先進的 IoT プロジェクト支援事業 - IPA ·...

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1 2016 情財第 301 号 先進的 IoT プロジェクト支援事業 テレコミュニケーション市場における分身ロボットの事業拡大モデル構築 成果報告書 委託先:株式会社オリィ研究所 担当メンター: 久保 渓 2017 年 9 月 29 日

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2016情財第 301号

先進的 IoTプロジェクト支援事業 テレコミュニケーション市場における分身ロボットの事業拡大モデル構築

成果報告書

委託先:株式会社オリィ研究所

担当メンター: 久保 渓

2017年 9月 29日

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目次

1. 要約 ........................................................................................................................................... 3

2. 背景および目的 .......................................................................................................................... 4

3. プロジェクト概要 ........................................................................................................................ 13

4. 実施内容 .................................................................................................................................. 21

5. プロジェクトの成果 .................................................................................................................... 80

6. 事業化に向けた課題と展望 ...................................................................................................... 81

7. 付録 ......................................................................................................................................... 84

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1. 要約

テレコミュニケーション市場における OriHime 利用促進のため、「存在感の伝達」が

できる機能の実装、ユーザーの利用実態の把握のためのヒアリング・個々の販売促進

などの営業活動、ユーザーの活用度の可視化のため Re:dash を利用してログ・利用頻

度をグラフ化、啓発資料の作成・活用により市場啓発活動を行った。テレビ・ラジオ局、

その他様々な媒体にて取り上げられることにつながる成果が見られた。

2017年 4月から総務省による”2020年に向けたテレワーク国民運動プロジェクト”を

皮切りに 2017年 7月には東京都が東京テレワーク推進センターを設立するなど、市場

でのテレワークへの関心が 4 月より急きょ高まった(9.付録(2)関連Webサイト参照)。

このため、本プロジェクトの更なる拡大を図るべく、販売パートナーの開拓を前倒しして

実施した。 結果成果としてレンタル台数目標対前年比 300%に対して 200%にとどまっ

たが、パートナーとして 2 社新規開拓(内 1 社とは契約まで実施)し、レンタル台数拡大

に向けての布石を打つことができた。今後の事業拡大を目指す。

既存の販売チャネルにない分野での取り扱いも開始するとともに、従来の分野での

普及協力者を得ることで障害者雇用のネットワーク、特別支援学校等への周知が始ま

った。

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2. 背景および目的

株式会社オリィ研究所は「孤独を解消する」ことをミッションに 2012 年に設立され

た。

もともとは、代表取締役吉藤健太朗や共同創設者の結城明姫が子供の頃病気な

どから長期入院・長期療養し、学校に行けない、家族と会えない、旅行に行けないとい

った「人と繋がることのできない孤独感」を経験したことがきっかけとなり、体が不自由

でも「行きたいところに行け、会いたい人に会え、社会に参加できる」ツールとして分身

ロボット OriHimeの開発を始めたことが弊社の前身となっている。

OriHime とは、カメラ、マイク、スピーカーを内蔵し、インターネットに接続することで

遠隔から操作ができる、操作者の「分身」となるロボットである。

人工知能を搭載したロボットとは異なり、OriHime というロボット自身が知能を持っ

て喋ることはないが、OriHime を操作する人は OriHime のカメラを通して周囲の様子を

見回すことができ、マイクを通して周りの声を聞くことができる。また、操作者本人の声

も、OriHimeのスピーカーから周囲に届けられ、腕を使ってジェスチャーで感情表現をし

たり、うなずいたり首を振ることで簡単に意思表示をすることもできる。

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【OriHime概要図】

図 1 OriHime概要

ロボットというと「人工知能」を搭載しているように考える人も多いが、OriHimeには人

工知能の機能は一切搭載させておらず、勝手に喋ったりすることはない。あくまで、「操

作者としての分身」の機能に集中している。

OriHime(プロトタイプ)は、会社設立前〜設立初期は入院中の子供や、母親に使わ

れることが多かった。

例えば、無菌室に入院している小学4年生の男の子に 1 週間の貸し出しを行った

ケースでは、自宅に OriHimeを置き、無菌室ないから PCを使って操作し、24時間つな

ぎっぱなしにしていた。

無菌室の制約から、OriHime を導入するまでは親でも1日2時間まで、兄弟は入室

すらできず、対象者の男子は非常に寂しい思いを抱えていたという。OriHime を家に設

置した後は、操作者の男子は、自由に家の中の様子を見渡し、家族が帰ってくると挨

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拶をしたり、一緒にテレビを見たりなど楽しんでおり、最終的には退院する3週間後まで

レンタルを延長して利用された。

また、同じく無菌室に長期入院している母親のケースでは、子供達が部屋に入る

ことができないことから、OriHime 導入前は、写真などを見ても寂しさが募るばかりであ

ると訴えていたが、OriHime を家に設置した後は、子供達の顔を自由にみておしゃべり

ができると喜び、家族も久しぶりに母親とコミュニケーションが取れることを喜び、

OriHimeを持って花見に行くなどもした。

【利用実例の写真】

<教育分野でのユースケース>

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図 2 利用者の実例写真

また、2013年〜2014年にかけては、病院内から使われるケースから派生して、遠隔

で学校に通うケースも増えてきた。

例えば、特別支援学校に入って院内文教室(院内学級)で授業を受けている児童

が、体調の悪化からベッドから動けなくなってしまった時、OriHime を教室に置き遠隔で

授業に参加したり、課外学習に参加するなど、学びの機会や種類を増やすために利用

されている。

他にも、入院によりもともと通っていた学校から転校を余儀なくされた児童が、

OriHime を以前通っていた学校に設置することで、元々のクラスメイトとコミュニケーショ

ンを取り、復帰の精神的ハードルを下げるためなどにも使われている。

教育期間での利用と並行するように、難病患者による利用も増加した。

吉藤の知人が ALS 患者であったことをきっかけに、ALS など手足が動かせない人

でも OriHime を操作できるように目線で操作可能な操作デバイスを開発し、意思伝達

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機能も付与し、OriHime eye として製品化を行った。

OriHime eye プロトタイプが出来た頃より、難病など重い肢体不自由を持った方が

OriHime を使うケースが増え、難病患者からの OriHime に限らない様々な相談や要望

を受けるようになった。

その要望の中で、最も強かったものが「働きたい」という声だった。

その後、OriHime の利用を検討していた企業から、子育て中の母親などのテレワ

ークに力を入れて行きたく、OriHimeがテレワークツールとして使えるのではないかとの

声をいただいた。

「身体的理由、距離的理由、環境的理由から行きたいところに行けない、社会に参

加できない」という点で、障害者であろうと、子育て中であろうと、抱えている課題は共

通と考え、「テレワークツールとしての OriHime」の開発に着手した。

当初はパソコンに接続して利用する形にて製品を提供していたが、顧客によって

は「場所を取るため設置がしづらい」、「同僚の手を煩わせてしまうため、セッティングす

ることが困難」とのフィードバックがあった。

また、会議室の移動などの持ち運びにも、パソコンがあると邪魔だとの声もあった

ことから、持ち運びしやすく、場所を取らず、設置の簡単な一体型の OriHime の開発の

必要性が高まった。

また、ソフトウェア面でも、スケジュール機能や、ログなども求められるようになり、

顧客ニーズを満たす仕様の開発が必要となった。

さらには、事業フェーズとしても、少数の先行的導入者(イノベーター/アーリーアダ

プター)から、幅広い利用者に広めていくことが課題となる時期でもあり、その拡大にお

いても社内での議論はもちろん、社外専門家も交えた議論や戦略立案が望ましいと考

えた。

それらの理由から、技術開発・事業開発両面の加速を目的に本プロジェクトを発

足し、IPAの支援を受けるに至った。

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2016 年ビジネス向けに OriHime を展開し、難病・遠隔教育市場を中心に有償レンタ

