格差縮小コミットメント(CRI)指数oxfam.jp/whatwedo/CRI Report OJP SUMMARY FNL...

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DFI・オックスファム調査報告書 2018 2 報告書要旨 日本語訳 格差縮小コミットメント(CRI)指数 各国政府が貧富の格差にどう取組んでいるかを評価する 新しいグローバル・ランキング ナミビア北部オネプタ小中学校のパソコン授業。ナミビア政府は格差を縮小する政策に取り組み、中等教育の完全無償 化を実施している。(写真:John Hogg / World Bank2015年、193か国の政府指導者は「持続可能な開発目標(SDGs)」の一環として、格差を縮 小することを約束した。格差を縮小することなしに、貧困をなくすためのSDG目標を達成する ことは不可能である。オックスファムは、貧富の格差の縮小に向けた政府の取組みを評価する ための指数の初版を作成した。この指数は、複数の指標の新データベースに基づいており、格 差是正に対して決定的に重要であることが明らかな3つの分野、社会支出、税制、労働者の権利 に関して、152か国の政府の行動を評価している。 www.oxfam.org

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DFI・オックスファム調査報告書 2018年 2月

報告書要旨 日本語訳

格差縮小コミットメント(CRI)指数

各国政府が貧富の格差にどう取組んでいるかを評価する

新しいグローバル・ランキング

ナミビア北部オネプタ小中学校のパソコン授業。ナミビア政府は格差を縮小する政策に取り組み、中等教育の完全無償

化を実施している。(写真:John Hogg / World Bank)

2015年、193か国の政府指導者は「持続可能な開発目標(SDGs)」の一環として、格差を縮

小することを約束した。格差を縮小することなしに、貧困をなくすためのSDG目標を達成する

ことは不可能である。オックスファムは、貧富の格差の縮小に向けた政府の取組みを評価する

ための指数の初版を作成した。この指数は、複数の指標の新データベースに基づいており、格

差是正に対して決定的に重要であることが明らかな3つの分野、社会支出、税制、労働者の権利

に関して、152か国の政府の行動を評価している。

www.oxfam.org

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2 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

格差縮小コミットメント(CRI)指数のこの予備的バージョンでは、調査した152か国中の112

か国が、格差に対処するためにできることの半分にも満たないことしかやっていない、という

ことを明らかにしている。インドやナイジェリアなどの国々は、全体的に取組みが極めて貧弱

であり、裕福な国の中では米国の取組みが極めて貧弱である。一方で、ナミビアやウルグアイ

などの国々は、格差縮小に向けて力強く前進した。

このCRI指数は、オックスファムにより完成前でも随時公表されるため、我々はコメントや補

足を期待している。我々は、格差に関するデータを大幅に改善するための協調的かつ世界規模

の投資、および貧富の格差是正に向けた世界中の政府の積極的な協調行動が今すぐに必要であ

ると考える。

推薦

Oxfam and Development Finance International’s insightful investigation into what governments are actually doing to reduce inequality could not have come at a better time. Based on careful, systematic and scientific use of the available data, it does much more than simply rank countries to provide objective assessments of their performance on this crucial issue; it provides an urgent wake up call to all governments about what can be done in terms of taxation, spending and labour policies. This should become as prevalent as the Human Development Index as a yardstick to judge national performance. Jayati Ghosh Professor, Jawaharlal Nehru University, New Delhi, India

ジャイティ:ゴッシュ

インド・ニューデリー、ジャワハルラール・ネルー大学教授 In 2015, the world came together agree the Sustainable Development Goals that would shape the future, safeguard our planet, and ensure inclusive growth. As we strive to meet them, tackling inequality emerges as the challenge of our generation, everywhere, whether in rich or poor countries. Addressing it is a strategic imperative and doing so requires evidence based actions.

Oxfam and Development Finance International’s Commitment to Reducing Inequality Index is a rigorous attempt to do so: to demonstrate the nature, the depth and the scope of the problem and the implications for public policy. It shows that every country has to make a step change. Donald Kaberuka 7th President, African Development Bank (2005–2015)

ドナルド・カベルカ

第7代アフリカ開発銀行総裁(2005-2015年) Africa's people are facing an inequality crisis. For the past few years Oxfam, as a key part of the Fight Inequality Alliance, has been able to put shocking figures on just how

extreme this is. Consider that the combined wealth of Nigeria’s five richest men - $29.9 billion - could end extreme poverty in that country yet 5 million people there face hunger. This Commitment to Reducing Inequality Index - technical though it sounds - could be a powerful tool in the hands of citizens to demand change. In the face of politician's platitudes, we can show hard facts. In the face of meaningless promises, we can show the gaping holes where policies to reduce inequality could be. Information is power, so let's use it. Kumi Naidoo Activist and Board Chair, Africans Rising for Justice, Peace and Dignity

クミ・ナイドゥー

活動家、ARJPD(アフリカン・ライジング・フォー・ジャスティス・ピース・ディグニティ)

理事長

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要旨

格差の危機、貧困との闘い、政府の役割

世界には裕福な国、貧しい国があるが、多くの国では社会の最も裕福な人びととその他の人び

との格差がここ30年で急速に拡大してきた。1 わずか8人が35億の最貧の人びとと同じ富を保有

しているということが、こうした格差が危機的な状況にあるということを象徴している。このよ

うに拡大する危機への対応の失敗は、社会そして経済の発展、貧困との闘いを損なっている。オ

ックスファムの調査によれば、21世紀に入ってこのかた、世界人口の半分を占める最貧層は、

世界全体の富においてその増加分のわずか1%しか手にしていないが、上位1%の人びとがその

50%を得ている。2

格差はすべてに人々にとってよくないことである。格差は、犯罪と社会不安、経済成長の減速、

健康問題などの事象と関連づけられている。3 世界の最貧の人びとは特に深刻な影響を受けてい

る。これらのことには明らかな事実である。政府が格差に対処し近年の傾向を逆転させない限り

は、極端な貧困が終わりを告げる日は来ない。世界銀行は、政府がこうした行動を起こさないと、

2030年になっても、5億人近い人びとが極端な貧困から抜け出せずにいるであろうと予想してい

る。4

オックスファムとDFIは、格差危機は避けることができないものではなく、政府がそれに対処

することに無力ではないということを信じている。我々の調査結果は、近年かつ過去の歴史にお

いて、スェーデン、チリ、ウルグアイやナミビアなどを含む多くの政府が、格差縮小に向けて着

実に取組むことにより、格差拡大を押さえ込むことができることを証明した、ということを示し

ている。残念なことに、ナイジェリアやインドを含む他の多くの国々は、格差という世界的な危

機に対処するために利用可能な政策手段を活用できずにいる。今、こうした国々が協調した行動

を起こさない限りは、貧困を終わらせることや社会のすべての人びとに恩恵を与える持続可能な

経済成長を生み出すことはできないだろう。

格差縮小コミットメント指数(CRI指数)

オックスファムとDFIは、格差縮小への取組みに関し世界中の政府をランク付けするための指

数の第1版を作成した。これには、政府が3つの主要政策分野において貧富の格差拡大に対処し

ている度合いについての独自の視点を構築するために、152か国 (オックスファムが支援実行計

画あるいは提携機関を持っている国)のデータを含む広範囲のデータベースを構築することも含

まれていた。

このオックスファムとDFIの格差縮小コミットメント指数(CRI指数)の初回バージョンは、

世界中の専門家たちが意見を寄せ、議論し、コメントをすることを促すために、開発途中のもの、

即ち、「ベータ」バージョンとして公表されるものである。

152か国を対象とした最終リストから数か国が除外されているが、これは単にそれらの国を含

めるためのデータが入手できなかったことによる。我々の目標は、最低150か国を考察すること

ができるデータを入手することであった。いくつかの国については、格差縮小に関する政策につ

いて利用可能な公表データが極端に不足しており、このことは懸念すべき深刻な事態だ。特に中

東地域については、多くの国においてデータそのものが存在していない。

CRI指数は、経済的格差を縮小する政策に焦点を当てている(これは、オックスファムの格差

に対するキャンペーンの中核でもある)。これは、過去30年の間に経済的格差の急速な拡大が見

られたためである。つまり、最も裕福な人びととその他の人びとの間の格差である。これは、既

存の格差を増幅させることになった。例えば、ジェンダーや人種による格差である。富裕層はそ

の影響力が増し、経済的格差は政治的格差を招いた。また、これはその他の人びと、特に最も周

縁化された人びとの影響力低下を招いたが、これにより民主主義は脅かされ、市民の声はかき消

されている。経済的格差は拡大し、最も裕福な人びととその他の人びとの間の健康と教育に関す

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4 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

る格差を拡大し、社会的格差および機会と結果の格差の拡大を招き、これが社会的流動性の低下

を招いている。5 そして、格差の拡大は、結果として社会における犯罪と暴力の発生頻度の増加

にも関連していることが示されている。

CRI指数は、3つの政策分野(社会支出、税制、労働政策)における政府の取組みを評価して

いる。これら3つの分野における政府による積極的かつ累進的な政策の導入と実施が、格差の縮

小において鍵となっているという広範な証拠6 があることにより、これらが選択された。

1. 教育、保健医療、社会的保護制度などの公共サービスに対する社会支出は、格差縮小に大き

な影響を与えることが明らかにされている。例えば、全体的な格差の水準を縮小させた13の

開発途上国についての最近の調査研究では、格差縮小の69%が公共サービスの提供によるも

のだったことが明らかになっている7。社会支出は、その時の格差を縮小する方向に働くため、

ほとんどの場合において累進的である。こうした事情にもかかわらず、多くの国では社会支

出ははるかに累進的で貧困対策としてより有効な形へとなり得るのである。社会支出は、育

児と高齢者介護、保健医療、および他の家事労働の再分配により、ジェンダーによる格差の

主要原因である、多くの場合、女性が行っている育児・介護等の無償労働を減らすための重

要な役割を果たすことができる。

2. 累進的課税は、社会の富を再分配し、公共サービスのための財源を確保するために、企業と

最も裕福な人びとがより多く課税される仕組みであり、格差縮小に向けて取組んでいる政府

にとって重要な施策である。格差縮小における税制の潜在的な役割は、OECD加盟国8 ならび

に開発途上国において明確に示されている9。ただし、政府が選択する政策により、税制は累

進的あるいは逆進的なものになり得る。この指標は、ある国のタックスヘイブンとしての機

能については評価に含んでいない。これは、いくつかの国は、このことを考慮した場合に得

る評価に比べて高い評価を与えられているということを意味している(Box10参照)。

3. 通常の労働者により多くの賃金を払うこと、および特に女性の労働者権利を高めることは、

格差縮小の鍵となることも明確に示されている10。政府は、最低賃金設定と賃金水準引き上

げにより、直接的な影響を持つことができる。政府はまた、労働組合を結成・組織化するた

めの権利を支援し保護することにより間接的な影響も持つことができる。国際通貨基金(IMF)

