徳島大学 総合科学部
桑 折 範 彦
目次 1 Kaleida Graph の起動 (1)入力メニュー (2)データ(Data) ウィンドウ (3)プロット(Plot) ウィンドウ (4)数式入力(Formula Entry) ウィンドウ (5)プロット(Plot) ツール 2 Kaleida Graph を使う (1)データの入力 (2)数式入力(Formula Entry) で計算する ◎ 数式入力の機能 (3)列に名前をつける (4)データの保存と印刷 (5)グラフの作成 ◎プロット(Plot Style)スタイル ◎座標軸 ◎目盛の数値の形式 ◎横軸、縦軸の物理量と単位 ◎グラフの大きさ ◎凡例(Legend) (6) 小二乗法 ◎任意の関数のフィット (7)グラフの保存と印刷 (8)データを読み込む方法 (9)複数のデータを1つのグラフにする方法 3 Kaleida Graph の終了 ・課題 ・Kaleida Graph の tips ・メニュー ・補遺1 KG の課題に関するレポートの書き方, ・補遺2 小二乗法(回帰曲線) ・Kaleida Graph4.0 の使用法メモ
ベストレポートのための Kaleida Graph
良いレポートを作ることは、多くの能力を必要とするし、またそれ故にその能力を創る
良いトレーニングになる。自分の考えを明確にする作業が必要になり、その1つの方法と
して、グラフに表して比較、検討することが大変有効である。例えば、物理現象について
プログラムで計算した結果は、そのままでは、数値であるのでイメージがつかみにくい。
そこで、その結果をグラフにして物理現象を理解しやすくしたい。ここではカレイダグラ
フ(Kaleida Graph Ver.3.0)というグラフ作成ソフトを取り上げ、計算、実験などで得
られた結果をグラフにしてみよう。このソフトは非常に多くの機能を持っているので、そ
の全ては説明出来ない。基本的な使い方と FORTRAN や C 言語などのプログラムで計算
した結果をグラフにする方法、また Kaleida Graph 自身でデータを加工、演算する方法
について説明する。 この解説を書いた時の Kaleida Graph の version は使用中のものより古いので,一部表
示されるものなど異なっているところがありますが,基本的な部分は同じです。
Kaleida Graph を起動するには、
1) Windows では、スタートメニューからプログラム→Kaleida Graph と選ぶ。
(スタートメニューに別のフォルダを作って、そこに Kaleida Graph を置く場
合もある)
Mac では、Kaleida Graph のアイコンを探して、それをダブルクリックする。 または、アップルメニューから Kaleida Graph の項目を選ぶ。
あるいは、 2) Windows、Mac のいずれであっても、すでに作った Kaleida Graph のデータファイル、またはグラフファイルをダブルクリックする。
などの方法がある。 Kaleida Graph を起動すると、データウィンドウが現れる。もし、データウィンドウが
無い場合は、[ファイル(File) ]メニューから[新規...]を選ぶ。 Kaleida Graph のウィンドウの様子を図 1 に示す。
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図1 Kaleida Graph の画面 (1)入力メニュー Kaleida Graph を利用する際の注意として、先ず、数値などの入力には英数入力モード
を選択しておかなくてはならない。Kaleida Graph では、説明の文などを挿入するような
特別の場合以外、日本語の入力を使用しない。
Windows では、[ALT+全角 / 半角]で日本語入力と英数入力のモードを切り換えて、英
数入力モードにしておく。 Mac の場合は、入力メニュー(メニューバーの右端から2番目のアイコン)から◆
Roman-JIS(または、US)を選択して、キーボードのアルファベット、数字がそのまま入力
される状態にしておく(英数入力モード)。この入力モードの日本語と英数の切替はメニュ
ーからだけでなく、コマンドキーを押しながらスペースを入力することで、相互に切替え
られる。
日本語の入力の説明は、少し複雑なので、ここでは説明しない(別の項を参照せよ)。 (2)データ(Data)ウィンドウ 図 1 を参照して見よう。ウィンドウのタイトルに"データ(Data)1" と表示されているウ
ィンドウは、グラフにしたいデータを入力する表(スプレッドシート)のウィンドウであ
る。このウィンドウは行(Raw, 横方向を指す)と列(Column, 縦方向を指す)から構成さ
れていて、1つ1つの枠("セル" 、Cell と呼ぶ)にはデータを入力する。また、更に、
後述する数式入力 (Formula Entry) ウィンドウで計算した結果を格納したり、別のファイ
ルから読み込んだデータを格納するところである。このセルには、文字あるいは数値が入
力できるが、数式は許されていない(Excel や Lotus-123 では可能)。
データは縦方向の列(Column)毎に(例えば、時間、距離を)そろえて入力し、数式入
力ウィンドウで計算式を与えて、ある列の値に対して演算をして別の列に格納することも
可能である。
(3)プロット(Plot) ウィンドウ データ(Data)ウィンドウにデータを入力して、あるいは、読込んで、ギャラリー(Gallery)
メニューからプロットタイプを選ぶとグラフがプロットウィンドウに表示される。ウィン
ドウのタイトルに"プロット(Plot) 1" と表示される。色々なグラフを作ることができるが、
も汎用性の高いプロットタイプは、ギャラリー(Gallery) メニューの[線形(Linear) / 折
れ線グラフ(Line)] である。このグラフの利用法をマスターすれば他のプロットタイプも
大体分かるであろう。後で、1つの例題について実際にデータを入力して、グラフを作る
練習をしよう。
(4)数式入力(Formula Entry) ウィンドウ このウィンドウには"数式入力(Formula Entry) "のタイトルが付いている。このウィン
ドウに色々な数式を入力、定義して、データウィンドウのデータに演算を加えることがで
きる。このウィンドウが表示されていない時には、ウィンドウメニューから[数式入力
(Formula Entry)]を選択するとこのウィンドウが表示され、これを利用することができる。
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(5)プロット(Plot) ツール 図 1 の左端にあるプロット(Plot) ツールは、作成した図に説明などを挿入するための道
具(ツール)を集めたものである。示されているツールの1つをクリックして選び、プロ
ットウィンドウ内に文字、四角、線、矢印などを挿入することができる。