ルで提供してきたが、会社の受付やテレワークなど、テレコミュニケーション市場での関

心も出始めてきた。テレコミュニケーション市場は、対象人数 550 万人、市場成長率

9.8%/年と他の市場(難病(74 万人、成長率 0%)、遠隔教育(12 万人、成長率 2%)より規

模・成長率ともに大きい。総務省、東京都など官庁、自治体において認知度向上のた

めの取り組みが行われているが、次ページからの資料にあるようにテレワークへの関

心は高まりつつあるがその普及や認知度の向上は必須でその広がりは限定的である

とともに、テレコミュニケーション市場を支えるに十分な機器の開発が遅れている実態

がある。少子高齢化で労働人口の減少が明らかである中、労働力率引き上げのカギを

握る働き方改革が必至であり、それを支えるテレコミュニケーション市場の拡大、充実

のため本プロジェクトの重要性は高い。そこでテレコミュニケーション市場のための機

器開発を行うことにより市場の充実を図り、同時に市場啓発活動を行い、認知度改善

を図っていくことでテレコミュニケーション市場の継続的な成長に資する活動を目的とし

ている。

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図 3 総務省資料-テレワーク導入状況

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図 4 総務省資料-テレワーク導入効果

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図 5 総務省資料-テレワーク認知度

図 6 総務省資料-テレワーク実施意向1

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図 7 総務省資料-テレワーク実施意向2

3. プロジェクト概要

株式会社オリィ研究所(以下、当社という。)では、オ

フィスに出社して勤務することが困難な人(病気により

外出困難な方、子育て中の母親、親の介護中の方な

ど)が、あたかも実際に出勤したかのように存在感を

確保するツールとして、OriHime を開発・販売してい

る。

OriHime とは、カメラ、マイク、スピーカーを内蔵した

遠隔操作ロボット(図8)であり、使用者は、遠隔地から

操作できる。例えば、当該ロボットを勤務先の職場に

設置し、自宅にいる使用者が操作することで、自宅に居ながら周囲を見回したり、人と

会話したりすることが可能となる。

図 8 OriHime製品イメージ

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図 9 OriHime機能概要

OriHime は、2015 年 7 月より本技術を必要とする人(独居高齢者約 1000 万人、病気

による不登校児童約 5 万人、入院患者約 120 万人)に向け、意思伝達手段として 100

人を超える方に提供し、次のような好評価を得ている。

【ユーザコメント】

・ 入院中家においた OriHimeを通して家族と一緒にテレビを見られた。

・ 病院で、学校で、家族で、笑い合ったり、ケンカしたり、感謝したり。OriHime を通

して繋がりの環が広まっています。

・ ノルウェーでは ALS末期患者の在宅医療は困難であり、施設に隔離されてしま

います。OriHime に出会ってからは、闘病中も、2 児の父親としての役割を楽しく

振舞えるようになり、子供たちも大喜びです。

・ OriHime はただコミュニケーションの機会を増やすだけでなく、介護施設入居者

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の社会性の向上にも繋がると感じています。

・ 海外に住んでいたわたしは、もともと頻繁な OriHime ユーザーでした。日本が恋

しくて寂しい思いをしていたなか、OriHimeを通じて親友に会い、新しい友達を作

り、そして日本に帰るきっかけをもらいました。

難病、介護分野で OriHime を提供し高評価をいただいている分野であるが、次ページ

からの総務省算出の資料にあるように一人暮らし高齢者の推移は今後継続して増加

することが予想されている。また、不登校等の理由で長期学校を休む小中学生の数も

全国的に増加傾向にある。このようにこれらの分野での普及も継続していくことも重要

として認識している。

図 10 一人暮らし高齢者の動向

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図 11 不登校児童の状況

現在は、ビジネス向けに OriHime の展開を開始し、難病・遠隔教育市場を中心に有

償レンタルで提供しており、会社の受付やテレワークなど、テレコミュニケーション市場

での関心も出始めてきた。テレコミュニケーション市場は、対象人数 550 万人、市場成

長率 9.8%/年と他の市場(難病(74 万人、成長率 0%)、遠隔教育(12 万人、成長率 2%)よ

り規模・成長率ともに大きい。

ただし、OriHime は「福祉機器」との認識が強く、テレコミュニケーション市場での認知度

が低い。また、OriHime は、簡単操作可能な卓上サイズの人型ロボットを用いた「存在

感の伝達」が特徴であるが、市場からの以下のフィードバックに対応し、「存在感の伝

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達」について更なる改善が重要となる。

【テレコミュニケーション市場からのフィードバック】

・「OriHimeをパソコンに接続するのが煩わしい」

・「機器のモーター動き」「操作方法」でより存在感を感じられるようにして欲しい

このため、本プロジェクトは、OriHime のテレコミュニケーション市場への普及に向け、

次の項目を課題として実施していく。

① 「存在感の伝達」のための開発

② 製品およびビジネスモデルの改良のための評価指標確立

③ 市場での認知度向上(市場啓発)

図 12 プロジェクト概要

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【成果目標】

OriHime の改良、評価指標の策定、市場啓発を通じて、テレコミュニケーション市場に

おける事業拡大モデルを構築する。

具体的には、遠隔教育・難病支援を除く、テレコミュニケーション市場における

OriHime の 2017 年 9 月末時点における有償レンタル契約台数を、2016 年 9 月末の

300%とする。(既存製品+改良版の合計数に対する目標)

有償契約台数

前年比3倍

存在感伝達のた

めの開発

市場啓発

(営業活動)

評価指標の策

図 13 成果目標

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4. 実施内容

本プロジェクトで実施した内容を以下明確にする。

4.1 存在感伝達のための開発

OriHime のコアバリューである「存在感の伝達」を高める為の機能を検討し、以下の項

目を実施した。

表 1 存在感伝達のための開発における実施内容

No 計画 実施内容

1 存在感を伝える音質の実現

(基盤やマイク配置を含めた外装

の再設計)

・ 外部マイクによるモーター動作音の収音軽減

・ ノイズ調査、原因特定(プロセッサのWiFi電波)及び

対策(電波吸収シート設置)の実施

2 没入感を向上させるインターフェー

スの改良

・ 操作方法改善

・ 電波帯域によらない安定的な動作の実現

・ エラー率の低下

3 没入感の醸成のための環境確保 接続モードの設定

4 呼び出し機能の開発 ・ 呼び出し機能の実装

・ 操作者の呼び出し機能の開発

5 プロセッサ一体化 ・ モビリティの向上による新たなユースケースの掘り

起こし

・ 既存販売チャネル以外の販売網の獲得

以下各項目の実施内容の詳細を示す。

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4.1.1 存在感を伝える音質の実現(基盤やマイク配置を含めた外装の再

設計)

(1)当初課題

遠隔地にいる人を、OriHime を通じて認識するためには、「存在感」を効果的に伝達

することが重要と考える。

当初、ユーザーからのフィードバック、開発段階での指摘で以下を受けている。

・遠隔地の操作者側での環境音が収音され OriHime 本体から原因不明のノイズ

が発生し、コミュニケーションを阻害する要因となっていた。

・遠隔地の操作者側でも OriHime本体側での動作音やノイズにより円滑なコミュニ

ケーションが阻害されるというフィードバックが散見された。

このため、「存在感」の伝達をより効果的に実施するために環境音とのバランス、

ノイズ軽減、音声の発生する方向を明らかにすることを課題として認識した。

「存在感」をさらに伝達できるコミュニケーションを目指し、音質・音量ともに十分なマイ

クの設計・組み込み・評価試験を行う方向とした。

また、どちらから音が聞こえてきているのかなどが感知できるよう、複数のマイクを搭

載し、人間の声だけフィルタリングすることで、環境音は一定のまま「人の気配」を感

知・調整できるようにする。

研究のステップとしては、まずは部品の評価選定と仕様決定を行う。その後、決定し

た仕様において、既存のステレオマイクを組み合わせて機能が実現できる場合には内

製にて開発し、既存のステレオマイクが利用できない場合には外注を利用した開発を

行う。

ソフトウェア面では、音声フィルタリングやエコーキャンセリングなどのプログラミング

を行い、存在感の再現における品質向上に努める。

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最終的には、プロトタイプを作成し、存在感伝達の点における音質の評価を実施し、

製品版への実装を行うかどうかの意思決定をする方向とした。

(2)実施内容

課題に対してハードウェア、ソフトウェア両面より調査・検証を実施した。

<ハードウェア面の対応>

収音問題の対策として、はじめに既存の内蔵マイクを別のマイクに変更し調査・検

討を進めたが、OriHime 筐体内にマイクが存在するため、内部の動作音の収集は避

けられないことが判明した。

そのため、別の方法として既存内蔵マイクから外部マイクにする方向で検討を進め

た。この方法により効果的な環境、動作音の軽減に貢献すると考察した。

本方向で、外部マイクの製品評価を重ね、効果的に環境・動作音の軽減ができる製

品を選定し、プロトタイプの作成を行った。以下にプロトタイプの画像を示す。

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図 14 外部マイク

本プロトタイプにて評価を実施した結果、想定外のノイズが認識された。このため、

このノイズの特定に向け調査を実施した

この結果、後述するプロセッサ一体化により、プロセッサから発せられる WiFi 電波

の影響がマイクノイズの原因と想定された。これを受け、ノイズの原因調査を外部へ

依頼しノイズの原因が想定していた通り WiFi電波によるものであることを特定した。

外部マイク接続

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この調査結果を受け、まず、電波の影響を内蔵機器が受けないよう機器類の再配

置を行うことを検討した。しかし、OriHime 筐体内のスペースが限られていること、機器

の再配置のためには筐体内の機構設計を変更して内蔵機器の配置を変える必要が

あるため機構設計のコストが増加し、さらに対応には相応の時間がかかる為、軽減さ

れる音質改善の効果との費用対効果を検討したが、軽減される音質の改善の効果を

上回るコストが想定された。そのため、他の方法での改善を検討することが現実的と

判断した。

別の方法として電波の遮断でマイクへの影響を軽減できると考え、電波遮断の対策

しつつコスト面での配慮も行い OriHime 内部に電波を効率的に吸収するシートを入れ

ることで電波影響を遮断することで対応した。

下記の通り OriHime 筐体内に電波吸収シートを設置することによる WiFi 電波吸収

効果が確認された。下記のテスト結果ではノイズの強弱を計測しており赤と青は基本

的に同じ波形を示し、赤が拡大表示したものとなっている。波形が小さくノイズの発生

が効果的に抑えられている電波吸収シートを採用するための製品検証を実施した。

(環境設定概要)

同一環境にて各電波吸収シートの性能を確認した。1回目で効果が見られたサンプ

ルについては2回目の検証を行い効果の確実性を確認した。

(下図に各シートの評価を示す)