などの機関からの報告では、近年の労働組合の組織や活動の衰退は、労働者による交渉力の

低下を招き、労働生産活動により生み出される価値が今まで以上に利益と資本家に吸収され

ていること、結果として格差が拡大していることが示されている11。 女性は、最も賃金の低

い仕事に就いている割合が男性より高く、こうした仕事においては権利の保護が貧弱で雇用

条件も不安定である。

3つの分野にまたがる政策措置は、特に支出と税制の分野において、相互補完的である。累進

的な税制はそれ自体が優れた政策であるが、累進的な支出のために使用される場合には、その影

響は飛躍的に増大する。CRI指数は、このことを国家の取組みの評価に反映している。

なぜ政府の政策をモニタリングするのか。なぜ格差の水準だけをモニタリングしないの

か。

オックスファムとDFIが格差縮小への政府の取組みを評価することを選択していることには、

3つの理由がある。

第一に、2015年に、世界中の政府が持続可能な開発目標(SDGs)を通して、格差を縮小し、貧

困を根絶することを約束した。

第二に、オックスファムとDFIは、各国における格差の水準の違いは、格差が不可避なもので

は決してなく、それは政府の政策選択の結果であると固く信じている。勿論、すべての状況にお

いて考慮に値する独自の文脈と課題があり、またこうした独自の文脈が時として有利に働くこと

も考えられる。また、すべての国が、一国では十分に制御することができない世界的な潮流や圧

力(賃金・法人税率引き下げの圧力など)にさらされており、これは開発途上国について特にい

けることである。世界各地に広がるタックスヘイブンの規制などは、政府の行政措置や取組みの

影響力が限定される明確な事例である。

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こうした世界規模の課題があるとはいえ、DFIとオックスファムは、政府は自国における貧富

の差を縮小させる大きな力を持っていると信じている。もしそうではないとするならば、各国の

政策にはこれほど大きは差異はないはずである。これが格差縮小への政府の政策面での取組みを

評価しモニタリングすることができるようになることが不可欠であることの理由である。

CRI指数を開発する最後の理由は、所得と資産を計測する既存の制度(例えば、全国家計調査)

には、そのデータの正確性などの面において大きな課題が残るという点である。社会の最も裕福

な人びとの所得と資産の過小報告が顕著な一例である。入手可能なデータは、特に最貧国につい

ては不十分なことが多く、更新の頻度も低いことから、これらを根拠に政府の責任を追求するに

は貧弱な評価尺度であるということが言える。格差の水準に関する全国調査データの対象範囲と

頻度の両面において、これらを大幅に改善することが急務である。

CRI指数の限界

CRI指数は、今のところ、各国がどのようにして格差対策に取り組んでいるかについての一つ

の評価尺度を提供する単純なツールでしかありえない。3つのそれぞれの評価軸における特定の

制約事項について後ほど詳しく考察しているが、ここではいくつかの一般的な限界について言及

しておきたい。

この指数は、格差縮小に取組む場合に必要となる個別文脈の知識および各国の格差への取組み

の背景、経緯、見通し、あるいは各政府の動きなどについての詳細分析に取って代わることはで

きない、ということは明確である。政府の取組みを最も正確に表現するために、DFIとオックス

ファムは、可能な限り各国のスタッフや関係者と協力して調査を進めた。また、オックスファム

は、活動を実施する多くの国において、当該国の格差に関する詳細報告書について作業を継続し

ており、これはそれぞれの国の事情や文脈に即してはるかに網羅的なものである。しかしながら、

こうした幅広い指数においては、いくつかの国は、その実情に反して高く評価される可能性があ

り(Box1参照)、他の国は不当に低く評価されてしまう可能性がある。しかし、こうした制約が

あるにしても全般的には、オックスファムとDFIは、全般的には、この指数が格差の危機に対処

するための政府の取組みを評価する一つの基盤を提供すると考えている。

Box1: 過去の栄光:現政権の取組みとは言えない場合

DFIとオックスファムは、この指数を、格差縮小コミットメント(CRI)指数と名付けた。

これは、我々は、格差への対処において、取組みを表明した政府が果たすことができる積極的な役割を浮き彫りにしたかったがためである。しかし、このアプローチに課題がない

わけではなく、特に指数についての初期のランキングにおいてはそうである。つまり、い

くつかの政府は前政権が策定した政策や方針によって、高評価を得ていることを意味して

いる。いくつかの国では、現政権がこうした過去の政権が導入した政策に激しく反発し、

それらを覆すことに注力している。

裕福な国の多くは、これらの国々に高評価を与えている多くの政策は、実際には前の時

代に導入されたものであり、それらは現在では深刻な脅威にさらされている。例えば、英

国では現在の政府の政策の結果として格差が広がるということを予想する向きがある12。

同様に、ラテンアメリカ全域で、格差縮小への取組みを掲げない新政権が選ばれており、

いくつかの事例では、累進的な政策を覆す動きも見られる。

例えばデンマークは、税制の評価軸において、高い税率と累進性、社会支出の多さと労

働者保護政策の充実に基づいて非常に高い評価を得ている。しかし、近年の政府は、デン

マーク経済の規制緩和の観点からこれら3つの分野全てをある範囲で見直すことに注力し

た13。 最近の調査では、過去15年間の改革がデンマークにおける格差拡大につながったこ

とが明らかになった。ドイツは、福祉国家として一目置かれており、所得の格差を大きく

縮小している。しかし、過去20年間の所得収入は圧倒的に高所得者へ回っている。その結

果、政府は格差をなくすために以前より財源を増やすことが必要となったが、近年はその

実施についてはあまり成功してこなかった。フランス政府は、33%の法人税率により高い

スコアを付与されているが、法人税率の引き下げ競争に加わりこれを28%に切り下げるこ

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6 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

とに同意した14。このことは、指数の次回バージョンに反映されることになる。新しく選

ばれたマクロン大統領は、法人税率を25%に引き下げることに前向きであることを明確に

表明しており、近々さらなる引き下げが行われるようなこともあり得る。

いずれにしても、指数のために収集されたデータの大部分は最近のものであり、また予

算に基づいたものであるため、指数は毎年の更新が可能であり、政策の変更に基づいて国々

のランクが上下することになる。ある国が最低賃金を大幅に上げたり、翌年の予算で教育

への支出を増やしたりした場合には、その国のCRI指数評価は上昇することになる。時間と

ともにこれは政府の取組みの状況をより正確に表わすものになっていくであろう。

そもそも、この指数は、政府が実施できる政策において、拡大している格差を抑え込む政策

ではなく、主として再分配措置について焦点を当てている。この指数は、労働市場をより公平

なものにするために政府がいかに介入できるのかについて考察しているが、例えば、(経済活動

に対する過度の株主支配を縮小させるための)コーポレートガバナンス、土地再分配政策、ある

いはより高い平等性を確保するための方法としての産業政策については考察していない。CRI

指数において相対的によいスコアを付けられているにもかかわらず、格差が拡大している南アフ

リカなどの国々は、これらの構造的課題を考察することなしにそれを説明することはできない。

オックスファムの最近の報告書「99%のための経済」は、直接的にこれらの課題を検討している15。

この指数は、データ提供が可能な国々のグループの最も広範なデータを取り入れることを目的

としたと同時になるべく多くの国の同一基準での比較を目指したために入手可能なデータを基

準に指標を構成せざるを得ず、結果これらの構造面での政策や他の多くの適切な指標を含める

ことができなかった。評価対象として可能性のある多くの指標が少数の国々(大抵は高所得の

国であるが)以外では入手できないため、これらは使用されなかった。格差とそれに影響を及ぼ

す要因に関するデータの補足モニタリングを改善するための大規模で協調的な取組みが、特に貧

しい国々に関して喫緊の課題である。この報告書では、後に、指数が今後改善される中で新たに

検討しうるであろういくつかの分野について触れることになる。

最後になるが、CRI指数は格差に対する取組みにおけるすべてのステークホルダーを対象とす

ることを目標にしていない。民間部門および世界銀行やIMFなどの国際機関は、裕福な個人と同

様に、重要な役割を担っている。本報告書と同時期に公表された別の報告書では、格差への取組

みにおける主要な国際機関の役割について分析している17。オックスファムやその他の団体など

による各亜への取組みを促すキャンペーンがこれらすべてのステークホルダーを対象としてい

る一方で、政府は重要な役割を担っている。民主的でその責任責任を果たす政府こそ、社会をよ

り平等にするために最も重要な役割を果たす存在であり、各国政府がこれらの3つの政策分野で

より多くのことをしない限りは、格差の危機に終わりはないだろう。

CRI指数によって明らかになったことは何か

すべての国は、上位にランクされている国も含め、より多くのことができるはずである

第1の最も重要な点は、どの国も特別によくやっているということはなく、最上位の国にして

も改善すべき余地が多分にあるということである。全体で見ると、指数に含まれる152か国中の

112か国は格差を縮小するためにできることの半分もやっていない。

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指数上位の国々

表1

保健医療、教

育、社会的保護

分野への支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策

全体

CRIラ

ンク

スウェーデン 9 8 8 1

ベルギー 4 3 24 2

デンマーク 8 9 12 3

ノルウェー 20 6 3 4

ドイツ 2 17 6 5

フィンランド 3 23 10 6

オーストリア 6 40 1 7

フランス 5 19 21 8

オランダ 19 13 9 9

ルクセンブルク 12 21 11 10

ある国の全体ランクは、3つの評価軸の各スコアの平均として計算されるものであり、3つの評

価軸のランキングの平均ではない。それぞれの評価軸の上で付与されるランクは、全体ランキン

グとは関連がない。スウェーデンの例(表1)を参照。

表2: スウェーデンの評価軸別ランキング、および全体スコア

保健医療、教

育、社会的保護

分野への支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策

全体

CRIラ

ンク

スウェーデン 9 8 8 1

スコア 0.91 0.87 0.9 0.89

指数上位の国の大半はOECD加盟国であり、スウェーデンがトップである。このように、この

ランキングの結果は人間開発指数(HDI)に類似している。裕福な国として、これらの国には、税

金をより多く払える高い収入を持つ市民と企業がより多く存在するため、累進的な形で税収を増

やす余地がある。同様に、これらの国はこうした税収を公共サービスと社会的保護制度に支出す

る余地が多い。また、これらの国々は、最低賃金を引き上げることにより、また労働者の権利と

女性の権利を保護強化することにより、賃金の格差に対処しようとしている。また、開発途上国

と比較して非公式セクターが小さいものの、不安定な雇用形態は増加の傾向にある。

裕福な国の大半については、指数によって評価対象となった主要政策は、過去に導入されたも

のである。これらの分野における重要な措置が、実行すべき正しい政策として幅広く認識され、

社会や経済の発展に寄与したのである。今日、多くの国において、産業国の政府は累進的な支出、

税制、労働者の権利保護という側面で後退しており、これらの施策に対する政治的支持は失われ

ている(Box1参照)。

もちろんこれは、これらの国々が実行できることをすべて実行しているということを意味する

ものではない。例えばランク最上位に近いドイツとデンマークは、税制をさらに累進的なものに

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8 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

