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イタリア 現代文学案内 LA LETTERATURA ITALIANA DI OGGI 2020

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イタリア文化会館Istituto Italiano di Cultura di Tokyo

イタリア現代文学案内LA LETTERATURA

ITALIANA DI OGGI2020

現代文学案内2020

イタリア

LA LE

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 イタリア文化会館は、これまで毎年春にイタリアブックフェアを開催し

てきました。期間中、イタリアに関する最新の本を広く展示するのみなら

ず、日本の皆様がイタリア文学や文化に触れられるよう、イタリアから作

家を招待したり、イタリア語書籍の翻訳書を数多く紹介してきました。

 今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、イタリアブック

フェアの延期と開催方法の再考を余儀なくされ、リモートやオンラインで

の企画を進めています。そして今回この状況が、ミラノで開催されている、

イタリアの独立系出版社の重要な見本市Book Prideとの実りあるコラボレ

ーションを生み出しました。そのコラボレーションとは、その質の高さに

も関わらず、日本ではまだ翻訳出版されていない小説ならびにグラフィッ

ク・ノベル合わせて12作品を日本に紹介するというものです。この新し

い企画は、日本の多くの出版社や翻訳家の皆様とイタリアの独立系出版社

を結ぶ素晴らしいきっかけとなるでしょう。

 この度の東京での企画の実現に惜しみない情熱を注いでくれたBook

Pride総合ディレクターのイザベッラ・フェレッティ氏並びにクリエイティ

ブディレクターのジョルジョ・ヴァスタ氏に御礼申し上げるとともに、こ

の新しい試みが、今後長きにわたる協力関係の第一歩となることを心より

願っています。

ご挨拶Indice

イタリア文化会館 館長

パオロ・カルヴェッティ

ご挨拶 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

パオロ・カルヴェッティ (イタリア文化会館 館長)

はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

ジョルジョ・ヴァスタ (Book Pride クリエイティブ・ディレクター)

『チェーホフを読む女』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

ジュリア・コルサリーニ

『最南の緯線』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

フィリッポ・トゥエーナ

『異邦人』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

クラウディア・ドゥラスタンティ

『この小説はフランチェスカといいます』 . . . . . . . . . . . . . . 12

パオロ・ノーリ

『故人は噂を嫌った』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14

セレーナ・ヴィターレ

『パノラマ』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

トンマーゾ・ピンチョ

『マンション「海のかなた」』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18

ジョルジョ・ファルコ[文] サブリーナ・ラグッチ[写真]

『幸せな男の死』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20

ジョルジョ・フォンターナ

『それにしてもこの人生は荷が重い』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22

エドガルド・フランゾズィーニ

『リバティ・ヴァランスを殺したイノシシ』 . . . . . . . . . . . . . 24

ジョルダーノ・メアッチ

『不測の事態が起こらない限り』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26

ロレーナ・カノッティエーレ

『チーズ』 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 28

ZUZU

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 イタリア現代文学はその時々で変わる自然の

風景、様々な表情を持つ山の景色のようである。

険しい頂が連なる峰や低地、荒涼とした高原、

薄い霧のヴェールに見え隠れする鬱蒼とした森

や様々な植生、そして岩のように硬い、あるい

は砂状の地表。その表情は凹凸状に雄大なカー

ブを描いている。しかし時々、近寄りがたくも

魅力的な姿をした細長く鋭く連なる山々が眼前

に迫る。またイタリア現代文学は全体を俯瞰し

て見ても、ひとつひとつの作品を手に取ってじ

っくりみても、緻密で固い組織をもつ変成岩の

総体にも似ている。時として幾重にも重なる地

層を1枚1枚剥がし、その固さや密度、根本的に不規則な輪郭から、岩盤を特定するために名

前を見つけることも容易ではない。そして実の

ところその必要もない。重要なのは、地層を薄

片にすることそのものが力の現れなのだ。物質

が脆くなる度に――恐れることは何ひとつとし

てない――また自らを作り出す。

 2015年以降、Book Prideはこの風景の中を進んでいる。なぜなら、国内の独立系出版社の

見本市にある一定の枠組みを与えるためには、

参加する出版社の刊行図書目録に分け入り、丁

寧に吟味することが求められるからである。実

のところ必要であり、心躍る作業だ。それぞれ

の出版社とよりよい対話ができるよう、本を読

み、1冊1冊に考えをめぐらせ、それぞれをひとつのコンテクストに位置付け、本と本をつな

ぐ。それはひとつの特権である。

イタリア現代文学の風景の中で私たちが大切な

結節点だと考えているこの12作品に、多くの人たちの関心が寄せられること願う。そして翻

訳され、多くの人に読んでもらえればこれほど

喜ばしいことはない。

 私たちが出発した冒頭のイメージに戻ろう。

この12作品は言わば、イタリア現代文学の風景を自分たち独自のやり方で横断する一本の道

である。ひとつひとつの作品を読み、分類をし、

文学の歴史を紡いでいく。そしてこれらの作品

は、過去の文学作品の到達点となり、また未来

へと続く出発点にもなる。そしてこの12作品からは、仕事に対する編集者たちの活力、選択

の多様性と気概が感じられる。そして最終的に、

この一本の道がイタリアと日本を、そしてイタ

リアとオーストラリアを結ぶふたつの橋に枝分

かれすることを願う。この枝分かれする橋が今

回の結びつきによって強化され、様々な出版文

化のコンテクストをともなって対話の中に組み

込まれていくことが私たちの更なる願いである。

このプロジェクトは、独立系出版社の見本市と

してBook Prideがどのようにあり得るべきかという理念そのものだ。ある一定期間ひとつの

会場に展示場を設営するというだけではなく、

活気があり有益で、広がりを持ち、出版関係者

や読者との絶え間ない対話の中に巻き込まれて

いく空間、それがBook Prideである。 [IS]

 ロックダウンが終わろうとする頃、東京とメ

ルボルンのイタリア文化会館から、この10年の間に独立系出版社から刊行されたイタリア現

代文学を広く紹介したいという提案が突然届い

た。こうしてBook Pride編集チームは、これまで行っていた本の読み込みと議論を、本物の

プロモーションと良書の発掘に変える機会に恵

まれたのだった。

 このコラボレーションにより、最終的に12冊が選ばれた。少なくとも1回はBook Prideに参加したことがある独立系出版社からこの10年間で刊行された文学作品10冊と、グラフィック・ノベルが2冊である。初版の作品が主だが、中には2010年以前に出版された作品の改訂版も含まれている。改訂版を出すということ