本マイクの対策により、OriHimeの音質が改善され、運用レベルにまで至った。

No OriHime タイプ 操作機 WiFi環境 電波吸収シートタイプ 回数 検証時間

1 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム 無し 1回目 14:57

2 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム SU03 1回目 16:46

3 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム GM075 1回目 17:08

4 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム SU05 1回目 17:24

5 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム SU01 1回目 15:50

6 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム PCF005 1回目 18:04

7 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム 無し 2回目 18:29

8 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム GM075 2回目 18:44

9 ZS No.282 iPhone 5S 社内ミーティングルーム PCF005 2回目 18:57

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図 15 電波シート適応時の検証

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<ソフトウェア面の対応>

今回のハードウェアでの対応は、外接のマイクによる音質確保であった。

当初は複数の内蔵マイクを活用した音質改善をソフトウェアにて対応予定であった

が、結果として外接マイクとなった。その後内部構造を再設計し内蔵マイクに対応する

ためには時間的にもコスト的にも本プロジェクトにマッチしないため、本ソフトウェア対

応は内蔵マイクの開発検討を待って着手することとする。

また、環境音についてはインターフェース改良により、通話時にアプリケーション内

のボタンを押している間のみ操作者の声が聞こえるようにし対応を図り環境音の収音

を最小限にした。

(3)実績、今後の取り組み

従来からの内蔵マイクを、外部マイクに切り替えたことによりモーター音が収音され

る課題は改善された。

環境音についてはインターフェース改良により対応を図ったため後述の「没入感を

向上させるインターフェースの改良」を参照。

一方、ノイズの除去が事業化にとって優先すべき課題であったことからノイズ除去に

上述のような各種対策を講じた。その結果 7 月のプロセッサ内蔵タイプのリリースとの

兼ね合いで今回は効果的な方法として外部マイクの採用を行った。

一方、ソフトウェア面での、音声フィルタリングやエコーキャンセリングなどのプログ

ラミングを行い、存在感の再現における品質向上については今回未実施。

本プロジェクトでは、コスト面、期間面から内蔵マイクでの対策は難しいことから、内

蔵マイクを前提としたソフトウェア施策は今回必要がなくなった。

本件 OriHime 内蔵マイクによる存在感を伝えられる音質の実現については、マイク

位置の改善等を継続して開発を行う。内蔵マイクの採用時には音声フィルタリングや

エコーキャンセリングなどのプログラミングを行い、存在感の再現における品質向上を

実施予定。詳細は後述する「事業化に向けた課題と展望」に記載する。

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4.1.2 没入感を向上させるインターフェースの改良

使用者がどのような状況で、まるで自分の体を動かす時と同じ没入感でOriHimeを動

かせるかについて研究する。試験的段階と実際の利用上の課題を認識して対応を検

討実施した。

試験的に、モーショントレース方式でのアクチュエーター操作およびヘッドマウントディス

プレイによる視界同期方式でのアクチュエーター操作について、試験システムを構築し、

その機能により、どれほど使用者の没入感が向上するかをフィールドワークで評価する方

向とした。

本件、モーショントレース方式、視界同期方式でのアクチュエーター機能について赤外

線センサーを利用したモーショントレース方式での OriHime 腕操作、ヘッドマウントディス

プレイを利用した OriHime 頭部操作と画像認識は有線接続状態での試験システムを構築

した。

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図 16 研究環境

検証結果、有線接続状態では動作、画像の認識に遅延はなく実用段階での採用の可

能性もあると考える。しかし、インターネット経由で実施した場合、画質・音質ともに安定的

な稼働に対して課題があることが判明した。

実用に向けては、インターネット環境が前提となり、OriHime ユーザーは子供から高齢

者、身体に何らかの障害を抱えている人までを想定しているため、運用レベルのコミュニ

ケーションが取れることはもちろんのこと、ユーザーが直感的でストレスなく使用できる必

要がある。

このため、この検証結果に基づき、基盤技術となる稼働の安定化についても対策する

ヘッドマウントディスプレイ アクチュエーター内臓

モーショントレース操作機器

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方向とした。

<試験的に開発した OriHime>

図 17 試験環境の OriHime

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4.1.3 没入感の醸成のための環境確保

没入感を向上さえるインターフェースの改良においてインターネット接続時の断続的な

接続が障害となっている。このインターネット接続時の稼働の安定性は、没入感の実現に

対しても必要である。

稼働の安定性について記述するにあたり、現状の OriHime システムの基盤部分ににつ

いて述べる。

OriHimeシステムは大別して2つのコンポーネントからなる。

・OriHime本体(分身ロボット部分)

・OriHime操作アプリケーション(Windows, iOS)

OriHime システムは、この 2 つのコンポーネントをネットワークで接続し、操作者が操作

アプリケーションを操作することで OriHime本体を動かすシステムである。

操作者は、OriHime本体からの画像を操作アプリケーションで参照する。また、音声は、

操作者から OriHime本体へ送付し、またその逆もある。

図 18 OriHimeシステム基盤部分

このシステム基盤に対する安定稼働を考えるにあたり、ユーザーのニーズやフィードバ

ックをベースに考える。以下にフィードバックの一覧を示す。

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表 2 稼働安定性への市場意見

# 項目 フィードバック

1 画像の必要度合 ・遠隔地に人がいない場合などもあり、はじめは画像のみで十

・全体を俯瞰してみる用途。人の存在がわかる程度で十分。

・相手側のプライバシーも確保したいので音声、動作のみで十

2 映像・音声 映像・音声の品質が悪い

3 動作 アプリケーションが異常終了する場合ある

4 ネットワーク ネットワークの帯域が狭い場合の対処が知りたい

5 エラー対応 初期設定ができない

ロボットが動作しない

(1)画像の必要度合いに応じた対応

従来の接続方法は 1 種類の通常モードのみであった。このため、インターネット環境に

合わせ、以下のようなモードを追加選択できるように対策した。

【通常の接続以外のモード】

HD画質:高精細度のビデオ通話可能なモード

SD画質:標準解像度でのビデオ通話可能なモード

低画質:画質を落として音声、動作を優先させたモード

音声のみ:音声、動作を優先させたモード

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下記操作者アプリケーション画面

図 19 画質設定画面

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(2)映像・音声の品質改善

上記各種モードを設定するとともにフィードバックの傾向分析を行い効果的な回答を事

前にホームページ上開示することで対応した。

映像・音声に影響する原因は、ほとんどのケースで良好なインターネット接続環境が得ら

れないことに起因している。対応策としてはインターネットの接続状態の確認頂くことと、

通信帯域が確保できない場合にはモードの切り替えを促す形とした。

映像、音声の品質が悪いとき、ほとんどの場合インターネット接続環境による差異となっ

ております。十分に品質の良いインターネット接続環境を確保していただくようお願い致

します。

SDモードでの接続をご利用いただくと、OriHime が利用する帯域が減少し、安定した通

話を行うことが出来ます。

ノイズ: マイク感度を上げているため、ある程度のノイズが仕様上発生する用になってお

ります。気になる場合は、操作端末の音量を下げるなどしてご対応下さい。

エコー: 通話の状況や長さによって、エコーが取り切れない場合がございます。気にな

る場合には、OriHime の設置側にて別のマイクデバイスを接続する、別のスピーカーデ

バイスを接続するなどのご対応をお願い致します。

ハウリング: OriHime と操作デバイスの距離が近い場合には、ハウリングが発生す

る場合がございます。十分に距離を取ってご利用下さい。

図 20 映像・音声に関する注意資料

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(3)アプリケーションの終了対応

アプリケーションが終了する不具合は OS として Windows を採用している際に発生する

ケースが多かった。これらの原因及び各問題の傾向を調査した結果、原因のほとんどが、

ウイルス対策ソフトウェアによる影響と判明した。この為、ウイルス対策ソフトウェアの除

外リストに OriHime Bizを設定することで当該不具合を解消する様ホームページ上で周知

を図った。

(4)ネットワークの測定、改善方法の明示

ネットワークが要因となるエラーについてフィードバックを収集、傾向分析し、必要な対

応をホームページ上にて公開することで周知を図った。原因のほとんどが通信環境に依

存するものであり、通信環境の改善を促した。

1. 通信環境の測定

1-1. OriHime 設置側の上り帯域幅を測定する

Windows PC でご利用の際に、アプリが勝手に終了して起動したままにできない

場合は、PCにインストールされているウイルス対策ソフトウェアによって動作を

阻害されている場合があります。

OriHimeは十分にセキュリティに気を配って設計されています[OriHime Bizのセ

キュリティについて]。ウイルス対策ソフトウェアの除外リストに OriHime Bizを

登録するなど、影響を受けないよう設定をお願い致します。

図 21 アプリケーション異常終了に関する注意資料

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システム上ビデオをリアルタイムに送信することから、OriHime 設置側インターネット接

続の上り帯域幅に対して大きな負荷が発生します。この時上り帯域幅が 0.6MB/sを下

回る場合、正常に通話が行えない可能性があります。

お使いの環境は、OriHime 設置側アプリケーションの「ネットワーク診断」機能にてご確

認いただけます。「設定」→「ネットワークの状態」→「診断する」をクリックしてください。

1-2. Pre-call Test

Pre-call Test (英語) を Google Chrome から実施することで、通信環境の状態を正確

に測定することができます。

測定結果の、Video 及び Audio のパケットロス率が 4%を超える場合、正常に通話でき

ない可能性があります。

2. ネットワークの改善

2-1. ネットワークの変更

ネットワーク環境が複数ある場合には、ほかのネットワークを利用することで改善が見ら

れる可能性があります。「有線 LAN」> 「無線 LAN」>「モバイルネットワーク(モバイル

ルータ含む)」の順に環境は悪化するため、特に常時接続などをお考えの場合は、

OriHime 設置側 PCを「有線 LAN」にてインターネットに接続していただく環境を最も推

奨しております。

2-2. WiFi の改善

十分な帯域を持った光ファイバーなどの有線接続が根元にあるWiFiを使って PCをイ

ンターネットに接続している場合にも、WiFiの帯域が十分に発揮できないことがありま

す。その際には、チャネルの設定や周波数の設定を可能な範囲で近くのネットワークと

重複しないよう変更してみることで、WiFiの電波干渉が減少し、帯域が広がる可能性が

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(5)エラー、不具合要因の改善

エラー率及びユーザーの利用を妨げる要因を調査・分析した。この結果、エラーの要因

は大きく 5つに分類できることが判明し、それら要因ごとに優先度を決めて改善をおこなっ

た。(下記主要なエラー原因、利用阻害要因とその対応を以下に示す)

