原子力研究所報告ISSN 0285-4066 原子力研究所報告 平成13 年度 事業報告...

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ISSN 0285-4066 原子力研究所報告 平成 13 年度 事業報告 平成 14 年度 事業計画 2002 日本大学原子力研究所

Transcript of 原子力研究所報告ISSN 0285-4066 原子力研究所報告 平成13 年度 事業報告...

ISSN 0285-4066

原子力研究所報告

平成 13 年度 事業報告

平成 14 年度 事業計画

2002 年

日本大学原子力研究所

は し が き

日本大学原子力研究所は1957年(昭和32年)に創設されました。本研究所は、

1977年に改定された研究所規定に基づき、理工学部からの専任所員および理工学

部、医学部、歯学部、松戸歯学部、生物資源科学部および文理学部からの兼任所員を

もつ研究所として現在に至っています。 研究の主な分野は、創立以来一貫して追及してきた分野および時代の要請に応じて

新たに取り上げた分野を含めて次の通りです。

(1) 核融合およびプラズマ (2) 低温物性および超伝導・超流動 (3) 素粒子および原子核 (4) 量子光学 (5) 電子線の理工学および医学および生物学における利用の研究

本報告は、これらのテーマに関し、2001年(平成13年)度に行われた研究の

概要をまとめたものです。研究活動の概況をありのままお伝えすることができれば幸

いです。 平成9年度末に放射光の発生に成功した電子線利用研究施設を中心に、「可変波長高

輝度単色光源の高度利用に関する研究」と題して平成12年度から5年間にわたる学

術フロンティア推進事業の遂行しています。平成13年に大がかりな物理実験棟の増

築を行い、ほぼ同時期に念願であった自由電子レーザーの発振に成功いたしました。

これらは我々の願望が実現の方向に着実に進行していることの証左と考えています。

こうした事業を通じて学外の研究機関とも強力な連携をはかり、総合的研究を実施す

る全学的研究拠点の構築をめざす体制は整ったといえます。上記テーマをさらに有機

的に展開し、量子科学に基礎をおいた全学的な研究センターにしていきたいというの

が我々の願いです。 量子科学技術の革命といわれる新しい世紀に対応するため、「日本大学原子力研究

所」の名称を平成14年3月1日付きで、「日本大学量子科学研究所(Institute of Quantum Science, Nihon University)」と改めました。「日本大学原子力研究所」事

業報告としては、これが最後となります。学内外に浸透し慣れ親しんで頂いた名称の

変更に伴い、関係各位に多大の御迷惑をお掛けすることをご容赦頂きたくお願い申し

上げます。新名称によって再出発致します研究所に対し、これまでと変わらないご理

解とご支援をお願いする次第であります。 平成14年3月31日

日本大学量子科学研究所 (旧・日本大学原子力研究所)

所長 小嶋 勝衛

この報告書は日本大学原子力研究所

規定第18条に基づいてなされた

平成13年度事業報告および平成

14年度事業計画の概要である。

目 次

はしがき 第1章 原子力研究所 平成13年度事業報告 1.1 研究報告 ………………………………………………………………………… 1

1.1.1 核融合およびプラズマ科学 ………………………………………………… 1 1.1.2 超伝導 ………………………………………………………………………… 6 1.1.3 加速器科学 …………………………………………………………………… 11 1.1.4 量子光学 ……………………………………………………………………… 22 1.1.5 理論物理 ……………………………………………………………………… 23 1.1.6 その他の研究報告 …………………………………………………………… 36

1.2 共同研究 ………………………………………………………………………… 47 1.3 研究活動報告 …………………………………………………………………… 49

1.3.1 研究および学会活動 ………………………………………………………… 49 1.3.2 研究会、講演会活動 ………………………………………………………… 51

1.4 国際研究交流 …………………………………………………………………… 57 1.4.1 海外出張及び国際活動 ……………………………………………………… 57 1.4.2 外国人研究者来所 …………………………………………………………… 61

1.5 学会報告 ………………………………………………………………………… 62 1.5.1 日本物理学会第56回年会 ………………………………………………… 62 1.5.2 日本物理学会2001年秋の分科会 ……………………………………… 62 1.5.3 プラズマ・核融合学会第18回年会 ……………………………………… 63 1.5.4 2001年春季低温工学・超伝導学会 …………………………………… 64 1.5.5 2001年秋季低温工学・超伝導学会 …………………………………… 64 1.5.6 第48回応用物理学関係連合講演会 ……………………………………… 65 1.5.7 第62回応用物理学会学術講演会 ………………………………………… 65 1.5.8 平成13年度日本大学理工学部学術講演会 ……………………………… 66 1.5.9 その他の学会 ………………………………………………………………… 69

1.6 論文目録 ………………………………………………………………………… 73 1.6.1 論文および報告書 …………………………………………………………… 73 1.6.2 著書 …………………………………………………………………………… 81 1.6.3 Preprints …………………………………………………………………… 82

1.7 平成13年度主要購入設備 …………………………………………………… 83

第2章 量子科学研究所 平成14年度事業計画 2.1 研究計画 ………………………………………………………………………… 85

2.1.1 核融合およびプラズマ科学 ………………………………………………… 85 2.1.2 超伝導 ………………………………………………………………………… 85 2.1.3 加速器科学 …………………………………………………………………… 86 2.1.4 量子光学 ……………………………………………………………………… 86

2.2 共同研究申請様式 ……………………………………………………………… 87 2.3 予算案 …………………………………………………………………………… 89

第1章

原子力研究所 平成13年度事業報告

1.1 研究報告

1.1.1 核融合およびプラズマ科学

1.1.1.1 核融合

椎名 庄一 横山 和夫* 野木 靖之* 島村 信* 斎藤 勝宣

高橋 努* 浜田 繁雄+ 小山内 行雄+ 月僧 博和+ 斎藤 勝彦+

中森 秀樹** 長峰 康雄** 南葉 利通** 藤本 加代子** 伊藤 直哉**

秋山 貴彦** 岩田 薫** 海野 瑞博** 大塚 勝規** 大村 進一**

郷田 博司** 佐々木 良** 泉 剛史** 園部 和幸** 立川 絵里** 新原 輝彦** 原田 基弘** 吉岡 雄一郎**

RFP、FRC、低アスペクト比 RFP、低アスペクト比トカマクの研究が昨年度に引き続き行

われた。RFP 実験ではプラズマ中に磁気探針を挿入した磁場の径方向分布の計測より平衡

配位の磁気面形状、駆動源別電流成分の算出が試みられた。また、RFP の定常運転および

閉じ込め特性の改良をめざした低アスペクト RFP 配位のシミュレーション実験が引き続き

行われた。FRC の移送実験、ポロイダル断面形状計測、低アスペクト比トカマクの生成実

験、繰り返し小球形トカマックの入射実験がおこなわれた。

(1) ATRAS-RFP実験 ATRAS-RFP実験では、トーラス赤道面上およびこれに垂直なプラズマ直径に渡

る内部磁場分布の測定が行われた。測定は 126 個の磁気探針を直接プラズマ中に挿入する

ことにより、磁場の直交3成分を5mm 間隔で 20cm の領域で行われた。この結果、トロ

イダル、ポロイダル両成分の分布波形はプラズマ電流に比例し探針群の挿入深度に依存し

ないことが分かった。他方、径方向成分は探針群の挿入深度が浅い場合には分布形状は深

度に依存しないがある深度を越えると測定している領域全体で符号を変え深度を増すごと

に振幅も大きくなる。これは、探針挿入の影響で磁気軸の移動がおこり探針群はそのポロ

イダル成分を測定している可能性が高いが、Θ値が2~2.4 と高い領域で運転しているた

めヘリカルモードが混在している可能性も否定できない。しかし、中心電流が探針を跨い

で流れる場合に生じる磁気面のm=2変形を示唆する径方向磁場の分布も時たま観測され

るため前者の可能性が高いと考えられる。さらに、3 本の探針群を同一ポロイダル断面上

で方位角が 90 度づつ異なる角度で浅く挿入し、トロイダル磁場の逆転面の位置を測定し

て、ポロイダル断面を円と仮定したときの、円の中心は赤道面上側2~5mm、トーラス

外側0~5mm の領域を揺動していて、その半径は~8cm であることが分かった。このこ

とからも、磁気面のヘリカル成分は存在しても小さいことが推定される。これらより、ト

* 兼任所員 + 協力研究員 ** 理工大学院生 *** 理工研究生

1

ロイダル、ポロイダル電流成分の径方向分布を軸対称性を仮定して算出した結果、トロイ

ダル電流はほぼ周回電圧により駆動されるが、ポロイダル成分はブートストラップ電流(誘導電流の5~10%)、Pfirsch-Schluter 電流(誘導電流の 0.5~1%)を考慮してもプラズマ

中心部を除いてこれらの駆動源では説明することができない。したがって、プラズマ周辺

部のポロイダル電流はプラズマの乱流に依存している部分が大きくその必要量が判明した。

また、逆転面の外側では周回電圧、トロイダル効果による駆動電流は配位維持に必要な方

向と逆向きの駆動源となるため乱流依存性は更に強くなる。 (南葉、伊藤、園部、小山内、椎名、齋藤) (2) 低アスペクト比逆磁場ピンチ定常核融合炉の概念設計 これまで、部分緩和モデル逆磁場ピンチ(PRSM-RFP)の低アスペクト比化が経

済的な定常炉に関する展望を開くことを報告した。即ち、低アスペクト比化はブートスト

ラップ電流比(自発電流比)と磁気シャー(安定性上限ベーター値)を高めるので、炉の

出力利得(QE)と質量電力密度(MPD)を高め、従って、炉の電力コストを低める可

能性を示唆した。最近、プラズマ断面形状の楕円度(κ)の増大と共に自発電流比及び磁

気シャーが増大することが知られた。自発電流比の増大はポロイダル・ベーター値及び捕

捉粒子数の割合の増大による。磁気シャーは、中心での安全係数(q0)の増大を伴って、

局所的に弱まることなく κ~5.0で最大となる。また、q0≦1のためには κ≦20以

下に制限される。三角度の依存性は相対的に弱い。今年度、パラボリックなプラズマ圧力

分布を有し楕円度の比較的小さい場合のPRSM-RFMPHD平衡に基づいて、定常核

融合炉の概念設計を試みた。その結果、プラズマ副半径1.4m、主半径3.02m、楕

円度1.4、三角度0.4、軸上トロイダル磁場(B0)3T、安定性上限ベーター値 βt

(≡2μ0<p>/B02)12%、プラズマ電流12MA、自発電流比0.7、出力電力1

GW,質量電力密度100kW/tonne、電流駆動電力57MW,出力利得7.7、

電力コスト80mill/kW・hのPRSM-RFP定常炉が比較的小さい主半径で低

いアスペクト比(A=2.16)で達成される可能性があることが知られた。比較のため

に、先進トカマクである反転シャー・トカマクに関して同じプラズマ副半径、出力電力、

質量電力密度、出力利得、電力コストの定常炉がアスペクト比がA=4.0で達成される

と評価されている。この相違の主な原因はプラズマ圧力と温度分布による。 (長峰、吉岡、原田、小山内、斉藤(宣)、斉藤(彦)、椎名) (3) 新古典逆磁場ピンチのMHD平衡 より高い炉出力密度で、より低い電力コストの定常炉を達成するため、新古典効果、即

ち、自発電流及びPfirsch-Schluter電流を考慮した自己矛盾のないMH

D平衡(新古典MHD平衡)を調べている。A=2.0の場合現在までのところ、プラズマ

断面形状を円形と仮定しているので、その結果、アスペクト比がA=2.0の場合自発電

流比が0.40と比較的小さいが、その場合でさえホロー型電流分布を有し古典MHD平

衡解に比較し局所的及び巨視的に磁気シャーが大きいことが知られた。この局所的な磁気

シャーの増大は、楕円度の増大による場合と同様に中心での安全係数の増大に伴って生じ

るが、Mercierモードの安全性を改善する。注目すべきことは、この磁気シャーの

2

増大は自発電流比の増大に伴っているので高 βt化と高い自発電流比の両立を満たし、よ

り経済的な定常炉が達成される可能性を示唆する。同様の両立性は楕円断面効果によって

も満たされる。現在、ベーター値、圧力―温度分布、非円形度、アスペクト比及び他の平

衡パラメーターを変えて最適化研究を進めている。 円筒近似PRSM-RFPの理想キンク・モード及びサイダム・モードに対する安定性

上限ベーター値は βt~25%である。その場合の局所的、巨視的いずれの磁気シャーに

比較し、新古典効果により4倍以上に大きくなるので、βt>25%、B0>3.0Tとな

ることが期待される。この場合に予想される炉特性は、上記の古典MHD平衡解に基づい

た炉特性に対比して、アスペクト比A=2.16は同じであるが、出力電力(PE>4G

W)、質量電力密度(MPD>400kW/tonne、出力利得(QE>30)は4倍以上

となり、自発電流比Fbs>0.70、電力コストCOE<40mill/kW・h、と見

積もられる。具体的な炉特性の数値は βt及びB0に依存し今後の課題である。 (長峰、吉岡、原田、小山内、斉藤(宣)、斉藤(彦)、椎名) (4) 磁場反転配位プラズマおよび球状トーラスの n=1 モード巨視的運動 FRCプラズマで問題となるn=1モードの運動の安定化法についての研究が行われた。

多極磁場によるn=1モード運動の安定化法および安定化に必要な磁場が簡単なモデルから

導き出された。n=1モードに対する安定化に必要な磁場の閾値は、n=2モード回転不安定性

の安定化に必要な磁場強度よりもやや大きく、n=1モードが安定化できれば、n=2モードも

十分に安定化できることが実験的に明らかにされた。この磁場は,閉じこめ磁場のおよそ

15%程度である。安定化に必要な多極磁場の閾値のモデルにテータピンチコイルの導体効

果を加え改良された。実験の再現性の範囲内で一致するようになった。

n=1モード運動は、生成時のプラズマ、磁場等の対称性が悪い時に発生することが分か

ってきた。逆バイアスシータピンチ法で使われる磁気再結合を使うTearing生成法をNon-t

earing生成法に変えることでこの運動を小さくできることが分かった。この手法は、逆バ

イアステータピンチ法で生成されるSTプラズマにおいても有効であることが分かった。球

状トーラスでは、巨視的なn=1モード運動は、約1/10に低減された。

n=1およびn=2モードに対する安定化に対する直線型の多極磁場とヘリカル型の多極磁

場による違いを調べる実験が始められた。また、n=1モードの運動の観測のために、テー

タピンチコイルと放電管の間に入るように光検出器が小型化された。また、プリズムを使

うことにより放電管全周から観測が可能となった。

(藤本、郷田、大村、岩田、立川、高橋、野木)

(5) 磁場反転配位プラズマのポロイダル断面形状計測

磁場反転配位の安定性を調べる上でプラズマの断面形状を決めることは、重要な課題の

一つでプラズマのポロイダル断面形状を正確に決める方法が検討された。放電管表面の磁

束の分布を一巻きループにより計測しこの値を境界条件に、反磁性信号から求まるプラズ

マ形状を初期値にしてGrad-Shafranov方程式の解を繰り返し法により求めることにより

断面形状を決める。モデル実験により測定誤差が評価され実用化のメドが立てられた。

(秋山、高橋、野木)

3

(6) 金属フォイルの表皮効果を用いた移送FRCプラズマの速度制御

抵抗性の金属フォイルの表皮効果を用いて、一様磁場中に磁場勾配を発生させ、移送F

RCプラズマの速度制御の可能性を調べる基礎実験が行われた。効果を確認でき、最適化

のための検討が始めた。 (佐々木、新原、高橋、野木)

(7) 高繰り返しCTプラズマ発生源 今年度は高繰り返しCTプラズマ発生源そのものを研究の中心として行った.このため

閉じ込め容器の変わりに長さ1メートルのステンレス製円筒容器が用いられた.これによ

り繰り返し打ち出されるCTプラズマの磁場構造などが調べられた.CTプラズマの断面

形状の超高速写真観測には同じ長さ1メートルのパイレックス製円筒容器が用いられた.

これらにより繰り返し率50kHzでCTプラズマが入射していることがわかった.この

入射速度は40kmであった.このことからCTプラズマの長さは使用した円筒容器と同

程度で,比較的長い事がわかった. (海野、大塚、島村) 1.1.1.2 プラズマ科学

宮本 徹 高杉 恵一 M. Kashani** 秋山 尚之** 武藤 龍介** 成澤 理** 千葉 崇** 皆川 邦雄** 自己磁場によるピンチ現象の解明,および発生した高温高密度プラズマの応用を目的と

した研究を行なっている。またそのために必要な計測器の開発,プラズマの生成および関

連した大電流制御技術の開発に関する研究も重要な課題である。 ガスパフZピンチの研究ではX線分光測定を中心に研究を行ない,He 様共鳴線の付近

のサテライト線の観測,電子温度の評価を行なった。また,空間分布分解能を持つスペク

トル観測を行ない,X線の雲状構造の発生機構について調べた。 高密度シートZピンチに関して、理論、シミュレーション及び予備的な実験を行った。

理論面では、これまでの理想的なシートZピンチについての研究を、現実的な有限巾のシ

ートについて拡張し、その動的過程や熱伝導損失の存在する場合について研究した。 プラズマフォーカスに関してはこれまでの中性子生成の実験結果を確認する追試実験を

行なうと共に、陰極効果について研究した。 (1) ガスパフZピンチプラズマのX線結晶分光 プラズマから放射されるX線スペクトルを詳細に調べるため,ヨハンソン型結晶分光器

を用いた測定を行なった。He 様 Ar イオンのスペクトルが観測され,数 100 eV の電子温

度を持つプラズマが形成されていることがわかった。また同時に Li 様イオンも観測され,

パラメータの変化に伴ってプラズマの温度の変化が観測できることが期待される。

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(2) X線結晶分光による温度評価 He 様イオンの共鳴線は電子衝突によって基底状態から直接励起され,Li 様イオンのサ

テライト線は主に二電子性再結合によって励起される。このような場合の励起率から放射

強度の比を求めた。電子温度が 500 eV のとき強度比が 1 になり,2 keV のとき 0.1 にな

る。 (3) プラズマへのエネルギー入力と電子温度 ガスパフから放電までの時間(遅延時間)を変えてプラズマへの入力エネルギーとプラ

ズマの電子温度を比較した。遅延時間が長くなるとガスの密度が増加し,プラズマが軸上

にピンチするまでの時間が長くなる。電極間で放電が起きる運転領域の中では遅延時間が

長いほどピンチ時間が長くなり,したがってピンチ時の電流も大きくなり,プラズマへの

入力エネルギーも大きくなる。また電子温度もだんだん増加する傾向にあることがわかっ

た。 (4) X線放射の雲状構造 ガスパフZピンチプラズマのX線写真で,ホットスポット(X線点源)の他に雲状の構

造があることがわかっている。このうち雲状の構造についてはその成分や発生原因がわか

っていなかった。今回,凸型の結晶分光器を用いることにより,X線スペクトルとともに

その空間構造を調べた。 その結果,ホットスポットは Ar イオンのK殻放射からなっていることがわかった。ま

た,雲状の構造のスペクトルは用いる電極材料によって変わることがわかった。Cu 電極

を用いたとき強い Cu のKα線が放射され,Al や C の電極を用いた場合は Fe のKα線が放

射された。 (5) スパッタリングの観測 GCCを用いた計測やEUV分光計測などは素子をプラズマにさらさなければならない

ので,スパッタリングの影響が重大である。今回,スパッタリングの源が壁かプラズマか

それとも違う場所なのか調べるため,ピンホールを用いたスパッタリングカメラを製作し

て調べた。 観測の結果,スパッタリングの強さは電極材料によって大きく変わることがわかった。

その源は壁全体というよりはむしろプラズマの大きさであることがわかった。「スパッタリ

ング」ということばを用いているが,プラズマが壁をたたいて粒子を飛散させているか,

あるいはプラズマそのものが壁材料を取り込んで飛散しているかは明らかではない。 (6) 高密度シートZピンチの研究

高密度シート Z ピンチについて,その定常状態について研究すると共に,核融合条件を

検討し,通常の柱状 Z ピンチと比較し,その特徴を明らかにした。 (7) プラズマフォーカスの研究

プラズマフォーカスの最適化のため,銅箔を用いる簡便な方法の有効性を示した。

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また実験室移転に伴い装置を解体,再建した。その過程で,電極の極性及び電流の

一様性がフォーカスに大きな影響を与えることを示し,再建前の状態をほぼ再現する

こととが出来た。この状態で,棒状陰極が円筒状陰極より優れているという以前の結

果を追試確認した。 1.1.2 超伝導

関沢 和子* 小笠原 武 小林 久恭 八十濱 和彦 高野 良紀* 高瀬 浩一* 高橋 由美子* トンスル ウェルニサ** 新井 夏季** 小山 義之** 原 茂生** 広瀬 英樹** 伊藤 美由紀** 牧原 克典** 水野 謙一郎** 椿 貴充** 松本 和弥** 菅沼 洋一** 森井 敦** 清水 智弘** 新家 康弘** 吉田 栄之** 宮澤 慎二** 指田 真人** 新井 淳子** 浜名 高裕** (1) 加圧超流動ヘリウムにおける熱音響振動

超電導コイルの高磁界化、space cryogenics には、超流動ヘリウムの冷却技術は不可欠に

なりつつある。このような He II を利用する装置にとって、大きな入力により超流動状態が

壊れる臨界状態近傍の熱伝達特性を研究することはますます重要である。これまでに、臨

界入力熱流速を超えた状態の熱伝達に関し、λ点圧力以下の He II 流路中の boiling、または

pool boiling において、音響を伴う間欠的な熱振動現象についての報告がなされている。大気

圧下の超流動ヘリウム(以降 He IIp とする)については、安定した熱音響の発振は捕らえ難

いために詳細は報告されていなかった。本研究おいて、ある条件にある He IIp 流路中におい

て鮮明で連続的な熱音響振動が観測され、熱移送特性との関わりについて手がかりを得た。 (2) 飽和超流動ヘリウム流路における熱振動と異常熱移送特性 λ 点圧力以下にある飽和超流動ヘリウムが満たされた流路の熱移送が臨界熱入力 qc 以上

では、入力 q の増加にもかかわらず、流路内 He II の温度が一定に留まるか、または、降下

するという見かけ上「零」または「負」の熱抵抗を示す異常熱移送特性が報告されている。

異常熱移送のメカニズムの解明は、超流動 He II 冷却機器における熱交換器の熱伝達や超電

導機器の安定化等にとって重要であるばかりではなく、He II 流路に起こる熱振動機構の研

究にとっても重要である。本研究では、qc よりはるかに大きなヒーターへの入力(power input)q に対しても異常熱移送が持続することが見いだされ、新たなエネルギー輸送機構を

探る必要が生じ極めて興味深い。 λ点圧力以下の飽和蒸気圧曲線側にある He II(He IIs)における熱移送特性は、沸騰状態

では、加熱面からの距離以内で He IIs と He gas が激しく混合する擾乱層が発生し、δ外の

液温は入力qに依らず、入力 qc のときの G-M で決まる値を保つ。温度勾配が一定である

ことは、流路外に定常的な熱流として放出されている量 qcが見かけ上は不変であることを

意味する。したがって、入力 q のうち、qc分が定常的な熱伝導により移送され、差分 ∆q (=

q - qc)が熱とは異なるエネルギー輸送の形態で運ばれていることが考えられる。

6

(3) DC スパッタ法による Mg- B 超伝導薄膜 DC マグネトロンスパッタ法によって Mg- B 超伝導薄膜を製作し、その超伝導特性を

調べた。薄膜は2段階の方法で製作した。最初、アルミナ基板上に Mg,B の膜を作り、そ

の後熱処理を行った。ターゲットは Mg と B の粉末を圧力 800kgでプレスし、径 35mm,厚さ 3mm の円板状とした。その組成は化学両論組成 MgB2 とした。スパッタは圧力 1~10Pa のアルゴンガス中、電力 50W で行った。基板の温度はスパッタ中に 400℃近くまで

上昇することを確認している。膜厚の体積速度は約 1μm /分であった。本研究での試料の

膜は 50μmとした。スパッタしたままの状態の膜は確実に Mg と B を含んでいることを

EDX 分析によって確認された。スパッタで製作された薄膜の熱処理は、一気圧のアルゴン

ガス中で,温度 500~700℃,時間 1 分~10 時間の範囲内で条件を変えて行なわれた。これ

らの試料について、四端子法による電気抵抗の測定から超伝導臨界温度 Tcを求めた。 本研究で明らかになった事の一つは、DC スパッタによって Mg- B 薄膜の作成が可能

という事である。さらに、後熱処理によって膜は超伝導性を示すようになり、低温長時間

の熱処理の試料ほど高い Tcを示す。現状での Tcは、バルクの MgB2のものに比較して低

い。今後、スパッタ条件や熱処理条件の最適化を行う必要がある。 (4) 静水圧プレス法による Ag シース Bi2223 酸化物線材の超伝導特性

仮焼粉(Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.85:0.35:1.90:2.05:3.05)をシリコンチューブに充填し、真

空引き後、静水圧プレスを用いて丸棒状にする。これを外径φ6、内径φ4.3 の Ag パイプ

に挿入し、溝ロールとフラットロール用いて 0.2mm 厚のテープ線材にする(静水圧プレ

ス法)。これより短尺テープ線材(幅 3mm×厚み 0.2mm×長さ 20mm)を切り出し、10分間 3t プレス後、大気中で熱処理温度 Tr825、830、835、840、845℃で 50 時間焼成し

試料を作製する。 臨界電流密度 Jc、磁化 M、臨界温度 Tc、および不可逆磁場 Tirrの測定測定は、磁場を試

料幅広面に平行に印加して測定した。HP 法による全ての Jcは、PIT 法のものよりも著し

く増大した。これはテープ中の超伝導体積率の増加によるものである。臨界温度の遷移幅

ΔT は熱処理温度 830~840℃では小さいが 825℃、845℃では増大し、最も高い Jc は熱

処理温度 830℃で得られた。これは温度 825、845℃では不完全な Bi2223 と不純物の生成

のためと、830℃では Bi2223 相の結晶粒の配向化と生成量の増大が容易に行われているた

めである。ΔT が小さいと Jc は高い。熱処理温度 845℃の試料では,可逆な磁化曲線の部

分がその他の試料よりも小さくなった。これは高温で焼成したために不純物が生成したこ

とによると考えられる。磁化の差ΔM から求めた Jc は、実測の Jc とよく一致した。5Tまでの磁場では、臨界温度 Tcは一定であったが、Tirrは外部磁場の増加とともに指数関数

的に減少している。

(5) NbTi 超伝導体の磁化のサイズ依存性 微細いなNbTi超伝導体を多数本束ね、ワニスで絶縁し、1本にまとめて磁化測定用試料コ

イルセットに捲いた。磁化測定は磁化法を用い、臨界温度Tcは、市販のSQUIDを用いて交

流帯磁率のχ′=0から求めた。 超伝導体の直径Dが小さくなると共に磁化の大きさも小さくなっている。磁化がピークを示

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す外部磁場の値は、Dが234μmから1.02μmまではDのと共に直線的に減少にしている。

しかし、0.81μmまで減少すると逆に増大している。臨界状態モデルによれば、ヒステリシ

ス損失Qhの磁場振幅Bm依存性が変化する磁場Bpは、Dと共に小さくなり、Qhは小振幅側

(Bm<Bp)で増大する。Dが234μmから4.4μmまでは、Dの減少と共にBpは小さくなり臨

界状態モデルに合う。しかし、1.02μm以下ではDが小さくなると逆にBpは増大している。

Bpが最小を示すDの値は約1.18μmである。したがって、このDより小さい領域では量子磁

束線の可逆運動が顕著になっている事がわかる。Dが234μmから4.4μmへと減少すると、

Tcもなめらかにも減少している。しかし、1.02μm以下では急激にTcが減少している。量

子磁束線の可逆運動が超伝導体のサイズが約1.2μm以下で確認できた。 (6) MgB2 超伝導体の磁化特性

Mg(純度 99.9%の粉末)と B(純度 99%の粉末)のモル比を 1:2 に秤量、混合した後、そ

れを短冊状(100mm3、重量約 0.2g)に 6 トン、10 分間加圧成型した。これを Al2O3ボー

トに乗せて、炉芯管に入れ Ar ガスを 1 気圧充填し、電気炉で熱処理(0.5、3、12 時間: 550,600,650,700,750,800,900,1000℃)を行った。

熱処理温度 TR=750℃の試料では、X 線回折より、熱処理時間t=3h の試料が最も不純

物相が少なかった。t=0.5h では Mg が最も多く、12h では同定不能な不純物が多かった。

750℃、3h 熱処理の試料の TCが最も高く、39K である。t=0.5h では、TRと共に TCも

高くなった。t=12h では、TRを 800℃以上にすると TCが低下し、1000℃では超伝導転

移しなかった。t=3h の試料の磁化は極端に大きく、磁化がピークとなる磁場 BPも非常

に大きかった。臨界電流密度 JCは TR=750℃、t=3h の試料が最も高かく、TRが 750℃を超えると JC は減少する。TR=700℃、t=12h の試料は Tirr が最も高く、次いでt=3hで、TR=750、800℃の試料の Tirr が高かった。750℃-3h の試料は Tirrも高く、X 線回折

