証研究は、事例研究や少数の企業を対象とした分析がほとんどで、中堅・中小企業を

含む多数の企業をカバーした定量的な実証研究は極めて少ない。計量的な分析の場合でも、

フローの投資を用いたクロスセクション・データでの計測が大部分である。また、生産性向

上のカギを握るとされているサービス産業は、人材の質の重要性が高いと思われるが、教育

訓練投資の効果について製造業とサービス産業を比較したものは、筆者の知る限り日本で

は例がなく、海外でも稀である。2

以上のような状況を踏まえ、本稿では、「経済産業省企業活動基本調査」のパネルデータ

を使用し、企業の教育訓練投資を通じた人的資本ストックと生産性・賃金の関係を定量的に

分析する。本稿の特長は以下の諸点にある。第一に、中堅・中小企業を含む大規模な企業パ

ネルデータを使用すること、第二に、教育訓練投資のフローではなくストック指標を構築し

て分析に用いること、第三に、製造業とサービス産業の比較を行うこと、第四に、生産性と

賃金の教育訓練との量的な関係を比較すること、第五に、研究開発・広告宣伝投資など他の

無形資産投資も考慮した計測を行うことである。

本稿で分析対象とする人的資本投資は Off-JT に限られ、OJT はカバーしていない。日本

では長期雇用慣行の下、OJT の重要性が高いと考えられてきた。しかし、近年の労働市場の

構造変化の下で Off-JT がどのような効果を持っているのかは、企業の実務者にとって重要

な関心事と言える。また、政策的な助成措置の大部分は Off-JT が対象となっているので、

現実の政策形成に対する示唆は OJTよりも強い。

分析結果の要点を予め述べると以下の通りである。第一に、教育訓練は企業の生産性に対

して有意な正の寄与をしており、収益率に換算すると有形の資本ストックのそれに比べて

かなり高いと見られる。第二に、生産性の教育訓練ストックに対する弾性値は、製造業に比

べてサービス産業の方が顕著に大きい。第三に、企業負担による教育訓練の収益は、企業と

労働者がシェアしており、その帰属割合はそれぞれの要素所得シェアにほぼ見合っている。

以下、第2節では、内外の先行研究を簡単にサーベイする。第3節では本稿の分析に使用

するデータ、教育訓練ストックの算出方法、生産性・賃金との関係を推計する方法を解説す

る。第4節では、日本企業の教育訓練ストックの現状を概観した上で分析結果を報告する。

最後に第5節で結論を要約するとともに政策的含意を述べる。

2 ベルギー企業を対象に、製造業と非製造業の OJT の効果を比較した Konings and Vanormelingen

(2015)は、数少ない例外である。

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2.先行研究

企業による教育訓練投資が労働者の賃金に及ぼす効果については多数の研究があり(e.g.,

Barron et al., 1989; Brown, 1989; Lynch, 1992; Booth, 1993; Frazis and Loewenstein, 2005; Melero,

2010; Brunello et al., 2012)、多くは OJTや Off-JT が賃金に対して正の効果を持つことを示し

ている。賃金に対する正の効果は、訓練投資が労働者の生産性を高める効果を持っているこ

とを示していると考えられるが、労働者の生産性パフォーマンスを直接に表す指標を用い

て、訓練が労働者の生産性に対して正の効果を持つことを示す研究もある(e.g., De Grip and

Sauermann, 2012)。

企業が行う従業者への教育訓練が、当該企業の生産性に及ぼす効果を、企業レベルのミク

ロデータを使用して推計する研究も、海外では多数行われてきている。初期には企業の生産

性への効果は確認されないとする有力な研究もあったが(e.g., Black and Lynch, 1996; 2001)、

多くの研究は生産性に対する正の効果を見出している(e.g., Bartel, 1994; Barron et al., 1999;

Ballot et al., 2001; Barrett and O’Connell, 2001; Zwick, 2006; Ballot et al., 2006; Konings and

Vanormelingen, 2015; Feltrinelli et al., 2017; Higon et al., 2017)。最近の研究は、教育訓練投資

のフローではなくストック・データの使用、パネルデータの使用、GMM 推計の適用など、

方法論的にも進歩してきている。

産業レベルに集計したデータを用いた研究としては、イタリアのデータを用いた Conti

(2005)、英国のデータによる Dearden et al. (2006)がその例であり、いずれも教育訓練が生産

性に正の効果を持つことを示している。教育訓練投資と生産性の計測が可能な企業レベル

のデータがない場合に産業集計レベルでの推計が行われるが、この場合、推計される教育訓

練の効果は企業を超えた産業内でのスピルオーバー効果を含むものと解釈される。

教育訓練投資の収益率の計測というタイプの研究も少なくない。Blundell et al., (1999)及び

Bartel (2000)はサーベイ論文であり、Blundell et al. (1999)は、学校教育の収益率に比べると低

いものの訓練の収益率は数%だと総括している。一方、Bartel (2000)は、非常に高い投資収

益率であるとしている(100%を超える研究もある)。比較的最近の投資収益率の計測例であ

る Almeida and Carneiro (2009)は、企業の教育訓練投資の収益率は 8.6%という結果を示して

いる。3

以上に挙げた研究のうちいくつかは、教育訓練投資による企業の生産性への効果と賃金

への効果とを比較している(e.g., Barron et al., 1999; Conti, 2005; Ballot et al., 2006; Dearden et

al., 2006; Konings and Vanormelingen, 2015)。生産性への効果と賃金への効果の大小関係は、

企業が資金負担をして従業者に教育訓練を行うインセンティブに影響するため、政策的に

3 以上のほか、教育訓練投資のイノベーションへの効果を推計した Dostie (2018)は、OJT、Off-JT

ともにイノベーションを有意に高める効果を見出している。

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も重要なイシューである。フランス及びスウェーデンの大企業のパネルデータを用いた

Ballot et al. (2006)は、投資収益のうち労働者が獲得するシェアが大きいという結果を報告し

ているが、他の研究はいずれも生産性への効果が賃金への効果を上回るという結果となっ

ており、企業が費用を負担すると同時に、果実のうち大きな割合を獲得していることを示し

ている。これは、教育訓練の大きな部分が企業特殊的なスキルへの投資だとすると、自然な

結果と言える。

日本企業を対象に教育訓練投資と生産性の関係をフォーマルに分析した研究としては、

黒澤他 (2007)、宮川他 (2011)、権他 (2012)、Ariga et al. (2013)が挙げられる。4 黒澤他 (2007)

