IECおよび NEMA規格の押しボタン

IECおよび NEMA規格の押しボタン

目次 はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3

侵入保護 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3NEMAタイプ定格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .4IEC IP定格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .4

電気的な性能 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5IEC電気的な定格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5NEMA電気的な定格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5

パネル穴のサイズ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .7

オペレータの形式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .8

構造 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .9

組立ておよびパッケージ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .9

パネルの密閉 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .9

接続端子 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .10

フィンガーセーフ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .10

結論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .10

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

はじめに 工業生産のグローバル化に伴い、電気機械のオペレータインターフェイス装置の形式および性能規格の統一が進められてきました。この統一は、押しボタン製品の設計にも顕著に表れています。

よくある誤解は、ヨーロッパで製造または設計されたオペレータは、当然 IEC押しボタンであるという考えです。その他にも、IEC押しボタンは IECの国々でのみ製造されているという誤解もあります。いずれも真実ではありません。反対に、すべての NEMAオペレータが、米国とカナダで設計、製造、または販売されているわけでもありません。

真実は、IECと NEMA定格装置の従来の目標市場が、それぞれヨーロッパと北米であったということです。このような従来の市場は、製品製造、製品サポート、製品販売のグローバル化に伴って拡大しつつあります。

産業用オペレータインターフェイス装置は、侵入防止、電気的性能、パネルの開口サイズ、形式の 4つの一般的特長で表されます。この後、IECと NEMAのオペレータ設計への取り組み方の違いを、それぞれの規格の面からより詳しく検討することにします。

侵入保護 IECと NEMAのどちらも、エンクロージャに関して個体または液体の侵入に対する保護等級を定義しています。IECの侵入防止 (IP)と NEMAタイプの定格は、侵入定格エンクロージャに取付けられる押しボタン製品を含めて推定されています。エンクロージャに設置されているオペレータを含めた押しボタンステーションが、侵入テストの対象になります。侵入テストを正常終了した時点で、メーカは、その押しボタンを適切な IPまたは NEMAタイプ定格にリストします。

IP定格は、水または固体異物の侵入に対する装置の耐性を評価します。さらに、IP定格は、帯電部品および可動部品との接触からの人体の保護も指定しています。

一般的な NEMAタイプ定格では、汚れ、粉塵、水の噴霧、塩水の噴霧、油の噴霧、冷却水との接触、錆の蓄積に対する装置の耐性、さらには雨、みぞれ、雪、氷、および腐食からの保護レベルを評価します。

表 A.～表 C.に、IEC IPと NEMAタイプの両方の定格についてまとめて示します。詳細は、対応する規格を参照してください。

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

NEMAタイプ定格

表 A. 屋内の危険でない領域用エンクロージャの特定アプリケーションの比較(NEMAの著作権付き出版物「NEMA規格 1-10-1985」より )

(1) これらのエンクロージャは換気されているものとします。ただし、タイプ 1は、エンクロージャ上部に換気孔が設けられている場合、降下煤塵の小粒子に対する保護効果がないことがあります。製造メーカにお問い合わせください。

(2) これらの繊維や毛くずは、無害な物質で、クラス IIIタイプの引火しやすに繊維または可燃性毛くずとは見なされません。クラス IIIタイプの引火しやすに繊維または可燃性毛くずについては、NEC(米国電気綱領 )のセクション 500-6(a)を参照してください。

IEC IP定格

表 B. 先頭の数値で表される保護等級 (IEC規格 60529より、使用許可済み )

(1) この表の列 2の「簡単な説明」は、保護の形式を指定するために使用することはできません。説明の要約としてのみ使用してください。

(2) 先頭の数値が 3と 4の場合は、この表のアプリケーションを排水孔や換気口のある装置に適用するかどうかは、関連する専門委員会の責任になります。

(3) 先頭の数値が 5の場合は、この表のアプリケーションを排水孔のある装置に適用するかどうかは、関連する専門委員会の責任になります。

以下の環境条件に対する保護等級エンクロージャのタイプ

1 (1) 2 (1) 4 4X 5 6 6P 11 12 12K 13

密閉型装置への偶発的な接触 X X X X X X X X X X X落下煤塵 X X X X X X X X X X X液体の滴下および軽度の飛沫 X X X X X X X X X