Kaleida Graph を利用するのは、単にグラフを作成するためだけではなく、グラフを作
成しながら、データが示す現象を解析するためなのである。先ず、データを入力する(読
み込む)。次に必要ならそのデータから計算をして結果を得る。そして、グラフを作り、そ
のグラフから現象を理解したり、更に必要な解析を考えたりすることになる。それからデ
ータやグラフをフロッピーディスクに保存(Save)すること、印刷することも大切である。
次の例題をステップ-バイ-ステップで実際にやりながら一連の Kaleida Graph の利用方法
について学んでみよう。
例題: 温度 T を変えて、銅線に電流 I を流して銅線の両端の電圧 E を測定した。その結
果は右のようであった。銅線の温度とその抵抗の関係について解析せよ。
抵抗 Rは R = E / I で求めることが
できる。また、抵抗 R の温度 Tに
対する関係は、R = R0 (1+αT) と
表される。抵抗を温度の関数として
プロットし(グラフに表し)、 小
二乗法(回帰曲線)を用いて温度係
数αと T=0(℃)の時の抵抗 R0 を
求めよ。
(1)データの入力 データウィンドウにデータを入力するには、先ず入力したいセルをクリックして指定す
る。セルが四角の枠で強調される。ここで数値を入力して(先に述べたように、必ず英数
入力のモードにしておくこと、日本語モードでの数字は受付られない)、[return]キーまた
は[↓]キーを押すと下のセルに移動する。図 2 のように第0列に温度 T のデータ、第1列
に電圧 E のデータ、第2列に電流 I のデータというように入力する。横方向にも対応がつ
いているはずである。
T (℃) E (μV) I (m A )
19.1 58.2 763
25.0 60.1 772
30.1 60.5 758
36.0 61.9 766
40.0 64.4 782
45.1 63.7 759
50.0 65.9 774
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表示される列の数は、新規の場合第0列から第2列までなので、もっと要る場合は、デ
ータメニューから[Append Column]を選んで列を追加する。別の方法は、[→]キーを移動
させると、移動したところまで列が表示される(不必要に列を作らないこと)。
図2 データ(Data)ウィンドウ (2)数式入力(Formula Entry) で計算する 各温度における抵抗Rは、第1列の電圧Eの値を第2列の電流Iの値で割れば得られる。
抵抗 RをΩの単位で得るには、電圧はμV で、電流は mA で与えられているので、次の式を
用いる。
1000//)10/10( 36 IEIER =××= −−
この計算をするには、数式入力ウィンドウで図 3 に示すように入力する。まず、[F1]の
ボタンをクリックして(すでに何か式が書かれているかもしれないが、それは[delete]ま
たは[backspace]キーで消すと良い)、c3=c1/c2/1000 を入力する。この式は、第1列の値
(c1 で表す)を第2列の値(c2 で表す)で割って、更に 1000 で割った結果を第3列(c3
で表す)に入れるという意味である。[実行 (Run)] ボタンをクリックすると、第3列(c3)
に計算結果が得られる。[F1]~[F8]までの8つの式を記憶させることができる([F1]以外
のボタンをクリックしてみよ)。
図3 数式入力(Formula Entry)ウィンドウ ◎ 数式入力の機能 列の値を用いた計算をするには、上の例のように c の後に列の番号を書けば、全ての要
素について計算してくれる。可能な演算は四則演算だけでなく、[関数(Functions)]メニ
ューを見ると分かるように三角関数(sin, cos, tan)、逆三角関数(invsin, invcos, invtan)、
平方根(sqrt)、指数(exp)、対数(log, ln)などが使える。これら以外に[統計(Statistics)],
[回帰曲線(Curve Fits)] などのメニューがこのウィンドウ内に用意されている。特別な
関数としては index()があり、これは左端に示されている行(Raw)の番号を取込む関数で、
例えば、c0=index()*0.1 とすれば、第0列に行の番号の 0.1 倍を代入するという意味であ
る。特別なことをしなければ、128 行について計算される。また、複数のデータウィンド
ウがある場合は、直前に選ばれていたデータウィンドウに対して、演算が行われる。更に、
幾つかの例を示して、理解を助けよう。
c0=index()*0.1; c1=sin(c0)
複数の演算を1つの関数ボタンに定義できる。セミコロン[ ; ]で
区切って複数の式を入力できる。index()は行番号を取り出す関数。
それを 0.1 倍して radian 値にして、その sin 関数を計算する。
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m0=mean(c1); m0 列1(c1)の平均値を m0(第0メモリー)に代入し、
m0 を表示する。m0 とだけ書くとその値を表示する。
メモリーは m0~m99 の 100 個が使える。 c3=c1+log(c2*0.5)
c3 を c1 と c2 を使って対数の入った計算をする。
(3)列に名前をつける 図 2 に示されているように、各列には初期状態では、"A", "B", "C" などと名前がつい
ている。これを"T (deg)" などと変更しておくと、グラフを作るときに便利である。
図4 列の形式(Column Format)ダイアログ
そのような変更をするためには、データウィンドウの"A", "B", "C" などと書かれてい
る一番上のセルをダブルクリックする。[列の形式 (Column Format) ]ダイアログが開く
(図 4)。([列の形式]ダイアログを開く別の方法は、データメニューから[列の形式]
を選んでもよい。)このダイアログの中で"A", "B" などの1つをクリックして、下にある
入力ウィンドウに対応する名前を入力して、[↓]キーで次を選び変更、 後は[ OK ]ボ
タンで終了する。
[列の形式]ダイアログは、列の値の形式などを指定、変更することもできる。図 4 の
右側にある、データ形式(Data Type), 形式(Format), 桁数(Digits) の欄で変更できる。
各欄のボタンを押してみれば、選択できるデータタイプなどが一覧できるので、いろいろ
試してみよ。データウィンドウの表をきれいに印刷したい時など役に立つ。例えば、セル
に 10 と入力したとき、表示が 10.000 となる場合があるが、小数点以下の 0 を表示したく
ないだけなら、[ゼロ並びの表示(Show Trailing Zeros) ]のチェックをはずせばよい。
(4)データの保存と印刷 ここで、入力したデータを自分のフロッピーディスクまたはホルダーにファイルとして
保存しておこう。(せっかく入力したデータが失われないように用心する必要がある。時た