の結果からも、ここでの作製条件では最適であるといえる。磁化曲線より MgB2が不均質

第 2 種超伝導体であることが分かった。 (7) LaCrOS2の磁化と比熱

(RO)n(MxSy)m 型オキシカルコゲナイドは一般的に層状構造をとるものが多いが、

LaCrOS2は 3 次元的な結晶構造をとる。しかし、磁性元素である Cr は 1 次元的な鎖を形

成するため、LaCrOS2のスピン系は、1 次元的な振る舞いを示すものと期待される。我々

は、LaCrOS2の磁化および、比熱測定を行い、これらの結果をいくつかの理論的な modelとの比較を行い、本試料における Cr 鎖の示す磁性を明らかにした。 磁化測定の解析の結果、LaCrOS2におけるジグザグ鎖の示す磁性は、鎖間の相互作用を

考えた一軸異方性のある直線的な鎖の model で理解できことがわかった。 鎖内と鎖間の相互作用定数すなわち J3と J’の比は

06.0'3≈J

J

となる。この値は単純な一次元系として考えるには大きい。 しかし、磁気比熱が J=26 K とした S=3/2 Ising model を用いてほとんど再現できるこ

とから、LaCrOS2の示す磁性は一軸異方性をもった 1 次元鎖の磁性に 3 次元性によるわず

8

かの修正が加わったものとして理解できる。 (8) MPS3(M=Mn,Fe)の磁化と比熱

2 次元的な蜂の巣構造を持つのスピン系の磁性を調べるために、3d 遷移金属を鉄・マン

ガン、カルコゲン元素を硫黄とした層状化合物 FePS3、MnPS3の単結晶試料を作成し、磁

気的性質、熱的性質を明らかにし、理論的考察を行った。 MnPS3の磁化容易方向は c*軸に平行であり、約 100 K を頂点とするブロードなピーク

を観測した。磁化の変化率が最大値を示す温度をNéel温度TNとするとTN= 78 Kとなり、

TN以上では異方性はほとんどみられなかった。c*//H において約 36000 Oe でスピンフロ

ップを観測した。FePS3 の磁化容易方向は、c*軸に平行であり、強い異方性を観測した。

MnPS3と同様に定義して TN= 118 K となった。70000 Oe まで磁化は磁場に比例した。 MnPS3の磁気比熱は磁化の測定で得られた TNにおいて、3 次元的転移に伴う小さなピ

ークを観測した。これ以外に系の 2 次元性を反映させるブロードなピークを観測した。ま

た、FePS3の磁気比熱は磁化の測定で得られた TNにおいて、3 次元的転移に伴う鋭いピー

クを観測した。 M2+イオンが反強磁性配列している場合、分子磁場近似による交換相互作用とスピン軌

道相互作用を考慮したときの副格子 1 および 2 に対するハミルトニアンは

( )( )

( ) ( ) C2C1

12B2

21B1

Tw',Tw

SwSwSHSLµSLH

SwSwSHSLµSLH

1SSk

1SS2k

~~~~~λ

~~~(~~λ

+=

+=

′+⋅+⋅++⋅=

′+⋅+⋅++⋅=

233

2)2(

2)2

で与えられる。λはスピン軌道相互作用定数、w は副格子内の交換相互作用パラメータ、

w’は副格子間の交換相互作用パラメータである。この二つのハミルトニアンを〈S1〉およ

び〈S2〉について自己無撞着に解くことにより磁化と磁気比熱を計算した。 MnPS3 では高温での帯磁率の実験値が TN=240 K としたときの理論値と一致している

が、78 K まで 3 次元的な反強磁性は起こらない。これはスピンの 2 次元性によるものと

考えられる。FePS3において磁気弾性効果を考慮し、交換相互作用パラメータにスピンの

二乗に比例する項が加わる FePS3 は副格子内の交換相互作用パラメーターTC1=-20 K と

し、副格子間の交換相互パラメーターTC2=40 K とし計算を行ったところ、実験値を良く

再現することができた。TC2- TC1= 60 K となっているのに対し、実際の TNは 118 K とな

っているのは、スピン軌道相互作用による異方性が秩序化を助けているためであると考え

られる。FePS3は構造は 2 次元的であるが、磁気弾性効果や異方性が 3 次元的な秩序化を

助けていると思われる。 (9) ワイドギャップ半導体(LaO)CuS の電気的性質と光学的性質 オキシサルファイドの一つである(LaO)CuSはイオン結合性の強いLa-O-Laの層と共有

結合性の強い S-Cu-S の層が交互に積層した層状物質で,バンドギャップ 3.2 eV を有する

p 型のワイドギャップ半導体である。この半導体の伝導帯は Cu4s 軌道から、価電子帯は

Cu3d と S3p による混成軌道からできており、この物質の物性は、価電子帯頂上の電子構

9

造によって決められることが予想される。そこで本研究では、Cu あるいは S 欠陥を導入

することにより、価電子帯頂上を修飾し、電子状態の変化が電気的、光学的性質に及ぼす

影響について調べた。なお、光学的性質の測定として、フォトルミネッセンス測定を行っ

たが、これは、北陸先端科学技術大学院大学の小矢野幹夫助教授との共同研究である。 試料は、銅および硫黄単体を原材料として作成した科学量論比通りの試料Aと原材料に

不定比化合物である Cu2S を使用して作成した非科学量論比的試料Bである。 試料Aの電気抵抗率は室温で約 1MΩcm であり、温度の減少とともに増大していき、半

導体的振舞を示す。この温度依存性より求めた活性化エネルギーは約 0.24 eV である。一

方、試料Bでは、室温における電気抵抗率は約 30000 分の 1 になっており、構造欠陥の導

入により、キャリア注入されていることがわかる。試料Aの温度 8 K におけるフォトルミ

ネッセンススペクトルには、380 nm のバンド間遷移に対応する構造と 600 nm の非常に

ブロードな SA 発光的構造のほか 4 つの構造が観測された。これらの構造はそれぞれ 2 つ

のドナーレベルとアクセプターレベルを仮定すると説明できる。このうちの価電子帯にも

っとも近いアクセプターレベルの価電子帯頂上を原点として計ったエネルギーは 0.3 eVであり、これは、電気抵抗率の温度依存性より求めた活性化エネルギーと一致する。試料

Bのスペクトルにも 6 つの構造が観測されるが、試料Aに比べて発光強度が高く、特に、

600 nm の構造が大きくなっていることが注目される。 以上より、試料に導入した Cu あるいは S 欠陥は、キャリア注入の役割を果たすととも

に、600 nm の黄色の発光中心になることがわかった。 (10) (La1-xCaxO)Cu1-xNixS の電気抵抗と磁性 これまで、私達は、(LaO)CuS の La を Ca で、Cu を Ni で置換した、(La1-xCaxO)Cu1-xNixSにおいて電気抵抗の温度依存性の振る舞いが、濃度の増加と共に半導体から金属へと変化

することや、原材料に不定比化合物である NiS を使用すると転移温度が室温を超える強磁

性が出現することを見いだしてきたが、これらの原因については明らかになっていない。

今回は、不定比化合物を使用しない化学量論比通りの試料を作成し、電気抵抗や磁化測定

を行うと共に、広島大学との共同研究により、正・逆光電子分光測定による電子状態の解

明を行った。 不定比化合物を使用しないで作成した試料の電気抵抗は、従来の試料と同様に、Ni ドー

プ量の増加とともに半導体的振る舞いから金属的振る舞いへと変化し、x=0.03 では、150 K 付近で金属-半導体転移が観測される。従来の試料に比べて、抵抗率の絶対値は大きくな

っている。正・逆光電子分光スペクトルの濃度依存性を調べた結果、Cu3d 軌道の状態密

度が濃度とともに減少しており、Ni 置換の効果が確認された。一方、Ni の代わりに Znをドープした試料では、抵抗率の絶対値が約 4 桁大きくなっていることから、Ni をドープ

した系での濃度による抵抗率の減少は Ni3d 8によるものと推察される。 x=0.03, 0.10 に対する磁化測定を行った結果、従来、観測されていた強磁性は 2~300 Kにわたる全温度領域で見られなかった。この結果より、この強磁性は、Ni 等の欠陥に起因

するキャリア誘起の強磁性であると考えられる。 上記2つの研究より、この物質の興味深い現象は、欠陥誘起によるものであることがわ

かった。

10

1.1.3 加速器科学

佐藤 勇 佐藤 和男 松原 洋一 早川 建 田中 俊成 早川 恭史 中澤 裕之** 横山 和枝** 菅野 浩一** 境 武志** 石渡 謙一郎** 猪川 弘康** 中村 吉宏** 中尾 圭佐** 橋本 英子** 藤岡 一雅** 村上 琢哉**

(1) 現状報告 1.はじめに

電子線利用研究施設では、平成11年度にビーム加速中でも実験室で作業出来るように、

加速器室と実験室の間の放射線シールドを強化した。その結果、光源の近くで、レーザー

実験が可能になり、自由電子レーザーの基礎実験は飛躍的に進展した。一方、加速器の高

度化として、既設大電力クライストロンの性能向上として短パルスクライストロンの長パ

ルス化に着手、平成12年3月には、大電力クライストロンの厳しい耐久テスト(24M

W×20μS×12.5Hz)に成功した。ビーム不安定性の原因となるパルス電源変動、

高周波位相変動、ノイズ対策に着手、部分的であるがビーム変動が縮小され、エネルギー

分析後のビーム電流は20μSのパルス持続時間を維持できるようなった。この結果、平

成12年6月、赤外自由電子レーザー実験では、自発放射光の蓄積を観測、基礎実験は飛

躍的に進展した。

一方、関連学部の協力と学外の研究機関と共同研究を行いながら、可変波長の高輝度単

色光源の研究開発並びに光源利用に関する高度化研究を積極的に推進し、既設実験室で高

度な利用研究が実施できるように放射線シールドを強化し研究環境を整えてきたが、自由

電子レーザーとX線を利用する実験グループが同居し実験するには、既設の実験室では手

狭であり、実験装置も用意出来なかった。そこで、関連する研究者の同意の下に、大学全

体の共通研究施設として、施設拡充と研究高度化を進めることになった。その第1ステッ

プとして、平成12年度に特定領域研究Bと学術フロンティアに応募し、幸い、学術フロ

ンティア推進事業の研究拠点として利用計画が認められ、平成12年度から5年間、日本

大学の研究高度化を実施することになった。平成13年3月には実験棟増築が竣工し、研

究高度化の実験装置も拡充され、加速器整備をおこなった。実験棟増築の着工に伴い、平

成12年7月から2月まで7ケ月間、加速器運転を停止した。平成12年12月には、電子

銃の低エミッタン化(規格化エミッタンス:15πmm・mr)に成功した。

平成13年1月5日に加速器運転を再開し、中性子やγ線の測定を行い加速器改善に努

め、2月はクライストロンのコンデショニングに費やされた。

4月大電流加速テスト(80MeV、300mA)に成功した。一方、クライストロン

の高周波出力電力位相の長時間のシフトを抑制して、加速ビームの安定化を計り、その結

果、5月26日に最初の1.5μm赤外線自由電子レーザー発振に成功した。普通の電子線

形加速器による自由電子レーザー発振としては世界最初であった。

6月には、加速器の性能向上によりビーム強度が増し、最終目標であるビーム電力が6.

25kW(125MeV、200mA、20μS、12.5Hz)に達すると、実験室の実

効線量が基準値を超える恐れがあった。そこで、施設検査を受けられるように、常時立ち

11

入り区域内の放射線レベルを下げる作業を開始した。7月には、電子ビームの安定化自由

電子レーザーの光計測システムを強化するとともに、自由電子レーザーは光空洞共振器に

蓄積する光強度の約1億倍に達した。又、9月には、ビームダンブを改良しダンプから放

射される放射線量の低減を計り、10月から12月の3ケ月は放射線シールドを強化し新放

射線管理区域内の放射線レベルを下げる作業に徹した。又、電子銃の放電耐圧を解消しビ

ームの安定化を図ると共に、ビーム損失の少ない加速器運転方法を探った。

2.保守・改善について

平成13年に於ける電子線利用研究施設の保守・改善は次の如くであった。

1)30MWクライストロンの開発。

現在使用中のクライストロン(PV-3030 :20MW×20μS×12.5Hz)の

出力電力より、更に1.5倍の大きい仕様性能(30MW×20μS×12.5Hz)を満

たす大電力クライストロンの開発。 これはKEKがBファクトリー用に開発したクライ

ストロン(PV-3030A3:40MW×5μS×50Hz)を改良したものである。

2)レーザー平行ビーム輸送システムの開発。

自由電子レーザーを新実験棟のレーザー照射室に平行ビームで輸送するための光学シス

テムの開発であり、楕円鏡と放物線鏡を使って自由電子レーザーの出射ビームを平行ビー

ムにする装置の開発である。

3)パラメトリックX線の集束系の開発。

蛋白質X線構造解析像やX線回折像を高輝度にするために、パラメトリックX線を楕円

鏡2枚を使い、照射標的に集束させる装置の開発である。

4)ビームモニターの開発。

これは電子ビームが放射する電磁場を捕獲し電子ビームの中心位置を±0.1mm の精度

で測定するモニターである。又、このモニターは電子ビームを阻止しないから常時モニタ

ーが可能であり、加速器運転を容易する。自由電子レーザーを安定に発振させるためには

必須の計測装置である。

5)高周波位相シフトの改善。

半導体の高周波パルス電力増幅器では、パルス的に発生する熱により高周波電力位相は

10μSで約10度ずれるが、位相変化量を事前に計測しシフトさせる方法により、位相

変化を1度程度に押さえることに成功した。これ以外に室温変化による緩やかな位相変化

があるが、位相負帰還回路を付け加えることにより抑制した。この処置により、長時間運

転に於ける自由電子レーザー発生装置のビーム輸送路を通過するビーム損失は大幅に改善

された。

6)大電力パルス電源調整による電子ビームエネルギーの改善。

大電力パルス電源のPFN電荷はクライストロン・カソードにパルス電圧として供給さ

れる。パルス電圧の不揃いはPFNの不整合によるが、クライストロン出力電力はカソー

ド電圧の2.5乗に比例するために、最終的には電子ビームのエネルギーの揺らぎになって

観測される。PFNの調整を電子ビームのエネルギーを観測しながら調整すると、パルス

電子ビームのエネルギーは平坦になる。これは3)のパルス内位相シフトの未改善分の補

正をする。

12

7)自由電子レーザーの光軸測定装置の開発。

電子ビームが放射する3次高調波(可視光)を光学望遠鏡で観測し、電子ビームの中心

軸を測定するモニターを製作した。これは光空洞共振器の反射鏡が誘電体多層膜鏡で構成

されているから、電子ビームの自発光(高次光)は反射鏡を通過し外部から観測できるか

らである。

8)電子銃の改善。

電子銃の電極径を5mm縮小し、放電耐圧を大きくした。その結果、電子銃のビーム電

流が鋸歯状的変動する現象が解消し、加速管のビーム負荷や加速ビームのエネルギーの長

時間変動が改善された。又、制御システムを強化し電子ビーム強度の微調がてきるように

改善する。

9)バンチモニターの改良

時間分解能が10pSのストリークカメラ(C937)の光学系を改良し、シットカメ

ラをアレイ型CCDカメラに交換し、バンチ形状を測定する時間分解能を2.5pSに向上

させ、加速高周波を分周した高周波で同期をとり、トリガージッターを小さくして、ビー

ムバンチ幅が5~8pSであることが確認できた。この結果、自由電子レーザーが発振し

ない理由が他にあることを確証できた。

10)入射部終端部の集束系強化。

入射部の集束系を強化した結果、入射部のビーム軌道の集束が改善され、加速器の終端

で約240mAのビーム電流を記録したが、入射部終端と加速部始端の間で不整合が生じ、

電子ビームの一部が失われ、ビーム不安定の原因になっている。入射部終端と加速部始端

の間に集束コイルを追加してビーム不安定性を改善する。

11)制御システムの改善。

電子線形加速器の制御システムを強化しエネルギーの微調、高周波移相器、高周波電力

減衰器等の設定や読みとりシステムを改善し、加速器運転の容易に するとともに、再現性

を確保する。

12)放射線遮蔽の強化。

ビームダンプにグラファイトを挿入し、電子ビームの電離損失を大きくし、γ線や中性

子を発生し難くする。又、加速器室と実験室の通路にコンクリートブロックを積み増して

迷路壁を延長、入射部の入口にコンクリートブロックを積み上げ迷路を作り、放射線管理

区域内の放射線レベルを下げる。

3. 主な作業経過報告(2001年1月~12月)

平成13年1月5日(金)クライストン1号機のコンデショニングを開始、9日中性子

測定のためビーム加速(92MeV、160mA)、10日~11日クライストロンのコン

デショニング、15日~17日ビーム加速(92MeV、85mA)ビーム調整、18日

室温の影響調査、19日ビーム加速(92MeV、160mA)しドアの外で放射線計測

(30μSv/h)を行った。

2月7日パラメトリックX線ラインに真空異常、共振器ミラー交換、8日~10日ター

ボ排気ポンプ並びに真空システムのチェック、13日~15日クライストロンを終夜でコ

ンデショニング、17日~20日クライストロンのコンデショニング、23日~27日ク

13

ライストロンを終夜でコンデショニングを行った。2月28日~3月3日クライストロン

のコンデショニング、クーリングタワーから水漏れ、自動電磁開閉器が故障した。

3月5日ビーム加速(90MeV、140mA)高周波位相器を動作、バンチャーの真

空が悪化、プリバンチャー系が耐電力不足。6日ビーム加速(90MeV、140mA)

真空悪化の原因調査、7日研究会の準備、8日~9日「第10回自由電子レーザーと大電

力放射光に関する先端的研究会」。14日クライストロンのコンデショニング、15日電子

銃の活性化、16日~17日ビーム加速(90MeV、160mA)光蓄積実験、19日

ビーム加速ビーム(90MeV、196mA、B140mA)エネルギー調整、21日ク

ライストロンのコンデショニング、光空洞共振器の調整、22日ビーム加速(86MeV、

140mA)ビームエネルギー調整、23日ビーム加速(86MeV、140mA)ビー

ムバンチ計測、26日ビーム加速(86MeV、140mA)自発放射光の波長測定、2

9日新クライストロンの搬入、30日ビームエネルギー(81MeV)調整中に2号機不

調、光空洞共振器のリミットスイッチ破損した。

4月1日新実験棟のレーザービームラインの建設を開始、6日ビーム加速(80MeV,

300mA)大電流加速テストに成功、9日ビーム加速(80MeV、200mA、87

MeV、150mA)ビーム電流の調整、一定時間にビーム電流が減少する現象(80M

eV、200mA→120mA、87MeV、150mA→80mA)が発生、10日~

11日ビーム加速(87.5MeV、80mA)ビーム電流減少の原因究明、12日残留放

射能を測定、13日光空洞共振器長の測定、16日~17日クライストロンのコンデショ

ニング、電源変動の測定、18日~23日ビーム加速(89.2MeV,160mA)FE

L実験、24日ビーム加速(87.7MeV,160mA)FEL実験、電源変動21時以

降に大、25日~30日ビーム加速(87.1MeV)位相補償によるエネルギー分散測定

を行った。

5月1日~2日FEL実験(84.7MeV、100mA)、7日~10日ビーム加速(8

5.2MeV、170mA、B90mA)FEL実験、11日ビーム加速(86.9MeV、

160mA、B90mA)FEL実験、14日FEL実験、16日ノイズ対策、17日ワ

イヤースキャンナーの取り外し、18日X線ビームライン結晶取り付け、FEL光共振器

長再測定、19日ワイヤースキャンナー取り付け、21日ビームトランスポートアライメ

ント、22日アンジュレーターキャップ間隔に上流と下流で3mm差を発見、23日アン

ジュレーターの空隙不平行をメーカー確認、24日ビーム輸送系の排気、25日アンジュ

レーターギャップの調整作業、26日自由電子レーザーシステムのアライメント、ビーム

加速(86.9MeV、90mA)、自由電子レーザーが発振(21:15)、28日ビーム

加速(94MeV、90mA)、FEL発振実験、30日~31日加速ビームの安定化作業

(電源変動測定)を行った。

6月1日~5日電源の変動を測定、6日ビーム加速(86.8MeV)、7日~8日ビー

ム加速(86.8MeV)ビームローデング効果の測定、9日電子銃の放電測定、13日~

14日電子銃のエミッション電流測定、放電によりエミッション異常、15日クライスト

ロン電源のPFNを調整、16日ビーム加速(86.8MeV)ビーム調整、18日~20

日ビーム加速(86.8MeV)ビーム調整、電子銃の放電場所を追究、22日ビーム加速

(95MeV)FEL実験、23日ビーム加速(85MeV、100mA)FEL実験、

14

24日ビーム加速(85MeV)FEL実験、25日~27日ビーム加速(83.5MeV、

100mA)FEL実験を行った。

7月2日~3日ビーム加速(86.8MeV、120mA)光ポジションモニターを取り

付け、FEL実験、10日~11日ビーム加速(104MeV、120mA)電子ビーム

のパラメトリックX線ビームラインへ輸送テスト、16日ビーム加速(108.6MeV、

6mA)X線ビームラインの調整、17日ビーム加速(110MeV、6mA)パラメト

リックX線の基礎実験、24日~25日ビーム加速(86.8MeV、75mA)ビームロ

ーデングの基礎実験、26日ビーム加速(85~95MeV、75mA)ビームエネルギ

ースペクトルの測定、27日ビーム加速(86.8MeV、90mA)FEL実験、28日

~30日クライストロンの出力特性の測定を行った。

8月6日~8日ビーム加速(86.8MeV、70~120mA)大学院生の加速器運転

実習、9日~10日ビーム加速(86.8~96.7MeV)FEL実験、15日~17日

クライストロンのコンデショニング、23日~25日ビーム加速(86.8MeV)ビー

ムローデング効果の測定、27日~28日ビーム加速(86.8MeV、100mA)ビ

ームエネルギーのスペクトル測定、29日ビーム加速(86.8MeV)FEL実験にお

けるプレバンチャー、バンチャー効果の測定、31日電源安定性の測定をした。

9月1日電子銃のビーム電流が鋸歯状波的変動、7日~8日ビーム加速(86.8Me

V、100mA)FEL実験、サイラトロンのピーキングコイルで線間放電、13日~1

4日ビーム加速(86.8MeV、100mA)FEL実験、電子銃が放電、17日ビー

ム加速(86.8MeV、100mA)FEL実験、18日~20日ビーム加速(86.