表 3 エラー対策表

項目 要因 対策

① 通話切断 個別要因分析

② ロボットが動作しない ケース集積、個別対応

③ 初期設定できない 初期設定用動画制作

④ 設置が手間 設定手順書改定

あります。(これらの設定は、御社内のネットワーク管理者の責任の元で実施してくださ

い。)

2-3. モバイルルータの改善

モバイルルータで OriHimeをご利用の際には、最悪の場合どうしても接続できない状態

になることをあらかじめご了承ください。

電波を壁や窓などで遮断することを避けるため、屋内でのご利用の際にはできるだけ窓

の近くにモバイルルータを設置してください。環境が改善する可能性があります。

また、モバイルルータが発するWiFi電波の強度にも限りがあるため、PC と距離をとり

すぎないようにしてください。

その他、上記 2-2. WiFi の改善 に記載された情報を参照してください。特に 2.4GHz

と 5GHzのネットワークを選べるようであれば、周囲であまり使われていない方を選んで

ください。

図 22 ネットワークの注意資料

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① 通話切断

通話切断の要因は個別要因が大きく、状況次第で対応策が異なるため個々の状況を

把握して個別対応した。

また、エラーログを週次で確認し、営業担当者へ共有するというオペレーションを構築し

た。これによりユーザーから連絡が来る前に不具合を解消し、利用の継続率を向上さ

せることにより没入感を阻害する要因の軽減につながった。

② ロボットの動作に支障がでる要因は個別的な要因が大きく状況次第で対応策が異なる

ため個々の状況を把握して個別対応した。

まず、ケースを収集して頻度が高い不具合のケースの順に対応策の順位付けを行いマ

ニュアル化した。頻度が多い順に下記の順番に区分できる

・OriHime接続されている側の電源不足

・OriHime設置側、もしくは操作者側の通信容量不足

・設置側、操作者側のアプリケーションの不具合

・その他故障(断線、モータ交換、その他機器不具合)

上述の区分に従って対応を明確化して社内共有を実施した。

・電源接続状態の確認(設置側、操作者側)

・通信状況の確認、再接続(設置側、操作者側)

・設置側、操作者側アプリケーション再起動

・上述の対応で解決できない場合は何らかの機器故障の可能性が考えられるため個別

に回収、点検して修理を行うかどうか判断する。

③ OriHime ユーザーには遠隔コミュニケーションロボットが初見の方も多い。そのため、初

期設定が難しいというフィードバックとメール、電話等での個別対応が多かった。初期設

定の紙面説明書に加え、設定動画の作成を行い視覚面で直感的な設定ができるように

改善した。また、初期の機器登録、操作者登録において発送前に仮登録を社内で実施

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し初期設定作業の一部軽減を行った。これにより問い合わせ件数の減少が図れた。

④ 今回開発した OriHime は、プロセッサの一体化を実現したことから、モビリティ性の向上

が図られている。このため、OriHime を複数の場所で使用したり、移動中に使用するな

どのユースケースが多くなると想定している。

この場合、移動先での新たな設置や、設置者が初めて設定する人であることも想定し、

設定手順書(下記)の作成を行った。

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図 23 設定マニュアル

実績、今後の取り組み

電波の弱い地域での稼働については HD、SD、低画質、音声のみモードを設定して使

用が途切れない様、安定稼働を実現した。

頻発が想定される初期設定、再設置時の設定については、設定資料を改善することで

対応した。

なお、今回のフィードバックで OS として Android を採用した機器でも OriHimeを扱いたい

という意見が多数あった。Android への対応は継続して検討を行いユーザー数の増加が見

込まれる適切な時期に開発を進めていくこととする。

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4.1.4 呼び出し機能の開発

(1)当初課題

従来の OriHime はパソコンを接続し、そのパソコン内に OriHime 制御用アプリケーショ

ンを導入し、操作者の呼び出しも実現していた。

ただし、存在感の伝達力と没入感の向上を考えた場合、これらパソコン上のアプリケー

ションで実施していた機能は OriHime 本体に一体化させることが必要であり、今回プロセ

ッサーの一体化(後述)と共に呼び出し機能の OriHimeへの実装も実現する。

(2)実施内容

開発にあたり、あたかも「操作者がそこにいる」ような感覚で、OriHime 機体から操作者

を呼び出すことを目指し検討を行った。始めに呼び出し方式の検討を実施した。

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表 4 呼び出し方式の検討

案 項目 内容 ポイント

1 ソフトウェアスイ

ッチ方式

従来の呼び出しとの互換上実

装。

OriHime 設定アプリケーションに

ボタン追加

互換性の維持時

2 センサー方式 センサーに対して特定のジェスチ

ャーをすることで呼び出す方式

ジェスチャーを覚える必要

あり、老若男女共通使用に

課題あり。

3 マイク方式 マイクに対して特定の呼びかけ

や、ノックをすることで呼び出す

方式

特定の呼びかけやノック方

法を覚える必要あり、老若

男女共通使用に課題あり。

4 OriHime 本体へ

のボタン追加

視覚的に見えるところにボタンを

追加する方式

OriHime の対峙者への情

報量を最少にするシンプル

なデザインコンセプトに反

する

5 OriHime 本体の

既存ボタンの流

OriHime 本体の電源ボタンを呼

び出しボタンとして使用する

常時接続定着により電源

On/Off 運用が少なくなった

ため、ボタンの役割を変え

ることは問題にならない

網掛け部分は、今回採用した方式を示す。

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【解説】

<案 1>

ソフトウェアスイッチによる呼び出しを検討した。従来のパソコン内のアプリケーションか

ら呼び出しを行う機能と同じような運用ができるように、OriHime を設定する際に使用する

アプリケーション(アプリケーション名「OriHime 設定」)で呼び出しができるボタンを追加し

た。

<案2>

センサーによる呼び出しは、何らかのアクションを定義することになり、定義されたジェ

スチャーやアクションを呼び出す側の人が覚える必要がある。OriHime ユーザーは子供か

らお年寄りまでの幅広い年齢層を想定している。そのため、センサーを使用した場合のア

クションが直感的でなくユーザーの自然な使用を阻害する可能性がある、または機能自

体が認識されない可能性があるというユーザーの意見もあった。

<案3>

マイクへの呼びかけやマイクをノックすることでの呼び出し機能の実装も検討した。しか

し上述のセンサーと同じように直感的な利用ができないことや機能自体の認識がされな

いというユーザーの意見を解消できない。加えて、電力や通信帯域を節約するためにマイ

クアンプを必要に応じてオンオフするように設定していたが、マイクを活用した呼び出し機

能を実装した場合上述の効果を犠牲にする。

<案4>

視覚的に認識できるパーツやスイッチ等を活用したほうが機能を実装したことを明確に

使用者に認識させることができると仮定した。

OriHime は、デザインによる対峙者への情報量を減らすためシンプルなデザインとなって

いる。そのため、このデザインを変更して物理的に認識できるスイッチ等を付加することは

OriHimeによる「存在感の伝達」を行うという本来の目的から外れる結果となる。

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<案5>

OriHime 背面には従来電源として設置されたボタンがある。これは、パソコン接続やプ

ロセッサ一体型になった際に常時接続が OriHime の特徴として認識された際に電源スイ

ッチによるオンオフを行うニーズが軽減していた。そこで電源機能の代わりに呼び出しス

イッチとしての機能を割り当てた。OriHime 筐体デザインのうち唯一の物理的なスイッチで

あることから視覚的、物理的に認識されやすく、従来のデザインから付加するものではな

いことから「存在感を伝達する」という本来の目的も阻害せずに機能の認識が容易になっ

た。

(下記呼び出す機能を実装した個所イメージ)

<呼び出しスイッチ>

動作音が鳴るまで長押し

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(3)実績、今後の取り組み

存在感の伝達及び没入感を高める形で、呼び出しボタンを実装した。また、従来の互

換機能として OriHime 設置用のアプリケーション「OriHime 設定」におけるソフトウェアスイ

ッチでの呼び出しにも対応した。

また、今回検討したが結果として未実施となったセンサー、マイクを利用した呼び出しに

ついては、設定されたモーションを利用者が直感的な利用ができない可能性があること、

実装した電力対策や電波帯域の有効活用の機能を犠牲にする可能性があるので今回は

採用しなかった。

今後、呼び出し機能の使用者からのフィードバックを得て機能の改善を検討する。呼び

出し機能を活用したサービスの構築も合わせて検討する。

4.1.4 プロセッサ一体化

<非公開>

4.2 営業活動

OriHimeの利用を拡大するために、ユーザーへのヒアリング、販促活動を行う。

表 5 営業活動実施項目概要

No 計画 実施内容

1 ユースケースの明確化及び新たな

ユースケースの創出

・ 各営業担当が収集したユースケー

スを集約、会社共通の営業ツール

作成

2 改良 OriHmeの周知及び露出向上

によりインバウンド営業に移行でき

・ アタックリストに基づいた直接営

業、ステークホルダーからの紹介を

通してアプローチ実施

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る営業先の獲得 ・ 展示会の成果追跡、リード数から

制約までの過程を分析し、必要な

成約数、金額から必要なリードを算

出できるような体制構築。成約まで

のリード変数を可視化。

3 代理店候補との代理店契約 ・ 既存販売チャネル以外の販売網の

獲得

・ webサポートフォーム整備

(1)ユースケースの明確化及び新たなユースケースの創出

現在 OriHime のユーザーは様々な利用方法があり、その利用方法を調査し、その中で

代表的なユースケースを抽出することで、ユーザーの事例として横展開が図れ結果として

事業拡大に貢献すると考えている。また、その抽出されたユースケースもしくはその背後

にあるユーザニーズを開発へフィードバックする。

(a)課題

従来、展示会、営業業務、サポート、講演・プレス対応等の活動において、顧客対応中

に入手したユースケースの情報をまとめておらず、各担当個人の知識として存在していた。

今回このユースケース及びその背景にあるユーザニーズをまとめ、弊社の各業務を有機

的に連携させることで、効果的な営業を実現する。

(b)対策

始めに自社内で保有しているお客様のユースケースまたはユーザニーズをヒアリン

グした。合計で45件の事例があり、それらをテキストに起こしてまとめた。

次にこれら事例を一定の分類で分け、その項目と詳細な利用状況を整理した。また、そ

れぞれの事例を実際にユーザーが実施している事例とまだアイディアベースのもので区

分整理した。

整理された事例をユースケース集として一元管理して各担当者がアクセスできるよう仕

組みを作成した。新たなユースケースまたはユーザニーズがある場合は追加できるように

している。

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また、分類や記載事項などの基準を決め、記載の為のフォーマットを定めたことで、追加