まパソコンが動かなくなり、リセットしなければならないことがあるためである。)保存す
るには、ファイルメニューから、[データ保存(Save Data)]または、[データを別名で保存
(Save Data As)]を選択する。この時、初めて保存する場合は、後者の[別名で保存]ダ
イアログで、デスクトップを選び、自分のフロッピーディスクまたはホルダーを選択し、
開いて、ファイル名を入力し、[保存(Save)]ボタンを押す。その後は、[データ保存]を
選択すると自動的に元のファイル名で保存される。自分のフロッピーディスクまたはホル
ダーに保存されたことを確認するには、デスクトップで自分のフロッピーディスクまたは
ホルダーを選択して、ダブルクリックし、開いて、今保存したファイル名のアイコンがあ
るかを見ればよい。
データの表を印刷したい場合は、印刷したいデータウィンドウを一度選び(つまりクリ
ックして)、次に、ファイルメニューから[データのプリント(Print Data)]を選べば良い
のだが、印刷をする場合の一般的な手続きは次のようにする。
(1) 用紙設定 (PageSetup) を選び、プリンタを選択、指定して(一般には一度選択して
おけばよい)用紙のサイズ、縦に使うか横に使うかの指定、縮小拡大率の設定をする。[OK]
ボタンを押して設定終了。次に、
(2) データのプリント(Print Data) を選び、印刷のページ、枚数を指定して、[プリン
ト(Print)]ボタンを押す。
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プリンタが複数接続されている場合は、Windows ではプリントダイアログでプリンタを
変更できる。また、Mac ではアップルメニューのセレクタでプリンタを選択する。
(5)グラフの作成
データウィンドウに入力し、計算した結果をグラフにするには、ギャラリー(Gallery) メ
ニューから線形(Linear)サブメニューの折れ線グラフ(Line)を選択する(マウスのボタン
を折れ線グラフ(Line)のところで離す)。するとダイアログボックスが現れ、X軸にとるデ
ータの列を Xと書いてある下の丸いボタンをクリックして指定する。
次に、Y 軸にとるデータの列を同様に Y と書いてある下の丸いボタンをチェックして指定
する。(初期状態では、全て左端の位置で、Xにも Y にも指定されていない)。Yには複数の
データ列を指定できるが、Xには1つのデータ列しか指定できない。
[新規プロット(New Plot)]ボタンをクリックすると、プロット(Plot) ウィンドウが
開き、グラフが描かれる(図 6)。複数のデータを1つのグラフに描きたい時は、[X]とあ
るところをクリックし、X2 を選んで新たな X軸、Y軸のデータの組を指定する。
◎プロット(Plot Style)スタイル Linear/Line(折れ線グラフ)でグラフを作成すると、データを記号(Marker)で表し、
順にその記号を線で結んだ折れ線グラフになる。この記号や線のスタイル、太さなどを変
更して、グラフを整えるためには、プロットメニューの[プロット変数(Plot Style...) ]
を選ぶ。この時のダイアログを図 7 に示して、幾つかの設定について説明する。
(1) プロット変数(Plot Variables): 変更したいプロットされた変数を示している。別
の変数を選ぶには、<< , >> の矢印ボタンを押す。
(2) マーカー(Marker): 記号の種類、クリックするとそのマークになる。
左の上から6つの記号は透明で、他は不透明である。また、棒(Bar)を選択すると、棒グラ
フになる。
図5 ギャラリー(Gallery)メ
ニューの線形(Linear) / 折れ
線グラフ(Line)ダイアログ。X
軸にT(deg)を選び、Y軸にR(ohm)
を選んだ状態。
図6 グラフの例
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図7 プロット変数(Plot Style)のダイアログ
(3) 塗りパターン(Fill Pattern): マーカーとして棒(Bar)を選んだ場合、その棒グラフ
(Bar)の塗りつぶしのパターン。
(4) マーカーの表示(Show Markers): プロットのマークを全部表示するか、一部表示す
るかを指定する。なし(None), すべて(All), 固定# (Fixed Number), %データ(% of Data),
N 番ごと(Every Nth) のいずれかを選ぶ。実験データなどの場合は、すべて(All) を選ん
で、全てのデータ点を表示させるべきである。計算値の時はなし(None)を選びスタイル
(Style)で線を選んで描くようにする。
(5) マーカーサイズ(Maker Size): マークの大きさを指定する。
(6) スタイル(Style): マークの間を結ぶ直線の種類を指定する。なし(None) を選ぶと
直線を表示しない。実験データの場合は、なし(None)を選ぶのが普通である。
(7) 幅(Width): 直線の太さを指定する。
(8) カラー(Color): マーク、直線、塗りつぶしパターンの色の指定。
(9) 変数(Variable) / 回帰曲線(Curve Fit): 対象となる変数についての変更か、回帰
曲線を当てはめた(Curve Fit した)結果の線についての変更かを指定する。
設定が良ければ、[OK]ボタンをクリックする。途中で変更を止めたい時は[キャンセル
(Cancel)]ボタンをクリックする。 ◎座標軸 プロットされたグラフでは、横軸、縦軸ともに自動的に全てのデータが表示できるよう
に、 小値、 大値が決められる。より見やすいグラフにするために、座標軸の表示範囲
や目盛り(Ticks)の間隔、対数軸への変更などをしたいことがあろう。これは、プロットメ
ニューの[軸オプション (Axis Options...)]を選ぶか、X 軸または Y 軸の座標軸部分を
トリプルクリック(3回続けてクリックすること)することによって、[軸の設定]ダイア
ログ(図 8)を表示させて指定する。
図8 軸の設定(Axis Setting)のダイアログ
(1) 座標軸(Axis): 先ず、変更を加えたい座標軸(X または Y)を選ぶ。
(2) 線形(Linear) / 対数(Log): 座標軸を線形か対数かを選ぶ。特に、対数軸にしたい
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時に、ここで指定する。
(3) 極限値(Limits): 小値、 大値を指定する。 大(Max), 小(Min) に数値をそれ
ぞれ代入する。(対数軸を指定した時は、これらの値は正の値でなければならない。0、負
数がある場合は。そのセルをトリプルクリックして選び、機能(Function)メニューの[マ
スク(Mask)]で、そのセルのデータを利用しないようにすると良い。)