は、製造業の約 800 事業所を対象としたサーベイに基づいて企業内訓練が生産性・賃金に及

ぼす効果を推計し、Off-JT は事業所の生産性を高めているが OJT は有意ではないという結

果を示している。また、Off-JT は賃金に対しても正の効果を持っているが、生産性への係数

に比べて小さく、生産性に対する効果のうち 40~50%が労働者に帰属しているという結果

である(OJT は非有意)。上述した海外の研究結果と整合的である。クロスセクション・デ

ータでの推計だが、操作変数を用いて内生性に対処している。

宮川他 (2011)は、企業へのサーベイに基づく約 400 社のデータを使用して生産関数を推

計し、研修による人材育成と生産性の間に正の関係が見られるとしている。権他 (2012)は、

「能力開発基本調査」(厚生労働省)の約 4,000 事業所のクロスセクション・データに基づ

き教育訓練投資と労働生産性の関係を順序プロビット・モデルで推計し、正社員に対する計

画的な OJT の実施と生産性の間に正の関係がある一方、Off-JT は有意な関係がないという

結果を示している。ただし、労働生産性指標は事業所の同業他社と比べた相対的な水準につ

いての主観的な 5段階評価(「高い」~「低い」)である。

これらのほか、企業・事業所の生産性を対象としたものではないが、Ariga et al. (2013)は、

自動車メーカー2社へのサーベイ・データにより、OJT が労働者の主観的な生産性に対して

有意な正の効果を持つという結果を報告している。

以上の通り、政策現場において人的資本投資の重要性が強調されているにも関わらず、日

本の過去の実証研究は少数のサンプルでの分析やクロスセクションの計測にとどまってお

り、海外の研究の進展と比較すると大きく立ち遅れている。また、サービス産業の生産性向

上が重要な政策課題となる中にあって、製造業とサービス産業を区別して扱った研究は、海

外でも乏しい。

こうした状況を踏まえ、本稿は、「企業活動基本調査」の大規模な企業パネルデータを使

用し、企業の教育訓練投資と生産性・賃金の関係を定量的に分析する。製造業・サービス産

業の企業をカバーして両者の比較を行うこと、教育訓練のフローではなくストック計数を

構築して推計に用いること、パネル推計により観測されない企業特性の影響をコントロー

4 このほか Kurosawa (2001)は、企業による訓練が賃金に及ぼす効果を、北九州市の事業所及びそ

の従業員に対するサーベイに基づいて分析し、日常的な訓練の実施は賃金上昇率を高めるとい

う結果を示している。

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ルすること、生産性への効果と賃金への効果とを比較することなどが本稿の主な貢献であ

る。

また、無形資産投資の生産性への貢献に関する近年の研究の進展も踏まえ、その構成要素

の一つである教育訓練投資だけでなく、研究開発、ソフトウエア投資、広告宣伝投資といっ

た他の無形資産投資も考慮した計測を追加的に行う。教育訓練投資が研究開発投資などの

無形資産投資と補完性を持つ場合、これら無形資産投資を考慮しないで推計を行うと教育

訓練の効果を過大評価する可能性があるからである。

3.データ・分析方法

本稿の分析は、「企業活動基本調査」の 2009~2015年度のパネルデータを使用する。5 同

調査は 1992年から開始された年次の基幹統計調査であり、対象企業は、鉱業、製造業、卸

売・小売・飲食店、一部のサービス業に属する企業で、従業者 50人以上かつ資本金又は出

資金 3,000万円以上の企業である。大企業だけでなく中堅・中小企業もカバーしており、毎

年のサンプル企業数は約3万社である。永久企業番号が付されているため、容易にパネルデ

ータを作成することができる。

同調査は、2010年調査(2009年度実績)から「能力開発費」(100万円単位)を調査項目

に加えた。能力開発費は、「講師・指導員経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費及び研

修委託費、大学への派遣・留学関連費用、大学・大学院等への自費留学にあたっての授業料

の助成等」と定義されており、基本的には Off-JTの費用である。6

調査されているのは年間の投資フロー額なので、本稿では恒久棚卸法により訓練投資の

ストック系列を作成する。教育訓練ストックの減耗率は、無形資産投資の代表的な実証研究

(Corrado et al.,2009; Fukao et al., 2009)で使用されている企業特殊的人的資本の数字(40%)

をベースラインとして用いる。ただし、減耗率の数字は分析結果に大きく影響する可能性が

あるため、20%という減耗率を用いた推計も行って頑健性を確認する。7 なお、教育訓練投

資の効果に関する研究では、教育訓練を受けた労働者の転職によって投資効果が失われる

ことの影響が重要な関心事となっている。ここで用いる減耗率は、労働者の企業間移動によ

るロスも含む数字と理解する必要がある。8

5 例えば、2010 年調査は 2009 年度、2016 年調査は 2015 年度のフロー計数を調査している。以

下、本稿では対象年度に基づき「2009年」、「2015年」と表現する。 6 原 (2013)は、職業能力開発に関する労働統計を概観した上で、「企業活動基本調査」が 2010年

調査(計数は 2009 年度)から能力開発費の調査を始めたことにより、パネルデータ分析が可能

になることの意義を指摘している。 7 教育訓練投資ストックを恒久棚卸法で推計した先行研究では、減耗率として 15%(Conti, 2007)、

17%(Almeida and Carneiro, 2009)といった数字が用いられている。 8 「雇用動向調査」(厚生労働省)によれば、最近時点の日本の離職率は平均約 15%である(パ

ートタイムを除く一般労働者に限ると約 11%)。

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ストックの数字は 2009 年から最新年次である 2015 年まで 7 年間のデータから計算する

ことが可能だが、パネル分析を行うため、5年間の累積値を使用する。すなわち、2009~2013

年の投資額フロー・データから 2013年、2010~2014年のフロー・データから 2014年、2011

~2015年のフロー・データから 2015年のストック値を計算する。つまり、教育訓練投資の

効果は 6 年目には消失すると仮定していることになる。9 そして、パネル推計を行う際は、

2013~2015 年の 3 年間のパネルデータとして扱うことになる。分析に使用するのは 5 年間

連続して「企業活動基本調査」に回答した企業であり、観測値数は最大で 66,846、企業数は

25,308社である。10

このほか、「企業活動基本調査」で利用可能な無形資産ストックも追加的な変数として考

慮する。具体的には、研究開発ストック、IT 資本ストック、広告宣伝ストックである。この

うち IT 資本は、ストック額の情報が利用可能な「無形固定資産」の内数であるソフトウエ

ア・ストック額を用いる。研究開発投資、広告宣伝費はフロー・データなので教育訓練費と

同様、恒久棚卸法でストック系列を作成する。R&D 投資は減耗率 20%、広告宣伝投資は減

耗率 60%を使用する。いずれも無形資産に関する先行研究(Corrado et al.,2009; Fukao et al.,

2009)で仮定されている数字である。教育訓練ストックと平仄を合わせて 5年間の累計値を

用いる。

このデータを使用して、労働生産性(ln(LP) it)、平均賃金(ln(Wage) it)を被説明変数とし、

従業者当たり教育訓練ストック(対数:ln(Training) it)を説明変数とする OLS 推計及び固定

効果(FE)推計を行う。11 労働生産性は従業者当たり付加価値額(対数)、平均賃金は従業

者当たり現金給与額(対数)である。生産性指標は労働生産性なので、いずれの推計におい

ても従業者当たり有形固定資産額(ln(Tangible) it)、パートタイム労働者比率(Part it)をコ

ントロールする。従業者当たり有形固定資産額を含めるのは被説明変数が労働生産性だか

ら、資本装備率の違いによる影響をコントロールするためである。パートタイム労働者比率

を含めるのは、ここでの労働生産性が従業者当たりの数字なのでフルタイム労働者とパー

トタイム労働者の労働時間の違いを補正すること、フルタイム労働者とパートタイム労働

者の質の差をコントロールすることの二つが目的である。また、3ケタ産業×年ダミー(λjt)