の場合の情報の十分性を確保するように工夫している。

これにより営業、サポート、展示会等でユースケースを適時に利用できるようになり、より

効果的な提案が可能となった。分類別の事例数を以下に示す。

表 6 事例分類結果

No 分類 事例件数

1 CSR 2件

2 ヘルスケア 6件

3 業務効率 15件

4 新提案事例 6件

5 医療関係 4件

6 介護関係 4件

7 ブライダル 2件

8 旅行 2件

9 教育 4件

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◇事例①

分類 項目 説明 実例

CSR 先進的な取組へのアピール

*分身ロボット「OriHime」を活用したコミュニケー

ション、テレワークは先進的であり、 新聞、TV、ネ

ット等メディアへの掲載が期待でき、働き方改革へ

の取り組みが広く PR される。

図 24 事例1

◇事例②

分類 項目 説明 実例

ヘ ル

ス ケ

長期出張者・海外駐

在員のコミュケーショ

*長期出張者が部内会議に「OriHime」を使って

参加、執務スペースに「OriHime」を設置すること

により、いつでも部員と気軽に会話できる。長期

出張者・海外駐在員の孤立、疎外感を低減。

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図 25 事例2

◇事例③

カテゴリ 項目 説明/実例紹介 実例

教育 入院中の生徒

の通学

(実例)入院して学校に通えなくなった生徒

が、OriHimeをクラス(院内学級や所属してい

る学校)に置き、病室から操作して授業受た

り、総合学習の時間を友達と一緒に楽しん

だ。

図 26 事例3

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(c)実績、今後の取り組み

ユースケースまたはユーザニーズの継続的、組織的に収集するプロセスの構築は完

了した。今後はこれらを開発につなげ、ニーズに即した製品開発を行い、業務拡大につな

げていく。

(2)改良版 OriHime の周知及び露出向上によりインバウンド営業に移行でき

る営業先の獲得

ニーズに基づき開発したプロセッサ内蔵タイプ OriHime について、実際に OriHime ユー

ザーに使用してもらい、ユーザーからのフィードバック応じた改良を行う。

また、既存顧客、潜在顧客に効率的にアプローチしプロセッサ内蔵タイプ OriHime を周

知していく。

(a)課題

改良版 OriHime 周知のためには、認知度向上が必要である。また、既存のユーザーに

も改良版 OriHimeの利用用途や新規ユースケースを周知する必要もある。

会社の体力及びコストを考えた場合、全方位かつ広範囲の顧客に対するアプローチは

適切ではなく、効率的な潜在顧客へのアプローチが課題となる。

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(b)対策

改良版 OriHime をテレワークツールとして活用する想定し、これを以下の3つのケース

で検証した。

表 7 実施内容

# ケース 内容 備考

1 アタックリスト方式 テレワーク導入企業の内 OriHime ユーザー

として適切な特性を持つ企業にアタックする

2 展示会への出展 テレワークに特化した展示会へ出展すること

で、広範囲の顧客にアプローチする

3 メディアによる周知 テレビ、ラジオ、新聞などに露出することで周

知する

各ケースの詳細を以下に示す。

【アタックリスト方式】

有効なテレワーク導入企業のうち OriHime ユーザーとして適切となると思われる企業を

ピックアップして、属性(テレワーク導入の有無)、規模、対応部署、紹介先等で分類を行

いアタックリスト作成し、アプローチした。

アタックリストによるアプローチは紹介先や担当部署へのダイレクトなアプローチではない

ことと、リストの企業内での協力者がいないケースが多いのでアプローチが長期になるこ

とが多い。そのため継続してのアプローチを続ける。

【展示会への出展】

上述のアタックリストによるアプローチでは限定的なアプローチのみとなってしまうため、

可能な範囲でリストより広範囲へのアプローチも実施することが有効と考えた。そこで、テ

レワークへ特化した展示会(下記出展時の様子参照)への出展で既存の販売チャネルに

ない顧客へのアプローチを実施した。展示会では製品説明とともに名刺交換を実施し、収

集した名刺をリード数として、リードの中から最終的に契約に至った案件まで追跡を行うこ

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とで投下コスト、リード数、最終的な契約成立までの可視化を実施した。展示会後優先的

にアプローチする顧客を一定の基準で選定して第一弾としてアプローチを開始し、アポ取

り、デモの依頼、成約までを追跡している。第一弾のアポ取り、でも依頼までは実施。現状

成約までのアプローチを実施しているところであるため継続して追跡する必要がある。

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<2017年 7月ワークスタイル変革エキスポ出展時の様子>

図 27 ワークスタイル変革 Expo出展の様子

【メディアによる周知】

代表吉藤の各種メディアでの露出による周知を行う。より広範囲に周知が可能となる一

方で成約に起因したメディアを特定が難しい点が課題となる。

また、番組の趣旨やテーマがあるので改良版 OriHimeのポイントをアピールできる保証

がなく、成約につなげられる可能性は低いことは認識している。

このためメディア露出後、問い合わせ等から効率的にインバウンド営業へのシフトを促

すため、2016年 12月までのインバウンド営業の状況分析と改善施策を実施した。

始めに露出メディア分析を実施。下記メディア紹介実績リストによれば 2015 年から

2016 年 11 月までに比べ、改良版 OriHime のリリースに向け積極的な活動を実施した

2016年 12月以降のメディアでの露出実績は増加している。

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表 8 メディア露出実績(2017年 7月末時点)

メディア名 date 分類

月刊事業構想 2015/01 web

毎日新聞 経済プレミア 2015/07/13 web

毎日新聞 経済プレミア 2015/07/15 web

毎日新聞 経済プレミア 2015/07/17 web

techcrunch 2016/07/07 web

障害者と雇用 2016/08 情報誌

訪問看護と介護 2016/09 情報誌

ASCII.jpスタートアップ 2016/09/01 web

engadget 2016/09/02 web

glamcare 2016/09/05 web

BIZ&TECH TERMINAL 2016/09/26 web

QREATORS すべての業界のぶっとんだ人がこ

こに集まる。 2016/10 web

WorkSwitch 2016/10/17 web

BizReach Frontier 2016/11 web

神戸新聞 NEXT 2016/11/03 新聞

J-WAVE 2016/12/01 ラジオ

フジサンケイビジネスアイ 2016/12/19 新聞

alter nas 2016/12/20 web

ガジェット通信 2016/12/24

Forbes 2017/01/16 web

IBC岩手放送 2017/01/27 TV

岩手日報 2017/01/28 新聞

ロボット情報 webマガジン 2017/02/02 web

テレビ東京 2017/02/06 TV

NEWSポストセブン 2017/02/19 web

thebridge 2017/02/27 web

茂木健一郎氏のラジオ 2017/03/05 ラジオ

IRORIO 2017/03/07 web

イノベーションズアイ 2017/03/09 web

ASCII.jp SAO Future Lab 内 2017/03/27 web

日経テクノロジーオンライン 2017/03/29 web

オリンパス広報誌 Social In vol.8 2017/04/01 広報誌

BSジャパン 2017/04/02 TV

インターネットコム 2017/04/15 web

MobaGate 2017/04/26 web

TOKYO 創業ステーション 2017/04/27 web

日本テレビ 2017/04/30 TV

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industry-co-creation 2017/05/01 web