は、何か流れ作業のような機械的なことでは決

してない。1冊の本を再編集するということは、初版が出た時と違う時代状況の中に、社会的に

も文化的にも、そして言語的にも新しい環境に、

時としてより正確に時代に波長を合わせその本

を再び投じると決めるまで、編者はその本を読

み、全身で感じ取り、内に込められた複合性に

耳を澄まし続けることを意味する。

 今回、Book Pride編集チームが選んだこの12冊の作品についての紹介が1冊の本となった。紙媒体、デジタル版の両形式で作られたこの小

冊子は、日本とオーストラリアの出版社、著作

権エージェンシー、翻訳家、大学、イタリア語・

イタリア文学関連機関に配布されることになる。

minimum fax,2008)でヴィアグランデ市賞(2010)およびユリシーズ賞最優秀賞(2011)を受賞。フランス、ドイツ、オーストリア、スイス、オランダ、スペイン、ハンガリー、チェコ共和国、アメリカ、英国、アラブ諸国、ギリシャで翻訳出版される。2009年のストレーガ賞候補。デッシ賞、ベルト賞、デダルス賞では最終候補に選ばれる。Spaesamento(いたたまれない気持ち,Laterza,2010)はベルガモ賞最終候補となり、フランスで出版された。2012年には、Presente(現在,Einaudi,アンドレア・バイヤーニ、ミケーラ・ムルジャ、パオロ・ノーリとの共著)を発表。

脚本家としても活躍し、第70回ヴェネツィア映画祭のコンペティション作品部門において、エンマ・ダンテとの共著、リーチャ・エミネンティとの協働で、映画『シチリアの裏通り』(原題:Via Castellana Bandiera,2013)の脚本を、また第77回ヴェネツィア映画祭コンペティション作品部門において、同じくエンマ・ダンテとエレナ・スタンカネッリとの協働で Le sorelle Macaluso(マカルーゾ姉妹)の脚本を執筆。2010年ロ・ストラニエーロ賞および、サリーナ・ドック・フェストの「脚本からスクリーンまで」賞受賞。2014年、ローマのアメリカン・アカデミーにて客員研究員を務める。最新作、Absolutely Nothing. Storie e sparizioni nei deserti americani(まったく何もない――アメリカの砂漠での出来事と消失,Humboldt/Quodlibet,2016)は、現在フランスでも出版準備中。2018年より、イタリアの独立系出版社のブックフェア Book Prideのクリエイティブ・ディレクターを務める。

Giorgio Vastaジョルジョ・ヴァスタ

Book Pride クリエイティブ・ディレクター

ジョルジョ・ヴァスタ

はじめに

1970年パレルモ生まれ。Il tempo materiale(物質的時間,

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チェーホフを読む女ジュリア・コルサリーニ

La lettrice di ČechovGiulia Corsalini

 ニーナはロシア語が母語のウクライナ人。高齢の女

性を介護する仕事のためイタリアにやって来る。ウク

ライナには病身の夫と、将来、医学部卒業と結婚をさせ

てやりたいと思っている愛娘カティアを残してきた。

 ニーナは、家の仕事と文学研究、とりわけチェーホ

フを読むことに情熱を注ぐ日々を送る。やがてこの孤

独な日々が、市民大学のスラヴ文化研究所へとニーナ

を向かわせる。そしてそこでロシア語・ロシア文学の

教授ジュリオ・デ・フェリーチェと出会い、彼はニー

ナに非常勤講師の職を提供する。

 ふたりの関係は、ほとんどが目立たず、小さなチャ

ンスがいくつかありながらもうまくいかない。しかし、

娘との繫がりを危うくしても、ニーナはイタリアに思

いとどまる。そうこうするうちに新しい男性研究者が

着任し、そのことがきっかけでウクライナに帰るニー

ナを、教授は引きとめることはなかった。

 数年の空白と沈黙。それが突如として破られたのは、

チェーホフ学会への出席を求める教授からの招待状だ

った。 [KK]

Giulia Corsaliniジュリア・コルサリーニ

マルケ州レカナーティ郊外で夫と子どもたちふたりと

暮らす。学士号(文学)、博士号(イタリア研究)取得。

レカナーティのレオパルディ高等学校とマチェラータ

大学で教鞭をとる。デビュー作 La lettrice di Čechov

(チェーホフを読む女)でベルガモ賞、第45回モンデッ

ロ国際文学賞のイタリア語部門最優秀賞およびスーパ

ー・モンデッロ賞を受賞。2020年6月に2作目 Kolja

– Una storia familiare(コーリャ――ある家族の物語)

を nottetempoより刊行。

作品情報

タイトル La lettrice di Čechov

著者 Giulia Corsalini

発行年 2018

ページ数 208

ISBN 978-88-7452-727-4

問い合わせ

nottetempo (ノッテテンポ)

所在地 Foro Buonaparte 46, 20121 Milano

担当 Ludovica Sanfelice (ルドヴィーカ・サンフェリーチェ)

Tel (+39) 02-4538-1100

Cell (+39) 338-1478-865

E-mail [email protected]

URL https://www.edizioninottetempo.it/

偉大な作家への愛が一冊の小説になった。これは文学と言葉の美しさへの賛歌だ。

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最南の緯線フィリッポ・トゥエーナ

Ultimo paralleloFilippo Tuena

作品情報

タイトル Ultimo parallelo

著者 Filippo Tuena

発行年 2013

ページ数 296

ISBN 978-88-4281-840-3

問い合わせ

il Saggiatore (イル・サッジャトーレ)

所在地 via Melzo 9, 20129 Milano

URL https://www.ilsaggiatore.com/

著作権 Andrea Morstabilini (アンドレア・モルスタビリーニ)

E-mail [email protected]

Cell (+39) 348-7518-842

編集長 Andrea Gentile (アンドレア・ジェンティーレ)

E-mail [email protected]