8MeV、100mA)ビームローデングの実験、21日~22日ビーム加速(86.8

MeV、100mA)放射線測定とFELのスペクトル測定、クライストロンのコンデシ

ョニング、25日AVRの配線工事、ビームダンプにグラファイト詰め、スキャンナーの

ワイヤー張り直し、26日真空立ち上げ、27日ビーム加速(86.8MeV、100m

A)PFNの調整、29日ビーム加速(86.8MeV、100mA)PFNの調整を行

った。

10月1日~2日ビーム加速(86.8MeV、100mA)クライストロン電源のオ

イルタンクで放電が発生、施設検査の取り下げを連絡し原子力安全技術センターよりビー

ム加速停止を通告、15日原子力安全技術センターを訪問、施設検査を受けることを連絡、

23日クライストロン1号機のコンデショニングを開始、24日ビーム加速(86.8M

eV、100mA)放射線測定を行った。

11月4日クライストロンのコンデショニング、5日~6日ビーム加速(86.8Me

V、100mA)放射線測定、8日アンジュレーターのリミットスイッチ交換、9日ビー

ム加速(86.8MeV、100mA)放射線測定、16日ビーム加速(85MeV、1

00mA)放射線測定、クライストロン真空悪化でダウン、19日ビーム加速(86.8

MeV、100mA)シールド積み換えによる放射線遮蔽効果の測定、17日~19日蛋

白質X線構造解析装置と微小部X線回折装置の機材搬入、25日KEKからシールドブロ

ックを搬入する。

12月6日~7日ビーム加速(86.8MeV、80mA)シールド積み換えによる放

射線遮蔽効果の測定、8日~11日蛋白質X線構造解析装置と微小部X線回折装置の組み

15

立て、13日クライストロンのコンデショニング、14日ビーム加速(86.8MeV、

160mA、5Hz)シールド積み換えによる放射線遮蔽効果の測定、16日電子銃の特

性テスト、27日ビーム加速(85MeV、100mA、5Hz)放射線シールド効果の

測定、軽微な変更により(実験室内の実労働40時間/週に変更)実験室の放射線レベル

は法定基準を以下の実効線量になることを確認した。

5.クライストロンの慣らし運転と電子ビーム加速

平成8年度から平成12年度まで過去5年間に行ったクライストロンの通電時間と通電

日数、並びに電子線加速を行った日数の年度別、並びに、平成13年1月から平成13年

12月までの1年間に於けるクライストロンの運転とビーム加速状況を示すと表1の如く

になる。

表1 クライストロンの慣らし運転とビーム加速

クライストロン通電 通電時間/日 ビーム加速 年 度

時間 日数 時間数 日数

1996

1997

1998

1999

2000

2001

71

559

1617

1257

1465

1557

61

159

127

109

138

8.88

9.16

10.16

9.89

13.44

11.28

544

13

40

39

45

87

6.今後の研究開発について

本研究施設では、学術フロンティア推進事業が軌道にのり本格的に機能すると否応なし

に、大学の共通研究施設としての役割を担うことになる。これは何れの共通研究施設にお

ける宿命でもあるが、本研究施設に於いて、自由電子レーザーやパラメトリックX線の利

用研究を円滑に進めるためには、加速器は良好な性能を保ち効率よく機能しなければなら

ない。この事柄を念頭におき、研究施設の活性化を進めるためには、平成12年度と同様

に、次の7テーマを今後の研究課題として取り上げた。更に電子線利用研究施設は21世

紀に向け「超分子ファクトリー」を将来計画として推進する必要がある。

1)自動制御システムと故障診断システム

2)広帯域アンジュレーターの開発

3)高周波電子銃の開発研究

4)自発放射光自己増幅プロセスの研究

5)真空紫外領域コヒーレント放射光の基礎研究

6)結晶構造高次解析に関する研究

7)X線の高効率輸送システムの研究開発

8)超分子ファクトリー計画の積極的な推進

16

7.研究活動

1月12日~14日、広島大学で開催された放射光学会と放射光懇談会の合同シンプジ

ウムで日本大学電子線利用研究施設の常設展示を行い、又、放射光学会のプロシーデング

スに「日本大学電子線利用研究施設の研究計画」を発表した。

3月8日~9日、「第10回自由電子レーザーと大電力放射光に関する先端的研究会」を

日本大学理工学部船橋校舎で2日間開催した。

8月1日~3日、つくば市で開催されたリニアック技術研究会(3日間)で11件の研究

発表を行った。

8月20日~25日、ドイツのハンブルグ市で開催された自由電子レーザー国際会議に

「日本大学の自由電子レーザー発振」を発表した。

9月17日~21日、中国の北京市で開催されたアジア粒子加速器会議に「日本大学電

子線利用研究施設の現状」を発表した。

10月11日、東京大学で開催された臨時放射光学会の施設展示をした。又、放射光学

会のプロシーデングスに「日本大学電子線利用研究施設の現状と研究計画」を発表した。

10月 29 日~31日、大阪大学で開催された加速器科学に「日本大学に於ける自由電子

レーザー発振と可視光のブローアップ」を発表した。

11月21日、高エネルギー加速器研究機構の加速器専門委員会に、「日本大学電子線利

用研究施設の現状と将来計画」を日本大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)との

共同研究の成果として報告した。

12月16日、東京大学化学講堂で開催された高エネルギー加速器40周年記念講演会

で「日本の線形加速器の発展」についての講演を行った。

12月26日、電子線利用研究施設の利用研究推進会を日本大学理工学部船橋校舎で開

催し、「研究施設の現状と学術フロンティア推進事業の進捗状況」を報告した。又、「トッ

プ30をめざして」をテーマに電子線利用研究施設の将来計画として「スーパーモルキュ

ラーファクトリ(超分子工場)構想」を発表した。

8.共同研究

「電子線形加速器の高性能化と自己診断システムの開発研究、並びに、可変波長高輝度

単色光源の高度利用に関する共同研究」をテーマに日本大学とKEKと共同研究を提携し、

日本大学総長と高エネルギー加速器研究機構長の間で覚え書きが交わされた。

9.終わりに

自由電子レーザーの発振は電子ビームと光(電磁波)の相互作用による誘導放射に依存

するために、電子ビームに対して低エミッタンス、低エネルギー分散、超尖頭電流、超安

定性など、高品質性能と非常に厳しい動作環境が要求され、特に短波長自由電子レーザー

では更に電子ビームと光が数mの距離をμm的な空間で整合しなければ発振しない。この

ことから、高周波電子銃、超伝導加速器、サブハーモニックバンチャー、超安定化電源等

の特殊装置を使って開発研究を進めてきた。従って、超安定高性能加速器と非常に高度な

加速器技術が必要とすることから、欧米では自由電子レーザーの研究開発に多額の費用と

多くの優秀な人材を投入して、国家プロジェクトとして推進してきた経緯がある。しかし、

17

日本大学では、上記のような特殊装置を使わずに、僅かな建設費と少ない人材で、ごく普

通の電子線形加速器を建設し、而も短波長自由電子レーザーを発振させることに成功した。

このことは、自由電子レーザーの開発に苦労してきた世界中の研究者や技術者から驚嘆さ

れたことは、特記すべきことである。普通の電子加速器を利用して自由電子レーザー発振

を目指した多くの計画は失敗に終わっている。又、国家プロジェクトとして計画された自

由電子レーザーのほぼ半数はまだ発振していない。事実、日本大学の自由電子レーザー計

画の内情を知る研究者や技術者の多くは、日本大学の自由電子レーザーは発振しないと断

言していた。このレーザー発振の成功は、単なる偶然ではなく、日本大学の自由電子レー

ザーの建設に関わった多くの研究機関の研究者や企業の技術者が大学、研究機関、企業の

境界を越えた必死の協力と弛まない努力の結晶の賜であることを忘れてはならない。特に、

この計画を共同研究として、物人の両面から強力に支援してくれたKEKの存在は大きく、

KEKの支援がなかったら、この計画は挫折していた。

自由電子レーザー発振のチャンピオンデーターの取得はアマチュアニズムでも可能であ

るが、自由電子レーザーの実用化には、細々した技術の積み重ねが必要であり、自由電子

レーザーを利用研究に活用するには、自由電子レーザーを発振させる努力の何倍かの努力

が必要である。そのために加速器の高度化を進めているが、これには高度な加速器技術な

しにその目的を達成することは到底不可能である。又、実用化そのものが最も苦しい研究

開発であり、全学の共通研究施設の役割を維持しながら、その実用化を達成するには、日

本大学の全面的な協力は勿論必要であるが、それ以外にプロフェショナルな加速器技術を

持つ関連研究機関と密接な協力体制と企業の更なる支援が絶対条件であることを申し添え

て置く。

平成13年の電子線利用研究施設における主な改善作業は次の12項目に集約されるが、

当初の目標と異なる改善が加わり、非常に厳しい作業であった。

1)30MWクライストロンの開発。

2)レーザー平行ビーム輸送システムの開発。

3)パラメトリックX線の集束系の開発。

4)ビームモニターの開発。

5)高周波位相シフトの改善。

6)大電力パルス電源調整による電子ビームエネルギーの改善。

7)自由電子レーザーの光軸測定装置の開発。

8)電子銃の改善。

9)バンチモニターの改良。

10)入射部終端部の集束系強化。

11)ビーム調整システムの改善。

12)放射線遮蔽の強化。

改善作業成果としては特記すべき1つは、30MWクライストロンの開発である。この

クライストロンの活用することにより日本大学の自由電子レーザーは可視光領域の発振が

可能になる。

18

レーザーの平行ビーム化はレーザービームの輸送路を最適にするために欠かせない作業

であり、楕円鏡と放物面鏡を使い装置を安価に製作する方法により装置を製作した。この

楕円鏡と放物面鏡の製作には世界一流の研磨技術を必要とした。レーザーを使って計測し

た結果は非常に良好であった。

パラメトリックX線は楕円鏡を2枚使って試料に集束されるが、パラメトリックX線源

が実用化された後に検証テストを行う。

ビームモニターには電子ビームが放射する電磁場を捕獲して電子ビームの中心位置を高

精度で測定する位置モニターと電子ビームが蛇行運動する時に放射する光を使って電子ビ

ームの中心軸を測定する光モニターが用意されている。いずれのモニターも電子ビームを

阻止しないから常時モニターが可能であり、加速器運転を容易する。現在、光モニターは

アライメント用のHeNeレーザーを基準軸にして、これに電子ビームの自発光を合わせ

るように調整している。

自由電子レーザーを安定に発振させるためには必須の計測装置である。

電子ビームの安定化に残された問題点は、半導体の高周波パルス電力増幅器であった。

1KW級マイクロ波増幅器では、半導体のもつ欠点が最も顕著に現れ、パルス持続時間内

で高周波電力位相が大きく(10μSで約10度)ずれた。時間的な応答が速いために、

その対応は非常に厄介であった。現在は一時的な対応処置であるが、位相シフトを抑制し、

自由電子レーザー発振に漕ぎ着けたが、自由電子レーザーを安定に発振させるにはまだ不

十分である。最終的には、より安定な高周波増幅器を開発する必要があり、現在準備中で

ある。

電子銃の電極直径を小さくすることにより、放電耐圧を上げ、エミッション電流の鋸歯

状的変動は解消した。

電子線利用研究施設の実験室を活用するために、実験室に研究者が常時立ち入るこ

とが出来るように放射線管理区域を変更した。そのためには放射線施設の検査に合格

する必要があった。しかし、加速器室と実験室間の迷路が不完全であるために所定の

放射線遮蔽効果が得られず、施設検査が通る可能性が低かった。そこで、ビームダン

プの改善や偏向電磁石周辺の放射線シールドを強化し、γ線や中性子の発生と拡散を

抑制したが、実験室の実効線量は規制値まで下がらなかった。そこで、迷路の放射線

遮蔽効果を大きくするために、コンクリートブロックを積み上げて迷路壁を深くした。

その結果、実験室の実効線量は規制値以下になり、施設検査に合格する見通しがつい

た。

(2) 商用電源変動 自由電子レーザーに関する実験を通して、周期的で顕著な商用電源変動が見出された。

原因は現在のところ不明であるが、このために、電子ビームに著しい不安定性が生じてい

る。一連の測定により、この電源変動が原因となって生ずる加速電場の変動が確認された。

ここで云うビーム不安定性とは、エネルギー、エネルギー幅、軌道、等の電子ビームの状

態が時間的に変動し、その結果、運動量幅 1%のアナライザーを通過後の電子ビームの電

流が変動する状況である。電子ビームを変動させる最大の要因は、室温の変化による RFアンプの位相変動であることが分っている。その対策として、本来、パルス内の位相変動

19

を補償する目的で RF アンプの前段に設置された高速φA を利用して、この変動をキャン

セルする装置を製作した。現在は±0.5 度の位相安定度で動作しているので、ほとんど問題

にならなくなった。次に考えられるのが商用電源の変動である。商用電源が変動すると、

サイラトロン周りの電源に影響を与え、その結果がパルス電圧の変動として現れてくる。

この問題は以前からわかっていてサイラトロン周りの電源の前に AVR を挿入することに

よって解決されたはずであった。ところが、ビーム不安定性の要因を探るために、商用電

源及び AVR 出力の電圧を長時間監視したところ、奇妙な事実が判明した。 商用電源は AC100V のラインから、AVR 出力の電圧は AC200V のラインから、夫々、

トランスで降圧し、デジタルマルチメーターを用いて測定した。測定値をパソコンに取り

込んで、長時間にわたる電源変動の監視を行った。変動は時間帯により、平日か休日かに

より、また月によっても変わっている。測定結果から商用電源は1日に 5%程度変動する

ことが分った。ゆっくりした変動と、急激な変動、小刻みな変動が組み合わされている。

しかし、顕著なのは午前9時と午後 9 時を境に変動の仕方が変わることである。午後 9 時

以降は小刻みな変動の振幅が昼間に比べて 2 倍から 3 倍に増えている。昼間の商用電源の

変動に対して、AVR の出力の変動は、安定時には 0.05%以下に抑えられているが、夜間の

変動時には 0.5%程度まで増大している(それでも AVR のスペックはほぼ満足している)。

不安定時の変動を、もう少し詳しく見ると、約 1 時間持続するパターンが繰り返し現れて

いることが分った。当施設の位置する船橋市は近隣にいくつもの工業団地があり、電源変

動の要因には事欠かないが、このはっきりしたパターンは単一のソースを意味していると

思われる。それが何であるかは不明である。電源変動を除去するために挿入した AVR の

応答速度のカタログ値は 0.08~0.15sec とあるから、変動時にはこれより早い変動が現れて

いると思われる。これを確認するためにスペクトル解析を行った。この結果によれば、変

動時、2 次と 4 次の高調波は、現れるときと現れないときがあるが、5 次の高調波は安定時

に比べて常に 10dB 程度大きくなっている。また、3 次の高調波はあまり変わらない。すな

わち、この変動は主に 5 次の高調波歪であると考えられる。 電源変動の影響が電子ビームの変動として現れてくる経路としては、収束系と RF 系が

考えられる。収束系の直流電源は、無論安定化されている。しかし、設計当時考えていた

のよりかなり少ない(数分の1)電流値で使われているので、安定度が不足している可能

性はある。RF 系はシグナルジェネレーターからクライストロンの出力に至るまで、あらゆ

るステージで電源変動の影響を被る恐れがある。それだけに全て電源は安定化されている。

唯一、安定化されていなかったのはパルスモジュレーターであったが、これも前記のよう

に、1998 年の段階で AVR を挿入することにより安定化した。しかし、今回観測された変

動は AVR で完全には除去されていないので、パルスモジュレーターが元凶である可能性

は高いと思われる。電子ビームの安定化は FEL 発振維持のためには不可欠であるため、不

安定性の原因究明とその解決は今後引き続き行っていかなければならない。 (3) 自由電子レーザー(FEL)

2001年度、電子線形加速器の改良とアンジュレーターや光共振器の調整を行い、5月26日に波長1.5µmでFEL発振を達成した。その後、さらに調整を進めていき、自発光の108

倍程度の増幅が得られるまでになった。その過程において、3次高調波が増幅される現象

20

が見つかったため、より詳しく調べるために光学系を整備して分光測定などが行えるよう

にした。 (4) X線源 パラメトリックX線放射(PXR)によるX線源の開発を進め、X線ビームラインに導

入される予定のX線集光系の性能をレイトレーシングによって評価した。 (5) FELビームラインのモニター FEL装置建設当初から、FELビームラインにはビーム調整用にビーム破壊型すなわち電

子ビームの進行を妨げる方式のモニターである蛍光板式ビームプロファイルモニターを、

アンジュレーターの上流、中間、下流の3ヶ所に設置してあった。ビーム調整時にこれら

のモニターへのビーム照射により発生した強いγ線あるいは中性子線が可視~紫外用

FELアンジュレーターの永久磁石に照射されたため、FEL発振実験を繰り返すうちに永久

磁石の放射線損傷が激しくなり磁場が著しく低下し使えなくなった。 この後、アンジュレーターを、より内径の大きい真空ダクトを採用でき且つ発振利得の

大きい赤外用アンジュレーターに変更したが、この際、放射線損傷を避けるためこれらの

ビームモニターを全て取り外した。したがって、赤外FEL発振実験においてFELビームラ

イン上のビーム位置・断面形状を確認する手段が無くなった。そこで、ビーム利用中もビ

ームをモニターする方法として ①ストリップライン型ビーム位置モニター ②アンジュレーター放射光モニター

の二つを製作・設置することにした。 ストリップライン型ビーム位置モニターは、ステンレス製真空ダクトの内面に沿ってマ

イクロ波ピックアップ用アンテナをビーム中心軸の上下左右に合計4本張り、2856MHzで集群した電子ビームが誘起するこの周波数のマイクロ波をピックアップして、対向するア

ンテナ間のピックアップ電力の比較からビームの重心位置を二次元的に求めることが出来

るものである。このモニターはビームを妨げないために常時使用可能で、加速器出口の直

線部、アンジュレーター上流及び下流に設置するために3台製作した。現在、モニターの

特性測定等を行っているが、予備的な実験で十分なマイクロ波検出電力と位置感度が得ら

れており、0.2mm程度の誤差でビーム位置を求められることが期待される。電子ビームの

直径は0.6~1mm程度であるから位置検出精度として十分であると考えられる。 また、アンジュレーター放射光モニターは、赤外用アンジュレーターで発生する放射光

のうち可視光となる高調波をアンジュレーター中心軸の延長上に置いた望遠鏡で集束し

CCDビデオカメラでモニターするものである。この時得られるアンジュレーター光の画像

からビームの集束・位置情報をテレビでモニターできる。これもやはり、常時モニターす

ることが可能である。アンジュレーター光の分布の様子を、アンジュレーター上流・中間・

下流の3ヶ所について同時にモニターするために、ハーフミラーとの組み合わせにより小

型の望遠鏡3台からなるモニターを製作した。このモニターは、光軸調整に難があるが、

カラーCCDカメラを使用しているために放射光の色情報もモニターでき、ビーム調整に役

立っている。

21

(6) 位相変動補償システムの開発 加速器運転時のRF位相に、RFアンプの周辺温度に依存したパルス間の変動があること

がわかった。この変動は、電子の加速位相をゆっくりと変える要因の一つで、パルス内の

位相変動と重なって、電子ビームのエネルギー変動を引き起こしている。安定したFEL発振のためには、安定な加速電子ビームの供給が確保されなければならない。そこで、パル

ス内の位相変動はファンクションジェネレーターを使って補償し、周辺温度に依存する位

相変動はフィードフォワード式回路を作製して補償した。この方法によって、パルス内・

パルス間の位相変動が改善され、より安定な加速電子ビームを確保することに成功した。 (7) パルス管冷凍機の研究

昨年度に引き続きヴィルミエサイクル方式のパルス管冷凍機の実験を行い、液体窒

素予冷方式で 4K 以下の極低温の得られることを実証した。今後はさらに最適動作条

件等の絞込みを行い、冷凍効率向上を目指す。 パルス管冷凍機に直接電流を流して、超電導マグネット用電流リードシステムとする方法

が提案され、実証試験が行われた。公証入力 5kW の圧縮機を使用して、一対の電流リー

ド内蔵型パルス管冷凍機を運転し、冷却温度 65K で 850A の通電に成功した。一方 850Aで RRR=30、L/A=35 の場合、65K での必要冷凍量は 36.5watt と計算されている。この値

は、ヒータ加熱によって測定された冷凍能力に一致し、更に 850A 通電時の端子電圧から

計算された発熱量の 1/2 にほぼ一致している。したがってパルス管内に貫通した銅棒を挿

入し、そこに通電するという方式は、パルス管冷凍特性を乱すことなく、いわゆる冷凍機

冷却型電流リードの最適条件と一致する特性を示すことが明らかになった。今後、この方

式を更に発展させるためには、銅棒の熱伝達表面積を変化させて、パルス管内で積極的な

熱伝達効果を利用する方式を検討することと、パルス管構成材料それ自体に積極的に通電

する方式を検討することが重要と考える。 1.1.4 量子光学

井上 修一郎

(1) 長距離量子暗号通信のための単一光子検出器の開発

量子暗号通信を実用化するためには、100 km 程度の通信距離を実現しなければなら

ない。そのためには、光ファイバーにおける光損失が最小となる波長 1550 nm の光子

を用いる必要がある。そこで、1550 nm の光子を高い量子効率で、しかも低いダーク

カウント発生率で検出できる単一光子検出器の開発を行った。

InGaAs/InP アバランシェフォトダイオードを Gated Passive Quenching Circuit を用い

て動作させることにより、-55℃ において量子効率 13.7 %、ダークカウント発生率 2.4×

10-5を実現した。この単一光子検出器を用いると理想的な条件では、100 km 程度の通信距

離を実現することができる。

(行方1、井上)

1 物理学科4年

22

(2) 10.5 km 量子暗号システムの開発

上記の単一光子検出器を用いて、10.5 km の光ファイバー通信路を持つ量子暗号通信シ

ステムを開発した。干渉計としては偏光分離型の Plug and Play システムを採用し、BB84

量子暗号プロトコルによる鍵配布を行った。その結果、量子誤り率 1.5 %、鍵配布率 40/sec

を実現した。

(行方、吉川2、井上)

(3) 高効率無相互作用測定のためのファブリペロー共振器の製作

「光子を物体に当てないでその像を得る」無相互作用イメージングを実現するためには、

反射率および透過率の高いファブリペロー(FP)共振器を製作しなければならない。そこ

で、10 ppm 程度の散乱・吸収損失を持ち、反射率が 98%のミラーを用いて FP 共振器を製作

することにより、93%の透過率を実現した。さらに、レーザ光を 2 つのビームに分けて FP

共振器に入射し、一方のビームを用いて Drever-Pound 法による FP 共振器の安定化を行っ

た。その結果、もう一方のビームを約 90%の確率で透過させた状態を安定に保つことに成

功した。この共振状態に安定化され、しかも 90%以上の透過率を持つ FP 共振器によって無

相互作用イメージングを実現することができる。

(行方、井上)

1.1.5 理論物理

1.1.5.1 物性理論

紺野 公明* 島田 一平 鈴木 潔光* 熊谷 紫麻見* 糸井 千岳*

坂元 啓紀* 大澤 博幸** 洪 秀微** 瀬尾 友也** 高橋 常幸**

中島 基樹** 森田 淳** 鳴海 秀雄** 守屋 直揮** 岩崎 敦志**

石森 昭博** 今井 大輔** 住廣 将都** 根橋 賢司** 福田 研夫**

本間 真** 山肩 大祐** 東郷 道雄** 牛越 健希** 田中 克典** 田中 伸幸** 廣田 紳** 平野 和男** 岩渕 甲誠** 野上 杏子** 長谷川 洋+ 三沢 節夫+

(1) 非分散非線形可積分方程式系の回転するループソリトンの運動

非分散非線形可積分方程式は色々な解を持つ。今回、当該方程式を3次元空間でのルー

プソリトンの運動と考え解を求めた。その結果、今までの二次元平面内の運動に加え、角

運動量を持つ三次元空間を運動する解を見つけ、そのループソリトンの衝突を議論した。

(角畠 浩3、紺野 公明)

(2) 若い超新星残骸からの,パルサー起源の X 線放射

Ib,Ic,II 型超新星では中心に中性子星が残り,パルサーになっている可能性が高い。こ

2 物理学科4年 3 富山大学工学部

23

の放射は,超新星の爆発後初期には吹き飛ばされた残骸に隠されて見えないが,時間がた

って残骸が膨張するにつれ,高エネルギー側から見えてくると予想される。超新星の爆発

モデルに基づいてパルサーの放射を予測し,X 線・ガンマ線観測衛星の観測可能性を議論

した。

(熊谷,山肩)

(3) 超新星 の Ti44 崩壊によるγ線放射と超新星残骸の加熱

超新星では、爆発時に多量の放射性元素が作られるが、その量はまだはっきりわかって

いない。Ti44 の量をパラメータとし,その崩壊で発生するガンマ線について,超新星残骸

表面からの放射強度や,超新星残骸を加熱して発生する X 線強度を計算した。

(熊谷)

(4) ガンマ線バーストのコラプサー・モデルの SPH シミュレーション

ガンマ線バーストの中心エンジンのモデルとしてはコラプサー・モデルが有力である。

これは、回転する大質量星の崩壊でブラックホール(BH)と降着円盤が形成され、重力エ

ネルギーの解放によりガンマ線バーストの元となる高温の‘火の玉’を生成するというも

のである。この崩壊過程を SPH 法による3次元数値流体力学シミュレーションにより調べ

た。

(平野、岩本)

(5) ガンマ線バーストのコラプサー・モデルにおける電子陽電子プラズマの生成

ガンマ線バーストのコラプサー・モデルにおいて降着円盤から放射される熱的ニュート

リノにより生成される電子・陽電子プラズマのエネルギーを評価した。

(福田,岩本)

(6) 熱電磁気効果による中性子星磁場の起源

中性子星表面付近の流体層で生じる熱電磁気不安定性を線形解析により調べた。新しい

輸送係数を用いて線形成長率の再評価を行った。

(住広、佐藤(正),岩本)

(7) 超新星の光度曲線における相対論的膨張の影響

爆発エネルギーが大きい,あるいは非球対称な超新星では,相対論的な速度で物質が放

出される。そのためにドップラー効果,光の有限伝播時間,および放出物の静止系におけ

る時間の遅れの効果などにより,十分時間が経過した後の超新星の光度曲線に増光が見ら

れることを示し,その増光の大きさを解析解により調べた。

(岩本)

(8) 拡張された“中心極限定理”と近可積分系の Kinetics 一般的な古典力学系の位相空間はカオス領域と多重周期領域の複雑な混合になっている

(近可積分系)。このような近可積分系での運動には長い相関が存在し、異常な拡散を示す

24

ことが知られている。異常な揺らぎの統計的性質は通常の中心極限定理から予想されるも

のとは異なり、揺らぎの分布がガウス分布にはならない。われわれは、周期外力を受けた

振り子の場合に、近可積分系の揺らぎが、中心極限定理を拡張であるレビーの安定分布

dkikxkxf ∫∞

∞−

−= ]exp[]exp[)( αβ

のクラス(α=1.6)に収束することを確認した。

(今井邦俊4、島田一平)

(9) 決定論的な項を含むガウス型ランダム行列模型の準位曲率分布について

通常のランダム行列理論では、ハミルトニアンは完全にランダムなものとして取り扱われ

る。しかし実際の物理系(不規則系)において、ハミルトニアンは完全にランダムではな

く規則的な要素を含む。本研究では決定論的な項 H0とガウス分布に従うランダムポテンシ

ャル W の和で表されるハミルトニアン H=H0+W を考え、それにガウス分布に従うランダムな

摂動 tV を加え、摂動パラメーターtに対する準位曲率の分布関数について調べた。その結

果、決定論的な項の微調整により、(エネルギーバンドの端以外に)エネルギーバンドの中

心のみがゼロになる場合の特にバンド中心付近 O(N-3/4)の領域では、準位曲率分布の関数形

が通常のランダム行列理論で得られる結果からずれることがわかった。

(坂元)

(10) ウシガエル心拍リズム変動に内在する力学的構造の検証

– Deterministic rule on heartbeat intervals in freely moving Bullfrog – 心臓は一定の間隔で拍動するのではなく、拍動間隔にある範囲の変動を持っている。こ

の変動は、心臓は自動能に加え、生体内においては身体の恒常性を保つために受けている

脳から制御によって起こるものと考えられる。しかし、その存在理由や変動の規則性等は

分ってない。我々は今回、ウシガエルの心拍間隔変動を解析することにより、この変動が

非線形力学によって記述できることを明らかにした。

(田中克典)

(11) 経済変動に現れる非ブラウン運動

日経先物指数についてその変動の分布がレビの安定分布になることをすでに報告したが、

さらに、その変動を時刻-価格の平面にグラフとしてあらわすと、その曲線はフラクタル

な曲線となり、ハウスドルフ次元が D=1.42 となることを確認した。通常のブラウン運動で

はこの次元は D=1.5 となることが知られている。日経先物指数のデータ-はこれとは異な

る性質を持っている事がわかった。

(村田賢俊5、島田一平)

4 物理学科4年 5 物理学科4年

25

(12) 量子系の中間準位統計 ― Grand canonical ensemble を用いるランダム行列理論 ―

Gaussian orthogonal, unitary, symplectic ensemble の名で知られるランダム行列理論のなかで、

ポアソン統計との中間に相当する分布を体系的に(単一パラメタの関数として)与えようとする試み

がある。その最初のものは Gaudin よるものである。1980 年以後カオスの研究の進展とともにこれを

“level dynamics”によって定式化しようとする試みがあって、そのような one-parameter 族の分布を

この立場から一般的に与えたのは T.Yukawa であった。のち、1993 年 P. Forrester は unitary

ensemble の場合 Yukawa の与えた N-準位分布が Gaudin の考察したものと同一であることを指

摘し、これに対する grand canonical ensemble の定式化を行って隣接準位分布の問題に応用し

た。Yukawa の N-準位分布を具体的に表すと

)1(4,2,1)(

)(),,,(

2

22

2

,21, =

−+

−= ∏

<

β

β

ββkj kj

kjNNN xxa

xxCxxxP K

となるが、これを Forrester が β=2 のときに解析的に取り扱ったのである。β=2 のと右辺の多重

積をひとつの行列式で表し、このことを利用して N×N 行列式のパラメタζ(fugacity)に関するべ

き級数を Fredholm 行列式によってまとめることができた。 また n-準位相関関数に対してもこれ

を n×n 部分 Fredholm 型行列式

( ) )2(,..1,)],(det[),,,( 21 nkjxxGxxx kjn =−= ςρ K

で表されることを示した。従って unitary ensemble に関する限り Grand canonical ランダム行列理

論は解析的取り扱いが可能である。問題はこの方式を orthogonal (β=1) 及び symplectic (β=4)

ensemble に対しても拡張することができるか?ということになる。

われわれはこの問題に対しDysonのquaternion表示を用いて回答を試みる論文を提出して

いる。

(長谷川 洋)

(13) 量子情報幾何の定式化 ― 古典情報幾何におけるα-ダイバージェンスの量子情報論的

対応概念の確立

α-ダイバージェンス Dα(p¦¦q)とは、S. Amari によって確立された二つの確率分布関数の``近さ

''を測る量(contrast function)であり、いくつかの基性質を備えている。

われわれの研究目標を一口で言えば、この概念を量子情報理論のなかで確立することと云うこと

ができるものであり、この10年来共同研究者 Petz と行ってきた。二つの(非可換)密度行列の間に

定義されるダイバージェンスはすでに 1985 年 Petz によって``quasi-entropy''の名前で提案されて

いたものであるが、1993 年筆者がそれから導かれる Fisher 情報量と Wigner-Yanase-Dyson 情報

量との密接な関係を指摘したことからこの目標が意識されるようになった。 「 WYD 予想」とは

1960 年代の初期に登場した量子情報理論上の研究であって、それを初めて肯定的に解決した

Lieb の命名によるものである。簡単に説明するならば、 Wigner-Yanase が導入した``skew

information''と呼ばれる密度行列 ρ の汎関数 Ip(ρ, k) = - Tr[ρp, k][ρ1-p, k] ( 0<p<1 ) が情

26

報量としての要件「作用素凸性」を備えているとの予想である。 Lieb はこの命題を作用素代数上

の問題として扱い具体的に証明したが、当時その幾何学的意義を示したものではなかったといえ

る。目下提出中の論文を再出発点として量子情報幾何建設という基本問題から明らかにしようとし

ている。

「付記」上記の2課題の相互関連については、本年四月発行予定の「数理科学」(サイエンス社)特

集号「現代物理と現代幾何」で解説を試みる。

(長谷川 洋)

(14)液体3He の密度の温度と磁場依存性と帯磁率極大現象

フェルミ液体モデル(Misawa1970)で帯磁率極大の普遍性が予言され、すべてのd金属で

極大が観測された。液体3He については、極大の存在を示す前兆があるが、まだ確立され

ていない。フェルミ液体モデルに対立するものとして多くの実験家が信奉しているパラマ

グノン・モデルがあるが、これは短波長の密度ゆらぎの効果を無視しているので正しくな

い。フェルミ液体モデルの正当性を示すために、ある磁場の下で液体3He の密度の温度依

存性を測定することを提案した。系の圧力一定の条件で、フェルミ液体モデルでは、密度

は温度とともに T2lnT に従って増大して極大を示し、いっぽう、パラマグノン・モデル

では、それは T2に従って単調減少である。二つのモデルで変化の方向が正反対なことと、

変化のオーダーが観測可能なので、明快な結果が出ることが期待される。なお、この実験

は東工大のグループが現在取り組んでいる。 ( 三沢 ) (15)酸化物超伝導体における準粒子(ホール)が3次元フェルミ液体であることの証明 (この分野の)世の中のすべての実験家と理論家は、酸化物超伝導体の準粒子(ホール)

の振舞いは Cu- O 面内で起きる2次元の電子状態に起因すると考えている。すなわち、

ホールの運動の自由度は2次元に限られると考えている。また、この物質の TCより高温

における輸送係数の異常は、長い間、深い謎とされ、理論の混乱の原因であった。我々は、

1990 年代前半における LSCO 系超伝導体の実験データを改めて解析し直した。すべての

ドーピング濃度にわたり、この系の帯磁率、電気抵抗、ホール係数などが温度の関数とし

て正確に T2lnT 則に従うことが示された。これは、この系の TC直上から高温にいたる準粒子が

3次元のフェルミ液体を形成していることを示している。いままで、この系が RVB 状態

であるとか、non-Fermi liquid であるとかさまざまな提案がなされてきたが、すべて誤り

であることが明らかになった。これによって、いままでの超伝導の理論を、3次元のフェ

ルミ液体の立場に立って、構築し直す必要に迫られた。 ( 三沢 )

27

1.1.5.2 素粒子および原子核理論

石田 晋 蔡 勝義 仲 滋文* 出口 真一 二瓶 武史*

山田 賢治* 阿部 圭一** 岩田 寛幸** 豊田 陽巳** 松本 慎一郎**

小久 保陽介** 竹内 嘉浩** 眞岩 久恵** 松田 克巳** 前田 知人**

君島 愛子** 佐藤 佳** 佐藤 徳弥** 伊藤 大樹** 橘川 薫**

田村 茂樹** 松浦 康理** 高梨 宇宙** 貫井 千尋** 米田 守重***

森川 明良*** 小田 隆一*** 粟生田 健一*** 亀渕 迪+ 田中 正+

沢田 哲雄+ 男沢 淳+ 藤田 丈久* 大生 光明 浅賀朋子**

小林拓也** 興治文子** 石塚昌弘** 井本道子+

(1) 励起ウプシロン崩壊過程でのσ中間子生成:現象論的解析

我々はΥ崩壊過程,Υ(2S)→Υ(1S)π+ π-,Υ(3S)→Υ(1S)π+ π-,Υ(3S)→Υ(2S)

π+ π-及びψ(2S)→ J/ψπ+ π-,J/ψ→φπ+ π-,φK+ K-過程でのππ, KK 生

成振巾を軽い質量のσ中間子生成の効果を含む振巾を取り入れて総合的に解析する。す

べての実験データは共通のパラメーター の値を持

ったブライトウィグナー振幅によって再現される。詳しい内容は「Physics. Letters.