を入れて、産業共通の経済環境の変化による影響を除去する。主な変数は対数表示した従業

者当たりの数字なので、本稿で行う労働生産性の推計は生産関数アプローチのバリエーシ

9 ストック額を計算する際、最終年度のフロー額に 0.5を乗じたケースでの推計も行ってみたが、

結果に大きな違いは生じなかったため、年度末のストック額を用いている有形固定資産等と平

仄を合わせることとした。 10 ある年の「企業活動基本調査」に回答しているが、能力開発費をはじめ無形資産投資額が欠損

値の場合には、ゼロとして処理している。 11 労働生産性、教育訓練ストックいずれもデフレートしない名目値を用いている。名目賃金を

被説明変数とした推計と係数の比較可能性を確保すること、教育訓練投資の適当なデフレータ

ーが存在しないことが主な理由である。分析対象期間において日本のインフレ率はゼロ近傍で

あったこと、推計においては産業×年次ダミー(λjt)を用いて各産業の物価変動による影響を

除去していることから、実質化の有無による影響は限定的である。

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ョンである。具体的なベースラインの FE 推計式は下記の通りである(ηiは企業固定効果)。

ln(LP)it = α + β ln(Training)it +γ ln(Tangible) it +δ Partit + λjt + ηi + εit (1)

ln(Wage)it = α + β ln(Training)it +γ ln(Tangible) it +δ Partit + λjt + ηi + εit (2)

教育訓練ストック以外の無形資産ストックを含む推計では、説明変数として従業者当た

り研究開発ストック(ln(R&D) it)、従業者当たりソフトウエア資産(ln(Soft) it)、従業者当た

り広告宣伝ストック(ln(Advertise) it)を追加する。

これらの推計では、細分化した産業×年次をコントロールしているので、マクロ経済

環境及び産業共通の諸要因の影響は排除される。また、FE 推計の場合、観測されない

企業の異質性による影響は除去される。教育訓練投資の内生性は完全には排除できない

が、本稿では教育訓練投資のフローではなく過去 5年間の投資を累計したストック額を

用いるので、企業の生産性の変動が教育訓練投資の振幅をもたらすという逆の因果関係

はかなりの程度除去される。

以上の分析においてストック額は対数表示としているため、過去 5 年間を通じて投資額

がゼロの場合は欠損値として扱われる。教育訓練費、研究開発費、広告宣伝費という無形資

産投資は、それらを行っていない企業が多数存在するため、サンプル数が大幅に減少する。

そこで、教育訓練ストックをはじめ無形資産ストックがゼロの企業については、0.001(1,000

円)に置き換えた推計を追加的に行い、結果の違いを観察する。

教育訓練ストックの要約統計量は表 1 に示す通りである。本稿は製造業とサービス産業

の比較に関心があるので、全産業のほか、製造業、サービス産業のサブサンプルに分けて表

示している。ここでのサービス産業は、卸売業、小売業、情報通信業、サービス業であり、

一般のサービス産業とは性格の異なる電力・ガス・水道・熱供給業は含めていない。なお、

教育訓練ストックについては、その減耗率を 20%とした場合の要約統計量を付表 1-A に、

無形資産ストックゼロを 0.001に置き換えた場合の数字を付表 1-B に示している。

4.分析結果

4.1.日本企業の教育訓練ストック:概観

最初に教育訓練ストックの実態を記述統計的に概観しておきたい。表 2 は従業者当たり

教育訓練ストックの分布特性を整理したものである。ここでは対数変換する前の数字(100

万円単位)を表示している。平均値は 0.0235(≒2.4万円)であり、製造業(0.0228)とサー

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ビス産業(0.0234)の数字にほとんど違いはない。12 この表には示していないが、サービス

産業を分割して見ると、情報通信業(0.0489)が卸売業(0.0216)、小売業(0.0158)、サービ

ス業(0.0177)に比べて大きい数字である。

ただし、企業間でのばらつきは大きく、中央値はゼロ、すなわち過半数の企業は 5年間を

通じてフォーマルな教育訓練投資(Off-JT)を行っていない。表の右端には教育訓練ストッ

クがゼロでない企業の割合を示しているが、全産業で 45.5%である。90 パーセンタイル値

は 0.0628(≒6.3 万円)、95 パーセンタイル値は 0.1051(≒10.5 万円)であり、一部の企業

はかなり多額の教育訓練費をかけている。

どのような企業が教育訓練を積極的に行っているのかを観察するため、労働者1人当た

り教育訓練ストック(対数)又は教育訓練ストックの有無を被説明変数とし、パートタイム

労働者比率、企業規模(資本金額の対数)、3 ケタ産業×年次ダミーを説明変数として簡単

な推計を行った結果が表 3である。(1)列は OLS、(2)列はプロビット、(3)列はトービット推

計の結果である。いずれの推計方法でも企業規模の係数は正、パートタイム労働者比率の係

数は負であり、全て 1%水準で統計的に有意である。大規模な企業ほど、フルタイム労働者

比率が高い企業ほど、フォーマルな教育訓練を行っている確率が高く、従業員当たりの教育

訓練投資が多い傾向がある。これらは一般に予想される通りの結果である。

4.2.教育訓練と生産性

教育訓練ストック(ln(Training))で労働生産性(ln(LP))を説明するベースライン((1)式)