していくことが可能であると思われる。しかし、OECD加盟国が格差に対処するために政策を活

用している度合いにつては大きな違いが存在する。例えば、経済的にも主要な国家である米国と

スペインは、CRI指数のランキングにおいて富裕国の中では最下位に位置している(Box2参照)。

Box2: 米国とCRI指数

米国は、世界の歴史の中で最も裕福な国であるが、何千万人もの労働者、中でも特に女

性と有色人種の人びとが貧困を余儀なくされており、格差の水準も主要産業国家の中で最

も高い部類に入る。

米国においては、OECD加盟国の多くと同様に、実効税率は実質的に法定税率(もしく

は表面税率)より大幅に低い。企業は、特に大企業であっても、連邦所得税を払っていな

い場合が多い。例えば、2012年、42.3%の企業が連邦所得税を一切払っていなかった18。

2008年から2012年にかけての実効税率は、税引き前純利益の14%でしかなかった。これに

対し、法廷税率は35%である19。2017年後半、米国議会は税法改正に取組む予定であり、

裕福な個人や大企業の税金を引き下げる模様である20。

格差に対処するための取組みの評価尺度としての教育、保健医療、社会的保護分野への

支出を用いることについては、米国ではいくつかの問題点がある。まず、支出分野におけ

る各州の施策には大きな違いがある。例えば、公共教育への財政支援に関する2015年の報

告書において、50州中の15州が州レベルの教育財政支援が逆進的な構造になっていること

が明らかになった21。米国における一人当たり保健医療支出(公共支出と民間支出の合計)

は世界の他のどの国よりも多く、一人当たりの公共保健医療支出は最上位グループに入っ

ている。にもかかわらず、米国人の健康水準は決して高くなく、平均寿命は世界で31位で

ある22。また、米国議会は、2017年中にオバマ政権時代に可決されたヘルスケア法案の主

要規定を後退させるであろう見通しだ。こうした変更により、2千4百万人以上の米国人が

健康保険を失う可能性がある。

女性や社会的弱者が受けてきた歴史的な差別から見ても、米国の労働政策は極端に不適

切なものである。連邦最低賃金は7.25ドルであり、これは4人家族が連邦貧困ライン以上に

とどまるために必要な1時間10.60ドルよりかなり低い23。政府は、2009年以降最低賃金の

引き上げを実施しておらず、インフレ調整後の値で見ると50年前よりも低い水準にある。

同様に、連邦法令は無給出産休暇の提供を雇用者に対して義務づけているだけである。他

の175か国が出産後の母親のための有給休暇を制度化していることとは対象的である。

労働組合組織率は、1983年における労働力の20.1%から2016年の約10.7%へと、憂慮す

べき速さで低下している。労働者が労働組合のある職場で組合費を払うことを回避できる

ことを規定するいわゆる「労働権」法は、2017年時点で28州で可決されており、またトラ

ンプ政権下では国家レベルの検討が進んでいる。

この報告書が浮き彫りしているように、多くの中所得国は、格差に対処するために現在行って

いることに比べてはるかに多くのことを実行できる余地がある。例えば、インドネシアの一人当

たりの所得は、1935年に社会保障法を可決した当時の米国より多い。24 さらに、インドネシア

の徴税補足率は国内総生産(GDP)の11%であり、世界で最低の部類に属している。新しい財務大

臣はこれを増やすことを優先事項とした。最近、世界開発センターの報告書で、大部分の開発途

上国は極端な貧困を撲滅するために十分な独自の財源を持っていることが明らかにされた25。ま

た、このことは、BRIC国、トルコ、南アフリカにおける格差についてのオックスファムのこれ

までの調査結果にも即している26。

Box3: 最高スコアと最低スコア

スウェーデンは最高スコアを付与され、CRI指数で首位にランキングした。同国は世界

で最も累進的な支出を行っている。また、同国は最良の部類の労働市場政策を導入してお

り、職場における女性の権利保護は世界で最も優れている。

ナイジェリアは、指数において最も低いスコアを付与されており、最下位となった。同

国の(保健医療、教育、社会的保護分野に関する)社会支出は恥ずべきほどに低く、この

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ことは市民の健康水準の低さにも反映されている。ナイジェリアでは1千万以上の児童が学

校に行っておらず、27 10人に1人が5歳まで生きられない28。アフリカ進捗パネルは、ナイ

ジェリアの何年も継続した経済成長にもかかわらず、貧困は拡大し、成長の果実の大部分

が人口の上位10%に渡ったことを明らかにした29。CRI指数では、ナイジェリアは石油から

多くの税収を得ているものの、個人所得などへの課税を通して税収を増やす余地が非常に

高く、この点でも低いスコアを付与されている。最後に、職場における労働者と女性に対

する扱いについても、同国はランキングの最低位に置かれている。

指数において上位にランキングされるOECD非加盟の大部分は、世界で最も不平等な地域であ

るラテンアメリカの国々である(Box4参照)。アルゼンチンを筆頭に、コスタリカ、チリ、ウル

グアイが続く。これらすべての国々では、政府が再分配的支出を通して、また(いくつかの国で

は)最低賃金を上げることにより、格差と貧困を縮小する積極的な取組みを行った。例えば、ア

ルゼンチンでは2003年から2013年にかけてジニ係数が0.53から0.42に低下し、30 貧困率が23%

から5.5%まで下がったが、格差縮小の40%および貧困縮小の90%が再分配政策の効果によるも

のであった31。チリは、世界的な傾向とは逆に支出増加および法人税引き上げの方向へ舵を切っ

た。残念なことに、2015年にアルゼンチンで選ばれた新政権は、教育予算の削減、および最富

裕の人びとに対する優遇税制措置の拡大を含め、これらの政策の多くを廃止する方向で動いてい

る(Box4参照)32。

低中所得国であっても、格差縮小への積極的な取組みを示すことができる。例えば、ガイアナ

は国家予算の17%を教育に支出し、12%を保健医療に支出しており、累進的な課税構造の導入に

加え、労働組合と女性の労働権に関する累進的な政策を実施している。アルメニアは、非常に累

進的な社会支出を積極的に行っている。低所得国家も格差への対処に向けた力強い取組みを行う

ことができる。例えば、エチオピアは、国家予算の22%を教育に支出しているが、これは世界

で12番目に高い。ニジェールとリベリアは、ともに指数の上位50カ国にはいるが、両国は、労

働者の権利と最低賃金について高い評価を得ており、リベリアについて見てみると、同国は適正

労働法を導入しており、最低賃金を一人当たりGDPと比較した比率は世界最高である33。リベリ

アが鉱山会社と税協定について再交渉しているように、この2か国は、累進的方法での徴税に関

して相対的にかなり高い評価を得ている。ニジェールは、教育に対する支出が大きく、かつそれ

を増やしてきており、一方リベリアはエボラ熱の流行後に保健医療に関して同様に実施した。

ナミビアは、アフリカ各国の中で最上位にランキングされている国の一つであり、中所得国

の中では5番目である。これは、CRI指数による評価と格差の実態を見る従来の評価との違いを

示す好事例である。世界で最も各亜の大きい国の一つでありながら、同国のCRIスコアが高いの

は、格差縮小へ向けたナミビア政府の取組み、特に高いレベルの社会支出(全学生に中等教育を

無償提供)および最も累進的な部類の課税政策を通しての取組みが反映された結果である。同国

の取組みは、経済学者のジョセフ・スティグリッツなどにより評価されている。格差は依然とし

て大きいものの、同国は、すでに世界で最も格差の大きな国ではなくなり、1993年以降、継続

して格差を縮小してきている。34

Box4: ラテンアメリカ: 懸念すべき方向転換35

ラテンアメリカは、一つの地域として見た場合、過去15年間で世界的な潮流に反して、

格差縮小へ向けての取組みを行ってきたといえる。勿論、いくらかの例外はあるものの、

ウルグアイ、ボリビア、アルゼンチンなどの政府は、格差に対処するための積極的な政策

を導入してきた。これら政策の大半は税収と社会支出を増やすことが中心に据えられたが、

いくつかの国では最低賃金を上げることであった。こうした取組みは指数に反映されてお

り、結果としてラテンアメリカ諸国の多くが相対的に高いランキング結果とになった。

しかし、2010年以降の世界経済の停滞および商品市場価格(当該地域の多くの国がこれ

に依存している)の下落が2015年以降の貧困率上昇を招いている。いくつかの国では、こ

のことと政府の中道右派へのシフトが相まって、格差縮小についての関心が薄れる結果を

もたらした。このように、格差縮小におけるこれまでの前進はいずれ減速し、その成果が

失われるしまう可能性は低くない。

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10 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