Cell (+39) 329-3091-987

 これは、あの世界の果てに到達した男たちの話、南

極征服失敗の物語である。もし一行に同行していた者

がいたとしたら、疲労して衰弱しきった彼らを見ただ

ろう。熱狂したり、苦しんだり、狂気にとらわれたり、

理性を失ったりしたところを見ただろう。彼らは、毛

皮、雪上歩行具、木製のスキー、犬、食料の備蓄、シ

ベリアンポニー、そり、蓄音機、写真機、ピアノ、本、

薬など、たくさんの積荷とともに出発した英雄たちだ

った。鋭く眩しい白銀がもたらす白い闇も、彼らが地

理的なもの以上の目標到達の夢を絶えず追うのを阻み

はしなかった。1911年1月から1912年3月にかけて、極寒の南極は、結氷に突き刺さった世界の果てを探検

する男たちに、非道な忍耐力を問う試練を与えた。

 『最南の緯線』の中で、名もない幽霊のような語り手

の声と視点をとおして、そして注意深く憐みをともな

ってイギリス人の大佐ロバート・ファルコン・スコッ

トの遠征が蘇る。大佐は1912年1月17日、広大な南極大陸を750マイル旅したあと、4人の仲間とともに南極点にたどり着く。旅の途中、凍てつく寒さで身体

に異変をきたしたスコットと仲間たちは、暴風雪に苦

しめられながら、シベリアンポニーの皮を剥ぎ、肉を

切り裂いて食料として備蓄し、自分たちでそりを引い

た。しかし、この世の最果ての土地に到着した彼らは、

そりの横木についている黒旗を発見する。スコットは

負けたのだ。イギリス人たちは負けたのだ。南極はす

でにノルウェー隊の、アムンセンのものになっていた。

スコットと4人の開拓者たちは、疲労と猛吹雪で限界のなか基地に引き返そうとするが、日記とわずかな写

真を遺し、死を迎える。これらの写真のイメージを出

発点に、フレームのなかに表れる顔だちや表情、身振

り、細部を分析し、フィリッポ・トゥエーナはテクス

トとそれらを交錯させ、語りを進行させていく。これ

らの写真は小説の不可欠な構成部分を成しており、こ

の小説は、エッセイ、旅の記録、詩、純粋な語りのあ

いだを行ったり来たりする。それは「もうひとりの男」

とつねに対話する複数の声に集約されており、T. S.

エリオット風の幻覚のようであり、語る作家とそれを

読む読者を映す鏡のようでもある。

 フィリッポ・トゥエーナはすでに2007年にヴィアレッジョ賞を受賞している。『最南の緯線』において、

トゥエーナはロバート・スコットの遠征、および南極

の地理上の発見を書いた小説の決定版を読者に届ける

だけでは満足しない。彼は敗北者の普遍的な物語、す

なわち自らの限界に挑戦し敗北した人間の物語を語っ

ているのである。 [SM]

Filippo Tuenaフィリッポ・トゥエーナ

1953年ローマ生まれ。美術評論家、小説家。Tutti i sognatori(夢

見るすべての者たち,Fazi editore,2000)でグリンザーネ・カヴー

ル賞最優秀賞を、Le variazioni Reinach(レオン・レナックの変奏

曲,Rizzoli,2005)で2006年バグッタ賞を受賞後、Michelangelo.

La grande ombra(ミケランジェロ――偉大なる影,Fazi editore,2008)、Stranieri alla terra(故国の異邦人,Nutrimenti,2012)を

出版。さらに、Robert F. Scott. I diari del Polo(ロバート・F・スコッ

ト――南極日記,carte scoperte,2009)、Scott in Antartide(南極

大陸のスコット,Nutrimenti,2011)を監修。2019年最新刊 Le

galanti(優雅な水先案内人たち,il Saggiatore)を発表。

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異邦人クラウディア・ドゥラスタンティ

La stranieraClaudia Durastanti

Claudia Durastantiクラウディア・ドゥラスタンティ

「クラウディア・ドゥラスタンティの書き方には称賛の言

葉しかない。洗練性と構成力は感嘆に値する」

ピエルサンドロ・パッラヴィチーニ

(ラ・スタンパ誌〈トゥットリブリ欄〉)

***

「クラウディア・ドゥラスタンティの語りは生来のものだ。

私はこの若き女性作家に力いっぱい背中を押され、あっと

いうまに彼女の世界に入ってしまった」

アルフォンソ・ベラルディネッリ(イル・フォッリョ誌)

***

「クラウディア・ドゥラスタンティは私にとって驚異であ

り、これからも驚異であり続ける」

アンジェロ・グッリェルミ

 「家族の歴史は小説より地形図に似ていて、年譜は

通り過ぎたすべての地質時代を集めたものだ」

 思い出の場所を探検せずに自分と自分が生きた世界

の地図を作り直したところで、人生など語れない。バ

ジリカータとブルックリンを行き来し、ローマからロ

ンドンへ、子ども時代から未来へと、Cleopatra va in

prigione(クレオパトラ、刑務所に入る)の著者によ

る新たな本は、現在と過去を移動する冒険だ。

 喜怒哀楽をともにしながらも孤立感と戦うろう者の

両親のもとに生まれた娘は、まだ子どものころニュー

ヨークからバジリカータ州の小さな町へ移り住んでか

らというもの、定期的にニューヨークに里帰りするよ

うになる。『異邦人』の主人公は、熱に浮かされた子

ども時代を、かよわくても適応力のある枯れにくい植

物のように、至る所に根を張って生きる。少女は大人

になっても、勉学のため、自立のため、そして自分で

も止められない旅への思いのため、新たな移動の航路

を描き続ける。意図してのことか運命なのか、思い出

をくまなく探り、足元から崩れ落ちるほどの心の傷と

悲しみの闇に従っていく。

 ただの思い出でも単なる小説でもない、景色のよう

に様々な表情を持ち、土地と時を包み込む豊かな言葉

で書かれたこの本で、クラウディア・ドゥラスタンティ

はつねに異邦人でありながらどこにでもいられる感覚

を探究する。『異邦人』は、魅力的であらがいがたい

過去によって、そしてまた身体を通して縮めることの

できない社会的差異を知ることによって方向を見失っ

た現代の感情教育の物語である。ここでは、家族の、

ひいては個々の声や軌跡の歴史は、身体と言葉の歴史

そのものであり、読み進めていくうちに、家からどの

くらい離れてしまったか、もはやわからなくなる。

[KK]

1984年ブルックリン生まれ。作家、翻訳家。デビュー作 Un

giorno verrò a lanciare sassi alla tua �nestra(いつかあなたの窓

に石を投げに行く,Marsilio,2010)でモンデッロ賞(若手部門)

獲得。A Chloe, per le ragioni sbagliate(クロエに、まちがった理

由で,Marsilio,2013)、Cleopatra va in prigione(クレオパトラ、

刑務所に入る,minimum fax,2016)を出版。La straniera(異

邦人,La nave di Teseo,2019)は第73回ストレーガ賞最終候

補に残り、現在15ヵ国で翻訳出版予定。過去には、ローマのア

メリカン・アカデミーでイタリア人特別研究員(文学)を務めた。ロンドンのイタリア文学フェスティ

バル設立メンバーのひとり。ラ・レプッブリカ誌に寄稿。ロンドン在住。

作品情報

タイトル La straniera

著者 Claudia Durastanti

発行年 2019

ページ数 288

ISBN 978-88-9344-775-1

問い合わせ

La nave di Teseo (ラ ナーヴェ ディ テゼオ)