の推計結果が表 4である。(1)~(3)列は OLS 推計、(4)~(6)列は FE 推計の結果である。いず

れの推計でも教育訓練ストックの係数は 1%水準で有意な正値であり、教育訓練投資が生産

(付加価値)に貢献していることを示している。ただし、OLS 推計の結果と比較すると FE

推計の係数は半分以下となっており、クロスセクション推計においては観測されない企業

特性の影響、つまり生産性の高い企業ほど教育訓練投資を活発に行う傾向が大きく影響す

ることがわかる。単年のクロスセクション・データによる過去の研究は、教育訓練投資の効

果を過大評価する可能性が高いことを示唆している。

本稿の主たる関心事ではないが、従業者当たり有形固定資産(対数)、パートタイム労働

者比率の計数も全て 1%水準で有意であり、パートタイム比率の係数はマイナスの比較的大

きな数字である。製造業に比べてサービス産業でこの係数の絶対値が大きいのは、パートタ

イム労働者の労働時間が産業によって異なることが主な理由だと考えられる。

12 「能力開発基本調査」(厚生労働省)における能力開発費支出企業の従業者当たりのフロー額、

支出企業割合をもとに、本稿と同様 40%の減耗率を仮定して 2011~2015 年の 5年間累計のスト

ック値を概算すると、平均約 2.2 万円/人となり、「企業活動基本調査」のデータから計算され

る数字はこれとほぼ一致する。

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10

FE 推計における教育訓練ストックの係数は全産業で 0.0266である。説明変数、被説明変

数ともに対数表示なので、この係数は弾性値を意味する。したがって、従業員当たり教育訓

練ストックが 1%増加すると労働生産性は約 0.03%高くなる関係がある。産業別に見ると、

製造業 0.0127、サービス産業 0.0385 であり、製造業に比べてサービス産業で教育訓練を通

じた人的資本の質の生産性への貢献がずっと大きい。13 過去の研究の中にはデータの利用

可能性の制約から製造業のみを対象としたものが少なくないが、本稿の結果は製造業のみ

を対象とした分析は、Off-JT による教育訓練投資の効果を過小評価する可能性があること

を示唆している。また、製造業に比べてサービス産業の企業は、教育訓練投資が過小となっ

ている可能性が高い。なお、ベルギー企業を対象とした Konings and Vanormelingen (2015)は

製造業よりも非製造業で訓練の生産性への効果が大きいことを示しており、本稿の結果は

それと整合的だが、産業間の違いは日本企業の方が顕著である。

以上の推計は、教育訓練投資の減耗率を 40%として計算したものだが、これを 20%とし

て同様の推計を行った結果が付表 2-A である。この場合、教育訓練ストックの係数は 40~

50%程度大きくなる(FE 推計の場合)。減耗率が低いと教育訓練投資の収益率は高くなると

いうこの結果は、従業員の離職率を低くすることが、少なくとも当該企業にとっての投資効

率の向上に寄与することを示唆している。

教育訓練ストックがゼロのケースについて、教育訓練ストック額を 0.001(1,000円)と置

き換えて推計した結果が付表 2-B である。この場合には、推計される教育訓練ストックの係

数は大幅に縮小し、特に製造業企業の FE 推計では統計的有意性を失う。すなわち、教育訓

練投資を行っている企業のサンプルでの intensive margin での推計結果は、投資効果を過大

評価する可能性があることを示唆している。ただし、全産業、サービス産業では係数は 1%

水準で有意であり、後述する通り投資収益率に換算すると非常に高い数字となることに変

わりはない。

表 5は、研究開発、ソフトウエア、広告宣伝ストックを右辺に追加した推計結果である。

この場合、無形資産ストックのいずれかがゼロの場合には欠損値となってしまうため、観測

値数がかなり減少する。OLS 推計((1)~(3)列)では、教育訓練ストックを含めてすべての

無形資産の係数が 1%水準で有意な正値だが、FE 推計((4)~(6)列)では特に製造業のサン

13 製造業において Off-JT の生産性への寄与がサービス産業に比べて小さいのは、製造業で

は OJT の相対的な重要性が高いことが関係しているかも知れない。日本企業における人的

資本投資の特徴の一つとして、長期勤続・OJTを通じたブルーカラー労働者を含む従業者の

スキル向上(「熟練」)のメカニズムが指摘されてきた(e.g., 猪木, 1989; 小池, 2005; 上島・

猪木, 2018)。ただし、日本の勤続-賃金プロファイル(OJTの効果を含むと考えられる)の

傾斜が米国に比べて強いことを示した過去の研究は、製造業・非製造業に共通した事実であ

ることを指摘している(Hashimoto and Raisian, 1985)。また、「能力開発基本調査」(厚生労

働省)の事業所調査(2017 年)の結果から、産業別の「計画的 OJT実施事業所割合」を見

ると、サービス産業の中でも業種による違いが大きく、製造業で OJT 実施企業割合が特に

高いとは言えない。通念とは異なり、製造業の方がサービス産業に比べて OJT の重要性が

高いというエビデンスは意外に乏しい。

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11

プルで推計した場合に無形資産ストックの係数が有意性を失う。しかし、全産業及びサービ

ス産業では、本稿の関心事である教育訓練ストックの係数は 1%水準で有意であり、係数の

大きさも他の無形資産を考慮しない場合と大きく違わない。

なお、OLS 推計、FE 推計のいずれにおいても、サービス産業は製造業と比較して、有形

固定資産、研究開発ストックの係数が小さい一方、教育訓練ストックだけでなく、IT(ソフ

トウエア)ストック、広告宣伝ストックの係数が大きいという顕著な違いが見られる。研究

開発を例外として、一般に無形資産投資がサービス産業の生産性にとって相対的に重要な

ことを示している。

教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合の推計結果は付表 3-A、無形資産ストックがゼ

ロのケースについて補正を行った場合の推計結果は付表 3-B に示す通りである。基本的な

パタンは教育訓練以外の無形資産ストックを考慮しない場合と同様である。

以上の結果をもとに、教育訓練投資の収益率に換算すると非常に大きな数字となる。14 ベ

ースラインの FE 推計だと約 600%、最も係数が小さい付表 2-B(4)列のケースでも約 50%の

収益率である。これは、教育訓練ストック額自体が付加価値額に比べてずっと小さいのに対

して、生産性への貢献が比較的大きいためである。ただし、これは粗収益率なので、純収益

率はこの数字から減耗率を差し引く必要がある。

4.3.教育訓練と賃金

教育訓練ストック(ln(Training))で平均賃金(ln(Wage))を説明するベースライン((2)式)

の推計結果が表 6である。労働生産性の推計と同様、OLS 推計((1)~(3)列)に比べて FE 推

計((4)~(6)列)における教育訓練ストックの係数はかなり小さくなり、観測されない企業

特性の影響が大きいことが確認される。

全産業を対象とした FE 推計(同表(4))において平均賃金の教育訓練ストックに対する弾

性値は 0.0288 である。同じ定式化で労働生産性の弾性値は 0.0266 だったから(前出表 4(4)

列)、両者は極めて近い数字である。製造業、サービス産業のサブサンプルで見ても、労働

生産性と賃金の教育訓練に対する弾性値は近い数字となっている。つまり、教育訓練投資の

生産(付加価値額)と賃金への寄与は同程度である。分析に用いている教育訓練ストックの

数字は、全て企業負担によるものだが、要素所得シェアに見合った割合で企業(株主)と労

働者が教育訓練の収益を享受していることになる。

理論的には、完全競争の下において一般的(汎用的)訓練は労働者が全て費用負担して成

果も全て獲得する一方、企業特殊的訓練は企業が全て費用負担するとともに成果も全て獲

14 研究開発投資の収益率に関する先行研究と同様、γ=ρ(K/Y)として計算している(Hall et al.,

2010)。この式において、γ: 生産(付加価値)の教育訓練ストックに対する弾性値、K: 教育訓練

ストック、Y: 付加価値、ρ: 訓練ストックの収益率(限界生産性)である。

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12

得する。したがって、ここでの結果は、労働市場の不完全競争の下での労働者のレント・シ

ェアリングを示唆している。ただし、生産性への寄与と賃金への寄与が量的に同程度である

という本稿の結果は、訓練の生産性に対する効果が賃金への効果を上回るという海外の多

くの研究結果(Barron et al., 1999; Conti, 2005; Dearden et al., 2006; Konings and Vanormelingen,