こうした政策の方針変更の影響は、まだ各種データには現れておらず、これらの国のジ

ニ係数などへの影響が出てくるのはさらに数年先になると予想される。これに対し、CRI

指数は主として年間予算を反映しているため、こうした変更の影響を比較的早く捕捉する

ことになる。逆進的な政策を導入している国々は、今後、政策を変更しない限りは恐らく

指数のランキングが低下し始め、チリ、ウルグアイ、エクアドル、直近ではエルサルバド

ルのように累進的な政策方針を取るラテンアメリカ諸国との間には明確な違いが出始める

ものと思われる。

評価が低い国々

表3: 152か国中のランク: 最下位にランキングされる10か国

保健医療、教

育、社会的保護

分野への支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策

全体

CRIラ

ンク

ブータン 112 124 141 143

トンガ 98 108 144 144

ベラルーシ 48 148 137 145

アフガニスタン 141 131 133 146

東ティモール 135 147 121 147

パナマ 145 114 140 148

アルバニア 87 152 59 149

ミャンマー 151 38 126 150

バーレーン 133 151 102 151

ナイジェリア 152 117 139 152

スワジランドも評価の非常に低い国の一つだ。アフリカで(また、実のところ世界で)最も

格差の大きな国の一つであり、政府は格差に対処するための方策を導入できていない。同国の社

会支出と累進的税制についての評価は極めて低く、労働者の権利保護に関する実績は乏しく指数

のランキングは低い。

インドも非常に状況が悪く、格差縮小への取組みにおいて152か国中の132番目のランキング

となっている---同国は12億人の国民を抱えており、多くは極端な貧困生活を送っていることを

考えると非常に憂慮される状況にある。オックスファムは、インドが格差を3分の1縮小するこ

とができれば、1億7千万人以上の人びとが貧困から抜け出せる可能性があると資産した36。保健

医療、教育、社会保護分野への支出は恐ろしいほどに少ない。税制構造は制度上はそれなりに累

進的であるように見えるが、実際には累進的な税金の大半は徴収されていない。職場における女

性労働者の権利と尊重に関しても評価が低く、これは大半の労働者が労働組合組織を持たない農

業分野や統計に含まれない非公式セクターで雇用されていることに起因している。

これらは、CRI指数におけるスコアやランキングの背景説明のごく一部に過ぎない。勿論のこ

と、すべての国がそれぞれの歴史的背景や独自の文脈を抱えており、それらが広く共有されてい

くことが望ましい。

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11

CRI指数と実際の格差水準の関係

この報告書は、格差の実態についても考察している。指数そのものは格差の実態を評価するも

のではないが、第5章において各国における格差およびさまざまな指標とその限界について、概

念的にまたデータを示して考察している。この報告書は、上位10%と下位40%の人びとの所得を

比較するパルマ比率を用いている。パルマ指数は、この調査の目的に照らして、格差の評価基準

としては最良のものであると考える。所得分配の極端な偏りについて注目していることがその理

由である(一方、ジニ係数は、中間層の所得に対して焦点を置いており、上位の所得の重要性を

さほど評価していない)。パルマ比率が相対的な所得比率を計測しているのに対して、オックス

ファムの報告書「1%のための経済」は、経済成長の果実における最大部分が上位10%の手に渡

っているという絶対値を明らかにしている。パルマ比率は、7(南アフリカのような国では、上

位10%の人びとの所得が下位40%の人びとの所得の7倍である)から1(スウェーデンのように、

上位10%と下位40%の人びとの所得が同じであるケース)未満まで分布している。オックスファ

ムとDFIは、すべての国はパルマ比率1未満を目標にすべきであるという立場を維持している。

この指数は、富の格差に関する評価指標を取り入れていないが、これは特に低所得国について

データが入手できないという単純な事情による。残念ながらデータに制約があるため、ダボス会

議向けのオックスファムの最近の報告書37 で行ったようなグローバルな富の格差の比較を各国

で再現するということは多くの国でできない。大部分の国は、所得の格差よりはるかに大きな富

の格差を抱えている。例えば、ドイツには欧州の標準からみるとかなり高い富の格差が存在して

いるが、これまでの政権はこれに対処できずにいた。あるいは、逆進的な政策によりこれを拡大

させてしまった38。オックスファムならびにDFIは、富の格差について継続して懸念をもってい

るが、前述のように、十分な数の国に関してデータを入手できないため、CRI指数は土地や財産

などの資産に対する課税のように、富に対処することを目的とした特定の政策について考察でき

ていない。我々は、将来の指数にこうした税制の評価を取り込むことを検討し、富の格差および

それにいかに対処するかということが、従来同様、ダボス世界経済フォーラムに向けたオックス

ファム報告書の主要な焦点としていきたい。

最も高い評価分野と最も低い評価分野

152か国全体において、政策の違いがスコア、そして評価にに大きな違いをもたらしている。

それぞれの評価軸には以下が含まれている。

多くの国が社会的支出に関して比較的高い評価を得ている。これらの国々は、社会的保護

制度へ支出している割合(予算の19%)が教育(15%)や保健医療(11%)より高い。教

育と保健医療に対する支出レベルの平均値は、SDGs達成のために必要となる支出の水準

(それぞれ20%、15%)よりかなり低い。これらの分野で達成すべき支出割合については、

アブジャ宣言およびインチョン宣言の一環として多くの国々が公約として掲げている39。低

所得国と低中所得国の大半において、社会的保護分野への支出は基本的な社会的保護制度

に最低限必要な水準(バチェレ委員会ではこれをGDPの3-5%と見積っている)よりかなり

低い水準にとどまっている40。世界の大半の国において、3分野すべてに対する支出を今後

飛躍的に増やしていくことが必要である。

多くの国は、社会支出の恩恵が裕福な市民より最も貧しい市民に多くもたらされ、それに

より格差が縮小するという点については評価は低くなっている。評価対象となった国のう

ち約3分の2の国では、社会支出がジニ係数に及ぼす効果は良くても中立的なものであり、

それを小さくする効果は認められていない。多くの国において、社会支出が最も貧しい市

民にも分け隔てなく、公的な無償のサービスとして行き渡るためにはまだ多くのことが実

施される必要がある。

税制に関しては、多くの国で累進的な課税構造を持つことについての評価は低下の傾向に

ある。累進性を持つ法人所得税と個人所得税が課せられるときの税率は低下しており、現

在の平均値はそれぞれ24.5%と30%である。一方、累進性が低い付加価値税の税率は上昇し

ており、現在の平均値は15%である。こうした傾向を逆転させ、累進的な租税の税率を高

くし、かつ日常食品や小規模事業者に対する免税など、付加価値税の逆進性を低くするこ

とを確実に実行していくことが不可欠である。

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12 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

殆どの国は所得税徴収の面でも非常に低い評価となっており、これらの租税の捕捉率レベ

ルの平均値は付加価値税が40%であるのに対してわずか15%程度である。格差への取組み

を強化するという観点から、多くの国々は、大企業を対象とした免税措置や裕福な個人を

対象とした減税措置などの優遇税制を見直し、租税条約の再交渉およびタックスヘイブン

の規制により、法人・個人所得税の超税率を高めていくことが必要である。

労働政策については、平均最低賃金は一人当たりGDPのわずか3分の1である。ジェンダー

の同一賃金および雇用時の差別の廃止を義務づける法律を持っているのは、152か国の半数

程度だが、法律は存在しているがその執行についてのスコアは非常に悪く、労働者の権利

に関する指数について10点中4点(平均値)しか取っていない国が多い。加えて、世界全体

では、失業中であることにより労働者の9%が労働者としての権利を行使できず、非公式セ

クターで働いていることにより32%は労働者の権利を保護する法律に守られていない。さ

らに35%の労働者が法律の要求する基準に満たない雇用契約により権利の範囲を狭められ

ている。各国は、最低賃金を引き上げ、男女平等に関する法律を強化し、労働者の権利に

関する法律をより厳格に執行し、法律の要求する基準に満たない雇用契約の下で働いてい

る労働者の権利保護と最低賃金の改善が必要である。

以下で述べるように、所得水準の違いにより国によって様相が大きく異なる。

開発途上国は、予算の16%を教育に支出しているが、これに対しOECD加盟国ではわずか

12%である。しかし、国の歳入が小さくなるにしたがい、保健医療への支出比率も低下し

(OECD加盟国が15%であるのに対して低所得国家は8%)、また社会的保護分野への支出比

率も低下している(OECD加盟国が37%であるのに対して低所得国家は6%)。

開発途上国(特に低所得国)は、日常食品と小規模事業者に対する付加価値税の免除およ

び高い法人税率により、制度上はOECD加盟国に比べてより累進的な税制度を持っているケ

ースが多い。とはいえ、OECD加盟国は、所得税をより効率的に徴収しているため、より効

果的に格差を縮小している。所得水準に応じて国ごとに優先順位は異なる。つまり、OECD

加盟国は税制構造の改善(貧困者支援のための付加価値税免税制度の拡充および法人税率

の引き下げ競争への歯止め)が必要があり、開発途上国(特に中所得国)は個人・法人所

得税をより多く徴収する必要があり、OECD加盟国と中所得国以上の国はタックスヘイブン

慣行を終わらせることが必要である。

OECD加盟国は、一般的に労働者の権利とジェンダーへの取組みに関しては開発途上国より

も一般的に高いスコアを付与されている。これはもっぱら関連した法制度および有給出産

休暇制度が存在することによる。一方、低所得国は、少数の政府が将来を見据えて最低賃

金を引き上げていることにより、法定最低賃金に関して高評価を得ている(とはいえ、実

行面での課題が残っている可能性はある)。開発途上国の多くは、今後、労働者の権利とジ

ェンダーに関する法律を導入し強化していくことが必要であり、多くのOECD加盟国と中所

得国は最低賃金を引き上げることに注力することが必要である。

改善の余地とさらなる発展に向けて

経済的格差およびジェンダー

支出、税制、労働者の権利の3つの分野のそれぞれにおいて、経済的格差に対処するための措

置はジェンダー格差に対処するための措置と重なる部分がとても多い。ジェンダー格差は貧富の

格差拡大に拍車をかけていると同時に、世界各国において拡大しつつある格差がジェンダー格差

への取組みをより困難なものとしている。オックスファムは、報告書「女性と1%(Women and the

1%)」において、経済的格差に対する闘いはジェンダー格差との闘いと密接につながっていると

いうことを明らかにした41。女性は、逆進的な税制および公共支出の水準の低さや逆進性により

最も影響を受ける立場に置かれ、また、制度ならびに社会的慣習が自らの権利のための組織化を

制限している状況の中で、最も不安定かつ最低水準の賃金で働く立場に一貫して置かれている。

彼女らは、家事育児などの無償労働の大半も引き受けており、そのため公共サービスへの財政支

援が不十分な場合には最も影響を受け、格差がさらに定着する結果を招いてしまう。

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この報告書の各章ではジェンダーについて具体的に考察している。残念なことに、データ入手