読売新聞 2017/05/02 新聞

TECHWAVE 2017/05/02 web

長崎新聞 2017/05/15 新聞

industry-co-creation 2017/05/19 web

WBS 2017/05/31 TV

経営情報誌 2017/06/01 情報誌

経営情報誌 2017/06 情報誌

情報誌 2017/06 情報誌

フジテレビ 2017/06/04 TV

newspicks 2017/06/05 web

日本テレビ 2017/06/22 TV

BS-TBS 2017/07/01 TV

読売新聞 2017/07/14 新聞

毎日新聞 経済プレミア 2015/0719 web

JAL国際線機内誌 2017年 1月プログラム 機内誌

介護専門職の総合情報誌 2017 年 3月 28日 FBページ 情報誌

雑誌 2017年月日 情報誌

桐生タイムス 新聞

ソトコト 情報誌

ブライダル産業新聞

新聞

東京都 時差 BiZ web

内容としても、政府、東京都が推し進めている働き方改革に関連して「テレワークロボット

OriHime」として取り上げられる内容が増加したことから改良版 OriHime の周知につながっ

た。

メディア露出の結果を目的適合性、ターゲットへのアピール度、放送時間帯、放映時間

の長さ、メディアの性質、波及効果、他のメディアとのバランス、費用対効果などから効果

測定を行い有効なメディア戦略を継続できるよう指標を作成した。

また、完全新規よりもインバウンドからの営業の成約率が高いことから、インバウンドを

増やすための施策を模索するため、インバウンド営業の現状分析、問題点の洗い出し、

改善策提案を実施した。

インバウンド営業の現状分析としては、下記の通り 2016 年 12 月までのインバウンド営業

の現状分析を実施した。

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61

<OriHime orderの 2016年度 現状>

図 28 オーダーメール分析

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62

<お問い合わせフォーム 2016年度 状況>

図 29 問い合わせメール分析

問題点の抽出として、オーダーメールについては約 4 割が難病系のオーダーが占めてい

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63

る。またテレワークのオーダーメール数の絶対値も上がっていない。そのためさらなる周

知を促す施策が必要と考える。

問い合わせメールについては OriHime に対する問い合わせが約 4 割程度となった。オー

ダーメールほどの具体性はないが、肌感覚としては難病系マーケットのユーザーからの

問い合わせが過半数を占めている印象を受ける。こちらについてもより改良版OriHimeの

契約を促進するような周知が必要という施策を実施することが必要と考える。また、問い

合わせメールからの成約率が向上していないので成約率向上の施策も必要と考える。

上述の課題を施策として下記の改善方法を提案し実施した。

◇施策1: 問い合わせ件数全体を増やす

各種プレスリリース、メディア露出によりオーダー、問い合わせ件数の総量を増加させ

る。取材申し込みには一定の効果があったため、その取材の効果を引き続き確認する。

プレスリリースやメディア露出がユーザーからの申し込みには直結していない。そのため、

申し込みに直結するようなテーマや内容の露出も意図的に増やしていくこととした。これに

ついては上記メディア露出実績にあるように 2016 年 12 月以降改良版 OriHime の申し込

みにつながるようなメディア露出も実施したことで対応した。

◇施策2:ウェブサイトの更新

ウェブサイトが複雑でオーダー、問い合わせまで到達できないという声があったためウ

ェブサイトの構成を見直し問い合わせ件数の総量を増加させることとした。これについて

現状改善は完了しておらず改善要件を明確にして継続して検討する。

◇施策3: 訪問やお試しにつなげる方法

現状の方向で、最初の問い合わせの際にデモを提案する方針をすすめた。

問い合わせや上述の展示会のフォローアップではデモ提案を実施し、効果測定を継続中

であるが、従前よりデモに直結する案件は見られた。

(c)実績、今後の取り組み

第 1 のアタックリストによるアプローチは長期化が予想されるので継続してアプローチを続

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64

ける。

第 2の展示会施策については、リード数から制約までの追跡の結果がまだ出ていないので

継続して追跡を行い投下資本と成約の関係性と明確にし以後の施策に生かす。

第 3のメディア分析とインバウンド営業向上については施策としては明確になったので継続

して実施し効果の測定を継続することとする。

(3)「代理店候補との代理店契約」

改良版 OriHimeの市場展開には既存販路による扱い数の増加と、テレコミュニケーショ

ン市場へ展開するための新たな販路開拓が重要となる。

(a)課題

既存協力者に対しては、フィードバックや要望に対応することでサービスとしての基盤

を強固なものとして契約数の増加につなげていく。これとは別にテレワークやその他ユー

スケースまたはユーザニーズをみたすため、新たな販路や協力者の確保が課題となる。

(b)対策

テレワーク分野では既存協力者のフィードバックを得るため定期的な打ち合わせの機

会を設けた。フィードバックについてはその都度改善を行いテレワークツールとしての

OriHime 活用を確実なものとした。具体的には、エラー要因の分析やエラー率の改善、セ

キュリティ対応の明文化等を実施し他の既存顧客、潜在顧客への展開時に有用な情報を

蓄積して既存顧客については利用率、継続率の改善、潜在顧客については成約率の改

善につなげた。

ユースケース分類より既存販売チャネルにない分野を抽出し、協力者の特定とアプロー

チを実施した。具体的には今までの販路にないまたは規模的に大きくない販売チャネルと

してブライダル、旅行という分野でのニーズに着目して協力者を模索した。

ブライダル分野については、既存の協力先である東京都港区浜松町の株式会社世界貿

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65

易センタービルディング内のスカイホールに加え新規の結婚式場へアプローチを実施した。

その他、OriHime ブライダル開始のプレスリリースを実施するとともに OriHime ブライダ

ル専用のウェブサイト(http://bridal-lp.orylab.com/)を立ち上げることによりサービス周知

と協力者の確保を容易にする施策を実施した。

旅行ニーズについては既存の関係者様からの紹介で旅行業界関係会社へのアプロー

チを実施した。紹介先の 1社より提案を受けて、旅行関係のノウハウが自社内に乏しいの

でニーズの掘り起こしと実際のオペレーションを確実なものとするために協力してサービ

スの構築をすることとなった。

上述のブライダル、旅行ニーズとは別に自社サービスと OriHime の活用を提案いただけ

る機会が増え、そのうち 1社と関係構築について協議を開始した。

ブライダル、旅行関係、その他分野で OriHime の新たなユースケースの拡大と販路の拡

大の機会を得ることができた。

(c)実績、今後の取り組み

上述の通り既存の販売チャネルの強化と新たな販路の拡大を達成した。

今後は協力先との関係強化とサービスの充実を図り継続して契約拡大ができる体制を構

築することとする。

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66

4.3 OriHimeの評価指標の策定

OriHime の活用度(どれほど顧客に価値提供ができているか)を評価できるような評

価指標を作り、実際の活用度を評価する。

表 9 評価指標

No 計画 実施内容

1 OriHime 活用度の可視化 ・ OriHime の活用度としてログの一覧をグラ

フ化することで、各顧客に対する OriHime

の価値提供量を定量化し、顧客満足度に

ついて根拠ある推測を立てる。また、数値

化したことでエンジニア以外でも簡単に閲

覧・分析可能となった。

2 満足度に応じた対応 ・ 進捗報告会にて週次で活用度を報告する

仕組みを構築。

・ 顧客満足度が低い顧客には、追加の措置

を行うことで継続率を向上させ、一方で顧

客満足度の高い顧客の使い方を分析す

ることで、他顧客への提案内容の拡充を

図る

・ 指標に動きがあった場合等は各営業担当

への情報共有を実施することで顧客継続

率の向上に寄与

(1)OriHimeの活用度を可視化及び満足度に応じた対応

顧客の OriHime 活用度は、顧客の OriHime 使用時の満足度を表すことが多い。顧客が

OriHime の機能に満足している場合は利用頻度が高くなる傾向にあり、逆に不具合が多

いケースや機能自体に満足していない場合は利用頻度が落ちる。そこで、OriHime 活用

度を可視化して顧客満足度向上を継続的に実施する体制を構築する。

(a)課題

顧客の活用度を可視化する場合、活用度を適切に表す指標を設定することが必要とな

る。そのため、初めに OriHime 活用度を効果的に示す指標の洗い出しが課題となる。次

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67

に、設定された指標を自動的、効率的に集計するツールを選定し、ツールから定期的に

抽出される指標を分析し、活用し顧客満足度を改善するためのアクションをおこす仕組み

作りが課題となる。

(b)対策

満足度を表す指標として以下の項目をそれぞれ検討し、どの指標を評価するかを明確

化した。

表 10 満足度指標の検討

指標 内容及び課題 判定

1 合計通話時間数 通話時間の合計。 ○

2 合計発話時間数 発話時間の合計。OriHime は常時接続を特徴とす

るためテレワークのケースでは職場の雰囲気等を

感じるために発話しないことも多いため、満足度に

は不向き。

×

3 通話開始数 通話を開始した回数。継続利用か・断続利用か、ユ

ーザーの利用傾向の分析のための指標。ただし、

その要因がエラーによるものを含んでおり、エラー

率を含むアクティブ率で代替え可能。

×

4 アカウント数 1顧客が持つアカウント数。1台あたりOriHimeに対

し何人が使うのかの利用傾向の分析のための指

標。ただし、調査した結果、多くの OriHimeユーザー

は 1 アカウントであった。これは、現状テストケース

または個人で使用されているケースが多いためと

推測している。そのため、利用用途やユースケース

が多岐にわたりアカウント数の分析が有用な情報と

して認識される段階までアカウント数のモニタリング

は停止する。

×

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68

5 アクティブ率 アクティブ操作者の数および個別ユーザーのエラー

上述の結果、月次、週次にてモニタリングを行う指標として、合計通話時間、アクティブ率

(アクティブ操作者、エラー数)をモニタリング対象とした。次にそれぞれの指標に関する活

用方法を示す。

◇合計通話時間

この合計通話時間は顧客別に把握可能となっており、顧客ごとに通話時間の大幅な変更

があった相手先については開発チームから週次進捗会議にて報告される。報告に従い営

業担当者が既知の情報は社内で共有する。営業担当者に情報がない場合は季節的要因

やその他想定される要因で明らかな場合を除き、営業担当者が顧客に確認して利用状況

を確認した。

◇アクリティブ率(アクティブ操作者)

以下に実際のアクティブ率(アクティブ操作者)をモニタリングした結果を示す。

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17

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ウィークリーアクティブ操作者推移

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図 30 アクティブ率(アクティブ操作者)

上記グラフの分析を以下に示す。

・ 利用者増加によるアクリティブ率向上

・ 1台を複数人で利用するケース増加

・ マンスリーでは右肩上がりを示すが、ウィークリーでは休暇等稼働が低下する場合が

ある

利用者増加により順調にアクティブ操作者増加傾向にある。ウィークリーでアクティブ操作

者の推移に変動がある場合は、開発部門より週次進捗会議で共有する。全体として季節

的要因、休暇等の影響がほとんどだった。個別には契約の終了やエラーの影響で操作者

の減少が生じたケースもあるが、有効契約数は順調に伸びていることから上述の減少要

因を吸収して増加している。

◇アクリティブ率(エラー数)