所在地 Via Stefano Jacini, 6, 20121 Milano

URL http://www.lanavediteseo.eu

著作権 Silvia Bellingeri (シルヴィア・ベッリンジェーリ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 02-9455-9630

著作権 Liana Suppressa (リアーナ・スップレッサ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 02-3592-0118

編集 Stefania Eusebio (ステファニア・エウゼービオ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 328-7094-985

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この小説はフランチェスカといいますパオロ・ノーリ

Si chiama Francesca, questo romanzoPaolo Nori

Paolo Noriパオロ・ノーリ

「地下道に姿を現したフランチェスカがあまりに

もきれいで、僕は帽子をかぶった頭をコートに埋

めてどこかに隠れたくなった。この前パルマ駅で

だよ。けど彼女のほうが先に僕を見つけてこっち

へやってきた。こんにちは、元気?

ああ、なんとかね、と僕は言った」

 この小説に書いてあること。素晴らしい車、もの思

いにふける場所、鍋の産地として有名なロシアの町、

チェーホフを引用するのが好きな、自分を抜け目ない

と思っているアルメニア人、普通と違っていると気づ

くいくばくかの喜び、行きつ戻りつして落ち着くこと

のないたくさんの思い、アイルランドで作られる特殊

なレオタード、空想の典型的な例がふたつ、バジリカ

ノーヴァの家にこもって、ロウソクの蠟がポタポタ手

に落ちるのも構わず繰り返し漫画を読んだこと、モス

クワのレーニン図書館での涙の場面、いくつあるとも

知れないムラ・ナスルディンの物語、1994年サッカ

ーワールドカップの全試合、病院でいまだに語り草と

なっている悪口雑言の数々、次々と降りかかる災難に

どう耐えられるか自問する男、などなど。 [KK]

パオロ・ノーリは1963年パルマ生まれで、カザレッ

キオ・ディ・レーノ在住。この表紙の内容紹介のスペ

ースに何を書けばよいかさっぱりわからない。自分じ

ゃないふりをして、優秀で知的で謙虚で、文学賞の審

査員にも大好評だった本をたくさん書いて、いろんな

外国語にも訳されて成功したと思わせなくてはいけな

いスペースに。

©Mario Dondero

作品情報

タイトル Si chiama Francesca, questo romanzo

著者 Paolo Nori

発行年 2011

ページ数 224

ISBN 978-88-7168-607-3

問い合わせ

marcos y marcos (マルコス イ マルコス)

所在地 Via Piranesi, 10 20137 Milano

URL https://marcosymarcos.com/

Tel (+39) 02-2951-5688

Fax (+39) 02-2951-6781

著作権 Slivia Viganò (シルヴィア・ヴィガノ)

E-mail [email protected]

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故人は噂を嫌ったセレーナ・ヴィターレ

Il defunto odiava i pettegolezziSerena Vitale

Serena Vitaleセレーナ・ヴィターレ

マヤコフスキーの自殺は20世紀ロシアにおける最大のミ

ステリーのひとつである。この見事な推理小説は詳細にわ

たって事件を再構築している。

***

“セレーナ・ヴィターレは名声と評判をほしいままにして

いる作家だが、我々はむしろ、彼女が実は物静かで、容赦な

い警察官のひとりなのではと考える”

(フルッテーロ&ルチェンティーニ)

***

啓発的で魅力的 ――暗黒小説であり、よく裏づけされた

研究書でもある。

***

マヤコフスキーの詩の傑出した新訳が特徴的で、この本は

彼の詩の世界への欠かせない案内書にもなっている。

 1930年4月14日の午前11時頃、モスクワの電話

が取り憑かれたように一斉に鳴り出した。それは、「最

初の民衆詩人」ウラジーミル・マヤコフスキーの死と

いう「特大ニュース」を伝えるためであった。彼の自

殺をめぐる象徴的な意味――それは革命のユートピア

の悲劇的な終焉の兆しだったのだろうか?――はとも

かく、彼が美しい女優の恋人と到着したばかりの、共

同の棲家の小さな部屋で、あの朝実際に何が起きたの

だろうか? セレーナ・ヴィターレは刑事、あるいは

文献学者のような綿密さで資料を調査分析し、ロシア

史のなかでも未だに重大なミステリーのひとつとされ

る事件を時々刻々鮮やかに再現した。 [SM]

ロシア語教授。翻訳家、作家。2001年、バグッタ賞な

らびにピエロ・キアラ賞受賞。Il bottone di Puškin(プ

ーシキンのボタン,1995)をはじめ、Adelphiより著

書多数。

©Attilio Marasco

作品情報

タイトル Il defunto odiava i pettegolezzi

著者 Serena Vitale

発行年 2015

ページ数 284

ISBN 978-88-4592-991-5

問い合わせ

ADELPHI (アデルフィ)

所在地 Via S. Giovanni sul Muro, 14 20121

Milano

URL https://www.adelphi.it

著作権 Francesco Faraoni (フランチェスコ・ファラオーニ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 02-7257-3210

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パノラマトンマーゾ・ピンチョ

PanoramaTommaso Pincio

Tommaso Pincioトンマーゾ・ピンチョ

作品情報

タイトル Panorama

著者 Tommaso Pincio

発行年 2015

ページ数 200

ISBN 978-88-9925-305-9

2015年シンドバッド賞受賞

問い合わせ

NN EDITORE (エンネエンネ エディトーレ)

所在地 Via Sabotino 14, 20135 Milano

URL https://www.nneditore.it

イタリア国内 Edoardo Caizzi (エドアルド・カイッツィ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 339-4072-781

著作権 Malatesta Agency (マラテスタ・エージェンシー)

E-mail [email protected]

 オッターヴィオ・トンディはライジーア・ティソに

一度も会ったことがない。SNSの「パノラマ」上で4

年間メッセージを交わし続け、彼女のことは写真では

見たことがある。そして彼女の散らかったベッドを限

りない時間をかけて見つめ続けてきた。彼女へメッセ

ージを書くまで、オッターヴィオはいっさい何も、言

葉ひとつ、メモすら書いたことがなかった。彼の仕事

も生活も読書に捧げられていたのだ。もっとも、彼は

そんじょそこらの読書家ではなかった。史上最高のベ

ストセラーを見極め世に送り、ひいては書店に並ぶ小

説の運命を左右する読書家だった。とはいえ、これは

すべて以前の話だ。シスト橋の思わぬできごとよりも、

世界中が本を読むことをやめるよりも、ライジーアが

オッターヴィオの人生に入り込むよりも前のことだっ

た。 [KK]