2015)とは異なっている。欧米主要国と比較すると、日本では企業が投資した教育訓練の果

実のうち比較的大きな部分を労働者が獲得していることになる。

本稿の主たる関心事ではないが、パートタイム労働者比率の係数は、労働生産性の推計と

同様、高い有意水準かつ大きな負値である。全産業の推計結果を見ると、OLS 推計の係数は

▲0.8827、FE推計では▲0.3987で、労働生産性に対するパートタイム労働者の推計係数(OLS

▲0.8818、FE▲0.3928。前出表 4)とほとんど違いがない。つまり、パートタイム労働者の

賃金水準はその生産性への貢献とほぼ一致している。15 「同一労働同一賃金」をめぐる議論

において、非正規労働者の賃金が低いことが強調されてきているが、この結果は、平均的に

はパートタイム労働者の賃金水準は生産性に見合っており、その賃金を持続的に引き上げ

ようとするならば、生産性を高める必要があることを示唆している。

サンプルを製造業とサービス産業に分けて推計した FE 推計の結果を見ると、平均賃金の

教育訓練に対する弾性値は、製造業 0.0132, サービス産業 0.0410である(同表(5), (6))。労

働生産性と同様、サービス産業において教育訓練(Off-JT)ストックの寄与がずっと大きい。

Konings and Vanormelingen (2015)は、製造業の方が非製造業よりも訓練の係数がわずかに大

きいという結果を示しており、本稿の結果はそれとは異なっている。なお、いずれの産業も、

労働生産性に対する係数と賃金に対する係数は同程度の大きさであり、全産業での推計結

果と同様である。

教育訓練投資の減耗率を 20%として同様の推計を行った結果が付表 4-A である。労働生

産性の推計結果と同様、減耗率 40%を仮定した場合に比べて係数がいくぶん大きくなる。

また、教育訓練ストックがゼロの企業の場合に 0.001 として推計した結果が付表 4-B であ

る。労働生産性の推計結果とは異なり、製造業でも教育訓練ストックの係数は 5%水準だが

有意な正値である。係数の大きさが教育訓練ストック正値の企業だけのサンプルで推計し

た場合に比べて大幅に縮小するのは、労働生産性の推計結果と同様である。各推計結果を通

じて、製造業に比べてサービス産業で係数が大きいことも、労働生産性の分析結果と同様で

ある。

表 7は、研究開発、ソフトウエア、広告宣伝ストックを追加的な説明変数に用いた平均賃

金の推計結果である。FE 推計結果(同表(4)~(6)列)を見ると、製造業では教育訓練ストッ

クの有意水準は 10%と低くなるが、全産業、サービス産業ではいずれも 1%水準で有意であ

り、サービス産業の場合には弾性値がやや大きくなる。労働生産性の推計結果とは異なり、

教育訓練ストックだけでなく、有形固定資産を含む全てのストックでサービス産業の方が

15 パートタイム労働者の生産性と賃金が均衡しているという結果は、異なる推計方法を用いた

Morikawa (2017)と同様である。

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製造業よりも係数が大きい。賃金の引き上げという観点からは、サービス産業において有

形・無形の資産への投資の役割が大きいことを示唆している。

なお、労働生産性(前出表 5)及び賃金の各ストックに対する弾性値を比較すると、教育

訓練、研究開発、広告宣伝に対する賃金の弾性値は、生産性に対する弾性値よりも大きい。

一方、有形固定資産は同程度、ソフトウエアは労働生産性の弾性値が賃金の弾性値よりもい

くぶん大きい。

教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合の推計結果は付表 5-A、無形資産ストックがゼ

ロのケースを補正した場合の推計結果は付表 5-B に示す通りである。基本的なパタンは研

究開発ストックなど他の無形資産ストックを考慮しない場合と同様である。

5.結論

本稿は、「企業活動基本調査」のパネルデータを使用し、企業の教育訓練投資を通じた人

的資本ストックと生産性・賃金の関係を定量的に分析した。これまで大規模な企業データを

用いたフォーマルな実証研究の蓄積が乏しかった日本を対象に、教育訓練のストック・デー

タを作成した上でパネル推計を行ったこと、製造業とサービス産業を分けて教育訓練の効

果の違いを比較したこと、生産性だけでなく賃金と教育訓練の関係を計測・比較したことが、

本稿の主な貢献である。

分析結果の要点は以下の通りである。第一に、教育訓練(Off-JT)ストックは、生産性に

対して有意な正の貢献をしており、収益率に換算すると有形の資本設備に比べてかなり高

いと見られる。日本企業において OJT が重要な役割を果たしていると考えられてきたが、

Off-JT も生産性向上にとって有効性の高い無形資産投資であることを示唆している。第二

に、生産性の教育訓練ストックに対する弾性値は、製造業に比べてサービス産業の方がずっ

と高い。この結果は、サービス産業において人的資本投資が過小になっている可能性を示唆

している。第三に、企業による教育訓練投資の果実は、企業と労働者がそれぞれの生産への

貢献に沿った割合で享受している。この結果は、生産性への効果が賃金への効果よりも大き

いとする海外の多くの研究結果とは異なっており、日本では企業が負担した教育訓練投資

のリターンのうち、比較的大きな部分を労働者が獲得していることを示している。なお、本

稿の分析は、企業レベルの労働生産性及び平均賃金を対象にしているので、教育訓練を直接

に受けた労働者に対する効果だけでなく、企業内の他の労働者へのスピルオーバー効果を

含むものと解釈する必要がある。

以上の結果は、企業の教育訓練投資を促進するための最近の政策が、特にサービス分野の

企業の生産性を高める上で潜在的に有効な可能性を示唆している。もちろん、税制・補助金

などの具体的な政策が、実際にどの程度教育訓練投資を促進する因果的な効果を持つのか

は、別途検証が必要である。

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最後に、本稿にはいくつかの限界があることを留保しておきたい。第一に、教育訓練の内

生性の影響を完全には排除できていないことである。ただし、教育訓練投資のフローではな

く 5 年間累計のストック変数として分析に使用しているので、一時的な生産性変動に起因

する教育訓練投資の増減という影響はかなり除去されている。また、産業・年ダミーを考慮

しているので、産業共通の(セミマクロ)ショックの影響はコントロールされている。残る

問題があるとすれば、企業固有の生産性上昇を予期して数年間にわたり継続的に教育訓練

投資を行っている可能性である。

第二に、本稿で使用した企業データには、労働者の性別、学歴、勤続年数といった労働者

特性の情報が含まれていないことである。しかし、企業固定効果を用いたパネル推計なので、

3 年の間に労働者の平均的な属性が大きく変化している可能性は低く、推計結果に大きな影

響はないと考えられる。

第三に、教育訓練の直接的費用の情報のみを用いているので、Off-JT を受けている間の労

働投入時間の減少という機会費用は考慮されていないことである。したがって、推計された

生産性への効果や投資収益率は、機会費用の分だけ過大評価となっていると理解する必要

がある。ただし、推計された教育訓練投資の収益率は非常に高いので、定性的な結論を覆す

可能性は低い。

第四に、分析対象とした教育訓練投資はフォーマルな Off-JT に限られており、OJT は分

析の射程外である。ただし、政策的な支援の対象となる教育訓練投資は一般に Off-JT が大

部分なので、政策的含意に本質的な違いをもたらすわけではない。

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表 1 主な変数と要約統計量

(注)パートタイム労働者比率(Part)以外は全て従業者1人あたりの金額(100 万円単位)を

対数変換した数字。

表 2 労働者当たり教育訓練ストック(対数)の分布

MeanStd. Dev.

