32
景観の作法 周辺景観との関係性
22周辺の建築物との相互関係の中で、建物のスカイラ
インの連続性や通りの統一
感を確保する。
田住商工重景観形成基準
● a屋根の方向や形・高さをそろえると通りにまとまりができる。
平入り住戸の連続
●背景の山容や周囲の家並みに馴染んだ形態とする。
20山並み等、周辺自然景観と調和する形態や、周囲の
家並みとの親和性 (馴染んでいて親しみ易いこと )に配慮した形態とする。
田住商工重景観形成基準
地域旧来の住戸形式が生む農村らしい風景
背景の山容に合った勾配屋根
2-3形態意匠
● a屋根の勾配、向き、高さがそろうと家並みがまとまる。
21周辺の建築物との相互関係の中で、建物のスカイラ
インの連続性や周囲の家並
みとの親和性に配慮した形
態とする。
田住商工重景観形成基準
【木曽町】
● b中高層の建物スカイラインをそろえ家並みをまとめる。
連なるスカイライン
【スペイン】
一定の共通様式を持つ勾配屋根住戸群
生き生きとまとまった景観
各戸ファサードの独自性
生き生きとまとまった景観
とりどりの屋根色
33
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
● bビルの上層階セットバック (圧迫感軽減 )や周辺と合った飾り屋根・低層階意匠で、通りの統一感を確保する。
上層階をセットバックした形態
飾り屋根
隣接住戸に合わせた和風の意匠
23低層階 (軒のラインなど道に面した一定の高さまで )を統一したデザインにする。
田住商工重景観形成基準 【岡山県倉敷市】
●1、2階の軒高や胴部高、モード (様式 )をそろえて街並みにまとまりをつくる。
【ドイツ】
同じ軒高の連なり
伝統的な和の様式
同じ高さの 1・2階胴部の連なりガラス開口部の大きな 1階形式
胴部
34
景観の作法 24-1松本城周辺については、
城址風致地区の景観に合っ
た形態にする。
24-2中町については蔵を意識した外観にする。
24-3高砂町については城下町のたたずまいを活かした
和風建築様式を基本とする。
田住商工重景観形成基準
●城や蔵を意識したデザインで、周辺との関係性を保つ。ただし単純なデザインの置
換えをしないこと。
25周辺の基調となる景観と調和のとれたデザインとす
る。
田住商工重景観形成基準
●建物及び外構部のスペース ・緑化の総体に目配りをし、圧迫感がなくゆったりとし
た景観が連なるように努める。
『図』と『地』
景観の見え方は、認識されやすいものとしての『図』と、認
識されにくいものとしての『地』が相補的に関係する中から生
まれます。『図』は『地』の中から浮かび上がる形として認識さ
れます。人は景観を見る際、地や図の『反転(地への注目)』や『階
層性(図の中の部分へのさらなる注目)』などの視認行為を重ね
て、対象景観のイメージを心の中に結んでいくのです。
したがって、『地』となるべき部分にあまりにも鮮やかなデザ
インがあると、『地』として変換することが困難となり、本来『図』
としての視対象が霞んでしまい、全体景観は台無しになります。
また、『図』としての調和が取れた建物群の中に、突出して大
きな建造物や派手な色彩があると、それ自体が一つの『図』(図における階層の発生 )として認識されてしまい、やはり街並みの景観は台無しになります。
○左右の建物に視
線が注がれると、
道路部分 (黄色着色部 )は「地」となります。
○視点を移し、右
側の建物に注目す
ると、先ほどまで
図であった左側の
建物も「地」とな
ります。
目立たぬ色 ・大人しいデザインの壁
広々とした緑化スペース
蔵を意識した意匠の現代建築
35
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
温泉地の景観
歴史ある温泉地がもつ風情を大切にし、訪れる旅人のイメージを壊さない、景観づくりが求められます。
以下では、来訪者の満足感を高める温泉地の4つの景観対象のあり方と、そのために必要な配慮事項につい
て述べます。