の制約により、具体的な指標への反映は労働分野にとどまっている。現状では、この指数の目的

に照らしてジェンダーの観点から支出と税制分野のいずれもを考察するための十分に細分化さ

れたデータは存在していない。ジェンダー予算制度を導入し、継続してして実施している国は数

カ国にすぎない。ジェンダー格差解消に向けて予算計上することが有益であるということの証左

は十分に示されているものの、税制と支出の政策が及ぼすジェンダー格差への影響を各国比較し

て評価することは現状不可能である。オックスファムは、ジェンダー予算制度の導入とこの分野

におけるデータの収集へ向けた取組みを強力に支援している。

経済的格差と若者

若者と高齢者の間の格差は世界で拡大している。増加した世界の富の多くが富裕層に渡ってい

るが、このことは多くの若者に対して、厳しい現実と不確かな未来を突きつけている。極端な経

済格差は社会的流動性を制限することが明らかになっているが、42 これは貧しい親の子どもはい

つまでも貧しいままであるということを意味している。多くの国において若者は今日、恵まれた

出自を持たない限り、富裕層とその他の人びとの間に広がる大きく、かつ拡大する格差のため、

才能と能力を開花させる機会を奪われている。

累進的な社会支出と累進的税制は、世代間で直接引き継がれる資産を減らすことにより、また

すべての人の手が届く教育と保健医療サービスにより多く支出するために財源を使うことによ

り、若者と高齢者の間で拡大している格差の進行に対抗することができる。このことは特に教育

についていえることである。公的な教育が非常に限られており、教育を民間部門に依存している

国では、多くの若者(特に女児)は教育の機会を奪われている。同様に、労働者の権利保護の強

化は若者が公平な賃金を確保する上で重要な役割を果たす。最低賃金に関する制度の多くは若者

には適用されていないため、適応範囲の拡大が必要である。

経済的格差、エリートによる支配および政治参加

何十年も前になるが、米最高裁判事のルイ・ブランディス(Louis Brandeis)は有名な言葉を

残した。「極端な格差と民主主義。そのどちらかが存在することはあり得るが、両者が同時に存

在することはありえない」。一部エリートとその他の人びとの間の格差拡大に直面している国で

は、政治家は民主主義を弾圧し、また市民社会のための活動を制約する動きがある43。すべての

人びとの権利と声を重んじる包括的政策決定プロセスは、そのこと自体が自己目的として重要で

あるが、最良の政策を確保するためにも重要である。逆に、エリートに支配される政策決定プロ

セスは、民主主義を弱体化させ、主としてこれらエリートに恩恵を与える政策に帰着することが

明らかにされている44。

現在のところ、CRI指数は政治参加の自由や腐敗・汚職についての明確な評価尺度を持ってい

ない。しかし、低い評価となった国の多くは、高いレベルの腐敗と低いレベルの政治参加が存在

している国でもある。これらの国は、広範囲の利益供与と恩顧主義のネットワークを持っており、

エリートによる政府、メディア、企業の支配が高いレベルにある。指数はこうしたことを直接的

に計測していないが、政府の評価の低さ、腐敗と脆弱なガバナンスの間には関連性があることは

明確である。腐敗やガバナンスおよび政治参加(特に女性の参加)に関する指標の導入の検討を

含め、このことの関連性は、オックスファムならびにDFIが今後深めたいテーマの一つである。

格差に関連する他の政策

格差を縮小するために政府が措置を講じることができる分野は、社会支出、税制、労働者の権

利だけではない。他の政策、例えば、中止企業支援、農村開発支援、金融サービスへのアクセス

改善は、格差縮小の影響を持ちうる。しかし、支出、税制、労働者の権利に関する協調的な措置

は、効果的な格差縮小への取組みに繰り返し見られる施策である。よって、格差への取組みを進

める政府は、これら3つの分野における施策を優先すべきだろう。

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14 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

農業分野への支出についての数値は、CRI指数には含まれていないが、これは恐らく最貧困層

の大部分の人びと(大半は女性)が農業に従事している開発途上国の大多数の国において格差を

縮小するための中心的な政策である。アフリカ各国政府は、予算の10%を農業分野に支出するこ

とを公約としているが、他の開発途上国にも同様な対応を求めることはできるだろう。産業国に

ついて何が求められるのかは明確ではない。これは、特に、これらの国の農業投資の多くは補助

金の体裁をとっており、最も貧しい人びとへの恩恵につながらないことができないことが多いた

めである。こうした状況ではあるが、DFIとオックスファムは、農業分野への支出をCRI指数を

今後改善していく中で、開発途上国の評価項目の一部として含めることを検討したい。

同様に、気候変動の影響を最も受けるのは最も貧しい地域の人びとである可能性が高いにもか

かわらず、45 気候変動の原因となっているのは、相変わらず最も裕福な地域の人びとである46。

気候変動への適応策に関する支出についても、何らかの方法で、今後の指数の評価項目として検

討したい。

この仮説はまだ試されていないが、格差縮小のための社会支出、税制、労働者の権利に関する

措置について、これを他の政策的介入を通して格差に対処することへの政府の一般的アプローチ

を示唆するものとして捉えることは合理的である。このような意味でも、CRI指数は、対象国の

人間開発の全体的な水準を評価するため、3つの重要な項目(平均寿命、教育、一人当たり所得)

を評価する人間開発指数に類似している。人間開発の全容や評価はこれらの3つの政策よりも明

らかに複雑であるとしても、人間開発指数は有益な役割を確実に果たしている。

提言

1. より良いデータ

政府、国際機関、その他のステークホルダーは、格差と関連政策に関するデータを大幅かつ

早急に改善し、また格差縮小における進捗状況を正確かつ定期的にモニタリングすることが

必要である。

この報告書の全体を通して、我々は、データの制約が格差縮小における進捗状況の確実な

評価を阻害している多くの分野について言及している。しかし、国民が導入された政策とそ

の結果について理解し、政府に対して説明責任を問うことができることは必要不可欠である。

格差に関するデータは今でも極端に不足しており、不十分なものである。支出、税制、労働

者の権利に関する情報はSDGsのモニタリングプロセスの一環としても定期的に収集される

必要がある。さらに、追加的に優先すべきデータ項目が広範囲に存在する(特に、ジェンダ

ーと若者、社会的保護分野への支出、キャピタルゲイン課税と財産/富への課税、最低賃金、

法律の基準に満たない雇用などに関する政策の格差への影響についてのデータである)。

2. 政策の格差縮小への影響

政府と国際機関は、提案された政策の分配効果を分析し、格差縮小への効果をその判断基準

として、政策方針を選択決定することが必要である。

政策の格差縮小への影響分析がないとデータはほとんど意味をなさない。格差に関する政

府政策の効果分析(より多くの国を対象にした、より定期的な、またより広範な政策分野に

おける分析)への投資を強化することが必要である。優先順位が高いのは、すべての国にお

ける支出の組み合わせと影響度合いの分析、税制の影響度合いと徴税努力/潜在力の分析、タ

ックスヘイブンへの対応、労働者の権利保護に関する制度と対象範囲や実施状況の分析、ジ

ェンダー平等と最低賃金の分析である。

3. 政策の導入と実施

政府は、累進的な支出、税制、労働者の賃金と保護に関する取組みを飛躍的に改善すること

が必要である。

最も裕福な企業と個人の課税を強化し、また脱税ならびに租税回避、法人税などの「引き

下げ競争」を終わらせることが必要である。公共サービスと社会的保護分野に関する支出を

増加、改善することが必要である。予算のモニタリングに市民が参加し、公共支出をモニタ

リングすることが必要である。労働者に対してより良い賃金と権利の保護が求められる。次

章でCRI指数の全体ランキングを、それ以降の章でCRI指数が計測した3分野(社会支出、税

制、労働者の権利)のランキングを掲載する。最終章で経済格差の水準について考察する。

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CRI2016で明らかになったこと

各国の世界全体でのCRIランキングと世界の地域ごとのランキングを示す。計測された各分野

(支出、税制、労働関連)についての章がその後に続く。最後に、CRI指数と格差の評価基準(特

に、パルマ比率)の関連性を考察している短い章が続く。

CRI指数では、それぞれの国は各指標について0から1までのスコアを与えられ、次に、そのス

コアに基づいて当該指標におけるランクがつけられる。その次に、これらのスコアの平均値が出

され、全体ランキングが付与される。平均値で見ているため、ある国の全体の平均スコアが高く

ても、3つの計算軸におけるランキングは全体ランクほど高くないということがある。

例えばスウェーデン---トップランキングの国(表1参照)---は、税制、社会支出、労働者の権

利の計算軸それぞれで8位、9位、8位となっている。その平均スコアは、全体ランキングのトッ

プになるために十分に高いスコアである。

表4: スウェーデンのランキング---計算軸ごとと全体

保健医療、教育、社

会的保護分野への

支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策

全体

CRIラ

ンク

スウェーデン 9 8 8 1

スコア 0.91 0.87 0.9 0.89

表5: CRI指数2016の総合順位表

保健医療、教育、

社会的保護分野へ

の支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策 全体 CRI

ランク

スウェーデン 9 8 8 1

ベルギー 4 3 24 2

デンマーク 8 9 12 3

ノルウェー 20 6 3 4

ドイツ 2 17 6 5

フィンランド 3 23 10 6

オーストリア 6 40 1 7

フランス 5 19 21 8

オランダ 19 13 9 9

ルクセンブルク 12 21 11 10

日本 7 43 4 11

アイスランド 24 27 7 12

アイルランド 1 53 19 13

オーストラリア 27 4 25 14

カナダ 30 7 16 15

イタリア 17 14 29 16

英国 28 31 5 17

スイス 14 86 2 18

ポルトガル 18 29 30 19

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16 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

保健医療、教育、

社会的保護分野へ

の支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策 全体 CRI

ランク

スロベニア 13 56 22 20

南アフリカ 29 1 54 21

マルタ 37 2 26 22

米国 25 26 37 23

チェコ共和国 10 104 14 24

ギリシャ 11 60 46 25

アルゼンチン 34 16 36 26

スペイン 16 48 55 27

ハンガリー 21 85 32 28

イスラエル 38 42 23 29

ニュージーランド 15 115 35 30

キプロス 42 38 27 31

スロバキア共和国 23 128 20 32

クロアチア 44 32 39 33

コスタリカ 32 36 77 34

ポーランド 22 121 38 35

ウルグアイ 33 44 81 36

非占領パレスチナ地域 91 79 13 37

エストニア 26 127 43 38

チリ 36 58 76 39

ナミビア 41 52 64 40

ニジェール 125 51 17 41

リベリア 108 96 18 42

ガイアナ 68 72 40 43

チュニジア 40 20 130 44

コロンビア 51 50 84 45

ラトビア 31 145 28 46

ボリビア 43 77 85 47

モーリシャス 62 108 45 48

レソト 76 46 57 49

ルーマニア 57 132 31 50

韓国 45 67 93 51

モザンビーク 70 35 72 52

ジンバブエ 69 25 88 53

ブルキナファソ 104 87 33 54

トルコ 59 55 83 55

マラウイ 115 18 51 56

エクアドル 80 41 60 57

アルメニア 47 92 80 58

ジブチ 92 12 0 59

サモア 46 118 61 60

ギニア 136 122 15 61

ヨルダン 86 15 90 62

セーシェル 102 10 0 63

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17

保健医療、教育、

社会的保護分野へ

の支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策 全体 CRI

ランク

ジョージア 63 5 138 64

タジキスタン 81 111 41 65

トーゴ 114 112 34 66

エルサルバドル 60 63 102 67

メキシコ 35 125 91 68

キリバス 56 75 100 69

タイ 61 22 136 70

ベナン 94 47 70 71

パプアニューギニア 117 71 52 72

トリニダードトバゴ 84 73 68 73

シエラレオネ 111 103 47 74

ソロモン諸島 54 89 121 75

モンゴル 66 123 62 76

カザフスタン 90 39 98 77

タンザニア 118 24 92 78

ブルガリア 52 144 44 79

ベトナム 109 74 65 80

ネパール 110 69 71 81

アルジェリア 89 83 78 82

リトアニア 49 141 49 83

ザンビア 82 37 123 84

ロシア連邦 58 66 132 85

シンガポール 65 105 96 86

中国 67 94 107 87

ブルンジ 73 76 116 88

キルギス共和国 55 117 111 89

ペルー 77 57 126 90

モルジブ 71 136 58 91

セントルシア 85 84 0 92

ルワンダ 123 81 73 93

ケニア 131 88 53 94

アゼルバイジャン 134 28 75 95

ホンジュラス 132 49 66 96

エチオピア 105 54 103 97

マリ 93 61 113 98

マウリタニア 143 11 63 99

ドミニカ共和国 74 78 128 100

インドネシア 121 34 114 101

ガーナ 124 45 104 102

モロッコ 99 140 50 103

セルビア 39 139 0 104

ボツワナ 78 62 134 105

マレーシア 96 30 135 106

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18 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