B508 (2001) 31-36」に掲載されている。

MeV013 MeV,526m 451001σ

4837σ

+−

+− =Γ=

(駒田, 石田(宗), 石田)

(2) 励起ウプシロン崩壊過程でのσ中間子生成:カイラル対称性からの制限

先のレターの現象論的結果がカイラル対称性の観点から理論的に検討される。ππの

質量スペクトルはπ中間子の南部ゴールドストンボソンとしての性質から閾値近傍で

抑制されると一般に信じられているが,これは正しくなく,大きなエネルギーの解放が

ある過程,実際にΥ(3S)→Υ(1S)で起こっているように,閾値近傍から急激に立ち上る

ことがカイラル対象性と矛盾しないことが示された。詳しい内容は「Physics. Letters.

B518 (2001) 47-54」に掲載されている。

(石田(宗), 石田, 駒田, 松本)

(3) 重・軽クォーク系でのカイラル・スカラー及びベクトル中間子の性質

最近我々は明白に相対論的共変な枠組みを持つハドロン準位分類法を提案した。この

方法では軽クォークについてのカイラル対称性の要求から新しい型のスカラー中間子

XB,XD及び軸性ベクトル中間子XB*,XD*が存在することが予言される。またこれら

の粒子はその対応するカイラル・パートナーそれぞれB,D及びB* D*との質量差,又

1π中間子崩壊の巾が等しくなることがカイラル対称性,及び重クォーク対称性から予

言される。詳しい内容は「Prog. Theor. Phys. 106 (2001) pp.373-387」及び「ハドロ

ン2001」報告集に掲載されている。

(石田(宗), 石田)

28

(4) D中間子系でのカイラル・軸性ベクトルの存在

我々はCLEOⅡ実験で得られたD*+π-の質量分布をVMW法を用いて再解析して,最近

提案された共変的準位分類法で予言されているカイラル・軸性ベクトル中間子の存在を

チェックする。その結果は確かに余分のカイラル粒子が存在することを示唆している。

詳しい内容は「ハドロン2001」報告集に掲載されている。

(山田, 石田(宗), 石田, 伊藤, 駒田, 戸ノ岡)

(5) ハドロンの相対論的に共変な分類法

多重局所クライン・ゴルドン方程式(ローレンツ・スカラー質量自乗項を伴う)から

出発して一般の複合系ハドロンを記述する。ハッキリ定まったローレンツ変換性を示す

クォーク表現を与える。質量準位は上の過程によりクォーク構成子のスピンの自由度に

ついての )4(~U 対称性及びカイラル対称性を示すことになる。この対称性はこれ迄非相

対論的分類法ではなかった新しい種類の多重項の存在を予言する。軽クォーク )qq( 中

間子にはスカラーσと軸性ベクトルa1九重項が通常の“相対論的S波状態”として従来

のP波状態に加えて存在することになる。二つのエキゾチック1-+中間子が相対論的P

波状態として存在が予言される。軽クォークバリオンの基底状態にもパリティ・プラス

のSU(6) 56次元パリティ・マイナスの70次元が余分に存在することになる。詳しい内容

は「ハドロン2001」報告集に掲載されている。

(石田, 石田(宗))

(6) 励起Υ崩壊過程でのσ中間子生成

我々はΥ崩壊過程,Υ(2S)→Υ(1S)π+ π-,Υ(3S)→Υ(1S)π+ π-,Υ(3S)→Υ(2S)

π+ π-でのππ生成振巾及びチャーモニウム崩壊過程ψ(2S)→ J/ψπ+ π-とJ/ψ→

φπ+ π-,φK+ K-過程でのππ, KK

013 +−

生成振巾をσ-中間子生成の効果を入れて解析

する。振巾はVMW法に従ってσ-中間子及び他の関係する中間子のブライト・ウィグ

ナー振巾と直接の2π生成振巾の和としてパラメーターかされる。すべての実験的質量

スペクトルは として良く再現される。詳しい内容は

「ハドロン2001」報告集に掲載されている。

MeV MeV,526m 451001σ

4837σ

+− =Γ=

(駒田, 石田(宗), 石田)

(7) Υ’→Υππ及び他のππ-生成過程でのσ(450-600)中間子の確認

カイラル対称性からの制限条件と明白に斉合する有効振巾を応用して上の家庭での

ππ生成振巾を解析する。その結果は軽いσ-中間子存在の強い証拠を与えるものとな

る。これ迄長い間PDGテーブルの情報の主な源となっていた。ππ-散乱過程は実は

σ-中間子については例外的に不適当なものであったことが指摘される。詳しい内容は

29

「ハドロン2001」報告集に掲載されている。

(石田 (宗), 石田, 駒田, 松本)

(8) ニュートリノ振動の量子力学と運動学

ニュートリノ振動をその量子力学的及び運動学的側面に焦点をあわせて議論する。ニ

ュートリノをガウス型の運動量分布をもつ波束として扱うことにより,先ず,ニュート

リノがどのように伝播するのかを,それがどのように生成されるのかを問わないで,調

べる。次に,ニュートリノがπ→μ+νの如き2体崩壊を通じて生成される場合につい

て調べる。ニュートリノを平面波として扱う標準的な枠組みが,修正を受けるのかどう

か,また,どのように修正されるのかに注意を払う。

(松田, 竹内, 蔡)

(9) 質量を持つ反対称テンソル場の量子化と線型ポテンシャル

本研究では,反対称カレントを含む,質量を持つ反対称テンソル場のゲージ理論の量

子論的側面を議論した。我々は,2階の反対称テンソル場を,ゲージパラメーターをも

つ共変ゲージとランダウ型の軸性ゲージの両方で量子化した。共変ゲージでの量子化で

は,反対称テンソルカレントとその発散で書かれた生成汎関数が得られ,ユニタリーゲ

ージでの量子化に比べて,生成汎関数を成す項の起源が明確に理解できた。軸性ゲージ

での量子化では,ゲージ条件において適切な軸を選ぶことにより,電荷と磁荷に対する

ツバンチガー形式を用いて導かれる生成汎関数と同じものを直接に求めることができ

た。2つのゲージで得られた生成汎関数は,特別な反対称テンソルカレントに対しては

同じものになり,それは,湯川ポテンシャルと線型ポテンシャルの合成を与えることが

示された。

(小久保, 出口)

(10) Massive Yang-Mills 理論のアーベリアン射影とカラーの閉じ込め

近年、カラーの閉じ込めを説明するため,QCDの低エネルギー有効理論として双対

Ginzburg-Landau理論を導く試みが数多くなされている。その際,非可換ゲージ理論で

あるQCDから,その可換部分の自由度を取り出すことが重要であるが,それを可能にす

る根拠となるのが,アーベリアン・ドミナンスである。これは,低エネルギー領域にお

いて,カラー電荷を持つグルーオン(荷電グルーオン)が質量を持つため,可換部分であ

る中性グルーオンのみが支配的になるという一種の仮説として導入されたものである

が,最近では数値シミュレーションから支持されている。

本研究において我々は,アーベリアン・ドミナンスを踏まえ,荷電グルーオンの質量

項を含むYang-Mills理論(Massive Yang-Mills理論)を議論の出発点とした。そして,こ

の理論に含まれる荷電グルーオンの自由度を中性グルーオンに取り入れる(アーベリア

ン射影する)ことで,可換有効理論を導いた。その結果,可換有効理論が一般化された

Skyrme-Faddeev模型を含むことに加え,カラー電荷間に閉じ込め力(線型ポテンシャル)

が働くことが示された。

(小久保, 出口)

30

(11) 超対称標準模型における暗黒物質の残留エネルギー密度の解析

ミニマル超対称標準模型において,暗黒物質の現在の宇宙における残留エネルギー密

度の解析を行い,最新の実験結果から許されるパラメーター領域を求めた。この際,残

留エネルギー密度の計算に必要な暗黒物質の対消滅の反応全断面積の厳密な表式を,は

じめて解析的に求めた。この結果,これまで重要ではないと思われていた幾つかの過程

が,大きな寄与を与え得ることが示された。また,ボルツマン方程式を解く際に必要な

反応率の熱平均を精度良く計算することに成功し,その結果,超対称粒子の質量が1TeV

より重い場合にも,現在の暗黒物質の残留エネルギー密度を説明しうる場合があること

が示された。この結論は,次世代の加速器実験による超対称性の検証にとって重要な意

味を持つとともに,現在計画中の暗黒物質の直接検出実験にも,大きな示唆を与え得る

ものとなった。

(二瓶, L. Roszkowski, R. Ruiz de Austri)

(12) 作用変数・角変数・ハミルトンの特性関数と量子力学 前期量子論において重要な役割を演じた上記の変数や関数が,量子力学においてどのよ

うな役割を演ずるかについて検討した。簡単な系に対しては,ハミルトンの特性関数から

シュレーディンガー方程式の解を作りあげることが可能である。正準変数がすべて定数と

なるような“ハミルトン・ヤコビ表示”とも呼ぶべき表示の存在も示された。 (亀渕)

(13) 湯川博士の物理学 2000年2月18日,京都大学基礎物理学研究所で開催された湯川秀樹博士ノーベル賞受賞5

0周年記念講演会での講演「湯川博士の物理学」,およびそれをベースに同年11月29日,日

大セミナーで行った「『湯川博士の物理学』余話」に対して,約一年半にわたって修整・加

筆し,その成果を下記のように発表した。 1)「湯川博士の物理学」NUP-B-2001-1(日本大学原子力研究所2001年6月). 2)「湯川博士の物理学」素粒子論研究103巻6号2001年9月号,pp.145-170. (田中)

(14) 非常に低いエネルギ-における原子核融合反応の研究

一般に,原子核相互間のク- ロン斥力ポテンシャルの存在によって,原子核の融合反

応は低エネルギ-では実質的には禁止され,この世界は安定である。 それに対し て,

この安定性を崩す条件は何であるかを,場の量子論(主として量子力学)の枠組の中で

探した。 そして,磁気単極子の近傍では,核の磁気モ-メント とその単極子間の引力

とク-ロ ン斥力の競合によって,その安定性は部分的に失われる事を見出した。この事

情を,もっとよく理解するために,磁気単極子と1個または2個の deuteron の系の

energy spectrum, wave function, transition amplitude を計算した。詳細は Annual

Report (2001) の中の "Rational basis of the nuclear fusion reaction at very low

energy" に述べられている。

(沢田)

31

(15) q-量子変形された余次元空間を持つ5次元時空

パラメーターqを含む量子化の手続き(q-量子変形)は,個々の物理的問題に即して

様々な場合に現れる。q-量子変形された力学系は,通常の力学系の枠組みの中で,異な

る力学系として表現でき,q-パラメーターの意味はそれぞれの力学系ごとに異なってい

る。

q-量子変形は,通常の量子化と異なる量子化と考えられてきたが,実はその間に写像

が存在し,実質的には通常の量子化が行われてることがわかった。

そこで我々は,q-量子化を写像の手法を使って調和振動子型の力学系に適用し,固有値

問題の詳細を調べた。q-量子変形された調和振動子のエネルギー固有値は,励起数に依

存してより強い力で束縛する複雑な力学系に対応することがわかった。

またその特徴を基に,拡張されたq-量子変形を調和振動子型の内部自由度を持つ,4+1

次元時空理論に適用し,素粒子の階層性やその空間での場の理論の特性について議論し

た。

我々の模型では,非可換時空構造と質量の階層性の導出の特徴を併せ持つような模型

を構築することができた。我々の模型から得られる質量殻方程式を基に,小さいエネル

ギースケールと大きなエネルギースケールを関係づけることができた。

場の理論的観点から,一般に高階微分を含む波動関数はghostの自由度を含むとされ

ているが,q-量子変形の構造では上手く除外される事がわかった。また,λφ4型の相

互作用を仮定した1-loopの摂動計算の結果,通常現れる発散がq-量子変形により押さえ

られて,有限値に収束することもわかった。これらの特性は,従来の場の理論の難点が,

本研究で調べられた4+1次元時空の中で,一挙に解決できる可能性を示すものである。

(豊田,仲)

(16) ゲージ超対称性の幾何学的破れ

場の理論における超対称性は,発散問題の改善,あるいはこれと関連して,力の統一

理論における自発的対称性の破れの階層性の問題等を理解する上で,極めて基本的な対

称性として認識されている。ただし,現象論的には現在のエネルギーではこのような対

称性は認められておらず,同時に何等かの意味で対称性の破れの機構も用意しなくては

ならない。我々は局所的な超対称性をもつSUSY-Yang-Mills理論を調べ,この模型の中

に超代数の破れを導くモノポール型の解が含まれることを示した。さらに我々はトポロ

ジカルな解による超対称性の破れ(超対称性の幾何学的やぶれ)を場の理論で議論でき

るようにトポロジカルな解の効果を考慮したエフェクティブラグラジアン導いた。

(岩田,仲)

(17) 中性子EDM抑圧の可能性

量子場の理論における電気双極子モーメント(EDM)に対する一般化されたSchiffの変

換をQCDに応用することにより,色電気双極子モーメントのオペレータは通常の電気双

極子モーメントのオペレータに変換されることを示した。このことより,ある条件が充

たされる場合,中性子の電気双極子モーメントは大幅に抑圧される可能性があることを

示した。

(浅賀,藤田)

32

(18) Heisenberg XXZ 模型におけるBethe状態の大きな N の振る舞い

スピンが 1/2 のHeisenberg XXZ 模型における2マグノン状態に対するストリング

配位の破れを計算した。破れた状態は依然としてBethe状態であるが状態の総数はBethe

仮設で正しい答えを与えている。しかし,Bethe仮設では記述できない状態が1個存在

していることがわかった。

(藤田,小林,高橋)

(19) 実光子のグルオン分布関数と光子構造関数

基本粒子とされている光子は高エネルギー電子-陽電子衝突実験でパートンから構成

されている事が示唆されている。衝突時に放出された仮想光子の一方は実光子とされ,

この実験で電子-光子深非弾性散乱が観測される。そこで光子の構造を調べるのに核子

の場合と同じように光子構造関数が用いられ,それを構成しているパートン分布関数は,

構造関数の実験測定値を再現するように設定される。ここではプローブの働きをする仮

想光子の4元運動量の2乗である Q2 が実光子のハドロン的構造を探る程度の値を Q02

とする。Q02 でパートン分布関数を決め,これをInput分布関数として,非斉次

Dokshitzer-Gribov-Lipatov-Altarelli-Parisi (DGLAP) 方程式によって実験の測定値

のある Q2 > Q02 まで発展させる。この時非斉次DGLAP方程式はあまり小さくない x と

Q2 の領域で有効な摂動的量子色力学( PQCD) のNext-to-Leading-Order (NLO) 近似が

用いられている。しかし,グルオン分布関数は小さい x の領域でのみ構造関数にその

影響を及ばすので,グルオン分布関数を決めるにはこの領域で使える発展方程式が必要

になる。また実験では構造関数のこの領域で著しい立ち上がりが観測されている。我々

は前者に対してNLO-非斉次DGLAP方程式の特殊解に有効結合定数 αs(Q2) の一次数項

まで取り入れた。後者に対しては小さい x の領域での特徴はグルオン及び海クォーク

の数が増える事を踏まえ,ハドロン領域 Q2≦Q02 では小さい x の振舞いを価クォーク

分布関数に対してRegge poleで表わし,グルオンおよび海クォーク分布関数に対しては

Pomeron cutを用い,異常な立ち上がりとグルオン凝縮の振舞いを作り出した。その結

果として実光子のグルオン分布関数の実験測定値を再現することができた。また

MS(Modified minimal subtraction) スキームの改良も行われ,物理的に反する x=1 の

近傍の振舞いをも是正した。

(井本,川根)

(20) 陽子の構造関数と軽い海クォークの香りの非対称性

ある運動量移行でBjorken変数 x が小さい領域でRegge極・切断の振舞いを示し x~1

で計数則を満たすパートン分布関数を入力とし,NLO近似のDGLAP方程式を解くことによ

って核子中の軽い海クォークの香りの非対称性を陽子の構造関数と併せて解析した。入

力分布関数において,価クォークはρ中間子軌跡の極およびρ-ポメロン混合切断に対

応する振幅の線形結合で表され,海クォークはこれらの振幅に併せてポメロン極および

切断に対応する振幅が用いられた。一方,グルオン分布関数はポメロン極および切断に

よって表されるものと仮定した。模型に含まれるパラメタは,価クォーク数と運動量に

対する和則およびGottfriedの和則によって制限を受け独立な数は7つとなるが,それ

33

らは実験データの解析によって最適化された。解析の結果,実験データとのよい一致が

得られたが,海クォークの香りの非対称性にはρ-ポメロン混合切断の寄与が重要であ

ることがわかった。

(井本,大生,川根)

(21) 核子および核子-核子相互作用に対する非相対論的クォーク2相模型

核子の構造と核子-核子 (NN) 相互作用を記述するため,非相対論的クォーク2相模

型を発展させた。模型の基本的なねらいは,非相対論的クォーク模型の枠内でQCDの閉

じ込めと漸近的自由の性質を現象論的に取り込むことで,結果として非相対論的クォー

ク模型の問題点である色についてのファン・デル・ワールス力を回避することができる。

そのため,個々の核子中で3つのクォークと接合点をつなぐリンク演算子を導入した。

リンク演算子は,その長さがある臨界長より短くなると消失するように構成されるが,

閉じ込め力はリンクされたクォークにのみ作用し,1つのグルオン交換 (OGE)による力

はリンクされてないクォークにのみ作用することになる。結果として,異なる接合点に

リンクされたクォークは区別できることになる。つまり,異なる核子に属するクォーク

間ではパウリ原理が無効になり,色についてのファン・デル・ワールス力が生成されな

い。

模型の特筆するべき特徴は,OGE相互作用の寄与が核子の質量についても共鳴群の方

法に基づいて得られたNN相互作用についても大きく抑圧されることである。このため,

従来の模型のようにOGE相互作用に近距離斥力の起源を求めることはできないと考えら

れる。正確にいうと,上記の抑圧の現象は,2相模型のもとでの共鳴群の方法による交

換核に共通の現象である。このことは,たとえ核子にクォーク構造を導入したとしても,

NN相互作用の主導項が短距離斥力まで含めて直接的な中間子交換機構によって記述さ

れるべきことを示唆する。これを確かめるため,核子の構造およびNN散乱の実験データ

を解析した。解析の結果,S波のNN相互作用の基本的性質は,πおよびσ中間子の交換

によってほぼ再現できることがわかった。

(大生)

1.1.5.3 計算物理

相澤 正満 牛越 建希** 田中 伸行** 廣田 伸** 守谷 直揮** 鳴海 透雄** (1)L=1ヘリカルシステムにおける無衝突捕捉粒子不安定性 L=1ヘリカルシステムにおける無衝突捕捉粒子不安定性について縦方向断熱不変量

により調べた。この断熱不変量を計算するのは簡単ではないが、磁場周期あたりの回転

変換が少ない場合には、比較的簡単な近似量を使って求めることが可能である。その結果、

L=1ヘリカル系は中心部では安定性の条件

J

0>∇⋅∇ Jp ( p は圧力)を満たしやすいが、

コイルのピッチモジレーションが負の場合には、より広い範囲で安定性条件を満足するこ

34

とがわかった。 (相澤、廣田、椎名)

(2)ウェーブレット解析による計算データの自動処理 直交座標から磁気座標を作成するときなどのように信号データに含まれる様々なノイズ

を取り除く必要が起こる場合がある。我々は、ドベシーのウェーブレットを利用すること

により、ある程度自動的に実行できるアルゴリズムを提案した。それは信号波形を特徴づ

けるパラメータをいくつか定義して、その数値を調べることにより実行するものである。

最終的な判断は人間の判断に委ねるが、その際の定量的判定がしやすいような判断材料を

提供する。ノイズ成分のわかっている場合とヘリカルシステムにおける磁場のデータにつ

いて調べた。 (牛越、廣田、相澤)

(3)ベオウルフ型クラスタ計算機の作成と評価 ベオウルフ型クラスタ計算機を作成して、その評価を試みた。手始めに2台のPCによ

り Debian GNU/Linux 2.2 を利用してシステムを作成した。ベンチマークソフト NetPIPE を

利用し通信速度を測定し、複合台形公式を使って計算実行能力を調べた。TCP プロトコル

による通信速度は、利用したライブラリ MPI(Message-Passing Interface)より当然早いが、そ

の差は少なく扱いやすさを考えると MPI の方が利用価値がある。また計算実行能力は、互

いの相互作用がない問題ではあるが、単独動作時のおよそ 1.8 倍となった。 (守谷、相澤)

1.1.5.4 科学史

西尾 成子* 植松 英穂* 江澤 秀和** 阪上 貴夫** 村上 友寛*** 岡田 知二*** 瀬戸 一昭*** 山根 大次郎*** 教科書に書かれている物理学というのは、人類が長い間かけて創り出してきた自然の振

舞いの記述(法則と呼ばれている)の集大成である。さまざまな法則や理論は、多くの人

間の思考の紆余曲折の結果として得られたものである。科学史の研究対象は、このような

紆余曲折した人間の思考である。法則や理論は、さまざまな要因が複雑に絡み合って確立

される。科学史の研究は、それらの複雑に絡み合った要因を、埋没している膨大な資料の

中から見つけ出すことが、最初の仕事となる。そして科学史は、諸要因の間の歴史的そし

て論理的関係を明らかにし、その法則なり理論の形成過程を解明していくことを目的とし

ている。 力学は 17 世紀にニュートンによって最初に体系化された。18 世紀にはニュートンの力

学に 科学の起源をたどっていくと、ギリシャ時代にまでさかのぼる。ギリシャ時代の知は、イ

スラム教のアラビアを経由し、中世の時代にキリスト教が支配するヨーロッパに移行して

35

いった。近代科学は、中世ヨーロッパにおいてギリシャの知を疑うことから生まれてきた。 当研究室では、現在の科学技術の基礎をなしている現代物理学の成立過程である 19 世

紀から 20 世紀を中心にして、近代科学全般を調べた。また第 2 次世界大戦後に研究が開

始された制御熱核融合の日本における研究開発史の資料調査を行った。 具体的に取り上げた問題は次のとおりである。 (1)日本における初期の核融合研究の歴史に関する資料調査 (2)19 世紀から 20 世紀にかけての磁性研究 (3)オイラーの力学 (4)ディラックの相対論的量子力学史 (5)前期量子論史 (6)19 世紀後半の統計力学史 (7)20 世紀初頭の原子モデルについて

1.1.6 その他の研究報告

1.1.6.1 任意形状物体による電磁波の散乱・導波解析に関する研究

日向 隆 山崎 恒樹 細野 裕行 (理工学部電気工学科)

任意形状物体による電磁波の散乱・導波解析については、[1]アトムモデルによる不均質

媒質の散乱,[2]多層柱状グレーティングによる電磁波の伝搬特性,について研究を行った。

以下[1],[2]の成果について述べる。

近年の薄膜技術により、レーティング内の誘電率分布をかなり広範囲に制御るよう

になってきたため,フォトニック結晶の光導波路解析が,色々な手法で盛んに報告さ

れている。フォトニック結晶は柱状誘電体を周期的に配列した構造であるので、光デ

バイス等の設計におきては,散乱解析のみなならず,伝搬解析も重要となってくる。 [1] アトムモデルによる不均質媒質の散乱

不均質媒質の散乱問題として、有限ホトニック結晶からの散乱問題を検討した。解

析法は、任意形状に適用可能なアトムモデル(波長に比べて小さな散乱体で構成)法

を用いた。アトムモデルの特徴は、(1)理論構成が物理的で数学的構造が簡単,(2)状態

変数が、散乱体の分極のみとなる,(3)放射条件を満足しているので外部の吸収境界領域

を必要としない,(4)遠方界から散乱体の内部を含む近傍界まで、同じ近似で求まる,で

ある。数値例では,ホトニック回折格子をアトムモデルで解析し、次の結果が得られ

た。 (1)低い周波数では、幾何光学との関連はほとんどなく、エレルギー分布は波長に比例 して激しく振動する。 (2)回折格子の近傍のエネルギー分布は、0次波と1次波が干渉して 45°方向に進む1 次散乱波の存在が明確となる。

36

[2] 多層柱状グレーティングによる電磁波の伝搬特性 ホトニック結晶を多層柱状誘電体グレーティングとモデル化し、Fourier 級数展開法

と多層分割法を併用して解析し、多層柱状グレーティングによる電磁波の伝搬特性を解

析した。本解法は、任意形状で,しかもグレーティング形状内の誘電率分布が不均質と

なる場合に対しても解析できる。解析例は,周期構造内の多層構造の基本的な伝搬特

性を得る目的でグレーティング層を一定とした時の,不均質円柱形状の配置による伝

搬特性について、円柱配列が伝搬特性に及ぼす影響を,基本モード(TM0およびTE0

波)について検討し、次の結果が得られた。 (1)TM 波およびTE波とも第1,第2ブラッグ領域での遮断幅と最大の減衰量は 2D a =1の場合が大きい。これは等価誘電率の大きさと誘電体間の影響からである。

(2)TM波入射では第1と第2ブラッグ領域間で 2D a =1 が減衰定数が他と比べて大き いのに対して,TE入射では 2D a =2 が大きい。 1.1.6.2 放射光によるスーパー・ダイヤモンド合成に関する基礎研究

山本 寛 岩田 展幸 (理工学部電子情報工学科) 本研究の目的は、高圧下でC60 集合体に強力な放射光を照射することにより、ダイヤモ

ンド的結合による3次元フラーレンポリマーを合成し、その驚異的特性を実験的に明らか

にするところにある。ダイヤモンド的に結合したC60 分子ポリマーは理論的にはダイヤモ

ンドを上回る強度を持つことが指摘されている。したがって、得られる3次元的C60 ポリ

マーはまさにダイヤモンドを越える、スーパー・ダイヤモンドと呼ぶにふさわしい特性を

もたらすと期待される。 本年はポリマー化反応の機構と制御パラメータについて明らかにするため、昨年に引き

続き、実験対象となるC60 超薄膜ならびに超構造微細組織を形成することを試みた。えら

れた成果は次のとおりである。 1)金に対する SN 基の強い吸着作用に着目し、SN 基を付加した C60 誘導体による自己

組織単分子膜(SAM)の形成を試みている。その過程で、基板となる金表面の状態は得られ

る SAM の微細構造を支配する重要な因子であることを明らかにした。特に、700℃~

1000℃で熱処理された単結晶MgO(100)面は、ステップ・テラス構造を持つ平滑面となり、

その上に形成された金薄膜は下地の結晶面を反映して特異な構造をとる。こうした基板上

に形成された SAM もまた、2次元的あるいは1次元的な微細構造を呈し、こうした系に

おける電気伝導性に関して現在詳細な検討を加えつつある。 2)分子線エピタキシャル法により、C60 超薄膜の形成を試みた。基板温度と蒸発速度を

厳密に制御することによって、極めて平坦で結晶性に優れた薄膜を形成することに成功し

た。特に、再蒸発温度限界近くの基板温度条件のもとで、約 20nm オーダーの(111)配向し

た単結晶C60 膜を得ることが出来た。今後、この超薄膜に対する電界印加による超伝導の

発現や光による重合化反応について検討を加えていく予定である。

37

1.1.6.3 半導体素子に対する放射線照射効果

大西 一功 高橋 芳浩 (理工学部電子情報工学科)

本研究では主に,シリコン窒化膜・シリコン酸化膜の2層絶縁膜構造を有する MIS 構造

である,MNOS 構造の放射線照射効果について検討を行った.MNOS 構造の耐放射線性につい

てはこれまでにいくつかの報告があるものの,その物理的メカニズムや膜厚の最適化など

詳細な検討は行われていない.我々は,放射線照射による絶縁膜中での電荷捕獲,および

界面準位密度の増加に対するメカニズム解明,および耐放射線性素子としての可能性を検

討することを目的に研究を行った.