環境型景観●敷地境界には十分なスペースや緑の配置
●ランドマークや山並み眺望を阻害せぬ高さ ・
配置
●地域の個性や様式を共有し、突出性を抑えた
デザイン (形態意匠 ・色彩 ・素材 ・外構 )
・・・等で景観的統調感を確保
温泉地の環境型景観
に浸れる場所では、
景観的統調感を形成
できるよう努める。
通りの景観●通りの壁面線や沿道植栽部のそろえ
●通りの建物スカイラインや低層部のそろえ
・・・等で景観的連続性を確保温泉地街では、ぶら
ぶら歩きを誘う景観
的連続性が形成され
るよう努める。
辻の景観●広場や四季を楽しむ植栽地としての角地整備
・・・等で散歩客に滞留の場 ・鑑賞の場を提供温泉地の辻や角地は
通りの景観や印象を
区切る場として相応
な姿となるよう努め
る。
添景物●控えめだけれど印象的な ”地域の素材やモ
チーフを使用した添景物、サイン ”配置
・・・等で温泉地の地域らしさを表象温泉地の風情を高め
る添景物のデザイ
ン・配置に努める。
サインもその一つに
加える。
【山形県天童市】SDA奨励賞:(社 )日本サインデザイン協会HP
※添景:57ページトピック「添景 ・点景」参照
36
景観の作法
建築物自体の意匠性
26建築物の正面デザイン (形状、規模、素材、色彩、植栽等総合的デザイン ) に配慮し、統一感の中にも表
情のある公共空間形成につ
ながるたたずまいを目指す。
田住商工重景観形成基準
蔵をモチーフにしたデザイン
立体的なデザインで表情を作る
● a造形的なデザインや色彩の工夫で表情を作る。
向かいの伝統的建物に呼応したデザイン
向かいの伝統的建物
● bゲーブル (切妻壁、立ち上り壁 )で表情を作る。
37
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
● a視線の通るリングシャッターを用いる。
27店舗等のシャッターは、閉店時の景観に配慮しシー
スルー化等で遮へい感の緩
和を図る。
田住商工重景観形成基準
リングシャッター
● b閉店時使用の雨戸を周囲に馴染んだ意匠とする。
周囲に馴染む雨戸
● c植栽により、エントランスの表情を作る。
玄関前の植栽で潤いのある表情になる
玄関前の植栽
和風植栽で表情がエレガントな土蔵店舗
38
景観の作法
●勾配屋根と軒の出が農村集落に合った家並みを守る。
28屋根は原則として勾配屋根とし、適度な軒の出を有
するものとする。
田住商工重景観形成基準 勾配屋根
軒の出
新設 既存 (土蔵 )
隣接土蔵に合わせたデザイン
● a地域様式に沿ったデザインで風土に馴染んだ印象とする。
29伝統的な地域様式や和風を意識した形状、デザイン
にする。
田住商工重景観形成基準
農村部に合った和風形態
● b周囲の伝統的な建物に呼応したデザインとする。
30地域特性のある意匠を活用する。
田住商工重景観形成基準
伝統のなまこ壁伝統様式に呼応したデザイン
なまこ壁をモチーフにした舗道
● a地域の伝統様式をモチーフにデザインする。
39
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
31和風のデザインを尊重し、城下町のイメージや歴
史的なモチーフを活用する。
田住商工重景観形成基準
和のデザイン
街区特性 ”蔵と大正ロマンの混在 ”の表現
● a街区の歴史的な特色をデザインに反映する。
古典的ビルデザインの継承
● b城のイメージをデザインに反映する。
松本城をモチーフにしたデザイン
● b地域全体の成り立ちや性格を反映したデザインにする。
【和歌山県高野町】
寺町の商店街の地域性を意識した店舗外観
地域・歴史資源のあまりに単純な形態への置き換えは、
品格を失うので避けるようにします。
(写真は単純な形態への置き換え例 )
デザインモチーフ活用時の注意
40
景観の作法
角部のラウンディング
● c壁面を分節し、圧迫感をなくす。
使用素材を変えての壁面分節
● d植栽を施し、圧迫感をなくす。
【東京都目黒区】
大きな建物と樹木によるバランス良いたたずまい