保健医療、教育、

社会的保護分野へ

の支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策 全体 CRI

ランク

モルドバ 50 143 69 107

コンゴ民主共和国 107 82 105 108

グアテマラ 72 110 124 109

コンゴ共和国. 126 93 79 110

カンボジア 137 137 42 111

ガンビア共和国 95 95 115 112

コートジボワール 100 134 67 113

フィリピン 101 80 122 114

バルバドス 97 100 0 115

パラグアイ 79 129 97 116

ウガンダ 127 68 94 117

アンティグアバーブーダ 88 114 0 118 セントビンセントグレナデ

ィーン 64 133 0 119

バヌアツ 120 97 110 120

セネガル 116 106 112 121

中央アフリカ共和国 147 135 48 122

アンゴラ 139 90 82 123

ジャマイカ 106 126 95 124

イエメン共和国 119 99 129 125

エジプト・アラブ共和国 75 102 143 126

フィジー 129 109 106 127

ギニアビサウ 113 138 99 128

カーボベルデ 103 142 89 129

サントメプリンシペ 122 119 0 130

レバノン 138 101 108 131

インド 149 91 86 132

カメルーン 144 64 119 133

ラオス人民民主共和国 150 33 87 134

マダガスカル 128 150 56 135

オマーン 130 146 74 136

ハイチ 140 120 109 137

スリランカ 142 59 131 138

パキスタン 146 98 118 139

スワジランド 83 130 142 140

バングラデシュ 148 65 127 141

ウクライナ 53 149 117 142

ブータン 112 124 141 143

トンガ 98 107 144 144

ベラルーシ 48 148 137 145

アフガニスタン 141 131 133 146

東ティモール 135 147 120 147

パナマ 145 113 140 148

アルバニア 87 152 59 149

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19

保健医療、教育、

社会的保護分野へ

の支出

税制の累進的

構造と影響度

格差に対処す

るための労働

市場政策 全体 CRI

ランク

ミャンマー 151 70 125 150

バーレーン 133 151 101 151

ナイジェリア 152 116 139 152

地域別ランキング

アジア

過去20年間のアジアの驚異的な経済成長は、貧困との闘いにおける顕著な成功物語である。

しかし、この成長は貧富格差の急速な拡大も引き起こした。ムンバイやバンコクなどの都市では、

人びとが基本サービスなしに、また風雨を避けるものが殆どない状態で暮らしているスラム街に

沿って最新のマンションやオフィスタワーが立ち並んでいる。アジアには、世界で最も速く格差

が拡大している国がいくつかある。1960年代から1980年代にかけてのこの地域の成長は、その

果実を受け取る層の広さの点で目を見張るものであったが、最近の成長はそれが一部の人びとに

とどまるものであった。これの原因の一つは、企業や個人に対する広範囲な優遇税制措置および

基準税率の引き下げなどの上位クラスの人びとに恩恵を与える最近の政策にあった。

表6と表7は、それぞれ東アジア・大洋州地域と南アジア地域の国々についての指標ごとの個

別ランキングおよび全体ランキングを示している。

表6: 東アジア・大洋州地域

東アジア・大洋州地域(EAP)

保健医療、

教育、社会

的保護分野

への支出

支出

ラン

税制の累進

的構造と影

響度

税制ラ

ンク

格差に対処

するための

労働市場政

労働関

連ラン

CRIス

コア

地域

CRI

ラン

日本 0.93 1 0.62 6 0.93 1 0.82 1

オーストラリア 0.70 3 0.91 1 0.74 2 0.78 2

ニュージーランド 0.84 2 0.38 19 0.68 3 0.60 3

韓国. 0.44 4 0.53 7 0.36 9 0.44 4

サモア 0.43 5 0.35 20 0.48 6 0.42 5

キリバス 0.36 7 0.51 11 0.34 11 0.40 6

タイ 0.35 8 0.72 2 0.18 21 0.39 7

パプアニュー

ギニア 0.19 16 0.52 9 0.53 5 0.39 8

ソロモン諸島 0.39 6 0.46 13 0.28 17 0.38 9

モンゴル 0.31 10 0.33 21 0.48 7 0.37 10

ベトナム 0.20 15 0.51 10 0.46 8 0.36 11

シンガポール 0.32 9 0.41 16 0.35 10 0.36 12

中国 0.31 11 0.45 14 0.31 13 0.35 13

インドネシア 0.18 18 0.67 5 0.30 15 0.33 14

マレーシア 0.22 12 0.69 3 0.18 20 0.32 15

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20 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

カンボジア 0.11 21 0.24 22 0.60 4 0.31 16

フィリピン 0.21 14 0.49 12 0.28 18 0.31 17

バヌアツ 0.18 17 0.44 15 0.31 14 0.29 18

フィジー 0.14 19 0.39 18 0.31 12 0.26 19

ラオス 0.04 22 0.67 4 0.24 20

トンガ 0.22 13 0.40 17 0.20 21

東ティモール 0.12 20 0.10 23 0.29 16 0.17 22

ミャンマー 0.02 23 0.53 8 0.27 19 0.15 23

表7: 南アジア地域

南アジア (SA)

保健医療、

教育、社会

的保護分野

への支出

支出

ラン

税制の累進

的構造と影

響度

税制ラン

格差に対処

するための

労働市場政

労働関

連ラン

CRIス

コア

地域

CRI

ラン

ネパール 0.20 2 0.53 3 0.45 2 0.36 1

モルジブ 0.29 1 0.25 8 0.50 1 0.35 2

インド 0.07 8 0.46 4 0.40 3 0.25 3

スリランカ 0.09 5 0.55 1 0.23 6 0.22 4

パキスタン 0.08 6 0.43 5 0.29 4 0.22 5

バングラデ

シュ 0.07 7 0.53 2 0.26 5 0.21 6

ブータン 0.20 3 0.32 6 0.21 7

アフガニス

タン 0.09 4 0.27 7 0.20 7 0.17 8

アフリカ

世界で最も不平等な7か国はアフリカの国である47。アフリカ全体で、格差は、貧困を減らし、

共有される繁栄を生み出すための成長力を阻害している。格差は新しい中間層の出現を妨げてい

る。一方、経済成長の恩恵は、大抵の場合、少数の人びとに集まっている。貧富の格差は、ラテ

ンアメリカは別として、世界の他のどの地域よりも大きく、多くのアフリカ諸国ではこの格差が

拡大している。赤道ギニアは高所得国家であり、一人当たりの所得はスペインより多いが、幼児

の死亡率はブルンジよりかなり高い48。表8は、CRI指数に含まれているサハラ砂漠以南のアフ

リカの国々についての計算軸ごとのランキングと全体ランキングを示している。

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21

表8: サブサハラ・アフリカ

サブサハラ・アフリカ (SSA)

保健医療、

教育、社会

的保護分野

への支出

支出

ラン

税制の

累進的

構造と

影響度

税制ラ

ンク

格差に対

処するた

めの労働

市場政策

労働関連

ランク

CRIスコ

地域

CRI ラ

ンク

南アフリカ 0.67 1 1.00 1 0.51 11 0.72 1

ナミビア 0.45 2 0.58 13 0.46 15 0.49 2

ニジェール 0.16 30 0.59 12 0.83 2 0.48 3

リベリア 0.20 20 0.45 27 0.82 3 0.47 4

モーリシャス 0.34 3 0.39 30 0.59 6 0.44 5

レソト 0.28 7 0.61 10 0.50 13 0.44 6

モザンビーク 0.29 5 0.65 7 0.44 18 0.44 7

ジンバブエ 0.30 4 0.71 6 0.39 22 0.44 8

ブルキナファソ 0.20 17 0.47 22 0.68 4 0.43 9

マラウイ 0.19 24 0.76 4 0.54 9 0.43 10

ギニア 0.12 35 0.34 34 0.85 1 0.42 11

セーシェル 0.21 15 0.82 2 0.41 12

トーゴ 0.19 23 0.39 31 0.68 5 0.41 13

ベナン 0.22 12 0.61 11 0.45 17 0.39 14

シエラレオネ 0.20 21 0.41 28 0.56 7 0.38 15

タンザニア 0.18 26 0.72 5 0.37 24 0.37 16

ザンビア 0.25 9 0.65 8 0.28 35 0.36 17

ブルンジ 0.28 6 0.51 19 0.30 33 0.35 18

ルワンダ 0.18 28 0.49 20 0.44 19 0.34 19

ケニア 0.14 34 0.46 23 0.52 10 0.34 20

エチオピア 0.20 18 0.58 14 0.33 27 0.34 21

マリ 0.22 11 0.55 15 0.30 31 0.33 22

モーリタニア 0.09 37 0.81 3 0.46 14 0.33 23

ガーナ 0.17 29 0.62 9 0.32 28 0.33 24

ボツワナ 0.27 8 0.55 16 0.20 36 0.32 25

コンゴ.民主共和

国 0.20 19 0.48 21 0.32 29 0.32 26

コンゴ共和国 0.15 31 0.45 25 0.41 20 0.31 27

ガンビア 0.22 13 0.45 26 0.30 32 0.31 28

コートジボワー

ル 0.21 14 0.27 36 0.45 16 0.31 29

ウガンダ 0.14 32 0.53 18 0.35 25 0.30 30

セネガル 0.19 25 0.40 29 0.30 30 0.28 31

中央アフリカ共

和国 0.08 39 0.27 37 0.56 8 0.28 32

アンゴラ 0.11 36 0.46 24 0.40 21 0.28 33

ギニアビサウ 0.19 22 0.24 38 0.34 26 0.26 34

カーボベルデ 0.20 16 0.17 39 0.38 23 0.25 35

サントメプリン

シペ 0.18 27 0.35 33 0.25 36

カメルーン 0.09 38 0.53 17 0.29 34 0.24 37

マダガスカル 0.14 33 0.07 40 0.51 12 0.23 38

スワジランド 0.25 10 0.28 35 0.13 38 0.22 39

ナイジェリア 0.00 40 0.38 32 0.15 37 0.05 40

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22 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