これまでの研究により, 60Co-γ線(全吸収線量 1Mrad(Si))照射による MNOS ダイオー

ドのミッドギャップ電圧の変化量ΔVmg が,シリコン-酸化膜界面および酸化膜-窒化膜界

面に電荷捕獲中心が局在すると仮定したモデルを用いることにより定量的に説明可能であ

ることを示した.また本モデルを用いた計算により,照射中正のゲート電圧が印加された

場合,ΔVmg=0(照射による正味の絶縁膜中捕獲電荷がゼロ)を実現できる最適膜厚が存在

することを明らかとした.そこで本研究では,照射によるシリコン-酸化膜界面準位密度の

増加ΔDit について検討を行った.ΔDit とΔVmg との関係について評価した結果,ΔDit

はΔVmg(絶対値)と共に増加することを確認した.ただし,ΔDit の各絶縁膜厚や照射中

のゲート印加電圧に対する明確な依存性は見られなかった.これらの結果は,ΔVmg=0 を

実現する膜厚を有する MNOS トランジスタは,照射によるしきい値電圧変動および相互コン

ダクタンスの減少を抑圧できることを示唆しており,MNOS 構造の耐放射線性素子としての

可能性を明らかにした.

更なる研究推進のためには,トランジスタ構造を用いた照射実験が必須である.本研究

では作製プロセスの基礎的評価を目的に,MOS トランジスタ作製・評価を行った.ボロン

拡散層を有する PMOS トランジスタ(ゲート長:10~100μm)を作製し電気的特性を評価

した結果,良好な特性が得られる事を確認し,耐放射線性 MNOS トランジスタ作製プロセス

の基盤を築いた.

1.1.6.4 X 線・中性子小角散乱によるポリメタクリル酸メチルの相互作用

栗田 公夫 清水 繁 (理工学部物質応用化学科) ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のアルコール/水混合溶媒に見られる溶解現象

(cosolvency 現象)は,両溶媒が PMMA に対して単独では非溶媒であることから,通常の

高分子が溶媒に溶解する機構とはかなり異なったものと予想される.これまでの研究から,

水素結合性の溶媒の場合 PMMA のカルボニル基での水素結合が重要な役割を担っているこ

とが知られている.しかしながら,いずれの溶媒と高分子が水素結合を形成するかはいま

だ明らかとなっていない.そこで,本研究では混合溶媒に非プロトン性とプロトン性溶媒

の混合溶媒系(アセトニトリル/水),高分子セグメントの相互作用の観点から cosolvency

38

現象の発現機構の解明することを目的とした.

PMMA のセグメント間相互作用を,貧溶媒系半希薄溶液の条件を満足する高分子濃度で上

限臨界共溶温度近傍の一相領域で X 線小角散乱(SAXS)測定を行った.SAXS 測定から求め

られる相関長ξの高分子濃度依存性から二体および三体相互作用パラメータを求めた.さら

にこれらのエントロピーおよびエンタルピーへの寄与を温度依存性から見積もったところ

いずれの値も負となった.また,PMMA のカルボニル基における水素結合の様子を FT-IR に

より調べたところ,溶媒組成にかかわらずカルボニル基の吸収ピークのシフトは見られな

かった.このことは,アセトニトリル/水系では PMMA が水素結合によって溶解しているの

ではないことを示している.したがって,混合溶媒における溶解性の増大は,水の PMMA

に対する斥力により PMMA がアセトニトリルとの溶媒和が促進されるために起こるものと

考えられる.

1.1.6.5 リニアック定位放射線照射の線量分布測定に関する研究

田中 良明 石川 紘一 浦橋 信吾 宍倉 文夫 吉田利夫

(医学部)

(1) リニアック定位放射線照射の線量分布測定に関する研究 リニアックによる定位放射線照射 (Stereotactic irradiation) は高エネルギーX線を直

径 5~40 mm 程度の narrow beam に絞り、リニアックガントリーの回転照射と治療寝台

の回転を組み合わせて、3次元的多軌道で標的病巣へ集光照射を行うものである。高精度

な照射技術が要求され、精度管理が重要である。現在、定位放射線照射は頭蓋内の小病巣

への治療が主であるが、頭蓋部、胸部の小病巣への適用が試みられている。 定位放射線照射では、X線CT、MRIなどの画像から標的病巣、重要組織の3次元的

位置関係を把握し、コンピュータによる照射用ソフトで計算した標的病巣の線量分布に基

づいて、大線量照射 (20~30 Gy) が実施されている。したがって、実際の照射の線量分布

の検証が必要である。 本研究では、成人頭部近似ファントム(生体筋肉等価物質である商品名 Tough Water

特殊固形樹脂で、厚さ 1~4 cm の円板を組み合わせて直径 16 cm の球形にしたもの)に2

次元的放射線検出センサーである imaging plate (IP) を挟んで、頭部定位放射線治療の条

件で照射し、特に直径の小さいコリメーター (5, 10, 12.5 mm) を使用した場合の線量分布

の測定を行った。日大板橋病院での定位放射線照射は、リニアックの 4 MV X線(東芝製

MEVATRON, M2/6740 特型)を使用し、これに Radionics 社製の treatment planning X Knife 4 program で標的病巣の線量分布を計算し照射を実施するものである。 極小照射野の定位放射線照射のファントム実験の結果、IP による線量測定法は X Knife

4 治療システムにより計算した線量分布の検証に有用であった。 (浦橋信吾、田中良明)

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(2) 爬虫類ヘモグロビンの結晶構造解析に関する研究

爬虫類の赤血球中には2種類のヘモグロビン、ヘモグロビン A(Hb A)とヘモグロビン D

(Hb D)、がある。Hb A は脊椎動物に普遍的に存在しているが、Hb D は鳥類の赤血球では

じめて明らかにされ、現在のところ鳥類と爬虫類の他に見い出されていない。従って、爬

虫類のHb Dは鳥類および脊椎動物のヘモグロビンの分子進化と医学生物学的に緊急的な課

題である哺乳動物のヘモグロビン分子の構造と生理機能の精緻化に関わる研究を系統発生

学的に比較研究する上で、興味深い素材である。

本研究は、アルダブラゾウガメから2種類のヘモグロビン(Hb A と Hb D)を精製し、そ

れぞれの立体構造を X線回折から構築することを目的としている。そのため、Hb A ならび

Hb D を構成しているすべてのグロビン鎖の全一次構造の決定を行った。

平成13年度は、ヘモグロビンを構成している α 鎖と β 鎖をすべて精製し、結晶構造

を分子置換法で構築するため、すべての構成鎖の一次構造を完了した。アルダブラゾウガ

メのヘモグロビンを構成するグロビン鎖は Hb A と Hb D とでは共に α 鎖と β 鎖の2種類

であるが、α 鎖の一次構造がそれぞれのヘモグロビンで異なっていた(Hb A:αA2β2、

Hb D:αD2β2)。しかし、β グロビン鎖はいずれにおいても同一の一次構造であった。

αD と β 鎖については、ゲノムの遺伝子構造(エキソン+イントロン)も明らかにした。

グロビン鎖の遺伝子構造を明らかにしたことは、アルダブラゾウガメが絶滅危惧種の動物

なので、材料の入手が困難の時に備え、リコンビナントタンパク質を作成して結晶の作成

を可能にする。

平成13年度の成果は原著2報と国際的データバンクに登録した8件の構造データであ

る。

(宍倉文夫、浦橋信吾、田中良明、石川紘一)

1.1.6.6 マーシャル諸島ロンゲラップ環礁の放射線環境に関する研究

茂呂 周 戸田 善久 西山 實 佐藤 吉則 清水 典佳 菊地 久二 野口 邦和 (歯学部) 共同研究者のひとりである野口は,2001 年 1 月にマーシャル諸島共和国を訪問した。

同国ロンゲラップ環礁は,1954 年 3 月 1 日に米国が爆発威力 15Mt のブラボー水爆実験

を行ったビキニ環礁の東北東 140~180km に位置する。ブラボー水爆実験当時,日本のマ

グロ延縄漁船第五福竜丸はビキニ環礁の北東 160km で操業していた。そのため実験の数

時間後,第五福竜丸の場合とまったく同様にロンゲラップ環礁には白い灰(粉砕されたサ

ンゴ礁の微粒子に強放射性の核分裂生成物が付着したもので,のちに「死の灰」と呼ばれ

る)が降り注いだ。降り注いだ量は,歩くと足跡ができるほどであったという。 野口は,農林水産大臣の許可を受け,首都マジュロ島(マジュロ環礁),ロンゲラップ環

礁島民が居住するメジャット島およびイバイ島(クワゼレン環礁),無人のロンゲラップ島

および汚染のひどいナエン島(ロンゲラップ環礁)で表層土壌を採取し,放射能分析を行

うため日本に持ち帰った。また,訪問した先々でガンマ線の線量当量率を測定した。さら

40

に,静岡県在住の聞間元医師らとともロンゲラップ環礁島民から水爆実験当時の状況に関

する聞き取り調査を行うとともに,現在の健康状態について問診の助手を務めた。 これらの調査結果の詳細は『ロンゲラップ島はいま―マーシャル・ロンゲラップ島民と

の連帯交流代表団報告集―』(原水爆禁止日本協議会,2001 年 2 月発行,全 54 ページ)

を参照していただくこととし,ここでは表層土壌の137Cs の放射能分析結果についてのみ

記す。 Fig. 1 は,ブラボー水爆実験サイトからの距離と表層土壌中の137Cs 濃度を示したもの

である。死の灰の降下量は風向の影響を強く受けるため,横軸にブラボー実験場からの距

離をとった Fig. 1 はきわめておおざっぱなものである。 しかし,①ナエン島全体が現在も137Cs で高濃度に汚染をしていること,②ロンゲラッ

プ島の飛行場の拡張工事跡で採取した表層土壌は 0.1Bq・g-1 ほどの放射能濃度であるこ

と,③アイルック環礁では 0.03Bq・g-1 ほどの場所があること,などがわかる。

0.001

0.01

0.1

1

10

100

0 200 400 600 800 1000

Distance from BRAVO shot site(km)

Cs-137 in soil(Bq/g)

Fig. 1 137Cs concentration in surface soil as a function distance from BRAVO shot site(○:this study,●:US study) Note: In the order from the left of the figure, island names are Bikini, Naen, Rongelap, Mejato, Ebeye, Ailuk and Majuro respectively.

41

また,137Cs 濃度の高かった表層土壌からは,241Am や微弱とはいえ60Co が検出さ

れたことを付記しておく。今回の報告ではβ放射体の90Sr およびα放射体の239+240Puなどの分析結果については,別の機会に報告する。 1.1.6.7 顎変形症患者における C13-acetate 呼気試験を用いた胃排出能改善の

研究

鈴木 邦夫 (松戸歯学部) 顎変形症患者に対して行われる下顎枝矢状分割術は、良好な顔貌形態を得るためのみな

らず、著しい不正咬合を改善し、構音・咀嚼などの顎口腔系の機能を改善することにある。

咀嚼能力については治療後に良好に改善されるとの報告もされており、臨床においてもそ

の結果を裏付けするように、術後にその改善を自覚した症例も多い。しかし実際に骨格性

下顎前突症患者において、術前にどの程度の消化器疾患を合併しているのか、それが術後

にどの程度改善されるかについて検討された報告は、現在のところ全く見られない。そこ

で我々は、骨格性下顎前突症患者においてその治療前・後における消化器機能の変化を観

察することで口腔と全身との関わりを更に深く検索することができると考え、今回、非侵

襲性で、非常に簡便な方法である、C13-acetate 呼気分析を応用し患者の消化器機能を測定し

解析をおこなった。

研究の方法

ボランティアの健常者群(A 群)と咀嚼障害を持ち手術待機の不正咬合患者群(B 群)に

対し、同条件下(できうれば年齢、性別、体重の各因子につき統計的有意差なき群)にお

いてそれぞれ C13-acetate 呼気試験を施行し、胃排出能を計測する。両群が統計的有意差を持

つかどうか検討する。B 群はさらにその形態的分類で前突症(B1 群)と後退症(B2 群)に

分類し、さらに検討を重ねる。以上において、健常者と咀嚼障害者に胃排出能障害が存在

するかを証明する。現在ボランティア A 群の例数が増え、検討中である。

特色

顎変形症は不正咬合を合併しており、治療後のその咀嚼能の変化、改善については機能

的、形態的に評価されており研究も進んでいる。しかし、実際のこの症例の消化吸収能の

改善における解析はいまだ未踏であると言わざるを得ない。つまり、不正咬合が引き起こ

す咀嚼障害は上部消化管、とりわけ胃に対する負荷が予想されるが、その負荷を客観的に

証明されたことはがないため、想像の域を出ない。そこで、さまざまな用途に利用される

呼気試験胃排出能検査を用いて、これら疾患群における上部消化管負荷を調べ、また治療

後の改善度を同試験にて臨床的に評価する。咬合不全を治療することによって、上部消化

管負荷を軽減することが科学的に証明されれば、胃腸障害(特に胃排出能障害)を合併す

る不正咬合の治療は消化器機能的にも望ましいものと言える。

42

1.1.6.8 数値シミュレーション法を用いた核反応の理論的解析と高密度原子核物質の性

質の研究

中嶋 睦安 酒井 健夫 田中 茂男 奥 忠武 上田 賢志

丸山 智幸 (生物資源科学部)

1015 G もの超強磁場をもつ中性子星「マグネター」の強磁場の起源を、高密度でのス

ピン偏極への相変化であると考え、その可能性について相対論的平均場理論を用いた理

論的研究を行った。このスピン偏極では Fock 交換相互作用が重要な役割を果たし、軸

性ベクトル型とテンソル型の二種類の平均場が自発的スピン偏極を引き起こす源とな

るものであった。この二つの相互作用は非相対論的極限では区別できないものであるが、

超相対論的極限では共存できないものとなる。このため、この二つの平均場が大きくか

つ互いに反対符号であるとき、通常密度では互いに相殺してスピン偏極を起こさないが、

高密度ではどちらかの相互作用により核物質スピンは自発的に偏極する。 (丸山)

1.1.6.9 新物質の創製とその評価

滝沢 武男 望月 章介 村山 和郎 石川 晃 高橋 博樹

(文理学部) (1)反強磁性体の超高圧力下での2マグノン散乱,2フォノン散乱の研究

1990年に我々と仏国 CNRS の共同研究で見つけた磁気秩序に支配されたフォトルミ

ネッセンスの研究に引き続いて光散乱測定により反強磁性体の磁気秩序を研究している.

昨年度、 MnO, MnF2のネール温度と常磁性相のネール温度の整数倍の温度で光散乱の異常

の発見に引き続いて,大阪大学基礎工学部との共同研究で超高圧力下で2マグノン散乱,

2フォノン散乱等の研究を引き続いて行った。(望月章介)

(2)選択的励起時間分解分光法による金属クラスターの研究

昨年に引き続いて,希ガス中でアルカリ金属,希土類金属を蒸発させて,蒸気相の時間

分解・空間分解分光測定法,選択的励起分光測定法により『表面プラズモン』,『核生成と

ナノ粒子成長の光学的解明』,『クラスターにおける価数揺動・価数変化現象』等の研究を

行った.なお,アルカリ金属については二原子分子をナノ秒パルスレーザー光で励起した

ときの,強い光子場の下での二原子分子同士の衝突に起因した正・負イオン化原子分子対

の形成、高リドベルグ状態の二原子分子の形成、エネルギープーリングと昨年度発見した

ラディエイショントラッピング現象を更に詳細に研究した.(望月章介)

(3)超イオン導電体 AgI の励起子及び AgI を含む超イオン導電体ガラスと構造多重安定性

の研究

AgI の励起子による光吸収とフォトルミネッセンスの超イオン導電相転移温度を含む広

43

い温度領域にわたる測定をとおして超イオン導電体の起源に関する研究を行ってきた。こ

れらの研究に引き続いて, (AgI)1-x(AgPO3)1-x ガラス,(AgI)x(Ag2MO4)1-x (M: Mo, W)ガラ

ス他の AgI を成分物質として含む超イオン導電性ガラスの光スペクトルの測定を行い,こ

れらガラスにおける AgI の状態(分子状か?クラスターか?ナノ粒子状か?)及び(AgI)n

とガラス界面の状態を調べ,超イオン導電性の起源を研究した.また,高濃度 AgI のガラ

スの X 線構造解析によりガラス中の AgI のポリタイプ構造の形成とイオン電導度の増大効

果についても研究した.(望月章介)

(4)希土類金属酸化物の可逆的光誘起フォトルミネッセンススペクトル変化現象

赤色発光体 Eu2O3 の焼結体と高周波スパッターされた薄膜が真空中の紫外レーザー光照

射で高輝度の白色発光体になり,酸素中の紫外光照射で元の赤色発光状態に再現性よく戻

せる事と,それぞれの状態は紫外光を当てさえしなければ,どのような雰囲気に交換して

も長期間にわたって維持される事を報告した。この現象は消去可能な新しい光メモリー材

料と波長可変レーザー媒質材料の開発の可能性を秘めている。この研究を昨年度に引き続

いて行った.(望月章介)

(5)レーザーアブレーションによる希土類金属酸化物薄膜の作製と光物性

昨年度試作したレーザーアブレーション成膜・分光測定装置により,高融点希土類金属

酸化物の薄膜と微粒子膜を作製して,可逆的光誘起フォトルミネッセンススペクトル変化

現象やその他の光メモリー現象を研究した。(望月章介)

(6)IIa-III2-VI4系化合物の単結晶成長と光学的特性

IIa-III2-VI4 化合物は、希土類元素を添加すると様々な発光が得られる。特に、Ce3+を添

加すると色純度の良い青色発光を示す。我々は、これまで EL 素子として有望視されている

CaGa2S4や SrGa2S4化合物の単結晶作製を試みてきた。今回、さらに IIa-III2-VI4系化合物

中のセレン化合物へ研究を拡張し、その化合物のなかで、調和融解し、単結晶成長が可能

と思われる SrGa2Se4 化合物を選び出した。この化合物の単結晶を作製するために、まず、

SrSe-Ga2Se3系擬二元状態図を作成し、この系の化合物は、Ga2Se3過剰な領域で共晶反応を

示すことを見出した。同時に、示差熱分析によって、化学反応過程を調べ、化合物合成法

の指針を得、これらの情報に基づき、SrGa2Se4 化合物の単結晶を融液成長法により、初め

て、成長させることに成功した。さらに、得られた単結晶を用いて、光吸収スペクトルを

測定し、その結果、室温で約 3.2eV のエネルギーギャップを得た。今後は、Ce3+を添加し

た結晶を作製し、その光吸収、および、発光特性を測定する。(日高千晴、滝沢武男)

(7)AgSbTe2 化合物の相図と熱電特性

熱電変換素子用の材料の中で、AgSbTe2系は中温領域(400℃程度)で優れた熱電性能を有す

るとされている。 しかし、この系の化合物は、構成組織が複雑なため作製が難しく、 そ

の材料に関する研究はあまり進んでいない。本研究では、優れた熱電性能を安定して得る

ための組成領域を明らかにするため、DTAとX線回折によりAgSbTe2系の状態図を研究した。

さらに、それらの系のバルク結晶を作製し、熱電性能の重要なパラメータの1つであるゼ

44

ーベック係数を測定した。この結果、Ag3-xSb1+Te4(0≦x≦1)系の状態図より、Ag2.2Sb1.8Te4

すなわち、x=0.8 の組成において、330~560℃程度の温度領域において、高熱電性能を有

するとされる Ag2Te と AgSbTe2の混合相が、最も広い温度範囲で存在することがわかった。

また、AgSbTe2のゼーベック係数は 400℃程度において最大で 730μV/℃であったが、Sb 組

成が減少するとゼーベック係数の最大値が減少することを見出した。(松下裕亮、滝沢武男)

(8)走査透過型電子顕微鏡における異種画像情報の演算処理による画質改善

電子顕微鏡で、生物試料など電子線照射による損傷を受けやすい試料を観察する場合に、

試料損傷の低減が大きな障害となる。この損傷を減らすためには照射する電子線量を減ら

すほかないが、量子ノイズ(画素あたり入射電子数のゆらぎ)によって信号対雑音比(S

N比)が低下し、画質が劣化するため、観察が困難になる。このSN比の低下を抑えるた

めには、試料から得られる情報をできるだけ効率よく検出し、利用することが有効となる。

そこで、走査透過型電子顕微鏡法により、弾性散乱電子および非弾性散乱電子の両方を同

時に検出して、両信号間の演算処理を行うことによって、SN比の向上を図り、画質改善

を行う手法の開発を目指した。処理対象は、明視野像信号(非散乱電子と非弾性散乱電子)

BFI および暗視野像信号(弾性散乱電子)DFI とした。両信号においては、試料から得られ

る情報は相補的であるため逆符号の電圧信号となって現れるが、量子ノイズはともに同符

号で現れる。 この性質を利用して、BFI と DFI の両信号の減算あるいは除算により、量子

ノイズ成分のみを打ち消すと同時に、コントラストの向上を図る方法を開発してきた。従

来、この演算処理をアナログ電子回路で行う方式を開発してきたが、画像を見ながら処理

を行うため走査中常に試料に電子線を当て続けなければならず、試料損傷につながるおそ

れがあった。そこで、コンピュータ制御により、一度だけの走査で画像信号をデジタル化

してメモリに記録した後電子線照射を止め、オフラインでデジタル演算処理を行う方式の

開発を目指した。これまでに、パソコンを用いて、データ制御ソフト LabVIEW(ナショナ

ルインスツルメンツ社製)を使用し、2信号の同時取り込み・記録と、記録された 1 次元

画像データの2次元画像化処理、および2種類の画像データ間の画素間演算処理を行うシ

ステムを立組み上げた。さらに、各種処理の高速化を目指している。(石川 晃)

(9)アモルファス半導体におけるパワーロー減衰の研究

アモルファス半導体のパルス光伝導とパルス励起発光減衰でパワーロー減衰が観測され

る。この現象はアモルファス半導体の構造のみだれと関係づけて議論される。我々は構造

の乱れがアモルファス半導体のバンド端のゆらぎを引き起こし、光誘起された電子とホー

ルがこのゆらぎの中をホッピングでランダムウォークしその結果パワーロー減衰が現れる

と考え、実験とシミュレーションによって研究を進めている。

実験はアモルファスシリコンを用い、この物質のパルス光励起によるタイムオブフライ

トの観測、そしてパルス光励起による発光減衰の観測である。そして両実験とも温度を変

えて詳細に測定した。その結果、パルス光伝導は100K からシグナルが出始め、そのシ

グナルはパワーローであること、パルス光励起発光減衰は同じく100K 以上でパワーロ

ー減衰になることが分かった。同じ温度領域でパルス光伝導、発光減衰共にパワーローが

現れることは、パルス光伝導はバンドエッジのゆらぎがパワーローの原因であることがわ

45

かっているので、パワーロー蛍光減衰は電子またはホールのランダムなバンドエッジのゆ

らぎ中のホッピングランダムウォークが原因であることを示唆している。そこで我々は蛍

光減衰のシミュレーションを行うことにした。

まず、実験で求められている平均ホッピング距離を格子定数とする単純立方格子を準備

した。その格子点のエネルギーをフーリエフィルタリング法によってフラクタル次元を持

った分布を与えた。パルス光伝導のシミュレーションでは 3.9 次元のフラクタルゆらぎが

実験を良く再現していたので、発光減衰のシミュレーションでは同じ次元のフラクタルゆ

らぎを用意した。その格子点間をモットのホッピング周波数をもって電子をホッピングさ

せ、電子とホールが同じ格子点にあるとき発光するとしてシミュレーションを行ったとこ

ろ、実験を再現することができた。(村山和郎)

46

1.2 共同研究

今年度の学内兼任研究員による共同研究は

1.物理実験研究 3件

2.物理理論研究 2件

3.電気・電子・材料工学関連研究 3件

4.化学関連研究 1件

5.医学・歯学関連研究 3件

の合計12件が実施された。その詳細は以下の通りである。

理工学部関係

1.物理学の基礎的問題に関する理論的研究

研究代表者:藤田 丈久

研究協力者:紺野 公明、西尾 成子、仲 滋文、植松 英穂、糸井 千岳、

藤井 紫麻見、鈴木 潔光、山田 賢治

2.低次元化合物を中心とした高温超伝導体の探索とその線材化の基礎研究

研究代表者:関沢 和子

研究協力者:久保田 洋二、高野 良紀、高瀬 浩一、高橋 由美子

3.球形トカマック方式によるプラズマ閉じ込め特性の改善

研究代表者:野木 靖之

研究協力者:高橋 努、島村 信

4.任意形状物体による電磁波の散乱・導波解析に関する研究

研究代表者:日向 隆

研究協力者:山崎 恒樹、細野 裕行

5.放射光によるスーパー・ダイヤモンド合成に関する基礎研究

研究代表者:山本 寛

研究協力者:岩田 展幸

6.半導体素子に対する放射線照射効果

研究代表者:大西 一功

研究協力者:高橋 芳浩

7.X線・中性子小角散乱によるポリメタクリル酸メチルの相互作用

研究代表者:栗田 公夫

研究協力者:清水 繁

47

他学部関係

1.リニアック定位放射線照射の線量分布測定に関する研究

研究代表者:田中 良明(医学部)

研究協力者:石川 紘一、浦橋 信吾、宍倉 文夫、吉田 利夫

2.自然環境中における放射性核種の動態および宇宙線線量率の高度分布並びに被曝

線量の評価

研究代表者:茂呂 周(歯学部)

研究協力者:戸田 善久、西山 實、佐藤 吉則、清水 典佳、野口 邦和、

菊地 久二、勝呂 尚、深瀬 康公

3.顎変形症患者における C13-acetate 呼気試験を用いた胃排出能改善の研究

研究代表者:鈴木 邦夫(松戸歯学部)

研究協力者:安孫子 宜光、小澤 幸重、山本 浩嗣、寒河江 登志朗、

三島 弘幸、大峰 浩隆、谷 真弓、大塚 善久、畠中 康晴

4.数値シミュレーション法を用いた核反応の理論的解析と高密度原子核物質の性質

の研究

研究代表者:中嶋 睦安(生物資源科学部)

研究協力者:酒井 健夫、田中 茂男、奥 忠武、上田 賢志、丸山 智幸、

5.新物質の創製とその評価

研究代表者:滝沢 武男(文理学部)

研究協力者:望月 章介、村山 和郎、石川 晃、高橋 博樹

48

1.3 研究活動報告

1.3.1 研究および学会活動

(1) 椎名はプラズマ・核融合学会の評議員として当学会の運営に携わった。 (2) 椎名は産業技術総合研究所の流動研究員として当研究所の研究計画立案に関与した。 (3) 椎名は広島大学、群馬大学と逆磁場ピンチのMHD平衡と安定性に関して共同研究を

行った。 (4) 高橋は、プラズマ核融合学会誌編集委員として活動した。 (5) 小林は以下の活動を行った

① 通産省,産業技術審議会専門委員 ② 新エネルギー産業技術開発業務推進会議委員 ③ 文部科学省核融合科学研究所共同研究員 ④ 日本原子力研究所超伝導研究室専門委員 ⑤ 低温工学優秀発表審査委員会委員

(6) 高野は以下の活動を行った。 ① 応用物理学会代議員 ② 日本希土類学会理事

(7) 佐藤(和)、佐藤(勇)、松原、早川(建)、田中、早川(恭)は日本大学原子力研究所

電子線利用研究施設主催の第 10 回自由電子レーザーと大電力放射に関する先端的研

究会を企画し開催にたずさわった。 (8) 早川(建)は以下の研究活動を行った。

① 日本大学、工作技術センター運営委員

② 日本原子力学会加速器・ビーム科学部会部会員

(9) 松原(洋)は以下の研究活動を行った。 ① 日本大学、先端材料科学センター運営委員

② 低温工学協会 (理事) ③ 低温工学協会「熱音響工学研究会」(委員) ④ 低温工学協会「冷凍部会」(委員) ⑤ 低温工学協会、「褒賞選考委員会」(委員) ⑥ 国際超電導産業技術研究センター、「高温超電導SMES分科会」(委員) ⑦ 日本機械学会、「スターリングサイクル委員会」(委員) ⑧ 核融合科学研究所共同研究員 ⑨ 宇宙開発事業団客員開発部員 ⑩ International Cryocooler Conference, (Board Member)

(10) 井上は科学研究費(基盤研究 C)「無相互作用イメージング-量子カメラの製作-」

を受け、研究活動を行った。

(11) 紺野は、国際誌 「Chaos, Solitons & Fractals」 の international editorial board をした。

(12) 島田は日本物理学会誌の編集委員を務めた。

(13) 相澤は国立核融合科学研究所共同研究員として活動した。

49

(14) 西尾は次の活動を行った

① 日本科学技術史学会会長 ② 日本学術会議物理学研究連絡委員会物理教育小委員会委員 ③ 文部省核融合科学研究所平成 12 年度共同研究「わが国の大学における核融合研究

に関する資料調査研究」の研究代表者 ④ 日本物理学会物理学史分科会の研究連絡誌『物理学史通信』発行責任者

(15) 植松は次の活動を行った

① 日本物理学会物理学史資料委員会委員 ② 日本科学史学会普及委員会嘱託委員 ③ 日本物理学会物理学史分科会の研究雑誌『物理学史ノート』発行責任者 ④ 文部省核融合科学研究所平成 12 年度共同研究「わが国の大学における核融合研究

に関する資料調査研究」の研究協力者 (16) 日向隆は今年度次の様な活動をした.