(overall)

Std. Dev.

(within)

Number of

observations

Number of

firms

全産業 ln(LP) 2.0483 0.5759 0.1466 29,385 12,213

ln(Training) -3.8839 1.4236 0.3665 30,395 12,468

ln(Tangible) 1.3249 1.7534 0.1889 30,163 12,393

ln(R&D) -0.7603 2.1502 0.2670 14,318 5,896

ln(Soft) -2.6871 1.7013 0.4162 23,081 9,893

ln(Advertise) -2.6358 2.0268 0.3459 26,688 11,050

Part 0.1461 0.2190 0.0406 30,395 12,468

製造業 ln(LP) 2.0910 0.5103 0.1530 13,216 5,475

ln(Training) -3.9396 1.3417 0.3605 13,537 5,543

ln(Tangible) 2.0071 1.0516 0.1473 13,493 5,525

ln(R&D) -0.3666 1.9416 0.2275 9,855 4,039

ln(Soft) -2.7476 1.4568 0.4144 10,540 4,488

ln(Advertise) -3.0713 1.9544 0.3693 11,150 4,613

Part 0.1056 0.1525 0.0350 13,537 5,543

サービス産業 ln(LP) 1.9840 0.6074 0.1382 15,097 6,484

ln(Training) -3.8621 1.4863 0.3702 15,757 6,666

ln(Tangible) 0.6813 1.9672 0.2127 15,569 6,607

ln(R&D) -1.6315 2.3483 0.3392 4,090 1,818

ln(Soft) -2.6681 1.8836 0.4097 11,676 5,186

ln(Advertise) -2.3152 2.0130 0.3176 14,530 6,189

Part 0.1844 0.2608 0.0450 15,757 6,666

Nobs. Mean Std. Dev. p50 p75 p90 p95 ≠0

全産業 66,846 0.0235 0.2010 0.0000 0.0201 0.0628 0.1051 45.5%

製造業 30,516 0.0228 0.2830 0.0000 0.0179 0.0534 0.0876 44.4%

サービス産業 34,206 0.0234 0.0834 0.0000 0.0216 0.0699 0.1179 46.1%

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表 3 教育訓練ストックの決定要因

(注)OLS, probit, tobit 推計。カッコ内はロバスト標準誤差。***は有意水準 1%。被説明変数は、

(1), (3)列は労働者1人当たり教育訓練ストック額(対数)、(2)列は教育訓練ストックの有無。

表 4 教育訓練ストックと労働生産性

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **, *は有意水準 1%, 5%, 10%。

被説明変数は労働者1人当たり付加価値額(対数)。

ln(Capital) 0.0079 *** 0.0507 *** 0.0292 ***

(0.0012) (0.0014) (0.0060)

Part -0.0212 *** -0.0821 *** -0.0648 ***

(0.0021) (0.0115) (0.0112)

Industry*year FE yes yes yes

Adj. R2, pseudo R

2 0.0112 0.0508 0.0646

Nobs. 66,846 66,784 66,846

(3) Tobit(1) OLS (2) Dprobit

ln(Training) 0.0682 *** 0.0515 *** 0.0797 *** 0.0266 *** 0.0127 ** 0.0385 ***

(0.0020) (0.0030) (0.0027) (0.0040) (0.0064) (0.0052)

ln(Tangible) 0.0933 *** 0.1549 *** 0.0686 *** 0.0837 *** 0.0854 *** 0.0851 ***

(0.0025) (0.0058) (0.0029) (0.0106) (0.0186) (0.0136)

Part -0.8818 *** -0.7251 *** -0.9426 *** -0.3928 *** -0.1763 *** -0.5077 ***

(0.0175) (0.0293) (0.0220) (0.0444) (0.0590) (0.0619)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4456 0.3174 0.5092 0.0673 0.0412 0.0927

Nobs. 29,244 13,192 14,980 29,244 13,192 14,980

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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表 5 無形資産ストックと労働生産性

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **, *は有意水準 1%, 5%, 10%。

被説明変数は労働者1人当たり付加価値額(対数)。

表 6 教育訓練ストックと賃金

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, ***は有意水準 1%, 5%。被説

明変数は労働者1人当たり賃金(対数)。

ln(Training) 0.0348 *** 0.0276 *** 0.0514 *** 0.0218 *** 0.0117 0.0398 ***

(0.0031) (0.0036) (0.0060) (0.0073) (0.0089) (0.0130)

ln(Tangible) 0.0852 *** 0.1475 *** 0.0382 *** 0.0733 *** 0.1118 *** 0.0432 *

(0.0050) (0.0082) (0.0065) (0.0169) (0.0262) (0.0220)

ln(R&D) 0.0487 *** 0.0595 *** 0.0294 *** 0.0185 ** 0.0167 0.0141

(0.0026) (0.0033) (0.0041) (0.0091) (0.0140) (0.0110)

ln(Soft) 0.0615 *** 0.0513 *** 0.0702 *** 0.0123 * 0.0096 0.0270 **

(0.0032) (0.0040) (0.0055) (0.0064) (0.0074) (0.0112)

ln(Advertise) 0.0216 *** 0.0168 *** 0.0320 *** 0.0199 ** 0.0098 0.0528 **

(0.0026) (0.0029) (0.0052) (0.0079) (0.0074) (0.0240)

Part -0.7399 *** -0.6157 *** -0.8785 *** -0.2121 ** -0.1081 -0.4927 **

(0.0309) (0.0354) (0.0608) (0.0820) (0.0820) (0.2079)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4609 0.4229 0.5331 0.0887 0.0572 0.1587

Nobs. 10,824 7,285 3,258 10,824 7,285 3,258

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

ln(Training) 0.0454 *** 0.0340 *** 0.0540 *** 0.0288 *** 0.0132 ** 0.0410 ***

(0.0015) (0.0022) (0.0021) (0.0041) (0.0052) (0.0062)

ln(Tangible) 0.0250 *** 0.0512 *** 0.0168 *** 0.0734 *** 0.0705 *** 0.0802 ***

(0.0015) (0.0031) (0.0019) (0.0105) (0.0149) (0.0145)

Part -0.8827 *** -0.6865 *** -0.9768 *** -0.3987 *** -0.2149 *** -0.4878 ***

(0.0138) (0.0239) (0.0172) (0.0442) (0.0533) (0.0618)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4885 0.2824 0.5879 0.0613 0.037 0.0819

Nobs. 30,163 13,493 15,569 30,163 13,493 15,569

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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表 7 無形資産ストックと賃金