ラテンアメリカ

ラテンアメリカは、世界で最も不平等な地域である。この地域は植民地開拓の歴史で開発され、

土地への集中が少数のエリートを潤し、最貧の人びと、特に先住民や女性から権利を奪った。こ

うした歴史ではあったが、過去15年間でこの地域は格差縮小の方向へ舵を切った。多くの例外

はあるが、ウルグアイ、ボリビア、アルゼンチン、および他の国々の政府は格差を縮小するため

に重要な改革を展開した。農産物からの公共収入が公共サービスと社会的保護制度への支出増加

に使われた。いくつかの国では、最低賃金も引き上げられた。このことはCRI指数に反映され、

ラテンアメリカ諸国の多くが高い評価を与えられている(表9参照)。

この地域は、現在、農産物価格下落に起因する不況に直面している。2015年に、この地域は1980

年代後半以降で最も高い貧困率上昇を経験しており、また多くの国において政府が交代したこと

により、ここ何年かの成果を脅かす政策シフトが始まっている。49

表9: ラテンアメリカおよびカリブ海地域

ラテンアメリカおよびカリブ海地域 (LAC)

保健医療、

教育、社会

的保護分

野への支

支出

ラン

税制の累進的構

造と影響度

税制

ラン

格差に対処す

るための労働

市場政策

労働関

連ラン

CRIス

コア

地域

CRI ラ

ンク

アルゼンチ

ン 0.54 3 0.77 1 0.67 1 0.65 1

コスタリカ 0.63 1 0.65 2 0.42 7 0.57 2

ウルグアイ 0.57 2 0.62 4 0.40 8 0.53 3

チリ 0.52 5 0.56 8 0.42 6 0.50 4

ガイアナ 0.30 10 0.52 10 0.61 2 0.47 5

コロンビア 0.41 7 0.59 6 0.40 9 0.46 6

ボリビア 0.44 6 0.50 12 0.40 10 0.44 7

エクアドル 0.25 15 0.64 3 0.49 3 0.43 8

エルサルバ

ドル 0.35 8 0.55 9 0.33 14 0.40 9

メキシコ 0.53 4 0.32 20 0.38 11 0.40 10

ドミニカ 0.28 12 0.50 13 0.25 18 0.33 15

トリニダー

ドトバゴ 0.24 16 0.51 11 0.45 5 0.39 11

ペルー 0.27 13 0.56 7 0.26 17 0.35 12

セントルシ

ア 0.24 17 0.48 14 0.34 13

ホンジュラ

ス 0.13 21 0.59 5 0.46 4 0.34 14

グアテマラ 0.29 11 0.39 16 0.27 16 0.31 16

バルバドス 0.22 19 0.43 15 0.30 17

パラグアイ 0.27 14 0.29 22 0.34 13 0.30 18

アンティグアバ

ーブーダ 0.23 18 0.38 18 0.30 19

セントビン

セントグレ 0.32 9 0.27 23 0.30 20

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23

ナディーン

ジャマイカ 0.20 20 0.31 21 0.35 12 0.28 21

ハイチ 0.10 22 0.35 19 0.31 15 0.23 22

パナマ 0.08 23 0.38 17 0.15 19 0.17 23

高所得・OECD加盟国

最も高所得の国々において、過去30年間で貧富の格差が拡大してきている。何年にもわたり

格差を縮小してきた後にこの傾向が現れてきたため、国家の富が一定のレベルに達すると、ある

程度の格差の拡大は避けられないとの考えが生じた50。第二次世界大戦の終焉時に、高所得国家

の多くが高いレベルの累進的税制、強力な福祉行政、強力な労働者保護を展開した。こうした政

策の組み合わせは、世界で最も平等ないくつかの国を生み出した---こうした状況が、高所得の

国々の大半がCRI指数のトップに入る、という事実に反映されている(表9参照)。しかし、ここ

数十年、デンマークや米国など多くの裕福な国々において、こうした政策が徐々に後退してきて

いる。IMFやOECDなどの機関はこうした状況を格差拡大の原因と捉えている。例えば労働組合

加入の減少は、格差拡大の直接的な原因であるとIMFは捉えている。

表10: 高所得の国々

高所得の国々 (HIC)

保健医

療、教

育、社会

的保護

分野へ

の支出

支出ラ

ンク

税制の累進的

構造と影響度

税制ラ

ンク

格差に対

処するた

めの労働

市場政策

労働関

連ラン

CRI

スコ

CRI ラ

ンク

スウェーデン 0.91 9 0.87 6 0.90 8 0.89 1

ベルギー 0.96 4 0.96 2 0.76 20 0.89 2

デンマーク 0.92 8 0.85 7 0.88 12 0.88 3

ノルウェー 0.81 20 0.90 4 0.95 3 0.88 4

ドイツ 0.97 2 0.78 12 0.91 6 0.88 5

フィンランド 0.97 3 0.74 15 0.89 10 0.86 6

オーストリア 0.94 6 0.66 22 1.00 1 0.86 7

フランス 0.96 5 0.75 13 0.81 17 0.84 8

オランダ 0.81 19 0.80 9 0.90 9 0.83 9

ルクセンブルク 0.87 12 0.74 14 0.89 11 0.83 10

日本 0.93 7 0.64 24 0.93 4 0.82 11

アイスラン

ド 0.74 24 0.72 17 0.90 7 0.79 12

オーストラリア 0.70 27 0.93 3 0.74 21 0.79 13

アイルランド 1.00 1 0.59 27 0.82 15 0.79 14

カナダ 0.64 29 0.87 5 0.84 14 0.78 15

イタリア 0.82 17 0.80 10 0.70 25 0.77 16

英国 0.68 28 0.69 19 0.92 5 0.76 17

スイス 0.85 14 0.48 35 0.98 2 0.75 18

ポルトガル 0.81 18 0.71 18 0.70 26 0.74 19

スロベニア 0.85 13 0.58 28 0.81 18 0.74 20

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24 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

マルタ 0.51 34 1.00 1 0.73 22 0.72 21

米国 0.72 25 0.73 16 0.66 30 0.70 22

チェコ共和国 0.87 10 0.42 37 0.86 13 0.69 23

ギリシャ 0.87 11 0.56 30 0.57 34 0.66 24

アルゼンチン 0.54 32 0.79 11 0.67 29 0.66 25

スペイン 0.83 16 0.62 26 0.51 36 0.65 26

ハンガリー 0.78 21 0.48 34 0.69 27 0.64 27

イスラエル 0.48 35 0.65 23 0.77 19 0.63 28

ニュージーラン

ド 0.84 15 0.39 40 0.68 28 0.61 29

キプロス 0.44 36 0.67 21 0.73 23 0.60 30

スロバキア

共和国 0.75 23 0.30 43 0.81 16 0.59 31

クロアチア 0.44 37 0.69 20 0.63 32 0.58 32

ポーランド 0.78 22 0.35 41 0.66 31 0.57 33

ウルグアイ 0.57 31 0.64 25 0.40 40 0.54 34

エストニア 0.72 26 0.30 42 0.60 33 0.51 35

ラトビア 0.64 30 0.16 45 0.72 24 0.45 37

韓国 0.44 38 0.54 32 0.36 41 0.44 38

チリ 0.52 33 0.57 29 0.42 39 0.50 36

セーシェル 0.21 45 0.84 8 0.42 39

トリニダードト

バゴ 0.24 42 0.52 33 0.45 37 0.39 40

リトアニア 0.42 39 0.17 44 0.55 35 0.36 41

ロシア 0.36 40 0.55 31 0.21 44 0.36 42

シンガポール 0.32 41 0.42 38 0.35 42 0.36 43

バルバドス 0.22 44 0.44 36 0.31 44

アンティグアバ

ーブーダ 0.23 43 0.39 39 0.30 45

オマーン 0.14 46 0.12 46 0.43 38 0.23 46

バーレーン 0.13 47 0.03 47 0.34 43 0.15 47

表11: OECD加盟国

OECD

保健医

療、教育、

社会的保

護分野へ

の支出

支出ラ

ンク

税制の累進

的構造と税

制の影響度

税制ラン

格差に対

処するた

めの労働

市場政策

労働関

連ラン

CRI

スコ

CRI ラ

ンク

スウェーデ

ン 0.91 9 0.87 5 0.90 8 0.89 1

ベルギー 0.96 4 0.96 1 0.76 20 0.89 2

デンマーク 0.92 8 0.85 6 0.88 12 0.88 3

ノルウェー 0.81 20 0.90 3 0.95 3 0.88 4

ドイツ 0.97 2 0.78 9 0.91 6 0.88 5

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25

フィンラン

ド 0.97 3 0.74 12 0.89 10 0.86 6

オーストリ

ア 0.94 6 0.66 17 1.00 1 0.86 7

フランス 0.96 5 0.75 10 0.81 17 0.84 8

オランダ 0.81 19 0.80 7 0.90 9 0.83 9

ルクセンブルク 0.87 12 0.74 11 0.89 11 0.83 10

日本 0.93 7 0.64 19 0.93 4 0.82 11

アイスラン

ド 0.74 24 0.72 14 0.90 7 0.79 12

オーストラリア 0.70 27 0.93 2 0.74 21 0.79 13

アイルラン

ド 1.00 1 0.59 21 0.82 15 0.79 14

カナダ 0.64 29 0.87 4 0.84 14 0.78 15

イタリア 0.82 17 0.80 8 0.70 23 0.77 16

英国 0.68 28 0.69 16 0.92 5 0.76 17

スイス 0.85 14 0.48 28 0.98 2 0.75 18

ポルトガル 0.81 18 0.71 15 0.70 24 0.74 19

スロベニア 0.85 13 0.58 23 0.81 18 0.74 20

米国 0.72 25 0.73 13 0.66 27 0.70 21

チェコ共和

国 0.87 10 0.42 29 0.86 13 0.69 22

ギリシャ 0.87 11 0.56 25 0.57 30 0.66 23

スペイン 0.83 16 0.62 20 0.51 31 0.65 24

ハンガリー 0.78 21 0.48 27 0.69 25 0.64 25

イスラエル 0.48 33 0.65 18 0.77 19 0.63 26

ニュージーラン

ド 0.84 15 0.39 30 0.68 26 0.61 27

スロバキア共和

国 0.75 23 0.30 34 0.81 16 0.59 28

ポーランド 0.78 22 0.35 31 0.66 28 0.57 29

エストニア 0.72 26 0.30 33 0.60 29 0.51 30

ラトビア 0.64 30 0.16 35 0.72 22 0.45 32

韓国 0.44 34 0.54 26 0.36 35 0.44 33

チリ 0.52 32 0.57 24 0.42 32 0.50 31

トルコ 0.35 35 0.59 22 0.40 33 0.44 34

メキシコ 0.53 31 0.33 32 0.38 34 0.40 35

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脚注 All web links were accessed in May 2017 unless otherwise stated.