① 国際会議 ISAP2000 組織委員会委員

② 国際会議 OFSET2000 組織委員会委員

③ 第18期日本学術会議電波科学研究連絡委員会B分科会委員

④ 国際会議 PIERS2001 組織委員会委員

⑤ 国際会議 PIERS2001 実行委員会委員

⑥ 国際会議 PIERS2001 総務委員会委員長

⑦ 埼玉県環境影響評価技術審議会委員

⑧ 電子情報通信学会教科書委員会委員

⑨ 電気学会論文委員会委員

(17) 山崎恒樹は今年度次の様な活動をした.

① 電気学会全国大会グループ委員会委員(第一グループ) ② 国際会議 PIERS2001 総務委員会委員 ③ 電気学会電磁界理論技術委員会幹事 ④ 国際会議 OFSET2000 論文特集号委員会幹事 ⑤ 国際会議 AP-RASC'01 会場委員会委員 ⑥ 電子情報通信学会学術賞奨励賞選定委員会委員

(18) 細野裕行は今年度次の様な活動をした.

① 国際会議 PIERS2001 総務委員会委員

② 国際会議 AP-RASC'01 会場委員会委員

(19) 山本は次の様な活動をした.

① 電子情報通信学会電子部品・材料専門委員会委員長として活動した。 ② 電気学会論文査読委員(第二部門)として活動した。 ③ 電気学会分子超薄膜・有機薄膜及び界面の構造と機能調査専門委員として活動した。 ④ 電気学会東京支部千葉支所委員として活動した。 ⑤ 電気化学協会クロモジェニック研究会幹事として活動した。 ⑥ 日本MRSの副会長として活動した。 ⑦ 日本学術振興会第136委員会委員として活動した。

50

⑧ 日本学術振興会第146委員会委員として活動した。 (20) 大西一功は次の活動を行った

① 応用物理学会 評議員

② 電子情報通信学会 エレクトロニクス研究グループ運営委員会

③ 日本原子力研究所 原研施設利用協議会 TIARA 専門部会専門委員

④ 日本原子力研究所 フロンティア研究委員会委員

⑤ 高信頼性部品株式会社 電子部品の耐放射線強化技術(デバイス)委員長

⑥ 日本電子部品信頼性センターRCJ 信頼性シンポジウム運営委員会委員

⑦ 無人宇宙実験システム研究開発機構 民生部品・技術小委員会委員

(21) 高橋芳浩は次の活動を行った

① 電子情報通信学会 シリコン・材料デバイス研究専門委員会委員

② 高信頼性部品(株) 電子部品の耐放射線性強化技術に関する検討委員会委員

③ (財)無人宇宙実験システム研究開発機構 SERVIS 技術委員会放射線耐性予測分科

会委員

(22) 野口は,以下の活動を行った。

① 日本科学者会議事務局長、原子力問題研究委員会委員 ② 放射線医学総合研究所宇宙放射線被ばく防護体系検討委員会委員 ③ 原子力問題情報センター常任理事 ④ 日本ユーラシア協会理事 ⑤ 原水爆禁止2001年世界大会運営委員 ⑥ 原水爆禁止2001年世界大会・科学者集会実行委員会事務局次長

(23) 丸山は日本原子力研究所先端基礎研究センター「極限ハドロン」グループ嘱託

(24) 滝沢は次の活動を行った

① 日本電子顕微鏡学会理事

② 日本電子顕微鏡学会関東支部評議員

③ 日本学術振興会第 141 委員会委員

1.3.2 研究会,講演会活動

(1) 齋藤は1月12日産業技術総合研究所で開催された逆磁場ピンチ研究会に出席し

「ATRAS-RFP 実験」と題して講演した。

(2) 長峰、南葉、伊藤は1月12日産業技術総合研究所で開催された逆磁場ピンチ研究会

に出席した。

(3) 椎名は12月4日産業技術総合研究所で企画された独演会に招待され、「Development of Steady State Low Aspect Ratio Reversed Field Pinch Reactor Concept」と題して

講演した。

(4) 岩田と高橋は、10月文部科学省核融合科学研究所共同研究会「画像計測 2001」「4

重極磁場が印加された FRC 平衡形状の観測」の題目で発表した。

(5) 岩田と藤本は、11月文部科学省核融合科学研究所共同研究会「先進トーラス配位に

おける高ベータ化と電流維持」に参加し「FRC 平衡における高次モードを考慮した安

51

定化磁場閾値」、「磁場反転配位プラズマの n=1 モード巨視的運動と安定化」の題目で

講演した。

(6) 高橋 努は平成13年9月13日東京電機大学神田キャンパスで(社)電気学会 主

催のプラズマ研究会で 「逆バイアステータピンチ法を用いた球場トーラスのアプロ

ーチ」の題目で発表した。電気学会プラズマ研究会資料(PST-01-68)p15-p19 (7) 郷田博司、藤本加代子、高橋努、野木靖之は平成13年9月13日東京電機大学神田

キャンパスで(社)電気学会 主催のプラズマ研究会で「Non-Tearing 生成法による

球状トーラスの生成」の題目で発表した。電気学会プラズマ研究会資料(PST-01-69)p21-p26

(8) 島村 信,大塚勝規,海野瑞博は平成13年9月13日東京電機大学神田キャンパス

で(社)電気学会 主催のプラズマ研究会で「高繰り返し率入射STプラズマ源」の

題目で発表した。電気学会研究会資料 (PST-01-77)

(9) 宮本、高杉、武藤は平成13年3月8-9日核融合科学研究所で開催された研究会「超

高エネルギー密度プラズマ物性と計測」に出席し、「Zピンチプラズマの収縮過程とX

線放射」と題して研究発表を行なった。

(10) 宮本、高杉、M.Kashani、秋山、成澤は平成13年12月20-21日核融合科学

研究所で開催された研究会「電磁パルスによって形成される高エネルギー密度プラズ

マの科学と応用」に出席し、次の研究発表を行なった。

① 「ガスパフZピンチプラズマの空間構造とX線放射」 ② 「ガスパフZピンチプラズマからのX線放射特性」 ③ “Some Considerations on Scaling Laws in Plasma Focus Device “

(11) 佐藤(勇)は 8 月 1~3 日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催

された第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“日本大学電子線形加速器の高度化と

自由電子レーザーについて”と題する発表を行った。

(12) 佐藤(勇)は 3 月 8~9 日に日本大学原子力研究所電子線利用研究施設において開催

された第 10 回自由電子レーザーと大電力放射に関する先端的研究会に出席し、“日本

大学電子線利用研究施設の現状”と題する講演を行った。

(13) 松原(洋)は下記の講演を行った。

“熱音響現象とそのエネルギー変換機構”原動機としての具体例、日本機械学会主催、

低温工学会協賛、No.01-29 講習会、日本機械学会会議室(2001/6/29) (14) 早川(建)は 8 月 1~3 日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催

された第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“商用電源変動とビーム不安定性”と

する発表を行った。

(15) 早川(建)は 3 月 8~9 日に日本大学原子力研究所電子線利用研究施設において開催

された第 10 回自由電子レーザーと大電力放射に関する先端的研究会に出席し、“日大

赤外 FEL”と題する講演を行った。

(16) 早川(建)は 8 月 7~8 日に京都大学原子炉実験所において開催された原子力分野に

おける加速器の研究開発ワークショップに出席し、“日本大学電子線利用研究施設にお

ける加速器に関わる研究開発”と題する発表を行なった。

(17) 田中は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

52

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“アンジュレーター光による FEL ビームライ

ンのビーム診断”と題する発表を行った。

(18) 早川(恭)は 1 月 12~14 日に広島大学で開催された第 14 回日本放射光学会年会・

放射光科学合同シンポジウムに出席し、日本大学電子線利用研究施設の施設報告をポ

スターで行った。

(19) 早川(恭)は 8 月 1~3 日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催

された第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“日大パラメトリックX線発生装置の

概要”と題する発表を行った。

(20) 横山は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“クライストロンドライブ系の位相安定化”

と題する発表を行った。

(21) 菅野は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“電子銃の低エミッタンス化による入射部の

高度化”と題する発表を行った。

(22) 境は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された第

26 回リニアック技術研究会に出席し、“FEL 用クライストロンのグレードアップ”と

題する発表を行った。

(23) 石渡は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“非破壊型ビームポジションモニターの開発

研究”と題する発表を行った。

(24) 橋本は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“FEL ビームのための補償光学システム”と

題する発表を行った。

(25) 中尾は 8月 1~3日につくばにおいて高エネルギー加速器研究機構主催で開催された

第 26 回リニアック技術研究会に出席し、“電子線利用研究施設における放射線監視シ

ステムの概要”と題する発表を行った。

(26) 紺野 公明、角畠 浩は京都大学数理解析研究所研究集会「非線形波動現象の構造と力

学」2002年1月21日-23日において、「A Fused Hierarchy」と題して講演をした。

(27) 熊谷は新潟県六日町立六日町中学校で、「超新星の謎」の講演を行った。(11/5)

(28) 田中(克典)、島田は第10回日本バイオイメージング学会学術集会(平成13年10月10日

(水)―12日(金)、国立感染症研究所・会議室)シンポジウム-4:「生体活動のイメージング

化」において、『ウシガエル心拍リズムの状態空間表示 ○田中克典 1、清野 健 2、勝山智

男 2、島田一平 1、山田武範 3、矢沢 徹 4 、1 日大・院理工・量子理工、2 都立大・院理・物

理、3 理科大・理・物理、4 都立大・院理・生物科学(S4-4.)』として講演をした。

(29) 田中(克典)、島田は第10回日本バイオイメージング学会学術集会(平成13年10月10日

(水)―12日(金)、国立感染症研究所・会議室)において、『ウシガエル心拍リズムの状態空

間表示 ○田中克典 1、清野 健 2、勝山智男 2、島田一平 1、山田武範 3、矢沢 徹 4 、1

日大・院理工・量子理工、2 都立大・院理・物理、3 理科大・理・物理、4 都立大・院理・生物

科学(p18.)』としてポスター発表をした。

(30) 長谷川は、2001 年 11 月 14-15 日東京大学数理科学科で開催された研究集会「ランダム

53

行列とその周辺」(南就将(筑波大数学系)主催)おいて“Grand canonical random ensembles

for intermediate level statistics” と題して講演した。(共著者 坂元啓紀 日大理工学部))。

(31) 長谷川は 2001 年 10 月 11-12 日統計数理研究所で開催された研究集会「量子情報と量子

計算機」(福水健次・長谷川洋主催においてと“Dual and non-dual monotone metrics on

matrix spaces”と題して講演した。(preprint 共著者 Denes Petz, Budapest 工科大学))。

(32) 小久保,岩田,竹内,君島は,1月7日~11 日に北海道大学で行われた研究会

「Sapporo Winter School in Niseko」に参加し,小久保は「Abelian Projection of Massive Yang-Mills Theory」と題してポスターセッションを行った。

(33) 出口,小久保は,10 月 14 日~16 日に日本大学軽井沢研修所で行われた研究会

「Recent Developments in Physics and related Mathematics」に参加し,出口は

「Abelian Projection of Massive Yang-Mills Theory toward Color Confinement」と

題する講演を行った。

(34) 小久保は,12 月 19 日~21 日に京都大学基礎物理学研究所で行われた研究会「場の

量子論の基礎的諸問題と応用」に参加し,「Abelian Projection of Massive Yang-Mills Theory toward Color Confinement」と題してポスターセッションを行った。

(35) 田中(正)は,2 月 18 日に京都大学基礎物理学研究所で開催された湯川秀樹博士ノ

ーベル賞受賞50周年記念講演会で,「湯川博士の物理学」と題する講演を行った。

(36) 沢田は,10 月 22 日から 24 日まで横浜国立大学で開かれた JCF(日本低温核融合)の学会で二つの講演をした,その題目は "Implications of ^{4}He dominance in d+d reactions" (JCF3-9) 及び "Proposal to identify the 'nuclear active state' " (JCF3-10) である。

(37) 井本は次の研究会に出席した。

① 特定∙宇宙ニュ-トリノ第7回研究会(7月 14 日)宇宙線研究所(東大柏) ② 研究会「非摂動 QCD に基づくハドロンの構造と反応」(7月 23‐25 日)RCNP ③ Workshop“Physics in ep Collision”VI(11 月9‐10 日)KEK ④ YITP Workshop「Women in Physics」(12 月 23‐24 日)基研

(38) 西尾成子

文部科学省核融合科学研究所「わが国の大学における核融合研究に関する資料調査研

究」第 1 回全体会(核融合科学研究所、5 月 24 日)

「わが国の大学における核融合研究に関する資料調査研究」

(39) 植松英穂

文部科学省核融合科学研究所「わが国の大学における核融合研究に関する資料調査研

究」第 1 回全体会(核融合科学研究所、5 月 24 日)

「わが国の大学における核融合研究に関する資料調査研究」

(40) 山本は平成13年12月20日、21日神奈川サイエンスパークにて開催された、

第13回日本MRS学術シンポジウムの企画責任者として講演会の運営にたずさわっ

た。

(41) 大西一功は,平成 13 年 2 月 3 日に理工学部船橋校舎で行われた,「第1回半導体の

放射線照射効果研究会」を主催した.

(42) 野口は2月3日にめいきん生協生活文化会館で開かれためいきん生協など4団体主

54

催の写真展・講演会に参加し,「セミパラチンスク核実験場の被ばく者たち」と題する

講演を行った。

(43) 野口は2月13日に東京労働会館・ラパスホールで開かれた東京非核の政府の会の

2月度常任世話人会で,「マーシャル・ロンゲラップ島民との連帯・交流代表団に参加

して」と題する話題提供を行った。

(44) 野口は2月17日に千代田区立ふれあい会館で開かれた原発問題住民運動東京連絡

センターの第11回総会において,「ロンゲラップ島民との連帯・交流代表団に参加し

て―特に土壌採取と団員の被曝線量について―」と題する記念講演を行った。

(45) 野口は3月1日にグランシップ大ホールで開かれた原水爆禁止世界大会実行委員会

と被災47周年2001年3・1ビキニデー静岡実行委員会主催の被災47周年3・

1ビキニデー集会に参加し,「ロンゲラップ島民との連帯・交流代表団に参加して」と

題する報告を行った。

(46) 野口は3月27日にNTT麻布セミナーハウスで開かれた文部科学省および(財)

放射線利用振興協会主催の平成12年度原子力体験セミナー「生活科学コース」にお

いて,「放射線の人体への影響(放射線防護,臨界事故)」と題する講演を行った。

(47) 野口は7月25日に日本原子力研究所高崎研究所で開かれた文部科学省および(財)

放射線利用振興協会主催の平成13年度原子力体験セミナー「環境科学コース」にお

いて,「放射線の人体への影響」と題する講演を行った。

(48) 野口は7月30日に日本原子力研究所東海研究所で開かれた文部科学省および(財)

放射線利用振興協会主催の平成13年度原子力体験セミナー「社会科学コース」にお

いて,「放射線の人体への影響」と題する講演を行った。

(49) 野口は8月2日に岐阜市文化センターで開かれた原水爆禁止2001年世界大会・

科学者集会において,科学者集会のまとめの報告を行った。

(50) 野口は8月3日に日本原子力研究所東海研究所で開かれた文部科学省および(財)

放射線利用振興協会主催の平成13年度原子力体験セミナー「基礎コースⅠ」におい

て,「わたしたちの健康と放射線」と題する講演を行った。

(51) 野口は8月8日にアークホールで開かれた原水爆禁止2001年世界大会・長崎の

第5分科会「原発問題・環境問題」において,「原子力発電に関連する最近の諸問題」

と題する特別報告を行うとともに同分科会の助言者を務めた。

(52) 野口は8月8日に長崎市民会館で開かれた原水爆禁止2001年世界大会・長崎の

マーシャル諸島代表と語るつどいにおいて,「ロンゲラップ島民との連帯・交流代表団

に参加して」と題する報告を行った。

(53) 野口は8月14日にNTT麻生セミナーハウスで開かれた文部科学省および(財)

放射線利用振興協会主催の平成13年度原子力体験セミナー「生活科学コース」にお

いて,「放射線の人体への影響」と題する講演を行った。

(54) 野口は8月21日に日本大学本部で開かれた文部科学省および(財)放射線利用振

興協会主催の平成13年度原子力体験セミナー「東京・日大附属コース」において,「放

射線の人体への影響」と題する講演を行った。

(55) 野口は8月26日に北海道大学学術交流センターで開かれた日本科学者会議第25

回原子力発電問題全国シンポジウムにおいて,「プルサーマルの行方」と題する報告を

55

行った。

(56) 野口は9月2日に東洋大学白山校舎2号館スカイホールで開かれた『かけがえのな

い生命』出版記念会におけるシンポジウムにおいて,「かけがえのない生命―保健・医

療・福祉分野での研究・教育をいかにすすめるか―」と題する報告を行った。

(57) 野口は9月23日に焼津ホテルで開かれた故久保山愛吉氏追悼焼津行動の9・23

焼津のつどいにおいて,「マーシャル諸島ロンゲラップ環礁を調査して」と題する報告

を行った。

(58) 野口は10月12日に平和と労働センターで開かれた原水爆禁止日本協議会主催の

ミサイル防衛に関するパネル討論会において,パネリストとして「ミサイル防衛とは

何か」と題する報告を行った。

(59) 野口は10月27日に明治大学研究棟で開かれた日本原水爆被害者団体協議会と日

本科学者会議主催の第8回被爆者問題研究会において,主催者あいさつを行うととも

に、「マーシャル・ロンゲラップの核実験被害調査から」と題する報告を行った。

(60) 野口は10月29日にヤマハリゾート「つま恋・スポースマンズクラブ」で開かれ

た毎日新聞社の原発報道研修・原発見学会において,「放射線とは」と題する講演を行

った。

(61) 野口は11月17日に鹿児島県歴史資料センタ-・黎明館講堂で開かれた原発の危

険に反対する鹿児島県連絡会主催の学習講演会において,「原子力発電の危険性」と題

する講演を行った。

(62) 丸山は1月 29~31 日に原子力研究所先端基礎センターで開催された、第 3 回「極限

ハ ド ロ ン 物 質 」 研 究 会 に お い て ’’Spontaneous Spin-Polarization and Phase-Transition in the Relativistic Approach’’という題目で講演を行った。

(63) 丸山は 12 月 3 日~ 12 月5日に京大基礎物理学研究所で開催された「有限量子多体

系励起構造と相関効果」に参加し、 「ボーズ・フェルミオン共存系での時間発展ダイ

ナミクス」とい題目の講演を行った。

(64) 望月はドイツ国 Giessen 市で7月に開催された国際会議 ICDS2001 で二篇の論文発表

を行った.

(65) 滝沢は、京都で開催された第13回結晶成長国際会議で招待講演ならびに通常講演

をそれぞれ一回行った。

56

1.4 国際研究交流

1.4.1 海外出張および国際活動

(1) 椎名は6月18日から6月22日までFunchal(ポルトガル)で開催された 28th European Physical Society Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics に

出席し “Device Parameter Studies of Low Aspect Ratio Reversed Field pinch”およ

び “L=1 Helical System with Improved Particle Confinement Properties”と題して

発表した。

(2) 藤本は、12月第12回国際土岐コンファレンスおよび第3回アジアプラズマ核融合

学会講演会「プラズマ閉じこめのフロンテイアと関連するプラズマ科学」に参加し

「N=1 Mode Global Motion on Field Reversed Configuration Plasma」の論文をポス

ター発表した。

(3) 松原(洋)は 4 月 22~25 日、First International Workshop on Thermoacoustics (オ

ランダ)に出席し “Performance of Thermal Compressor”と題する招待講演を行

った。同会議では議長として活動した。

(4) 松原(洋)は 6 月 19~22 日、International Superconductive Electronics Conference (大阪)に出席し “Pulse Tube Cryocoolers for Electronic Applications”と題する招待

講演を行った。

(5) 松原(洋)は 7 月 16~19 日、Cryogenic Engineering Conference (ウイスコンシン)

に出席し、An outstanding paper in Cryogenic Engineering Research として Russell B. Scott 賞を受賞した。

(6) 松原(洋)は 8 月 7~31 日、アイントホーヘン工科大学(オランダ)に招聘され、

応用物理学科のデバエレ教授のもとで極低温冷凍システムの研究を行った。

(7) 松原(洋)は、9 月 2~7 日、17th International Congress on Acoustics に出席し、

“Performance of Thermal Compressor for Pulse Tube Cryocooler”と題する講演を行っ

た。

(8) 田中は 9 月 17~21 日に中国・北京で開催された Second Asian Particle Accelerator Conference (APAC’01) に出席し、“Improvement of the Long Pulse Operation of the FEL Linac at Nihon University”と題する発表を行った。

(9) 早川(恭)は 8 月 20~24 日にドイツ・ダルムシュタットで開催された The 23rd International Free Electron Laser Conference and the 8th FEL Users Workshop (FEL2001) に出席し、“First Lasing of LEBRA FEL in Nihon University at a wavelength of 1.5 µm”と題する講演を行った。

(10) 菅野は 8 月 20~24 日にドイツ・ダルムシュタットで開催された The 23rd International Free Electron Laser Conference and the 8th FEL Users Workshop (FEL2001) に出席し、“Present Status of the Near-IR FEL at LEBRA in Nihon University”と題する発表を行った。

(11) 紺野は6月5日から9日までポーランドのトルンで開催された the 33rd Symposium

on Mathematical Physics に招待講演を依頼され「A Fused Hierarchy」と題した講演

57

を行った。

(12) 石田は 8 月 25 日~9 月 1 日 Protvino(Russia)で開催された「第 9 回 ハドロンスペ

クトロスコピー会議」に参加し 3つの講演「ハドロンの相対論的に共変な分類法」(石

田,招待講演)と「Υ’→Υππ及び他のππ-生成過程でのσ(450-600)中間子の確認」

(共同研究者発表)と「 重・軽クォーク系でのカイラル・スカラー及びベクトル中間子

の性質」(共同研究者発表)を行った。

(13) 山田は 8 月 25 日~9 月 1 日 Protvino(Russia)で開催された「第 9 回 ハドロンスペ

クトロスコピー会議」に参加し「D中間子系でのカイラル・軸性ベクトルの存在」と

題する講演を講演を行った。

(14) 駒田は 8 月 25 日~9 月 1 日 Protvino(Russia)で開催された「第 9 回 ハドロンスペ

クトロスコピー会議」に参加し「励起Υ崩壊過程でのσ中間子生成」と題する講演を

講演を行った。

(15) 竹内及び蔡は,2 月 19 日から 23 日まで,伊勢志摩で開催された「International Workshop on B Physics and CP Violation」(BCP4)に参加した。

(16) 蔡は,5 月 31 日から 6 月 6 日まで,中国の張家界で開催された「International Conference on Flavor Physics」(ICFP2001)に参加し,講演した。また,北京の中

国科学院理論物理学研究所を訪問し,特別講義を行った。講演,講義のテーマは,

「Quantum Mechanics and Kinematics on Neutrino Oscillation」であった。

(17) 蔡は 8 月 27 日から 30 日まで日立基礎研究所で開催された「The 7th International Symposium on Foundations of Quantum Mechanics in the Light of New Technology - Quantum Coherence and Decoherence -」(ISQM-Tokyo '01)に参加した。

(18) 竹内と蔡は,11 月 19 日から 22 日まで,高エネルギー加速器研究機構で開催された

「The 5th KEK Topical Conference -Frontiers in Flavor Physics-」に参加した。

(19) 松田は,11 月 23 日から 25 日まで,東京理科大学野田校舎で開催された「Tamura International School on Neutrino Physics」に参加した。

(20) 二瓶は 8 月 27 日にイギリスのアンブレサイドで行われた研究会「Joint UK BSM - Cosmology Meeting」において「New cosmological and experimental constraints on the CMSSM」と題する招待講演を行った。

(21) 沢田は,5 月 20 日から 23 日まで,韓国の Seoul National University に滞在し,

理学部で "Interference pattern of the Coulomb and the strong Van der Waals forces in p-p scattering" という題目で講演した。

(22) 相澤は6月18日から22日にポルトガル領マデイラ諸島フンシァルで開催さ

れた「28th European Physical Society Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics」に出席し、21日に“L=1 Helical System with Improved Particle Confinement Properties”と題して発表した。

(23) 日向 隆は今年度次の様な活動をした。

① PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium )において,"

Transient Scattering of a Gaussian Pulse by a Conducting Rectangular Cylinder

with an Open Side-Wall " の発表を行った(2001 年 7 月 18 日~2001 年 7 月 22 日:

Osaka, Japan).

58

② PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium ) に お い て ,

"Numerical analysis of polarization splitter constructed from two optical

fibers with a circular hollow pit outside a core" の発表を行った(2001 年 7

月 18 日~2001 年 7 月 22 日: Osaka, Japan).

③ AP-RASC'01(2001 Asia-Pacific Radio Science Conference)において," Transient

Scattering by a Parallel Plate Waveguide Cavity with an Iris " の発表を行

った(2001 年 8 月 1 日~2001 年 8 月 4 日: Tokyo, Japan).

(24) 山崎 恒樹は今年度次の様な活動をした.

① URSI International Symposium on Electromagnetic Theory において," Scattering

of Electromagnetic Waves by mulilayered Dielectric Gratings with Elliptically

Layered Media " の発表を行った(2001 年 5 月 13 日~2001 年 5 月 17 日:

Victoria,Canada).

② PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium )において,"

Scattering of Electromagnetic Waves by Multilayered Dielectric Gratings with

Elliptically Layered Media " の発表を行った(2001 年 7 月 18 日~2001 年 7 月

22 日: Osaka, Japan).

③ PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium )において," Surface

Defect Detection Meyhod using Photorefractive Media " の発表を行った(2001

年 7 月 18 日~2001 年 7 月 22 日: Osaka, Japan).

④ PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium )において,"

Scattering of Electromagnetic Waves by Columnar Dielectric Gratings with

Inhomogeneous Media Consisting of Inhomogeneous Layer " の発表を行った(2001

年 7 月 18 日~2001 年 7 月 22 日: Osaka, Japan).

⑤ FESSMM'01(The Far-Eastern School-Seminar on Mathematical Modeling and

Numerical Analysis)において,"" の発表と座長をおこなった(2001 年 8 月 22 日

~2001 年 8 月 28 日: Khabarovsk, Russia).

(25) 細野 裕行は今年度次の様な活動をした.

① PIERS2001(Progress In Electromagnetic Research Symposium )において,"

Analysis of Linear Conducting Scatterers by Atomic Model" の発表を行った

(2001 年 7 月 18 日~2001 年 7 月 22 日: Osaka, Japan).

② AP-RASC'01(2001 Asia-Pacific Radio Science Conference)において," Scattering

Analysis of Inhomogeneous Cylinder by Atomic Model Method" の発表を行った

(2001 年 8 月 1 日~2001 年 8 月 4 日: Tokyo, Japan).

(26) 山本と岩田は平成13年6月19日~6月22日、大阪に出張した。6月19日~

6月22日、大阪サンパレスにて開催された 8th International Superconductive Electronics Conference に参加し、下記のタイトルの講演発表を行った。

“Experimental Verification of Superconductivity Expected in Interface of Dielectric and C60 Thin Films”

(27) 山本と岩田は平成13年7月2日~7日、シンガポールに出張した。7月1日~7

日、Singapore International Convention & Exhibition Center にて開催された

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International Conference on Materials for Advanced Technologies に参加し、下記の

タイトルの講演発表を行った。

“Preparation of ReOx Thin Films and SrCuO2/ReOx Multilayered Films” (28) 山本は平成13年8月24日~9月1日、メキシコ(カンクン)に出張した。8月

26日~8月31日、J. W. Marriot にて開催された 7th International Conference on Advanced Materials に参加し、下記のタイトルの招待講演発表を行った。また、29

日に開催された IUMRS 理事会に出席した。

“Synthesis and Properties of Very Smooth C60 Ultrathin Films by Vacuum Evaporation”

(29) 岩田は平成13年10月28日~11月1日、名古屋に出張した。10月28日~

11月1日、Nagoya Congress Center にて開催された Frontiers of Surface Engineering 2001 に参加し、下記のタイトルの講演発表を行った。

“Transport Properties of C60 Ultrathin Films” (30) 大西一功は平成 13 年 7 月 16 日~20 日,バンクーバー(カナダ)で開催された国際

会 議 ( The 2001 Annual International Nuclear and Space Radiation Effects

Conference)に出席した.

(31) 大西一功は平成 13 年 9 月 21 日,西安(中国)で開催された日本大学理工学部と西

安理工大学の共同セミナーに出席.半導体不揮発性メモリに関する研究について講演

した.

(32) 清水は,9月9日~13日 ドイツミュンヘンにおいて開催された国際会議

(International Conference on Neutron Scattering)に出席し,”Segment-segment interactions of poly(N-isopropylacrylamide) in aqueous solutions by using small-angle scattering”と題する研究発表を行った.