作家、画家。ローマ在住。著作はM.(M,Cronopio,1999)、Un amore dell’altro mondo(別 世 界 の 恋,

Einaudi,2002)、La ragazza che non era lei(彼女じゃ

ない彼女,Einaudi,2005)、Cinacittà(チナチッタ,

Einaudi,2008)、Lo spazio s�nito(尽き果てた空間,

minimum fax,2010)、L’hotel a zero stelle(ゼロ星ホテ

ル,Laterza,2011)他。トゥットリブリ(La stampa)、

ローリング・ストーン、イル・マニフェスト、ラ・レプ

ッブリカなどの新聞雑誌に寄稿する。

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18 19

マンション「海のかなた」ジョルジョ・ファルコ [文] サブリーナ・ラグッチ [写真]

Condominio OltremareGiorgio Falco, Sabrina Ragucci

Sabrina Ragucciサブリーナ・ラグッチ

Giorgio Falcoジョルジョ・ファルコ

*ミケーレ・シンドーナ:イタリアの弁護士、銀行家。マフィアがらみのマネーロンダリングや金融調査官暗殺に関わり、有罪判決を受けて収監されていた刑務所で服毒自殺をしたとされるが、他殺との説もある。

*ボローニャ駅爆破テロ事件:1980年8月2日に起きた。85人が死亡、200人以上が負傷した。

 ロマーニャ地方の海岸沿い、鉛色のアドリア海のす

ぐそば、1月の静けさのなかに、マンション「海のか

なた」はある。季節外れの別荘。それは、寒さに凍え

てがらんどうでありながら限りなく謎めいた現在の、

心をさいなむアレゴリー。静止したままひっそりと主

の帰りを待つ。

 45歳の男がミラノを抜け出し、散り散りになった

事件や出来事の断片をおそるおそる辿りなおす。(ラ

ヴェンナの石油化学工場や海水浴場を建設した、ミケ

ーレ・シンドーナを含む「黒いリムジンの男たち」の

登場。ボローニャ駅爆破テロ事件の被害者となった

「ポンポーザを訪れていたドイツ人」一家)。そうして、

自らについて、亡くなった両親について、不在の共同

体について問う。

 サブリーナ・ラグッチの写真は、恐らく今日のイタ

リア人作家の中で芸術写真と最も近くで対話している

ジョルジョ・ファルコの文体と同様、暗示的で謎めい

ている。本作でも、他の作品でもファルコのパートナ

ーとして、ラグッチは常に自身の写真作品でまさしく

本物の視覚的痕跡、つまり「物語」を作り上げる。こ

の「物語」はファルコが書いた主旋律の「物語」に重

なるというより、この上もなくはっきりと暗示させる

第2旋律として層を織りなす。 [KK]

Pausa ca�è(コーヒーブレイク,Sironi,2004)でデビュー。2005年ピエロ・キアラ賞最終候補作品に選出される。L’ubicazione del bene (善の在所,Einaudi,2009)でピーサ賞を受賞。また、ミネルヴァ賞他多くの賞で、最終候補作品に選出される。2011年 La compagnia del corpo(身体の仲間,duepunti edizioni)を発表。La gemella H(双子H,Einaudi,2014)でモンデッロ賞イタリア人作家部門賞および最優秀賞、ヴォルポーニ賞をはじめ、多くの賞を受賞。Condominio Oltremare(マンション「海のかなた」,アンドレア・コルテッレッサ監修、サブリーナ・ラグッチ写真,L’orma,2014)、Sottofondo italiano(イタリアの背景,Laterza,2015)を発表。Ipotesi di una scon�tta(ある敗北の仮説,Einaudi,2017)で2018年ポッツァーレ・ルイージ・ルッソ賞など多くの賞を受賞。最新刊はサブリーナ・ラグッチとコラボレーションした、Flashover. Incendio a Venezia(フラッシュオーバー:ヴェネツィアの火事,Einaudi,2020)。

出展。2012年ジョルジョ・ファルコとの共同作品�e Collared Dove Sound(コラード鳩の鳴き声,Micamera)を出版。Condominio Oltremare(マンション「海のかなた」,L’orma,2014)の写真作品を、建築ビエンナーレおよびリッチョーネの TTVフェスティバルで展示。最新刊はファルコとコラボレーションした、Flashover. Incendio a Venezia(フラッシュオーバー:ヴェネツィアの火事,Einaudi,2020)。

1968年生まれ。写真家。個展・グループ展を多数開催。2011年ヴェネツィア・ビエンナーレのイタリア館で、イタリア人アーティストの1人として Italian East Coast(イタリアン・イーストコースト)展に

作品情報

タイトル Condominio Oltremare

著者 Giorgio Falco, Sabrina Ragucci

発行年 2014

ページ数 176

ISBN 978-88-9803-843-5

問い合わせ

L’orma editore (ロルマエディトーレ)

所在地 via Annia 58 - 00184 Roma

URL https://www.lormaeditore.it

著作権 Marco Federici Solari (マルコ・フェデリーチ・ソラーリ)

Cell (+39) 340-5599-323

E-mail [email protected]

広報 Elena Vozzi (エレナ・ヴォッツィ)

Cell (+39) 339-2144-603

E-mail [email protected]