粉塵、糸くず、繊維、毛くず (2) X X X X X X X X

水の噴流および飛沫 X X X Xオイルおよび冷却液の漏出 X X Xオイルまたは冷却液の噴霧および飛沫 X腐食物質 X X X一時的な浸水 X X継続的な浸水 X

先頭の数値

保護等級

簡単な説明 (1) 定義 (規格の第 3条を参照 ) テスト条件 (下位条項を参照 )

0 保護なし 特に保護されていない。 テストなし1 50mmを超える個形物体に

対する保護• 手など、人体の表面積の大きな部分 (ただし、故意に接近した場合は保護しない )

• 直径 50mmを超える個形物体

7.1

2 12.5mmを超える個形物体に対する保護

• 指先、または長さが 80mmを超えないそれと類似した個形物体• 直径 12.5mmを超える個形物体

7.2

3 (2) 2.5mmを超える個形物体に対する保護

• 直径または厚さが 2.5mmを超える工具、ワイヤなど• 直径 2.5mmを超える個形物体

7.3

4 (2) 1.0mmを超える個形物体に対する保護

• 厚さが 1.0mmを超えるワイヤ、破片など• 直径 1.0mmを超える個形物体

7.4

5 (3) 塵保護 粉塵の侵入を完全には防護できないが、装置の正常な動作に支障をきたすほどの量の粉塵は内部に侵入しない。

7.5

6 防塵 粉塵が内部に侵入しない。 7.6

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

表 C. 2番目の数値で表される保護等級 (IEC規格 60529より、使用許可済み )

(1) この表の列 2の「簡単な説明」は、保護の形式を指定するために使用することはできません。説明の要約としてのみ使用してください。

電気的な性能 押しボタンは、侵入定格だけでなく、電気的な性能規格による制約も受けます。IECおよび NEMAのいずれの定格装置も、IEC 60947-5-1および NEMA ICS 5, パート Iに規定されているテストに合格していなければなりません。性能規格については、2つの規格でかなりの部分が重複しています。例えば、どちらも連続電流、電圧、および接点のメイク /ブレークエネルギーを指定しています。

IECと NEMAの接点定格にはかなり重複があるので、ほとんどの押しボタンメーカは、ACおよび DCで使用する際の IECおよび NEMA両方の電気規格に従って、装置を二重定格しています。

IEC電気的な定格

IEC 60947-5-1は、定格動作電流、電圧、およびメイク /ブレーク状態に関する力率を定義しています。AC接点および DC接点の両方に対して、正常および異常な状態の値を指定しています。

NEMA電気的な定格

NEMA ICS 5, パート Iは、サーマル電流容量、最大電流、およびメイクとブレークVA定格の連続テストの結果に基づいて接点の電気的な性能を分類しています。

ACと DC接点定格の意味を、表 D.～表 F.に示します。

NEMA定格は、接点の最大性能を確立しています。最小エネルギーレベル性能に関しては、IEC規格と NEMA規格のいずれも、これを潜在的な重要変数として考慮していないので、接点製造メーカに相談する必要があります。

2番目の数値

保護等級

簡単な説明 (1) 定義 (規格の第 4条を参照 ) テスト条件 (下位条項を参照 )

0 保護なし 特に保護されていない。 テストなし1 水の滴下に対する保護 滴下 (垂直に落下する水滴 )によって有害な影響を受けない。 8.12 垂直から 15°以内の傾度で

滴下する水に対する保護エンクロージャが正常な位置から 15° 以内の範囲で傾斜したとき、垂直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。

8.2

3 噴霧水に対する保護 垂直から 60°以内の角度の噴霧により滴下する水によって有害な影響を受けない。

8.3

4 水の飛沫に対する保護 いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない。 8.45 噴流水に対する保護 いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない。 8.56 波浪に対する保護 波浪またはいかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影