(33) 野口は1月7日~19日まで原水爆禁止日本協議会の主催する「マーシャル・ロン

ゲラップ島民との連帯・交流代表団」の一員としてマーシャル諸島共和国ロンゲラッ

プ環礁等に行き,核実験の局地的フォールアウトの影響を強く受けた同環礁の汚染し

たナエン島に立ち入り,放射能汚染調査を行った。また,農林水産大臣の許可を受け,

放射能分析を行うために汚染土壌を計6kg採取し日本国内に持ち込んだ。

(34) 野口は9月15日~16日に早稲田大学国際会議場で開催された非同盟諸国運動発

足40周年記念国際シンポジウム「民族主権の尊重,平和,飢餓・貧困の解消をめざ

して」のよびかけ人の一人として,同シンポジウムに参加した。

(35) 丸山は 10 月 17 日~20 日にハワイマウイ島において開催された” First Joint Meeting of the Nuclear Physicists of the American and Japanese Physical Societies’’に参加し、 ‘’Spontaneous Magnetization of Nuclear Matter in the Relativistic Approach’’という題目で講演を行った。

(36) 望月章介は以下の国際共同研究を行った。

① フランス国CNRSの Michele Fauchere博士等4名と希土類金属酸化物のフォトルミ

ネッセンスに関する共同研究を CNRS(Ecole Centrale Paris)で継続して行った.

② イスラエル国の Raphael Ruppin 博士と金属クラスターの実験・理論共同研究を文

部科学省科学研究費補助金により招聘して文理学部で7月下旬から8月始めにか

60

けて行った.

1.4.2 外国人研究者来所

(1) Dr. Stephan Benson (Jefferson Lab, アメリカ) は 3 月 9~12 日に来所し、自由電子

レーザーの発振と利用に関する講演と討論を行った。 (2) Dr. Peter Kittel(NASA Ames Research Center)(アメリカ)は 11月 28日に來所、Pulse

Tube Cryocooler および Regenerator に関して討論した。 (3) Dr. Bhabani P. Mandal (お茶の水女子大学)は 11 月 14 日に来所し,The generalized

BRST transformations と題する講演を行った。 (4) Prof. R. Woloshyn (Univ. of British Columbia) は 11 月 27 日~30 日に来所し,

Introduction to Lattice Field Theory と題して集中講義を行い,Color Hyperfine

Effects in Mesons and aryons と題する講演を行った。 (5) 日本大学理工学部海外招聘研究員として平成13年 7月16日~平成13年8月23日

まで、元米国ウイスコン大学電気システム工学科のDr.S.Seshadriが研究室に来られ、

学術交流と大学院特別講義(電気工学専攻)を行った。 (6) Prof. Patrick Lenahan (ペンシルバニア州立大学)は理工学部海外招へい研究員と

して平成 13 年 5 月 14 日~26 日の間滞在し,理工学部駿河台校舎および船橋校舎にお

いて ESR の基礎および応用に関する講演を行い,大西研究室で研究情報の交換を行っ

た. (7) アメリカ合衆国 University of California の Wen Ann Chiou 教授が Wet Cell

Microscopy の研究打ち合わせと実験のために、、 (2001 年 11 月 11~20 日)石川の研究

室に来所した。

61

1.5 学会報告

1.5.1 日本物理学会第56回年会

(3月27日~3月30日 中央大学多摩キャンパス)

(1) 高杉恵一,武藤龍介,宮本徹 「Zピンチの収縮過程とX線放射」(27a-WD-2)

(2) 新井夏季、高瀬浩一、高野良紀、関澤和子 「遷移金属リントリカルコゲナイド(M1-xZnx)PS3(M=Fe,Zn)の磁化と比熱Ⅱ」

(27pPSA-34) (3) 中村雅之、高瀬浩一、高野良紀、関澤和子 「Vを含んだ遷移金属リントリカルコゲナイドの磁性」(27pPSA-35)

(4) 高瀬浩一、清水智弘、松本和弥、牧原克典、高野良紀、関澤和子 「オキシ硫化物La1-xCaxOCu1-xNixSの輸送現象」 (28aTC-1)

(5) 豊田 陽己,仲 滋文 「q-量子変形と非可換時空の粒子模型」(28pSH14)

(6) 松田克巳,鈴木智之,竹内嘉浩,田村茂樹,松浦康理,蔡勝義 「π→μ+ν崩壊とニュートリノ振動」(30aSA13)

(7) 小久保陽介,出口真一 「Massive Yang-Mills 理論のアーベリアン射影」(30aSH-4)

(8) 半田充,大生光明 「2相模型による核子-核子散乱の解析」(30aSF-10)

(9) 川根深,井本道子 「実光子のグルオン分布関数と光子構造関数」(27aSF-5)

(10) 植松英穂、西尾成子、竹田辰興(電気通信大学) 「A 計画とプラズマ研究所の設立」

(11) 江澤秀和 「L.Euler の力学原理の形成への貢献」

(12) 丸山智幸、千葉敏(JAERI) 「高エネルギー実験におけるバリオンの媒質内での性質の決定」

1.5.2 日本物理学会 2001 年秋の分科会

(9月17日~9月20日 徳島文理大学)

(1) M.Kashani,宮本徹

「プラズマフォーカスにおけるエネルギー損失機構」(20aTD-10) (2) 新井夏季、新井淳子、高橋由美子、高瀬浩一、高野良紀、関澤和子 「遷移金属リントリカルコゲナイド(M1-xZnx)PS3(M=Fe,Zn)の磁化と比熱Ⅲ」 (17aZA-1)

(3) 牧原克典,清水智弘,高橋由美子,高瀬浩一,高野良紀,関沢和子 「LaOCuSにおけるLaおよびCuサイトの同時置換効果」 (20aYJ-7)

62

(4) 紺野 公明、角畠 浩 「A fused hierarchy of IKK system」(20aRJ-3)

(5) 望月章介 “AgI と AgI 系イオン導電性ガラスの光スペクトルⅠ”

(6) 藤代史,望月章介 “(AgI)x(AgPO3)1-x 系イオン導電性ガラスの光スペクトルⅠ”

(7) 中西太宇人,荒木寛之,望月章介 “多孔ガラス中に分散した C60クラスターの光学スペクトル”

(8) 中西太宇人,荒木寛之,望月章介 “多孔ガラス中に分散した C60クラスターの発光機構Ⅱ”

(9) 鈴木祐也,中西太宇人,伊師君弘,須貝宏行,望月章介 “光情報メモリー物質 Eu2O3の光スペクトル”

(10) 世良太郎,望月章介,Raphael RUPPIN “希土類金属のガス中蒸発と光スペクトル:Sm, Eu, Yb のクラスターの成長と電子状

態”

(9月22日~9月25日 沖縄国際大学)

(11) 伊藤大樹,駒田智彦,前田知人,石田晋,戸ノ岡洋,石田宗之,山内一郎,山田

賢治 「重・軽クォーク中間子系でのカイラル(スカラー及び軸性ベクトル)粒子の存在」

(25aSC-1) (12) 松本慎一郎,駒田智彦,石田晋,石田宗之 「励起Υ中間子崩壊とσ中間子生成」(25aSC-2)

(13) 小久保陽介,出口真一 「Quantization of an antisymmetric tensor gauge theory in the axial gauge and

linear potential」(24aSD-11)

1.5.3 プラズマ・核融合学会第18回年会

(11月27日~30日 福岡県春日市、クローバープラザ)

(1) 長峰康雄、小山内行雄、近藤義臣、斉藤勝宣、斉藤勝彦、椎名庄一 「低アスペクト比逆磁場ピンチにおける新古典効果を含めたMHD平衡と高周波電流駆

動制御」(29pA-04) (2) 伊藤直哉、南葉利道、長峰康雄、小山内行雄、椎名庄一、斉藤勝宣 「ATRAS-RFPにおけるポロイダル・プラズマ電流成分解析」(29pA-05)

(3) 吉岡雄一郎、原田基弘、長峰康雄、小山内行雄、斉藤勝彦、斉藤勝宣、椎名庄一 「低アスペクト比逆磁場ピンチのMHD平衡とブートストラップ電流」(29pA-06)

(4) 南葉利道、伊藤直哉、小山内行雄、椎名庄一、斉藤勝宣 「ATRAS-RFPプラズマ内部磁場測定と解析」(29pA-07)

(5) 原田基弘、吉岡雄一郎、長峰康雄、小山内行雄、斉藤勝彦、斉藤勝宣、椎名庄一

63

「低アスペクト比(部分緩和モデル)の最適化研究」(28pA-18P) (6) 郷田博司、藤本加代子、高橋 努、野木靖之 「Non-Tearing 生成法を用いた球状トカマクの特性」(28aA17P)

(7) 岩田 薫、高久有一、高橋 努、野木靖之 「安定化磁場が印加された磁場反転配位プラズマの平衡と安定性」(29pA38P)

(8) 佐々木 良、新原輝彦、高橋 努、野木靖之 「磁場反転配位プラズマの移送実験」(29pA40P)

(9) 大塚勝規,海野瑞博,島村 信 「高繰り返しCTプラズマ入射における断面形状観測」 (29pA-37P)

1.5.4 2001年度春季低温工学・超伝導学会

(5月29日~31日 明星大学)

(1) 小林久恭、菅沼洋一、吉田栄之、斉藤文宏、松原洋一、富永昭 「超流動ヘリウムにおける熱音響効果の測定」(C2-1)

(2) 吉田栄之、菅沼洋一、斉藤文宏、松原洋一、富永昭、小林久恭 「飽和超流動ヘリウムにおける熱音響効果と熱移送」(C2-2)

(3) 菅沼洋一、吉田栄之、斉藤文宏、松原洋一、富永昭、小林久恭 「加圧超流動ヘリウムの熱音響効果と熱移送」(C2-3)

(4) 森井敦、原茂生、小山善之、水野謙一郎、広瀬英樹、松本和弥、宮澤慎二、八十濱和

彦、久保田洋二 「NbTi / Cu 複合多芯線の近接効果」(B2-7) (5) 戴巍、周淑亮、松原洋一、小林久恭 “Thermally Driven Pulse Tube Refrigerator”;(B1-1) (6) 春山富義、井上均、笠見勝祐、松原洋一 “粒子検出用液体 Xenon システムの研究(4)”;(B1-4) (7) 杉田寛之、遠山伸一、古川正夫、周淑亮、松原洋一 “パルスチューブ冷却機駆動用サーマルコンプレッサーの動作特性”;(B1-5) 1.5.5 2001年度秋季低温工学・超伝導学会

(10月31日~11月2日 福井工業大学)

(1) 吉田栄之、菅沼洋一、斉藤文宏、松原洋一、富永昭、小林久恭 「飽和超流動ヘリウムにおけ熱音響効果と熱移送―1」(C2-1)

(2) 菅沼洋一、吉田栄之、松原洋一、富永昭、小林久恭 「加圧超流動ヘリウムにおける熱音響効果と熱移送―2」(C2-2)

(3) 松本和弥、水野謙一郎、原茂生、小山善之、森井敦、八十濱和彦、久保田洋二 「MgB2の超伝導特性」(D3-1) (4) 小山善之、原茂生、森井敦、水野謙一郎、松本和弥、久保田洋二、八十濱和彦 「NbTi / Cu 複合多芯線の近接効果Ⅳ」(D3-7)

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(5) 原茂生、小山善之、森井敦、水野謙一郎、松本和弥、久保田洋二、八十濱和彦 「NbTi / Cu 複合多芯線の近接効果ⅴ」(D3-8) (6) 戴巍、松原洋一、小林久恭 “Experimental Results on VM cycle Pulse Tube Refrigerator”;(C3-17)

(7) 春山富義、井上均、笠見勝祐、松原洋一 “粒子検出用液体 Xenon システムの研究(6)”;(C3-18)

1.5.6 第48回応用物理学関係連合講演会

(1) 行方直人、牧野雄生、渡部博之、井上修一郎 「量子暗号のためのシングルフォトン検出器」 (31a-ZH-3)

(2) 齋藤正実,大西一功,高橋芳浩 “Si-Sn-O 構造におけるフォトルミネセンスに関する研究”, 28p-YL-3

(3) 宮崎俊助,大西一功,高橋芳浩 “陽極酸化法により作製した酸化膜の熱処理効果”, 30a-C-10

(4) 小松千晴、滝沢武男 “CaGa2S4:Ce3+ 単結晶作製と光学特性”, 30p-YL-8

(5) 加藤,岩井,ナジャホフ,山崎,日高千晴,滝沢武男,飯田 “CaGa2S4結晶中の Ce 不純物中心の発光特性”

(6) 山崎,岩井,ナジャホフ,加藤,日高千晴,滝沢武男,飯田 “CaGa2S4結晶中の Ce 不純物中心の発光・非発光過程”

(7) 浅香王隆、日高千晴、滝沢武男、松下裕亮 “CdS-In2S3-Ga2S3 系における層状化合物”

(8) 磯本徳之、日高千晴、滝沢武男、松下裕亮 “IIa,b-III2-VI4 系化合物の構造変化”, 28p-YE-11

(9) 小沢広之、日高千晴、滝沢武男 “希土類元素をドープした CdIn2S4 単結晶の ESR 測定”, 28p-YE-9

1.5.7 第62回応用物理学会学術講演会

(1) 行方直人、吉川隆行、渡辺博之、戸塚英臣、井上修一郎 「長距離量子暗号通信」(11a-ZK-5)

(2) 松下裕亮、勝井明憲、滝沢武男 「三元・多元化合物半導体の材料設計、結晶成長および基礎物性(特別講演)」

(12a-ZW-2) (3) 小沢広之、日高千晴、滝沢武男 「希土類をドープした CdIn2S4 単結晶の ESR 測定(II)」 (12p-ZV-1)

(4) 磯本徳之、日高千晴、滝沢武男 「Sr2Ga2S5 の単結晶作製」 (12p-ZV-2)

(5) 日高千晴、滝沢武男

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「CaGa2S4:Ce3+ 単結晶の良質化」 (12p-ZV-3) (6) 榎本英明、井上和郎、成木紳也、村上雅人、滝沢武男 「Dy123 系バルク超電導材料の磁束クリープ特性」 (13a-H-5)

(7) 村山和郎 「フラクタルゆらぎ中のランダムウォークとアモルファス半導体の発光減衰Ⅰ」

1.5.8 平成13年度日本大学理工学部学術講演会

(11月13日 理工学部船橋校舎) 物理系部会 (1) 吉岡雄一郎、長峰康雄、原田基弘、小山内行雄、斉藤勝宣、斉藤勝彦、田口政義、椎

名庄一 「低アスペクト比逆磁場ピンチのMHD平衡とブートストラップ電流」(0a11) (2) 南葉利道、伊藤直哉、小山内行雄、椎名庄一、斉藤勝宣 「内部磁場計測によるATRAS-RFPプラズマ内部構造と平衡磁場配位解析」

(0p13) (3) 伊藤直哉、南葉利道、長峰康雄、小山内行雄、椎名庄一、斉藤勝宣 「ATRAS-RFPにおけるポロイダル・プラズマ電流成分解析」(0p12)

(4) 原田基弘、吉岡雄一郎、長峰康雄、小山内行雄、斉藤勝彦、斉藤勝宣、椎名庄一 「低アスペクト比(部分緩和モデル)の最適化研究」(0p14)

(5) 秋山尚之、高杉恵一 「ガスパフ Z ピンチプラズマの X 線スペクトルの解析」(Op15)

(6) 成澤理、高杉恵一 「凸型結晶分光器による Z ピンチプラズマの X 線の観測」(Op16)

(7) 中村吉宏・佐藤勇・佐藤和男・早川建・田中俊成・早川泰史・中澤 裕之・横山 和枝・

菅野 浩一・境武志・石渡謙一郎・猪川弘康 “FEL 用リニアックのバンチング効果” Op41

(8) 猪川弘康・佐藤勇・佐藤和男・早川建・田中俊成・早川恭史(日大理工・原研)・中澤

裕之・横山和枝・菅野浩一・境武志・石渡謙一郎・中村吉宏 “LEBRA の放射線遮蔽対策について-ビームダンプの遮蔽効果” Op42

(9) 中尾圭佐・佐藤勇・佐藤和男・早川建・田中俊成・早川恭史(日大原研)・上窪田紀彦・

古川和朗(高エネルギー加速器研究機構)・草野史郎(三菱電機サービス) “CORBA によるリアルタイム加速器モニタリングシステムの開発”Op43

(10) 藤岡一雅・佐藤勇・早川建・田中俊成・早川恭史・横山和枝・菅野浩一・境武志・

石渡謙一郎・猪川弘康・中村吉宏・中尾圭佐 “バンチモニターの研究と開発”Op44

(11) 村上琢哉・佐藤勇 2・佐藤和男・早川建・田中俊成・早川恭史・横山和枝・菅野浩一・

境武志・石渡謙一郎・猪川弘康・中村吉宏・中尾圭佐・橋本英子・藤岡一雅 ”FEL ビーム輸送のための光学系” Op47

(12) 橋本英子・佐藤勇・早川建・田中俊成・佐藤和男・早川恭史・中澤裕之・横山和枝・

66

菅野浩一・境武志・石渡謙一郎・猪川弘康・中村吉宏・中尾圭佐・藤岡一雅・村上琢

哉 ”FEL 発振によって強調された3次高調派の測定”Op48

(13) 石渡謙一郎・田中俊成・佐藤勇・早川建・早川恭史・佐藤和男 2・猪川弘康・中村吉

宏・菅野浩一・境武志・横山和枝・中澤裕之・中尾圭佐・橋本英子・藤岡一雅・村上

琢哉 ”ビーム位置モニターの較正”Op49

(14) 田渕拓、井上修一郎 「ファブリペロー共振器によるコントラスト増幅を用いたガラスの厚みの変化測定」

(Op45)

(15) 吉川隆行、行方直人、戸塚英臣、井上修一郎 「偏光干渉計を用いた長距離量子暗号システム」(Op46)

(16) 小久保陽介,出口真一 「反対称テンソル場を含むゲージ理論の量子化と線形ポテンシャル」(Op20)

(17) 橘川薫,出口真一,小久保陽介 「ベクトル場の量子化における,熱核を用いた近似法の拡張」(Op21)

(18) 村上友寛、植松英穂 「原子構造論史」Oa4

(19) 岡田知二 「Pauli の誘電率の研究について」Oa5

電気系部会 (20) 青柳聡,山崎,日向 “FDTD 法を用いた導体柱によるパルス波の過渡散乱応答,”,La1 (2001)

(21) 岩崎,細野, 山崎,日向 “スリット付き導体円筒による散乱過渡応答のウェーブレット分析,”,La2 (2001)

(22) 細野(裕),山崎,日向,細野(敏) “アトムモデルによる散乱解析 -3 次元の場合-,”,La3 (2001)

(23) 山崎,日向,細野 “多層柱状誘電体グレーティングの伝搬特性,”,La4 (2001)

(24) 小林,古川,山崎,日向 “開口を持つ方形導体柱によるガウスパルスの 3 次元過渡散乱解析,”,La5 (2001)

(25) 亀田,古川,日向,細野 “W 形光ファイバとコアの外部に中空円形ピットを持つ光ファイバを結合した偏波スプ

リッタの数値解析,”,La6(2001)

材料・物性部会 (26) 小林寛、今井博行、清水利枝、岩田展幸、山本寛 「C60 誘導体による自己組織単分子膜の作製」Ca6

(27) 中嶋雄一、岩田展幸、山本寛、高橋義広、森下忠隆

67

「MOCVD 法による Sr2AlTaO6 絶縁薄膜の基板温度特性」Ca4 (28) 松尾幸治、大久保学、岩田展幸、山本寛 「反応性 RF スパッタによる Re 酸化物薄膜の作製と評価」Ca3

(29) 岡本 正史、鈴木 航也、Alsadoon Saliman、岩田 展幸、山本 寛 「 フタロシアニン誘導体 LB 薄膜の構造評価とクロミズム」Ca7

(30) 李度協、小野塚浩平、岩田展幸、山本寛 “Preparations and Evaluations of Organic Electro Luminescence Phosphor Thin Films” - Preparations of Organic Bilayer Films by Physical Vapor Deposition Technique -, Ca8

(31) 櫻沢真人、岩田展幸、山本寛、戴巍、松原洋一 「パルス管冷凍機の冷凍特性予測」Cp9

(32) 向本圭吾、岩田展幸、山本寛 「C60 薄膜の作製と結晶評価」Ca5

(33) 野口章、岩田展幸、山本寛、森下忠隆 「 オフアクシス DC-RF ハイブリッドマグネトロンプラズマスパッタリング法による

NdBa2Cu3O7-d 薄膜の作製と評価」Ca2 (34) 松下貴史,高木一彦,福永陽介,高橋芳浩,大西一功 “Sn 添加シリコン酸化膜のフォトルミネセンス特性”, Ca27

(35) 柴田徹也,渡辺竜太,高橋芳浩,大西一功 “陽極酸化法によるシリコン酸化膜の製作と評価~印加周波数依存性~”, Cp28

(36) 渡辺竜太,柴田徹也,高橋芳浩,大西一功 “陽極酸化法により作製したシリコン酸化膜の熱アニール効果”,Cp29

(37) 森田崇,臼倉一敏,高橋芳浩,大西一功 “紫外線励起アンモニアガスを用いた窒化酸化膜の作製と評価”, Cp30

(38) 大井田信也,中島友樹,成田隆,高橋芳浩,大西一功 “耐放射線性 MNOS トランジスタ作製に向けたプロセス評価~MOSFET の試作~”, Cp31

化学系部会 (39) 塚野 美紗子,田中 景子,清水 繁,栗田 公夫

「N-ビニルアセトアミド/アクリル酸ハイドロゲルの合成と膨潤挙動」(Na2) (40) 新居 太志,遠藤 正,伊掛 浩輝,清水 繁,栗田 公夫

「ポリメタクリル酸メチル/ジルコニアハイブリッドの調製と微細構造」(Na3) (41) 高永 隆弐,清水 繁,栗田 公夫 「ポリメタクリル酸メチル 4-シアノ-4’-ペンチル-ビフェニル溶液の X 線小角散乱」

(Na4)

68

1.5.9 その他の学会 1.5.9.1 Optics Japan 2001 日本光学会年次学術講演会 日本光学会設立 50 周年記念大会

(1) 行方直人、吉川隆之、戸塚秀臣、井上修一郎 「偏光干渉計を用いた長距離量子暗号システム」(5pD4)

1.5.9.2 日本科学技術史学会第 4回研究発表会 (平成 13 年 12 月)

(1) 植松英穂、瀬戸一昭 「固体物理学前史」

(2) 山根大次郎 「L.Kelvin と H.Poincareの等分配則に対する異論」

1.5.9.3 平成13年電気学会全国大会(3月 21 日~24 日 名古屋大学)

(1) 山崎,寺田,日向,細野 "不均質多層柱状誘電体格子による電磁波の散乱"

1.5.9.4 2000 年電子情報通信学会総合大会 (3 月 26 日~3月 29 日 立命館大学)

(1) 山崎,寺田,日向,細野 "不均質多層柱状誘電体グレーティングによる電磁波の散乱", C-1-20

1.5.9.5 第 39 回光スピニクス専門研究会 (東京工業大学百年記念館)

(1) 岩田展幸 "酸化物高温超伝導体に進入する磁束観察のための光磁気材料 EuO 薄膜の開発"

1.5.9.6 8th International Superconductive Electronics Conference ISEC'01

(1) Nobuyuki Iwata, Hiroyuki Imai, Hiroshi Yamamoto " Experimental Verification of Superconductivity Expected in Interface of

Dielectric and C60 Thin films ", P1-G8

1.5.9.7 International Conference on Materials for Advanced Technologies (ICMAT'01)

(1) Nobuyuki Iwata, Manabu Ohkubo and Hiroshi Yamamoto " Preparations of ReOx thin films and SrCuO2 / ReOx multilayered films ", P12-11

1.5.9.8 VII International Conference on Advanced Materials(ICAM 2001)

(1) Hiroshi Yamamoto, Nobuyuki Iwata, Hiroyuki Imai and Keigo Mukaimoto "(Invited) Synthesis and properties of very smooth C60 ultrathin films by vacuum

evaporation ", 13-7SA

1.5.9.9 Frontiers of Surface Engineering 2001 (FSE2001) Conference and Exhibition

(1) Nobuyuki Iwata, Keigo Mukaimoto, Hiroyuki Imai and Hiroshi Yamamoto

69

" Transport Properties of C60 ultrathin films ", D4-14

1.5.9.10 Frontiers of Surface Engineering 2001 (FSE2001) Conference and Exhibition

(1) Nobuyuki Iwata, Keigo Mukaimoto, Hiroyuki Imai and Hiroshi Yamamoto " Estimation of Cooling Performance of Pulse Tube Cryocooler ", PS-23

1.5.9.11 XUT-NU JOINT SYMPOSIUM ON ELECTRICAL ENGINEERING AND ELECTRONIC AND COMPUTER

SCIENCE

(1) 山本寛、岩田展幸 " NANO-SYNTHESIS PROCESS AIMING AT MOLECULAR ELECTRONICS "

1.5.9.12 第 8 回電気学会 有機薄膜・分子超薄膜及び有機・無機複合膜の機能化調査専門

委員会

(1) 山本寛、岩田展幸 " NANO-SYNTHESIS PROCESS AIMING AT MOLECULAR ELECTRONICS "

1.5.9.13 電子情報通信学会(電子部品・材料)―薄膜プロセス・材料、一般―

(1) 今井博行、小林寛、清水利枝、岩田展幸、山本寛 " C60 誘導体自己組織単分子膜の作製と評価", CPM2001-104

(2) 大久保学、松尾幸治、岩田展幸、山本寛 " Re 酸化物薄膜の発色と伝導性", CPM2001-110

(3) 岩田展幸、向本圭吾、清水利枝、今井博行、山本寛 " C60 薄膜の電界効果をめざして", CPM2001-103

1.5.9.14 MRS-J

(1) 清水利枝、小林寛、今井博行、岩田展幸、山本寛 "Preparations and Evaluations of Self - Assembly Monolayers of C60 Derivatives”

B2-P10-M

1.5.9.15 第 68 回電気化学会大会(神戸大学工学部)

(1) 大久保学,武井辰憲,岩田展幸,山本寛 " Re 酸化物膜の光吸収スペクトル", 1I32

(2) 鈴木 航也、加藤敬幸、中村 雄一、岩田 展幸、山本 寛 "フタロシアニン誘導体 LB 超薄膜作製とクロミズム", 1I31

1.5.9.16 平成 13 年度日本写真学会(千葉大学けやき会館)

(1) 鈴木航也、加藤敬幸、岩田展幸、山本 寛 " LB 法によるフタロシアニン誘導体膜の作製", C05

70

1.5.9.17 第 13 回 日本 MRS 学術シンポジウム(かながわサイエンスパーク)

(1) 鈴木 航也、岡本 正史、Alsadoon Saliman、岩田 展幸、山本 寛 "フタロシアニン誘導体 LB 膜のクロモジェニック特性 / Chromogenic Properties of

Phthalocyanine Derivatives Langmuir-Blodgett Films ", G01-O03

1.5.9.18 第 11 回 技術科学に関する若手フォーラム

(日本大学理工学部 先端材料科学センター)

(1) 今井博行、小林寛、清水利枝、岩田展幸、山本寛 " C60 誘導体自己組織単分子膜の作製とその電気伝導特性", 11

(2) Alsadoon Saliman "分子軌道計算による有機色素の光吸収スペクトル評価", 10

(3) 岡本 正史 "フタロシアニン誘導体 LB 薄膜のクロモジェニック特性", 14

(4) 小野塚 浩平 "電界放出型有機 EL 積層膜の作製と評価", 13

(5) 中嶋雄一 " MOCVD 法による Sr2AlTaO6 絶縁薄膜の作製と評価", 15

(6) 野口章 " NdBa2Cu3O7-d/Ba2NdTaO6//MgO 多層膜の作製と評価", 16

1.5.9.19 XUT-NU Joint Symposium on Electronic and Computer Scuence

(1) Kazunori Ohnishi " Nonvolatile Semiconductor Memory Device "

1.5.9.20 第50回 高分子学会年次大会

(1) 山口 順,平松 正幸,栗田 公夫,内藤 幸雄 「側鎖に中鎖脂肪酸を有する高分子ゲルの合成と物性疎水性」(IIPd074)

(2) 橋本 和可子,河井 美奈子,内藤 美保,栗田 公夫,矢野 彰一郎 「紫外線防御効果を持つポリテトラメチレンオキシド/チタニアハイブリッドの微細構

造」(IIPc071) (3) 伊掛 浩輝,井上 薫,柴 智美,栗田 公夫,矢野 彰一郎 「ポリエチレングリコール/金属酸化物ハイブリッドの微細構造」(IIPc069)

(4) 瀬山 貴広,清水 繁,栗田 公夫 「テトラヒドルフラン-メタノール混合溶媒中のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の相互作用」(IIPf068)

(5) 遠藤 正,西村 敬輔,伊掛 浩輝,清水 繁,栗田 公夫 「ポリメタクリル酸メチル/チタニアハイブリッドの調製と物性」(IIPc073)

1.5.9.21 第50回 高分子討論会

(1) 伊掛 浩輝,工藤 藍,福田 由美子,栗田 公夫,矢野 彰一郎

71

「ポリエチレングリコール/金属酸化物ハイブリッドの調製と物性」(IIPc039) 1.5.9.22 第 13回 結晶成長国際会議(平成 13年8月、京都)

(1) Chiharu Hidaka and Takeo Takizawa " Single Crystal Growth and Optical Properties of CaGa2S4:Ce

3+"

(2) Hiroaki Matushita and Takeo Takizawa " Cu-Based Multinary Compounds and thier Crystal Growth (招待講演)"

---Synthesis Processes, phase Diagrams and Control of Vapor Pressures---

1.5.9.23 三元多元機能性材料研究会

(1) 真壁伸寧、日高千晴、滝沢武男 「SrGa2Se4 の状態図作成と単結晶成長」

(2) 磯本徳之、日高千晴、滝沢武男 「SrS-Ga2S3 系状態図と Sr2Ga2S5 単結晶作製の試み」

(3) 日高千晴、滝沢武男 「SrGa2S4:Ce3+ 単結晶の光吸収スペクトル」

(4) 小沢広之、真壁伸寧、日高千晴、滝沢武男 「CdIn2S4:Ce3+ の ESR 測定」

1.5.9.24 日本電子顕微鏡学会 第 57 回学術講演会

(5 月 10~12 日、アクロス福岡 福岡)

(1) 石川 晃、神田 英一朗 「ガス雰囲気における試料エッチングのイオン捕集による低減」

(2) 宮田 裕貴、石川 晃 「密閉型ガス雰囲気試料室の試作」

72

1.6 論文目録

1.6.1 論文および報告書

(1) Y.Nagamine, Y.Osanai, K.N.Saito, K.H.Saito, S.shiina; Device Parameter Studies of Low Aspect Ratio Reversed field Pinch: in the 28th EPS Conference on Contr.