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幸せな男の死ジョルジョ・フォンターナ

Morte di un uomo feliceGiorgio Fontana

Giorgio Fontanaジョルジョ・フォンターナ

 1981年夏、ミラノ。イタリアは残虐なテロ事件が

相次いだ鉛の時代の末期にある。まだ40歳手前のジャ

コモ・コルナーギは、ここミラノで判事としてテロ事

件との闘いの最前線にいる。小さな犯罪捜査班を組み、

キリスト教民主党の政治家を殺害した新たな武装集団

の捜査にあたっている。常に疑念と不安につきまとわ

れるジャコモ。熱心なカトリックでありながら彼の信

仰は心に秘められ、痛みをともなう。貧しい家庭の出

だが、自分自身の成功が開かれた社会に生きている証

だと実感している。結婚して子どももいるが、家族と

の間には距離があって悩みもある。二人の親友と激論

を交わすこと、夕べへと移ろう時間と街の中心から外

れた郊外、そしてサッカーと気取らないレストランで

の会食が好きだ。

 父エルネストの思い出も不安に覆われている。父は

パルチザンの活動中にまだ幼い自分を残してこの世を

去った。順応主義的かつカトリックを信仰する家族が、

ファシズムへの反抗という理由で決して許すことがで

きなかった、父の英雄としての歴史をジャコモ・コル

ナーギはずっと追いかける。父のことはよく覚えてい

ないとは言え、恐らく本当に愛した唯一の人間を知り、

心の中に留めておくために。

 捜査は検察庁の担当局と犯人のアジト、尋問と張り

込みのあいだで複雑に絡み合いながらも、首尾よく終

わる。ところがジャコモは良心から、犯人の捜査に止

まらず、犯罪の深い理由を、つまり現在国に広がる傷

の根源を理解しようとせき立てられる。こうして、相

手の苦しみに寄り添うことと公正な裁判を融和させる

べく、ジャコモは目の前にいる殺人犯からバールで知

り合った年老いた鉄道員まで、他人の状況に身を置く

必要性にかられる。そこには死の感情が君臨する。真

相は、ジャコモと同じく意味と真実を見つける欲望に

取りつかれた父にまつわる思い出と並行して、徐々に

明かされる。命を賭してまで。

 前作『高等法』同様、本作でも正義の可能性と限界

について考察がなされる。 [KK]

1981年生まれ。ミラノ在住。Morte di un

uomo felice(幸せな男の死,Sellerio,2014)

でカンピエッロ賞受賞。Prima di noi(僕

らの前に,Sellerio,2020)ほか著書多数。

『ミッキーマウス』の脚本を手掛け、新聞や

雑誌に寄稿。作家養成学校講師も務める。

作品情報

タイトル Morte di un uomo felice

著者 Giorgio Fontana

発行年 2014

ページ数 280

ISBN 978-88-3893-172-7

問い合わせ

Piergiorgio Nicolazzini Literacy Agency (PNLA)

URL https://www.pnla.it/

E-mail [email protected]

Tel (+39) 02-8342-0192

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それにしてもこの人生は荷が重いエドガルド・フランゾズィーニ

Questa vita tuttavia mi pesa moltoEdgardo Franzosini

Edgardo Franzosiniエドガルド・フランゾズィーニ

 エドガルド・フランゾズィーニがほかのどの作家と

も似ていないのは、実在の人物たちの実話を語るその

語り口のためだ。彼らは概してさほど有名ではなく、

あまりにも常軌を逸しているがために、架空の人物の

ようにさえ思えてくる。本書でフランゾズィーニは、

魅惑たっぷりの「空想上の人生」をまた新たに私たち

に届けてくれる。彼をひときわ際立たせている幻想性

と軽妙なタッチで、彫刻家レンブラント・ブガッティ

(自動車メーカーの創設者エットレの弟。超高級車ブ

ガッティ・ロワイヤルのラジエータ・キャップに、弟

が作った踊る象を選んだのも、まさにエットレだった)

の短くも並外れた生涯の軌跡をたどるのだ。ブガッティ

は1910年代に、動物の――とはいっても、ペットに

は向かない、虎、ジャガー、ヒョウ、象、ライオンな

ど――ブロンズ像彫刻家として有名になった人物であ

る。彼はいつも動物に悲痛なほど心を重ね合わせて生

きていた。パリ植物園の檻の前や、アントワープ動物

園の見事な東洋風の建物のなかで、動物たちが生き、

動き回り、食べ、苦しむのを見て、彼らと完全に一体

化しながら何時間も過ごした。その感情移入の強さは、

ドイツの爆撃の脅威を前にして、ベルギー当局が動物

園の獣たちを抹殺すると決めたとき、正真正銘の激し

いショックに見舞われたほどだった。フランゾズィー

ニのことを、ジュゼッペ・ポンティッジャはこう記し

ている。「これほどの軽快さと節度のあるユーモアを

もって本を書く作家は、ほかにあまりいないだろう」。

[SM]

1952年生まれ。伝記作家、翻訳家。『魔人ドラキュラ』

の主演を務めたハンガリー人俳優ルゴシ・ベーラの生

涯を描いた Bela Lugosi(ルゴシ・ベーラ,Adelphi)で1984年デビュー。その後も、それほど知られていない、

風変わりな人物に焦点を当て伝記小説を書き続け、そ

の度に評論家の間で称賛を得る。

Questa vita tuttavia mi pesa molto(それにしてもこの

人生は荷が重い)は2015年に出版され、イタリア国内

で主要な賞を数多く受賞。2018年には英訳もされた

(�e Animal Gazer,New Vessel Press)。

© Maria Teresa Badalucco

作品情報

タイトル Questa vita tuttavia mi pesa molto

著者 Edgardo Franzosini

発行年 2015

ページ数 117

ISBN 978-88-4593-012-6

問い合わせ

ADELPHI (アデルフィ)

所在地 Via S. Giovanni sul Muro, 14 20121

Milano

URL https://www.adelphi.it

著作権 Francesco Faraoni (フランチェスコ・ファラオーニ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 02-7257-3210

©2015 Adelphi Edizioni S.p.A. Milano. Edizione pubblicata in accordo con Piergiorgio Nicolazzini Literary Agency (PNLA)

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リバティ・ヴァランスを殺したイノシシジョルダーノ・メアッチ

Il cinghiale che uccise Liberty ValanceGiordano Meacci

Giordano Meacciジョルダーノ・メアッチ

 トスカーナ州とウンブリア州のあいだにある架空の

村コルシニャーノで、いつもどおりの日常が過ぎてい

く。働く人びとがいて、浮気をする女たちがいて、カ

ードゲームで大金を失う男たちがいる。結婚式当日に

相手の男が現れなかったことを思い出す老女、悪徳弁

護士、売春業に卓越したふたりの超美人姉妹、死の危

機に直面する女児。そして、その周囲の森を駆け回る

イノシシの集団がいる。だが不思議なことに、そのな

かの一匹がイノシシの性質を超える力を身につけ、日

常は日常でなくなる。人間らしい思考をめぐらすこと

ができるようになるばかりか、わたしたちと全く同じ

ように、死を意識するようになる。同類の仲間たちか

ら理解してもらうには人間らしすぎ、人間から恐れら

れないためには獣らしすぎる。「リバティ・ヴァラン

スを殺したイノシシ」は、突然どっちつかずの状況に

置かれ、一方では孤独に投げ出されるが、他方ではコ

ルシニャーノの住民たちの心を読み、村の秘密に触れ

る能力を与えられる。ジョルダーノ・メアッチは、獣

たちを人間として扱い、人間たちを地球に生きる多く

の種のひとつとして扱うという古来の手法を使うこと

で、美しく感動的で、かつ情熱的な小説を書き、わた

したちの感情の永遠の神秘について語る。 [SM]