1. For an outline of this see for example World Bank 2016 Shared Prosperity 2016: Tackling Inequality 2. D. Hardoon, S. Ayele and R. Fuentes-Nieva (2016). An Economy for the 1%: How privilege and

power in the economy drive extreme inequality and how this can be stopped. Oxford: Oxfam In-ternational. http://oxf.am/Znhx. https://doi.org/10.21201/2016.592643

3. K. Pickett and R. Wilkinson (2010). The Spirit Level: Why Equality is Better for Everyone. London: Penguin; see also C. Wang, G. Wanand and X. Zhang. (2016). Which Dimension of Income Dis-

tribution Drives Crime? Evidence from the People’s Republic of China. ADBI Working Paper No.

704. Tokyo: Asian Development Bank Institute. https://www.adb.org/sites/default/files/publication/236561/adbi-wp704.pdf

4. C. Lakner, M. Negre and E.B. Prydz (2014). Twinning the Goals: How Can Promoting Shared Prosperity Help to Reduce Global Poverty? World Bank Policy Research Working Paper 7106.

5. Pickett and Wilkinson (2010). The Spirit Level. Op. cit. 6. J.Martinez-Vazquez and B.Moreno-Dodson (2014) The Impact of Tax and Expenditure Policies on

Income Distribution: Evidence from a Large Panel of Countries. Georgia State University. Eco-nomics Department Publications; N.Lustig (2015). The Redistributive Impact of Government Spending on Education and Health: Evidence from Thirteen Developing Countries in the Commitment To Equity Project. CEQ Working Paper Series. Tulane University; and OECD (2015), In It Together: Why Less Inequality Benefits All and see, for example, F. Jaumotte and C. Osario Bultron (2015). Power From The People. IMF. Finance & Development. 52:1. http://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2015/03/jaumotte.htm

7. N. Lustig (2015). The Redistributive Impact of Government Spending on Education and Health. Op. cit.

8. OECD (2015). In It Together: Why Less Inequality Benefits All. Op. cit. 9. For evidence of the power of taxation to reduce inequality, see the multiple country studies carried

out by the Commitment to Equity Institute, available at www.commitmenttoequity.org 10. F. Jaumotte and C. Osorio Buitron (2015). Inequality and Labor Market Institutions IMF Staff Dis-

cussion Note SDN/15/14. 11. F. Jaumotte and C. Osorio Buitron (2015). Inequality and Labor Market Institutions. Op. cit. 12. See M. Whitaker (2017). Economy Drive: Priorities and Prospects Ahead of the Spring Budget.

Resolution Foundation Briefing; and L. Elliot and K. Allen (2017). https://www.theguardian.com/business/2017/jan/31/theresa-may-inequality-margaret-thatcher- resolution-foundation

13. Prior to 2004, the bottom 40% of Denmark’s population got more income than the top 10%; this has since reversed. See https://www.ae.dk/sites/www.ae.dk/files/dokumenter/publikation/ae_fl16.pdf

14. Republique Francaise. (2016). Evaluations Prealables des Articles du Projet du Loi. Projet de Loi de Finances Pour 2017. http://www.performance- publique.budget.gouv.fr/sites/performance_publique/files/farandole/ressources/2017/pap/pdf/PLF2017 _Eval.pdf (p 36–37).”

15. D. Hardoon (2017). An Economy for the 99%: It’s time to build a human economy that benefits

everyone, not just the privileged few. Oxfam. http://oxf.am/ZLBB. https://doi.org/10.21201/2017.8616

16. It is also the case that these structural factors are often a lot more context-specific than the core actions of progressive spending, taxation and labour rights, which are relevant to inequality re-duction in almost every instance.

17. New Rules for Global Finance/Development Finance International, Are the International Institutions Reducing Inequality ? The Global Financial Institutions Impact Report 2017, Friedrich Ebert Stiftung

19. Government Accountability Office (2016). Corporate Income Tax . Op. cit. 20. J.R. Nunns, L.E. Burman, J. Rohaly and J. Rosenberg (2015). Analysis of Donald Trump's Tax Plan.

Tax Policy Center. 21. B. Baker, D.G. Sciarra and D. Farrie (2015). Is School Funding Fair? A National Report Card.

Fourth Edition. New Jersey: Education Law Center. 22. World Bank, OECD, http://data.worldbank.org/indicator/SH.XPD.PCA

http://www.oecd-ilibrary.org/social-issues-migration-health/public-expenditure-on-health-per- capita_pubexhltcap-table-en M.J. Lee and T. Luhby (2017). http://www.cnn.com/2017/03/13/politics/cbo-report-health- care/index.html

23. Oxfam America and Economic Policy Institute. (2016). Few Rewards: An Agenda to Give America’

s Working Poor a Raise. https://www.oxfamamerica.org/explore/research-publications/few-rewards/

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27

24. R. Desai (2015). Does the Developing World Need a Welfare State to Eliminate Poverty? Some insights from history. Brookings Institute.

25. C. Hoy and A. Sumner (2016). Gasoline, Guns, and Giveaways: Is There New Capacity for Re-distribution to End Three Quarters of Global Poverty? CGD Working Paper 433. Washington DC: Center for Global Development. http://www.cgdev.org/publication/gasoline-guns-and-giveaways-end- three-quartersglobal-poverty

26. A. Krozer (2015). For Richer or Poorer: The capture of growth and politics in emerging economies. Oxfam International. http://oxf.am/ZmqK

27. Nigeria out-of-school figures, see: http://www.premiumtimesng.com/news/top-news/188590-10-5m- chil-dren-out-of-school-in-nigeria-unicef.html

28. Nigeria infant mortality figures, see World Bank: http://data.worldbank.org/indicator/SH.DYN.MORT

29. Africa Progress Panel (2013). Equity in Extractives: Stewarding Africa’s natural resources for all.

30. See World Bank, http://data.worldbank.org/indicator/SI.POV.GINI?locations=AR 31. D. Rossignolo (2016). Taxes, Expenditures, Poverty and Income Distribution in Argentina. Com-

mitment to Equity Working Paper 45. http://www.commitmentoequity.org/wp- con-tent/uploads/2017/05/CEQ_WP45_Rossignolo_May17_2017.pdf

32. See, for example, Tihomir Gligorevic (2017). https://inserbia.info/today/2017/03/argentina-biggest- work-stoppage-looms-for-macri-as-teachers-plan-strike/

33. Of course all three countries have large informal sectors, so these progressive labour rights do not apply to a large section of the population. The index figures do discount all the labour indicators for levels of informality, which is explained in Section 4, but nevertheless these countries do well be-cause of their generous minimum wages.

34. J.E. Stiglitz and A. Schiffrin (2016). Learning from Namibia. Project Syndicate. https://www.project- syndi-cate.org/commentary/namibia-economic-social-success-story-by-joseph-e--stiglitz-and-anya- schiffrin-2016-06

35. For a full discussion and analysis of the inequality situation in Latin America and the Caribbean see R. Canete et al. (2015). Privileges That Deny Rights: Extreme Inequality and the Hijacking of Democracy in Latin America and the Caribbean. Oxfam. http://oxf.am/ZmS9

36. A. Arendar and E. Seery (2014). Even it Up: Time to end Extreme Inequality. Oxfam. P36. http://oxf.am/Ffd

37. See D. Hardoon, S. Ayele and R. Fuentes-Nieva (2016). An Economy for the 1%. Op. cit. and D. Hardoon (2017). An Economy for the 99%. Op. cit.

38. Policy choices that were detrimental to the reduction of wealth inequality are e.g. the abandonment of the wealth tax in 1997; the continued privilege on business assets in the inheritance taxation; and the introduction of flat-rate taxation on capital gains since 2009.

39. For detail of the Abuja Declaration, see http://www.who.int/healthsystems/publications/abuja_declaration/en/ and for the Incheon Declara-tion, see http://www.uis.unesco.org/Education/Documents/incheon-framework-for-action-en.pdf

40. For the Bachelet Commission report, see http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/--- dcomm/---publ/documents/publication/wcms_165750.pdf

41. F.Rhodes (2016). Women and the 1%: How extreme economic inequality and gender inequality must be tackled together. Oxfam. http://oxf.am/Z72J#sthash.upq2OwOA.dpuf

42. A. Arendar and E.Seery (2014). Even it Up. Op. cit. 43. See for example Civicus (2016). State of Civil Society Report 2016.

http://www.civicus.org/index.php/socs2016 44. L. Bartels (2002). Economic Inequality and Political Representation. Princeton. 45. S. Hallegatte et al. (2016). Shock waves: Managing the Impacts of Climate Change on Poverty.

Washington DC: World Bank. 46. T.Gore (2015). Extreme Carbon Inequality: Why the Paris climate deal must put the poorest, lowest

emitting and most vulnerable people first. Oxfam. http://oxf.am/Zecv 47. World Bank (2016). Poverty in a Rising Africa.

http://www.worldbank.org/en/region/afr/publication/poverty-rising-africa-poverty-report 48. Per capita income of Equatorial Guinea at GDP PPP is 34,000; for Spain it is 33,600. Infant mor-

tality for Burundi is 54 per 1,000 live births; for Equatorial Guinea it is 68. Sources: http://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.IMRT.IN and http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.PP.CD

49. For a full discussion and analysis of inequality in Latin America and the Caribbean see R. Canete et al. (2015). Privileges That Deny Rights. Op. cit.

50. This is known in economics as the Kuznets Curve, after the work of Simon Kuznets.

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28 Commitment to Reducing Inequality Index 2016

This is joint Oxfam and Development Finance International report is written to share research results, to contribute to public debate and to invite feedback.

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