Fusion and Plasma Physics P1.033. (2) M.Aizawa, K.Tsushima, K.Watanabe, S.Shiina; L=1 Helical System with Improved

Particle Confinement Properties: in the 28th EPS Conference on Contr. Fusion and Plasma Physics P4.057

(3) K.Fujimoto, A.Hoshikawa, S.Ohmura, T.Takahashi, Y.Nogi, and Y. Ohkuma; Control of a global motion on field-reversed Configuration Physics of Plasma: Vol 9.(1), (2002), p171-176

(4) K. Fujimoto, H. Gota, E. Tachikawa, Y. Ohkuma, T. Takahashi, and Y. Nogi; N=1 Mode Global Motion on Field Reversed Configuration Plasma Proceeding of the 12th Toki International Conference and the 3rd General Scientific Assembly of Asia Plasma &Fusion Association 印刷中

(5) K. Takasugi, T. Igusa, K. Tatsumi and T. Miyamoto, “Control of X-ray Emission from The SHOTGUN Z-pinch Plasma”, Proc. of 13th Int. Conf. on High-power Particle Beams, pp. 470 - 473 (2001).

(6) E.O. Baronova, K. Takasugi, V.V. Vikhrev and T. Miyamoto, “X-ray Spectra of Ar and Iron Ions in a Gas-puff Z-pinch”, Proc. of 13th Int. Conf. on High-power Particle Beams, pp. 784 - 787 (2001).

(7) M. Kashani and T. Miyamoto, “Observation of Dense Sheet Z-Pinch”, Proc. of 13th Int. Conf. On High Power Particle Beams 2000, Vol.I (2001) pp.462-465.

(8) R. Muto, K. Takasugi and T. Miyamoto, “Imploding Process and X-ray Emission of SHOTGUN Z-pinch Plasma”, NIFS-PROC 50, pp. 139 - 145 (2001).

(9) Kashani, T. Miyamoto, K. Sato, A. Baba, R.Horiuchi and K. Takasugi, “Energy Loss Mechanism before Pinch in Plasma Focus Discharge”, 50, pp. 115 - 123 (2001).

(10) A. Muravich, T. Miyamoto and V. Vikhrev, “Steady State of Dense Sheet Z-Pinch with Thermal Conduction”, J. Phys. Soc. Japan, 40, pp.1004-1008 (2001)

(11) M.Lu,M.Han,T.Yang,C.Luo and T. Miyamoto, “A Simple Knife-Edge Design for Initial Phase Optimizations in Plasma Focus.”, IEEE Trans on Plasma Science, 29, pp.973-976 (2001).

(12) M.A.M.Kashani, K.Sato, T.Miyamoto, A. Baba, A.Horiuchi, K.Takasugi, S.Sasaki, M.Lu and V.Vikhrev, “Cathode Effects in Plasma Focus Discharge”, “Int. Symp. on Pulsed Power and Plasma Applications”, Proc. of International Symposium on Pulsed Power and Plasma applications (Korea, Oct. 26-27, 2000) pp.37-40

(13) M.Kashani and T. Miyamoto, “Some Considerations on Cathode Effects in Plasma Focus Device”, (拠電力中研,「パルスパワー研究会」(電気学会)2001年

73

5月12日) pp.23-28. (14) 宮本徹,EUV 光源研究会平成12年度活動報告(技術研究組合 超先端電子技術開

発機構(ASET),平成13年7月2日発行)pp.139-160. (15) R. Akasaka, H. Kobayashi: “Numerical Analysis for Two-dimensional Heat

Transport of He II”, Cryogenics 36 pp.16-22 (2000) (16) T. Okamura, M. Takahashi, D. Muramatsu and H. Kobayashi: “Configuration

Effect of Superfluid Helium Channel on theλ-transition Heat Flux, Cryogenics 40 pp.403-406 (2000)

(17) H. Kobayashi, H. Yoshida, Y. Suganuma, Y. Matsubara and A. Tominaga: “Thermoacoustic Oscillation in Channels of the pressurized He II” Cryogenic 41 (to be published)

(18) 小林久恭、菅沼洋一、吉田栄之、松原洋一、富永明;加圧超流動ヘリウムにおける

熱音響振動:低温工学、Vol.36, No.12,(2001) p47-52. (19) 小林久恭、吉田栄之、菅沼洋一、松原洋一、富永明;飽和超流動ヘリウム流路にお

ける熱振動と異常熱移送特性:低温工学、Vol.36, No.12,(2001) p53-58. (20) K. Yasohama, Y. Kubota, H. Kobayashi, T. Ogasawara, H. Kasahara, S. Torii, and

S. Akita; Hysterisis loss and critical current density of multifilamentary (NbW)3Sn composite conductor for AC use : Physica C 354 (2001) 252~255

(21) Y. Kubota, T. Moriya, and K. Yasohama; Critical current density and magnetization of proximity - effect - induced superconducting Cu in multifilamentary NbTi / Cu composite conductors: Physica C 354 (2001) 256~259

(22) K. Takase, K. Kubota, Y. Takano, H. Negishi, M. Sasaki, M. Inoue and K. Sekizawa, “Anisotropic Magnetic Properties of Intercalation Compound Mn1/4TiS2”, Physica B284-288 (2000)1517-1518.

(23) H. Negishi, S. Negishi, M. Sasaki, M. Inoue, K. Takase, Y. Kubota, Y. Takano and K. Sekizawa, “Possibility of ChargeDensity Wave Transition in Tellurium Molybdenum Oxide TeMo5O16”, J.J.Appl.Phys. to be published.

(24) Y. Furukawa, S. Ikeda, K. Kumagai, K. Mori, Y. Takano and K. Sekizawa, “Metal-Insulator Transition in the Oxysulfides(La1-xCaxO)Cu1-xNixS studied by NMR”, Phys. Rev. B 62(2000)15598-15603

(25) Y. Takano, T. Tsubaki, C. Itoi, K. Takase and K. Sekizawa, “Magnetization and Specific Heat of a Ferromagnetic Zigzag Spin chain Compound LaCrOS2”, Solid State Commun. accepted.

(26) I.Sato, I.Kawakami, K.Sato, Y.Matsubara, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, H.Nakazawa, K.Yokoyama, K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, E.Hashimoto, K.Fujioka, K.Nakao, T.Murakami, A.Anami, S.Fukuda, H.Kobayashi, A.Enomoto, S.Ohsawa, T.Shidara, S.Yamaguchi, T.Kamitani, S.Michizono and K.Tsuchiya;日本大学電子線形加速器の高度化と自由電子レーザー

について:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 30-33

74

(27) K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, K.Sato, I.Sato, K.Yokoyama, T.Sakai, K.Kanno;商用電源変動とビーム不安定性:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 285-287

(28) Y.Hayakawa, I.Sato, K.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Matsubara, H.Nakazawa, K.Yokoyama, K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, K.Nakao, E.Hashimoto, K.Fujioka and T.Murakami;日大パラメトリ

ックX線発生装置の概要:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 110-112

(29) K.Kanno, I.Sato, K.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, K.Yokoyama, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, K.Nakao, E.Hashimoto, K.Fujioka, T.Murakami, S.Michizono, S.Ohsawa, S.Fukuda and T.Suwada;電子銃の低エミッ

タンス化による入射部の高度化:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 73-75

(30) T.Sakai, I.Sato, K.Hemmi, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, K.Sato, K.Yokoyama, K.Kanno, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, K.Nakao, E.Hashimoto, K.Fujioka and T.Murakami;FEL 用クライストロンのグレードアッ

プ:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 222-224 (31) K.Yokoyama, I.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, K.Sato, Y.Hayakawa, Y.Matsubara,

H.Nakazawa, T.Sakai, K.Kanno, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, E.Hashimoto, K.Nakao, K.Fujioka and T.Murakami;クライストロンドライブ系の

位相安定化:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 231-233

(32) E.Hashimoto, K.Fujioka, T.Murakami, K.Nakao, I.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, K.Sato, H.Nakazawa, K.Yokoyama, K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa and Y.Nakamura;FEL ビームのための補償光学システム:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 243-245

(33) T.Tanaka, K.Hayakawa, Y.Hayakawa, I.Sato, K.Yokoyama, K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa and Y.Nakamura;アンジュレーター光による FEL ビームラ

インのビーム診断:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 246-248

(34) K.Nakao, I.Sato, K.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, Y.Hayakawa, K.Yokoyama, K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa, Y.Nakamura, E.Hashimoto, K.Fujioka and T.Murakami;電子線利用研究施設における放射線監視システムの概要:

Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 346-348 (35) K.Ishiwata, T.Tanaka, I.Sato, K.Hayakawa, Y.Hayakawa, K.Sato, H.Inokawa,

Y.Nakamura, K.Kanno, T.Sakai, K.Yokoyama, H.Nakazawa, K.Fujioka, E.Hashimoto, K.Nakao and T.Murakami;非破壊型ビームポジションモニターの開発

研究:Proceedings of the 26th Linear Accelerator Meeting in Japan (2001.8) 270-272

(36) Y.Hayakawa, I.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, H.Nakazawa, K.Yokoyama,

75

K.Kanno, T.Sakai, K.Ishiwata, A.Enomoto, S.Fukuda, S.Ohsawa, K.Tsuchiya and M.Kato;First Lasing of LEBRA FEL in Nihon University at a wavelength of 1.5 µm:Proceedings of the 23rd International Free Electron Laser Conference and Fourth FEL User’s Workshop (Darmstadt, Germany 2001.8), in press

(37) K.Kanno, Y.Hayakawa, I.Sato, K.Hayakawa, T.Tanaka, H.Nakazawa, K.Yokoyama, T.Sakai, K.Ishiwata, H.Inokawa and Y.Nakamura;Present Status of the Near-IR FEL at LEBRA in Nihon University:Proceedings of the 23rd International Free Electron Laser Conference and Fourth FEL User’s Workshop (Darmstadt, Germany 2001.8), in press

(38) T.Tanaka, K.Hayakawa, I.Sato, K.Sato, Y.Hayakawa, K.Yokoyama, K.Kanno and T.Sakai;Improvement of the Long Pulse Operation of the FEL Linac at Nihon University:Proceedings of the 2nd Asian Particle Accelerator Conference (Beijing, China 2001.9), in press

(39) Y.Hiratsuka, K.Murayama, Y.Maeda, F.Imal, K.Y.Kang and Y.Matsubara;Development of a Long-Life Stirling Pulse Tube Cryocooler for a Superconducting Filter Subsystem:Cryocoolers 11, KA/Plenum Press (2001) p119-124.

(40) S.Fujimoto, T.Kurihara, Y.M.Kang, T.Numazawa and Y.Matsubara;Experimental Study of a 4 K Pulse Tube Cryocooler:Cryocoolers 11, KA/Plenum Press (2001) p213-219.

(41) Y.Matsubara, H.Kobayashi and S.L.Zhou;Thermally Actuated He3 Pulse Tube Cooler:Cryocoolers 11, KA/Plenum Press (2001) p273-280.

(42) N. Namekata, Y. Makino, and Shuichiro Inoue ; Single-photon detector for long-distance fiber-optic quantum key distribution. (to be published in Optics Letters)

(43) K.Konno, K. Imai and H.Kakuhata; Recursion formulae for IKK system with two hierarchies,

Physics Letters A286 (2001) 47. (44) 今井宏治、紺野公明、角畠浩; IKKシステムのリカージョン公式, 数理解析研究所講究録

1202 (2001) 161. (45) Kosei IWABUCHI and Shiomi KUMAGAI; Contribution of Supernova Gamma-Rays to the

Gamma-Ray Back Ground Emission; Publications of Astronomical Society of Japan, Vol. 533,

pp.669-673 (2001). (46) K. Nomoto, K. Maeda, Y. Mochizuki, S. Kumagai, H. Umeda, T. Nakamura, I. Tanihata;

"Gamma-Ray Signatures of Supernovae and Hypernovae"; Gamma-Ray Astronomy 2001,

proceedings of “GAMMA2001 Symposium (American Institute of Physics), in press. (47) T.Nakamura, H.Umeda, K.Iwamoto, K.Nomoto, M.Hashimoto, W.R.Hix, F.-K.Thielemann;

Explosive nucleosynthesis in hypernovae; The Astrophysical Journal, Vol.555,

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Astrophysical Journal Letters(2002). in press (49) 糸井 千岳、向田 寿光、坂元 啓紀;「4+ε次元ランダム磁場 O(N)非線形シグマ模型の

臨界現象」;素粒子論研究 103 (2001) E42-E43.

76

(50) H. Hasegawa and Y. Sakamoto, Grand canonical random ensembles or intermediate level

statistics [ランダム行列とその周辺(南就将編集)] に収録 (January2002). f

(51) H. Hasegawa and D. Petz, Dual and non-dual monotone metrics on matrix spaces, プレプリント”2002”.

(52) S.Misawa; Temperature and Field Dependence of the Spin Susceptibility and Specific Heat in One-, Two-, and Three-Dimensional Fermi Liquids: Physica B 294-295 (2001) 10.

(53) S.Misawa; Theory of the Surface Tension Maximum of Liquid 3He: J. Low Temp. Phys. 125 (2001) 49.

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(55) T. Komada, M. Ishida, S. Ishida; “The σ-meson production in excited Υ

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(56) M. Ishida, S. Ishida, T. Komada, S-I. Matsumoto; “The σ-meson production

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情報通信学会技術研究報告, CPM2001-110, Vol.101(2001-10) pp.107-112. (95) T. Konno, K. Kurita, Y. Iwasaki, N. Nakabayashi, K. Ishihara; Preparation of

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tortoise, Geochelon gigantea. Zoological Science 19: 197-206 (2002). (98) 野口邦和;シンポジウム「なぜ続く! 事故・失敗」に参加して:原子力ニュース

第22巻1号(通算215号)(2001)4-5. (99) 野口邦和;プルトニウムファイル上下(書評):原子力ニュース 第22巻1号(通

算215号)(2001)7-8. (100) 野口邦和;日本と世界の原子力行政はどう変わったのか―事故から14年 チェル

ノブイリ原発閉鎖―:民主青年新聞 2001年1月29日付 11. (101) 野口邦和;土壌の採取と団員の被曝線量の管理:ロンゲラップ島はいま―マーシャ

ル・ロンゲラップ島民との連帯交流代表団報告集―:原水爆禁止日本協議会 200

1年2月 10-17. (102) 野口邦和;マーシャル・ロンゲラップ島民との連帯交流代表団に参加して:原子力

ニュース 第22巻2号(通算216号)(2001)4-5. (103) 野口邦和;マーシャル・ロンゲラップ島民との連帯交流代表団に参加して:東京非

核政府の会ニュース 第165号 2001年3月20日 2. (104) 野口邦和;原発 脱却か推進か―刈羽村住民の勇気とアメリカの態度―:民主青年新

聞 2001年7月23日付 11. (105) 野口邦和;放射線の人体への影響.(財)放射線利用振興協会(2001年) 1~

15. (106) T.Maruyama, T. Tastumi , ’’Spontaneous Spin-Polarization and Phase-Transition

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defect-induced white luminescence of Eu2O3”, Physica B vol. 308-310 (2001) pp.

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80

(111) Y. Mita, Y. Sakai, D. Izaki, M. Kobayashi, S. Endo and S. Mochizuki;“Optical

study of MnO under high pressure”, Physica Status Solidi (b), vol. 223 (2001)

pp.247-251. (112) The viscous flux flow and flux creep induced by pulsed magnetic field in YBCO

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(114) T. Matano, M. R. Koblischka, M. Muralidar, M. Murakami and T. Takizawa; Two-step transition of (Nd0.33Eu0.33Gd0.33)Ba2Cu3Ox superconductors in high fields, Physica C 357-360 548-551 (2001)

(115) H.Enomoto, K.Inoue, M.Muralidhar, M.Murakami and T.Takizawa; Ac susceptibility of high-Tc superconductor REBa2Cu3Oy, Physica C 357-360 545-547 (2001)

(116) Hiroaki Matsushita, Tomohiro Mihira and Takeo Takizawa; Defect properties of CuInS2 single crystals grown by horizontal Bridgman method with controlling S vapor pressure, Jpn. Journal of Applied Physics 40 4789-4793 (2001)

(117) C.Hidaka-Komatsu and T.Takizawa; Phase diagram of the CaS-Ga2S3 system and melt growth of CaGa2S4 single crystals, Journal of Crystal Growth 222-3 574-578 (2001)

1.6.2 著書

(1) 野口邦和,他:「最新情報用語事典 データパル2001」小学館(2001年1月) (2) 野口邦和,他:「かけがえのない生命―現代の保健・医療・福祉―」ノエル(2001

年5月) (3) 野口邦和:「放射能のはなし」新日本出版社(2001年7月)

81

1.6.3 Preprints

NUP-A-2001-1 Annual Report (2000 年)

NUP-A-2001-2 The σ-Meson Production in Excited Υ Decay Processes

Toshihiko KOMADA, Muneyuki ISHIDA and Shin ISHIDA

NUP-A-2001-3 Confirmation of σ(450-600)-Meson in Υ’→ Υππ & Other ππ

-Production Processes

Muneyuki ISHIDA, Shin ISHIDA, Toshihiko KOMADA and Shin-Ichirou

MATSUMOTO

NUP-A-2001-4 Covariant Classification Scheme of Hadrons

Shin ISHIDA and Muneyuki ISHIDA

NUP-A-2001-5 Property of Chiral Scalar and Axial-Vector Mesons in Heavy-Light

Quark Systems

Muneyuki ISHIDA and Shin ISHIDA

NUP-A-2001-6 Possible Evidence for a Chiral Axial-Vector State in the D Meson

System

Kenji YAMADA, Muneyuki ISHIDA, Shin ISHIDA, Daiki ITO, Toshihiko

KOMADA and Hiroshi TONOOKA

NUP-A-2001-7 Quantization of massive Abelian antisymmetric tensor field and

linear potential

Shinichi Deguchi and Yousuke Kokubo

NUP-B-2001-1 湯川博士の物理学

田中 正

82

1.7 平成13年度主要購入設備

1.7.1 核融合およびプラズマ科学

1.7.1.1 核融合

・パソコン 3 ・波形記憶ユニット 3 ・ファイバー、フォトマルホルダー 1 ・フォトマル入力ユニット 1

1.7.1.2 プラズマ科学

・エネルギーモニター 1 ・ロータリーポンプ 1 ・デジタルカメラ 1 ・ディスプレイ 1 1.7.2 超伝導

・ダブルモノクロメータ 1 ・パソコン 1 ・冷凍機用フレキシブルホース 1 ・ディジタルメモリスコープ 1 1.7.3 量子光学

・天井シールド用架台 1

・カラーレーザープリンター 1

・片袖机 1

・精密ラボジャッキ 2

・I/O 液晶ディスプレイ 1

・レーザプリンタ 3

・新ネットワーク機器 1

1.7.4 量子光学

・AO 変調器 2

・半導体パルスレーザ (775 nm) 1

・半導体ブルーレーザ (399 nm) 1

・冷却 CCD カメラ 1

・デジタルオシロスコープ 1

・遅延発生器 1

83

84

第2章

量子科学研究所 平成14年度事業計画

2.1 研究計画

2.1.1 核融合およびプラズマ科学

2.1.1.1 核融合

(1) ATRAS-RFP実験 逆磁場ピンチプラズマの時間発展を内部磁場計測により観察する。

(2) 低アスペクト比軸対称系(逆磁場ピンチ、トカマク)古典及び新古典MHD平衡の最適化

およびその定常配位形成 (3) 同上核融合炉の概念設計 (4) L=1ヘリカル磁気軸ステラレーターにおける輸送改善、高ベーター化、低アスペト

化による最適化研究 2.1.1.2 プラズマ科学

(1) ガスパフZピンチプラズマの研究

ガスパフZピンチ方式により,高温高密度プラズマの発生・制御・保持の研究を行な

う。ピンチプラズマで起きている現象について理解を深めるため,X線放射を中心に

その発生機構について調べる。また,X線放射とプラズマへのエネルギーの注入との

関連について調べる。 (2) 新しいZピンチプラズマの研究

今までのZピンチ実験と平行して,金属ファイバーZピンチ,およびプラズマオープ

ニングスイッチの実験を始める。 (3) 新しいX線計測の研究

ガラス毛細管X線集光器および多層膜X線ミラーを用いた新しいX線計測を手がける。

また、空間分解能を持つX線のスペクトル観測を行なう。 (4) EUV光源の研究

次々世代微細加工技術のためのEUV光源の開発に関する研究を行なう。 2.1.2 超伝導

(1) 超流動ヘリウムにおいて Gorter-Mellink 熱伝導を破壊する熱音響に関係する効果のメ

カニズムをさらに詳細に追究し、膜沸騰状態の超熱伝導性を解明に迫る。pool boilingにおける noisy film boiling あるいはチャンバー・ノズル出口で観測される第 2 音波

Helmholtz 振動等の He II に特有な現象から推測して、異常熱移送は、ピストン効果を

含めた波動的にダイナミックな熱力学的エネルギー輸送によっていることを示唆して

いる。この仮定に基づき、気化・再凝縮という熱機械過程を経由し、入熱は結果的に

流路外に放出される仕事流が関与すると考えられるので、そのメカニズムの把握を試

みる。この成果は、核融合等大型超伝導マグネットの高磁界発生をめざした安定化に

おおきく寄与する。研究の遂行には、これまでに整備された超流動ヘリウム生成装置

85

を用い、直接観察カメラ等による可視化の研究を必要とする。 (2) DC スパッタ法による Mg- B 超伝導薄膜について,臨界温度,臨界電流等におよぼす薄

膜作製条件の影響を調べ、最適条件を明らかにする。また、第三元素添加と超伝導特

性の関係を調べ特性向上の可能性を明らかにする。 (3) Ag シース Bi2223 酸化物線材の超伝導特性

多芯 Ag シース Bi2223 酸化物線材を製作し、臨界電流密度 Jc、磁化 M、臨界温度 Tc、

および不可逆磁場 Tirrの測定を行う。 (4) NbTi 超伝導体の磁化のサイズ依存性

微細いNbTi超伝導体の磁化と交流帯磁率を測定し、臨界温度、侵入磁場,下部臨界磁場、

上部臨界磁場、ヒステリシス損失の温度およびサイズ依存性を研究する。 (5) MgB2超伝導体の超伝導特性

MgB2 の元素置換や第 3 元素の添加等により、臨界温度、侵入磁場、下部臨界磁場、

上部臨界磁場を系統的に研究する。 (6) MgB2超伝導線材の開発

MgB2線材の試作を行い臨界温度、上部臨界磁場と臨界電流密度の向上とヒステリシス

損失の低減を目指す。 (7) NbTi 複合多芯線の近接効果

NbTi/CuNi 複合多芯線を用いてフィラメント径、フィラメント間隔、ツイストピッ

チを系統的に変化させ、近接効果によるフィラメント結合が破れる磁場と磁化を研究

する。 2.1.3 加速器科学

(1) 電子線形加速器の安定化、及び大電流加速を実現する。 (2) 赤外領域の自由電子レーザー発振の安定化をはかる。 (3) 光陰極高周波電子銃により電子ビームの高品質化を図り、紫外領域での自由電子レー

ザー発振の準備を行う。 (4) 高調波FEL発振の可能性を探る。 (5) X線発生装置より発生するX線の特性を調べる。 (6) 振動流体の熱輸送現象に関する研究

パルス管冷凍機や熱音響発振機の熱輸送効果を究明する。 (7) 利用研究のための赤外光用ビームラインを運用する。 2.1.4 量子光学

(1) 高効率無相互作用測定による量子イメージングを行う。 (2) 既設光ファイバーを用いた長距離量子暗号通信の実験を行う。 (3) パラメトリック下方変換により、波長 1550nm の絡み合わせ状態にある光子対を発生さ

せる。 (4) 量子ホモダイントモグラフィーにより、絡み合った光子対の量子状態を調べる。

86

2.2 共同研究申請様式

学内における広義の量子科学研究を振興するため、平成14年度も下記要領で募集され

る。

87

88

2.3 予算案

主要研究グループの平成14年度の予算は以下の通りである。これらは日大量子科学予

算の他、申請中の文部科学省科学研究費、私学振興財団その他の助成金等によりまかなう

ことを予定している。 2.3.1 平成14年度予算 総計 8522 万円

2.3.1.1 核融合およびプラズマ科学

核融合 合計 768 万円

(1) 機械設備費

・三波長測定用光電子計測器 158 万円

・波形記憶ユニット 140 万円

・パソコン 60 万円

小計 358 万円

(2) 消耗品等経常費

・用品費 50 万円

・消耗品費 180 万円

・通信運搬費 10 万円

・印刷製本費 20 万円

・旅費交通費 85 万円

・修繕費 40 万円

・手数料 25 万円

小計 410 万円

プラズマ科学 880 万円

(1) 機械設備費

・ターボ分子ポンプ 240 万円

・ロータリーポンプ 40 万円

・ネットワーク機材 60 万円

小計 340 万円

(2) 消耗品等経常費

・用品費 100 万円

・消耗品費 300 万円

・通信運搬費 30 万円

・印刷製本費 20 万円

・旅費交通費 20 万円

・修繕費 30 万円

・賃借料 40 万円

小計 540 万円

89

2.3.1.2 超伝導 合計 743 万円

(1) 機械設備費

・ディジタルメモリスコープ 183 万円

・高周波ストロボ電源 100 万円

小計 283 万円

(2) 消耗品等経常費

・消耗品費 250 万円

・通信運搬費 20 万円

・印刷製本費 5 万円

・旅費交通費 60 万円

・修繕費 30 万円

・業務委託費 60 万円

・手数料 15 万円

・雑費 20 万円

小計 460 万円

2.3.1.3 加速器科学 合計 2922 万円

(1) 機械設備費

・マルチチャネルアナライザ NT-2400 128 万円

・マルチチャネルアナライザ接続キット(MAC/PC98BX) 83 万円

・InGaAs リニアイメージセンサ G8180-256×2 243 万円

・InGaAs リニアイメージセンサ G8163-512×2 346 万円

・可変減衰器 121 万円

小計 1067 万円

(2) 消耗品等経常費

・消耗品費 891 万円

・通信運搬費 56 万円

・印刷製本費 70 万円

・旅費交通費 123 万円

・修繕費 170 万円

・業務委託費 350 万円

・賃借料 40 万円

・公租公課費 20 万円

・諸会費 10 万円

・手数料 70 万円

・会合費 20 万円

・雑費 35 万円

小計 1855 万円

90

2.3.1.4 量子光学 合計 625 万円

(1) 機械設備費

・AO 変調器 50 万円

・半導体パルスレーザ 200 万円

・冷却装置 35 万円

・温度コントローラー 35 万円

・パルス発生器 80 万円

小計 400 万円

(2) 消耗品等経常費

・用品費 100 万円

・消耗品費 100 万円

・通信運搬費 7 万円

・印刷製本費 7 万円

・旅費交通費 11 万円

小計 225 万円

2.3.1.5 理論グループ 合計 684 万円

(1) 機械設備費

・ワークステーション 50 万円

・カラーレーザープリンタ 84 万円

小計 134 万円

(2) 消耗品等経常費

・消耗品費 300 万円

・印刷製本費 100 万円

・旅費交通費 150 万円

小計 550 万円

2.3.1.6 その他 合計 1900 万円

・事務諸経費 400 万円

・図書費 650 万円

・共同研究費 850 万円

小計 1900 万円

91