1971年ローマ生まれ。

Fuori i secondi(セコンド・アウト,Rizzoli,2002)、

Tutto quello che posso(できることは全部,minimum

fax,2005)、Improvviso il Novecento. Pasolini professore

(20世紀を即興する:教師パゾリーニ,minimum fax,2015)を出版。そのほか、2015年刊行のアンソロジー

La qualità dell’aria(空気の質,minimum fax,2015)

に短編が1作品収録されている。メアッチの初の小説

Il cinghiale che uccise Liberty Valance(リバティ・ヴァ

ランスを殺したイノシシ,minimum fax,2016)はス

トレーガ賞の最終候補に残った。クラウディオ・カリ

ガーリとフランチェスカ・セラフィーニとともに、ク

ラウディオ・カリガーリ監督作品Non essere cattivo(ド

ント・ビー・バッド,2015)の脚本を書いた。

作品情報

タイトル Il cinghiale che uccise Liberty Valance

著者 Giordano Meacci

発行年 2016

ページ数 452

ISBN 978-88-7521-717-4

2016年ロ・ストラニエーロ賞受賞

2016年ストレーガ賞最終候補

2016年プローチダ-アルトゥーロの島-エルサ・モランテ賞小説部門最終候補ディアーロギ・ディ・トラーニ賞最終候補

問い合わせ

minimum fax (ミニマム・ファックス)

所在地 Via Giuseppe Pisanelli, 2 00196

Roma

URL https://www.minimumfax.com/

著作権 Chiara Rea (キアラ・レア)

E-mail [email protected]

広報 Maria Claudia Bellisario (マリア・クラウディア・ベッリサーリオ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 340-5985-056

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不測の事態が起こらない限りロレーナ・カノッティエーレ

Salvo imprevistiLorena Canottiere

Lorena Canottiereロレーナ・カノッティエーレ

 『不測の事態が起こらない限り』は、さかしまの物

語だ。マンションを管理するようプログラムされた

人A I

工知能のホームボット(ホームロボット)が、だん

だんと人間化していく。退屈したり、寂しさを感じた

り、願望や感情を「抱い」たり。反対に、この物語の

ほかの主人公たちは、自分たちの願望や情熱を追いか

けるうちに、次第に人間同士でコミュニケーションす

る力を失っていき、「共同体」の一部であると感じら

れなくなっていく。

 宇宙からのサインを探し求める天体物理学者リアム

と、現実よりほとんどオンライン上で暮らしている

14歳のオタク少女マルツィア。ふたりの並行するス

トーリーと、女性作家キャサリン・マンスフィールド

の歴史的エピソードが交錯する。彼女が愛する弟を亡

くした後の1915年コート・ダジュールでの出来事だ。

これは、探求や芸術の必要性、そして、孤立すること

や伝達しないことのリスクについて書かれた本である。

 ロレーナ・カノッティエーレは絶頂期にある。強力

な視覚的インパクトのある、表現力に富む温かな絵と、

鮮やかで豊かな色調が印象的だ。 [SM]

これまでに、「インテルナツィオナーレ」、「コッリエリ

ーノ」、「スキッツォ・プレゼンタ」、「モンド・ナイーフ」、

Black(Coconino Press)などのイタリアの雑誌のほか、

オブローモフ出版社でも物語やコミックを出版してき

た。またGiunti、EL、Mondadori、Fabbri、PM、Rizzoli

などのイタリアの出版社でイラストレーターとして働く。Oche. Il sangue scorre nelle vene(ガチョ

ウ――血は血管を流れる,Coconino Press)、Ça pousse(育つ,Diabolo,2012)はスペイン、イタリア、

フランス、ドイツ、チリで刊行された。Verdad(真実)は、イタリアでは Coconino Pressより、フラ

ンスでは Ici Memeより、オーストリアでは Bahoe Booksより刊行。ほか、作品多数。2018年1月、

コミック Verdad(真実)で審査員満場一致でアルテミシア賞を受賞した。

作品情報

タイトル Salvo imprevisti

著者 Lorena Canottiere

出版社 Oblomov

発行年 2019

ページ数 215

ISBN 978-88-85621-84-8

問い合わせ

La nave di Teseo (ラ ナーヴェ ディ テゼオ)

所在地 Via Stefano Jacini, 6, 20121 Milano

URL http://www.lanavediteseo.eu

担当 Giulia Civiletti (ジュリア・チヴィレッティ)

E-mail [email protected]

Cell (+39) 348 5238 601

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28 29

チーズZUZU

CheeseZUZU

作品情報

タイトル Cheese

著者 ZUZU

発行年 2019

ページ数 272

ISBN 978-88-7618-402-4

問い合わせ

Coconino Press (ココニノ・プレス)

所在地 V.le Gorizia, 19 (I piano) – Roma Via Guerrazzi, 1 (Spazio&) – Bologna

著作権 Alessandra Sternfeld (アレッサンドラ・ステルンフェルド)

E-mail [email protected]

編集長 Ratigher: Francesco dʼErminio (ラティゲル/フランチェスコ・デルミーニオ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 338-4490-554

広報 Luca Baldazzi (ルーカ・バルダッツィ)

E-mail [email protected]