(4) 目盛り(Ticks) / グリッド(Grids) / ラベル(Labels): これらのいずれかのボタン
を押すと、他の座標軸に関する指定を変更することができる。座標軸の目盛り(major ticks,
minor ticks)をどうするか、グラフの中に格子線(グリッド)をどう描くか、目盛のラベ
ルをどう表示するかなどを変更することができる。各自、いろいろ変更してその効果を確
かめてみるとよい。
(5) 反転 (Reverse): 座標軸の目盛を普通の逆にする(X 軸なら、大きい値を左にする)。
(6) 軸なし (No Axis): 座標軸を表示しない。
(7) X と Y の交換 (Exchange X and Y): X 軸と Y 軸を入れ替える。
(8) デフォルト (Defaults): このボタンを押すと、それまでの座標軸に対する指定を、
デフォルト(初期設定)に戻す。
(9) グラフ拡張(Plot Extras...): 更に、座標軸などの線の太さ、目盛の長さなど、細
かい指定が可能。
指定の変更が終わったら、[OK]ボタンを
クリックすると、新しい指定によるグラフ
に描き直される。
◎目盛の数値の形式 グラフには、横軸、縦軸とも目盛(主目
盛り, Major ticks)のあるところに、値が
表示される。この表示が適切でないと、見
苦しいグラフになる。
この表示を変更するには、形式(Format)
メニューの[Xラベルの形式.. (X Label ダ
イアログ For mat ...)]や[Y ラベルの形
式... (Y Label Format...)]などを選ぶ。
その時の[数値形式(Numeric Format)]のダイアログを図 9 に示す。
(1) 形式(Format): このダイアログの中で選択できる形式は次のものである。
- 一般(General): 自動的に形式を判定して表示する。
- 固定(Fixed): 小数点以下の桁数を決めて、表示する。
- 科学(Scientific): 科学的記数法で表示する。例えば、12000 を 1.20e+4 と表記する。
e は 10 のベキを表す。
- 工学(Engineering): 工学的記数法で表示する。科学的記数法と同じように表記する
が、10 のベキの指数を 3 の倍数に採る(12000 は 12.0e+3 と表す)。
(2) 桁数(Digits): 表示する小数点以下の桁数を指定する。
(3) ゼロ並びを表示 (Show Trailing Zeros): チェックすると指定した小数点以下の桁
になるまでゼロを表示する。
◎横軸、縦軸の物理量と単位 一般にグラフには横軸、縦軸とも必ずそれらの物理量と単位を示す必要がある。Kaleida
Graph では、データの列につけた名前を自動的に用いる。先に(3)で述べたように、列
の名前をきちんと決めておけば、横軸、縦軸ともその表示になる。
それをグラフの上で変更したい場合は、その文字列をダブルクリックすると、テキスト
ツール(Text Tool)のダイアログになり(図 10)、文字列を変更できる。下の四角の中にテ
キストを入力すると、上の部分で表示される様子が分かる。 このダイアログには、別のメニューが現れ、様々な指定ができる。特に、フォント(Font),
サイズ(Size), スタイル(Style) は文字の表現を変えるのに便利である。実際に変えて見
よ。M3 のような上付きはスタイルメニューの上付き(Superscript)で、Tc は下付き
(Subscript)で表現できる。日本語の表示をしたい場合は、日本語入力モードにして入力、
変換して、更にフォントを日本語のフォント(例えば、中ゴシック)にすれば良い。
図9 数値形式(Numeric Format)
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図10 テキストツール(Text Tool)ダイアログ
◎グラフの大きさ プロットウィンドウの右下のサイズボックスをドラッグするとウィンドウの大きさを変
標軸が点線で囲まれ、四隅にハンドルマークが現れる。このハンドルをドラッグすると、
グラフの大きさを変更できる。また、プロットの範囲を示す白い部分の右下のハンドルを
ドラッグすることでも、グラフの大きさを変更できる。(図 12)
上の変更を数値で正確に指定するには、プロットメニューの[プロットサイズ設定(Set
Plot Size..)] を選べば可能である。複数の同種類のグラフを同じスケール、サイズで作
成し、比較したい時に便利である。
図 12 プロット(Plot)ウィンドウにおけるグラフの大きさ変更
図 11 プロットツール(Plot Tool)
のウィンドウ
このテキストツールのダイアログ(図 10)は、グラフの中に任意
の文字列、説明などを挿入する時にも利用できる。プロットウィン
ドウにあるプロットツールの をクリックして(図 11)、更に、
プロットウィンドウのグラフで文字列を置きたい場所をクリックす
ると、このテキストツールのウィンドウが表示される。これを用い
て文字列を入力して任意の場所に、それを配置することができる。
一度、配置した文字列を移動するには、プロットツールの を
クリックし、次に文字列をクリックし、ドラッグすればよい。
他のプロットツールの機能については、省略するが、いろいろ試
してみれば、大体理解できるであろう。
図11 プロットツール(Plot
Tool)のウィンドウ
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◎凡例(Legend) プロットウィンドウのグラフには、使われている記号(マーク)がどのデータ列に対応
するかを示す凡例(はんれい)が表示されている(図 6、図 12 参照)。
凡例の表示 / 非表示の切替は、プロットメニューの[凡例表示(Display Legend)]で行
う。凡例の部分をクリックして、更にその文字列のところをダブルクリックすると、テキ
ストツールダイアログ(図 10)が現れて、フォントやサイズなど変更できる。また、記号
(マーク)の部分をクリックで選択してから、更にダブルクリックすれば、プロットスタ
イルダイアログ(図 7)が現れ、マークを変更できる。
Kaleida Graph では、一般に、プロットウィンドウの中のグラフのいろいろな部分をマ
ウスでクリックしてみると、点線やハンドル(四隅のマーク)が現れる。その場所で更に
ダブルクリックすると、その部分に関した変更用ダイアログが現れる。いろいろ、試して
みるとよい。 (6) 小二乗法 ( 小二乗法、回帰曲線、フィットの詳細については、付録参照) これまでの操作で、実験データなどをグラフにすることができた。更に、このデータに
対して 小二乗法で直線、曲線などをフィットすることができる。回帰曲線メニューから
フィットしたい関数を選ぶ(例えば、1次関数なら[線形(Linear...)]を選ぶ)と、回帰
曲線の選択(Curve Fit Selections) ダイアログ(図 13)が現れるので、 小二乗法でフ
