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eizojoho industrial 110 June 2016 Topics DJI JAPAN株式会社 新製品発表会を開催 さる4月25日(月)、DJI JAPAN株式会社は、世代空 撮プラットフォーム「Matrice 600」(以下、M600) の新製品発表会を開催した。 発表会では、同社代表取締役 呉 韜(ご とう)氏が登 壇し新製品の説明を行った。 M600は、D JIの新製品であるA3フライトコントロー ラと統合され、高いフレームレートと最大距離5km でのHDライブストリーミング機能を提供する、最新の Lightbridge 2映像配信技術を備えている(※日本での 伝送距離は3.5km)。 またM600は、最大積載重量6.0kgの6ロータシステ ム。安定した空撮映像の提供にはあまり適していなかっ たZ15シリーズ、Zenmuse Xシリーズのカメラを含む DJI Zenmuseジンバルの全シリーズ向けの理想的なシ ステムである。さらに、M600はDJI最新の3軸手持ち 型ジンバルシステム、Ronin-MXを飛行させることも可 能である。M600の推進システムは、メンテナンスが簡 単な防塵設計で、耐久性も向上している。また、モータ が能動的に冷却されるため、より信頼性の高い飛行を実 現する。ランディングギア部分は格納式で、360度全方 向遮ることなく撮影することが可能である。 M600は、DJIインテリジェントバッテリ6個で電力供 給される。仮に6個のうち1個のバッテリに不具合が生じ ても、カスタマイズされたバッテリ管理システムと配電 ボードの技術により、ボタンを押すだけで6個のバッテ リをオン/オフすることができ、フライトが維持される。 同機はZenmuse X5カメラを搭載して36分間、RED EPICのような大型カメラであれば16分間の飛行が可能 である。 A3フライトコントローラとの統合性 M600が際立っている点は、A3フライトコントロー ラとの統合性である。正弦波駆動とインテリジェントは 電子速度制御により、M600プラットフォームは正確か つ安全、そして効率的な飛行を実現する。自己適応型の フライトシステムが、様々な積載量をベースにパラメー タを自動調整する。GNSSユニット3個と慣性計測装置 (IMU)3台からのセンサデータを比較する最新の診断ア ルゴリズム機能を備えたA3 Proシステムにアップグ レードも可能。 A3のGNSSシステムは、オプションでDJIリアルタイ ムキネマティック技術(RTK技術)にもアップグレード できる。この技術は、商用の緻密な設定での飛行において、 センチメートル単位の正確な位置調整を実現する。その ため、空撮映像は映画のように細部にわたって再現され る。RTK技術は磁気干渉にも耐えることが可能。 M600は、DJI GOアプリをサポートする。アプリには、 ライブビデオフィード、バッテリと冗長性状況、送信強 度など、常にユーザにフライトの状況を伝えるための情 報が含まれている。さらにアパーチャーへのアクセス、 シャッタスピード、Z e n m u s e Xシリーズのカメラで撮 影された写真と映像、Zenmuse X5とX5Rカメラのリ モートフォーカスも提供される。 M600は、DJI Onboard Software Development Kit(SDK)およびMobile SDKと互換性のある最高品 質の開発プラットフォームとして、様々な産業用アプリ ケーションを開発することが可能である。また、ガイダ ンスセンサーシステム、D-RTK GNSSユニットやサー ドパーティ機器も含めたDJIのデバイスを接続するため のデュアルパラレルCANポート、APIポートを装備して いる。 M600の小売価格は、520,000円。詳細な情報や技 術的なスペックについてはウェブサイトを参照(http:// www.dji.com/jp/product/matrice600)。 DJI JAPAN株式会社 http://www.dji.com/ja 新製品発表をする呉 韜 氏 「Matrice 600」

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eizojoho industrial110︱June 2016