響を受けない。8.6

7 一時的な浸水に対する保護 規定の圧力および時間でエンクロージャが水中に没しても、有害な影響を受けない。

8.7

8 継続的な浸水に対する保護 製造メーカによって規定される条件に従い、継続的に水中で使用できる装置。注：通常、この装置は完全に密閉されていることを意味します。ただし、特殊なタイプの装置に関しては、水が侵入したとしても、有害な影響を受けないという場合もあります。

8.8

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

表 D. 使用カテゴリに基づく接点定格の定義例 (IEC 60947-5-1より、使用許可済み )

(1) この文字は従来のサーマル電流を示し、ACまたは DCかを示します。例えば、Bは 5 A ACを意味します。この文字に続く数字は、定格絶縁電圧を意味します。

表 E. 50/60Hzのときの AC制御回路接点用の定格値とテスト値 (NEMAの著作権付き出版物「NEMA規格 ICS 5-2000, パート 1」より )

定義 (1)使用カテゴリ

従来のサーマル電流 Ithe (A)

定格動作電圧 Ueのときの定格動作電流 Ie (A) VA定格

AC 120V 240V 380V 480V 500V 600V メイク ブレーク

A150 AC-15 10.0 6.0 — — — — — 7200 720A300 AC-15 10.0 6.0 3.0 — — — — 7200 720A600 AC-15 10.0 6.0 3.0 1.9 1.5 1.4 1.2 7200 720B150 AC-15 5.0 3.0 — — — — — 3600 360B300 AC-15 5.0 3.0 1.5 — — — — 3600 360B600 AC-15 5.0 3.0 1.5 0.95 0.75 0.72 0.6 3600 360C150 AC-15 2.5 1.5 — — — — — 1800 180C300 AC-15 2.5 1.5 0.75 — — — — 1800 180C600 AC-15 2.5 1.5 0.75 0.47 0.375 0.35 0.3 1800 180D150 AC-14 1.0 0.6 — — — — — 432 72D300 AC-14 1.0 0.6 0.3 — — — — 432 72E150 AC-14 0.5 0.3 — — — — — 216 36

定義 (1)使用カテゴリ

従来のサーマル電流 Ithe (A)

定格動作電圧 Ueのときの定格動作電流 Ie (A) VA定格

DC 125V 250V 440V 500V 600V メイク ブレーク

N150 DC-13 10.0 2.2 — — — — 275 275N300 DC-13 10.0 2.2 1.1 — — — 275 275N600 DC-13 10.0 2.2 1.1 0.63 0.55 0.4 275 275P150 DC-13 5.0 1.1 — — — — 138 138P300 DC-13 5.0 1.1 0.55 — — — 138 138P600 DC-13 5.0 1.1 0.55 0.31 0.27 0.2 138 138Q150 DC-13 2.5 0.55 — — — — 69 69Q300 DC-13 2.5 0.55 0.27 — — — 69 69Q600 DC-13 2.5 0.55 0.27 0.15 0.13 0.1 69 69R150 DC-13 1.0 0.22 — — — — 28 28R300 DC-13 1.0 0.22 0.1 — — — 28 28

NEMA接点定格

サーマル連続テスト電流 (A)

最大電流 (A)VA

120V 240V 480V 600V

メイク ブレーク メイク ブレーク メイク ブレーク メイク ブレーク メイク ブレークA150 10 60 6.0 — — — — — — 7200 720A300 10 60 6.0 30 3.00 — — — — 7200 720A600 10 60 6.0 30 3.00 15 1.50 12 1.20 7200 720B150 5 30 3.0 — — — — — — 3600 360B300 5 30 3.0 15 1.50 — — — — 3600 360B600 5 30 3.0 15 1.50 7.50 0.75 6 0.60 3600 360C150 2.50 15 1.5 — — — — — — 1800 180C300 2.50 15 1.5 7.50 0.75 — — — — 1800 180C600 2.50 15 1.5 7.50 0.75 3.75 0.375 3 0.30 1800 180D150 1.00 3.60 0.60 — — — — — — 432 72D300 1.00 3.60 0.60 1.80 0.30 — — — — 432 72E150 0.50 1.80 0.30 — — — — — — 216 36

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

表 F. DC制御回路接点用の定格値とテスト値 (NEMAの著作権付き出版物「NEMA規格 ICS 5-2000, パート 1」より )