ィットしたい Y 軸のデータをチェックする。[OK]ボタンをクリックするとフィットした結
果の線が描かれる(図 14)。プロットメニューの凡例表示(Display Equation)を選んでお
けば、フィットした結果の式が表示される。
図 14 回帰曲線(Curve Fit)の結果を示すグラフ
この例題の場合、 小二乗法フィットの結果は
y = 7.0792e-05 + 2.8805e-07x R = 0.99759
と得られているであろう。ここで e-05 は 10-5 の意味である。(10 のベキ乗を e を用いて
表すことが多い。しかし、自然対数の底の e = 2.71828 のベキ乗ではないことに注意しよ
う。)また、R = 0.99759 は相関係数を示している。上の結果を R = R0 (1+αT) の式と対
比させれば、温度係数αと T=0 の時の抵抗 R0 を求めることができる。 図 13 回帰曲線の選択(Curve
Fit Selections)のダイアログ
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R0 = 7.07692 ×10-5 Ω
α= 2.8805 × 10-7 / 7.0792 × 10-5 = 4.0689 × 10-3 (1/deg)
この温度係数は温度が1deg 変化した時に抵抗は約 0.4 % 変わるということを示している。
小二乗法によって、引かれた回帰曲線の種類や色などを変更したい場合は、先にプロ
ットスタイルのところで説明したように、プロットメニューの[プロットスタイル]を選
び、そこにある回帰曲線(Curve Fit)のボタンを押せば、それらを変更できる。
回帰曲線メニューでフィットできる関数には、次のようなものがある。
-線形(Linear): 1次関数(y = m1+m2*x)
-多項式(Polynomial): y = m1+m2*x+m3*x^2+m4*x^3+...+m10*x^9
x の 9 次までフィットできる。
-指数(Exponential): y = m1*exp(m2*x)
-対数(Logarithmic): y = m1+m2*log(x)
-累乗(Power): y = m1*x^m2
-スムース(Smooth): スムースな曲線を当てはめる。
-荷重(Weighted): 重み(ウェイト)かけた 小二乗法を用いて、曲線を当てはめる。
-三次元スプライン(Cubic Spline): x が増加する方向に、連続した4つづつのデータ
から3次の多項式を求めて、データ点を結ぶ。
-補間(Interpolate): データ点を補間して、結ぶ。
◎任意の関数のフィット 回帰曲線メニューの[一般編集(General / Edit General...)] を選び、当てはめたい
関数を定義する。
例えば、y = a + b*exp(c*x) のようなメニューに無い関数でフィットすることもできる。
また、フィットした時に得られるパラメータの誤差を求めたい場合には、この「任意の関
数フィット」の方法でフィットをしなければならない。
ここでは、この機能を用いて、1次関数のフィットで得られたパラメータの誤差を評価
する例を実行して見よう。[一般編集(General / Edit General... )]を選び、一般回帰曲
線(General Curve Fits) ダイアログで(図 15)、新規フィット(New Fit)を追加して( [<<
追加 ] ボタンを押す)、それから左側の欄で付け加わったこの新規フィットをクリックし
て選び、下の欄でその名前を適当に与えて、[編集(Edit)]ボタンを押す。
図 15 一般回帰曲線(General Curve Fit)ダイアログ
図 16 一般回帰曲線(General Curve Fit)の式入力ダイアログ
すると、一般回帰曲線の定義(General Curve Fit) Y=F(M0;M1,M2,M3...)のダイアログ(図
16)になり、ここで式を入力する。y = a + b x でフィットする場合は、欄に m1+
m2*M0;m1=1;m2=1 と入力する。横軸 x に対応させて M0 を用いる。m1=1, m2=1 は m1, m2
の初期値を指定している。式の区切りはセミコロンを用いる。
これで OK とすると、新しい式の定義が終わる。この式を Genfit1 とすると。回帰曲線メ
ニューの[一般(General)]の下に Genfit1 の名前が出来るので、これを選ぶと、この式で
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フィットが行われる。その結果は、プロットメニューの[数式表示(Display Equation)]
を選べば、式の形とパラメータの 適値およびその誤差が表の形で表示される(図 17)。
図 17 一般回帰曲線(General Curve Fit)によるフィットとその誤差
図に示されているように、
m1=7.0729×10-5 ±3.2701×10-7
m2=2.8905×10-7 ±8.9611×10-9
という誤差のある結果を示している。
(7)グラフの保存と印刷 すでに、データの保存と印刷については、先に説明した。グラフの場合も、ほとんど同
じである。 ◎グラフの保存 保存したいグラフの表示されているプロットウィンドウのどこかをクリックして選択す
る、ファイルメニューから[グラフの保存(Save Graph)]または、[グラフを別名で保存
(Save Graph As)]を選ぶ。初めて保存する場合は、後者の保存のダイアログで、自分のフ
ロッピーディスクを指定して、ファイル名入力して[保存]ボタンを押す。2回目以降は、
[グラフの保存]を選択すると自動的に元のファイル名で保存される。自分のフロッピー
ディスクに保存(save)されたことを確認するには、デスクトップで自分のフロッピーデ
ィスクを選択して、ダブルクリックし開き、今保存したファイル名のアイコンがあるかを
見ればよい。
◎グラフの印刷 一般に、グラフを調節せずにそのまま印刷したい場合は、単に[ファイル]メニューか
ら[グラフィックのプリント(印刷)]を選んで、ダイアログに従えば良い。
印刷の用紙上のレイアウトも確認、設定したいことがあるだろう。Windows を Mac とで
若干操作が異なるので、分けて説明する。
●Windows の場合:ファイルメニューから[新規レイアウト]を選び、その後、レイアウ
トメニューから[新規ポジション]でグラフの配置(複数のグラフも配置できる)、大きさ
などの設定をする。[プロット選択]で作成したグラフ(プロット)をどの配置に置くかを
決め、レイアウトを決める。レイアウトを選択しておいて、[レイアウトのプリント]を実
行する。(図 18)
●Mac の場合:グラフを印刷したい場合は、保存の場合と同様に印刷したいグラフのプロ
ットウィンドウを一度クリックして選び、次にファイルメニューから[ページ表示(Show
Page)]を選択する(図 19)。ここでは複数のグラフ(プロット)を配置できるし、大きさ