TopicsDJI JAPAN株式会社

新製品発表会を開催

 さる4月25日(月)、DJI JAPAN株式会社は、世代空撮プラットフォーム「Matrice 600」(以下、M600)の新製品発表会を開催した。 発表会では、同社代表取締役 呉 韜(ご とう)氏が登壇し新製品の説明を行った。 M600は、DJIの新製品であるA3フライトコントローラと統合され、高いフレームレートと最大距離5km※までのHDライブストリーミング機能を提供する、最新のLightbridge 2映像配信技術を備えている(※日本での伝送距離は3.5km)。 またM600は、最大積載重量6.0kgの6ロータシステム。安定した空撮映像の提供にはあまり適していなかったZ15シリーズ、Zenmuse Xシリーズのカメラを含むDJI Zenmuseジンバルの全シリーズ向けの理想的なシステムである。さらに、M600はDJI最新の3軸手持ち型ジンバルシステム、Ronin-MXを飛行させることも可能である。M600の推進システムは、メンテナンスが簡単な防塵設計で、耐久性も向上している。また、モータが能動的に冷却されるため、より信頼性の高い飛行を実現する。ランディングギア部分は格納式で、360度全方向遮ることなく撮影することが可能である。 M600は、DJIインテリジェントバッテリ6個で電力供給される。仮に6個のうち1個のバッテリに不具合が生じても、カスタマイズされたバッテリ管理システムと配電ボードの技術により、ボタンを押すだけで6個のバッテリをオン/オフすることができ、フライトが維持される。同機はZenmuse X5カメラを搭載して36分間、RED EPICのような大型カメラであれば16分間の飛行が可能である。

A3フライトコントローラとの統合性 M600が際立っている点は、A3フライトコントローラとの統合性である。正弦波駆動とインテリジェントは電子速度制御により、M600プラットフォームは正確か

つ安全、そして効率的な飛行を実現する。自己適応型のフライトシステムが、様々な積載量をベースにパラメータを自動調整する。GNSSユニット3個と慣性計測装置

(IMU)3台からのセンサデータを比較する最新の診断アルゴリズム機能を備えたA3 Proシステムにアップグレードも可能。 A3のGNSSシステムは、オプションでDJIリアルタイムキネマティック技術(RTK技術)にもアップグレードできる。この技術は、商用の緻密な設定での飛行において、センチメートル単位の正確な位置調整を実現する。そのため、空撮映像は映画のように細部にわたって再現される。RTK技術は磁気干渉にも耐えることが可能。 M600は、DJI GOアプリをサポートする。アプリには、ライブビデオフィード、バッテリと冗長性状況、送信強度など、常にユーザにフライトの状況を伝えるための情報が含まれている。さらにアパーチャーへのアクセス、シャッタスピード、Zenmuse Xシリーズのカメラで撮影された写真と映像、Zenmuse X5とX5Rカメラのリモートフォーカスも提供される。 M600は、DJI Onboard Software Development Kit(SDK)およびMobile SDKと互換性のある最高品質の開発プラットフォームとして、様々な産業用アプリケーションを開発することが可能である。また、ガイダンスセンサーシステム、D-RTK GNSSユニットやサードパーティ機器も含めたDJIのデバイスを接続するためのデュアルパラレルCANポート、APIポートを装備している。 M600の小売価格は、520,000円。詳細な情報や技術的なスペックについてはウェブサイトを参照(http://www.dji.com/jp/product/matrice600)。

DJI JAPAN株式会社http://www.dji.com/ja

新製品発表をする呉 韜 氏 「Matrice 600」

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eizojoho industrial 111June 2016︱

Topics小田原城天守閣に“デジタル掛軸(D-K)”

 小田原城天守閣リニューアルオープン記念イベントとして、“デジタル掛軸(D-K)”が披露された。昨年の7月から行われていた天守閣の大改修が終わり、5月1日(日)に小田原城はリニューアルオープンした。記念事業の一環として各種イベントが実施されたが、その目玉が“デジタル掛軸”であった。 小田原城の東と南の2面に100万の絵柄を連続投影し、生まれ変わった小田原城天守閣をきらびやかに浮かび上がらせた。 デジタル掛軸(D-K)は、映像アーティストの長谷川 章 氏が、1995年に創作した技法である。静止画と静止画の間をプログラムが補完することで、連続する静止画がゆっくりと変化するように創られた映像表現である。その映写対象は、小田原城のような歴史遺産などの建築物、自然そのものという独自の表現法である。これまでにパルテノン神殿をはじめとする世界遺産など250箇所で実施されている。

 最大の特徴は、メッセージ性を排除していることである。D-Kを見て何かを感じ取るのは、あくまでも見る側であるということである。長谷川氏は、長年CM映像やテレビ番組のタイトル映像を手掛けてきたというが、その対極に位置する発想を構想の根底に据えたところがなんともユニークであり、同氏のこだわりである。 D-Kには、時間に拘束されている現代人に自分の「間」を取り戻してほしいとの願いもこめられている。時間に縛られず、ゆったり移ろう映像からは、見る人のそれぞれの心に何かが生まれる。そのように見る人にゆだねら