パネル穴のサイズ

産業用押しボタンの標準パネル穴サイズには、16mm, 22.5mm, および 30.5mmの 3種類があります。16mmおよび 22.5mm仕様はヨーロッパで考案され、30.5mmサイズは北米で広く受入れられました。今日では、すべてのサイズが世界中で受け入れられています。穴のサイズは、IEC規格では指定されていますが、NEMA規格では指定されていません。

16mmまたは 22.5mmオペレータのメリットは、サイズがコンパクトなことです。小型のオペレータによりスペース要件が削減されることで、パネルスペースの節約に繋がることも珍しくありません。パネルの使用可能領域が削減される傾向が続いていることから、30.5mmの装置にかわり、16mmまたは 22.5mmのオペレータの使用が増えています。

もう一方で、30.5mmオペレータは、パッケージが大きくなるので、追加の内部コンポーネントを入れるスペースができます。一般的な認識では、より大きな30.5mm押しボタンは、22.5mm押しボタンより頑丈であると考えられています。大型の押しボタンに共通する金属製コンポーネントのほとんどがこの認識を裏付けています。しかし、堅牢性は、穴サイズだけではわかりません。22.5mmと30.5mmの装置の堅牢性には、変わらない部分もあります。

NEMA接点定格 サーマル連続テスト電流 (A)

最大メイクまたはブレーク電流 (A) 300V未満の VAのときのメイクまたはブレーク125V 250V 301～ 600V

N150 10 2.20 — — 275N300 10 2.20 1.10 — 275N600 10 2.20 1.10 0.40 275P150 5 1.10 — — 138P300 5 1.10 0.55 — 138P600 5 1.10 0.55 0.20 138Q150 2.50 0.55 — — 69Q300 2.50 0.55 0.27 — 69Q600 2.50 0.55 0.27 0.10 69R150 1 0.22 — — 28R300 1 0.22 0.11 — 28

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

図 1.

表 G. 取付け穴の直径とキー用窪みの寸法 (ある場合 ) (IEC 60947-5-1より、使用許可済み )

オペレータの形式

オペレータの形式に関しては、特別な IECまたは NEMA規格はありません。したがって、押しボタンの特性には、もっぱらメーカや顧客の好みが反映されています。図 2.に、多数ある形式の例を紹介します。

図 2.

サイズ 取り付け穴の直径φd(mm)

キー用窪み (ある場合 )

高さ h (mm) 幅 b (mm)D30 30.5 +0.5/0 33.0 +0.5/0 4.8 +0.2/0D22 22.3 +0.4/0 24.1 +0.4/0 3.2 +0.2/0D16 16.2 +0.2/0 17.9 +0.2/0 1.7 +0.2/0D12 12.1 +0.2/0 13.8 +0.2/0 1.7 +0.2/0

最大 =0.8mm

IECおよび NEMAのどちらの押しボタンも、幅広い種類のオペレータ形式で市販されています。一般的な形式の規格は、構造、組立てとパッケージ、パネルシーリング、および接続端子です。

NEMA型 IEC型

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

構造 従来、米国のオペレータの製造メーカの多くは金属製コンポーネントの大部分を格納する設計を推奨していました。重工業アプリケーションには、一般的にダイキャスト構造が受入れられてきました。多くのユーザは、コストが高くなるにも関わらず、頑丈な設計を選択していました。

ヨーロッパの設計には頑丈な構造は少なく、プラスチック製のコンポーネントの使用が主流でした。これは、アプリケーションが、一般的な要件を上回る保証を求めていなかったからです。

今日では、多くの製造メーカが、金属製と非金属製のコンポーネントを使用した多種多様な押しボタンを提供しています。この豊富な種類の中から、重工業、軽工業のどちらのアプリケーションでも、顧客はそれぞれのニーズに合わせて、注文することができます。

組立ておよびパッケージ

IEC型と NEMA型のオペレータは、従来、組立ておよびパッケージの方法が異なっていました。

NEMA型の押しボタンは、通常、パネル穴より小さなボタンキャップを使用します。NEMA型装置の設置は、取付けリングを取り外す、オペレータを挿入してパネル内部からガスケットを密閉する、前面から取付けリングを締める、フィールド配線するという手順で行ないます。