も調整できる。[用紙設定(Page Setup)]で用紙の指定などを設定しておく。
23 24
図 18 レイアウト表示
[新規レイアウト]を選ぶと図 18 の[レイアウト表示]が現れる。これでグラフがどの
ように印刷されるかが確認できる。レイアウトの中グラフをクリックするとハンドルが現
れ、グラフの大きさや位置を変更できる。また、新規ポジションを選べば、複数のグラフ
を1ページの中に印刷できる。[印刷]ボタンをクリックすると印刷が始まる。印刷の指定
ダイアログで印刷枚数などを指定して、OK(印刷)をクリックすればよい。
プリンターが複数接続されている場合には、印刷のダイアログやアップルメニューのセ
レクタを選び、使うプリンターを指定しておく必要がある。
図 19 ページ表示
(8)データを読み込む方法 FORTRAN のプログラムなどで計算した結果が、テキストで書かれたファイルとして作成
されているとしよう。そのファイルのデータを Kaleida Graph に読み込むには、ファイル
メニューから[読み込み(Import) / テキスト(Text)]を選ぶ、どのファイルかを指定して、
OK すると、[テキストファイルの入力形式(Text File Input Format)]のダイアログが現
れる(図 20)。そこで区切り(Delimiter)を空白として、その数を 2 ヶ以上(ウ 2 は≧2 の
意味)、[スキップするライン(Line Skipped)]は 0 でスキップしない。また、 初の行に
T(deg) R(ohm) など列の説明がある時には、[タイトル読み込み(Read Titles)]をチェ
ックする。これで OK ボタンを押せば、 新しいデータウィンドウが開かれ、データが読み
込まれる。
25 26
図 20 読み込み(Text File Input Format)のダイアログ
(9)複数のデータを1つのグラフにする方法 計算などでパラメータを変えたとき、データファイルが複数になり、それらを同じグラ
フにプロットし、比較したい。この場合は、先ず、それぞれのデータを独立にデータ 1, デ
ータ 2, ...などと複数のウィンドウに読み込む。それから、ある1つのデータウィンドウ
に他のデータウィンドウからデータの列全部をコピーすれば、データを集めることができ
る。(図 21)1つのデータウィンドウにある複数のデータ列は、グラフに一緒にプロット
できるので、比較するのに都合がよい。
図 21 複数のデータを1つの表に集める
Kaleida Graph を終了するには、全てのアプリケーションと同じで、ファイルメニュー
から終了(Quit)を選べばよい。このとき、保存していないデータ、グラフがあると保存す
るかどうか訊いてくる。
パソコンの電源を切る前には、必ず、アプリケーション(Kaleida Graph, Word, Excel
など)を終了しておくことが、トラブルに会わないための注意である。
27 28
課題 3-1 ここまでに例題としてやってきたことをレポートにまとめよ。
(1) 抵抗を温度の関数としてプロットし(グラフに表し)、見やすい形式に整えよ。また、
それらを保存し、印刷せよ。プロットした図を示し、そこから分かることをまとめよ。
(2) 抵抗と温度の関係を R = R0 (1+αT)として、グラフのデータに、1次関数を 小二乗
法でフィットして、その 適な式と温度 0度の時の抵抗 R0と温度係数αを求めよ。
[追加の課題(指示があれば行うこと)]また、更に「任意の関数のフィット」を応用し
て、パラメータの誤差(R0 と温度係数αの誤差)を求めよ。誤差の伝搬を考慮すること。
課題 3-2 温度 t (℃) を変えて、半導体の抵抗 R(Ω)を測定した。結果は右のようにな
った。まず、このデータを「メモ帖」などのエディタでデ
ータを記述して、ファイルに保存する。それを Kaleida
Graph で読み込む練習に用いよ。(データを直接 KG に入力
してもよい。)
摂氏温度 t (℃)に273.2を足して絶対温度T(K)を求める
と、抵抗 Rは次の式で表される。
)2/()2/exp( TkEBg
BgeATkEAR ==
(1) 横軸を 1 / T 、縦軸を Rにとったグラフを作れ。
(2) 回帰曲線(Curve Fit) メニューの指数(Exponetial) 関
数でフィットして、Eg / 2kB を求めよ。kB(ボルツマン定数)が 8.617×10-5 (eV K-1)で
あることを用いて、Eg を eV の単位で求めよ。 (3)プロットメニューの[軸オプション(Axis Options...)]を選び、縦軸を対数表示にす
ると、データは大体直線に乗ることを確かめよ。
KG のデータファイル、グラフファイルの名前について
Windows の場合は拡張子で分かる。データファイルは .QDA であり、グラフファイル
は .QPC である。 Mac の場合は、拡張子はない。ファイル名を自由に付ければ良い。 Windows でも Mac でも KaledaGraph はアプリケーションとして利用できるので、両
方の環境でファイルを利用するには、ファイル名を、Windows での規則に従って .QDAまたは .QPC を付ければ良い。 Kaleida Graph のちょっとしたテクニック
1.グラフの作成の要点
グラフを作るときの注意すべき点をまとめておく。
(1) 測定点(実験点)プロットの場合
[プロットスタイル]で マーカーを[全て]に スタイル(線)を[なし]
にする。
白黒でもマーカーが区別できるようにする。
(2) 計算値のプロットの場合。
[プロットスタイル]で マーカーを[なし]に スタイル(線)を[種類
を選ぶ]。
白黒でも線が区別できるようにする(線の太さ、種類)。
(3) 見やすいスケールにする。
どの範囲を表示すべきか検討する> x 軸の範囲、y軸の範囲。
[軸オプション]で自動のチェックをはずして、x軸の範囲、y軸の範囲を
指定。
0 点まで表示するべきか。
線形か対数か >場合によって y 軸を対数表示にしなければならないの
で、注意する。
t(℃) R(Ω)10.0 71.521.2 48.830.1 36.340.9 26.051.2 19.259.8 14.770.4 11.1
29 30
(4) 回帰曲線 >一般にフィットすると言う。
この線を見やすくするには、[プロットスタイル]で、回帰曲線のボタン
をチェックしてから、線のスタイルを変更する。
また、グラフの全体に回帰曲線を引くには、[形式]→[回帰曲線オプシ
ョン]を選び、[軸の極限まで補間]をチェックする。
(5) グラフの中に説明を書くこと。
横のツールボックスから[T]を選んで、入力する。
グラフのマーカー、線がどんなパラメータに対応するかを書くこと。
>図を見れば、大体のことが分かるようにする。
2.回帰曲線をグラフ全体に書きたい
[形式]メニューから[回帰曲線オプション]を選び「軸極限まで外挿」を
チェックする。
3.回帰曲線の線の種類、色を変えたい
