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地球惑星科学Ⅱ (1) 大気の構造と地球の熱収支 (2) 地球大気の循環 (3) 大気の運動 (4) 大気の熱力学と雲・降水形成過程 (5) 海洋の組成と構造 (6) 海洋の循環 (7) 地球環境変動 (8) 宇宙とその進化 (9) 太陽系の成り立ちと運動 (10) 惑星と衛星 (11) 太陽 (12) 宇宙空間 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~shw/space2/

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地球惑星科学Ⅱ (1) 大気の構造と地球の熱収支 (2) 地球大気の循環 (3) 大気の運動 (4) 大気の熱力学と雲・降水形成過程 (5) 海洋の組成と構造 (6) 海洋の循環 (7) 地球環境変動 (8) 宇宙とその進化 (9) 太陽系の成り立ちと運動 (10) 惑星と衛星 (11) 太陽 (12) 宇宙空間 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~shw/space2/

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断熱加熱・断熱冷却

熱力学の第一法則(エネルギー保存則)

dWdQdU

断熱膨張 ⇒ 断熱冷却

dU

dQ

dW

内部エネルギー変化

外部から加えられた熱量

外部にした仕事

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ウェーゲナー(Alfred Wegener)(1911年) ●水は融点(0℃)以下でも液体のままである(過冷却) ●氷の粒(氷晶)が空気中にあると,その氷の粒は水蒸気を引き寄せる. したがって,氷晶と水滴が同時に存在したら,水滴は蒸発し氷晶が成長する.

水または氷

飛び出す水分子

飛び込む水分子

飛び込む水分子と飛び出す水分子の数が同じとき => 平衡状態

平衡状態の水蒸気量 =飽和水蒸気量(飽和混合比)

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空気中の飽和水蒸気圧(飽和混合比)は気温できまり,この値を超える分圧を有する水蒸気は安定して存在できない. 飽和混合比は気温の上昇とともに急激に増加する.これが地球温暖化を加速させる要因の一つと考えられている.

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水蒸気で飽和した湿潤空気が断熱的に上昇すると,乾燥空気と同様に気温は低下する.気温の低下とともに飽和混合比も低下するため,水蒸気の一部が凝結して潜熱が放出される(凝結加熱).湿潤断熱減率は乾燥断熱減率より小さくなる.

空気の密度は温度に比例. 空気が周囲より暖かければ上向きの浮力を受ける.

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乾燥断熱減率

湿潤断熱減率

露点温度:水蒸気を含む空気を冷却したとき凝結が始まる温度

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濃霧

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雲凝結核(海塩粒子や硫酸イオンなど)

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中谷宇吉郎(1900~1962) 1936年3月12日,北海道大学で人工雪を世界で初めて作った. ウサギの毛を結晶の核として用い,器具の中で水蒸気を対流させて雪を作り,雪の結晶の形が気温と湿度によって変わることを明らかにした.

雪は天からの手紙である

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温度計

温度計

ヒーター

顕微鏡で見る

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中谷ダイアグラム

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遠心力

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熱帯低気圧で最大風速(10分平均の風速の最大値)が17.2m/sを超えたものが台風 熱帯低気圧は,海水面温度が26~27℃以上,コリオリ力がある程度大きい緯度5~25°で発生する.

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寒気吹き出し

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積乱雲(雷雲,入道雲)

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問題

乾燥断熱減率,湿潤断熱減率,潜熱という単語を用いて,雲の生成について述べなさい.

乾燥断熱減率

湿潤断熱減率

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Global Lightning Frequency

(Flashes/km2/year)

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スプライト

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1998/10/23 Galileo

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May 12, 1997 Galileo

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問題

地球で雷が頻繁に発生する場所は,中低緯度の大陸や島が多く存在する場所である.その理由を述べよ.