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **, *は有意水準 1%, 5%, 10%。

被説明変数は労働者1人当たり賃金(対数)。

ln(Training) 0.0253 *** 0.0183 *** 0.0407 *** 0.0280 *** 0.0116 * 0.0556 ***

(0.0024) (0.0028) (0.0049) (0.0081) (0.0066) (0.0192)

ln(Tangible) 0.0133 *** 0.0313 *** 0.0026 *** 0.0728 *** 0.0722 *** 0.0824 **

(0.0028) (0.0044) (0.0037) (0.0243) (0.0203) (0.0394)

ln(R&D) 0.0310 *** 0.0411 *** 0.0143 *** 0.0307 *** 0.0169 * 0.0389 **

(0.0019) (0.0023) (0.0035) (0.0091) (0.0089) (0.0154)

ln(Soft) 0.0308 *** 0.0292 *** 0.0287 *** 0.0107 ** 0.0082 * 0.0180 *

(0.0022) (0.0027) (0.0041) (0.0047) (0.0046) (0.0106)

ln(Advertise) 0.0059 *** 0.0059 *** 0.0061 *** 0.0240 ** 0.0087 0.0721 *

(0.0018) (0.0019) (0.0038) (0.0105) (0.0066) (0.0370)

Part -0.7375 *** -0.6227 *** -0.9438 *** -0.2798 *** -0.1876 *** -0.3961 *

(0.0242) (0.0274) (0.0499) (0.0825) (0.0668) (0.2224)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4410 0.3455 0.5636 0.0980 0.0497 0.1613

Nobs. 10,987 7,383 3,322 10,987 7,383 3,322

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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付表・付図

付表 1 労働者当たり教育訓練ストック(対数)の要約統計量

A. 教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合

B. 教育訓練ストックがゼロの企業を含む

(注)教育訓練ストック額がゼロの企業に 0.001(1,000 円)を割り当てた上で対数変換した数

字。

MeanStd. Dev.

(overall)

Std. Dev.

(within)

Number of

observations

Number of

firms

全産業 -3.4381 1.2959 0.2878 30,395 12,468

製造業 -3.4860 1.2098 0.2851 13,537 5,543

サービス産業 -3.4213 1.3622 0.2884 15,757 6,666

MeanStd. Dev.

(overall)

Std. Dev.

(within)

Number of

observations

Number of

firms

全産業 -7.8685 3.8352 0.9394 66,846 25,308

製造業 -7.9280 3.7358 0.9206 30,516 11,484

サービス産業 -7.8588 3.9085 0.9453 34,206 13,412

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付表 2 教育訓練ストックと労働生産性(頑健性確認)

A. 教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合

B. 教育訓練ストック額がゼロの企業に 0.001(1,000円)を割り当てた場合

(注)OLS 推計及び FE 推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **は有意水準 1%, 5%。被説

明変数は労働者1人当たり付加価値額(対数)。

ln(Training) 0.0774 *** 0.0561 *** 0.0921 *** 0.0391 *** 0.0184 ** 0.0579 ***

(0.0023) (0.0033) (0.0031) (0.0055) (0.0086) (0.0072)

ln(Tangible) 0.0928 *** 0.1544 *** 0.0680 *** 0.0823 *** 0.0848 *** 0.0825 ***

(0.0025) (0.0058) (0.0029) (0.0105) (0.0185) (0.0134)

Part -0.8713 *** -0.7236 *** -0.9249 *** -0.3876 *** -0.1757 *** -0.4968 ***

(0.0175) (0.0292) (0.0221) (0.0439) (0.0590) (0.0608)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4467 0.3167 0.5118 0.0688 0.0415 0.0966

Nobs. 29,244 13,192 14,980 29,244 13,192 14,980

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

ln(Training) 0.0160 *** 0.0132 *** 0.0172 *** 0.0024 *** 0.0009 0.0046 ***

(0.0005) (0.0007) (0.0007) (0.0009) (0.0013) (0.0012)

ln(Tangible) 0.0940 *** 0.1539 *** 0.0678 *** 0.0922 *** 0.0878 *** 0.0911 ***

(0.0018) (0.0038) (0.0021) (0.0076) (0.0132) (0.0096)

Part -0.9137 *** -0.7658 *** -0.9817 *** -0.3238 *** -0.1047 *** -0.4553 ***

(0.0111) (0.0180) (0.0144) (0.0281) (0.0349) (0.0406)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4202 0.3211 0.4793 0.0487 0.0312 0.0690

Nobs. 63,363 29,258 32,091 63,363 29,258 32,091

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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付表 3 無形資産ストックと生産性(頑健性確認)

A. 教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合

B. 教育訓練ストック額がゼロの企業に 0.001(1,000円)を割り当てた場合

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **, *は有意水準 1%, 5%, 10%。

被説明変数は労働者1人当たり付加価値額(対数)。

ln(Training) 0.0374 *** 0.0283 *** 0.0585 *** 0.0270 *** 0.0139 0.0547 ***

(0.0034) (0.0040) (0.0066) (0.0086) (0.0098) (0.0171)

ln(Tangible) 0.0851 *** 0.1475 *** 0.0381 *** 0.0731 *** 0.1116 *** 0.0424 *

(0.0050) (0.0082) (0.0065) (0.0169) (0.0262) (0.0219)

ln(R&D) 0.0486 *** 0.0595 *** 0.0289 *** 0.0182 ** 0.0167 0.0131

(0.0026) (0.0033) (0.0041) (0.0090) (0.0140) (0.0108)

ln(Soft) 0.0613 *** 0.0513 *** 0.0692 *** 0.0122 * 0.0096 0.0268 **

(0.0032) (0.0040) (0.0055) (0.0064) (0.0074) (0.0111)

ln(Advertise) 0.0216 *** 0.0169 *** 0.0322 *** 0.0200 ** 0.0099 0.0524 **

(0.0026) (0.0029) (0.0051) (0.0079) (0.0075) (0.0239)

Part -0.7385 *** -0.6170 *** -0.8673 *** -0.2104 ** -0.1077 -0.4796 **

(0.0309) (0.0353) (0.0610) (0.0818) (0.0820) (0.2043)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4606 0.4222 0.5342 0.0887 0.0571 0.1604

Nobs. 10,824 7,285 3,258 10,824 7,285 3,258

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

ln(Training) 0.0077 *** 0.0043 *** 0.0103 *** 0.0023 *** 0.0016 0.0040 ***

(0.0005) (0.0007) (0.0008) (0.0011) (0.0016) (0.0014)

ln(Tangible) 0.0796 *** 0.1372 *** 0.0568 *** 0.0947 *** 0.1157 *** 0.0816 ***

(0.0021) (0.0047) (0.0025) (0.0087) (0.0155) (0.0105)

ln(R&D) 0.0081 *** 0.0130 *** 0.0028 *** 0.0044 *** 0.0032 0.0060

(0.0005) (0.0007) (0.0008) (0.0015) (0.0024) (0.0020)

ln(Soft) 0.0855 *** 0.0714 *** 0.0907 *** 0.0137 *** 0.0084 ** 0.0196 ***

(0.0015) (0.0024) (0.0021) (0.0027) (0.0038) (0.0038)

ln(Advertise) 0.0072 *** 0.0010 *** 0.0140 *** 0.0077 *** 0.0022 0.0152 ***

(0.0007) (0.0009) (0.0013) (0.0018) (0.0023) (0.0028)