[プロットスタイル]メニューを選んで、「回帰曲線」をチェックすると、
回帰曲線について、マーカー、線のスタイル、色などを変更することができ
る。初めの状態にするには、「変数」をチェックする。
4.KG の使い方補足
●KG のデータ表に、ベキ乗のある数値を入れる。
例) 1.2 x 104 を入れたい場合: 1.2e+4 とタイプする。 12000 と表示されたり 1.2e+4
のまま表示されたりする。
同様に、1.2 x 10-4を入れたい場合: 1.2e-4 とタイプする。
●対数軸を選ぶと、エラーがでる。 0 以下の数があると対数をとれないため、このと
時は、その値のセルを選んでおいて、機能メニューから[マスク]を選ぶと、プロットの
対象からはずされる。解除したい場合は[マスク解除]を選べば良い。
●x軸と y軸の対のデータが複数あるとき、1つのグラフにしたい。
例) x10 y10 x20 y20
1.1 10.3 5.3 12.3
1.5 14.5 6.5 20.2
など。 まず、ギャラリーから折れ線グラフを選んで、その状態で1つの x 軸、y 軸のデータを指
定する。(図 a)
次に、[X]をポイントすると下に、X2, X3 とでてくるので、X2 を選んで、次の x 軸、y軸
のデータを指定する。(図 b)
それで[新規プロット]をすればよい。試してみよ。
図 a 図 b
●データの表が複数あるとき、1つのグラフに表したい。
上の図のように,1つのデータ表〔データ1〕について,折れ線グラフを描く。次に,別
なデータ表〔データ2〕を データ1 の部分をポイントすると,現在開いている表が選
択できるので,そこから選択して,列を指定する。再プロットとすると,データ1,デー
タ2などが一緒のグラフが描かれる。
31 32
KaleidaGraph Ver.3.0 のメニューバーを示す。(上, M1)はデータが選ばれているとき。
(下, M2)はプロットが選ばれているときで、少し異なっている。
[ファイル]メニュー。 右はデータがテキストで与えられ、それを読み込みたいとき。
[ギャラリー]メニューは図を描く。 も汎用的なものは「折れ線グラフ」。
[プロット]メニュー [データ]メニュー 軸オプション、プロットスタイルは良く使う。
M1M1
M2
M3
M4
M5
M6 M7
33 34
[機能] [マクロ] [ウィンドウ] メニュー
[プロット] [形式] [オブジェクト] メニュー
M8
M9
M10
M11
M12
M13
35 36
[回帰曲線] [ウィンドウ] [ヘルプ] メニュー
M14
M15
M16
37 38
補遺1. KG の課題に関するレポートの書き方
1.表題を書く。学生番号と氏名、提出日を書く。これらは1番上の行に書く(これらだ
けが書かれた表紙のページは必要ない)。 ・始めから順に読んで分かるように書くこと。そのように配置すること。 ・単に答えだけを書くのではない。 ・(注意)ここで示す形式を守っていないレポートは書き直し。 2.「はじめに」または「課題の目的」を書く。 課題の目的・意図、取り上げている物理現象などを書く。 例)例題にある、銅線の抵抗の温度変化に関する測定結果を KG を使って解析すること
を目的とする。 3.「課題の説明」 ・扱っている現象を説明する関係式などをまとめる。必要な計算の説明。 ・何をするか、 終的に求める値、式などをまとめておく。 4.「解析の過程」 ・実際にやったことを順にまとめる。 5.「結果」 ・KG で描いた図を示す。図に番号をつける[図1.温度に対する銅線の抵抗 などとす
る]。表の場合も同様。 ・その図に示されていることを、文章で説明すること。物理量の間の定性的、定量的な関
係について説明、考察すること。 6.「考察」または「まとめ」 ・得られた結果について、理論的な推論や経験に基づく推測と異なっていないか、考察し、
結論的なこと(求めた値など)、興味ある事柄をまとめ示すこと。 7.「参考書(参考文献)」 ・レポートを書くために参考にした本、Web サイトアドレスなどを示す。
補遺2.最小二乗法(回帰曲線)
測定された物理量の関係はグラフに点で示される(プロットすると言う)。それらの点は、
測定誤差などのためにばらつく。物理量の関係を線で表そうとするとき、 適な線はどの
ように引けば良いか。 引こうとする線を仮定して、その線と測定点とのズレの二乗を全ての点について和をと
り、その和(差の二乗の和)が 小になるように線を引く。 これが 小二乗法により回帰曲線(直線)を引くという。またフィッティングするともい
う。 詳しくはテキスト「物理のためのパソコン利用法入門」(第 12 章 実験データの整理法)、
や「物質科学実験テキスト」(第3章 測定値と誤差およびその取り扱いかた) を参照し
てください。 1.最小二乗法の原理
近は、Kaleida Graph などのグラフ作成ソフトを用いれば、 小二乗法による関数フ
ィットは容易にできる。しかし、その原理を理解するために、手計算でも 小二乗法を実
行することを勧める。ここでは,導入的な意味で1次関数の場合について学ぶ。
以前には、自分でプログラムを作り 小二乗フィット(Least-squares fit)をやってい
たし、現在でも複雑な関数フィットは自分でプログラムを作って行うのである。
○1次関数( bxay += )による最小二乗法
実験をして、( 11 , yx ), ( 22 , yx ), ( 33 , yx ),... ( nn yx , ) の n 対の測定値を得た時に、
この実験データに 適な1次関数を求めたい(この実験データの x と y の関係が、1次
関数で表されると考えられることが前提であるが)。その1次関数を次のように表すとしよ
う。 bxay += (1) そして、もし a ,b が分かったとすると,各測定点 ix に対する ibxa + を計算すること
39 40
ができる。この値は理論的に計算した値なので, ix に対する測定値 iy とはズレがあるで
あろう。そのズレ(残差)を iΔ と書くと、次のように表される。
)(
)()(
)(
333
222
111
nnn bxay
bxaybxaybxay
+−=Δ
+−=Δ+−=Δ+−=Δ
(2)
y = a +bxyi
a +bxi
xi
a
Δ i
y
xO
このズレ(残差)は、正負にばらつくであろう。そこで,その二乗を用いてズレの大きさ
を考えることにする。 小二乗法は、このズレの二乗の合計(カイ二乗、2χ )(「残差
の二乗の和」)が 小になるように、 a とb を決める方法である。そうして決められた直
線は も測定値に適している(フィットしている)と言える。そこで、この2χ を計算す
ると、
( ){ }∑∑==
+−=Δ=n
iii
n
ii bxay
1
2
1
22χ (3)
となる。この2χ を 小にする条件は、この式の a ,b による偏微分が 0 となれば良い
ので、
( ){ }
( ){ }∑
∑
=
=
=+−−=∂∂
=+−−=∂∂
n
iiii
n
iii
bxayxb