● b壁面にガラス素材を使い、圧迫感をなくす。
反射率の少ないガラス素材壁面
● a建物に穏やかな曲線を入れ、威圧感、圧迫感をなくす。
32道路から見た場合、圧迫感を与えないようにする。
広大な壁面では、分節等意
匠上の工夫や植栽を施し、
圧迫感を避ける。
田住商工重景観形成基準
壁面の丸みづけ (ラウンディング )
41
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
33店舗併用住宅は、一般住宅と景観的に調和した形態
とする。
田住商工重景観形成基準
住宅部
店舗部
●周辺住宅との家並みを意識し、突出した外観は避ける。
店舗併用住宅一般住宅 一般住宅
【軽井沢町】
42
景観の作法
●スカイラインとして映える形に建物上端部を整える。
屋上設備 ・建物スカイライン
●壁面上端をすっきりと立ち上げ、屋上設備を遮へいする。
34スカイラインを構成する建物上端をまとまりのある
デザインとする。
田住商工重景観形成基準
スカイラインとして映える上端部
35屋上設備等を設ける場合は遮へい措置を行う。その
場合、壁面を立ち上げるな
ど建物と一体化したデザイ
ンとする。
田住商工重景観形成基準
36屋上設備等は原則として設けないが、設置の場合は
ルーバー等で遮へいするか、
外部から目立ち難い位置に
配置するなどの措置を行う。
田住商工重景観形成基準
建物の色と合う壁面による屋上部遮へい
ルーバー
ルーバーとは羽板 (はいた:細長い板 )や羽板状の金属製具を平行に組んで並べたものの総称です。羽板の角度によって目線の遮断や日よけ、雨よけ、通風、換気などの目的で使用されます。
●屋根部分と同化した囲いで屋上設備を遮へいする。
屋根と同化した木製囲い
【軽井沢町】
43
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
● b室外機等住宅付帯設備の遮へいを建物と同化する形で行う。
室外機を木製の格子の囲いで遮へい
表通りの換気扇を木製の囲いで遮へい
● c人目につきやすい表通りでは、サイズは小さくても露出は避ける。
付帯設備 ・付属施設
37屋外階段、配管類等の付帯設備は極力目立たないよ
うにし、建築物本体との調
和を図る。
田住商工重景観形成基準
● a屋外階段をルーバー等で覆い、建物本体との調和を図る。
ルーバー+壁で覆った階段部と建物の一体化
ガラス壁面で覆った階段部と建物の一体化
44
景観の作法
● f周囲の街並みや壁面と一体化させる。
彩度を落とした
消火栓壁面と同化させ
た設備の覆い
壁面と同化させた郵便受け
壁面色と調和させた雨どい
【岐阜県高山市】
● d配管類等の付帯設備はできる限り集約し、外壁と馴染む素材や色彩を用いる。
外壁裏側に集約・
同化した
付帯設備
外壁に同化した階段ルーバー
【東京都目黒区】
● e機器類格納用の収納箱を建物本体と呼応するデザインで設置する。建物のアクセントにもなる収納箱
45
第 2章 景観形成の作法 2-3形態意匠
高さ ・配置
形態意匠
色彩 ・素材
外構デザイン
夜間景観
土地の改変
工作物
地域別一覧
● b比較的大きなゴミ置き場は、建物本体との一体化と同時に周辺環境との調和にも配慮する。
【木曽町】
周辺の街並み
ごみ置き場
形態意匠に関するその他の景観形成基準
行為制限事項 景観区域 景観形成基準建築物
形態意匠
建築物自体の意匠性
39建築物として、意匠全体のバランスに配慮し、まとまりのある形態とする。
屋上設備 ・建物スカイライン
40屋上設備等は設けないようにする。田住商工重
田住商工重
● a車庫を主屋と一体化する。
38付属施設 (車庫、物置等 )は建築物本体と一体的なデ
ザインとする。
田住商工重景観形成基準
主屋 車庫
主屋 ・車庫一体デザイン
【東京都目黒区】
団地本体と同じ外壁材のゴミ置き場
シャッターで普段は遮へい
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