れる世界をD-Kは演出している。 いろいろな建築物をはじめとする立体物に投影を行うプロジェクションマッピングとは、似て非なるものである。 会場では、長谷川氏と撮影技術を担当された宝塚大学の渡邉哲意准教授にお話を伺うことができた。 この映像の変化する時間は地球の自転する回転速度になっており、何億年とかかって培われた人間のDNAのリズムが甦るという。基本となる静止画はすべて長谷川氏の手によるもので、これまでに100万枚描いたそうだ。川の水と同じように、一期一会、移ろう絵は二度と同じものは流れないというのが原則である。 また、富山県国際伝統医学センターへの委託研究では、脳(前頭葉 前前頭野表面)や筋肉(僧帽筋)の酸素代謝が、30分間のD-Kと白色光とで明らかに異なることが判明し、唾液中IgA(ストレス度と同時に口腔内免疫機能の指標)濃度や、尿中セロトニンや尿中ノルアドレナリン排泄、脳波所見などで明らかに有意差が認められたという。 今回、プロジェクタは12台使用された。このくらいの規模になるとプロジェクタは12台が基本といえる。1面は4台が普通だが、今回は6台で映し出していた。「難しいのはレンズの画角の距離だけで、そこに入ればそれほど問題はありません」と渡邉先生。しかし、実は小田原城でのD-Kは初めてではない。2年前に行われ今回が2度目。その時は、新幹線から見えるようにと城の4面をすべて映し出した。城の下部は林に設置したプロジェクタから、上部の天守閣は道路を隔てた100mほど離れた遊園地から超望遠の10,000ルーメンで投影したとそのときの苦労を語ってくれた。

P.27参照

P.27参照

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eizojoho industrial112︱June 2016

Topicsアストロデザイン プライベートショー2016開催

アストロデザイン株式会社は、来る2016年6月16日(木)、17日(金)に本社(大田区南雪谷)にて、例年恒例の「アストロデザイン プライベートショー 2016」を開催する。開催概要は次のとおり。

日  時:2016年6月16日(木)・17日(金)     10:00 ~ 17:30会  場:アストロデザイン 本社ビル     東京都大田区南雪谷1-5-2     ※東急池上線「雪が谷大塚」駅より徒歩2分セミナー:後日、招待状、ホームページにて告知。*入場無料

【主な出展機器】■8K• 8Kスーパーハイビジョンンカメラ[AH-4801-B]• 8K SSDレコーダ[HR-7518] 新製品• 55インチ 8K液晶モニタ[DM-3814] 新製品• 8K-DGフル解像度 8Kコンバータ[SC-8215」 新製品

• デジタルビデオ信号発生器[VG-876]■HDR• 4Kウェーブフォームモニタ [WM-3206-A]■MMT• MMT-SI、TVL-SIエディタ [SP-5018] 新製品• MMTシミュレータ [SP-5017] 新製品■4K• 4K低遅延切り出し回転装置 [GP-4020] 新製品■2K• フルHD高解像度ビューファインダ [DF-3515] 新製品■HDMI• HDMI2.0a/HDCP2.2プロトコルアナライザ [VA-1842]• HDMIテスタ [VA-1844] 新製品

この他、多数の新製品・新機能を展示。

アストロデザイン株式会社http://www.astrodesign.co.jp/

Topicsオン・セミコンダクター社製PYTHONセンサを搭載した

8つのBasler ace新モデルの量産を開始 Baslerは、2.3メガピクセル、5メガピクセルの解像度に対応した8つのace新モデルの量産を開始した。これら8つの新モデルが加わり、オン・セミコンダクター社製新型PYTHONセンサやソニー社製センサPregiusシリーズを搭載したaceシリーズカメラは28機種となる。これらのカメラでは、コンパクトなボディの中に高性能な最新グローバルシャッタCMOSセンサが搭載されており、優れたコストパフォーマンスを実現している。8つの新モデルは最大150fpsのフレームレートと独自のPGI機能を備えており、いずれもGigE Vision、USB3 Visionに 対 応 し て い る( 詳 細 情 報:www.baslerweb.com/new-ace)。 Baslerは、産業、リテール、医療機器、交通システムなど幅広い分野で使用されているデジタルカメラの製造で業界をリードするグローバル企業である。業界のニーズに合った製品設計をモットーに、優れた画質はもちろん、取り付けが簡単でコンパクトなカメラを提供す

ることで、高いコストパフォーマンスを実現している。1988年の設立以来、25年以上にわたりマシンビジョン業界に従事してきたBaslerは、約500名の従業員を有し、アーレンスブルクの本社のほか、米国、シンガポール、台湾、中国、日本、韓国にも拠点を展開している。

Basler [email protected]://www.baslerweb.com/jp