bxaya
1
21
2
02
02
χ
χ
(4)
が成り立つ。この式を次のように書き直すと、a とb の連立方程式であることがはっきり
する。
∑ ∑∑
∑ ∑∑
= ==
= ==
+=
+=
n
i
n
iiii
n
ii
n
i
n
ii
n
ii
xbxayx
xbay
1 1
2
1
1 11
1 (5)
これを解くと, a ,b は次の式で与えられる。
図 1次関数の最小二乗法によるフィット
41 42
⎟⎠
⎞⎜⎝
⎛−
Λ=
⎟⎠
⎞⎜⎝
⎛−
Λ=
∑ ∑ ∑
∑ ∑ ∑ ∑
= = =
= = = =
n
i
n
i
n
iiiii
n
i
n
i
n
i
n
iiiiii
yxyxnb
yxxyxa
1 1 1
1 1 1 1
2
1
1
(6)
ここで,
2
1 1
2∑ ∑= =
⎟⎠
⎞⎜⎝
⎛−=Λ
n
i
n
iii xxn である。
このようにして ba, がきまり,測定点を も良く表す1次関数は
bxay += (1) となるので,測定データの無いところでも,計算して推測が可能となるのである。
・パラメータ a ,b の誤差
切片 a ,勾配b の平均二乗誤差について,結果のみを示しておく。
( )21
2
1
2
−Λ
Δ=
∑∑==
n
xn
ii
n
ii
aσ
( )21
2
−Λ
Δ=
∑=
n
nn
ii
bσ (7)
ただし, ( )iii bxay +−=Δ である(既に求めた a ,b を用いて計算する。)
この式にある∑=
Δn
ii
1
2を計算しておく。
( ){ }∑∑ +−=Δ=
2
1
2ii
n
ii bxay
⎟⎠
⎞⎜⎝
⎛−+−++= ∑ ∑ ∑∑ ∑
= = == =
n
i
n
i
n
iiiii
n
i
n
iii xabyxbyxbnay
1 1 11 1
2222 2 (8)
課題4-1
式(5)を解いて,式(6)を導け。
課題4-22 別にある課題と同じであるが,手計算あるいは Excel で計算することで,
理解を深める。
温度を変えて銅線の電気抵抗を R を測定して、次の結果を得た。
T(℃) 19.1 25.0 30.1 36.0 40.0 45.1 50.0
R(μΩ) 76.30 77.80 79.75 80.82 82.35 83.90 85.10
R と T の関係を ( )TRR α+= 10 として, 小二乗法によりフィットして, 0R とαを決定せよ。上で導いた式により,電卓を用いて計算してみよ。あるいは, Excel で計算
する手順を考えて実行せよ。
また,Kaleida Graph を用いて,グラフを作り。回帰曲線メニューでフィットして, 0Rとα を求めて,同じ結果が得られることを確かめよ。
41 42
KaleidaGraph4.0 の使用法メモ 2007.4.20nk
2007年度より,高度情報化基盤センターの教育用システムが更新された。それに伴
って,KaleidaGraph も Version 4.0 となり,物理実験室のPCにインストールされて
いるVersion と異なっている。主な違いをまとめておく。
0.データ,グラフの保存のときの注意
物理実験室のPC利用を考慮して,「KGraph3.5 と互換となるように」保存すること。
・データを保存する場合:
[データを別名で保存]から,[ファイルの種類]を「KGraph3.5 Data (*.QDA)」と指
定して保存する。保存するホルダー,保存するときのファイルの名前などを指定すること。
・データを保存する場合:
[グラフを別名で保存]から,[ファイルの種類]を「KGraph3.5 Plot (*.QPC)」と指
定して保存する。保存するホルダー,保存するときのファイルの名前などを指定すること。
1.グラフを描く [ギャラリー]→[線形]→[折れ線グラフ]
データを元に,グラフを描く場合,この授業ではこのグラフのみ使用。他は,段々に
使えるようになる。横軸(x 軸)にどのパラメータ(変数)をとり,縦軸(y 軸)にどの
パラメータをとるかを指定して,[新規プロット]する。
2.[プロットメニュー]→[プロットオプション]ダイアログ
描かれているグラフのマーカーの太さ,線幅などを変更する。あまり使わないかも。
○「デフォルト」というのは,初期設定値の意味で,その都度設定する必要がないよう
に予め設定を決めておくことやその値のこと。
43 44
3.[プロットメニュー]→[変数設定]ダイアログ
上にある[変数設定]タブを選んだときは,描いたグラフについての設定で,プロットの
変数,y軸に選んだ変数毎に以下の項目が設定できる。
・マーカー:マーカー(マーク)の種類を変更
・マーカーサイズ:マーカーの大きさを変更(ポイント数で与える)
・マーカーの表示:実験データをプロットする時は[全て],計算値をプロットするとき
は,[なし]あるいは[ ]を選びます。
・塗りパターン:棒グラフの時に,棒にパターンをつけるためです。
・スタイル:線の種類(実線,点線など)
・幅:線の太さ
・カラー:線とマーカーの色
[プレビュー]をクリックすると,どうなるか確認できます。
[デフォルト]をクリックすると,選んだ設定が「デフォルト」(初期設定値)になる。
上にある[回帰曲線設定]のタブを選ぶと,回帰曲線について,同様な変更が可能となる。
45 46
4.[プロットメニュー]→[軸オプション]ダイアログ
[X], [Y], [X2], [Y2],[すべて]タブで,対象とする軸を選ぶ。当面[X], [Y]を使用すれば
よい。
[極限]では,プロットしたグラフの横軸,縦軸の最小値,最大値などを変更できる。
・縦軸を対数で表示したいときは,スケールから選んで,変更する。
・左側の項目を選んで,設定を変えるとどのようになるか,試してみよ。
[目盛りとグリッド]は,グラフの目盛りの取り方とグラフの中に描く細い線(グリッド,
網線)の取り方を変更できる。見やすいグラフにするのに有効である。
5.データウィンドウのツールバーについて
データウィンドウの上部にツールバーがある。そのアイコンの説明を以下に示す。
「マスク」の意味は,外したいデータを除外する機能がある。例えば,対数表示したい
ときデータ値が0や負の数があると表示できないので,その場合は,マスクする。
その他のアイコンをクリックしたときの機能は,試して見てほしい。
マスク
添付ノート
プロットの更新
列の形式
列の挿入
列の追加
行の挿入
行の追加 マスク解除 昇順のソート
降順のソート
統計
マスクの反転
47 48
6.[データメニュー]→[列の形式]ダイアログ
データ列に関する設定ができる。この図ではBカラム(列)を選択している。文字「B」
の代わりに温度,計数値などと名前をつけることができる。それは文字「B」をクリック
するとカーソルがでるので書き換えることができる。その文字のフォントを修飾する部分,
列の幅,数値の揃え方,色を変える部分,数値の型,表示形式を変える部分に分かれてい
る。
49 50
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