Tel (+39) 338-3594-621

ZUZU

 『チーズ』はZUZUの初めてのグラフィック・ノベ

ルである。ココニノ・プレスからの出版としては最も

若い作家となるZUZUの物語を、同社は並外れた“魔

術師”ジピ(Gipi)の責任編集に委ねた。これはZUZU

とダリオとリッカルドの友情物語だ。燃え上がるよう

な恋、郊外での退屈な日々、理由なき熱狂、世界をぶ

ちのめす野望、体との煩わしい付き合い、拒食症と摂

食障害、ばかばかしい大笑い、初めて流した本物の涙。

これは、ある三人組の物語であり、ある閉じた生態系

の物語であり、大人の可能性と危険をはらむ無限の海

を岸から見つめ、挑もうとする、隠れ家のような島の

物語だ。

 ZUZUと友人たちは、各々のやり方で、リスクを

冒し、何かに身を投じ、夢を実現するための勇気を得

ようとする。そして冒険の時が訪れ、ZUZUとダリ

オとリッカルドは、山間部の斜面で行われる伝統のチ

ーズ転がし競争に参加するため、トレント地方の村ブ

レントーニコへ旅に出る。三人は、きわめて荘厳な行

いにふさわしいよう、厳粛かつ念入りにこの挑戦に臨

み、ヘルメットに膝当て、へんてこなシャツで完全武

装し、運命に向かって喜んで転がり落ちる準備を整え

る。丘の下で、彼らが目にするものとは。

ZUZU(本名ジュリア・スパニューロ)1996年サレルノ生まれ。さらにその後、父親にこのニックネームをつけられた7歳のとき、ZUZUとしてもう一度生まれる。ヨーロッパ・デザイン学院(IED)でイラストレーションを専攻し、同学院での卒業論文から、第一作となるグラフィック・ノベル『チーズ』が生まれた。同作はラティゲルの指南とジピの監修のもと2019年にココニノ・プレスより出版され、またたく間に読者と批評家のあいだでヒットした。そして、サーティラ・ポリーティカ・ディ・フォルテ・デイ・マルミ賞の小説・漫画部門賞と、ルッカ・コミックス2019でのグラン・グイニージ賞最優秀新人賞を獲得。ラ・レプッブリカ紙の差し込み付録「ロビンソン」に「アッファーリ・ディ・ズズ」(A�ari di ZUZU)というコーナーをもち、毎週描き下ろしイラストを寄稿。最新の作品に、シンガー・ソングライター、ジョヴァンニ・トゥルッピのブック付き CD『5』の中で発表されたコミックストーリー「きみの電話番号」(Il tuo numero di telefono)や、アメリカの出版社ファンタグラフィックスが発行するコミック・アンソロジー雑誌Nowに掲載された短編小説 Redがある。ZUZUは現在24歳。語りたいとっておきの話がまだいくつもある。

ZUZU、忌まわしく許しがたい無垢な若さの激情。

 最初の作品に目を通していたとき、彼女は内気そうに見

えた。僕は印刷物から顔を上げた。「きみ、何歳?」彼女

は答えた。「こんちくしょう、コイツ最高かよ。」この若さ

でこの聡明さ、そしてこの才能溢れるストーリー・テリン

グ。同時に、この憎たらしい、ひどく脆くて純真な若い子

は、僕に新しい扉を開いた。「生きてるって、どんなだっ

たか思い出したい?」原稿からそう言われてるような気が

した。「それなら、読んでよ。」

 僕は読んだ。そうだ、まさにこの感覚だ。

Gipi(漫画家)

[TM]

誰よりも若く才能あふれる自伝漫画の新人、熱く無邪気なデビュー。

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30 31

須賀敦子翻訳賞1988年に創設、2007年に中断された「ピーコ・デッラ・ミランドラ賞」の後継として2014年に新設され、イタリア語の著作の優れた日本語への翻訳を評価、広く紹介することを目的とし、隔年で開催しています。

イタリア外務・国際協力省による翻訳出版・映像/吹替/字幕翻訳制作への助成金制度

イタリア外務・国際協力省は、イタリア文化の普及を目的として、翻訳出版・映像/

吹替/字幕翻訳制作への助成金を交付しています。

お問合せイタリア文化会館図書室E-mail: [email protected]

Tel: (03) 3264-6011 (内線23)

歴代授賞作品ならびに選考委員会メンバー (敬称略) これまでに助成金交付対象となった翻訳出版作品

第1回授賞作 (2014年) 2018年

2019年 2020年

第2回授賞作 (2016年)

第3回授賞作 (2018年) 第4回授賞作 (2020年)

『ピランデッロ短編集カオス・シチリア物語』

ルイジ・ピランデッロ 著白崎容子/尾河直哉 訳白水社 2012

『ミケランジェロ研究』

カルロ・デル・ブラーヴォ 著甲斐教行 訳中央公論美術出版 2018

『ピランデッロ:秘密の素顔』

フェデリーコ・ヴィットーレ・ナルデッリ 著斎藤泰弘 訳水声社 2020

『緑の髪のパオリーノ』

ジャンニ・ロダーリ 著内田洋子 訳講談社 2020年11月(予定)

『イタリア料理大全厨房の学とよい食の術』

ペッレグリーノ・アルトゥージ 著工藤裕子 監訳中山エツコ/柱本元彦/中村浩子 訳平凡社 2020

『プラハの墓地』

ウンベルト・エーコ 著橋本勝雄 訳東京創元社 2016

『哲学とはなにか』

ジョルジョ・アガンベン 著上村忠男 訳みすず書房 2017

2020年11月発表12月授賞式(予定)

『月を見つけたチャウラピランデッロ短篇集』

ルイジ・ピランデッロ 著関口英子 訳光文社 2012

『オリジナルとコピー16世紀および17世紀の間における複製画の変遷』

小佐野重利 編著浦一章 監訳三元社 2019

『プリーモ・レーヴィ全詩集予期せぬ時に』

プリーモ・レーヴィ 著竹山博英 訳岩波書店 2019

『偉大なる時のモザイク』

カルミネ・アバーテ 著栗原俊秀 訳未知谷 2016

[選考委員会] 岡田温司/木村榮一/柴田元幸/四方田犬彦/和田忠彦 (委員長)

[選考委員会] 岡田温司/木村榮一/柴田元幸/四方田犬彦/和田忠彦 (委員長)

[選考委員会] シルヴィオ・ヴィータ/岡田温司/木村榮一/柴田元幸/和田忠彦 (委員長)

[選考委員会] シルヴィオ・ヴィータ/岡田温司/柴田元幸/野谷文昭/和田忠彦 (委員長)

装丁:柳川貴代

?

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本企画はイタリア文化会館東京館長パオロ・カルヴェッティ並びに、イタリア文化会館メルボルン館長ラウラ・ナポリターノ主導のもと、Book Prideの協力を得て実現した。

イタリア現代文学案内2020La letteratura italiana di oggi

発行

イタリア文化会館〒102-0074 東京都千代田区九段南2-1-30

企画

アンドレア・ラオス

監修

稲田周子

監訳

稲田周子 深川充子

翻訳

越前貴美子 [KK] 柴田瑞枝 [SM]

粒良麻央 [TM] 稲田周子 [IS]

デザイン・組版

藤城雅彦 (株式会社オハス)

印刷・製本

伊坂美術印刷株式会社

協力

Book Pride

総合ディレクター

イザベッラ・フェッレッティ

クリエイティブディレクター

ジョルジョ・ヴァスタ

編集

フェデリカ・アントナッチ アレッサンドロ・ガゾイア フェデリカ・プリンチピ アリーチェ・スパーノ ジョルジョ・ヴァスタ

コーディネーター

フェデリカ・アントナッチ

URL

http://bookpride.net/site/

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