一部の製造メーカでは、オプションとして、オペレータ、ランプ、レンズおよびボタンキャップ、電源モジュール、接点ブロックなどを、現場での取付け用に別個のパッケージとして提供しています。

IEC型の押しボタンの一般的な特長は、ボタンキャップが、それを取付けるパネルの取付け穴より大きいことです。設置の際には、オペレータをパネル前面から挿入し、パネル内部から固定します。その後、接点ブロックと電源モジュールをパネル内部のオペレータに取付けます。工場で装置を組み立てた場合、設置および配線の前にユーザが分解する必要があるため、IEC型の押しボタンは、組立て済みの完成品として販売されることはめったにありません。

パネルの密閉 前述のように、IEC型オペレータは、パネル前面から挿入し、背面から固定します。一般的に、IEC型の侵入シーリングガスケットは、パネルの前面にあります。通常、レジェンドプレートやロックアタッチメントなどのアクセサリには、防水シールを保持するためのガスケットを追加する必要があります。

それに対して、NEMA型の押しボタンにはパネル内部にパネルシールが存在しています。適切に設置した場合、レジェンドプレートやロック用アクセサリを追加しても、パネルシールを損なうことはありません。

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

接続端子 IEC型と NEMA型のいずれの押しボタンにも、幅広いワイヤ接続オプションがあります。多くの押しボタンは、接点やランプ端子への電気接続を行なうために、圧力プレート付きねじ式コネクタ、バレル端子、またはスタブコネクタを使用しています。スプリングクランプ技術は、標準のねじ込み式にかわる方法として、次第に受入れられています。

図 3.

多くのヨーロッパ製装置のねじ端子は、3mm (0.118インチ )のマイナスドライバーの刃に対応しています。一般的な北米製装置は、6.4mm (0.25インチ )のマイナスドライバーの刃に対応しています。市場の要件に押されて、製造メーカは、マイナス、プラス、ポジドライブの各ドライバーに対応するねじ端子を用意しています。

フィンガーセーフ

IEC IP2Xエンクロージャ定格カテゴリでは、バック・オブ・ハンド・セーフおよびフィンガーセーフ接続を定義しています。IEC 60529は、高制御電圧や可動部分に、露出した人体が直接接触することから保護する配線端子の要件を定義しています。適切に被覆部を除去して被覆端子にワイヤを接続するのは、IP2X規格に準拠していると見なされます。

NEMA電気および侵入規格では、フィンガーセーフやバック・オブ・ハンド・セーフについて取り上げていません。その結果、NEMA適合装置には、最大限の接近や可視性を許すオープンな終端を持つものも珍しくありません。しかし、IEC規格が適用されている市場向けの製品に関しては、一部の NEMA型装置にも IP2X機能が組み込まれていたり、現場で設置可能なフィンガーセーフ用アクセサリに対応しているものもあります。

結論 本書では、産業用押しボタンの違いを、NEMAおよび IEC規格に沿った電気規格と侵入保護定格の関連から説明してきました。さらに、ヨーロッパと北米で設計、製造されたオペレータに一般的に見られる穴サイズおよび形式の協定についても取り上げました。本書は、押しボタンに組み込まれる機能が市場の需要によって決定されることを示唆しています。最後に、純粋な IECまたは NEMAタイプの明確な例と考えられるオペレータは存在しないことを明らかにしておきます。

産業用押しボタンを選択するときは、確かな情報を得た上で、使用可能な装置に関して諸条件を検討して製品を選択する必要があります。この決定は、初期コストだけを基準にするのではなく、特定のアプリケーション要件を十分に考慮して行なう必要があります。押しボタンを選択する人は、決定過程の手がかりとして、幅広い種類の商品を提供しており、さまざまな性能規格や様式規格について完全に理解しているベンダーに相談するとよいでしょう。

IEC型と NEMA型の押しボタンのいずれにも、多くの接続方式を使用できます。上図に、圧力プレート (左 )およびバレル端子 (右 )を示します。

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IECおよび NEMA規格の押しボタン

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