以下に実際のアクティブ率(エラー数)をモニタリングした結果を示す。

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マンスリーアクティブ操作者推移

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図 31 アクティブ率(エラー数)

上記グラフの分析を以下に示す。

・OriHime利用環境に依存するエラー(主にインターネット環境)要因

・個々の機体に依存する要因(故障、不具合)

・推奨環境でない利用ケース(接続パソコン、アプリケーションのバージョン等)

エラー要因のほとんどがインターネット環境によるものであった。OriHime はインターネット

を通じて遠隔操作する機器である。そのためインターネット環境が不安定な状況ではエラ

ーが生じるケースが多い。特にエラーが多く生じているユーザーについては週次進捗会

議にて開発部門より報告がある。営業担当者はエラー要因について顧客にヒアリングを

行い、エラー発生状況の特定を実施する。想定されるエラーについては Q&A を参照して

営業担当者にて改善を提案する。営業担当者にて解決できないシステム関係、機器トラ

ブルが発生した場合は開発部門にエラーが発生した状況を詳細に報告して改善を行う。

(c)実績、今後の取り組み

ログの一覧をグラフ化することで閲覧・分析可能となった。週次の進捗報告会にて顧客

の活用度を報告する仕組みを構築したことで指標に動きがあった場合等は各営業担

当への情報共有が実施され顧客継続率の向上につながった。

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2

4

6

8

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14

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4.4 市場啓発活動

市場における OriHime の認知度向上のために、ムービー、セールス資料などの啓発

資料を作成と共に、導入済み企業向けのサポートマニュアルも作成する。また、これら

の啓発資料を活用した営業活動を通して、現在は「医療介護系プロダクト」として認知

されがちなOriHimeを、「存在感を伝達するテレコミュニケーションツール」と認知を改め

ることで、テレコミュニケーション市場のユースケースへの利用拡大を図る。

表 11 市場啓発活動

No 計画 実施内容

1 テレコミュニケーション市場に対する啓発

(「存在感を伝達するテレコミュニケーションツ

ール」と認知を改めることで、テレコミュニケー

ション市場のユースケースへの利用拡大を図

る)

・ OriHime 紹介ムービーを作成し

たことにより口頭による説明に

視覚的な説明が加わり展示会、

講演会等での集客、来場者へ

の説得力向上

2 ・ 改良版でのレンタル料金の設定 ・ 新たなプライシングリスト作成

(1) テレコミュニケーション市場に対する啓発

(a)課題

オーダーメール、問い合わせメール分析でも明らかなように既存の OriHime ユーザー

は難病分野での認知度が高い。しかし、実際の利用ケースとしてはテレコミュニケーション

の分野でのユーザーが最も多い。そのため「存在感を伝達するテレコミュニケーションツ

ール」としての認知を効率的に実施することが課題となる。

(b)対策

◇ウェブサイトの改善による認知度の向上

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既存ウェブページではテレワークツールとしての OriHime のユースケースが明確に表

示されていなかった。そのため、新たにテレワーク用のウェブページ(下記参照)を製作し、

オリィ研究所のコーポレートサイトに OriHime Biz テレワーク専用のウェブページへのリン

クを設け、オリィ研究所のホームページ閲覧者のテレワークツールとしての認知度を向上

させた。(テレワーク専用サイト http://orihime.orylab.com/biz/)

コーポレートサイト(テレワーク専用ウェブページへのリンク)

図 32 オリィ研究所ホームページ

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テレワーク専用ウェブページ

図 33 オリィ研究所ホームページからのリンクページ

◇動画による利用シーンの紹介及び設定方法の説明

既存のパソコン接続タイプ OriHime では OriHime 設置側でパソコンに接続することで

OriHimeの利用開始ができた。プロセッサ一体タイプOriHimeでは接続するパソコンがなく

なった代わりに iOS アプリケーションを使って Bluetooth 接続で設定を行う方法へ変更さ

れた。変更に伴い設定方法の説明書を更新し利用ユーザーへ配布を行ったが、初期設

定時の接続に関してユーザーからの問い合わせが多かった。テレワークツールとして PC

接続なしでモビリティ機能を向上させた OriHime を開発したが、認知度が低いことから従

来の設定方法等との違いが明確になっていなかった。そのため、従来のパソコン接続タイ

プの OriHime との違いを明確にし、利用までのハードルを下げ利用頻度向上を図るととも

にテレワークツールとしての認知度の向上を図るためOriHimeテレワークツール専用ムー

ビーを作成した。

1 つは接続方法の違いを明確にしつつ、機能説明を周知するためのムービーとし主に

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利用ユーザー向けにホームページ上で閲覧可能となったことを商品発送時添付する取扱

い説明書にて明示した。これにより設定を容易にしつつ、テレワーク時の機能説明を行い

視覚的理解ができるようになった。設定時の問い合わせ件数が減少したことからムービー

の効果があったと考える。

図 34 OriHime設定方法動画

上述のムービーに加え、利用シーンを想定したムービーを作成した。OriHime をテレワー

クで利用した場合の代表的な例として病気、育児、介護で自宅にいる人がテレワークツー

ルとして利用するケースと難病の方が働く場合のテレワークツールとして利用するケース

を想定した代表的な例示を示し OriHimeのテレワークツールとしての認知度向上を図った。

このムービーは主にデモや講演、展示会で紹介するとともに問い合わせメールで利用シ

ーンについての質問があった方向けに紹介を行った。

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図 35 コンセプトムービー

これにより理解を促進でき今までメール、口頭での説明に加え視覚的理解を促しテレワー

クツールとしての認知度向上に貢献した。さらに、7月からのリリースなので分析上の絶対

数が少ないので印象ベースになるがユーザーサポート時の時間の削減にもつながったと

の報告があった。

◇展示会等を活用した認知度の向上

上述の 2. 背景および目的で示した総務省平成 27 年度通信利用動向調査からわかるよ

うに日本でのテレワークの認知度は欧米に比べ低い、これに関しては総務省、厚生労働

省、東京都発で認知度改善の施策が行われている。オリィ研究所としてもこの日本全体

的な認知度の改善が必要という課題があり、自社の製品の認知度もこの全体的な流れに

左右される部分はあることは認識していた。全体としての認知度改善の流れはあるもの

の、上述の調査にもあるように企業の関心は高まりつつあるのは確実であり、実際問い

合わせやデモ依頼の件数も増加傾向にあった。そこでオリィ研究所としても自社のテレワ

ークツールの認知度向上にはテレワーク導入に権限を持つ総務、人事系の部署への直

接コンタクトが必要と考えた。福祉、介護をテーマにした展示会への出展は多く行っていた

が、テレワークに特化した展示会等へ出展実績はなかった。そのため、テレワークに特化

した展示会への出展を行いテレワーク導入に影響を持つ総務、人事系部署の担当者へ

直接アプローチを行うため、上述の「営業活動」の個所でも記載したようにテレワークに特

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化した展示会(ワークスタイル変革エキスポ)への出展を行った。

図表 4-3-3-15 テレワークの導入に際しての課題

(出典)総務省「地方創生と企業における ICT利活用に関する調査研究」(平成 27年)

図 36 テレワーク導入課題

総務省「地方創生と企業における ICT 利活用に関する調査研究」(平成 27 年)によればテレワー

ク導入の課題のうちテレワーク導入実施済みの会社、導入を検討している会社の 2 番目に挙げら

れている課題に「適切な労務管理」、テレワーク導入実施済みの会社の 3 番目、導入を検討して

いる会社の 4番目に「社員同士のコミュニケーション」が課題として挙がっている。

テレワークツールとしのOriHimeはこの両課題解決に貢献できるツールとなっている。労務管理

に関しては管理担当者向けに OriHime Biz というアプリケーションを開発しており、管理ツールか

ら、ユーザー制御、利用履歴の閲覧を行うことができる。特定の日だけテレワークする、会議室を

何時から使う、など様々なテレワークのシチュエーションに対応できる。

また、社員間のコミュニケーション課題については、在宅勤務の社員が家庭内のプライバシー

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を守りつつ、いつでも自分の分身として OriHime に自由に接続できることで在宅勤務者の孤独感