Part -0.8334 *** -0.6868 *** -0.9126 *** -0.3331 *** -0.1116 ** -0.4539 ***

(0.0132) (0.0208) (0.0173) (0.0348) (0.0479) (0.0486)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4811 0.3804 0.5380 0.0600 0.0432 0.0807

Nobs. 42,987 20,253 21,285 42,987 20,253 21,285

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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付表 4 教育訓練ストックと賃金(頑健性確認)

A. 教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合

B. 教育訓練ストック額がゼロの企業に 0.001(1,000円)を割り当てた場合

(注)OLS 推計及び FE 推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **は有意水準 1%, 5%。被説

明変数は労働者1人当たり賃金(対数)。

ln(Training) 0.0527 *** 0.0379 *** 0.0638 *** 0.0430 *** 0.0210 ** 0.0613 ***

(0.0017) (0.0024) (0.0023) (0.0051) (0.0063) (0.0079)

ln(Tangible) 0.0246 *** 0.0508 *** 0.0162 *** 0.0719 *** 0.0696 *** 0.0777 ***

(0.0015) (0.0031) (0.0018) (0.0104) (0.0148) (0.0143)

Part -0.8741 *** -0.6845 *** -0.9628 *** -0.3927 *** -0.2143 *** -0.4761 ***

(0.0138) (0.0238) (0.0173) (0.0438) (0.0532) (0.0609)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4903 0.2824 0.5908 0.0637 0.0379 0.0860

Nobs. 30,163 13,493 15,569 30,163 13,493 15,569

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

ln(Training) 0.0109 *** 0.0096 *** 0.0117 *** 0.0042 *** 0.0031 ** 0.0058 ***

(0.0003) (0.0005) (0.0005) (0.0008) (0.0012) (0.0011)

ln(Tangible) 0.0288 *** 0.0567 *** 0.0188 *** 0.0790 *** 0.0743 *** 0.0830 ***

(0.0011) (0.0021) (0.0013) (0.0072) (0.0104) (0.0096)

Part -0.8934 *** -0.7013 *** -0.9987 *** -0.3372 *** -0.1762 *** -0.4304 ***

(0.0086) (0.0137) (0.0111) (0.0281) (0.0307) (0.0409)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4619 0.2892 0.5600 0.0440 0.0261 0.0592

Nobs. 66,264 30,371 33,779 66,264 30,371 33,779

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

Page 27: DP - RIETI1 RIETI Discussion Paper Series 18-J-021 2018年6月 企業の教育訓練投資と生産性 森川正之(RIETI) (要) 本稿は、日本企業のデータを使用し、企業の教育訓練投資と生産性の関係を定量的に分析

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付表 5 無形資産ストックと賃金(頑健性確認)

A. 教育訓練投資の減耗率を 20%とした場合

B. 教育訓練ストック額がゼロの企業に 0.001(1,000円)を割り当てた場合

(注)OLS 推計及び FE推計、カッコ内はロバスト標準誤差。***, **, *は有意水準 1%, 5%, 10%。

被説明変数は労働者1人当たり賃金(対数)。

ln(Training) 0.0281 *** 0.0198 *** 0.0462 *** 0.0357 *** 0.0164 ** 0.0710 ***

(0.0026) (0.0030) (0.0052) (0.0092) (0.0077) (0.0212)

ln(Tangible) 0.0132 *** 0.0312 *** 0.0025 *** 0.0723 *** 0.0718 *** 0.0816 **

(0.0028) (0.0044) (0.0037) (0.0243) (0.0202) (0.0396)

ln(R&D) 0.0309 *** 0.0410 *** 0.0139 *** 0.0303 *** 0.0166 * 0.0380 **

(0.0020) (0.0023) (0.0035) (0.0090) (0.0089) (0.0153)

ln(Soft) 0.0305 *** 0.0291 *** 0.0279 *** 0.0106 ** 0.0082 * 0.0180 *

(0.0022) (0.0027) (0.0041) (0.0047) (0.0046) (0.0107)

ln(Advertise) 0.0059 *** 0.0059 *** 0.0062 *** 0.0240 ** 0.0087 0.0721 *

(0.0018) (0.0019) (0.0038) (0.0105) (0.0066) (0.0373)

Part -0.7355 *** -0.6227 *** -0.9348 *** -0.2772 *** -0.1873 *** -0.3825 *

(0.0242) (0.0274) (0.0501) (0.0821) (0.0668) (0.2186)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4411 0.3454 0.5645 0.0983 0.0500 0.1618

Nobs. 10,987 7,383 3,322 10,987 7,383 3,322

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

ln(Training) 0.0059 *** 0.0035 *** 0.0082 *** 0.0041 *** 0.0029 ** 0.0058 ***

(0.0004) (0.0005) (0.0006) (0.0010) (0.0014) (0.0014)

ln(Tangible) 0.0172 *** 0.0364 *** 0.0118 *** 0.0780 *** 0.0892 *** 0.0758 ***

(0.0014) (0.0028) (0.0017) (0.0089) (0.0130) (0.0116)

ln(R&D) 0.0073 *** 0.0100 *** 0.0034 *** 0.0046 *** 0.0013 0.0078 ***

(0.0004) (0.0005) (0.0006) (0.0013) (0.0017) (0.0020)

ln(Soft) 0.0427 *** 0.0436 *** 0.0411 *** 0.0164 *** 0.0103 *** 0.0217 ***

(0.0011) (0.0016) (0.0015) (0.0024) (0.0039) (0.0032)

ln(Advertise) 0.0037 *** 0.0015 *** 0.0053 *** 0.0093 *** 0.0051 *** 0.0156 ***

(0.0006) (0.0007) (0.0010) (0.0017) (0.0019) (0.0030)

Part -0.8557 *** -0.6667 *** -0.9668 *** -0.3399 *** -0.1643 *** -0.4312 ***

(0.0109) (0.0174) (0.0142) (0.0342) (0.0417) (0.0483)

Firm FE no no no yes yes yes

Industry*year FE yes yes yes yes yes yes

Adj. R2, R2 (within) 0.4958 0.3275 0.5809 0.0533 0.0354 0.0756

Nobs. 44,415 20,774 22,126 44,415 20,774 22,126

(6) サービス(1) 全産業 (2) 製造業 (3) サービス (4) 全産業 (5) 製造業

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付図1 企業の能力開発費(フロー)の動向

(注)「能力開発基本調査」(厚生労働省)の能力開発費支出企業の1社当たり能力開発費、

1人当たり能力開発費、支出企業割合の公表データから試算。支出企業と非支出企業の平

均規模は異ならないと仮定していることに要注意。能力開発費は Off-JT と自己啓発支援

の合計。