や抵抗感を和らげ、ロボットの存在感がオフィスにいる社員に伝わることによるコミュニケーション

の円滑化、チームワークの向上に貢献できるように設計されている。このためコミュニケーション

課題の解消へ貢献できる機器となっている。

展示会ではこのテレワークの課題を解消するツールであることを適切に来場者へ認知できるよ

うに各担当者へ徹底するとともに、テレワーク専用のブローシャを作成し認知度向上へ務めた。

またオリィ研究所としては、一般的なテレワークだけでなく、重度難病者や介護、育児等で家に

入らなければいけない人材のテレワークでの労働普及にも力を入れている。そのため、視線意思

伝達装置 OriHime eye と OriHime の活用で就労をしている事例や育児中の主婦で OriHime を活

用して就労しているケースも積極的に紹介することで従来のテレワークにない形を提案し、オリィ

研究所としての特色を出したテレワークツールの紹介に力を入れた。

上述のような展示会での取り組みにより 200 名の興味を持っていただいた方と名刺交換を行い、

その後順次デモ提案や契約提案を継続している。また、会場で複数メディアに取り上げていただ

きテレビその他のメディアでの露出が可能となった。テレビ局の取材では会場出展企業 140 社中

3 社に選出され事例を紹介いただいた。上述のように展示会等を活用したテレワークツールの

OriHime 認知度の向上は実現できたと考える。展示会での成約までの流れの分析は継続して実

施していくこととする。

(c)実績、今後の取り組み

上述の通りウェブサイト改善、紹介ムービーの作成、テレワークに特化した展示会等の活用に

よる認知度向上については一定の効果があったと考える。

展示会の来場者へのコンタクトは継続して実施していくこととする。

(2)改良版でのレンタル料金の設定

改良版プロセッサ一体型の OriHime はテレワークツールとして複数ユーザーや複数台

の OriHime の利用が想定され、従来の 1 ユーザーに 1 台の OriHime利用を前提としたプ

ランでは柔軟性に欠けるケースも出ている。導入のハードルを下げつつより実態に即した

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プライスリストの設定が必要となる。

(a)課題

改良版の OriHime はモビリティが向上してよりテレワークツールの活用が促進されるよ

うな機能を追加している。ただし、上述の通り政府、民間挙げての認知度向上を図ってい

る中、導入を容易にする施策も必要と考えた。従来は価格面で導入まで至らなかったケ

ースが多々ありその面での担保も導入のハードルを下げることへ貢献できると考えた。一

方で、収益性の低下は継続して開発やサポートを行うことの障害となるので回避したい。

そのため、導入のハードルを下げつつ収益性を落とさない価格設定を課題に設定した。

(b)対策

テレワークツールとしての OriHime は複数台数の OriHime を複数のユーザーが利用す

るケースが想定される。OriHime1 に対して 1 人の利用から、OriHime1 台を複数ユーザー

が利用するケースや OriHime複数台を 1人が利用するケースが想定される。

たとえば、時間帯を分けて午前と午後で 1 台の OriHime を 2 人のユーザーが使うケー

ス、東京、大阪、福岡など遠隔地に複数台のOriHimeを設置しておき瞬時に移動して仕事

をするケースが考えられる。

機能的には複数ユーザーの利用を管理できるツールもあり複数台を 1人のユーザーが

利用するケースにも対応できる機能となっており実例も増加している。具体的に複数ユー

ザーや複数台数を使用した場合、遠隔地への出張や通勤費の削減につながりコストメリ

ットが出ているという事例もある。

新 規プライスリスト検討時は複数ユーザーによる複数台OriHimeの利用を仮定して価格

設定を行った。具体的には、複数ユーザー複数台 OriHime の段階ごとにスケールメリット

を反映させた価格設定プラン、月次の利用料を調整してランニングコストを低く抑える代

わりに初期費用を設定するプラン等複数プランを検討した。

現状既存の複数ユーザー、複数台数利用が想定される顧客の契約更新時や新規契約

時にプランの提案を検討している。現状、契約更新がない場合やテスト導入フェーズで複

数台の導入を検討していないケースなど該当するプランを提案する顧客が出ていない。

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また、新プライスリストについては仮定上設定したプランなので実際にテスト導入、検証し

て改善が必要と考えている。そのためプライスリストを実際にテスト的に導入してモデルケ

ースとなりブラッシュアップに協力的なユーザーを継続して選定していくこととする。

(c)実績、今後の取り組み

新プライスリストの案は完成。テストプランを試験的に導入いただける協力者の選定を

続けていくこととする。

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5. プロジェクトの成果

5.1 成果目標に対する実績

2017 年 4 月から総務省による”2020 年に向けたテレワーク国民運動プロジェクト”を皮

切りに 2017 年 7 月には東京都が東京テレワーク推進センターを設立するなど、市場での

テレワークへの関心が 4 月より急きょ高まった。このため、本プロジェクトの更なる拡大を

図るべく、販売パートナーの開拓を前倒しして実施した。結果として、遠隔教育・難病支援

を除く、テレコミュニケーション市場における OriHime の 2017 年 9 月末時点における有償

レンタル契約台数を 2016 年 9 月末の 300%増加とする目標に対して 2017 年 9 月 29 日

現在約 200%にとどまった。しかし、販売パートナーとして 2 社新規開拓(内 1 社とは契約

まで実施)し、レンタル台数拡大に向けての布石を打つことができた。

上述の有償レンタル台数の増加に加え、既存の介護、福祉、教育、テレワーク分野の

利用チャネルにはなかった旅行、スポーツ分野などでの取り扱いが開始した。

5.2プロジェクトにおける作成物

① 改良版 OriHime(存在感伝達機能部分を強化)

② 顧客向け営業資料

③ 評価指標に基づくデータのグラフ化

④ 啓発資料

⑤ 本事業の成果報告書

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6. 事業化に向けた課題と展望

6.1 存在感伝達の開発における今後の課題

存在感伝達に関する今後の課題について一覧にまとめる。

表 12 存在感伝達の開発における今後の課題

No 実施内容 今後の課題

1 存在感を伝える音質の実現

(外部マイクで対応)

OriHime内蔵マイクによる存在感を伝えられる音質の実現に

ついては、マイク位置の改善等を継続して開発を行う。OriHime

筐体内でも頭の部分へのマイク設定でモーター動作音の収音

を抑えられる可能性があることと、より動作音が小さいモーター

の採用も引き続き継続して検討していくこととする。

2 没入感を向上させるインタ

ーフェースの改良

モーショントレース方式でのアクチュエーター操作およびヘッ

ドマウントディスプレイによる視界同期方式でのアクチュエータ

ー操作などは、確かに没入感を向上させるためには一定の効

果を期待できる。しかし、対象機器が高価であることと、機器品

質改善が必要な部分がいまだ残る。この分野については、今

後機器の価格動向などを監視していくこととする。

3 没入感の醸成のための環

境確保

OriHime はインターネット環境で稼働の安定性が左右されるた

め、インターネット環境にあった画質、音声データの質を選択で

きるように改善し稼働の安定性を確保した。

4 呼び出し機能の開発 OriHime 設置側からの呼び出し機能開発完了。

5 プロセッサ一体化 今回は筐体のデザインへの影響を考慮してバッテリーの一

体化は実施しなかった。バッテリーの一体化は、モビリティが確

実に向上するので調査を継続してデザインへの影響を最小限

にしつつ実装を検討していく。

一方、プロセッサを一体化したことにより、当初想定していな

かった発熱の問題が発生した。今回は、土台部分を効率的に

発熱できるように改造しつつ、放熱板も設置して対策を講じた。

発熱は機器の安定稼働への影響にも繋がるので継続して調

査検討を実施していく。

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6.2 市場の動向課題とその対応策

(1)テレワークの普及課題への対応

OriHime の契約数と密接な関係があるテレワークの普及に関して、現在以下のよう

な課題が存在している。

<課題一覧>

➢ セキュリティ対策

➢ 労務管理

➢ 人事評価

➢ 社員間のコミュニケーション

(出典)総務省「地方創生と企業における ICT利活用に関する調査研究」(平成 27年)

図 37 テレワーク普及課題

これらの課題は OriHime 単体で解決できるものではなく、適切なパートナーと組ん

でその課題に取り組むことが重要となってくると考える。

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今後は自社内のノウハウの蓄積も図りつつ適切なパートナー探しを継続するととも

に、総務省、東京テレワーク推進センター、東日本電信電話と定期的に会話をして

いきテレワークの普及に向け推進していく。

また、パートナー関しては現状メインとしている介護、難病、教育、テレワーク以外

の分野でのパートナーの開拓も行う。

(2)テレコミュニケーション市場におけるロボット活用に対する心理的障害

対応

顧客の中には OriHime を活用したコミュニケーションには興味があるが、既存通信、

コミュニケーションツールとの違いが明確でなく OriHime の新規採用にまで踏み切れな

いケースがある。

ロボット利用のメリットとしては、「表現に身振り手振りが加わり表現力が増すことで存

在感の伝達がしやすい」点が挙げられるが、一方、「前例がない」「既存のソフトウェア

のコミュニケーション製品に比べ広く導入ができない」との指摘がある。

今後はメリット部分をさらに伸ばしつつ、デメリットとなっている部分の解消を検討すると

ともに、これらの情報を、様々なメディアへの露出、各種展示会、イベントへの参加を継

続してテレワークロボットとしての認知度向上を図り、「前例がない」課題に対応していく。

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7. 付録

(1)用語説明

表 13 用語一覧

用語 説明

ビジネスモデル 企業が製品・サービスを提供し、その対価を顧客が支払い、企業が利益

を得るまでの一連の流れを構造化したものであり、本事業では、以下の

ような要素をビジネスモデルに組み込むものとする

(1)誰に対して、どのような価値を提供するのか

(2)どのような資源を使ってどのように提供するのか

(3)どのような協業の仕組みをとるのか

(4)どのような流通経路と価格体系をとるのか

テレコミュニケーショ

インターネット等を使って遠隔で会話を行うなどのコミュニケーションをと

ること

テレワーク ITを活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと

コアバリュー 製品のもっとも根幹的な価値のこと

3D CAD 3次元 CADを示し、造形物を立体的に表示・編集して作図をするもの

ウェブマーケティング インターネット上で行うマーケティング活動を示す

フィールドワーク 実際に社内外のユーザーに OriHimeを使用してもらい、フィードバックを

得ること

Re:dash ダッシュボードツール。アプリ上で SQLなどクエリー文を登録すると、結

果を表やグラフで表示する Webアプリケーションのこと

OriHime オリィ研究所が製造レンタルするカメラ・マイク・スピーカーが搭載され、

家や会社など行きたいところに置き、インターネットを通して操作できるコ

ミュニケーションロボットのこと

OriHime eye 視線入力装置を使った意思伝達装置のこと。画面の端まで視線が動か

せない人も操作可能で、透明文字盤と同じ使い方ができる

OriHime Biz OriHimeをテレワークでの利用に最適化するよう開発された管理ソフトウ

ェアのこと

ALS 筋萎縮性側索硬化症を示す。

改良版 OriHime 今回のプロジェクトで作成したプロセッサ内蔵型の OriHmeを示す

(2)関連 Webサイト

総務省

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000171.html

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東京都はたらくネット

https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/sosiki/telework-center/index.html